改正 ISM コード(発効:2010 年 7 月 1 日)適用に関する - ClassNK

改正 ISM コード(発効:2010 年 7 月 1 日)適用に関するガイダンス
Section
1.1.10
現行
改正
解説
語句“(英文 and include) ”を “(英文 or)”
”
「重大な不適合」とは、人または船舶の安全に重大
「重大な不適合」とは、人または船舶の安全に重大
な脅威、或いは環境に対し重大な危険を生じさ
な脅威、或いは環境に対し重大な危険を生じさせ、 に変更したことにより「重大な脅威、重大な危
せ、かつ直ちに是正措置を講じなければならない
かつ直ちに是正措置を講じなければならないよう
険を生じさせる違反」の他、
「ISM コードの要
ような明確な違反をいう。加えて、ISM コードの
な明確な違反、もしくはをいう。加えて、ISMコ
求事項が効果的に、かつ組織的に実行されて
要求事項が効果的に、かつ組織的に実行されてい
ードの要求事項が効果的に、かつ組織的に実行さ
いない」場合も重大な不適合であることが明
ないことも又重大な不適合と考えられる。
れていないことをいう。も又重大な不適合と考え
確にされた。
られる。
1.2.2
会社の安全管理の目的として、特に次に留意しな
会社の安全管理の目的として、特に次に留意しな
同改正は今までのものをより明確にしたも
ければならない。
ければならない。
のである。
.1 船舶運航時の安全な業務体制及び安全な作
業環境の確保、
.2
予想されるすべての危険に対する予防措置
の確立、及び
.3 安全及び環境保護に関する緊急事態への準
備を含めた、陸上及び船上要員の安全管理
技術の継続的改善。
5.1.5
5.1 会社は、次に関する船長の責任を明確にし、
文書化しなければならない。
.1 船舶運航時の安全な業務体制及び安全な作
業環境の確保、
.2 その船舶、人員及び環境について識別されたす
「識別された全てのリスク」について評価を
行い、適切な予防措置を確立することが明文
化されたことで、何らかの(リスク評価)手
べてのリスクの評価を行い適切な予防措置を
法により会社がこれまでに識別したリスク
確立すること、予想されるすべての危険に対
(マニュアル等に記載されているもの)につ
する予防措置の確立、及び
いて定期的に評価し、その結果に基づき予防
.3 安全及び環境保護に関する緊急事態への準備
措置についても見直しを行うための手順等
を含めた、陸上及び船上要員の安全管理技術の
が会社の構築したSMSに導入されること
継続的改善。
が必要と考えられる。
5.1 会社は、次に関する船長の責任を明確にし、文 定期的の語句の追加で、船長はSMSの見直し
書化しなければならない。
を定期的に行うことが要求されることになっ
.1 会社の安全及び環境保護方針を実施すること、
.1 会社の安全及び環境保護方針を実施すること、 た。但し、見直しのインターバルについて言
.2 乗組員が方針を遵守するよう動機付けること、
.2 乗組員が方針を遵守するよう動機付けること
及していないので、その期間については会社
.3 明確かつ簡潔な方法で、適切な命令及び指示
.3 明確かつ簡潔な方法で、適切な命令及び指示
が決め, SMSマニュアル等に規定する必要
を出すこと、
を出すこと、
1/5
があると考えられる。
Section
現行
.4 規定された要求事項が遵守されていることを
検証すること、及び
.5 安全管理システムの見直しを行い、かつ、そ
の欠陥について経営者に報告すること。
7
改正
解説
.4 規定された要求事項が遵守されていることを
検証すること、及び
.5 定期的に安全管理システムの見直しを行い、か
つ、その欠陥について経営者に報告すること。
船内業務計画の策定
船内業務計画の策定
改正 ISM コードの要求の変更は、「主要な船
会社は、船舶の安全及び汚染防止に関する主要な
会社は、人員と船舶の安全及び環境の保護汚染防止
内業務のため、計画、指示書を作成するため
船内業務の計画及び指示書を、必要に応じてチェ
に関する主要な船内業務のため、必要に応じてチェ
の手順を確立すること」から「主要な船内業
ックリストを含め、作成するための手順を確立し
ックリストを含め、作成するための手順を計画、指
務のため、実際の計画、指示及び手順を確立
なければならない。また、関連するさまざまな責
示及び手順を確立しなければならない。また、関連
すること」である。また、主要な船内業務の
務を規定し、適切な資格を有する要員に割り当て
するさまざまな責務を規定し、適切な資格を有する
範囲が「船舶の安全及び汚染防止」にから、
なければならない。
要員に割り当てなければならない。
「人員、船舶の安全及び環境保護」に広がっ
た。従来から、主要な船内業務を行うために
は指示書、手順書を作成する必要があると考
えられており、ISM コードはむしろ実情に合
わせた改正と考えられる。したがって、特別
の対処は必要ないと思われる。
8.1
会社は、遭遇する可能性のある船舶の緊急事態を
会社は、遭遇する可能性のある船舶の緊急事態を識
7と同様に、改正は緊急事態を識別し、規定
識別し、規定し、それらに対応するための手順を
別し、規定しそれらに対応するための手順を確立し
し、対応するため手順の確立から、緊急事態
確立しなければならない。
なければならない。
を単に識別し(識別するための手順ではな
い)、その識別した緊急事態に対応する手順を
確立することに変更になった。これも7と同
様、現在多くの会社のSMSに取り入れられて
いるものであり、特別の対処は必要ないと思
われる
9.2
会社は、是正措置実施のための手順を確立しなけ
会社は、再発防止策を含めた是正措置実施のための
2/5
改正文では是正処置に再発防止策を含めるこ
Section
現行
改正
解説
ればならない。
手順を確立しなければならない。
とを明確に規定した。従来から、不適合の是
正措置には再発防止策も当然含んでいると考
えられていたので、特別の対処は必要ないと
思われる。
10.3
12.1
会社は、安全管理システムに突然作動が停止した
会社は、安全管理システムに突然作動が停止した場
本改正も7及び 8.2 と同様に、改正点はいわ
場合に危険な状態を招くような設備 及び機能を
合に危険な状態を招くような設備 及び機能を識別
ゆる重要機器を識別するため手順の確立か
識別するための手順を確立しなければならない。
するための手順を確立しなければならない。安全管
ら、重要機器を単に識別し(識別するための手
安全管理システムには、そのような設備又は機能
理システムには、そのような設備又は機能の信頼性
順ではない)、その識別した重要機器に対応す
の信頼性の向上を目的とした特別な手段を設けな
の向上を目的とした特別な手段を設けなければな
る特別な手段を確立することに変更になっ
ければならない。この手段には、予備機器並びに
らない。この手段には、予備機器並びに連続して使
た。これも現在多くの会社の SMS に取り入
連続して使用されない設備又は機能の定期的な試
用されない設備又は機能の定期的な試験を含めな
れられているものであり、特別の対処は必要
験を含めなければならない。
ければならない。
ないと思われる
会社は、安全 及び汚染防止活動が安全管理システ
会社は、会社と船舶において 12 ヶ月を超えない間
内部監査の実施間隔は 12 ヶ月を超えないこ
ムに従っているかどうかを検証するため、内部安
隔で、安全 及び汚染防止活動が安全管理システム
とと決められた。従って今後の内部監査は前
全監査を実施しなければならない。
に従っているかどうかを検証するため、内部安全監
回の内部監査終了日から 12 ケ月を超えない
査を実施しなければならない。特別の場合、この間
間隔で計画する必要がある。
隔は 3 ヶ月を超えない範囲で延期できる。
なお、延期(3 ケ月を超えない範囲)を認め
る場合の「特別の場合」とは、船舶の運航ス
ケジュールの遅れ・変更等のため内部監査を
予定通り実施できなくなった場合と考えられ
る。延期を認めるのは会社自身であると解釈
される。従って内部監査延期の基準は会社が
作成し SMS マニュアル等に規定する必要が
あると考えられる。
12.2
会社は、安全管理システムの効果を、設定した手
会社は、安全管理システムの効果を、設定した手順
3/5
“(英文 efficiency) ”を “(英文 effectiveness)”
Section
現行
改正
解説
順に従って定期的に評価し、必要な場合は、見直
に従って定期的に評価しなければならない。
に変更し、“効果”であることを明確にした。
さなければならない。
ISM Code の本来意図が“効果”であり、従来
からそのように取り扱っているので、特別の
対処は必要ない。(和文では
従来から
efficiency は“効果”と訳している)
13.12
-
更新検証が安全管理証書の有効期限以降に完了し
た場合、新安全管理証書の有効期間は、更新検証の
日から、既存の安全管理証書の有効期限より 5 年を
超えない期間とする。
13.13
-
更新検証完了後、既存安全管理証書の有効期限前に
新安全管理証書を発行または備え置くことができ
ない場合、主管庁もしくは主管庁が認定した団体
は、既存安全管理証書に裏書して有効期限を延長す
ることができる。このようにして 5 ヶ月を超えない
期間で延長を裏書された証書は、有効な安全管理証
書として受け入れられるべきである。
13.14
-
船舶が、安全管理証書有効期限内に検証を受ける予
定の場所に入港できなかった場合は、主管庁は安全
管理証書有効期限の延長を行うことができるが、こ
の延長は検証を予定した場所に入港するための航
海に対してのみ行われ、且つ、そのような延長が論
理的で適切な場合のみ許容される。この場合、安全
管理証書は 3 ヶ月を超えない範囲で有効期限の延期
が認められるが、このような延期を認められた船舶
は、検証すべき場所に入港した後、新安全管理証書
を所持せずして出航してはならない。
4/5
新規定である。
Section
現行
改正
解説
更新検証完了後発行される新安全管理証書の有効
期限は、延長が認められる以前の既存安全管理証書
の有効期限から 5 年を超えない。
14.4
仮安全管理証書は、以下の検証を行なった上で、
仮安全管理証書は、以下の検証を行なった上で、発
語句“内部”の追加である。仮 SMC の発行の
行することができる。
要件として、会社の立てる監査計画は会社に
発行することができる。
.1 適合証書又は仮適合証書が、本船に適切であ よる内部監査であることを明確にした。
.1 適合証書又は仮適合証書が、本船に適切であ
ること、
ること、
.2 会社が、本船に支給した安全管理システムが、
.2 会社が、本船に支給した安全管理システムが、
ISM コードの主要な要素を含んでおり、 適
ISM コードの主要な要素を含んでおり、 適
合証書を発行する審査の際に評価されている
合証書を発行する審査の際に評価されている
か、もしくは仮適合証書発行の際に示されて
か、もしくは仮適合証書発行の際に示されて
いること、
いること、
.3 3 ヶ月以内に本船の内部監査を行なう計画を
.3 3 ヶ月以内に本船の監査を行なう計画を会社
が立てていること、
会社が立てていること、
.4 船長及び士官が、安全管理システムとその実
.4 船長及び士官が、安全管理システムとその実
施のため計画された手順に精通しているこ
施のため計画された手順に精通しているこ
と、
と、
.5 重要であると識別された指示書が、出航に先
.5 重要であると識別された指示書が、出航に先
立ち支給されていること、及び
立ち支給されていること、及び
.6 安全管理システムに関連する情報が、船内の
.6 安全管理システムに関連する情報が、船内の
使用言語又は乗組員の理解できる言語で与え
使用言語又は乗組員の理解できる言語で与え
られていること。
られていること。
5/5