量子力学(I)5回目(10月24日)

量子力学(I)
5回目
シュレディンガー方程式
材料機能工学科
教授 上山 智
シュレディンガー方程式
• 量子力学で取り扱う粒子は、同時に波動であ
ることをこれまでに学んだ。波動であれば、古
典論で用いられる波動方程式に従うはずで
ある。これに、ド・ブロイの式を代入したもの
が、シュレディンガー方程式である。
• シュレディンガー方程式は、量子力学で最も
基本的、且つ使用頻度の高い式である。
波動方程式への量子力学の適用
古典論で登場する波動方程式は、
∂ 2ψ 1 ∂ 2ψ
∂x 2
=
v 2 ∂t 2
で与えられる。波を変位を波動関数φで表し、位相が速度vで伝播する。
このとき波動関数を以下のようにおく。
ψ ( x, t ) = A exp{i(kx − ωt )}
ここで量子力学を取り入れてみよう。すなわち
E = hν , (エネルギー量子)
p = h / λ (ド・ブロイの式)
である。ここで用いられている振動数νと波長λは、波動関数の一般解
に用いられている波数kや角速度ωとは、以下の対応関係がある。
E = hω , ω = E / h
p = hk , k = p / h
時間に依存するシュレディンガー方程式
これらを波動関数に代入すると、
ψ ( x, t ) = A exp{i( px − Et ) / h}
となる。一方、エネルギーEと運動量pとは、古典論同様に以下の関係を持つ。
p2
=E
2m
上の波動関数から、エネルギーEと運動量pの関係を導く。
h 2 ∂ 2ψ ( x, t )
p2
∂ 2ψ ( x, t )
2
= − 2 ψ ( x, t ), p = −
h
ψ ( x, t ) ∂x 2
∂x 2
∂ψ ( x, t )
iE
E
ih ∂ψ ( x, t )
= − ψ ( x, t ) = ψ ( x, t ), E =
h
ψ ( x, t ) ∂t
∂t
ih
これをエネルギーと運動量の関係式に代入すると、
h 2 ∂ 2ψ ( x, t )
∂ψ ( x, t )
h
=
i
−
2m ∂x 2
∂t
この式が、時間に依存するシュレディンガー方程式である。
時間に依存しないシュレディンガー方程式
時間に依存するシュレディンガー方程式に、波動関数を代入し、右辺の時間微分を
実行すると、
∂
h2 ∂2
{
(
)
}
−
−
=
A
exp
i
px
Et
/
h
i
h
A exp{i( px − Et ) / h}
2
2m ∂x
∂t
h2 ∂2
A exp{i( px − Et ) / h} = EA exp{i( px − Et ) / h}
−
2m ∂x 2
h2 ∂2
A exp{ipx / h} = EA exp{ipx / h}
−
2
2m ∂x
となる。
ψ ( x, t ) = ϕ ( x )exp(iEt / h )
とすれば、上の式は、
h2 d 2
−
ϕ ( x ) = Eϕ ( x )
2m dx 2
である。この式を時間に依存しないシュレディンガー方程式という。