量子力学(I) 5回目 シュレディンガー方程式 材料機能工学科 教授 上山 智 シュレディンガー方程式 • 量子力学で取り扱う粒子は、同時に波動であ ることをこれまでに学んだ。波動であれば、古 典論で用いられる波動方程式に従うはずで ある。これに、ド・ブロイの式を代入したもの が、シュレディンガー方程式である。 • シュレディンガー方程式は、量子力学で最も 基本的、且つ使用頻度の高い式である。 波動方程式への量子力学の適用 古典論で登場する波動方程式は、 ∂ 2ψ 1 ∂ 2ψ ∂x 2 = v 2 ∂t 2 で与えられる。波を変位を波動関数φで表し、位相が速度vで伝播する。 このとき波動関数を以下のようにおく。 ψ ( x, t ) = A exp{i(kx − ωt )} ここで量子力学を取り入れてみよう。すなわち E = hν , (エネルギー量子) p = h / λ (ド・ブロイの式) である。ここで用いられている振動数νと波長λは、波動関数の一般解 に用いられている波数kや角速度ωとは、以下の対応関係がある。 E = hω , ω = E / h p = hk , k = p / h 時間に依存するシュレディンガー方程式 これらを波動関数に代入すると、 ψ ( x, t ) = A exp{i( px − Et ) / h} となる。一方、エネルギーEと運動量pとは、古典論同様に以下の関係を持つ。 p2 =E 2m 上の波動関数から、エネルギーEと運動量pの関係を導く。 h 2 ∂ 2ψ ( x, t ) p2 ∂ 2ψ ( x, t ) 2 = − 2 ψ ( x, t ), p = − h ψ ( x, t ) ∂x 2 ∂x 2 ∂ψ ( x, t ) iE E ih ∂ψ ( x, t ) = − ψ ( x, t ) = ψ ( x, t ), E = h ψ ( x, t ) ∂t ∂t ih これをエネルギーと運動量の関係式に代入すると、 h 2 ∂ 2ψ ( x, t ) ∂ψ ( x, t ) h = i − 2m ∂x 2 ∂t この式が、時間に依存するシュレディンガー方程式である。 時間に依存しないシュレディンガー方程式 時間に依存するシュレディンガー方程式に、波動関数を代入し、右辺の時間微分を 実行すると、 ∂ h2 ∂2 { ( ) } − − = A exp i px Et / h i h A exp{i( px − Et ) / h} 2 2m ∂x ∂t h2 ∂2 A exp{i( px − Et ) / h} = EA exp{i( px − Et ) / h} − 2m ∂x 2 h2 ∂2 A exp{ipx / h} = EA exp{ipx / h} − 2 2m ∂x となる。 ψ ( x, t ) = ϕ ( x )exp(iEt / h ) とすれば、上の式は、 h2 d 2 − ϕ ( x ) = Eϕ ( x ) 2m dx 2 である。この式を時間に依存しないシュレディンガー方程式という。
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