スミチオンの空中散布による大気汚染 - 横浜国立大学

横浜国大環境研紀要13:25−36(1986)
報 文
‖‖l‖川Il‖‖l=‖ll
スミチオンの空中散布による大気汚染
AirPollutionCausedbyAerialSprayofMEP(Fenitrothion)
加藤 龍夫*・花井 義道*・槌田 博*
Tatsuo KATOU*,YoshimichiHANAI*and HiroshiTsucHIDA*
SynopsIS
AerialsprayofMEPhasbeencontinuedfbrthereasontopreventtheprevailingplne
wiltdisease,andtherebytheecosystemwassubjectedtolargedamageinmanydistricts・
AuthorshavemeasuredMEPconcentrationsin the atmosphere as a series ofthe stud−
iesonairpollutionbypesticides・Especially,timevariationof the pollution could be
illustratedbyuslngtheautomaticcontinuoussampling apparatus・As the result,it was
fbundthatatmosphericMEPwaspresentathighlevelin the daytlme and atlowlevelin
thenighttime・Basedonthisorlglnaldata,COuntermeaSureS tO peSticide nuisances were
discussed.
1.緒
岩
松枯れ防止と云う理由から,日本各地でスミチオ
解決を遷延して釆た一因があるのも否定できない。
しかし,空中散布によって広域で自然が破壊されつ
つあるのは自明の事実であるから,放置できること
ンの空中散布が実行され,様々なトラブルを引き起
ではない。スミチオンに関連した研究課題としては,
こしてきた。その原因の一つに撒く側と撒かれる側
例えば水系への流出ま)・2)昆虫類の被害ヲ)ヒノキ林の被
の利害と見解の対立があって,この件に関してはと
害4)あるいは光分解,加水分解5)などに,かなりの詳
くに実行者である行政末端機関の高圧的対応が特徴
しい報告がされている。農薬全般ではさらに彪大な
的である。すなわち松枯れ機構の不明さ,枯れてい
資料となる。しかし,大気汚染事象としてはBHC6)
ない地点への散布,効果について不確実なデータ,
やクロルデン7)など非分解性農薬の長距離移送に興
害はないと云う非常識な説明,散布要請者の不在,
味が持たれる程度で,現実の生活圏環境での大気汚
生態系に関する配慮の欠除,何千人もの請願に対す
染を追求した報告は保田氏の測定例8)を見るほか皆
る無視,立入禁止標示の内部に住居があるなど,と
無と云って差し付えない状況である。
ても科学的対応が考えられる余地がない。一方,一
本研究者は上記の反省に立って,農薬抑制を焦眉
片の通達で農薬に曝露されて釆た側としても,事実
の研究課題と認め,環境汚染として科学的検討に必
を証明するに足る科学的手段を有しないのが普通だ
須なデータを示すことを目標にした。スミチオンの
から,いくら散布の不当を大勢訴えても,結局反行
空中散布はその対象の一つであって,前報9)に引き
政の対立とならぎるをえず,科学的検討不在のまま
続いて,その大気汚染の持続性に注目して調査を行
力の関係で処理される結果に終って釆たように思え
った。調査地点は高崎市観音山,沼田市三峰山およ
る。それに極めて不思議なことに,環境庁を始めと
び福島市信夫山であって,いずれも行政と住民に対
して環境汚染防止に責任を負うべき研究機関が農薬
立があり,科学的対応が求められている地域である。
の汚染には殆んど機能してなかったことに,問題の
*横浜国立大学環境科学研究センター環境基礎工学
研究室
2.試料の採取と測定方法
2.1自動連続採取方法
Department of EnvironmentalEnglneerlng Science,
InstituteofEnvironmentalScience and Technology,
YokohamaNationalUniverslty
大気試料を自動で採取できる装置を考案して使用し
(1986年7月15日受領)
た。
本研究は長期にわたる時間変化を求める必要上,
26
自動大気採取装置のシステム構成は図1に示すよ
うになっている。また装置主要部を図2に図示した。
各部の機能は以下の通りである。
マイクロコンピュータ
NEC製PC6001を用いて,装置全体を制御管
理する。
カセットデータレコーダ
マイコンのプログラムを記憶する。
放電プリンタ
動作状況を印字する。
パラレル・インターフェース・ボード
マイコンの外部バスに接続し,8255A(PPI)を
匪= 自動大気採取装置システム構成
介して,データを受け渡す。PPIのポート割
り付けは表1のようになっている。
マイクロコンピュータ
図2 自動連続採取装置
表1パラレルボートの割り付け
濃縮採取する。
ピン番号 入出力 接 続
PAO
PAl
PA2
PBO
PIil
PB2
PB3
PB4
入力
入力
入力
出力
出力
出力
出力
出力
構成され,試料大気をTenax捕集管に通して・
右側ゲートの開閉状態
左側ゲートの開閉状態
積算流量計からのパルス信号
右側ゲート用モーター駆動
左側ゲート用モーター駆動
テフロン管接続用モーター駆動
テフロン管接続用モーター反転
吸引ポンプ駆動
大気採取部
アルミ製のレールに多数本のTenax捕集管を
吊り下げたもので,Tenax捕集管が順番に送
られるようにレールは傾斜をつけて設置して
ある。大気採取部には,Tenax捕集管が1本
だけ入るように,左右にそれぞれモータ駆動
のゲートが設けられている。ゲートの開閉状
態はマイクロスイッチによってマイコンに読
み込むことができる。このゲートを順に開閉
モータ駆動ボード
することによって,Tenax捕集管の交換を行
直流電源とリレー接点等からなり,マイコン
う。大気採取部の上部には吸引ポンプに通じ
のデータにより,モータを回転させる。
ているテフロン管があって,3番目のモータ
吸引ポンプ
交流100Vの真空吸引ポンプと積算流量計で
によってTenax捕集管に接続され,シ1)コン
ゴム栓でテフロン管とTenax捕集管の気密が
27
保たれる。吸引ポンプが回転することにより,
本調査の場合は,ITV=60,120または180によっ
試料大気を吸引し,被検成分をTenax管の先
て1,2または3時間置きに,20分間で20ゼの大気採
端から吸着捕集する。
取を行わせた。装置を林間の測定地点に設置した状
Tenax捕集管
態は図3に示した。
ガラス製1mE注射筒に0・5mEのTenax−GC(80∼
2.2 移動採取方法
100mesh)をつめて石英ウールで栓をしたも
上記自動採取を行わない場合は,車のバッテリー
のを用いた。日光を避けるため,銀紙を巻く
によってポンプを稼動してTenax管に大気を採取し,
ことがある。実験室で窒素ガスを流しながら
あるいは手動式ポンプによって採取した。この方法
2800Cでエージングを行ったのち,キャッ70
は前報10)で詳述したので,ここでは省略する。
とシリコンゴム栓をして現場に持参する。
2.3 分析条件
本装置は,制御プログラム上の変数ITVによって
指定される時間間隔で,変数SMPで指定される試
分析条件は以下の通りであった。
測定機器 GC−FPD(島津4CM)
料数だけ大気試料を採取することができる。大気採
フィルター P分析用
取のためのシーケンスは,プログラム末尾のデータ
カ ラ ム OVLlO12%,Chromosorb W HP
文によって,Tenax捕集管の交換,吸引ポンプの始
lOO∼200mesh,3mm¢×1rn,
1000c→15Oc/min→2200c,
動停止等を定義する。
N2キャリアーガス 30mE/min.
3.大気中スミチオン濃度の時間変化
3.1高崎市観音山の場合
群馬県下では17市町村21ヶ所で空中散布する予定
があって,観音山は5月28日早朝となった。散布区
域は2ヶ所で,その1ヶ所の民家(土産物店)裏の
松林内に自動採取地点を予定したが,当日は他の1
ヶ所しか散布しない情報が入った。そこで急遽移動
して,コロニー職員住宅地に再設置した。そこは散
布林端から300m離れ,谷をへだてた北側であって,
やむをえず散布地外測定となった。散布地域と測定
点Aの位置を図4に示した。また,散布地の森林相
図3 自動採取装置の設置図
を図5に示した。
図4 高崎市の空中散布地域
28
図5
観音山の森林相
図8
三峰山の森林相
図11
信夫山の森林相
29
なお一部手動で採取した北側林道Bは桑畑の中で
表2 高崎市観音山の大気中スミチオン濃度
あり,また比較のために1点採った森林中の地点C
単位:〃g/m3
時刻
気温
も図中に示した。
濃度
︵XU81
nd nd.000602
0 0 0
2 0 2 ′0
00 0ノ 0 5 5 2
2
1 1 2 2 2
5
1 1 1 1 1 1 1 1 2
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 5 0 0 0 5
0 4
2
2
0
0
0
大気中スミチオン濃度測定結果を表2に,その時
間変動を図6に示した。
この結果によれば,散布後急速に大気濃度が上昇
し,その状態が持続した後,夕方から減少し,また
朝方上昇することが分った。この傾向は気温と対比
0.047
0.094
0.005
0.085
0.064
0.011
0.047
0.006
0.002
0.009
0.046
してみると,その変化に対応していることが認めら
れる。通常大気汚染においては,ガス,煙が1時放
出されると,2m/sの微風下Fも10分で1・2kmも移動
して,その地点に長く留まることはなく,一旦樹木
葉上あるいは土壌に付着した農薬が揮発することに
原因がある。夕方から気温の低下と共に減少するの
も同じ理由による。当日は風向が不定でやや東寄り
の1−3m/sの微風で,散布地域方向から直接吹くこ
とは少なく,そのために大気濃度は低い水準で記録
0.002(B地点)
されたと推定されるが,なお散布地点の1/30程度の
0.005(B地点)
濃度が持続したという事実は,汚染源からの揮発に
0
1
0
2
0
1
1
8
1
2
00
1
︵リノ
つん
0.066(B地点)
0.195(B地点)
よる周辺の大気汚染が予想以上に大きいことを示し
0.010(B地点)
ている。ちなみに森林中散布地点では1.91鵬/m3が
0.040(B地点)
記録された。森林中は細い小径の外は一帯が人が入
1.91(C地点)
5
れない薮状の雑木林と化している。このことは写真
5
5
2
00
8
2
00
2
00
2
0′b1 73 00
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 5 5 0 っJ O つム
0 0ノ 0 1 つん 3 4 5 ‘U 7 1 0 3 ′0 5 5 00 1 2 4 5
5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5
00 8 父U 8 8 8 00 00 8 00 00 父じ 史U 0ノ 0ノ 0ノ 00 00 00
2 2 2 つム 2 2 2 2 2 2 つん ︵∠ 2 2 つ﹂ 2 2 2
/ / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / /
つん
日付
6
10
14
18
22
図6 観音山の大気中スミチオン濃度
2
6
30
/∧ノエく妄≧戦
も/ \
h // ▲
い丁フ ニL
5弼 ̄
_ 凡
\)/\(
 ̄ ̄
享三ア、ム r、、」こ,/二 ′九 フ ノーヘ
_−
一一 、 ̄ノ _ノー ̄r
ノ≒㌫Jて二万
\_− ′ノ1
∼_.
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ヲ手\、、l、饗㌘
二(〆1、\
/一、−−ノ′′ ヨ\
2Km
1
1_訪′吾1,謬 ̄、て \)/・町+ノJ
/
図7 沼開市の空中散布地域
6
8
10
12
14
16
18
時刻
図9 三峰山の大気中スミチオン濃度
を見ても明瞭である。
3.2 沼田市三峰山の場合
6月9日にはこれまで農薬散布のなかった沼田市
三峰山と戸神山で初めて空中散布が行われた。この
時は散布地域の山林内で電源がえられなかったので
車のバッテ
リー方式で採取した。散布地域と測定点
の位置を図7に示した。また散布地の森林相を図8
で示した。
大気中にスミチオン濃度測定結果を表3に,その
時間変動を図9に示した。
この場合は散布地点に当たるわけで,大気濃度は
1∼10鵬/m3の高い水準で継続していることが確か
31
められた。早朝のピークは散布中のミストおよび蒸
気の影響を直接受けたものであり,一旦減少してか
なお,三峰山と戸神山の森林相は図8の写真で見
る通りであって,松林枯死の状況にはなかった。こ
らの増加は樹木葉上に付着した農薬からの揮発を明
こでも雑木林化して,日照,風当たりが悪くなった森
らかに示している。採取は夕方で終りとなったが,
林相で松は生育しない原則の適用範囲を出るもので
その間気温との相関が認められる。記録では12時32
はなく,今時点で松食い虫とは無関係と観察された。
分に散布中直下よりも高い値であった。
3.3 福島市信夫山の場合
信夫山は福島市の中央に位置し,7月7日に今年
表3 沼田市三峰山の大気中スミチオン濃度
1986.June.9 単位:pg/m3
くの民家で電源が確保できたので,自動大気採取装
置を設置して1週間にわたる時間変化を測定した。
8
散布地域と測定点の位置を黒丸●で図10に示した。
0
また,散布地の森林相を図11に示した。
5
3
図で解るように測定点は散布予定地から100∼300
m離れているが,これより内部には電源がなくやむ
をえないものと判断して,この時節北東の風向が卓
7
間変化を図12に示した。
6
2
大気中スミチオン濃度測定結果を表4に,その時
﹂
O
2
1
試料の採取は1日目は1時間毎に,2日目以降は
2
1
風はほとんどないか,やや北∼北東が多かった。信
7
1
0
0
1
1
夫山は盆地に独立した丘陵なため,風速が小さい時
方向は定まらず,気象要因はやや複雑な感じであっ
L
O
O
後から上昇し,以後増減を繰り返しながら次第に減
図に示すように,大気中スミチオン濃度は散布直
4
3
7
7
1
0
−1
つ﹂
0
1
4
3
1
0
2
O
た。
7
9
/hU
1
5
1
1
1
2
5
1
0
1
0
5
1
0
8
2
0
9
が続き,晴天は8日と10日夜だけであった。また,
2
2
O
5
0
1
を並記した。天候は梅雨期に当り,曇,小雨,霧雨
4
2
L
5
L
1
2
1
6
L
0
5
L
1
0
2時間毎に行った。図には気温の変動と天候の概況
′b
6
1
5
L
0
0
1
3
2
0
2
1
布後,散布地域内で1検体づつ採取した地点である。
O
1
L
1
′0
0
1
越すると云う情報に従った。なお,図中a∼eは散
/b
﹂
2
0
L
0
1
7
00 5 7 3 4 5 5 59
9
5
濃度
2 0
0 0 L 2 3 4 5 7 9
1
L
1
2
4
0
9
4
L
4
2
2
2
2
2
7
2
3
2
2
2
4
つん
0
2
1 2 7 1 1 ∩フ
つ﹂
1 0
つエ2
4
0 つJ O っJ O っJ O っJ O っJ O っJ O っJ O っJ
O O l l つん ︵ノーつJ つJ 4 4 5 5 ′0 ′0 7 7
0
520
602
715
727
800
831
900
933
0 0 0 0 0 0
温
0
時刻
2度目の空中散布が行われた。ここでは散布地域近
1
1
図10 福島市の空中散布地域
32
l
濃
〃.
度如8
3
1
図12 信夫山のスミチオン大気濃度日変化
少し,1週間で1/10以下のレベルになっている。散
で薬剤が散布時どこまで飛散落下するのかと云う現
布時樹木葉上や土壌に付着したスミチオンが揮発し
象とは異なる。従って調査時刻は11時から13時,散
て長期にわたって大気を汚染し続けていることが明
布後約5時間とした。この時,風は無風∼2m/s,北
らかである。濃度の増減については,揮発速度を左
一北北東であった。採取地点は,信夫山散布地点森
右する気温の影響が認められるが,日によって相関
林内,風上に当る1.5km地点から,風下に当る南方
が明瞭な場合とそうでない場合がある。例えば朝方,
8km地点までを設定した。測定地点と濃度測定結果?
夜中の最低値の記録は低温時に対応し,星間のピー
を表5に示し,地図上に位置と濃度をプロットして
クは高温時に対応するとみなされるが,これに風向
図13に示した。
の影響が加わっている。とくに散布地域の方向北∼
この結果によれば信夫山を発生源として広大な範
東風が卓越する場合が7,9,11日と3度あって,い
囲にスミチオンの大気汚染が形成されていることが
ずれも高温度が持続している。また,これと反対に
確認された。森林内最高値は2.21〟g/m3で,これは
南風が入る場合が時々見られるが,この時にはもっ
沼田市の場合より低値であるが,同時刻連続測定点
と高くなる筈がやや低くなって記録されたと推理さ
で0.88/瑠/m3,さらに市街地2km地点で0.10〟g/m3
れる。また,平均して風が弱いと,散布地点直下で
であった。これに対し,信夫山の北および東側は風
ないために気温の影響が遅れて出現する傾向がある
上に当り不検出,また,8km離れた蓬莱町で不検出
と考えられる。今回の実験の範囲では,局地的気象
であった。当時点では無風に近い状態で,遠方への
の解析が不足しているので,長期にわたる温度およ
拡散はむしろ少なかったと考えられるが,それでも
び気象要素との厳密な相関式を出せるまでには至ら
福島市街地は一様に汚染されていることが分った。
なかった。12日夜は雷雨があり,雨の影響が知りた
本調査結果は独立山林を発生源とする農薬汚染の代
い所であるが,まだはっきりした結果はえられなか
表例と見なすことができ,今後このようなデータの
った。従って,本データは農薬空中散布後の1週間
積み重ねにより,農薬の科学的対処が初めて可能と
にわたる大気汚染を初めて明らかにしたものとして
なるであろう。
示すに止める。
4.大気中スミチオン濃度の距離別調査
信夫山空中散布の時は,時間変化調査に合わせて,
一部距離別変化も見た。農薬の大気汚染は空中散布
信夫山の森林相も雑木化が進んでいるが,まだ松
林として良好な状態も保たれている。この山は市街
地に憐摸し,遊園地となっていて空中散布は非常識
の感をぬぐえない。
33
表5 信夫山からの大気中スミチオン距離別変化
1986.July.7 単位:pg/m3
表4 福島市信夫山の大気中スミチオン濃度
m/s
採取地点
2 1 0 0 1
散布山林内a
散布山林内b
散布山林内c
散布山林内d
散布山林内e
濃度
鎌田
松川橋
県庁舎
福島駅
桜の聖母学園
WEEE
21123113212
SW㌫
SWWSふN設NENN
WN
SE
第一小学校
杉妻小学校
蓬莱小学校
5.その他の補足事項
5.1沢水の測定
0ノqノ0ノ0/0ノ
22321
0ノ0ノqノ0ノqノqノq′0ノ0ノ0ノnノnフ
12
12
2210145′044l
31
つ2
ム233つん111
110
l13333
EEEE
E
E
N
ENENENENNENENNE紆NS
NE
EN
SWS一
NNNNNNNENENENENENE
nd3404303006002608010027051031004008nd
第四中学校
県立美術館
第四小学校
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
市庁舎
福島体育館
信夫山トンネル南
nd
赤十字病院
福島女子短大
21183 2 川 3 3 n d
SS
㍑WSW
21
フ3
〓∠
332
301225/051
11122110112っ﹂45
41
312
140
11
EEEEE
NEENNNENENE一
l
0L
11
2
055005005000 55
00
90
90
0000
つ︼
つん22
2112222222つ
ム22
111222222222
l l l
0/0ノ0ノ0ノqノ︵フ8778770080ノq/0ノqq
/′
09
ノ0
q/nフ87′0′b80ノ
99
qノq/0ノ︿Uノ0ノ788qノqq
ノ /qノQノ∩フ877888ql′lq
0ノ
ノ8′055880ノq
0′ノ
/
5Q
0ノ
540
212つん43
20
05
0 000000
つん2つん22222つ]2つ0
ムノnノ0ノ147′b42100
q0
/5
25
03
520505550
2l55337′053
7′b77′b O5′b42︵X︶︵フ2502
1つ2
﹂2
2つ
0︼
20
23つん′b二∠
70
70
′052433′0
35
4000117qノ/b′b
43
0q′03/O
713 0200 0.024
0400 0.037
0600 0.017
0800 0.004
1000 0.058
879254
57
00
804
03
00
2
5L
0
00000000
712 0200 0.036
0400 0.047
0600 0.052
0800 0.027
1000 0.060
1200 0.006
1400 0.073
1600 0.010
1800 0.011
2000 0,041
2200 0.017
2400 0.028
05000500000
0000
000
00
00
01
00
00
77
711 0200 0.12
0400 0.103
0600 0.103
0800 0.070
1000 0.082
1200 0.083
1400 0.15
1600 0.13
1800 0.011
2000 0.003
2200 0.067
2400 0.081
l l122つんつム222
22
122223222
2022000242﹂
7
00
000
00
000
00
0000
00
0
000
00
0
000
000
0
710 0200 0.11
0400 0.0(i5
0600 0.081
0800 0.20
1000 0.008
1200 0.021
1600 0.15
1800 0.037
2000 0.033
2200 0.009
2400 0.103
3
05
02R︶3
5
28
2247
85qノ4
5
つ0
︼2
002504
03
00000000000
q/
00001111つん02
002
0111112
8
0
7
0.34
0.12
55000050000500050000 8R︶800q′0134344421009qノqノ 111112つん2222222222111
1
37507
0
0052512001
ddd.OdJlOO16686817595
n n nO nOOOOOOOOOOLL100
00000000111111111222
00000000000000000000
00000000000000000000
707
4
2345′07009012345/b2
74
0′
00
00
つ0
▲0
42480
つ2
ん4
′b8024∠U史じつん
月日 時刻 濃 度 気温 湿度 風 向 風速
〃g/m3 0C %
三峰山の散布地に囲まれた山中に寺があって,沢
水を飲料水に使用している。汚染が心配されるのて
1週間毎日1検体ずつ水を採取して分析した結果,
全部が不検出(0.1〟g/旦)であった。恐らく水源に当
る側の斜面は散布予定地からはずれていて直接薬剤
が落ちなかったためと思われる。大気移行と水系移
行は関連した事項として,あらためて計画するつも
りである。
5.2 毒死虫類の計測
スミチオン散布によって殺害された虫の数量を調
べるために,1m平方のアルミ枠に白布を張ったも
のを空中散布の前日夕刻に森林内の地上50cmのと
ころに設置し,落ちてくる虫の死骸を調べた。この
時,採集した虫は,アルコール水に浸けて研究室に
持ち帰えり,昆虫とクモに分類して,実体顕微鏡を
用いて体長約1mm程度のものまで計数した。ダニ目
ではササラダニなど多数の死骸が見付かったが,採
取状況から正確な計数が無理だったので今回は扱わ
なかった。
本調査では虫類の損害影響は予備的なもので,計
数結果だけ表6,表7に参考に示した。
特徴的な現象だけあげると,(1)マツノマダラカ
34
図13 信夫山からの距離別スミチオン大気濃度 単位:〃g/m3
35
表6 高崎観音山でのMEP空中散布の虫への影響
単位死んだ虫の数/m2
布
散
地
域
対 照 地 域
a地点(当日) b地点(当日) C地点(当日) 3地点(2日日)※ d地点(当日) e地点(当日)
分類
甲虫の成虫
甲虫の幼虫
鞘週目
0
4
0
0
2
5
18
10
0
0
2
2
0
0
5
3
0
0
28
7
3
0
0
10
膜遡月
アリ
双週日
ハチ
ハエ,アブ,・カ
3
5
23
蛾の幼虫
クサカゲロウ
鱗週目
脈週目
半廻目
0
12
61
0
5
0
カメムシ
アフナラムシ
0
0
0
5
36
6
カイガラ∠シ
ウンカ,ヨコバイ
4
10
2
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
2
0
0
0
チャタテムシ目 チャタテムシ
カゲロウ目
カゲロウ
4
0
0
2
0
0
0
0
クモ
0
4
4
0
0
50
33
19
157
67
10
4
合
0
計
0
(当日):MEP散布前日夕刻から散布当日夕刻まで (2日目):MEP散布当日夕刻から散布翌日畳刻まで ※:aからc地点の平均
表7 沼田市戸神山・三峰山でのMEP空中散布の虫への影響 単位:死んだ虫の数/m2
分類
戸 神 山
三 峰 山
林道(g付近)
r地点(松の直下) 持也点(雑木林) g地点(松の直下) g地点(雑木林) (死んでいる虫の総数)※
革旨廻目
膜週目
甲虫の成虫
甲虫の幼虫
アリ
双週目
ハチ
ハエ,アブ,カ
鱗麹目
蝶
蛾
蛾の幼虫
クサカケーロウ
カメムシ
アフナラムシ
脈週目
半廻目
カイガラムシ
ウンカ,ヨコバイ
直辺目
バッタの幼虫
チャタテムシ目 チャタテムシ
カゲロウ日
カゲロウ
4
13
計
0
8
0
0
53
0
0
0
2
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
7
7
0
2
0
0
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
22
87
0
5
0
6
0
クモ
合
3
8
4(i
※:林道付近は,地面に落ちていた虫のうち大きなものを拾い集めた総数。
ミキリは1個もない。(2)対照地点と比べて当然大
染の防止に関して農水省が国の責任を果すことの3
きな損害を受けている。(3)松林より雑木林の方が
点が必要となろう。つまり,昔通産省が工場を指導
生物種が豊富である。(4)シート式は規準化してい
して脱硫対策や自動車排ガス対策を成功させて国民
るが設置場所で差が大きい難点が残る。これに対し,
の安全と産業の発展を可能にした先例にならい,今
林道で虫を拾うやー)方は規準化するのは、難しく,ま
日農水省が農薬使用に対して,農民市民の安全と国
た大型の虫に限られるが,広い領域で損害虫類の種
土の保全および農林水産の荒廃抑止の面で適切な措
別の比較には,かなー)有効と思える。今後何らかの
置を講ずることを期待するものである。
採集規準が考察されるとよい。
今松枯れに対するスミチオン空中散布に関連して
いえば,一局地の事ではなくて全国的に共通の事象
6.結 語
であるから,まず科学的データを尊重することが基
空中散布されたスミチオンの大気中濃度を測定し
本となるのは勿論であって,仮にも毒を撒けば補助
た結果,散布後森林内に付着したスミチオンの揮発
金が出るような事態はあってはならない。本研究者
によって長期間大気汚染が形成され,持続している
も環境研究の分野で,より精密な調査を進めて国土
ことが判明した。すなわち,土壌殺菌剤など他の農
保全の分担を果したいと思っている。本調査を通じ
薬と同様,散布地域が発生源となっている点では,
て感じたことを付記すれば,森林状況と散布の判定
かつてのコンビナート公害(例えば四日市ゼンソク)
は利益関係のない専門機関の科学判定を前提にする
や都市汚染(例えば光化学スモッグ)と全く同列に
こと,生態系破壊ないしは生物損害の被害をもっと
扱われるべき事象と考えられる。従って,農薬の大
重要視すること,自然を守ることと緑を守ることを
気汚染対策の手順としては,農薬の大気毒性を決定
混同しないことなどが,今すぐ必要であると思われ
し,農薬の使用地からの排出規準を設定し,農薬汚
た。
36
参 考 文 献
1)石井富夫:農薬の三河湾への流出と安全性評価
の考え方,生態化学,7(2),19−31(1984)
2)丸論:千葉県河川の農薬モニタリング,8(3),
ガ 3−10(1985)
3)渡辺弘之:アカマツ・タロマツ混交林の樹上節
足動物の個体数と現存量 一殺虫剤の空中散布
を利用して−,生理生態,17,291−295
(1976)
4)細田隆治:フユニトロチオン(MEP)剤による
ヒノキの異常落葉現象に関する研究,林業試験
場研究報告,320,13−51(1982)
5)NobuyoshiMIKAMI,KumikoIMANISHl,
Hirohiko YAMADA,andJunshiMIYAMOTO:
Water,JPesticideScLlO,263−272(1985)
6)S.Tanabe,etaL:Globalpo11utionofmarine
mammalsbyPCBs,DDTsandHCHs(BHCs)・
Chemosphere,12(9),1269−1275(1983)
7)R.M.Hoffand K.−W.Chan:AtmosphericCon−
centrationsofChlordaneatMouldBay,N・W・T・,
Canada,Chemosphere,15(4),449−452(1986)
8)保田仁資:道後平野および大洲盆地における大
気中の有機リン農薬の濃度,日本化学会誌,19
80No.4,645−653(1980)
9)花井 義道・加藤 龍夫・槌田 博:農薬によ
る大気汚染 一基礎実験と実態調査−,横浜国
大環境研紀要,12,47−59(1985)
10)加藤 龍夫・花井 義道・槌田 博:野菜連作
PhotodegradationofFenitrothioninWater
農業地帯の大気中農薬汚染,横浜国大環境研紀
andonSoilSurface,andItsHydrolysISin
要,13,25−36(1986)