【課題】凍結乾燥した果物又は野菜組成物に - TwitDoc.com

JP 2013-176381 A 2013.9.9
(57)【要約】 (修正有)
【課題】凍結乾燥した果物又は野菜組成物において、改善された物理的安定性及び改善さ
れた溶解性を有する生成物、並びにその作製方法を提供する。
【解決手段】果物又は野菜成分と乳化剤と増粘剤とを含み、低温殺菌されている、凍結乾
燥し空気混和した果物又は野菜組成物とする。前記乳化剤が乳酸モノ及びジグリセリド、
ポリソルベート、カゼイン塩、ホエイタンパク質、並びにこれらの組み合わせからなる群
から選択され、増粘剤が澱粉、親水コロイド(カラギーナン,グアーガム,イナゴマメガ
ム,ペクチン等)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである。
【選択図】なし
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
果物又は野菜成分と、
乳化剤と、
増粘剤と
を含み、
低温殺菌されている、凍結乾燥し空気混和した果物又は野菜組成物。
【請求項2】
前記乳化剤が、乳酸モノ及びジグリセリド、ポリソルベート、カゼイン塩、ホエイタン
パク質、卵白タンパク質、並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に
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記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項3】
前記乳化剤が、乳酸モノ及びジグリセリドである、請求項1に記載の凍結乾燥した組成
物。
【請求項4】
ゲル化剤をさらに含み、前記ゲル化剤がゼラチンである、請求項1に記載の凍結乾燥し
た組成物。
【請求項5】
前記果物又は野菜成分が、前記組成物の60%∼98%の量で存在する、請求項1に記
載の凍結乾燥した組成物。
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【請求項6】
前記乳酸モノ及びジグリセリドが、前記組成物の0.001%∼1%の量で存在する、
請求項1に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項7】
前記増粘剤が、デンプン、親水コロイド(カラギーナン、グアーガム、イナゴマメガム
、ペクチンなど)、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の凍
結乾燥した組成物。
【請求項8】
前記乳酸モノ及びジグリセリドが、モノ及びジグリセリドの乳酸エステル、モノ及びジ
グリセリドのクエン酸エステル、並びに蒸留モノグリセリドからなる群から選択される、
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請求項3に記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項9】
前記乳酸モノ及びジグリセリドが、モノグリセリドの乳酸エステルである、請求項3に
記載の凍結乾燥した組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の糖をさらに含む、請求項1に記載の凍結乾燥した組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結乾燥し空気混和した果物又は野菜組成物及びその作製方法に関する。
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【背景技術】
【0002】
空気混和した組成物は、当技術分野において既知である。空気混和は、軽いふわふわし
た質感などの望ましい特性を与えることができる。空気混和した生成物は物理的及び化学
的不安定性の影響を受けやすく、したがって時間とともに不安定化する場合があることも
当技術分野において既知である。空気混和したミルクをベースとする生成物におけるこの
ような不安定性の問題に対する1つの解決法は、空気混和前に、既に培養した乳製品に含
水乳化剤を加えることを含む(例えば、米国特許第7,005,157号明細書(以下「
’157特許」)を参照されたい)。具体的には、’157特許は、このような成分は、
発酵時間などの処理問題に悪影響を与えることがあるため、発酵の前にその成分をミルク
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ブレンドに直接加えないことを教示している。’157特許は、発酵後に含水乳化剤を添
加することによって発酵時間の不利な延長が回避され、一方安定性に寄与すると教示して
いる。凍結乾燥は、食品業界において周知の工程である。このように得られた生成物が消
費者にとって重要な知覚特質を保持することは、空気混和した生成物をさらに乾燥させる
際には重要である。’157特許において教示されている発明を使用して、凍結乾燥前の
空気混和した生成物の水和は、物理的安定性にひどい悪影響を及ぼす場合がある。例えば
、水和し空気混和した生成物は、凍結乾燥した場合、生成物の輸送及び取り扱いの間の脆
弱性を増す結果となることがある。果物ピューレは、それらの糖含量のために凍結乾燥さ
せることが困難である。果物ピューレは、水を保持するため、糖と水を分離させることは
困難である。
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【0003】
さらなる例として、溶解性は、凍結乾燥した生成物において重要な問題である。具体的
には、空気で乾燥及び処理された空気混和した生成物は、消費にあたって香味が消費者の
味蕾に伝達されるような速度で、容易な溶解性をそれでも保持しなければならない。さら
に、生成物は、経口の運動能力又は消化機能が制限された又は発達不十分な消費者の窒息
の危険のリスクを減少させるため、容易に溶解できるべきである。既知の解決法として、
空気混和を増加させることによって、溶解性を改善することができる。しかし、空気混和
を増加させることは、最終生成物の硬度を減少させるという悪影響を有する。硬度が減少
した場合、生成物の物理的安定性が損なわれる場合がある。
【発明の概要】
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【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改善された物理的安定性及び改善された溶解性を有する、凍結乾燥し空気
混和した生成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、果物又は野菜成分と乳化剤とを含む、凍結乾燥し空気混和した果物又は野菜
組成物、並びにその作製方法を含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
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全体を通して使用されるように、範囲は、範囲内のありとあらゆる値を記載するための
省略表現として使用される。範囲内の任意の値は、範囲の終端として選択することができ
る。使用される場合、「の少なくとも1つ」という語句は、個々の任意の1つのメンバー
又はメンバーの任意の組合せの選択を意味する。接続詞「及び」又は「又は」は、メンバ
ーの一覧において使用することができるが、「の少なくとも1つ」という語句は、支配言
語である。例えば、A、B、及びCの少なくとも1つは、A単独、B単独、C単独、A及
びB、B及びC、A及びC、又はA及びB及びCの省略表現である。
【0007】
「凍結乾燥」は、材料を凍結させ、次いで周囲の圧力を減少させて、材料中の凍結水が
固相から気体に直接昇華することを可能にすることによって作用する脱水工程である。
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【0008】
「空気混和」は、空気を導入して、液体中の気体濃度を増加させる工程である。空気混
和は、表面吸収を増加させるために、液体を通して気体を泡立て、液体を気体中に噴霧し
、又は液体を撹拌することによって行うことができる。
【0009】
「溶解性」は、乾燥から湿潤状態へと移行する生成物の硬度の変化として定義される。
【0010】
「硬度」は、材料が破壊される前のピーク応力として定義される。Instron(C
anton、MA)によって製造された100Nのスタティックロードセルを有する万能
試験機モデル4465を使用する。試験のために使用するプローブは、圧縮アンビル#2
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830−011である。プローブのスピードの初期設定は、約90%圧縮に対し1mm/
秒であった。スピードは、J.TextureStudies、36(2005)、ペー
ジ157∼173における学術論文、「Effects of Sample Thick
ness of Bite Force forRaw Carrots and Fish G
els」に基づいた。各変量について10∼15個の反復試験試料で試験を繰り返す。
【0011】
「粘度」は、流れに対する物質の抵抗の測定値と定義される。粘度は、組成物を空気混
和する前に、F−Tバーを有するヘリパス(Helipath)(登録商標)スタンドを
備えたBrookfield粘度計を使用して測定する。粘度は、空気混和及び堆積の間
の物質の形状の保持を助長する。
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【0012】
本発明は、凍結乾燥し空気混和した生成物の調製に有用な果物又は野菜組成物を含む。
組成物の第1の構成成分は、果物又は野菜成分を含む。果物又は野菜成分は、当技術分野
において通常既知の任意のものから選択される。好ましくは、果物又は野菜成分はピュー
レにされる。果物又は野菜成分は、組成物の60%∼98%、好ましくは70%∼90%
、最も好ましくは60%∼80%の量で存在する。
【0013】
本組成物の第2の構成成分は、乳化剤を含む。理論に束縛されるものではないが、乳化
剤は気液界面の表面張力を減少させ、その結果粘稠液体マトリックス中での気泡の安定的
な分散を可能にすると考えられる。乳化剤は、好ましくは乳酸モノ及びジグリセリドであ
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る。乳酸モノ及びジグリセリドは、これらだけに限定されないが、モノ及びジグリセリド
の乳酸及びクエン酸エステル、蒸留モノグリセリド、並びにこれらの組合せからなる群か
ら選択される。理論に束縛されるものではないが、起泡剤について、乳酸は水相中にあり
、モノグリセリドは疎水性相中にあると考えられる。乳酸モノ及びジグリセリドは、組成
物の0.001∼1%、好ましくは0.01∼0.5%、最も好ましくは0.1∼0.4
%の量で存在する。本発明の乳酸モノ及びジグリセリド構成成分は、最終的な空気混和し
た組成物の安定化を促進すると考えられる。
【0014】
本発明の組成物は、デンプン、ガム、起泡助剤、糖及び安定剤などの任意選択の成分を
さらに含むことができる。デンプンには、それだけに限らないが、タピオカ、トウモロコ
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シ及び米が挙げられる。米は、天然、物理的又は化学的に改質されていてもよい。ガムに
は、それだけに限らないが、ペクチン、ゼラチン、カラギーナン、イナゴマメガム、グア
ーガム、セルロースガム、微結晶性セルロースが挙げられる。起泡助剤には、それだけに
限らないが、モノ/ジグリセリドの乳酸エステル、並びに他の酸エステル、泡の安定化能
を有する他の乳化剤(ポリソルベート80)、卵白及びホエイタンパク質が挙げられる。
【0015】
硬度、溶解性及び粘度
本発明の最終生成物についての消費者の好みは、硬度、粘度及び溶解性などの物理的特
性に基づいていると考えられる。各特性は重要である一方、3つの構成成分の間の正しい
バランスは、本発明の最終生成物を最適化するために望ましい。粘度は、流れに対する物
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質の抵抗の測定値として定義される。粘度は、組成物を空気混和する前に、F−Tバーを
有するヘリパス(登録商標)スタンドを備えたBrookfield粘度計を使用して測
定する。粘度は、空気混和及び堆積の間の物質の形状の保持を助長する一方、硬度は、物
理的安定性を助長すると考えられる。また硬度の測定値である溶解性は、乾燥から湿潤状
態へと移行する生成物の硬度の変化である。溶解性を助長する空気混和の増加により、硬
度が悪影響を受ける場合がある。本発明の組成物及び方法は、物理的に安定でかつ消費者
に受け入れられる生成物を提供するための、粘度、硬度及び溶解性の間の最適なバランス
を予想外に発見した。
【0016】
本発明の組成物は、0.5∼8ポンドフォース、好ましくは1.5∼5.5ポンドフォ
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ースの硬度値を有する。
【0017】
本発明の組成物は、0.1∼8の範囲のピーク負荷の溶解性を有する。
【0018】
本発明の組成物は、温度及び粘度を測定するために使用される粘度計のスピードに応じ
て、1,000∼100,000cpの粘度を有する。好ましい実施形態では、湿潤組成
物の粘度は、Brookfield粘度計において10RPMのスピードのスピンドル6
で30,000∼60,000cpの範囲である。最も好ましい範囲は、35,000∼
50,000cpである。
【0019】
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作製方法
凍結乾燥し空気混和した果物又は野菜生成物の調製方法は、(a)果物又は野菜ブレン
ドを用意するステップと、(b)乳化剤を加えるステップと、(c)果物又は野菜ブレン
ドを熱処理するステップと、(d)ブレンドを発酵させるステップと、(e)気体をブレ
ンドと混合するステップと、(f)気体と果物又は野菜ブレンドとを同時に空気混和し、
空気混和した生成物を形成させるステップと、(f)生成物を冷却するステップと、(g
)生成物を凍結乾燥させるステップとを含む。ステップ(f)は、任意選択のステップと
して含められる。
【実施例】
【0020】
実施例1
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【表1】
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【0021】
上記の組成物は、本明細書に記載の方法を使用して作製される。
【0022】
本発明は、上記の特定の実施形態に限定されないが、下記の特許請求の範囲によって定
義される変形形態、修正形態及び同等な実施形態を含むことを認識されたい。
【手続補正書】
【提出日】平成25年5月22日(2013.5.22)
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【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥し空気混和した果物又は野菜組成物の調製方法であって、
(a)果物又は野菜ブレンドを用意するステップと、
(b)乳化剤を加えるステップと、
(c)果物又は野菜ブレンドを熱処理するステップと、
(d)ブレンドを発酵させるステップと、
(e)気体をブレンドと混合し、気体とブレンドとを同時に空気混和し、空気混和した
生成物を形成させるステップと、
(f)生成物を凍結乾燥させるステップと
を含み、前記果物又は野菜成分が前記組成物の60%∼98%の量で存在する、方法。
【請求項2】
ステップ(e)の後にさらに、(g)生成物を冷却するステップを含む、請求項1に記
載の方法。
【請求項3】
ステップ(e)において、30%∼60%オーバーランとなるように空気混和する、請
求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(e)において、空気混合のためにブレンドに窒素ガスを混合する、請求項1
∼3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記乳化剤が、乳酸モノ及びジグリセリド、ポリソルベート、カゼイン塩、ホエイタン
パク質、卵白タンパク質、並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1∼
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記乳化剤が、乳酸モノ及びジグリセリドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ゲル化剤をさらに含み、前記ゲル化剤がゼラチンである、請求項1∼6のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項8】
前記乳酸モノ及びジグリセリドが、前記組成物の0.001%∼1%の量で存在する、
請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記乳酸モノ及びジグリセリドが、モノ及びジグリセリドの乳酸エステル、モノ及びジ
グリセリドのクエン酸エステル、並びに蒸留モノグリセリドからなる群から選択される、
請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記乳酸モノ及びジグリセリドが、モノグリセリドの乳酸エステルである、請求項6に
記載の方法。
【請求項11】
請求項1∼10のいずれか一項に記載の方法によって得られた、凍結乾燥し空気混和し
た果物又は野菜組成物。
【請求項12】
0.5∼8ポンドフォースの硬度値を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
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0.1∼8の範囲のピーク負荷の溶解性を有する、請求項11又は12に記載の組成物
。
【請求項14】
空気混和する前の湿潤組成物の粘度は、Brookfield粘度計において10RP
Mのスピードのスピンドル6で30,000∼60,000cpの範囲である、請求項1
1∼13のいずれか一項に記載の組成物。
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フロントページの続き
(72)発明者 ピーターソン, スコット
アメリカ合衆国, ミシガン州, スプリング レイク, ハンモンド ベイ ドライヴ 181
13
(72)発明者 ウェルチ, フランク
アメリカ合衆国, ミシガン州, ケントウッド, サウス エルダーベリー コート 5329
(72)発明者 バークホルダー, トーマス
アメリカ合衆国, ニューヨーク州, イースト アムハースト, フィールド ブルック ドラ
イヴ 5695
Fターム(参考) 4B016 LC06 LE04 LG01 LG05 LK05 LK09 LK10 LP08 LP11
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【外国語明細書】
2013176381000001.pdf
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