対応の手引き(平成22年5月1日改訂)(PDF形式 82 キロバイト) - 新潟県

朱 鷺 仕 様 書 (試 行)
−トキの野生復帰を支援するための特別仕様書−
新潟県佐渡地域振興局農地庁舎
県では、国や佐渡市を始め、関係団体と一丸となって「トキの野生復帰」への取り組み
を行っているところです。当佐渡地域振興局農林水産振興部農地庁舎でも、トキの餌場作
りやビオトープの整備など数々の支援事業を展開しています。
農業農村整備事業の実施にあたっても、トキとの共生を目指し、自然環境に配慮してい
くため、この仕様書を添付します。
次のことについて、みんなで考え、みんなで守り、みんなで事業を進めて行きましょう。
○
トキとの共生ルールの遵守
次の「トキとの共生ルール」を守りながら、トキのことや「トキと共生する社会の実現」
のために自然環境のことを考えていきましょう。
トキとの共生ルール
1
トキを優しく静かに見守りましょう
2
トキに餌づけをしないようにしましょう
3
トキを観察するときは地域に迷惑をかけないようにしましょう
4
繁殖期間(3∼6月)はトキの巣に近づかないようにしましょう
−佐渡市、人・トキの共生島づくり協議会、トキの野生復帰連絡協議会−
○
連絡をしっかりと
トキの飛来のほか、予期していないことが起こるかも知れません。常に関係者と、しっ
かり連絡を取りながら、適切な対応を心がけましょう。
○
情報入手とPR
トキの居場所や観察情報など、常に最新の情報を入手するよう心がけましょう。
また、トキの野生復帰の支援や自然環境への配慮などの取り組みを、積極的にPRして
いきましょう。
10/5/10 版
「トキの野生復帰」対応の手引き
10/5/10 版
こ の 手 引 き は ト キ の 野 生 復 帰 に 向 け 、作 業 現 場 で の 適 切 な 対 応 を 行 う た め
に参考とすべき事項を記したものです。
「 朱 鷺 仕 様 書 ( 試 行 )」 及 び こ の 手 引 き を 活 用 し 、ト キ や 自 然 環 境 に 配 慮 し
た工事を進めていきましょう。
1
○
トキに関する連絡体制の確立
トキに関する情報を共有し、有効活用できるよう、発注者への協議、
報告、連絡等は確実に、かつ徹底して行いましょう。
○
トキへの対応は事前準備が重要です。施工計画書等に現場状況や施工
内容により想定される対策を記載し、事前に協議を行ってください。
○
協議した内容は、現場で作業を行う全ての方に周知し、その対応の徹
底を図りましょう。
○
トキを見つけたら、速やかに監督員へ報告するとともに、下記へ連絡
をして下さい。
○
また、事前協議にない状況変化が生じた場合は速やかに監督員と協議
してください。
【トキに関する連絡先】
■
トキの目撃情報等の連絡、相談
トキ目撃情報専用フリーダイヤル(佐渡市トキ交流会館)
0120-980-551(8:30∼ 17:00)
FAX
■
0259-24-6040(放 鳥 ト キ 情 報 連 絡 カ ー ド 記 入 の 上 )
上記時間外で動けないトキを見つけたとき
環境省佐渡自然保護官事務所
■
090-2324-4019
佐渡島以外でトキを目撃された方
環境省関東地方環境事務所新潟事務所
025-249-7555
2
○
トキへの支援とPR
トキの野生復帰や環境配慮への支援を積極的にPRして、一般の方へ
の周知を心がけましょう。
○
工事施工にあたっては、工事看板や現場事務所などに下記シンボルマ
ークを標記するなど、PRに努めて下さい。
トキ野生復帰シンボルマーク
・データ入手先
佐渡市ホームページ
・著作権等
県が発注する工事等での使用は、本シ
ンボルマークの著作権を有する佐渡市
に届け出済みです。
・お問い合せ先
佐渡市 農林水産課 生物多様性推進室
トキ政策係
3
℡63−3761
トキに関する情報入手
1)トキの生態を知ろう
○トキの生態を正しく理解し、トキの理解に努めましょう。
佐渡トキ交流会館やトキの森公園で情報収集できます。
佐渡トキファンクラブに入ることも一法です。
○インターネットや図書等での入手方法もあります。
【トキに関連するインターネットサイト】
ト キ 保 護 セ ン タ ー 、 佐 渡 ト キ フ ァ ン ク ラ ブ 、ト キ 野 生 復 帰 連 絡 協 議 会
2)トキの飛来情報等
○ ト キ の 飛 来 情 報 な ど 、最 新 情 報 の 入 手 は イ ン タ ー ネ ッ ト の 活 用 が 効
果 的 で、上 記 の サ イ ト の ほか 、環 境 省 、新 潟 県 、佐 渡 市等 の ホ ー ム
ページから情報を入手することができます。
○この他、発注者から情報提供する場合もあります。
4
その他
○今後、実際の経験を踏まえ、お互いに留意すべき事などを充実して
記載し、よりよい工事の実施につなげていきましょう。
○農林業等に従事されている方へ
田んぼ等で作業中にトキが近くにいても特別な配慮は必要ありませ
ん 。普 段 通 り に 作 業 を 行 う こ と で 、人 と ト キ の 共 生 を 目 指 し ま し ょ う 。
【参
考】
10/5/10 版
●トキの生態等について
(経緯)
・ 現 在 、ト キ は 佐 渡 ト キ 保 護 セ ン タ ー 、野 生 復 帰 ス テ ー シ ョ ン 、東 京 都 多 摩
動 物 園 及 び い し か わ 動 物 園 の 4 ヶ 所 で 飼 育 さ れ て お り 、総 数 は 100 羽 を 越
えています。
・ 日 本 の ト キ は 、明 治 時 代 の 乱 獲 に よ り 激 減 し 、そ の 後 も 生 息 環 境 の 悪 化 な
ど に よ り 、地 域 住 民 の 地 道 な 保 護 活 動 に も 関 わ ら ず 個 体 数 は 減 少 し て い き
ました。
・ 昭 和 56 年 、 野 生 の ト キ が 5 羽 ま で 減 少 し た と こ ろ で 、 環 境 庁 は 全 て の 野
生 の ト キ を 捕 獲 し 、人 工 増 殖 に よ る 個 体 数 の 復 帰 を 目 指 し ま し た が 、残 念
ながら回復にはいたりませんでした。
・ 平 成 11 年 に 中 国 よ り 1 つ が い の ト キ の 贈 呈 を 受 け 、 ト キ の 人 工 増 殖 に 成
功 し ま し た 。そ の 後 ト キ の 増 殖 は 軌 道 に の り 、飼 育 羽 数 を 増 や し て い ま す 。
・ 環 境 省 で は 、ト キ の 佐 渡 地 域 で の 野 生 復 帰 を 目 指 し 、野 生 復 帰 ス テ ー シ ョ
ン で の 順 化 訓 練 の 進 捗 状 況 を 踏 ま え 、平 成 20 年 度 9 月 25 日 に 最 初 の 試 験
放鳥を行いました。
・ 平 成 2 2 年 3 月 末 現 在 、 平 成 21 年 度 の 放 鳥 と 合 わ せ て 20 羽 の ト キ が 佐 渡
で生育していることが確認されています。
・ 今 後 は モ ニ タ リ ン グ を し な が ら 段 階 的 に 放 鳥 し 、 平 成 27 年 頃 に は 、 小 佐
渡 東 部 地 域 に 60 羽 の ト キ を 定 着 さ せ る 計 画 で す 。
(生態)
・ ト キ は 特 別 天 然 記 念 物 、国 際 保 護 鳥 と な っ て い ま す 。コ ウ ノ ト リ 目 ト キ 科
に 分 類 さ れ 、 全 長 は 約 75c m 、 体 重 は 1,600∼ 2,000g で す 。
・ 繁殖期は2月∼7月で、側頭部からの皮膚脱落物を自分で羽に塗りつけ、
頭、翼、背は灰黒色となります。
・ そ れ 以 外 の 非 繁 殖 期 は 、全 身 ほ ぼ 白 色 で す 。翼 や 尾 羽 の 裏 側 は 、朱 鷺 色 と
呼ばれる独特の淡橙赤色となります。
・ 外見上雌雄の区別はできませんが、雄の方がやや大きいです。
・ 幼鳥は全身ほぼ灰色で、翼の裏面は淡黄色、顔は黄色となっています。
・ 餌 は ド ジ ョ ウ 、サ ワ ガ ニ 、カ エ ル 、タ ニ シ 、昆 虫 な ど も っ ぱ ら 動 物 性 の 餌
をたべます。
・ 放 鳥 さ れ た ト キ の 餌 場 作 り と し て 、 行 政 、 NPO 、 大 学 と 広 範 囲 の 方 が ビ オ
トープ作りに取り組んでいます。
・ 繁殖期になると、つがいの絆を強化するのに役立つと思われる小枝渡し、
く ち ば し を 使 っ た 相 互 羽 づ く ろ い 、擬 交 尾 と い っ た 行 動 が 頻 繁 に 見 ら れ る
ようになります。
・ 4 月 上 旬 、1 日 お き に 3 ∼ 4 個 産 卵 し ま す 。も し こ の 卵 が な く な る と 、そ
れ か ら 10 日 ∼ 14 日 後 に 卵 を 産 み ま す 。 抱 卵 期 間 は 約 28 日 間 。
・ 孵 卵 後 40 日 ∼ 50 日 ほ ど で 飛 べ る よ う に な り 、巣 立 ち を 迎 え ま す 。こ の 頃
は成鳥とほぼ同じ大きさとなります。
(参考:佐渡市初級トキガイド養成講座)
(留意点:上記講座等から)
○ 音に臆病
○ 自 然 界 に な い も の で 、細 長 く 動 く も の に 敏 感( 例 え ば 測 量 用 の ス ケ ー ル
等)
○ 警戒するときは、普段の鳴き声(ター、ター)と違う。
○ 自分(トキ)より上から来る大きな物に対して、とても恐怖を感じる。
○ 身に危険を感じ、用心深くなると、ねぐらや採餌場所を変える。
○ 以前の野生でのトキは、冬季は群れで行動していた。