金を中心とする 佐渡鉱山の遺産群

金 を 中 心とする
佐渡鉱山の遺産群
The Sado Complex of Heritage Mines, Primarily Gold Mines
2016
新潟県・佐渡市
The Sado Complex of Heritage Mine, Primarily Gold Mines
vi
001
Executive Summary
Executive Summary
1. 所在国 (Country)
日本国
2. 所在県 (State, Province or Region)
新潟県
3. 資産名称 (Name of Property)
金を中心とする佐渡鉱山の遺産群
4. 所在位置 (Geographical coordinates to the nearest second)
構成資産及び構成資産の所在地
資産名
地域
地理座標
1 西三川砂金山
1-1 西三川主要域
N37°54′35″
E138°19′31″
1-2 金山江Ⅰ区
N37°55′23″
E138°20′53″
1-3 金山江Ⅱ区
N37°55′09″
E138°21′25″
1-4 金山江Ⅲ区
N37°55′08″
E138°19′30″
1-5 金山江Ⅳ区
N37°55′05″
E138°21′38″
N37°55′03″
E138°21′47″
1-7 金山江Ⅵ区
N37°55′07″
E138°21′59″
1-8 金山江Ⅶ区
N37°55′11″
E138°22′01″
1-9 金山江Ⅷ区
N37°55′11″
E138°22′04″
1-10 金山江Ⅸ区
N37°55′11″
E138°22′08″
1-11 金山江Ⅹ区
N37°55′20″
E138°22′56″
1-6 金山江Ⅴ区
佐渡市
2 鶴子銀山
佐渡市
N38°1′9”
E138°15′53”
3 相川金銀山
佐渡市
N38°2′30”
E138°15′18”
4 大間港
佐渡市
N38°2′19”
E138°14′7”
佐渡市
N38°02′47″
E138°14′13″
N38°02′57″
E138°14′15″
N38°08′00″
E138°17′19″
N38°08′36″
E138°17′38″
N38°11′12
E138°30′27”
N38°06′51″
E138°16′24″
N38°06′24″
E138°17′34″
5 吹上海岸石切場跡
5-1 石切場Ⅰ区
5-2 石切場Ⅱ区
6 片辺・鹿野浦海岸
石切場跡
6-1 石切場Ⅰ区
佐渡市
6-2 石切場Ⅱ区
7 戸地川第二発電所
7-1 第二発電所Ⅰ区
7-2 第二発電所Ⅱ区
佐渡市
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The Sado Complex of Heritage Mine, Primarily Gold Mines
5. 資産の範囲についての説明
「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」は、西三川砂金山、鶴子銀山、相川金銀山へと変
遷した、各段階の採掘、選鉱、製錬の一連の金生産技術とそれを支えた社会を証明する物
証が含まれている。金生産に関する資産の調査・検討を経て、厳選した7つの構成資産に
よって、400 年間にわたる金生産についての完全性を担保している。
各構成資産の範囲は、全て文化財保護法により史跡及び重要文化的景観に指定・選定さ
れた範囲と一致しており、それぞれの特徴を表す重要な構成要素を全て含んでいる。資産
の総面積は、759.9ha である。資産の緩衝地帯の範囲は、資産の価値に負の影響を及ぼす
ような要素を防ぐために必要な 1,871.8ha を対象として設定した。
6. 資産の範囲と緩衝地帯を描いたA4サイズの地図
本サマリー末に添付
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Executive Summary
7. 推薦する資産が適合する評価基準
1.西三川砂金山 虎丸山
( ⅲ )、( ⅳ )
8. 顕著な普遍的価値の言明
a.概要
「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」は、佐渡という一つの島の中に 16 世紀後半から
20 世紀後半にかけて発展した鉱山技術、特に多様な金生産技術とそれを支えた社会の物
証を示す産業遺産である。
本資産は、400 年近くの稼鉱期間を通じて国内最大の金産出量を誇り、財政基盤として
金の獲得を目指した国によって長期間にわたって管理された。佐渡では、古来継続されて
きた河川からの砂金採取が、16 世紀後半の戦国期の技術革新によって鶴子銀山、さらに
相川金銀山が開発された。17 世紀に国を統一した徳川幕府は佐渡を直轄地とし、長く金
を産出し続けた相川金銀山で小判(金貨)製造まで行う画期的な金生産体制を確立した。
この頃、世界の金生産は水銀アマルガム法に移行していたが、日本では鎖国政策下、灰吹
法や焼金法等の旧来の技術が継続され、生産性を高めるための高度な分業体制を構築し、
鉱山社会を大きく発展させた。こうした独自の金生産の技術的素地は、19 世紀半ばの開
国と共に導入された機械化による技術革新を速やかに実現し、最先端の技術に基づいたよ
り高い金生産能力を達成するに至った。
異なる技術と体制によって生産を継続した西三川砂金山、鶴子銀山、相川金銀山はそれ
ぞれの社会構造の特徴を示す集落や景観を残したため、鉱山社会の歴史的な過程を見るこ
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The Sado Complex of Heritage Mine, Primarily Gold Mines
2.鶴子銀山 大滝間歩
とができる。
このように機械化以前から以降にかけての金生産に関わる技術と社会が一堂に会する佐
渡鉱山の遺産群は、東アジアでは類例がなく、世界的にも稀有なものであり、世界の金生
産の歴史(人と金の関わり)を知る重要な物証の一つとして記憶されるべきものである。
b.評価基準の適用
評価基準 ( ⅲ ) の適用
「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」は、国の統治機構の直轄下にあって、財政基盤と
なる金を確保するため、400 年間にわたる多様な技術によって金を掘り続けた結果、それ
ぞれの生産体制のもとに成立した鉱山社会の変遷を示す稀有な物証である。
佐渡島では、16 世紀後半に西三川砂金山採掘に従事した小規模な集落が、また鶴子銀
山には手工業による鉱石採掘に伴う初期の鉱山集落が形成された。江戸時代、相川金銀山
には高度な分業体制が確立したことにより、計画的な鉱山町が成立し安定した鉱山社会が
実現した。その後 19 世紀後半には機械化の導入によって生産体制が劇的に変化したが、
江戸時代の鉱山町の骨格は維持され、歴史の重層した鉱山町の景観が形成された。
異なる技術と体制による3つの鉱山が生産を継続したことで、それぞれの社会構造の特
徴を示す集落や景観が形作られ、鉱山社会の歴史的な過程が維持された。
このように長期間にわたる鉱山社会の物証が地理的に併存し、かつ歴史的に重層してい
る資産は、世界的に稀有である。
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Executive Summary
3.相川金銀山 道遊の割戸 © 天野尚
評価基準 ( ⅳ ) の適用
金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」は、砂金と鉱石それぞれの鉱床に応じて発展した鉱
山技術、特に金生産の 16 世紀後半から 20 世紀後半に至る技術革新の歴史を物語る生産
遺構の集合体の顕著な見本である。
本資産は、国により多くの人的・物的資源が投入された結果形成されたもので、16 世
紀後半の西三川砂金山や鶴子銀山の小規模な手工業生産から、相川金銀山における江戸時
代の高度な分業体制による生産を経て、19 世紀後半の機械化による革新的な大規模生産
へと至る歴史を示している。
ここでは多様な金生産技術の各段階における採鉱から選鉱、製錬に至る一連の工程の遺
構、さらには関連する発電所や港、石切場などを含む複合的な施設が良好に遺存している。
機械化以前から以降にかけての金生産技術の発展の歴史を東アジアで唯一通観すること
ができる資産群である。
c.完全性の言明
「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」は、佐渡という一つの島の中に 16 世紀後半から
20 世紀後半にかけて発展した多様な鉱山技術、特に金生産技術とそれを支えた社会の物
証を示す7つの資産によって構成される。一連の構成資産の選定は、顕著な普遍的価値に
必要なすべての特性を十分に含んでいる。
金生産技術の物証の一部は失われたものの、金生産の全体性は十分に証明でき、価値を
損なうものではない。
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The Sado Complex of Heritage Mine, Primarily Gold Mines
4.相川金銀山 北沢浮遊選鉱場 © 天野尚
資産を構成する要素は、各時代に営まれた金生産の発展の歴史を示すべく厳選した。こ
れらは産業遺産としての金生産とそれを支えた社会の各段階を示す物証であり、完全性を
担保している。
d.真実性の言明
「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」の顕著な普遍的価値は、16 世紀後半から 20 世紀
後半にかけて発展した鉱山技術、特に金生産技術とそれを支えた社会の伝統であり、それ
を証明する構成資産・要素は稼働した時期の形状、意匠、材料、材質を保っている。また、
各構成資産・要素の位置、立地環境は、それぞれの用途、機能と歴史的背景を伝えている。
一部の施設に用途変更に伴う後世の増改築が認められるが、中核部分の文化財的価値は損
なっていない。また、既往の各修理は本来の形態・意匠、材料・材質、用途・機能の真実
性に配慮して実施されている。このため、鉱山遺跡と鉱山を支えた社会を示す現在の景観
は、鉱山が稼働していた時代の雰囲気や精神を十分に伝えている。
e.保護と管理
資産は、文化財保護法に基づき指定・選定された史跡、重要文化財、重要文化的景観の
いずれかに該当し、適切に保存されている。また、緩衝地帯においては、景観法に基づく
佐渡市景観条例・景観計画によって、周辺環境は適切な保全が行われている。
さらに全ての構成資産を包括する「佐渡金銀山包括的保存管理計画」を策定しており、
その計画に基づき、適切な管理が行われている。新潟県と佐渡市による「新潟県世界遺産
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主要な脅威としては機械化以降に建設された施設群の経年劣化であるが、対策の検討は
専門的な調査に基づいて、2012 年から有識者、国、県、市による委員会で行われ、2016
年から可逆性を持つ慎重な対策工事が実施される予定である。
資産の保全、普及活動には、所有者、地域住民、ボランティア団体、行政が参画し、多
くの関係者が一体となって活動を行っている。
9. 公的機関の名称と連絡先
文化庁文化財部記念物課世界文化遺産室
〒 100-8958 東京都千代田区霞が関 3―2―2
電話:+ 81-3-6734-2877
Fax:+ 81-3-6734-3822
E-mail:[email protected]
Web address:http://www.bunka.go.jp
新潟県教育庁文化行政課世界遺産登録推進室
〒 950-8570 新潟市中央区新光町 4―1
電話:+ 81-25-285-5511
Fax:+ 81-25-280-5764
E-mail:[email protected]
Web address:http://www.pref.niigata.lg.jp
佐渡市世界遺産推進課
〒 952-1209 新潟県佐渡市千種 246―1
電話:+ 81-259-63-5136
Fax:+ 81-259-63-6130
E-mail:[email protected]
Web address:http://www.city.sado.niigata.jp
Executive Summary
会議」が設立され、関係者間で適切な連携が図られている。
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The Sado Complex of Heritage Mine, Primarily Gold Mines
°
40°
38°
Niigata Prefecture
36°
34°
136°
138°
140°
142°
Katabe-Kanoura Quarry
Ryotsu Bay
Tojigawa Hydro Power
Plant no.2
Ryotsu
Aikawa
Gold and Silver Mine
Fukiage Quarry
57
Oma Port
Tsurushi
Silver Mine
Mano Bay
Nishimikawa
Placer Gold Mine
Component
Buffer Zone
0
Ogi
各資産の位置図
2000
4000
10,000m