事例●071 坂川建設鉱業株式会社(岡山県井原市) 平成 20 年度 建設業の新分野進出・経営⾰新モデル 構築⽀援事業 星の郷をブランドに、 森林資源を活用した 「星の薪」の⽣産・販売 坂川建設鉱業(株)は、地元森林組合と連携を図り、環境に優しい燃料である薪の⽣産・ 加⼯・販売に乗り出した。これにより所有する⼭林や就業者を有効利用でき、また 薪ストーブの設置⼯事と併せることにより、顧客とのパイプを築き、リフォームや 造園などの受注⼯事につなげていく。 1.事業の背景と動機 環境にやさしい薪ストーブに 注目し、地元資源を活用 「星の郷」井原市美星町に豊富にあるクワ・クヌギ を用いた「星の薪」 地域密着企業として地元資源を活用し ながら地域社会に貢献できる新規事業を 模索していたところ、森林組合が薪の取 り扱いを個⼈に委託してしていることに 目が⽌まった。最近の約 10 年間で薪ス トーブの需要が約 2 倍に増加しているこ とに加え、社⻑や会社が所有する⼭林か ら薪の産出が可能であったことから、新 規事業としての⾒通しを⽴てることがで きた。 2.進出時の苦労やその対応 原⽊を秋から冬に伐採、春に運搬・ 乾燥するサイクルを構想 事務所に設置した薪ストーブ。柔らかい暖かさが特 徴である PROFILE 坂川建設鉱業株式会社 ⼈員や⼭林の⾯で大きな問題はなかっ たものの、春から夏に伐採した原⽊は⽔ 分が多く、薪として B 級品にしかならな い。そのため、秋から冬に集中的に伐採 し、春以降に運搬、乾燥を経て、冬に出 荷するサイクルを確⽴することを構想し ている。販路については、ホームページ やダイレクトメールを活用する。 代 表 者/坂川 晃⼀(代表取締役) 所 在 地/岡⼭県井原市 3.新事業の概要 資 本 ⾦/3,000 万円 薪を⽣産し、薪ストーブの設置も 実施する事業 従業員数/32 名 U R L/http://www.hoshinomaki.com 事業内容/昭和 44 年創業、48 年設⽴。⼀般 土⽊、造園業、舗装⼯事、運送事業、⽔道⼯ 事、リサイクル事業、産業廃棄物中間処理業、 運送業等を営む。売上⾼の 90%以上が地元公 共⼯事である地域密着型企業 井原市 同社は、周辺に豊富にあるクワ・クヌ ギなどから薪を⽣産・販売し、薪ストー ブの設置⼯事と合わせて相乗効果を⽣み 出す事業に取り組む。同社の地元である 岡⼭県井原市美星町には、国内最大規模 の公開天⽂台があり、星の郷として有名 なこともあって、販売する薪を「星の薪」 と名付ける。薪ストーブの設置⼯事にか かる費用は約 100 万円で、煙突も必要 なため、ターゲットとする主な顧客は、 富裕層や団塊世代の⼾建て住宅及び⼾建 て型店舗(理髪店など)とする。 4.事業の推進体制 ⼭林・薪ストーブの専門家と連携 ⼈員⾯で余裕があることもあって、坂 川社⻑を総括責任者としながら、ほぼ全 社員で本事業に携わる。また、地元の森 林組合と連携して、薪の相互供給を図る ほか、薪ストーブの専門技術を持つ複数 の企業やログハウスビルダーなどとも情 報交換を⾏う。今後は、⽣産する薪に付 加価値を付けるため、大学との連携も図 っていく。 5.差別化戦略・競争戦略 薪ストーブをトータルで サポートできることが強み 薪の⽣産と薪ストーブの設置⼯事の両 ⾯を実施することが可能で、いわば「薪 ストーブをトータルでサポート」できる 点が、最大の差別化戦略といえる。それ はまた、顧客の家屋のリフォームや外溝 ⼯事など、本業の活性化にもつながる事 業でもある。 6.成果と課題 今後は販路を確⽴することが 最重要、社員にも自覚が出てきた 販路を拡大する決め⼿となるホームペ ージの作成が多少遅れ気味であるもの の、おおむね順調に進⾏している。想定 される主な顧客層は、これまで同社とは あまり接点がなかったため、販路拡大は 重要な課題となる。今後は例えば、理髪 店や理容組合との連携や、社員⼀⼈ひと りの⼝コミによる営業なども活用してい く。最近は本事業によって社内が活性化 し、社員に自覚が⽣まれつつあるため、 ⾒通しは明るい。 1
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