在宅ケアアセスメントツール「MDS-HC2.0」についての研究 04FJ121

在宅ケアアセスメントツール 「MDS-HC2.0」についての研究
04FJ121
渡辺
裕哉
本研究では MDS-HC2.0 が3つの特徴を持つことがわかった。また、私が行ったアセスメ
ントツールに関する調査の結果、対象の居宅介護支援事業所の 31%が MDS-HC2.0 を使用
していることが判明し、最も支持されているツールの 1 つであることが明らかになった。
【研究動機】私がこのテーマで研究を行ったのは、我が家が今年で94歳になる祖母を約
10年間自宅で介護している経験を社会に少しでも役立てたいという思いがあるからであ
る。また、MDS-HC2.0 を本学の高橋誠一教授の認知症介護論で紹介された際に、アセス
メント時に自動的に問題箇所を割り出しケアプランに反映するためのツールが存在するこ
とを知り、より詳しく研究したいと思うようになった。アセスメントは介護サービス利用
者のニーズを把握するために行うものである。利用者本人も気づいていない潜在的ニーズ
を引き出したり、サービスの計画を立てる根拠となるデータを収集するので、ケアプラン
を作成するに当たりアセスメントを的確かつ効率的に行うことは非常に重要である。
【研究方法】1)MDS-HC2.0 のマニュアルを読み、MDS-HC2.0 を構成するアセスメン
ト表と CAPs(図1)を理解し、問題領域選定のためのトリガー(条件)を把握する。2)
「包
括的自立支援プログラム」との比較を行うことにより、MDS-HC2.0 の特徴を把握する。
3)2008 年1月現在の仙台市太白区内の居宅介護支援事業所のケアマネージャーを対象に
アンケート調査を行い、現場で使用されているアセスメントツールの実態を調査する。
図 2:2008年 1月 現 在 MDS-HC2.0 の不 満 点
(対 象 は太 白 区 の居 宅 介 護 支 援 事 業 所 )
4
アセスメントに時 間 が
かかる
調 査 項 目 が多 い
3
調 査 項 目 の内 容 が入 り
組 んでいる
2
調 査 項 目 の文 章 による
記 述 欄 が多 い
1
アセスメントを行 うもの
の主 観 に左 右 されやす
い
特 に不 満 はない
0
【研究結果】MDS-HC2.0 の特徴は3つある。第一に利用者の状態を細かく厳密に評価す
ることである。これは要介護度が重度の利用者の残存能力を少しでも多く発見するために
有効であるが、そのために時間がかかったり、アセスメント時に利用者自身やその家族に
聞き取り調査を行ったとしても質問が複雑すぎてはっきりとした回答が得られない可能性
もあることも(図2)の調査を通じてわかった。第二に医療分野の問題の把握に特化して
いることである。これは医療行為が必要な利用者をアセスメントする際に効果を発揮する。
第三に集めた利用者のデータから自動的に問題箇所を選定する機能を持つことからアセス
メントを行う者の主観に左右されにくいツールであるということである。これはアセスメ
ントを行う者の経験が浅い場合にも役立てられるツールであると言える。
【今後の課題・展望】1)MDS-HC2.0 を使っている現場へさらなる取材を行い、利用者
のアセスメント結果を調査し、MDS-HC2.0 が本当に居宅サービス利用者の問題解決に役
立っているか有効性を確かめる。2)他のアセスメントツールとの比較を行い、利用者の
ケースに合わせた具体的なツールの使い分け方法を提示できるようにする。
【参考文献】1 ) John N.Morris
院 、2004 年
訳 池 上 直 己 『 日 本 版 MDS-HC2.0 在 宅 ケ ア ア セ ス メ ン ト マ ニ ュ ア ル 』、 医 学 書
2 )介 護 療 養 型 医 療 施 設 連 絡 協 議 会 、全 国 老 人 福 祉 施 設 協 議 会 、全 国 老 人 保 健 施 設 協 会『 新
自 立 支 援 プ ロ グ ラ ム -介 護 サ ー ビ ス 計 画 作 成 マ ニ ュ ア ル -』、 全 国 社 会 福 祉 協 議 会 、 2003 年
包 括的