ヴァレンタ=ルヴェリエ - タテ書き小説ネット

ヴァレンタ=ルヴェリエ
菜ッ子
タテ書き小説ネット Byヒナプロジェクト
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︻小説タイトル︼
ヴァレンタ=ルヴェリエ
︻Nコード︼
N4506G
︻作者名︼
菜ッ子
︻あらすじ︼
妖精の国へ迷い込む事からはじまるストーリー。出会い、別れ、
そして再会を経て、武藤五月は少しずつ成長していく⋮のだろうか
?シリアスをぶち壊せがモットー、でも、やるときゃやる五月少年
の正義と理性を守り抜く戦いが今!はじまる!
1
一 遭遇
﹁⋮どこだ?ここ⋮﹂
むとうさつき
どうも。
武藤五月十五歳、男子です。
非常に今困ってます。
﹁シャレにならん。暗くなってきたし⋮あ、そうだ。携帯⋮圏外か
よ﹂
いわゆる迷子です。
いや、この場合は遭難?
俺は深い森の中にいます。
って、住宅街の中にこんなジャングルみたいな森は無かったはずだ
が?
もうなんつーか、右も左も森の中っつー感じ?
いや⋮まあ、俺が悪いんです。
光る何かを追い掛けてたらいつのまにかここにいたんです。
﹁⋮ほんとにどうしよ﹂
なんだかん悲しくなってきたぜ。天国の先祖さん。今行くぜ⋮
﹁⋮ょっと待ったぁぁぁ!!﹂
﹁んがふっ!?﹂
﹁ぐはっ!?﹂
2
こめかみに物が当たると痛いよね∼。みなさんは経験ある?
﹁な、なんだなんだ!?﹂
頭がガンガンするが状況の判断の方が先だ。
﹁きゅ∼⋮﹂
俯せで倒れている少女が一人。
﹁⋮君、大丈夫か﹂
返事がない。ただのしかb
﹁はっはっはぁ∼︵ガバッ!︶﹂
﹁うおっ!?﹂
﹁平気さ∼!私の体はちょっとやそっとじゃ死なないのさ∼!﹂
ま、まぁ平気そうでよかった。しかし、なんというか⋮漫画に出て
きそうだ子だな。白いワンピースで髪が綺麗な青色だ。その髪を後
ろで縛って⋮いわゆるポニーテールとかいう髪型で⋮
﹁⋮って、うおぉぅ!!?﹂
﹁うおっ!?いきなりなんだ!?﹂
﹁あ、頭!頭!﹂
﹁頭?頭がどうし⋮﹂
俺のこの手が真っ赤に染まる!
﹁そして、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!!﹂
3
今行くよ、天国の爺ちゃん、婆ちゃん、ひい爺ちゃん、ひい爺ちゃ
ん、ひいひい爺ちゃん、ひいひい婆ちゃん、ひいひいひい爺ちゃん、
ひいひいひい婆ちゃん、ひいひいひいひいひいひい⋮
﹁⋮じゃない!止血!止血しないと!﹂
﹁わ、私の知り合いの子で治療できるのがいるから!こっち!﹂
﹁す、すまない知らない人!﹂
﹁てゆーか!その血どうにかして止めないと着く前に死ぬよ!?﹂
﹁くっそぉ!ハァンドプレェェス!﹂
﹁あ、止まった﹂
﹁ルナちゃん!急患です!﹂
﹁え!?どこ!?﹂
﹁ここ!﹂
﹁あ、どーもーっす﹂
・・・・・・。
﹁⋮えーと﹂
﹁あ、そうか。知らない人、手離して﹂
﹁うぃっす。知らない人﹂
4
⋮どぶぅわっしゃぁぁぁぁ!!
﹁らっしゃぁぁぁ!!﹂
﹁うおっ﹂
どうだ!きれいな赤い噴水だZe☆
﹁というわけなんです﹂
﹁あー⋮うん。とりあえず治療するから止めといて﹂
﹁うん!わかった∼⋮えい!﹂
﹁ごぇぇぇう!?﹂
頸動脈が!頸動脈がぁぁぁぁ!!
﹁ほら行こー知らない人ー﹂
﹁⋮!!!??﹂
あ、やべ。
意識飛ぶ。
そうか、天国からお迎えが来てるんだ。
するとこの首をつかんでるのは天使様かぁ∼。そっかぁ∼。あはは
は∼。
﹁持ってきたよ∼﹂
﹁⋮っていうか手を離しなさいよ!あんたがトドメさしかけてるじ
ゃない!﹂
︵あれ?ウチが見える?︶
5
﹁もー、本当にすいません。あやうく大人の階段昇る前に天国の階
段昇るとこでした﹂
﹁いや∼それほどでも∼、ねえルナちゃん?﹂
﹁あんたは何もしてない!てゆーかトドメさしかけてる!﹂
﹁まぁまぁ、結果的に助かったからいいじゃないですか。はっはっ
は﹂
そうだ、俺は懐が大きいからこの程度では怒らないのだ∼。
﹁あなたの懐は某猫型マシンのポケット並みね⋮はぁ⋮﹂
﹁いや∼君とは気が合いそうだ知らない人∼﹂
﹁いやはやそうですな∼HA☆HA☆HA﹂
﹁HA☆HA☆HA﹂
︵アホが二人⋮︶
﹁って違う!頭打って一瞬テンションがおかしくなってた!﹂
﹁うおっ、正気に戻った!?﹂
﹁⋮と、いうわけなんです﹂
﹁というわけなのかー﹂﹁なるほどねぇ⋮﹂
とにかく俺は光を追って走ってきていたら住宅街に似付かわしくな
いジャングルに迷い込み、突然走ってきた知らない人にダイナミッ
クダイブヘットアタックを食らって頭に真っ赤な噴水を作ったとい
うことを伝えた。
意味がわからない?
仕方ないだろう!俺だってよくわからないんだ!
6
﹁そーいえばさ﹂
﹁はい?﹂
﹁いまさらだけど私たちが見えるんだね﹂
・・・・・。
﹁⋮って!そういえばそうじゃん!﹂
﹁ひいっ!な、なんですか唐突に!﹂
7
一 遭遇︵後書き︶
さて、私を知っている人はきっとこう言うでしょう。
お
前
、
前
の
小
説
ど
う
し
た
!
⋮ごめんなさい。ほんっとにごめんなさい。
なんというか、書いてて辛くなってきたんです。主人公のクールさ
が。
もっとはっちゃけたいんですよ。
というわけで始まりましたヴァレンタ=ルヴェリエ。
何日経ちますかね⋮更新停止から。その間は前の小説そっちのけで
これ書いてましたからね。
ヴァレンタ=ルヴェリエ、この言葉の意味は、
﹁じゃあね、また会おう﹂
という意味で、昔に滅びてしまった国で使われていた言葉が由来し
8
ています。
今の話の成分は100%嘘でできています。
響きだけで、適当です。
結局書き出したきっかけは前の小説ではっちゃけられなかった反動
です。
がんがん前半ははっちゃけます。だけど後になると多分だんだん普
通になると思います。
⋮長々と書きましたが、まあ、なんというか。
前の小説で評価してくださった方々、返信せずごめんなさい。
そして、このヴァレンタ=ルヴェリエ、楽しんでいただければ嬉し
いと思います。
皆様、よろしくおねがいします。
作者 菜ッ子より。
9
二 妖精
妖精さんと出会った。
頭は正常である。
﹁ほらほら∼﹂
﹁お∼⋮﹂
ダイナミックダイブヘットアタックを食らわせた知らない人が透き
通った羽を生やしてふわふわ浮いている。
ちなみに名前はハルさんというらしい。名字とかは無いらしい。
﹁妖精は清い心が無いと見られないんだよ∼﹂
﹁そうなのか?﹂
﹁そだよ∼﹂
いつも思うのだが清い心というのがわからん。
清い心ってなんだ?
﹁⋮一般的にはそう言われてるけどね。それは違うわ﹂
奥からカルテを持ったルナさんが歩いてきた。
茶色いショートヘアーで眼鏡をかけて白衣を着ている。
﹁でもさっきまで着てなかったですよね?﹂
﹁まぁ、そうね。そっちの世界に合わせてあげたのよ﹂
⋮ルナさん。
残念ながら、雰囲気は校医さんです。
10
﹁でもまいったな⋮俺保険証とかお金とか持ってませんし⋮﹂﹁必
要ないわ。それで生計たててるわけじゃないもの。妖精には診療所
自体いらないから⋮﹂
便利だな。
﹁人間は大変だね∼。人生のためじゃなくてお金のために生活しな
きゃいけないし∼﹂
﹁う∼ん⋮お金のために生活しなきゃいけないは言いすぎかもな⋮﹂
ふわふわ浮いている⋮けどハルさん。スカートなんですから自重し
てください。
﹁そういえば、さっき﹃一般的には違う﹄って言ってましたけど⋮﹂
﹁実は見ることのできる素質があるのよ。今じゃ素質を持った人間
が少なくなったけどね⋮﹂
カルテに何かを書き込み終えるとその紙をぐしゃぐしゃに⋮って!
﹁ちょ!なにしてんすか!﹂
﹁まぁ、あくまで形だけだし⋮﹂
﹁は、はぁ﹂
そこまで雰囲気を作る必要は無いんですけどね。ていうか目の前で
ぐしゃぐしゃにして捨てられたら雰囲気ぶち壊しですよ。
﹁ね∼ね∼﹂
﹁ん?﹂
﹁そういえば男の子だよね∼﹂
11
﹁はい。男ですが﹂
﹁そっか∼﹂
ハルさん。
その笑顔はなにか考えてますね?
ていうかルナさん。気付いてなかったんですか?そして、顔が真っ
青ですよ?
﹁⋮あなた逃げたほうがいいかもよ。人間の世界が恋しいなら﹂
﹁へ?それはどういう⋮﹂
﹁やぁっほー!ルっナちゃーん!﹂
雰囲気でわかった。
俺は間違いなく遅かった。
なにがって?
わからない。
﹁や、やぁユウ。今日は何の用?﹂
﹁いやはー。実はパトロール中なのだぁ!﹂
ピンク色の長い髪と青い目。この人はすごい印象に残りそうだ。
﹁むっ!さっそく見知らぬ人発見!こんにちは!﹂
﹁あっ、これはどうも﹂
﹁な、なぁユウ?今日のところは⋮﹂
そこまで言ったところでルナさんの口はハルさんによって塞がれて
しまった。
12
﹁聞いてユウちゃん!この人武藤五月っていって、人間なんだよ!
しかも男なんだよ!﹂
それがどうかしたのか?確かに人間で妖精が見えるのは珍しいんだ
ろうけど⋮
しかし、ルナさんの焦り方は尋常じゃないことはわかる。
﹁らっしゃあぁぁぁ!!﹂
﹁ぬぉっ!何事!?﹂
そして、ユウさんは俺の手を握ってこう言った。
﹁救世主になってください!﹂
13
三 誘惑
﹁つまり、男がいない⋮と﹂
﹁はい﹂
﹁そこにノコノコと妖精が見える男が来た⋮と﹂
﹁はい﹂
﹁⋮それでどうしろと?﹂
﹁そりゃあもう毎晩ハッスル。動けなくなるまで腰振り運動です﹂
﹁帰ります。お世話になりました﹂
﹁この村全員とやりおわるまで帰らせません﹂
﹁天国の階段を昇りそうになった後、すぐに大人の階段昇らなくち
ゃいけないなんて聞いてないです﹂
﹁それがあなたの運命なんです。きっと﹂
どうあっても大人の階段を昇らせる気か。
いや、俺もこんなハーレム魅力的だと思いますよ?
ていうか⋮
﹁離れてください﹂
﹁嫌です﹂
ユウさんが前からぴっとりとくっていている。俺の胸に手を添えて。
なんか聞こえますか?そんなことして。
﹁どっきゅんどっきゅんっていってるのが聞こえます﹂
﹁そりゃそうでしょう﹂
﹁大興奮・鼻血ブーですか?﹂
﹁鼻血ブーはどうかと思いますが、興奮はするでしょう。思春期で
すもの﹂
﹁じゃあ今下もハッスル状態⋮﹂
14
﹁やめなさい﹂
後ろにずれれば離れられるんだろうけど⋮
﹁ハルさんもですよ。離れてください﹂
﹁だが断る﹂
後ろからこれまたぴったりとハルさんもくっつてきている。首に腕
を巻き付けて。
暖かくて柔らかくて、甘い匂い⋮
ああ、そうか。
ここが桃源郷⋮
﹁⋮違うッ!は、離れてくれ!﹂
こッ⋮ここで踏張らなければ⋮大人の⋮階段を⋮駆け上がることに
⋮ッ!
﹁⋮ねぇ⋮なんで拒むの⋮?﹂
ぎゃあぁぁぁぁ!!
耳元で囁くなぁぁぁ!!
あまりの甘い声に脳が溶けるぅぅぅぅ!!
﹁う⋮うぅぅ⋮﹂
お、オーバーヒートする⋮!頭が⋮頭がぁぁぁ!!
︵よしっ!もうすぐだよハルちゃん!︶
﹁⋮ね⋮私たちと⋮イ・イ・コ・ト⋮しよ⋮?﹂
15
あぁ⋮
そうだなぁ⋮
妖精さん達といちゃいちゃキャッキャウフフするのもいいかもぉ⋮
﹁お∼い。大丈夫か?﹂
﹁⋮はっ。い、いかん!﹂
ルナさん!ありがとう!
危うくチャーム状態になるところだった。万能薬って効くっけ?
﹁むっ。ルナちゃん!﹂
﹁あんたら落ち着きなさい。武藤君、言い分を聞くからこちらの言
い分も聞いてよ﹂
﹁はぁ⋮まぁ⋮じゃあ⋮離れてください﹂
﹁ぶーー﹂
﹁ハルさんもですよ﹂
﹁⋮あむあむ﹂
﹁みっ、耳を噛むなぁぁぁ!!﹂
﹁⋮そっか。まぁ、仕方ないよね﹂
﹁はい⋮学校もありますし⋮﹂
俺をヘタレと言うのなら好きにするがいい。
﹁ユウちゃん、ハルちゃん、仕方ないだろ?無理矢理ってわけには
⋮﹂
﹁⋮むぅ⋮﹂
﹁ぶーー﹂
16
⋮
うーむ⋮ちょっと罪悪感かな。でも仕方ないよね。
﹁ユウ⋮﹂
﹁ん?キョウちゃん?﹂
扉の開いた先には長くて銀色い髪⋮︵長すぎて前髪が目にかかって
る︶⋮の女の子が立っていた。
﹁人間界とつなぐ道⋮無くなってるけど⋮﹂
﹁⋮え゛?﹂
17
四 封鎖
﹁うそん⋮﹂
キョウさんについていくと、そこには⋮
﹁壁⋮だね﹂
﹁うん。壁﹂
壁が出来てる。
真っ黒な壁が。
﹁これは⋮こんなのはじめてだ﹂
﹁おっきいねぇ⋮黒くて光ってて﹂
﹁キョウちゃん、これいつからできてた?﹂
﹁わからないです⋮﹂
﹁壊せるのかなこれ⋮﹂
ハルさんやルナさんは黒い壁を調べていて、キョウさんは俺の横で
オロオロしている。
そして⋮
﹁⋮ふ⋮﹂
ユウさんはすっごい変な笑みを浮かべている。
大体考えていることはわかるが。
﹁む∼!このこのっ!﹂
﹁ちょ!ハルさん!手を怪我しちゃいますよ!﹂
﹁⋮ふぇぇん、痛い∼﹂
18
﹁ほら、いわんこっちゃない﹂
しかし⋮これじゃあ帰れないな。
どうするか⋮。
﹁わかりました。じゃあ五月さんは私の家で保護いたしま⋮﹂
﹁ユウさん、まてぇぇぇゐ!!﹂
これは罠だ⋮っ!
大人の階段を駆け上がってしまうじゃないか!
﹁いや⋮そうは言うがな武藤君﹂
﹁そだお∼、このまま出られなかったら野宿だよ?﹂
﹁む、むぅ⋮しかしだな、ユウさんの家は⋮﹂
﹁大丈夫!﹂
俺が振り向いたそこには、ユウさんの⋮とても綺麗な笑顔があった。
⋮こんな笑顔をする人が何かをするとは思えない。
そう⋮思った。
﹁痛いのは一瞬だし、私だけです﹂
ピシッ
ガラガラガラ⋮
イメージが⋮崩れた⋮
﹁ユウちゃん、武藤君はうちで預かるよ。幸い、部屋は沢山あるの
でな﹂
﹁むむっ!⋮なるほど、以外にもルナちゃんはドテ君が好きなのか
!﹂
19
⋮誰が童貞やねん!
ちっくしょ∼⋮何が悪い!?
﹁馬鹿者、強姦にあわないようにするためだ﹂
﹁むむむ∼!!﹂
⋮安心したような、残念なような⋮
﹁武藤君⋮あ、いや、無理にとは言わん。別にあれだ。日帰りで天
国見てくるのもいいかもしれないぞ﹂
﹁ユウちゃんってばテクニシャンですからぁ⋮﹂
﹁いやいや、遠慮します﹂
﹁ええ∼⋮なんならがんばっていっぱい仲間呼んで日帰りじゃでき
ない三泊四日くらいでも⋮﹂
﹁遠慮します﹂
⋮勘弁してください。
﹁というわけだ。ユウちゃん、あくまで武藤君は客人であり、外に
出る方法が見つかればすぐに元の世界へ戻す。いいな﹂
﹁うう∼⋮わかった﹂
とりあえず貞操は保障されるようだ。
よかったよかっ⋮
﹁誘いまくって我慢できなくさせるまではオケ?﹂
俺の理性の保障はされないみたいだ。
20
﹁そ、それは自己責任で⋮﹂
というか⋮
さっきっから展開してる猥談のせいでキョウさんが顔を真っ赤にさ
せてるんですが。
ていうか可愛い!
なんというか⋮抱き締めてやりたい!
⋮って、俺変態。orz
21
五 案内
色々あった昨日。
ちょっと疲れてぐっすり眠ってしまったり。
﹁ん⋮﹂
朝日が眩しい⋮
﹁時計、時計⋮?あっ﹂
そうか、俺⋮ルナさんの家に泊まって⋮
﹁⋮んっ⋮くぅー!しかし、よく寝たなぁ⋮﹂
とても気持ちのいい朝だ。
鳥の泣き声や、風に吹かれて葉がこすれ合う音。
それに、ユウさんが裸で隣に寝てて⋮
⋮寝てて⋮
⋮。
﹁ん⋮あ、おはよ﹂
﹁イイィィカップァァァァァ!!!??﹂
﹁⋮﹂
22
﹁ユウちゃん。遺言はありますか?﹂
﹁えーとですね。要約致しますと⋮性欲が爆発しました﹂
ぐしゃ。
おおユウよ。しんでしまうとはなさけない。
﹁後はルナちゃんに任せておけば万事解決!﹂
釘バットを使用してなにを解決しようというのか。
というか、今ぐしゃって⋮
き、気にしないでおこう。
﹁しかし⋮もうあれが脳の中に焼き付いてしまって⋮﹂
﹁ユウちゃんの自慢の一つは胸だからねぇ。大きかった?﹂
﹁⋮﹂
﹁鼻血出る?ティッシュ?﹂
﹁い、いえ﹂
不可抗力なんだよ。
だって⋮
マッパなんだもん⋮
布団で下半身は見えなかったよ。残念なんかじゃないよ。
﹁じゃあさ、今日は村の方まで行こうか﹂
﹁はい。じゃあおねがいします﹂
短くなるにしろ、長くなるにしろ、ここに暮らす以上は色々知らな
きゃいけない。今日は村というか、集落に行くことになった。
23
ハルさんは村と言い張っているケド。
﹁というか離れてください⋮﹂
﹁断る﹂
ハルさんは俺の腕に抱きついている。恋人のように。
憧れてたシーンの一つなのだが、いざやられると恥ずかしい。しか
も、それをしているのは、つい先日知り合ったばかりの人だから余
計に⋮。
﹁ねぇねぇさっきゅん﹂
﹁さ、さっきゅん?﹂
はじめてだよ⋮さっきゅんて呼ばれたの。
﹁ダメ?この呼び方﹂
﹁さ、さすがに恥ずかしいですよ﹂﹁じゃあやめない﹂
﹁ええ!?﹂
﹁だって、その反応好きなんだもん﹂
あ、遊ばれとる⋮!
﹁えっへへ⋮久々に来た人がさっきゅんみたいな人で嬉しいんだよ。
とんでもないエロエロ大王だったら追い出してたよ﹂
﹁む、むぅ⋮というか離れて⋮﹂
﹁やだ﹂
はぁ⋮ま、まぁ⋮森の中だから人がいるわけじゃないし⋮。
俺が理性を保っていればいいわけで⋮。
24
﹁あっ、キョウちゃんだ﹂
﹁⋮﹂
なんというタイミング!
顔真っ赤にしてるよ!
すっげーこっち見てるよ!
そして、木に隠れたよ!
﹁お、お構いなく⋮﹂
﹁まっ、待って!違うから!﹂
﹁えぇ∼?違うのぉ∼?﹂
﹁はっ、話をこじらせないでください!あっ!あぁ∼⋮﹂
押し倒されて動けない!
ちょ⋮!いきなりピーンチ!
キョウさんはキョウさんで木に隠れながら口に手を当てて顔を真っ
赤にして覗き込んでる。アテにはできないか∼!
﹁えへへ∼。このまま交尾もいいけど、君の意志も尊重したいしね。
とりあえず体験版はここまでね﹂
﹁⋮え∼⋮﹂
助かった⋮
あとキョウさん。
今すっごい残念そうな声出したよね!?
﹁キョウちゃんどこ行くの?﹂
﹁黒い壁の研究⋮﹂
﹁おお、それはありがたい﹂
﹁かならず⋮正体暴くから⋮期待しててね⋮﹂
25
﹁うす!﹂
張り切ってますよと言わんばかりに両手でグッとガッツポーズ。
可愛いなオイ。
﹁⋮つーか⋮基本的にみんなレベル高いんだよ⋮﹂
﹁ん?なんか言った?﹂
﹁い、いや何も﹂
右も左も女の子。しかも美少女。
⋮耐えられんのか?俺⋮。
村も⋮やばかった。
本当に右も左も女の子。しかも美女。
﹁ねえ!もしかして噂の﹃男の子﹄?﹂
﹁そだお∼。武藤五月クン。ちなみに十五歳∼。恋人無し∼﹂
﹁ちょ!いらん情報ながさないでください!﹂
﹁に、人間の⋮じゅ、十五歳⋮はぁはぁ⋮﹂
﹁可愛いなぁ⋮じゅるり⋮﹂
﹁お姉さんに任せて⋮恐くないよ⋮フフフ⋮﹂
いや!十分恐いッス!
﹁じゃあ何処から回ろうか?﹂
﹁う∼ん⋮ん?あれは?﹂
﹁あれ?﹂
26
大きな建物⋮。
西洋の城みたいな、というかそのまんまの建物が建ってる。
﹁んー?ああ、ミオちゃんの家?﹂
﹁ミオちゃん?﹂
﹁えーとね⋮ま、行ったほうが早いか。行こ!﹂
﹁え、ええ?﹂
なんか⋮恐いぞ!
27
六 補食
﹁ついたね﹂
﹁着きましたね﹂
ミオという人の家⋮むしろ、城と言ってもいい⋮の前に俺達はいる。
﹁さっきゅん、今更だけどいい?﹂
﹁なんすか?﹂
﹁ミオちゃんて⋮妖精じゃないんだ﹂
⋮。
﹁え?﹂
﹁この世界に迷い込んだ吸血鬼なんだよね﹂
⋮あの、それってすっごい今更ですよねハルさん。
ていうか吸血鬼てあーたね⋮。
﹁えい﹂
﹁うわっ!﹂
ハルさんに勢い良くつきとばされる俺。
貧弱とかゆーな。
﹁な、なにするんすか⋮ってドア閉まってる!﹂
なんてこった!
吸血鬼のいるお城というデンジャラスゾーンにたたき込まれてしま
28
った!
さぁて⋮どうしようかね⋮今度こそ先祖に会いに行く羽目になるか⋮
﹁⋮ぅるさいなぁ⋮﹂
﹁んおっ!?﹂
﹁こんな昼間になんの用∼?﹂
寝癖がひどい赤いショートヘアーの女の子が出てきた。あ∼⋮流れ
からしてこれは⋮
﹁ミオさんですか?﹂
﹁そだよ∼⋮もしかして初対面?まだ知らない人いたんだ∼⋮﹂
なんか新鮮∼て言いながらまだ眠りから覚めてない感じのミオさん。
なんだか⋮すっごい無害な雰囲気がただよってるんですが。
そりゃそうか。命の危険があるなら一人でたたき込まないっての。
﹁初めまして、武藤五月です﹂
﹁ムトウサツキちゃん⋮?長い名前だね∼⋮﹂
﹁いえ、武藤、五月です。それに性別からしてちゃんは不適切です﹂
ミオさんはそれ聞いて動きがぴたって止まった。
その時
﹁⋮まずった﹂って正直思った。
﹁⋮人間?⋮の男?﹂
﹁⋮は⋮はぃ⋮﹂
沈黙。
29
ひたすら沈黙。
﹁わぁぁぁん!人間∼!やった∼!やったよ∼!﹂
﹁ぬぉぉ!?﹂
今日はよく押し倒される日だな!
﹁⋮んん⋮本当に人間だ⋮﹂
﹁ちょ⋮く⋮くすぐったいですよ⋮﹂
ただ今の状況を説明いたしますと⋮
ミオさんが仰向けに倒れている俺の上に乗っかって、俺の胸あたり
で鼻をこすりつけるように匂いを嗅いでる。
しかもウルウルとした涙上目遣い。そして、反射的に抱き締めたく
なる俺。
わかった。小動物が好きなんだ。俺。
﹁生き血なんて何年ぶりだろ⋮うう⋮﹂
﹁⋮って、もう吸う側で決定なんですね?﹂
﹁うん。もちのロンです﹂
選択権はない。
なんとなく、理解しちゃってる。俺ってば慣れてきちゃった。
﹁う、動かないでね⋮?えーと⋮む、武藤クン⋮﹂
い、いや。
なんかドキドキするな⋮これ。痛いのかな∼?とかいうドキドキじ
ゃなくて。
30
﹁動かないで⋮﹂
ゆっくりとミオさんの顔が俺の首に近づいていく。
﹁大丈夫⋮﹂
ミオさんの息が荒くなってきて、吐息が首にかかってる。
たまらん。
﹁痛くないよ⋮﹂
つーかエロいよ。
うひっ⋮舌の先が首についた⋮いよいよ本格的にエロくなってきた。
って!
﹁いつ吸うんじゃーい!﹂
﹁きゃうっ!ごめんなさい!﹂
俺はもはやイラついてミオさんを投げ飛ばした。
ミオさんはひっくり返って、その回転を生かして後転をして座った。
﹁うう⋮だって久々なんだもん⋮﹂
﹁腕あたりじゃダメなんですか?﹂
﹁吸血鬼は首から吸うもんでしょ。腕でもいいけど﹂
﹁じゃあこれでいいでしょう?﹂
﹁テラサンクス﹂
いただきまーすとミオさんは俺の腕にかぶりついた。痛くは無かっ
た。
31
どちらかというと腕にはりついている唇の感触のほうが⋮
﹁ごちそうさまでした⋮なんで顔赤いの?﹂
﹁血を吸われたからじゃないでしょうか﹂
﹁⋮?まぁいいか。すっごいおいしかった!ありがと!﹂
﹁いえ、お安い御用です﹂
俺はその後、軽く談笑してミオさんの家を後にした。血を吸った後
は、最初に会ったときより元気になっていて、やはり吸血鬼なんだ
なと再確認させされた。
﹁あ、おかえり﹂
呑気に座って陽なたぼっこですかハルさん。
﹁ただいま。突き飛ばした人﹂
﹁あれ、もしかして怒ってる?﹂
﹁多少﹂
﹁なんだ、多少か∼﹂
⋮そこはホッとするところじゃない。まあ、なにごともなかったか
らいいけどさ。
32
七 鬼
﹁なんか他に行くところある∼?﹂
﹁いや、どこになにがあるか知らないからないッス﹂
﹁⋮ああ!﹂
いや、今気付いたみたいな反応しないでくださいよ。
﹁⋮じゃあ図書館に案内します⋮﹂
⋮あれ?キョウさん?
﹁⋮調査の結果も⋮お伝えしなければなりませんから⋮﹂
﹁はやかったねー。適当?﹂
﹁⋮い、いえ⋮もはや調べる必要も⋮よく見ただけでわかりました
から⋮﹂
⋮うーん。
悪い意味にも良い意味にもとれる発言。
できることなら良い意味のほうがいい。
﹁図書館はねえ、すごい大きいんだよ。難しい本も沢山あるんだよ﹂
﹁難しい本か⋮﹂
﹁⋮妖精世界で難しい本ですから⋮人間の五月さんにはもっと難し
いかも⋮﹂
もはや読めないとか?
ありうるな。なんか、もうすごい字で書いてあるとか。
﹁⋮ここです⋮﹂
33
静かな森のなかにひっそりと立つ⋮という言葉が似合う建物だ。
ミオさんの家がある道の脇に入ったところにあったのだが、木のせ
いで村の方からはみえなかった。
﹁ヒオリ∼⋮﹂
キョウさんの精一杯の声。だけど、そこまで大きくない。
﹁はい、なんでしょう﹂
﹁屋根の上!?﹂
頭に鉢巻きを巻いた藍色の髪の⋮え?
﹁ヒオリちゃんは女の子だよ﹂
ボーイッシュな女の子が屋根の上から顔を出した。
﹁お茶ですね!少々お待ちを!﹂
﹁⋮怪我しないようにね∼⋮﹂
さも当然のように屋根から飛び降りて、図書館の中に入っていった。
タキシード着てるからますますどっちかわからない。って、俺今す
っげー失礼なんじゃね?
﹁今の人は?﹂
﹁⋮私が召喚した鬼です⋮ヒオリという名前は私がつけました⋮﹂
﹁召喚ですか﹂
なんというか、もう妖精を目の前にしてる時点で、驚くことでは無
34
くなっているな。
⋮ん?タキシード着てる鬼ってどーよ?
﹁お待たせしました!﹂
﹁って、テーブルごとかよっ!!﹂
片手に一本足のテーブルを、片手に三つの椅子を持って歩いてきた!
すげぇ!
﹁大丈夫です!こぼしてませんから!﹂
﹁いや、もっとすげーよ!﹂
あくまで笑顔を崩さずにテーブルをセットしはじめたヒオリさん。
そして何事もなく椅子に座るみなさん。俺、取り残されてるッ!
とにかく、ヒオリさんのいれてくれたお茶を飲んでから本題に入る
ことにした。
﹁それでキョウちゃん。あの黒い壁はなんだったの?﹂
﹁⋮おそろしい程の魔力で練り上げられた魔力の塊みたいな物でし
た⋮レジスト魔法の応用なのですが⋮あんな壁みたいなのをつくる
なんて非常識です⋮﹂
軽々しくすごいことに巻き込まれてる気がする。
﹁⋮あんなのを一日でつくるとなると⋮悪魔と天使が何百人と集ま
らないとつくれない⋮﹂
﹁ひぇ∼⋮なんかすごいね∼﹂
﹁スケールがでかすぎるしな。キョウさん、この際はっきりしよう。
俺が元の世界に戻る方法はあるのか?﹂
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﹁⋮ある⋮百年くらい待って魔力が薄くなってくれば⋮﹂
つまりは無理なんですね。
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七 鬼︵後書き︶
菜ッ子です。
作者の暴走からはじまった、やっちまった小説。
見事、詰まりました。
ここからはおとなしく、妖精編が続きます。
相変わらずの不定期更新ですが、よろしくおねがいします。
申し訳ありませんでした。
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PDF小説ネット発足にあたって
http://ncode.syosetu.com/n4506g/
ヴァレンタ=ルヴェリエ
2012年10月18日12時44分発行
ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。
たんのう
公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ
うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、
など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ
行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版
小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流
ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、
PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル
この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。
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