うそと人との関わりについて

うそ(lie)
うそと人との関わりについて
2002HP072
西村衣世
ウィルソンら(Wilson,J.M.&Carroll,J.L)は、うそを5つのタイプに分けている。
① 自己保護(self-preservation)のためのうそ
:罰や非難、不承認を避けたり、ばつの悪さを避けるもの。
② 自己拡大(self-aggrandizement)のうそ
:現実よりも自分をよく見せようとするのに用いられ、注目や承認など
を得るために自分の能力や持ち物、成し遂げたものを自慢したり、ほ
らを吹くなどのうそ。
③ 忠誠の(loyalty)のうそ
:ある人を護るために、その人の違反行為について間違った供述をする
といったうそ。
④ 利己的(selfishness)なうそ
:物質的な利益を得ようとしてつくうそ。
⑤ 反社会的・有害な(antisocial or harmful)うそ
:わざと人を非難したり、けなしたりしてその人を傷つけるといったも
の。
うそは社会的適応の面で現在ならびに将来にわたる問
題行動の指標として考えられてきた。
しかしそれと同時に、うそは私たちが生きているう
えで決して避けては通れない、コミュニケーション
間の問題だともいえる。
うそをつく人(欺瞞者)とつかれる人(被欺瞞者)
とのコミュニケーションには、どのような作用が働
いているのか。
本当でないことを、相手が信じるように伝えることば。事実
に反する事柄。人を欺くことば。
(日本国語大辞典 第二版、1999)
意図的にだます陳述をさし、たんなる不正確な陳述とは異
なる。 (心理学辞典、1999)
私たちは普段、日常的に“うそ”をついて過ごしている。
しかし一言に“うそ”とは言っても、その内容によってう そは 様々な意味を持ち、種類の異なったものとなる。
うその広がり
また、うその内容自体ではなく、うそをつく人自身と
その対象によって、うそは広がりを見せる。
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対象の規模による広がり(個人 大衆)
相手と自分との親しさによる広がり(家族 初対面の人)
社会的立場による広がり(社会的立場 低 高)
年齢的発達による広がり(子ども 大人)
性別 (男 ・ 女)
性格 (うそをつきやすい性格 ・ つきにくい性格)
参考文献
小学館国語辞典編集部編 『日本国語大辞典 第二版』、
2001、小学館
中島義明〔ほか〕編 『心理学辞典』、1999、有斐閣
大坊郁夫著 『しぐさのコミュニケーション−人は親しみをどう伝
えあうか』、1998、サイエンス社
中村平治 『嘘のコミュニケーション』2003.12 福岡大学人
文論叢 第35巻3号 p1007−1026
対人コミュニケーションの観点
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