I T時代の日本の新ビジネスモデル 創造的なベンチャーが日本を変える (株)アクエリアス情報研究所 2001年10月3日 高知工科大学大学院 起業家コース 教授 文部科学省 科学技術政策研究所 客員研究官 博士 前田 昇 前田 昇 略歴 1944 大阪府堺市生まれ 1962 大阪 三国ヶ丘高校卒業、 高崎経済大学 入学 1966 日本I BM入社 (営業、マーケティング企画) 1973 米国 I BM本社へ赴任 (NY、商品計画) 1977 ソニー本社入社 (総合企画)、係長 1983 ソニー・アメリカ本社へ赴任 (NY,経営戦略担当バイスプレジデント) 1988 ソニー本社 (経営戦略部門長、マーケティング戦略本部長) 1993 ソニー・ヨーロッパへ赴任 (ケルン、戦略担当ディレクター) 1995 ソニー本社 新規ビジネス事業室長 (非接触ICカードシステム社内ベンチャー社長) 1996 (兼) 青山学院大学 大学院国際政治経済学研究科 非常勤講師(国際ビジネス論) 1998 (兼) 科学技術庁・科学技術政策研究所 客員総括研究官 1999 高知工科大学 大学院工学研究科 起業家コース 教授 慶応大学 大学院政策メディア研究科卒業 (修士) 2001 高知工科大学 大学院工学研究科 (博士)(兼) 名古屋大学 情報分化学部 講師 著書:「自律結合国際戦略」 1999 同友館、 「米国ビジネスマンと楽しく仕事をする法」 1990 PHP 非常勤 レジメ 1. 時代の変化と日本 2. I T革命 3. ソニーの変革 4. 日本変革のベンチャー旗手達 5. 日本産業変革の鍵 6. 我々に何ができるか? 日本を同時に襲う三大潮流 • IT革命 • 規制緩和 • グローバリゼーション 日米経営対比 マイケル・ポーター教授: •米 What Japan has no Strategy. 米国 戦略 New 日本 日 How 改善 Old 国を動かす基本ビジネスモデル 旧 新 キイワード 大企業モデル シリコンバレー モデル E-Business 欧州 国別モデル パンヨーロッパ モデル ユーロ通貨 日本 Catch-up 米国 モデル ? ? カンバン方式(JIT)とSCMの概念図 カンバン方式 カンバン(発注指示書) 納入 部品メーカー トヨタ自動車 SCM ネットワーク 部材メーカー 完成品メーカー 物流施設 小売店 出所:日本経済新聞 1999.6 .19 PC産業 垂直統合から水平へ A社 B社 C社 販売 D社 アプリケーション H社 O S 組み立て L社 K社 M社 N社 P社 G社 I社 J社 MPU 部品 E社 Q社 O社 ビジネスモデルの変革 Closed Solid Vertical Open Network Module I T 革命の三大真髄 コスト 時間 距離 を限りなく ゼロにする。 • 不可能だったコミュニケーションを可能にする。 • 新結合による新たな知識創造を可能にする。 I T 革命の典型的事例 • • • • • • • FORDがトヨタのJIT(カンバン)を抜いた。 金型をインクスが米国流 I T革命から守った。 プラス文具がアスクルで米巨大店を負かした。 松井証券が営業部を廃止し、野村に勝った。 伊那谷のたまごやさんが楽天でばか売れ。 本田が新聞雑誌TV広告をやめて売上倍増。 土佐山奥の馬路村が高知で唯一の人口増。 I T 革命のヒーローは誰? ルールブレーカー 創造的破壊・新結合(シュンペータ-) 誰がルールブレーカーになれる? • 小組織対応できる大企業:ABB、ソニー • 戦略性のある中小企業:プラス文具、馬路村 • ベンチャー企業:楽天、インクス、ザイン、鷹山 ソニーのビジネスモデル構想(1995~1998) 家庭の AV機器 ネットワーク アナログ インターネット CS ディジタル BS コンテンツ 映画 音楽 CATV 従来はパッケージメディアで販売 ソニーのビジネスモデル構想(1999~ ) キイデバイス i 家電 極小OS 従来のリアルビジネス 商品・サービス 情報ネットワーク 従来のE‐ビジネス リアルとサイバーの融合 ファイブ・サークル・モデル ベンチャー活躍の「場」 Technology Home Service OS Network Economy 大学 ベンチャー 外国企業 大企業 日本のベンチャーは成功している。が………、 第1世代 戦後ベンチャー 物づくり 系 第2世代 ガッツベンチャー サービス系 ソニー、本田、京セラ、カシオ パソナ、HIS、ドトール、NOVA 第3世代 ネットベンチャー Eビジネス系 ソフトバンク、アスクル、楽天 第4世代 ハイテクベンチャー R&D系 ????? 日本ベンチャーの最大の問題 !!! ベンチャーサイクル 高い志 挑戦 独立、リスク、 創造的破壊、 自立心 イノベーション (革新性) 実現 夢、ロマン、先見力、 リーダシップ、情熱、世 界観 社会性 株式上場、国際化、 雇用創造、新産業 創造、ブランド 新ビジネスモデル、新 製品・新サービス、バ ランス感覚 ベンチャー支援政策 日米対比 V C Co. SBIC (全国展開) Bayh-Dole Law SBIR Stock Option 米国 日本 差 1946 1980 1983 1950 - 26 1996 - 38 1958 Angel Tax TLO 1972 ’s 1999 - 19 1998 - 15 1995 - 40 1997 1940~ 1999 15~50年の遅れ - 50 基準にマッチしたハイテクベンチャー創業者 企業名 業種 インクス 3D,金型 山田社長 50 ザイン 半導体 飯塚社長 メガチップス 半導体 サムコ 製造装置 鷹山 半導体 高取 直 キョウデン プリント基盤 橋本社長 リアルビジョン 半導体 杉山社長 I I J 通信 鈴木社長 53 フュ-チャ-・システム システム 金丸社長 ピクセラ CCDカメラ ユーコム 創業者 出身企業 所在地 従業員 三井金属 東京 150 1990 2001予想 毎年 本田のエンジン金型製作 52 東芝 東京 40 1992 2001 毎年 半導体ベンチャー協会 進藤社長 58 リコー,三菱電器 大阪 125 1990 1998 毎年 任天堂と連携、売上513億円 辻社長 58 NASA 京都 100 1979 2001 毎年 欧米に研究所 東京 200 1990 2000 自営 東京 560 1983 1997 NEC 横浜 50 1996 2000 日本能率協会 東京 470 1992 1999 2’00 45 TKC 東京 315 1989 1999 毎年 セブンイレブンのIS開発 井出社長 44 東芝 シリコンバレー 40 1995 毎年 東芝が資本参加 半導体 宇都宮社長 57 ソニー シリコンバレー 数人 1999 米国IBMとの連携 ボール・セミコンダクタ 半導体 石川社長 63 T I 1996 京セラ稲盛氏がエンジェル ニューコア・テクノロジー 半導体 渡辺社長 日米VC連携の資金調達 ザクセル 3Dイメージ 鈴木社長 オプトウエア 記憶装置 クリスタージュ 現年齢 47 テキサス州 創業年 上場年 インタビュー 特徴 NTTドコモと連携 9’99 ソーテックを買収 図研の資本参画 ソニー、トヨタとJV インテル日本 シリコンバレー 35 1997 52 ソニー シリコンバレー 数人 1998 6’00 堀米社長 42 ソニー 東京 数人 1999 毎年 日米独大学・企業と連携 液晶 両角社長 52 ホシデンフィリップス 神戸 数人 1999 毎年 台湾企業と連携 アルファエレクトロニクス 精密加工 楠美社長 TDK 東京 150 1978 4’01 NASA認定工場 ミレニアムゲート DNAチップ 武内社長 51 自営 京都 数人 2000 11’00 精密ハンダ技術の応用 DNAチップ 三城社長 47 住友金属 京都 数人 2000 11’00 たんぱく質解析 プロティン・ウエーブ ファルマ・デザイン アクセル バイオ 古谷社長 山ノ内製薬 東京 半導体 佐々木社長 新日本製鉄 東京 20 米大教授と会社設立 1999 東大教授と長寿薬 1996 筑波大教授と共同開発 成功ハイテクベンチャーの共通点 • • • • • • • • 有名大企業のエリートエンジニアが多い。 米国での留学・勤務経験者が多い。 全員早期の株式上場を策定している。 成功後はエンジェルとして後進指導希望。 大企業との競争・連携を策している。 有能若手を積極的にリクルートしている。 早期の国際展開を策定している。 ITの取りこみに積極的。 ザインのホームページのリクルート欄 私と一緒に、 株式上場の瞬間を エンジョイしませんか? ザインエレクトロニクス株式会社 社長 飯塚哲哉 ストックオプションを与えます。 メガチップス創業以来の売上 600 500 400 300 億円 200 100 0 1990 1992 1994 1996 1998 2000 メガチップス 進藤社長 愛媛県出身 1990年 49歳で創業。あるのは、7人の頭脳と夢だけ。 「人は思わば思え。 われなすことは、 われのみぞ知る。」 坂本竜馬 ハイテクベンチャー 日本型発展シナリオ 5 1兆円 大企業 大学 エリートスピンアウト 1 就職 3 6 政府研究機関 1000億円 100億円 20億円 2 転職 4 ベンチャー企業の成長過程 新たなスピンアウト 日本のデバイスの強さをレベルアップし、 ファイブ・サークル・モデルに組みこむ ハイテクベンチャー活躍の「場」 デバイス OS PC/携帯 ネットワーク 新しい日本の強さ E ビジネス 従来の日本の強さ IT環境にレベルアップ 高精度金型 シ ス テ ム LSI 高密度プリント基盤 シ ス テ ムLCD 超小型モーター 等 デバイス 商品 第四次産業の新しいコンセプト 従来の発想 第四次産業? 新しい発想 IT 現業とITとの結合 新第四次産業 第三次産業 第三次産業 第二次産業 第一次産業 サービス業 製造業 農業(バイオ) 第二次産業 第一次産業 特に日本の強さである製造業とITとの結合が重要 ダイナミック・ベンチャーモデル 米国型(初期 1940-1970) 選択 証券市場 エンジン(ジェネレーター) 学生 研究者 (ダイナミズムの源) 大学教授 $ ベンチャー キャピタル 支援者 技術源 ダイナミック・ベンチャーモデル 米国型(成熟期) 年金基金 選択 NASDAQ エンジン(ジェネレーター) (ダイナミズムの源) エンジェル $$$ ベンチャー キャピタル ベンチャー企業 大学教授 技術源 支援者 ドイツの躍進・驚き 1.過去3年 IPO 毎年倍増 1996 1997 1998 14 35 67 1999 168 2000 139 ほとんどは研究開発型、IT・ネット型ベンチャー 2.大学からの起業件数は米国の2.5倍 1990 345 1997 635 ドイツ起業支援策の4本柱 • レギオ方式 競争による選択・集中の徹底 • 研究者の有期雇用 独立せざるを得ない制度 • 大胆なマッチング投資 民間VCの臭覚を信頼 • アン・インスティチュート 院生のビジネス結合 大胆なマッチング投資でVC育成 ドイツ負担調整銀行(Dta-tbg) : ベンチャー企業への直接投資 ドイツ復興銀行(Kfw) • • • • • • • : VC会社のファンドに投資 1995年スタート、 1999年1,000企業に700億円 独立系VCのリードマネーに同額投資 5年間のVCへの保証 申請後6週間で決定 申請の70%が合格 申請は紙1枚、事業計画書、履歴書添付 2000年から、利益の10%又は信用保証料UP ベルリン工科大学 & FhG生産システム設計技術研究所 * O *O O * FhG建 *O * OO* * O * 物 * * * * O*O O O * * 試験設備 O O *O* * * O O * * O O* O 大学 * O * * O 建物 ドルトムント 産官学の地域的結集(理想的クラスター) 5万人のハイテク集団 アン・インスティチュート フランホーファー 材料研究所 駅 テクノロジーパーク 大学 3万人 テクノロジーセ ンター 140社 インキュベーションセンター アン・インスティチュート マックスプランク 分子生理学研究所 ドイツモデル 産官学連携 というより 知の交流 大学 国立研究所・協会 企業研究所 産官学結合 と言える。 アンインスティチュート 知の創造 産官学の人材移動 ベルリン工科大・FhGの例 国の起業家イノベーションモデル 産 旧型 新型 官 エンジン 学 選択者 支援者 技術源 国ごとの特性を活かしたベンチャーモデル ダイナミック・ベンチャーモデル ドイツ(初期) エンジン Federal Gov. 選択 支援者 ベンチャーキャピタル 州、地域 エンジェル University Nat’l Lab. 技術源 ダイナミック・ベンチャーモデル 日本型(初期) エンジン(トリガー) VC 選択 スピンアウト エンジニア 支援者 NASDAQ-J マザーズ 店頭 大企業 大学教授 政府研究機関 技術源 国の起業家イノベーションモデル 産 旧型 新型 官 エンジン 学 選択者 支援者 技術源 国ごとの特性を活かしたベンチャーモデル 日米独 研究費のGDP比 3.25% 日本 3% 2.67% 米国 2.32% 独国 2% 人文・社会科学を含む 1% 出展:平成12年度科学技術白書 1975 1980 1985 1990 1995 1999 日米独 人口1万人あたりの研究者数 57.8人 日本 50人 - 米国 40人 - 37.5人 28.7人 30人 - 独国 20人 - 人文・社会科学を含む 10人 - 平成12年度科学技術白書 1980 1985 1990 1995 1999 日米独 政府研究費のGDP比 1.5% 米国 1.0% 0.83 独国 0.73% 0.70% 日本 0.5% 人文・社会科学を含む 1975 1980 1985 1990 1995 出展:平成12年度科学技術白書 1999 IPR登録件数 件数 300K 日本 200K 米国 100K 独国 特許庁年報、 Industrial Property Statistics, WIPO ‘85 ’86 ‘87 ’88 ‘89 ’90 ‘91 ’92 ‘93 ’94 ‘95 ’96 ‘97 特許の独創性 革新的 米 日 創造的 米 日 改良的 米 日 微改良 米 日 17.0% 5.5% 25.0% 14.4% 34.5% 39.7% 23.5% 39.9% 10 20 30 40% 出展:野村総合研究所 大学生に占める大学院生の割合 出展:平成12年度科学技術白書 千人 8000 15.5% % 15% 12.2% 6000 10% 6.9% 4000 5% 2000 日本 米国 仏国 SBIR モデル ベンチャーキャ ピタル フェイズI $ 可能性研究 Feasibility Study フェイズII フェイズIII プロトタイプ $ 開発 Research toward Prototype $ 税金 政府の投資(税金) 商品開発 Product Development to Commercial Market $ 米国SBIRのキイポイント 日本版SBIRにも必要 • 強制力…R&Dアウトソーシングの1983年発足時:0.5%、現在2.5% • 政府調達…賢い入札制でSBIR企業売上の国防省55%、全体で35% • フェエイズ管理…応募の15%I($0.1M)の35%II($0.75M)、 III(無) • 特許所有権…100%国の経費でも、特許はベンチャーの単独所有 • 不合格理由のフィードバック…理由を教えて再挑戦 • 特定テーマで公募…ベンチャーの能力を戦略テーマへ誘導 科学技術政策研究所 政策研ニュースNo.126 1999年6月 「日本版SBIR」 参照 高知工科大学大学院起業家コース 前田 昇 今、日本のベンチャー育成に必要なこと 1.ベンチャラスな目玉育成政策 …政策策定者がリスクを取れるか? 2.大企業スピンオフエンジニアへのサポート …経団連が音頭を取れるか? 3.大学院生をベンチャーに巻き込む政策 …日本版アン・インスティチュートの創設 高知工科大学大学院起業家コース 前田 昇 ファイブサークルモデルの中で あなたはどうすべきか? • • • • • • • • トータルな時代の流れをつかむ。 自分の強みを世界のレベルに固める。 サービスビジネスの知識を取り入れる。 大企業と対峙できるIPR戦略知識を持つ。 海外に目を向け専門分野の情報ネットにはいる。 各サークルの有能な「個」を見出し個連携する。 大企業、大学、政府・地方公共団体をとりこむ。 「退出戦略」を柔軟に持つ。 日本産業変革の鍵 - 新結合力 - 「個」の自律
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