「宇宙核物理実験の現状と将来」研究会 2014. 08. 07--08 12C原子核における稀ガンマ崩壊 モード探索のためのテスト実験 京大理 津村 美保 京大理,阪大RCNPA, 理研仁科セB, 東北大CYRICC, 宮崎大工D, 九大理E, 甲南大理F, 和歌山大医G,岡山大理H 川畑貴裕,足立智,馬場辰雄,古野達也,石井佑季,村田求基, 小林史治,延與佳子,民井淳A,橋本尚志A,畑中吉治A, 松田洋平A, 三木謙二郎A,岩本ちひろA,伊藤健A,三浦正季A,銭廣十三B,久保野茂B, 伊藤正俊C,安藤峻C,前田幸重D, 坂口聡志E, 秋宗秀俊F, 藤村寿子G,王岩H Table of contents u Introduction u 宇宙における12Cの合成 u 31-状態のγ崩壊確率 u Experimental procedure u 逆運動学反応による測定手法 u 実験セットアップ u シミュレーション u S/Nの向上のために u Results of the test experiment u 励起エネルギースペクトル u pと12Cの相関を利用したゲート u 31-状態, 11+状態のγ崩壊確率 u Summary Introduction 宇宙における12Cの合成 10-3 -4 10 relative to standard massfraction fraction mass 12Cなどの重い元素の合成では、トリプルα反応が重要な役割を担っている。 -5 The Astrophysical Journal, 729:46 (18pp), 2011 March 1 10 The Astrophysical Journal, 729:46 (18pp), 2011 March 1 励起状態のうち Γα/Γ →再び3αへ Γγ/Γ →12C(g.s.)へ relative solar relative to to standard relative to standard 4.4×10-4 10-60 10 0 101 10-1-1 10 10 -2 10 10-2 0 10-3-3 10 10 -4 10 10-4 -1 -5 10 10 10-5 -69 10 10-6 T > 109 Kでは高励起状態の 4 12 He(αα,γ) C *1 12 2 10 寄与が大きくなる。 4 / 21210 C *1 2 10 CF88 4He(αα,γ) He(αα,γ) C *1 2 10Angulo99 CF88 CF88 // 22 10 10 Angulo99 Angulo99 Ni Ge Kr Zr Ru 10 60 10 10 100 105 4 Cd Te Ba Co Ga Br Y Mn Cu As Rb Nb 高励起状態のγ崩壊幅 次第で12Cや重元素の 生成率が大幅に 変わってしまう。 CF88: 02+状態のみ Ag Angulo99: Sb Cs 31-, 22+状態を考慮 Rh In I La 10399 1050 60 70 80 90 100110120130140 10 Ni Ge Ge Kr Kr Zr Zr Ru Ru Cd Cd Te Ba Ba Ni Te number Zn Semass Sr Mo Pd Sn Xe Xe Ce 88 FeFe Ce [Wanajo et.al., The astrophys. j. 4 Zn Se 12 Sr Mo Pd Sn 10 4 12 10 He(αα,γ) C * 1 2 10 He(αα,γ) C *1 2 10 CF88 relative relativeto tosolar solar 729, 46 (2011).] CF88 210 10 variations on Figure 12. Same77as Figure 2, but// 2for the triple-α rate. Angulo99 Angulo99 10 10 (A color version 高励起状態のγ崩壊確率は未だ of this figure is available in the online journal.) わかっていない。 1 1 1 1 1 1 10 10110 1010 10110 1010 110 10 12 1 2Mo 10 81 Fe444He(αα,γ) Zn Se12CC*Sr Xe Ce He(αα,γ) 10 Pd Sn CF88 12 *1 2 10 1 CF88 10 10 10 10 He(αα,γ) C /*//1 222210 Angulo99 CF88 Angulo99 10 7 Angulo99 10-1-1 10 mass fraction 1 mass massfraction fraction relative to standard 10-2 He(αα,γ)12C *1 2 10 CF88 / 2 10 Angulo99 1 1 10 1 10 101 1 10 1 10 Figure 13. Same 1 (A color vers 10 1066 31-状態のγ崩壊確率の測定を計画 10 1055 that 7 Be(α, γ )11 C and 10 B(α, p)13 C exhibit Figure 10 shows 10 similar roles to triple-α range 1044 CoinGatheBrtemperature Y Ag Sb Cs relevant to the 10 1010 1 1 10 1 relative to standard relative to to standard relative solar mass fraction 4 relativeto tosolar solar relative -1 10 1 10 1 10 and ∆n . A larger 1 31-状態のγ崩壊確率 31-状態のγ崩壊確率は10-7以下と非常に小さく、測定は難しい。 全崩壊幅 Γ 下限値 上限値 34(5) keV γ崩壊幅 Γ γ γ崩壊確率Γγ/Γ 0.31(4) meV 9.1 × 10-9 14 meV (1σ C. L.) 4.1 × 10-7 Direct decay (31-→ 01+) 電子散乱の データから 上限値を求めた過去の実験 12C(α, α 12C)反応による測定 [D. Camberlin et.al., Phys. Rev. C 10, 2 (1974).] 同位体濃縮された 12C標的中の13Cの バックグラウンドが大きな問題となった。 12Cビームなら13Cは入ってこない! 12Cをビームとした逆運動学反応 H(12C, p12C)による実験を計画。 Experimental procedure 逆運動学反応による測定手法 逆運動学反応H(12C, 12C p )で pと12Cを同時計測することにより、 γ線を測定することなくγ崩壊確率を決定する。 γ 崩壊確率 Γγ / Γ Γγ γ崩壊イベント数 α崩壊イベント proton Target 全励起イベント数 全励起イベント数 反跳陽子のエネルギーと角度から 12Cの励起エネルギースペクトルを作成 励起状態を同定 γ崩壊イベント数 α崩壊したものはα, γ崩壊したものは12Cとして飛来する。 12Cとして検出されたイベントの 数を数える 全励起イベント Γ = p 3α p 12C Beam γ崩壊イベント proton Target 12C 12C Beam 実験セットアップ 大阪大学核物理研究センター サイクロトロン施設で測定を行う。 反跳陽子側(全励起イベント数) Si+CsI (cover 30°-41°) 陽子を選択、12Cの励起エネルギー 全イベント数を決定 散乱12C 側(γ崩壊イベント数) Grand Raiden spectrometer & VDC & プラスチックシンチ γ 崩壊イベントを選択 α 1mm 10mm 12C α のみが 1mmのシンチを 貫通できる → anti-coinを 12Cのtriggerに Si → pの反跳角度 CsI → pのエネルギー VDC → 散乱12Cの運動量・角度 Plasticシンチ → 12CとαのPID Si+CsI 35.5° 2.8° 水素 250 MeV 12C beam Grand Raiden spectrometer VDCs 1 mm & 10 mm Plastic Scintilator シミュレーション 以下のような実験条件を考慮してモンテカルロシミュレーションを行った。 Beam エネルギー: 250 MeV(20.8 MeV/u) 強度: 0.1pnA エネルギー拡がり: 0.2 MeV (sigma) 角度拡がり: 2 mr (sigma, in-plane) スポットの大きさ: 0.5 mm (sigma) Target : 固体水素標的 0.5 mm (0.0763 g/cm2) Si+CsI detector 設置角度: 35.5° 標的からの距離: 125 mm エネルギー分解能: 0.3 MeV (sigma) Grand Raiden spectrometer 設置角度: 2.8° アクセプタンス: ±14 mr (Horizontal) ±35 mr (Vertical) ∆p/p = ±2% Focal plane detector 固有の角度分解能: 2 mr (sigma, Horizontal) 4 mr (sigma, Vertical) 焦点面の物質量: 60 mg/cm2 10日間のビームタイムで見込める収量 Jπ 上限値 下限値 3-1 Γ 34 (5) keV Γγ Γγ/Γ イベント数 14 meV 4.1 × 10−7 2.1 × 103 0.31 ± 0.04meV 9.1×10−9 46 S/Nの向上のために 確率10-7 以下のレアイベントに迫るには、S/N比を良くすることが必要不可欠。 最も重要な問題となるのは、accidental coin イベントをいかに取り除くか。 何も対策しなければ S/Nは1/250以下。 v accidental coin イベントとは detect 12C or α Si+CsI (Tagger) detect p Si+CsI Target 12C 固体水素標的 beam 12C beam True COIN 12C beam Accidental COIN Ø 標的中の不純物の削減→固体水素標的 Ø 水素によるAccidental イベントの除去 → Si+CsI (Tagger)の導入 Ø 散乱の方位角の相関から→ φ ゲート Ø 放出されたγ線のエネルギーについての 相関から → γ ゲート Grand Raiden spectrometer He バッグ VDC(CH4&He) 1 mm & 10 mm Plastic Scintilator Results of the test experiment テスト実験で確認したいこと • γ崩壊確率を決定する方法として、 逆運動学的手法が有効かどうか • γ崩壊確率10-7以下である31-状態を探索するにあ たって、バックグラウンド/アクシデンタルは どの程度問題になるか? 未知のバックグラウンドはないか? • CH2標的とC標的による測定を行う • バックグラウンドを除去するために導入する Tagger, φ gate, γ gate の効果 励起エネルギースペクトル (全励起イベント数) SiCsI検出器から得られた12Cの励起エネルギーから、励起状態を同定。 Counts/ 100 keV 2000 CH2 nat C 01+ - 31 21+ 1000 + 02 0 0 5 10 15 12 Excitation Energy in C (MeV) Counts/100 keV x 10 3 x 10 3 ± 2σ 1500 31- 1000 500 0 8 9 10 11 12 Excitation Energy in C (MeV) 励起エネルギー分解能 σ=220 keV 2σの幅でのイベント数を数える。 γ崩壊確率の分母となる全励起イベント数は、31-状態について 8時間の測定で5.904(35) × 106 イベント得られた。 反跳陽子と散乱12Cの 散乱の方位角 φの相関 Accidental 40 20 20 q12C (deg) 40 0 -20 φ12C 0 -20 -40 -40 -20 0 20 40 qp (deg) 40 20 20 q12C (deg) 40 0 -20 0 -40 -40 -20 0 20 40 qp (deg) φp ⃝ ✕ p ) x y: ビーム軸 ゲート幅はシミュレーションで 31-状態のφ12Cの2σの幅とした。 φgateのEfficiencyは シミュレーションから -20 -40 φ12C ∼ φp z 12C -40 -40 -20 0 20 40 qp (deg) 実験データ q12C (deg) φ gate ) シミュレーション q12C (deg) True -40 -20 0 20 40 qp (deg) 励起状態 Acc. 31- (9.64MeV) 0.304 0.961 11+ (12.71 MeV) 0.348 0.867 True 励起エネルギーと 放出されたγ線のエネルギーの相関 Accidental 10 11+ + 31 5 02 5 10 15 Ex (MeV) 12Cの 0 5 10 15 Ex (MeV) 15 Ea (MeV) 15 寄与 Ea (MeV) ゲート幅はシミュレーションで 31-状態のEγの2σの幅とした。 5 0 0 実験データ 10 0 γ gate Ex ∼ Eγ = Ebeam – Ep –E12C 15 Ea (MeV) 15 Ea (MeV) シミュレーション True 10 10 5 0 5 0 0 5 10 15 Ex (MeV) 0 5 10 15 Ex (MeV) φ& γ gateのEfficiencyは シミュレーションから 励起状態 Acc. 31- (9.64MeV) 0.062 0.918 11+ (12.71 MeV) 0.078 0.569 True 31-(9.64 MeV)状態のγ崩壊確率 74 31-(9.64 74 74 MeV)状態を探索するに 全励起イベント数 あたり、未知のバックグラウン 励起エネルギー分解能 σ=220 keV γ 崩壊確率の感度を求めるには、 GR と × SiCsI の配置によ 6 events ドはないか? この値から ±2σの幅で数えると、5.904(35) 10 この値から γ 崩壊確率の感度を求めるには、 GR と SiCsI の配置による この値から γ 崩壊確率の感度を求めるには、GR と SiCsI の配置による幾何学 Counts/100 keV Counts/100 keV γ崩壊イベント数 率、φ ゲート・γ ゲートによる True イベントの効率、VDC の tracking x 10 3 全励起イベント 率、 φ ゲート・ γ ゲートによる True イベントの効率、 VDC の tracking の 率、φ ゲート・γ ゲートによる True イベントの効率、 VDC の tracking の効率を ±2σ 40 全励起イベント ±2σ 2000 01+ ある。 ある。 30 と同じ幅で ある。 + 3 1 213.6 の条件のシミュレーションで求めた幾何学的な効率は表 20 48(12) events 3.8 に 表 表 3.6 の条件のシミュレーションで求めた幾何学的な効率は表 3.8 に示 1000 + 10 表 3.6 の条件のシミュレーションで求めた幾何学的な効率は表 3.8 に示した通 02 ゲートの効率については表 3.9に示した。また に示した。またVDC VDCののefficiency efficiency 98. ゲートの効率については表0 3.9 はは 98.1% 0 8 9 VDC 10 11 ゲートの効率については表 3.9 に示した。また の efficiency は 98.1% であっ φ & γ gateの効率 12 γ崩壊イベント Excitation Energy in C (MeV) 800 定における 崩壊確率の感度は、 定における γ γ 崩壊確率の感度は、 VDC tracking効率 + γ崩壊確率の感度は 1 CH 定における γ 崩壊確率の感度は、 1 600 2 nat 48 48 C (0.439××0.918 0.918××0.981) 0.981)= =2.0(5) 2.0(5) ÷÷(0.439 ×× 10 400 6 6 48 5.904 5.904××10 10 −5 ÷ (0.439 × 0.918 × 0.981) = 2.0(5) × 10 幾何学的効率 200 5.904 × 106 −8−8 である。つまり今の状況では γ 崩壊確率 10 の感度は達成できていない である。つまり今の状況では γ 崩壊確率 10 の感度は達成できていないと -7 -状態を探索するには γ崩壊確率10 以下の3 0 1 −8 0 5 10 15 である。つまり今の状況では γ 崩壊確率 10 の感度は達成できていないといえる 現状の感度は不十分。連続的なBGの 12 考えられる原因としては、図 4.13( 右 考えられる原因としては、図 4.13( 右) )に示した に示したγ γ崩壊イベント選択する 崩壊イベント選択す Excitation Energy in C (MeV) 起源を確かめる必要あり。 考えられる原因としては、図 4.13(右) に示した γ 崩壊イベント選択するゲート 性がある。残ってしまったイベントに対して、それが図 4.13 性がある。残ってしまったイベントに対して、それが図 4.13などのこれ などのこ で示すように仮定してイベント数を数えたところ、全励起イベント数は 3.098(287)×105 個、γ 崩壊イベント数は 2569(64) 個であった。 γ 崩壊イベント数は ここから 2569(64) γ個であった。 崩壊幅を求めるには、GR と SiCsI の配置による幾何 + 11 GR (12.71 MeV)状態のγ崩壊確率 を求めるには、 と SiCsI の配置による幾何学的な同時計測効率、 φ ゲート・ γ ゲートによる True イベントの効率、VDC の tracking の効率を +状態については、測定から 1 2 1 x 10 Excited events イベントの効率、の条件における VDC 全励起イベント の tracking 4.4 1+1の効率を考慮しなければならない。表 状態の幾何学的な効率は表 6.1 に示したように γ崩壊確率を求めることができる。 2000 + 状態の幾何学的な効率は表 6.11に示したように 0.4390.716, である。また、ゲートの 1 効率については表 4.5幾何学的効率 に示した。また VDC の efficiency は 98.1 Counts/100 keV 5 に示した。また VDC の efficiency 1000 は、 φ & γ ゲート効率 0.569 効率であった。よって 0.981 を考慮すると は VDC 98.1% γ 崩壊確率 2569 ÷ (0.716 × 0.569 × 0.981) = 2.0 5 3.098 × 10 2569 0 −2 ÷ (0.716 × 0.569 × 0.981) = 2.07(6) × 10 (6.3) (誤差は統計誤差のみ) γ崩壊イベント a decay events 5 800 + 3.098 × 10 となる。11 状態の全崩壊幅は表 6.3 に示すように γ 崩壊幅が知ら すでに知られている値 600 崩壊幅は表 6.3 に示すように γ 崩壊幅が知られているので、 −2 全崩壊幅 Γ γ崩壊幅Γ γγ 崩壊幅は γ崩壊確率 400 −2 18.1 × (2.07 × 10 200 0 18.1 × (2.07 × 10 ) = 0.38(7)(eV 18.1(28) eV 0.40(5) eV 2.21(7) ×10-2 ) = 0.38(7)(eV) (6.4) F. Anzenberg-Selove, Nucl. Phys. A 506, 158 (1990). と実験結果から求められる。これはすべての崩壊モードを合わせ 9 10 11 12 13 14 γ線を測定せずに、逆運動学的手法で られる。これはすべての崩壊モードを合わせた結果である。誤差は統計誤差 についてのみ見積もられている。 12 Excitation Energy in C (MeV) γ崩壊確率を求めることができた。 られている。 表 6.3 1+1 状態についての崩壊幅 [5 Summary • 12Cの3 -状態のγ崩壊確率を測定する実験を計画。 1 – 逆運動学反応H(12C, 12C p )における pと12Cの同時計測に よって、γ線を測定せずにγ崩壊確率を決定する。 • CH2とC標的を用いたテスト実験の結果、 現在のγ崩壊確率の感度は2.0(5)×10-5 – 連続的なバックグラウンドの起源を探る必要あり。 • 11+状態のγ崩壊確率は2.07(6)×10-2 – 誤差の範囲で知られている値と一致。 – 逆運動学的手法が有効であることが分かった。 • 今後、Accidentalイベントの除去のために導入した Taggerの効果について解析を進める予定。
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