亀 山 市 耐 震 化 促 平成 20 年 5 月 亀 山 市 進 計 画 【 目 I 次 】 はじめに .............................................................................................................................................................................................. 1 1 耐震化の必要性と亀山市耐震化促進計画策定の趣旨............................................................................................. 1 2 想定される地震の規模と被害の状況............................................................................................................................... 2 II 住宅の耐震化について ................................................................................................................................................................. 3 1 住宅の耐震化の現状と目標 .................................................................................................................................................. 3 2 住宅の耐震化に対する支援策 ............................................................................................................................................. 5 III 市有建築物の耐震化について .................................................................................................................................................. 7 1 市有建築物の耐震化の現状と目標.................................................................................................................................... 7 2 耐震診断結果等の公表 ............................................................................................................................................................ 8 IV 特定建築物の耐震化について .................................................................................................................................................. 9 1 特定建築物の耐震化の現状と目標.................................................................................................................................... 9 2 特定建築物に対する耐震化の支援策............................................................................................................................... 9 Ⅴ 建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための施策 ......................................................................................10 1 地震時の建築物の総合的な安全対策に関する事業................................................................................................10 2 地震防災マップ作成・公表 ................................................................................................................................................10 3 情報提供の充実.........................................................................................................................................................................10 4 自治会、自主防災組織等との連携..................................................................................................................................11 I はじめに 1 耐震化の必要性と亀山市耐震化促進計画策定の趣旨 近年、東海地震、東南海・南海地震等の大規模地震の発生が危惧されており、そのような大規模な地 震が発生すると、その被害は甚大なものになると想定されています。亀山市も、「東南海・南海地震に 係る地震防災対策推進地域」に指定されており、大規模な地震の危険性が高い地域といえます。 自然災害である大規模地震は、その発生を阻止することはできません。しかし、大地震から生命や財 産を守りその被害を最小限に抑えるための施策を講じ、実施していくことが必要です。 地震災害は、これまでに発生した地震から、住宅や建築物が壊れることにより被害が拡大することが 指摘されており、平成 7 年に発生した阪神・淡路大震災では、死者 6,400 人のうち約 8 割が倒壊家屋等 による圧死であった被害結果にもその事実が顕著に現れています。そのため、住宅や建築物の耐震化を 進め、壊れにくくすることが、災害応急対策に要する莫大なエネルギーや経費を縮小させるための意義 があります。 そこで、亀山市においても、住宅や建築物の耐震化を迅速かつ計画的に促進させることを目的として、 「亀山市耐震化促進計画(以下、「本計画」という。)」を策定します。 なお、本計画は、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」に基づき、「第1次亀山市総合計画」「亀 山市地域防災計画」及び「三重県耐震改修促進計画」を上位計画とし策定するものです。 ● 耐震化促進計画の計画期間 本計画の計画期間は、平成 27 年度末までとします。ただし、耐震化の実施状況や社会情勢に応じた 柔軟な施策を行なうため、平成 20 年度より当初 4 年間を第 1 次計画期間とし、平成 23 年度末において その成果を検証し計画の内容や目標を見直します。 また、原則として毎年状況に応じた修正を行ないます。 ● 耐震化促進計画において対象とする建築物 本計画では、特に耐震化を促進することが必要である建築物として、次の建築物のうち、建築基準法 の耐震関係規定に適合していないもの(耐震強度が不足している建築物、ただし違反建築物を除く)を 対象に、耐震化を促進していきます。 ① 住宅 市民の生命・財産を守り、地震災害に起因する被害の軽減という視点から最も重要な施設として住 宅の耐震化を積極的に促進していきます。 1 ② 市有建築物 市の所有する公共建築物については、災害時の活動拠点や避難場所等として重要な施設となること から、市総合計画に基づき耐震化を図ります。 ③ 特定建築物 耐震改修促進法(以下、法という。)第 6 条に規定する次の建築物(以下、「特定建築物」という。) について耐震化を促進します。 ア.多数の者が利用する建築物で政令で定める規模以上のもの(法 6 条第 1 号) イ.危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物(法 6 条第 2 号) ウ.本計画において地震発生時に通行を確保すべき道路として指定する沿道の建築物のうち、政令 で定める規模以上のもの(法 6 条第 3 号) 2 想定される地震の規模と被害の状況 ● 亀山市において発生が予想される地震とその規模 亀山市において発生が想定されている地震の内、最も被害が大きいと考えられる東海、東南海・南海 地震が冬の午前5時に発生した場合、家屋の倒壊、火災、土砂災害などに起因する死者が約 52 人以上、 建物被害は、全壊・焼失総数 2,285 棟と甚大な被害が想定されています。 特に、人的被害は建物の被害に起因するものが、その大半を占めることが予想されることから、住宅・ 建築物の耐震化が重要です。 表 東海・東南海・南海地震の揺れによる人的被害 単位:人 死者数 冬 の 負傷者数 罹災者数 避難者数 5 時 52 412 30,526 1,156 1 8 時 29 219 30,700 1,511 春 夏 秋 の 昼 20 143 30,621 1,351 冬 の 出典:「三重県地域防災計画被害想定調査報告書」(平成 17 年 3 月) 表 東海・東南海・南海地震の揺れによる建物被害 揺れ 火災(冬 18 時) 単位:棟数:棟、件数:件 液状化 斜面崩壊 合計 全壊棟数 半壊棟数 出火件数 焼失棟数 全壊棟数 全壊棟数 半壊棟数 1,522 3,488 12 520 119 124 290 全壊・ 焼失棟数 2,285 半壊棟数 3,778 出典:「三重県地域防災計画被害想定調査報告書」(平成 17 年 3 月) 2 II 住宅の耐震化について 1 住宅の耐震化の現状と目標 国では、全国の住宅の耐震化率を平成 27 年度末までに少なくとも 90%にするという目標が打ち出さ れました(平成 15 年度住宅・土地統計調査より推計)。そのような中、亀山市におきましても平成 27 年度までの長期的視野に立ちながら、緊急対策事業としての政策的補助や、周知啓発活動を充実させる ことにより、 第 1 計画期間である平成 23 年度末までに少なくとも 90%になるよう取り組みを進めます。 表 住宅の耐震化の現状と目標 単位:戸 亀山市における住宅戸数推計値 平成 23 年度 平成 27 年度 3,737 2,061 1,385 1,390 2,382 2,374 13,212 16,580 18,812 耐震性のある住宅戸数 (耐震化率) 14,602 (79.6%) 18,962 (90.2%) 21,186 (93.9%) 住宅総数 18,339 21,023 22,571 昭和 55 年 以前 建築 耐震性なし 昭和 56 年 以降 建築 耐震性あり ※ ※ ● 平成 19 年度 住宅土地統計調査及び課税台帳からの推計値です。 耐震化率は年間平均 170 戸あまりの除却、平均 840 戸あまりの新築戸数を含めて算出しています。 木造住宅の耐震化の現状と目標 住宅の中でも、耐震診断の結果「倒壊の危険性が高い」(総合評点が 0.7 未満)とされた木造住宅の耐震化 が最重要かつ緊急の課題であることから、特に積極的に政策的支援を行ない耐震化を図ります。 そのような中、現在、市の補助制度を活用した耐震補強工事の実施率は 2.2%であり、現状のまま推移した とすると平成 27 年度においてもわずか 10.4%に過ぎません。そのようなことからも、耐震補強計画、耐震補強 工事に対する補助の充実を図り、除却工事の補助を新たに行なうなどの施策により、平成 23 年度末までにそ の耐震補強工事実施率を 19%とすることを目標とします。 表 市補助による木造住宅の耐震化率の現状と目標 耐震補強実施率 平成 19 年度 平成 23 年度 平成 27 年度 現行制度の推移 2.2% 5.2% 10.4% 目標 2.2% 19.1% 49.4% zx 50% 40% 補助制度拡大 による増加見 込み 30% 現行 目標 20% 10% 0% 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 (年度) 3 平成 19年度 大震補強と除却費用の 平成23年度 補助により大幅に減少 老朽化により毎年 164 戸減少 耐震性なし住宅 耐震性なし 3,107 戸 耐震性なし A 2,451 戸 A ・4年間で耐震 補強実施率を 約2割まで引 き上げ 耐震補強住宅 67戸 B 耐震補強住宅 467戸 耐震補強実施率19% 耐震補強実施率 2.2% B/A B/A 4 B 2 住宅の耐震化に対する支援策 亀山市では、住宅に対して、耐震診断・耐震補強計画・耐震改修にかかる補助制度を創設し、耐震化 促進税制と併せて支援を行なっています。そのような中、第 1 次計画期間である平成 20 年度から平成 23 年度において「緊急耐震対策・木造住宅補強事業」として新たな制度の設立や拡充を図り、積極的に 住宅の耐震化の促進に努めます。 【木造住宅耐震診断】 昭和 56 年 5 月 31 日以前に着工され、すでに完成している木造住宅を対象に耐震診断を行ないます。 個人負担なし 【木造住宅耐震補強計画】 耐震診断で総合評点 0.7 未満と診断された住宅を 1.0 以上に補強するための計画(設計)に係る費 用に対する補助制度を充実させることにより、補強工事へアプローチするうえでの負担を軽減します。 当該費用の 2/3 を補助 上限 15 万円 【木造住宅耐震補強】 耐震診断で総合評点 0.7 未満と診断された住宅を 1.0 以上に補強するための工事に係る費用に対す る補助制度を充実させることにより、耐震化の促進を図ります。 当該費用の 2/3 を補助 【上限額】 高齢者・低所得者世帯 100 ㎡以上・・・補助金の上限 90 万円+判定料1万円 高齢者・低所得者世帯 100 ㎡未満・・・補助金の上限 75 万円+判定料1万円 上記以外の世帯 100 ㎡以上・・・補助金の上限 60 万円+判定料 1 万円 上記以外の世帯 100 ㎡未満・・・補助金の上限 45 万円+判定料 1 万円 ※低所得者世帯においては、所得金額によりさらに工事費用の 11.5%を加算 【木造住宅除却】 耐震診断で総合評点 0.7 未満と診断された住宅を除却するための工事に係る費用に対する補助を行 なうことにより,耐震化の促進を図ります。 当該費用の 2/3 を補助 上限 30 万円 5 市無料耐震診断の受診 耐震診断の結果、評点 0.7 未満の住宅 除却 耐震補強工事をするか?除却工事をするか? 補強 【補強計画費補助制度】 評点 0.7 未満と診断された住宅を 1.0 以上に補強するための計画に係る費用に対する補助 耐震補強工事をするか?除却をするか? 除却 補強工事 【補強費補助制度】 【除却費補助制度】 評点 0.7 未満と診断された住宅を 1.0 以上に補強するための工事に係る 評点 0.7 未満と診断された住宅を 費用に対する補助 除去するための工事に係る費用 に対する補助 木造住宅の耐震化 6 III 1 市有建築物の耐震化について 市有建築物の耐震化の現状と目標 対象建築物 対象とする建築物は、昭和 56 年 5 月以前に建築された市民が利用する公共施設(非木造については 延べ床面積 200 ㎡を越えるもの。ただし、避難所、市営住宅は全棟とする。)とします。 市有建築物の耐震化の現状 平成 20 年 3 月現在の耐震化の状況は、耐震診断を行った施設 55 棟 のうち、39 棟が「要改修」と診 断され、そのうち改修済みが 29 棟で、改修未済 10 棟の耐震化が必要となっています。 また、耐震診断を行なわず建替え等を検討している施設が 2 棟、要診断は 3 棟となっています。 表 耐震化計画対象市有建築物の耐震化状況 (平成 20 年 3 月末日現在) 診断実施状況 昭和 55 年以前 耐震性なし 未診断 5 診断結果 要診断 耐震化実施状況 3 の 市 有 建 築 物 15 診断せずに建替え 60 等検討 診断済 単位:棟 2 55 要改修 39 耐 震 性 あ り 122 改修不要 改修未済 10 改修済 29 16 昭和 56 年以降 の市有建築物 77 市有建築物の耐震化の目標 耐震改修の必要な建築物のうち、市民が利用する施設については既に多くの施設が耐震化を図り耐震 化率 89.1%となっているが、耐震化重要性が極めて高いことから、第1次計画期間である平成 23 年末 において 100%を目標に耐震化を行ないます。 表 防災上の重要度による分類 市民が利用する公共施設 平成 19 年度 平成 23 年度 耐震化率 89.1% 100% ※上記以外の施設については、平成 27 年度を目途に順次耐震化を図ります。 ※指定文化財については計画の対象といたしません。 7 2 耐震診断結果等の公表 1. 公表の対象 市民が利用する建築物の耐震化については、耐震診断結果及び耐震化の実施状況について公表いたし ます。 表 市有建築物の公表方針 市有建築物 公表の方針 耐震診断の実施状況 公表します。 耐震診断結果 公表します。 耐震改修実施状況 公表します。 2. 公表の方法 市民が利用する建築物の耐震化の状況は、亀山市のホームページにおいて公表し、耐震化の進捗状況 にあわせて更新していきます。 8 IV 特定建築物の耐震化について 1 特定建築物の耐震化の現状と目標 亀山市内の特定建築物は、※法第 6 条第 1 号及び 2 号に該当するものが計 148 棟あり、そのうち耐震 性に欠けると判断されるものについて、市有建築物、県有建築物については平成 23 年度を目処に全棟を、 民間建築物については平成 27 年度を目処に、県と協力のうえ目標の達成を目指します。 なお、※法第 6 条第 3 号に規定される特定建築物については、今後、三重県と協力のうえ調査を実施 し、該当の建築物を特定したうえで、耐震性に欠ける建築物については、全棟の耐震化を目指します。 表 特定建築物の耐震化の状況と目標 (平成 20 年 3 月末日現在) 単位:棟 特定建築物 区分 市有建築物 昭和 56 年以降建築 ① 昭和 55 年以前建築 ② ③耐震性あり ④耐震性なし 合 計 ⑤=① +② 耐震化率(①+③) /⑤ 計 県有建築物 民間建築物 100 15 3 82 48 11 7 30 15 33 7 4 7 0 1 29 148 26 10 112 77.7 84.6 100 74.1 耐震化率 23 年度 85.0 100 100 80.4 の目標 27 年度 90.0 100 100 87.5 ※ 法第 6 条第 1 号 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、老人ホームその他多 数のものが利用する建築物で政令で定めるものであって政令で定める規模以上のもの ※ 法第 6 条第 2 号 火薬類、石油類その他政令で定める危険物であって定める数量以上のものの貯蔵場または処理 場の用途に供する建築物 ※ 法第 6 条第 3 号 地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避 難を困難とするおそれがあるものとして政令で定める建築物であって、その敷地が都道府県耐震改修促進計画に 記載された道路に接するもの 2 特定建築物に対する耐震化の支援策 市有建築物を除く特定建築物の耐震化については、所管行政庁である三重県と協力のうえ、防災上 の重要度・優先度を勘案したうえで、順次計画的に耐震化を促進していきます。また、所有者が積極的 に耐震化に取組める環境整備をします。 9 Ⅴ 建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための施策 1 地震時の建築物の総合的な安全対策に関する事業 ● 家具等の転倒防止対策 家具等の転倒防止対策は、大地震から、自らの命を守るための備えとして、住宅の耐震化とあわせて 非常に重要な対策のひとつです。 亀山市では、平成 16 年度から民生委員、三重県建設労働組合亀山支部の協力を得て、65 歳以上の高 齢者のみの世帯を対象とした「高齢者宅家具等転倒防止対策事業」を、実施しており、今後は更に対象 世帯の拡大を図るなどして、事業の充実に努めます。 また、事業の対象とならない世帯に対しても、地域の防災研修会や広報誌、ホームページ等を通じて、 家具転倒防止対策の重要性を広報するとともに、取付け方の説明会を開催するなどして、市民自らが取 り組める対策として、市民生活への浸透を図ります。 2 地震防災マップ作成・公表 亀山市では、避難所、避難場所等を明示した「防災マップ」を作成のうえ全戸に配布いたします。 防災マップは、市民、また市外からの就労者や通学者、 観光者など、1人ひとりが亀山市における災害の危険性を 認識し、有事に際する円滑な避難行動やその対策をとるた めの情報源のひとつとして活用いただくものとして一般に 公開いたします。 3 ● 情報提供の充実 広報・ケーブルテレビの活用 建築物の耐震化を含めた防災に関する情報や各種対策事業、補助制度などについて、広報誌、ケーブ ルテレビ文字情報、市ホームページ等を積極的に活用するなどして広報活動の充実を図ります。 ● 研修会・講習会等の開催 耐震化促進のための周知広報活動は、地域に根ざした活動が最も効果的であることから、自治会(自 主防災組織)、各種団体単位での「地域防災研修会」などの開催を推進し、耐震化の必要性を周知広報 いたします。 また、「耐震化の方法が分からない。」「専門家から直接話を聞いてみたい」といったより具体的な 10 市民のニーズに応えるため、市内の建築士等で構成される 「亀山耐震推進委員会」の協力のもと、定期的に「住宅耐 震相談会」を開催し、個別相談にも対応していきます。 4 自治会、自主防災組織等との連携 住宅・建築物の耐震化をはじめ、地震災害に強い安心・安全のまちづくりを実現するためには、市民 1人ひとりが「自らの命は自らが守り、地域の安全は地域で守る」といった意識の醸成のもと、自治会 や自主防災組織などの地域組織が中心となって、住宅・建築物の耐震化や地震防災対策に地域ぐるみで 取り組むことが重要です。 亀山市においては、地域組織が実施する研修会やタウンウォッチング、防災訓練などの諸活動に対し て、亀山耐震推進委員会、みえ防災コーディネーター等の専門家と協力して地域支援を行っていきます。 また、自主防災組織による活動マニュアルとして「自主防災リーダーハンドブック」を作成、配布し、 防災活動、耐震化の促進を円滑に進めることが出来るよう組織強化を促進します。 11 12
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