2.構造設計の流れ

建築基準法の構造に関する規定
法第20条 建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土
圧および水圧ならびに地震その他の振動および衝撃
に対して安全な構造のものとして、次に定める基準に
適合するものでなければならない。
一 建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定
める技術的基準に適合すること。
二 次に掲げる建築物にあっては、前号に定めるものの
ほか、政令で定める基準に従った構造計算によって
確かめられる安全性を有すること。
イ (略)
ロ (略)
2.構造設計の流れ
教科書2章、4章
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建築物に作用する荷重と外力 (p.28~)
 固定荷重(G)
 積載荷重(P)
 積雪荷重(S)
 風荷重(風圧力)(W)
固定荷重
 地震荷重(地震力)(K)
 土圧、水圧、etc
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構造設計の流れと構造計画
荷重・外力の組み合わせ (p.37)
状態
長期
積載荷重
短期
一般
常時
G+P
積雪時
積雪時 G+P+S
暴風時 G+P+W
地震時 G+P+K
多雪地域
G+P
G+P+0.7S
G+P+S
G+P+0.35S+W
G+P+0.35S+K
地震力・風圧力
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構造設計の流れと構造計画
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構造設計の流れと構造計画
荷重に対する設計の目標
各種の構造設計法
 常時荷重
 許容応力度設計法 (p.31-)
 終局強度設計法 (p.37-)
 限界状態設計法(信頼性設計)
 性能基盤(評価)型設計法
 限界耐力計算
 時刻歴応答解析
使用性・・・大きなひび割れや変形・振動など
の障害を防ぐ
 まれに生じる荷重(短期荷重)
修復性・・・荷重状態が終了した後、建物本来
の機能が素早く容易に復旧できるよう損傷
を一定以内に留める
 極めてまれに生じる荷重(大地震)
実際の設計では、これらの設計法を建物の種
類や検証する性能に応じて組み合わせて使
用している
安全性・・・人命を損なうような崩壊を起こさせ
ない
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構造設計の流れと構造計画
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構造設計の流れと構造計画
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許容応力度設計法
建築基準法の耐震設計
 概要:
材料レベルで
(荷重による応力度)<(許容応力度)を確認
 長所:
 弾性応力解析でできる(手計算可能)
 満足すべきクライテリアは明快
 許容応力度設計の目標:
中小地震で,大きな損傷を生じさせない
弾性設計(使用性,修復性)
 大地震に対しては,2次設計(限界耐力計算)
水平力
地震力
 短所:
 安全率の根拠や意味が明示的でない
 達成される構造物の性能(や余裕度)がよく分から
ない
 非線形(塑性レベル)の性能は評価できない
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構造設計の流れと構造計画
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終局
2次設計
降伏
1次設計
層せん断力
ひび割れ
水平変形
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構造設計の流れと構造計画
終局強度設計法
限界状態設計法(信頼性設計)
 概要:
部材レベルで
(応力・応答変形)<(終局強度・変形能力)を確認
 長所:
 概要:
構造物全体(部材)の
(破壊確率)<(許容破壊確率)を確認
 長所:
 終局的な破壊に対する安全性が検証できる
 構造物の破壊過程や崩壊形を理解しやすい
 確定論(壊れる/壊れない)でなく、確率的に安全性
が評価できるので、性能の比較が可能
 複数の限界状態(使用、修復、安全)を設定可能
 短所:
 短所:
 非線形(塑性レベル)解析が必要
 部材の終局強度、塑性変形能力を求める必要
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構造設計の流れと構造計画
 荷重や部材(材料)強度の統計値が必要
 構造物全体の破壊確率を求めるには、複雑な計算
が必要
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性能基盤(評価)型設計法
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構造設計のフロー(建築基準法)
 概要:
構造物(部材)が各限界状態における
(目標性能)を満足することを確認
 長所:
構造計画
構造物の設計方針の決定
超高層建築物 or 特別の構造方法
 構造物に付与すべき目標性能が明示されるので、
設計により達成される性能がわかりやすい(専門家
だけでなく、ユーザーにも)
構造計算
許容応力度計算
 構造物の性能は多岐に渡るので、検証作業も多く
なりがち
 性能を定量化し、計算で検証できる形にするのが
難しい評価項目もある(ex.耐久性、居住性)
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仕様規定
YES
NO
限界耐力計算
限界耐力計算と
同等の検証法
 短所:
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構造設計の流れと構造計画
特別な検証法
時刻歴応答解析
など
耐久性などの規定
大臣認定
適合性判定  建築確認
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限界耐力計算等による設計のフロー(p.106)
構造計画 (P.107-)
 構造計画とは、建築物に求められる性
能を与えるため、
構造計画(4.2節)
断面・配筋の仮定
準備計算(4.3節)




断面・配筋の変更
使用限界に対する検討(4.4節)
・弾性骨組解析
損傷、安全限界に対する検討
(4.6節)
構造性能の目標の設定
構造形式・使用材料
架構・構造部材の配置
部材の形状・寸法
などを決定する最初の造形作業
・弾塑性骨組解析
・限界耐力計算
最も経験と直感が必要とされる。
構造図の作成(4.8節)
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構造形式・使用材料
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スーパーラーメン
 材料・構造の選択:
 RC造、PC造、S造、木造、ケーブル構造、
膜構造…
 構造形式:
 ラーメン、耐震壁付ラーメン、壁式構造、フ
ラットスラブ、シェル…
東京都庁舎
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構造設計の流れと構造計画
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PCスーパーラーメン
吊り構造の建築
ミネアポリス連邦準備銀行
テッド・デファンス(新凱旋門)
香港上海銀行
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ブロック割とエキスパンションジョイント
スパン割と梁の配置
 複雑な平面や長大な平面は、Exp.Jでブ
ロックに分ける。
 スパン:6-7mが一般的に経済的
 柱の支配面積:20-50m2
 長い建物は60m程度以下に分ける
(乾燥収縮や温度応力、複雑な地震応答)
 L型、コ型平面は、長方形になるように分け
る
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大スパンにする場合は、
 梁・柱を太くする
 直交方向のスパンを小さくする
 大スパンの両側に小スパンを設ける
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梁の形状寸法
柱の形状寸法
 梁せい:スパンの1/10-1/12
 剛比:柱の70%以上とする
 スパンが5mを超える場合は小梁をかけ
る
 上層階や大スパンの梁は、常時荷重が
厳しくなるが、下層階や短スパン梁は地
震時応力で配筋が決まることが多い。
 短スパン梁はせん断力が大きくなるので、
せん断設計が重要。
 断面積:
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構造設計の流れと構造計画
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構造設計の流れと構造計画
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平均軸応力度が1-2N/mm2程度以下
せん断力係数1.0に対する平均せん断応力
度1-2N/mm2程度以下が望ましい
 形状:
短柱(h/D<3)は避ける
構造設計の流れと構造計画
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構造設計の流れと構造計画
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志賀マップ
耐震壁の配置
 構造物の剛性・耐力を支配する重要な
構造要素
 平面・立面的なバランスの良い配置
 過去の地震では,壁率30cm2/m2以下の
建物に被害
 高さ方向に連層壁にする
 平面内で均等にバランスよく配置
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構造設計の流れと構造計画
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平面内の剛性のバランスが悪い例
剛心
高さ方向の剛性のバランスが悪い例
重心
せん断破
壊
平面内の偏心
高さ方向の剛性の不均一(ピロティ)
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1995兵庫県南部地震の被害
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構造設計の流れと構造計画
最近の高層RC造建物の構造計画
 純フレーム、チューブ、コア壁およびそれらの組み合わせ
展開
チューブ架構
複合
ピロティ部の層崩壊
30~50F
コア壁架構
(1995兵庫県南部地震)
制震化
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他構造との
組み合わせ
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