建築基準法の構造に関する規定 法第20条 建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土 圧および水圧ならびに地震その他の振動および衝撃 に対して安全な構造のものとして、次に定める基準に 適合するものでなければならない。 一 建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定 める技術的基準に適合すること。 二 次に掲げる建築物にあっては、前号に定めるものの ほか、政令で定める基準に従った構造計算によって 確かめられる安全性を有すること。 イ (略) ロ (略) 2.構造設計の流れ 教科書2章、4章 2010/4/21 建築物に作用する荷重と外力 (p.28~) 固定荷重(G) 積載荷重(P) 積雪荷重(S) 風荷重(風圧力)(W) 固定荷重 地震荷重(地震力)(K) 土圧、水圧、etc 2 構造設計の流れと構造計画 荷重・外力の組み合わせ (p.37) 状態 長期 積載荷重 短期 一般 常時 G+P 積雪時 積雪時 G+P+S 暴風時 G+P+W 地震時 G+P+K 多雪地域 G+P G+P+0.7S G+P+S G+P+0.35S+W G+P+0.35S+K 地震力・風圧力 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 3 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 荷重に対する設計の目標 各種の構造設計法 常時荷重 許容応力度設計法 (p.31-) 終局強度設計法 (p.37-) 限界状態設計法(信頼性設計) 性能基盤(評価)型設計法 限界耐力計算 時刻歴応答解析 使用性・・・大きなひび割れや変形・振動など の障害を防ぐ まれに生じる荷重(短期荷重) 修復性・・・荷重状態が終了した後、建物本来 の機能が素早く容易に復旧できるよう損傷 を一定以内に留める 極めてまれに生じる荷重(大地震) 実際の設計では、これらの設計法を建物の種 類や検証する性能に応じて組み合わせて使 用している 安全性・・・人命を損なうような崩壊を起こさせ ない 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 4 5 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 6 1 許容応力度設計法 建築基準法の耐震設計 概要: 材料レベルで (荷重による応力度)<(許容応力度)を確認 長所: 弾性応力解析でできる(手計算可能) 満足すべきクライテリアは明快 許容応力度設計の目標: 中小地震で,大きな損傷を生じさせない 弾性設計(使用性,修復性) 大地震に対しては,2次設計(限界耐力計算) 水平力 地震力 短所: 安全率の根拠や意味が明示的でない 達成される構造物の性能(や余裕度)がよく分から ない 非線形(塑性レベル)の性能は評価できない 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 7 終局 2次設計 降伏 1次設計 層せん断力 ひび割れ 水平変形 2010/4/21 8 構造設計の流れと構造計画 終局強度設計法 限界状態設計法(信頼性設計) 概要: 部材レベルで (応力・応答変形)<(終局強度・変形能力)を確認 長所: 概要: 構造物全体(部材)の (破壊確率)<(許容破壊確率)を確認 長所: 終局的な破壊に対する安全性が検証できる 構造物の破壊過程や崩壊形を理解しやすい 確定論(壊れる/壊れない)でなく、確率的に安全性 が評価できるので、性能の比較が可能 複数の限界状態(使用、修復、安全)を設定可能 短所: 短所: 非線形(塑性レベル)解析が必要 部材の終局強度、塑性変形能力を求める必要 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 荷重や部材(材料)強度の統計値が必要 構造物全体の破壊確率を求めるには、複雑な計算 が必要 9 性能基盤(評価)型設計法 2010/4/21 構造設計のフロー(建築基準法) 概要: 構造物(部材)が各限界状態における (目標性能)を満足することを確認 長所: 構造計画 構造物の設計方針の決定 超高層建築物 or 特別の構造方法 構造物に付与すべき目標性能が明示されるので、 設計により達成される性能がわかりやすい(専門家 だけでなく、ユーザーにも) 構造計算 許容応力度計算 構造物の性能は多岐に渡るので、検証作業も多く なりがち 性能を定量化し、計算で検証できる形にするのが 難しい評価項目もある(ex.耐久性、居住性) 構造設計の流れと構造計画 11 仕様規定 YES NO 限界耐力計算 限界耐力計算と 同等の検証法 短所: 2010/4/21 10 構造設計の流れと構造計画 特別な検証法 時刻歴応答解析 など 耐久性などの規定 大臣認定 適合性判定 建築確認 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 12 2 限界耐力計算等による設計のフロー(p.106) 構造計画 (P.107-) 構造計画とは、建築物に求められる性 能を与えるため、 構造計画(4.2節) 断面・配筋の仮定 準備計算(4.3節) 断面・配筋の変更 使用限界に対する検討(4.4節) ・弾性骨組解析 損傷、安全限界に対する検討 (4.6節) 構造性能の目標の設定 構造形式・使用材料 架構・構造部材の配置 部材の形状・寸法 などを決定する最初の造形作業 ・弾塑性骨組解析 ・限界耐力計算 最も経験と直感が必要とされる。 構造図の作成(4.8節) 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 13 構造形式・使用材料 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 14 スーパーラーメン 材料・構造の選択: RC造、PC造、S造、木造、ケーブル構造、 膜構造… 構造形式: ラーメン、耐震壁付ラーメン、壁式構造、フ ラットスラブ、シェル… 東京都庁舎 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 15 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 16 PCスーパーラーメン 吊り構造の建築 ミネアポリス連邦準備銀行 テッド・デファンス(新凱旋門) 香港上海銀行 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 17 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 18 3 ブロック割とエキスパンションジョイント スパン割と梁の配置 複雑な平面や長大な平面は、Exp.Jでブ ロックに分ける。 スパン:6-7mが一般的に経済的 柱の支配面積:20-50m2 長い建物は60m程度以下に分ける (乾燥収縮や温度応力、複雑な地震応答) L型、コ型平面は、長方形になるように分け る 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 19 大スパンにする場合は、 梁・柱を太くする 直交方向のスパンを小さくする 大スパンの両側に小スパンを設ける 2010/4/21 梁の形状寸法 柱の形状寸法 梁せい:スパンの1/10-1/12 剛比:柱の70%以上とする スパンが5mを超える場合は小梁をかけ る 上層階や大スパンの梁は、常時荷重が 厳しくなるが、下層階や短スパン梁は地 震時応力で配筋が決まることが多い。 短スパン梁はせん断力が大きくなるので、 せん断設計が重要。 断面積: 2010/4/21 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 21 構造設計の流れと構造計画 20 平均軸応力度が1-2N/mm2程度以下 せん断力係数1.0に対する平均せん断応力 度1-2N/mm2程度以下が望ましい 形状: 短柱(h/D<3)は避ける 構造設計の流れと構造計画 22 構造設計の流れと構造計画 24 志賀マップ 耐震壁の配置 構造物の剛性・耐力を支配する重要な 構造要素 平面・立面的なバランスの良い配置 過去の地震では,壁率30cm2/m2以下の 建物に被害 高さ方向に連層壁にする 平面内で均等にバランスよく配置 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 23 2010/4/21 4 平面内の剛性のバランスが悪い例 剛心 高さ方向の剛性のバランスが悪い例 重心 せん断破 壊 平面内の偏心 高さ方向の剛性の不均一(ピロティ) 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 25 1995兵庫県南部地震の被害 2010/4/21 26 構造設計の流れと構造計画 最近の高層RC造建物の構造計画 純フレーム、チューブ、コア壁およびそれらの組み合わせ 展開 チューブ架構 複合 ピロティ部の層崩壊 30~50F コア壁架構 (1995兵庫県南部地震) 制震化 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 27 他構造との 組み合わせ 2010/4/21 構造設計の流れと構造計画 28 5
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