12. タイ国におけるエコタウンモデル地域の基本構想の提案 上記の検討を踏まえ、タイ国の循環型社会地域形成モデル地域における「タイ国版エ コタウン」の基本構想をタイ国側に提案した。なお、タイ側との協議の結果、対象地区 としてラヨン県とアユタヤ県を対象として構想を検討することとしたが、主にラヨン県 を対象に検討した。 12.1 本構想の目的と位置付け ここで示すエコタウンのプランは、タイ国で今後、展開が望ませるイメージと推進 方策について示すことである。この構想は、タイ国側に提示することにより、今後の 日タイのエコタウン協力プログラムを検討するための検討資料として提供するもの である。 12.2 検討対象地域の概要 担当対象地域として DIW が推奨するアユタヤ県とラヨン県を対象とした。 アユタヤ県 ラヨン県 97 図 12.1 アユタヤ県、ラヨン県の位置関係図 1) ラヨン県 Capital: Rayong city 面積:- Total 3,552.0 km2 (1,371.4 sq mi) 人口: 522,133 人 (2000 年) 1. ムアンラヨーン郡 2. バーンチャーン郡 3. クレーン郡 4. ワンチャン郡 5. バーンカーイ郡 6. プルワックデーン郡 7. カオチャマオ郡 8. ニコムパッタナー郡 [工業団地リスト] 団地番号 工業団地名 33 Amata City Rayong 34 Map Ta Phut Industrial Estate 35 Siam Eastern Industrial Park 36 Thai Singapore 21 37 Padaeng Industrial Estate 38 G.K.Land Industrial Park 39 C.P.Industrial Estate(Rayong) 40 T.C.C.Industrial Park 41 Eastern Seaboard Industrial Estate(Rayong) 42 Eastern Industrial Estate Pic. (Map Ta Phut) 43 Rayong Industrial Land 44 Rojana Industrial Park(Rayong) 45 SSP Industrial Park 2) アユタヤ県 県庁所在地 アユタヤ郡 面積 2,556.6 km² 人口 727,277 人 (2000 年) 98 1. プラナコーンシーアユッタヤー郡 2. タールア郡 3. ナコーンルワン郡 4. バーンサイ郡 5. バーンバーン郡 6. バーンパイン郡 7. バーンパハン郡 8. パックハイ郡 9. パーチー郡 10. ラートブワルワン郡 11. ワンノーイ郡 12. セーナー郡 13. バーンサーイ郡 14. ウタイ国郡 15. マハーラート郡 16. バーンプレーク郡 [工業団地リスト] 団地番号 工業団地名 11 Bangpa-in Industrial Estate 12 Chutikam Factory House Industrial Estate 13 Saha Rattana Nakorn 14 Hi-Tech Industrial Estate 15 Rojana Industrial Park(Ayutthaya) 99 ラヨン県の都市廃棄物 Province Municipality Municipality Component of Municipal Waste (percent by weight) Food Rayong Paper Plastic Glass Metal ubber/Leath Fabric Wood/LeafRock/Ceramic Number of Population Household (person) s Other Volume of Municipal Waste (tons/day) Solid Waste Generation Rate (kg/capita/day) 1. Rayong CM 1. Rayong CM 48.73 18.03 17.27 10.51 0.88 0.10 0.41 0.10 - 3.97 100.00 21,657 55,240 78.44 1.42 2. Map Ta Phut TM 2. Map Ta Phut TM 44.00 17.45 15.61 7.81 1.41 0.60 4.65 4.10 1.47 2.90 100.00 21,103 31,626 100.89 3.19 3. Klaeng Kachet SM 4. Chum Saeng SM - - - - - - - - - - 0.00 1,729 6,254 3.88 0.62 3. Klaeng Kachet SM 4. Chum Saeng SM 5. Mueang Klaeng 6. Thung Khwai Kin 7. Pak Nam Krasae 8. Sunthorn Phu 9. Samnak Thon 10. Ban Chang 11. Ban Khai 12. Ban Phe 13. Kong Din 14. Jompol Chao Phraya 15. Pluak Daeng 16. Map Kha SM Average SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM 5. Mueang Klaeng SM 6. Thung Khwai Kin SM 7. Pak Nam Krasae SM 8. Sunthorn Phu SM 9. Samnak Thon SM 10. Ban Chang SM 11. Ban Khai SM 12. Ban Phe SM 13. Kong Din SM 14. Jompol Chao Phraya SM 15. Pluak Daeng SM 16. Map Kha SM - - - - - - - - - - 0.00 1,150 2,930 1.58 0.54 20.00 10.00 25.00 20.00 5.00 2.00 3.00 5.00 5.00 5.00 100.00 4,301 19,004 43.33 2.28 43.00 12.85 16.15 4.48 5.21 1.18 1.28 9.90 4.27 1.68 100.00 1,835 6,849 5.82 0.85 44.00 8.32 23.26 6.55 0.33 0.33 0.00 9.16 1.33 6.72 100.00 1,421 5,687 4.49 0.79 60.00 40.00 46.00 45.00 47.00 20.00 5.00 12.50 15.05 10.78 16.34 15.00 10.00 12.50 21.94 18.07 9.49 15.00 1.00 10.00 0.00 5.00 3.28 10.00 8.00 5.00 5.57 4.39 1.26 10.00 3.00 2.50 0.00 0.00 1.10 10.00 2.00 2.50 4.55 5.00 0.81 5.00 9.00 10.00 5.32 9.16 11.79 10.00 1.00 5.00 0.00 0.00 4.53 5.00 1.00 1.57 2.60 4.40 - 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 5,380 1,524 5,198 926 2,945 1,023 13,820 7,870 15,192 3,040 14,715 5,023 8.15 4.49 20.05 1.82 8.83 3.06 0.59 0.57 1.32 0.60 0.60 0.61 40.00 5.00 10.00 10.00 5.00 10.00 10.00 0.00 10.00 - 100.00 318 1,975 2.29 1.16 41.00 25.00 563.73 40.27 13.98 25.00 185.30 13.24 12.43 28.00 234.72 16.77 3.84 3.00 95.47 6.82 7.09 1.00 60.14 4.30 0.19 5.00 36.00 2.57 5.45 2.00 46.65 3.33 9.68 9.00 102.21 7.30 1.56 1.00 40.16 2.87 4.78 1.00 35.62 2.54 100.00 100.00 1400.00 100.00 549 2,090 2,604 4,492 1.72 8.00 0.66 1.78 73,149 196,321 296.85 1.51 100 アユタヤ県の都市廃棄物 Province Municipality Phra Nakhon 1. Nakhon Si Si Ayutthaya Ayutthaya Ayutthaya 2. Sena 3. Lat Cha Do 4. Hua Wiang 5. Ban Sang 6. Maha Phram 7. Ratchakhram 8. Nakhon Luang 9. Ayothaya 10. Phak Hai 11. Aranyik 12. Bang Sai 13. Maha Rat 14. Lat Bua Luang 15. Uthai 16. Bang Pahan 17. Ban Phraek 18. Ban Len 19. Phra Intha Racha 20. Bang Ban 21. Bang Sai 22. Lam Ta Sao 23. Tha Ruea 24. Chao Chet 25. Rong Chang 26. Tha Luang 27. Phachi Average Component of Municipal Waste (percent by weight) Municipality CM TM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM SM 1. Nakhon Si Ayutthaya CM 2. Sena TM 3. Lat Cha Do SM 4. Hua Wiang SM 5. Ban Sang SM 6. Maha Phram SM 7. Ratchakhram SM 8. Nakhon Luang SM 9. Ayothaya SM 10. Phak Hai SM 11. Aranyik SM 12. Bang Sai SM 13. Maha Rat SM 14. Lat Bua Luang SM 15. Uthai SM 16. Bang Pahan SM 17. Ban Phraek SM 18. Ban Len SM 19. Phra Intha Racha SM 20. Bang Ban SM 21. Bang Sai SM 22. Lam Ta Sao SM 23. Tha Ruea SM 24. Chao Chet SM 25. Rong Chang SM 26. Tha Luang SM 27. Phachi SM Metal ubber/Leath Fabric Volume of Number of Population Municipal Household (person) Waste s (tons/day) Wood/LeafRock/Ceramic Other Solid Waste Generation Rate (kg/capita/day) Food Paper Plastic Glass 73.65 6.24 10.17 6.89 0.80 0.26 0.62 0.73 0.64 - 100.00 16,512 60,853 54.77 0.90 20.00 30.00 60.00 50.00 20.00 40.00 15.00 15.00 57.00 10.00 25.00 80.00 50.00 22.50 - 10.00 40.00 2.50 6.70 15.00 15.00 30.00 30.00 6.00 10.00 4.00 1.00 8.00 10.00 - 50.00 10.00 2.50 3.30 15.00 10.00 30.00 20.00 10.00 35.00 12.00 7.00 25.00 7.50 - 5.00 3.00 2.50 11.33 5.00 10.00 5.00 6.00 4.00 15.00 10.00 2.00 3.00 50.00 - 1.00 2.00 2.50 0.30 5.00 5.00 10.00 7.00 0.40 5.00 10.00 1.00 2.50 0.00 - 3.00 0.00 2.50 6.70 5.00 3.00 2.00 3.00 0.20 5.00 5.00 1.00 1.00 0.00 - 2.00 0.00 5.00 1.70 10.00 2.00 3.00 4.00 1.40 5.00 15.00 2.00 1.00 5.00 - 0.00 10.00 10.00 16.70 5.00 5.00 0.00 4.00 10.00 5.00 10.00 5.00 5.00 5.00 - 2.00 5.00 10.00 3.27 10.00 5.00 5.00 10.00 11.00 5.00 8.00 1.00 1.00 - 7.00 0.00 2.50 10.00 5.00 1.00 5.00 1.00 0.00 3.50 - 0.00 100.00 100.00 100.00 0.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 0.00 1,108 1,942 1,224 948 1,466 967 1,482 5,120 2,347 1,730 1,908 835 375 1,100 1,474 706 * 5,159 8,523 5,483 2,407 5,908 4,719 6,817 18,531 9,957 7,179 8,915 2,750 2,107 3,000 4,420 2,254 7,948 8.00 5.20 3.45 2.00 3.60 2.97 4.02 15.94 5.58 4.31 5.26 2.01 1.29 2.22 19.89 3.00 4.85 1.55 0.61 0.63 0.83 0.61 0.63 0.59 0.86 0.56 0.60 0.59 0.73 0.61 0.74 4.50 1.33 0.61 67.00 13.27 15.38 - - - - - - 4.35 100.00 2,725 5,855 3.51 0.60 5.00 45.00 20.00 17.00 722.15 36.11 5.00 10.00 10.00 6.67 239.38 11.97 30.00 15.00 20.00 8.33 336.18 16.81 10.00 5.00 5.00 8.33 167.05 8.35 15.00 2.00 5.00 16.67 91.17 4.56 5.00 2.00 5.00 23.33 72.99 3.65 5.00 5.00 5.00 3.33 76.05 3.80 5.00 10.00 30.00 6.67 143.10 7.16 5.00 1.00 1.67 84.58 4.23 15.00 5.00 8.00 67.35 3.37 100.00 100.00 0.00 0.00 0.00 100.00 100.00 0.00 2,000.00 100.00 1,967 1,385 * * 2,367 1,137 3,454 * 8,833 5,527 16,700 7,469 10,637 3,921 10,357 6,618 1.59 9.75 9.02 5.98 8.00 1.55 6.21 5.03 54,279 242,847 198.99 0.18 1.76 0.54 0.80 0.75 0.40 0.60 0.76 #DIV/0! 0.82 (工業団地の産業廃棄物関連データは一部入手、整理中) 101 12.3 モデル地域の廃棄物処理・リサイクルの現状と課題 (1) 都市廃棄物管理の課題 ラヨン県及びラヨン市では、都市廃棄物について非常に積極的である。リサイクル 又は Waste to Energy による統合的廃棄物処理システムの整備を進めようとしている。 ラヨンでは非常に野心的な Waste to Energy を中心の統合的廃棄物処理システムを導入 しているが、運転維持管理上の問題を抱えている。ラヨン LAO は、統合的な施設の 建設を開始したところである。 埋立処分を少なくすることを目的とした統合的廃棄物管理を進める上では、ごみの 分別管理、異物の投入防止などのため、地域住民の協力が不可欠である。また、容器 包装、プラスチックなどのリサイクルなどでの民間企業との連携なども必要となって いる。医療系廃棄物の適正な処理は依然として重要な課題である。また、家庭系の有 害廃棄物、廃油の分別管理が課題になっている。 また、それぞれの運営管理能力を高めることが望まれる。 (2) 製品系廃棄物管理の課題 廃家電、電子機器、蛍光管などがリサイクル対象として課題になってきている。た だし、廃家電や廃電子機器は古物商、中古品市場に流れていることもあり、廃棄物と してはほとんど排出していない状況である。 これら廃棄物には有害・危険物質を含む場合もあり、製造業者、輸入業者による引 取とリサイクルが課題になっている。ただし、希少金属、水銀などの精錬工場がない ためリサイクルの輪を国内で完結することが難しいことから、海外も含めた回収ルー トの形成が課題になっている。なお、亜鉛の精錬工場は Padaeng Industry の 1 社あり、 廃電池のリサイクルに対応できるかどうか検討の余地がある。 なお Samut Prakan の工業団地で製造業者が WEEE の一部(例えば蛍光灯)の引取を 行っている。 (3) 産業廃棄物管理の課題 ラヨン県の製造業は、小さな工場は除きほとんどが工業団地内に立地している。そ れに伴い産業廃棄物が発生している。有害廃棄物については、県外で処分している。 有害廃棄物で熱処理が必要なバンカースラッジ、油スラッジ、廃溶剤、その他有機系 有害廃棄物について、県内に適当な施設がない。一部、廃油や廃溶剤は、県外に立地 しているセメント工場で処理しているケースもある。また、県内にあった有害廃棄物 の埋立施設が、満杯となり終了しており、目下のところ県内には処分場施設がない。 非有害系産業廃棄物のリサイクルな容易な、例えば金属、プラスチック類はリサ イクルされているが、排水処理汚泥類は、県外で埋立処分されている。工場から排出 する一般の廃棄物は、団地内に設置されている焼却施設で処理することになっている。 工業団地(industrial complex)ごとに非有害系の廃棄物の処理・リサイクルの努力がな 102 されている。 団地内で処理できない汚泥等の廃棄物は、ラヨン県では処分できないため県外の隣 のチョンブリ県にある産業廃棄物処理業者の処分場で処分されている。これらの処分 場の県内の確保、また、リサイクルの促進が課題となっている。 (4) 循環型社会への課題 地方自治体及び製造業等産業廃棄物発生源は、それぞれの廃棄物の適正な処理・リ サイクルすることを基本としつつも、自治体、発生源のみではリサイクル等は完結し ない。 ○ 都市廃棄物・医療廃棄物 都市廃棄物、医療廃棄物のリサイクルでは利用先の確保が必要である。都市廃棄物 からの有機物のエネルギー利用又はコンポスト利用、可燃性残渣(紙やプラスチック) の燃料化(RDF 化)などの可能性があるが、それぞれの利用先との連携が必要になる。 例えば利用先として、コンポストの場合には農地、また、RDF の場合はそれを利用す る発電施設ないしはセメント施設との連携が必要になる。 ただし、ラヨン県全体でも 300 トン/日であり、産出可能な RDF も 50~60 トン程度 であり、地区内の RDF 発電施設は現実的ではない。セメントの代替燃料としての利用 が考えられる。 (ラヨン市でガス化炉があるが、未だ評価する段階ではない) 医療廃棄物については、焼却処理などの滅菌処理が必要になるが、主に病院単位で 焼却しているが、十分な排ガス対策のない焼却施設で処理しており、処理のレベルを 上げることが望まれる。このため例えば工業団地の焼却炉、又は電炉での処理の可能 性がある。 家庭の中の有害系廃棄物である乾電池、蛍光灯、殺虫剤容器、洗剤容器等にあるが、 都市廃棄物として処分されており、その処理方法が課題となっている。 ○ 製品系廃棄物 ラヨン県における処理状況について十分に把握していないが、特に工場で発生する 蛍光灯、また、電子機器の二次電池などは回収が不十分であると想定される。 これらは回収には、メーカーの協力が不可欠であり、また、工業団地単位で処理す ることは経済性を考慮すると困難なことから、広域的な処理体制の構築が課題となる。 ○ 産業廃棄物 処理及びリサイクルが容易な廃棄物は、可能な限り工業団地内で対応しているが、 工業団地内で焼却処理しているところもあるが、エネルギー利用になっておらず、今 後、そのエネルギー利用も課題となろう。また、工業団地内で処理しきれない産業廃 棄物の埋立処分を可能な限りリサイクルすることにより処分ゼロを目指すことが課題 となる。特に主に埋立処分されている排水汚泥類や廃プラスチック類のリサイクル、 また、有害廃棄物(有害物質の廃容器、廃溶剤、廃油、油泥等)の熱処理・リサイク 103 ルが望まれる。 12.4 エコタウンに適用可能な3R システムの検討 次のような方式が挙げられるが、タイで検討の余地があるのは限られる。 表 12.1 タイへの3R 方策の展開の可能性 項目 家電リサイクル 排出源、排出状況 適用可能性 電気冷蔵庫、電気洗濯機、 廃家電リサイクルの法がな クーラーの排出量が少な いため当面、困難であるが、 いが、今後、テレビが出て 部分的試行 くる ペットボトルリサイクル 増えつつある。 ペットボトルリサイクル(PtoP) 可能性があるのではないか 法的な裏付けがないと無理 発砲スチロールリサイクル 使用されていない。 ニーズがないであろう。 自動車リサイクル 未だ廃車が発生しない。 リユースされているので、 今のところニーズなし 生ゴミリサイクル 都市廃棄物として パイロットレベルで実施済み MBT としての試験あり 食品廃棄物メタン発酵 都市廃棄物として パイロットレベルで実施済み 食品廃棄物飼料化 工業系残さ 可能性あり 廃タイヤ 余り出ていない。燃料等で セメント工場で利用済 の利用。 OA 機器リサイクル 情報機器リサイクル 既にメーカーの引き取り メーカーレベルで対応が進 が進展 む。 未だ廃棄が少ない 法律的な裏付けないと時期 尚早 E-waste リサイクル 未だ廃棄が少ない 時期尚早であるが、試行を 開始している。 RDF 化 都市廃棄物 MBT を絡ませての可能性 あり 焼却灰のリサイクル 発生しない × 溶融飛灰のリサイクル 発生しない × 建設廃棄物リサイクル 解体除却が未だ 時期尚早 非鉄金属のリサイクル 電炉ダスト、スラグのリサクル 廃プラスチックの油化 廃プラスチックの RPF 化 処理費が安いため時期尚早 工業系の廃プラスチック等で可 検討の余地あり。 能性あり 104 項目 排出源、排出状況 適用可能性 廃プラスチック高炉還元剤 容器包装系 高炉がないので× 廃プラスチックコークス原料化 同上 コークス炉がないので× 廃プラスチックアンモニア原料化 同上 法律的な裏付けないと時期 尚早、工業系で検討余地 塩ビリサイクル 工業系 廃プラスチック利用建材 廃木材と良質の廃プラスチック 時期尚早 ガラスびんリサイクル 既に機能している 特別な措置不要 空き缶リサイクル 既に機能している 同上 廃木材の炭化 廃木材の発生がない ニーズがない 廃木材のエタノール化 同上 ニーズがない 難再生古紙リサイクル 過剰に古紙回収される場 そのような状況ではないた 蛍光管リサイクル 可能性はあり 合 め難しい 工場 部分的に実施、さらに可能 性あり。 食用油再生(BDF 化) 都市廃棄物として 蓄電池リサイクル 自動車、既に実施 追加措置不要 2次電池リサイクル 必要性がこれから 検討の余地ありか? RDF 焼却発電 都市廃棄物 今後の可能性 有害廃棄物用焼却炉 不十分 今後、要検討 医療廃棄物の処理リサイクル 焼却処理 検討の余地あり。 下支えする法律がないと実際には機能しないリサイクル・システムが確立しない ものが多いが、それらを除くと、当面、検討余地のある方式は限られる。 以下が検討の余地がある。 z 都市廃棄物の中の生ごみ、食品廃棄物のリサイクル、また、可燃性廃棄物の 燃料化(RDF)化 12.5 z 食用油の BDF 化 z 蛍光管リサイクル(企業の CSR としても) z 容器包装リサイクル z 廃プラスチックのリサイクル及び RPF 化 z 医療廃棄物のリサイクル化 z 廃家電のパイロット的なリサイクル(製造者、輸入業者の CSR として) 対象地域での循環型社会に向けた課題 地方自治体及び製造業等産業廃棄物発生源は、それぞれの廃棄物の適正な処理・リ サイクルすることを基本としつつも、自治体、発生源のみではリサイクル等は完結し 105 ない。 それぞれ次のような方向性が課題となる。 a. ラヨン県 基礎素材系の工場より産業廃棄物が多量に発生する一方、都市系廃棄物は量的に 少ない。 z 都市廃棄物における3R の推進 容器包装の回収・リサイクル 有機物の MBT と可燃残渣の RDF 化とセメントでの利用(ただしセメント工場が遠 い地域に立地している) 医療廃棄物のリサイクル化(電炉の利用) 廃家電のリサイクルの試行 食用油の BDF 化 業務用リースパソコン等のリサイクル z 工業系廃棄物等 蛍光灯リサイクル 廃プラスチックのリサイクル 石油化学コンビナートを利用した廃プラスチックのリサイクル 食品廃棄物のリサイクル z Waste to Energy 施設の導入 廃棄物のエネルギーを利用した発電施設(RDF や有害廃液の処理)。ただし、都市 廃棄物系の量が少ない。 b. アユタヤ県 基本的なコンセプトの違いはない。ラヨンとの違いは、セメント工場が近くに立 地していること、一方、基礎素材系工場の立地がなく、主に機械系の工場の立地が 多い。都市廃棄物のまとまった量が発生する。 それぞれごとの分野ごとに今後の循環型社会にむけた課題を整理すると以下のとおりで ある。 (1) 都市廃棄物管理の課題 ラヨン県及びラヨン市では、都市廃棄物について非常に積極的である。 リサイクル又は Waste to Energy による統合的廃棄物処理システムの整備を進め ようとしている。ラヨンでは非常に野心的な Waste to Energy を中心の統合的廃 棄物処理システムを導入しているが、運転維持管理上の問題を抱えている。 ラヨン LAO は、統合的な施設の建設を開始したところである。 埋立処分を少なくすることを目的とした統合的廃棄物管理を進める上では、ご みの分別管理、異物の投入防止などのため、地域住民の協力が不可欠である。 また、容器包装、プラスチックなどのリサイクルなどでの民間企業との連携な 106 ども必要となっている。 医療系廃棄物の適正な処理は依然として重要な課題である。また、家庭系の有 害廃棄物、廃油の分別管理が課題になっている。 (2) 製品系廃棄物管理(WEEE 等)の望ましい方向 廃家電、電子機器、蛍光管などがリサイクル対象として課題になってきている。 ただし、廃家電や廃電子機器は古物商、中古品市場に流れていることもあり、 廃棄物としてはほとんど排出していない状況である。 これら廃棄物には有害・危険物質を含む場合もあり、製造業者、輸入業者によ る引取とリサイクルが課題になっている。ただし、希少金属、水銀などの精錬 工場がないためリサイクルの輪を国内で完結することが難しいことから、海外 も含めた回収ルートの形成が課題になっている。 なお、亜鉛の精錬工場は Padaeng Industry の 1 社あり、廃電池のリサイクルに対 応できるかどうか検討の余地がある。 なお Samut Prakan の工業団地で製造業者が WEEE の一部(例えば蛍光灯)の引 取を行っている。 (3) 産業廃棄物管理の望ましい方向 ラヨン県の製造業は、小さな工場は除きほとんどが工業団地内に立地している。 それに伴い産業廃棄物が発生している。 有害廃棄物については、県外で処分している。有害廃棄物で熱処理が必要なバ ンカースラッジ、油スラッジ、廃溶剤、その他有機系有害廃棄物について、県 内に適当な施設がない。一部、廃油や廃溶剤は、県外に立地しているセメント 工場で処理しているケースもある。 また、県内にあった有害廃棄物の埋立施設が、満杯となり終了しており、目下 のところ県内には処分場施設がない。 非有害系産業廃棄物のリサイクルな容易な、例えば金属、プラスチック類はリ サイクルされているが、排水処理汚泥類は、県外で埋立処分されている。工場 から排出する一般の廃棄物は、団地内に設置されている焼却施設で処理するこ とになっている。工業団地(industrial complex)ごとに非有害系の廃棄物の処理・ リサイクルの努力がなされている。 工業団地では、エコインダストリアl・パークとしょうしてゼロエミッション 化する努力をしているが、団地内で完結することが難しい。 団地内で処理できない汚泥等の廃棄物は、ラヨン県では処分できないため県外 の隣のチョンブリ県にある産業廃棄物処理業者の処分場で処分されている。こ れらの処分場の県内の確保、また、リサイクルの促進が課題となっている。 107 12.6 (1) 望ましいエコタウンのイメージ 基本方針 次のような点を基本方針とすることが望まれる。 z 3R 政策=Reduce-Reuse-Recycle の優先。それを実施した残渣を安全に処分。 z 都市廃棄物は、可能な限り自地区内でMBTを中心とした統合的廃棄物管理 を行い、埋立処分の最小化する。自ら処理することが合理的ではない廃棄物 については、他自治体や民間企業、工業団地、リサイクル業者等と連携して リサイクルをする。また、コミュニティーレベルのリサイクル活動を奨励す る。 z 製品系廃棄物(WEEE等)は、タイ政府の方針に基づき製造者の引取を基 本とした回収、リサイクルシステムの構築を目指す。このため、発生源とな る家庭、地方自治体、工場・事業所等の協力による回収、製造者の協力によ るリサイクル施設の設置などを進める。 z 産業廃棄物については、発生源での減量化・リサイクル、自己処理を行った 上で、工業団地内での適正処理を行い、工業団地から外に可能な限り排出し ないよう努める。工業団地内で処理することの経済的な合理性が無い場合に は、他の工業団地や地方自治体と連携して、Off‐Site の処理・リサイクル施 設を整備する。 z 県内に最終処分場を確保するが、安定化した最終的な廃棄物のみ受け入れる ようにする。 (2) 都市廃棄物管理の望ましい方向 都市廃棄物については統合的な廃棄物管理システムがを目指す。 基本方針は、以下の点が挙げらる。 z リデュース・リユース・リサイクルを優先し、その上で適切な処理を行う。 z コミュニティーレベルの分別収集を導入する。 z 市自身によるリサイクルを進める。 z 市で処置出来ない廃棄物については、拡大製造者責任の適用を求めていく。 なお、以下のような廃棄物は、経済性や技術性の観点から市単独でのリサイクルや 適正な処理に無理がある。 WEEE、廃棄製品、家庭用有害廃棄物、病院廃棄物 これらの廃棄物は、市単独ではなく、外部の民間企業などとと連携した取組みが望 まれる。 以上のような方針でイメージされる処理体系は以下のとおりである。 108 General Waste Sorting Valuables Organic MBT Others (Combustible) Methane Compost or Waste Energy to Landfill Valuable materials Source Separation Hazardous waste Source Separation Recycling industries WEEE Taking system back Recycling industries Taking system back Recycling industries Hospital waste Incineration 図 12.4 (3) 都市廃棄物の望まれる統合的な処理システム体系 エコ工業団地の望ましい方向 エコ工業団地のイメージを以下に示す。 ターゲット: 工業団地からの廃棄物処分ゼロ 排水: - 各工場は、プロセス排水は工場内で処理し、再利用する。 - 処理水及び一般生活系の排水は、工業団地内で適用可能な最適な技術による共同の 排水処理装置で処理を行い可能な限り団地で水を再利用する。 廃棄物 - 各工場は、産業廃棄物管理政策に基づき工場内でのリサイクルを最優先し、また、 処理するものとする。 - 工業団地で処理することが可能な一般の廃棄物については可能な限り団地内の処 理施設で処理し、エネルギー利用を目指す。 - 団地内で処理するのが経済的ではなく、外部で処理することが合理的な場合には、 109 外部の廃棄物処理業者と連携して適切に処理するものとする。 Industrial Wastes Was tes Storage 選 Recycling Factory Recycling Industries Wastes Collective Waste Treatment facility Reused water WWT Sludge Waste treatment facility Steam Sewage Reused water 級 Was Wastes tes Zero waste disposals Storage Reused water Recycling Factory Reused water WWT Reused Water Treatment facility Sludge Treated water Collective WWTP Sewage 図 12.2 (4) エコ工業団地のイメージ 地域内の連携により処理・リサイクルシステムの整備 廃棄物種類ごとの処理・リサイクルシステムの整備方向を以下に示す。 a. 都市廃棄物 次のような処理・リサイクルの推進が望まれる。 ¾ 統合廃棄物処理後の可燃性残渣の燃料としての利用 ¾ 家庭有害廃棄物の処理・リサイクル ¾ コミュニティーレベルの容器包装等のリサイクル ¾ 医療廃棄物の安全な処理 b. 製品系廃棄物 110 Body water of c. ¾ 主に WEEE の排出者の協力による回収と製造者の引取、リサイクル ¾ 例えば蛍光管のリサイクル ¾ 県外のリサイクルの最終受け皿企業との連携 産業廃棄物 ¾ エネルギー利用が不十分な可燃物の燃料化と燃料利用施設 ¾ 県外で埋立処分している固形廃棄物のリサイクル ¾ 県外で焼却処理している有害廃棄物の県内での処理 ¾ 県外のリサイクルの最終受け皿企業(セメント工場、非鉄金属精錬工場)と の連携 d. 整備の基本方向 県自治体、都市町は、廃棄物処理施設の整備において、3Rを考慮した最適な処理 システムの整備を目指すものの、それぞの自治体単独、又は共同でも対応が難しいも のとして、廃棄物のエネルギー利用、WEEE、家庭有害廃棄物、医療廃棄物がある。 産業廃棄物発生源である工場内でリサイクルを推進する一方、多くの廃棄物は工場 内で処理・処分することが経済的に妥当でない場合が多い。したがって、工場外で処 理・処分の必要であることから、先ず工業団地内で可能な限り処理・リサイクルする ことが望まれる。しかし、工業団地内での処理するのが妥当ではない廃棄物も多い。 そこで、複数の工業団地が協力して地域内で適切な処理・リサイクルを推進するこ とが求められる。 また、自治体の処理・リサイクルの実施の受け皿として、県内の工場、リサイクル 産業が担える場合もある。それらの可能性も追求すべきであろう。さらに、県内では リサイクルが困難であるが、県外で可能性がある場合には、県外のリサイクル可能な 産業との連携が想定される。 以下、それぞれの連携の形について想定してみる。 都市廃棄物・医療廃棄物 • 統合的廃棄物処理(ISWM)施設と可燃残渣の燃料化の連携 ISWM 施設における MBT 方式ではプラスチックや紙、草木が中心の可燃残差 が発生するが、それを RDF 化し利用するには熱利用先との連携が不可欠であ る。利用先として RDF 発電、セメント工場が挙げられる。ラヨンの場合には、 都市ごみからの RDF 単独の発電は、量が少ないこともあり、経済的に難点が あるが、工場から発生する都市ごみに類似するごみ、廃プラスチックも含め るとフィージブルになる可能性もある。そのために地域内で協力が不可欠に なるが、その可能性について検討する余地がある。もし、フィージブルでは ない場合には、次善の策として、県外でのセメント利用について検討するこ とが考えられる。 • 自治会収集(発生源分別、コミュニティー回収)とリサイクル業者及び行政 のサポート連携 111 日本の集団回収のような自治会レベルでの有価物の回収については、民間リ サイクル業者のワンパニなどでパイロット的な取組みがなされている。この 方式には、資源の買い取りにおけるリサイクル業者の活動と、行政における サポートが必要とされる。 • 家庭の有害廃棄物における家庭・自治体・製造者の連携 蛍光灯、乾電池、殺虫剤の容器、洗剤容器などが挙げられている。これらの 回収には、自治体による回収・保管をした上で、製造者、輸入業者による引 取が考えられる。上記と同様に自治体間や工業団地と製造者等との連携が考 えられる。 • 医療廃棄物における処理の連携 医療廃棄物については、ラヨン県では都市間の連携と同時に、工業団地など の適切な焼却施設を有するところとの連携で適切な処理、また、県内の電炉 と連携したリサイクルの可能性も考えられる。 WEEE • WEEE の排出者、販売店及び製造業者等との連携 電気・電子機器廃棄物関連は、物品回収で引き取られ廃棄物になっていない が、近い将来、壊れた機器類、二次電池、携帯電話等が廃棄されるようにな ることが予想される。これらの回収は、回収拠点までの持ち込み、それから 以降の回収には製造者や輸入業者の引取が必要になる。これらは、法的な裏 付けが無い限りシステムとして確立するのは難しいが、パイロット的な取組 が考えられる。これらは自治体間、また、工業団地と製造者等との連携が考 えられる。 産業廃棄物・有害廃棄物 • 産業廃棄物からの可燃性物の燃料化によるエネルギー利用するためには、ま とまった量の確保が必要であり、そのためには工業団地間の協力が求められ る。また、自治体の協力も必要であろう。なお、県内で Waste to energy 施設 の整備が経済的にフィージブルではない場合には、セメント工場と連携した 利用の可能性を検討することも考えられる。 • 現在、県外で埋立処分している有機汚泥や無機汚泥については、素材系の産 業とリンクしてリサイクルする可能性が考えられる。また、素材産業でのリ サイクルが可能な状態に調質する機能を関係者で整備することも考えられる。 • 有害廃棄物の中には熱(破壊)処理施設が不可欠なものがあるが、その施設 が不足している。現在、ラヨンの廃棄物もバンプーの唯一の施設で焼却処理 されている。これらの施設整備については、排出源、工業団地、県自治体、 国の協力を得て、組合形式の処理施設の整備も考えらる。 上記の展開ををまとめると図のようなイメージされる。中心部分が、特に関係者の 連携で開発していくべき、処理・リサイクルの施設のイメージあり、次のようなもの 112 が挙げられる。 z WEEE のリサイクリング施設 z Waste to Energy 施設 z 廃棄物の資源化調質(ブレンディング)施設 z 熱破壊施設(有害廃棄物用) z 安全な処分場(廃棄物ゼロになるまで) その他、県内のリサイクル施設や電炉との連携も想定される。また、県外との関係 では、セメント工場や亜鉛、銅などの非鉄精錬工場、リサイクル産業との連携が感な 得られる。 e. 整備に向けた推進ステップ 上記の施設整備は、あくまでも構想(コンセプト)であり、次のステップとしてさ らにその計画の妥当性を検証することが必要である。また、関係者での連携の可能性 も確認することが必要になる。 そこで、次のステップとして先ず、ラヨンのエコタウン基本計画を関係者の参加の もとで作成することが必要である。その基本計画の中で、上記提案施設について予備 的なフィージビリティー調査で、施設の内容、規模、関係者主体、実施のための連携 体制、資金確保、O&M コストについて検討することが必要である。 また、この提案施設は、民間のイニシアチィブにより建設することが望まれること から、次のステップでは、それらの建設主体の募集、また、建設及び運転における政 府、地方自治体、関係団体、企業などの連携、支援体制も同時に検討していくことが 必要になる。 これらの具体的な展開をラヨン県自治体のみで行うのは関係者が多いこともありか なり厳しい状況が想定されることから、ラヨン県自治体に加えて DIW、PCD、IEAT、 内務省県行政局等の上部の公的機関との連携体制について考慮することが必要になる。 なお、今後、全国的にタイでエコタウンを推進するためには、DIW、PCD、IEAT、 内務省県行政局等による国レベルの会議が必要であり、また、国の支援制度を設立す ることが必要になる。その点の必要性については、次のステップに進む中で、浮き彫 りにされるものと想定される。 113 Rayong Methane (waste to energy) MSW Compost Industries IWTF (MBT) Household Hazardous Waste Recycling facility for WEEE Combustibles Valuable Materials Waste to Energy Plant Combustibles Sledges, etc.. On-site treatment Facility Recycling industries Storage Blendin Blending Plant g plant Thermal Distraction Facility Recycling industries Secure Landfill of Organic liquid wastes Rayong Eco-town エコタウンの整備イメージ 114 Industrial Complex On-site treatment Facility Solid wastes Cement kiln Company 図 12.3 Hazardous Medical Wastes Refinery nonferrous metal Industrial Complex Non-Hazardous RPO/Municipali ties/ Districts Farmland Electric Furnace steel for 12.7 エコタウンの推進のための体制 1. 地域におけるエコタウン推進体制の不足 国レベルの関係機関は、それぞれタイのエコタウンのコンセプトを進めようとしてい る。また、国家経済社会開発委員会(NESDB)でも循環型社会に向けた検討を開始して いる。しかし、地方自治体、産業グループ、市民、NGO 等の協力によるエコタウンの推 進のメカニズムが今のところ不在である。 タイでもエコタウンを地方レベルで実現させる必要があるが、そのためには地域の関 係者による体制が不可欠である。 2. 地域・県レベルにおけるエコタウン推進体制体制の設立 日本のように都道府県ないしは政令市が中心になってエコタウン形成を目指すことは タイでは無理であるが、県レベルの地域の開発、環境面での管理を行っている県自治体 (PAO)が存在していることから、そこを窓口にしつつ、関係する都市町、また、工業 団地管理会社、DIW・IEAT、PCD の協力を得て、ラヨン県でのエコタウンの推進体制を 作ることが望まれる。 その推進体制として、ラヨンエコタウン協議会の設置をタイ国側に提案する。 3. 協議会の役割 協議会の役割として、以下の点が期待される。 ¾ 関係者間での3R 推進に関するビジョン・コンセプトの共有 ¾ 3R を推進する上で関係機関間での考え方、情報の交換 ¾ ラヨン県での廃棄物管理・リサイクルの現状把握 ¾ 関係者の協力の下でエコタウン基本計画の作成 ¾ 日本の事例、経験の共有 ¾ タイ内の先進事例の情報の共有 ¾ セミナーやワークショップ等による3R コンセプットの普及啓発. ¾ 廃棄物処理・リサイクル施設の開発に関する調整 なお、協議会を運営するためには、しっかりした事務局が必要になる。その点につい ては、ラヨン県 PAO の環境部に設置することが現実的であろう。 115 Rayong Province RPAO Rayong City DIW Consultative Meeting MOI /Body for Promoting IEAT Eco-town PCD Central Government NGO/ Community Industrial Complexes Concerned patties, FTI Rayong Province 図 12.4 12.8 求められる地域レベルでのモデル・エコタウンの推進体制(案) 山口県等の日本の自治体の協力可能性 具体的な対象地域間での協力関係として以下のような点が考えられる。 ① 具体的な3R 活動についての計画作成支援(例えば、ラヨン県の3R 促進計画 の作成を支援し、行政関係者、NGO、コミュニティーレベルリサイクルの活動 の支援を行う) ② 幾つかの工業団地の3R を中心とした活動計画の作成および活動支援 ③ 検討会立ち上げと関係者の参加支援(県関係者及び工業団地、主要リサイクル 産業等で構成する意見交換会の設置を支援、情報インプット) ④ セミナーでの山口のエコタウン、3R 活動の紹介(現地で開催するセミナーで の山口の取組み紹介、エコ市場から発表者を派遣) ⑤ 住民への啓発活動支援(ラヨン県の3R 広報の作成支援) ⑥ 日本、山口県への研修機会の提供(現地の検討会メンバーの日本での研究機会 の提供) 山口県と前節で示したラヨンのエコタウンの推進体制との協力関係をイメージ化する と以下の図のとおりである。 116 Japanese side Rayong Province RPAO Yamaguchi Prefecture METI Rayong City Consultative Meeting /Body for Promoting Eco-town in Rayong Yamaguchi Eco ichiba DIW IEAT MOI PCD Central Government Industrial Complexes NGO/ Community Rayong Province 図 12.5 日タイにおけるエコタウン協力プログラムの推進体制のイメージ 117 Concerned patties, FTI 12.9 モデル地域でのエコタウン推進に向けた次のステップについて 最も重要な点は、タイにおける地域のエコタウン形成の中心となるプロモーターの不 在である。この不在は、今後のタイのエコタウンを推進する上での大きな障害となるこ とは明らかである。 したがって、日本側自治体とタイ地方自治体のエコタウン協力を進めるに当たっては、 タイ側のプロモーターの育成、能力強化を最重要課題として取り組む必要がある。具体 的なターゲットとして、県自治体(PAO)、DIW、PCD である。県自体は、県全体を見 渡せる行政的なポジションにあり、欠かせない。一方、PCD と DIW とは廃棄物、有害 廃棄物の政策面での関与において欠かせない。これらの国の組織には、地方事務所がり それらを参加させることも検討の対象となる。ただし、これら地方事務所の体制は非常 に脆弱と言われており、今後の展開に際してその能力面について検討することが望まれ る。 これらプロ-モーターを育成するには、活動の<場>が必要であり、地域のエコタウ ン推進協議会をその場とすることが望まれる。 なお、エコタウン推進協議会については、関係機関の幹事レベルでの立ち上げに関す る合意書を作成し、その合意書の中に協議会のミッションと活動についても含めること が望まれる。活動は、関係者がそれぞれの予算で実施することを原則となるが、協議会 活動については県自治体による予算確保を期待したいところであり、2011 年度予算の確 保を提案していく必要がある。 このエコタウン推進協議会で、先ず共同のアクションとしてエコタウン計画の作成と その計画の共有、セミナーの開催、先進事例の学習などが挙げられるが、2010 年の新年 度は始まったており、ラヨン県自治体でもそのための独自予算を組みことは難しいこと から、初年度には日本側からかなりの支援を投入して、エコタウン推進の形(モデル) を形成することが必要である。 なお、この地域でのエコタウン推進協議会による進め方は、タイでは初めての試みで ある。地域の「エコタウン推進協議会」方式が成功するれば、このような進め方がある ことについて十分に理解し、その成功体験を活かしてラヨン以外に展開していくことが 期待される。 その意味でも初年度のエコタウンの地域間協力においては、慎重かつ中途半端な支援 にならないように注意した進め方が望まれる。 展開の仕方としては次のようなことがイメージされよう。 初年度 z エコタウン推進会議の設立と関係者の能力形成(エムパワー) z エコタウン計画の作成と関係者間での計画の共有 z 次のアクションと役割分担の明確化 第 2 年度 z エコタウン計画で示された各論(プロジェクト)の実施可能性の検討 z PPP の可能性の検討 118 z 事業化支援の可能性及びスキームの検討 z ビジネスマッチングの実施 第 3 年度 z モデル事業化の推進 119
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