映像鮮明化技術の活用事例とプロセッサ化

速報!新技術・新製品
映像鮮明化技術の活用事例とプロセッサ化
アトラス株式会社/ミカサ商事株式会社
映像鮮明化技術を応用した監視カメラや装置は国内外で幅広く応用利用されている。
一方でその性能や機能/コストに関しては搭載される鮮明化処理の手法やハードの構成
により、各社で異なる。
その中でアトラスは、われわれのビジネスパートナーであるミカサ商事とともに映像鮮明
化技術の新しいニーズに沿った小型でシンプルかつ、低コストでありながらハイレベルの
性能/高品質の映像鮮明化モジュールを提供するに至った。
本稿では製品としての活用事例を交えながら、その技術と性能等について紹介をしたい。
1
映像鮮明化技術への取組み
野である X 線検査、画像センシングへの応用に期
待を寄せている。
本稿の鮮明化技術の特長としては、上記改善す
一般に鮮明化技術を用いた製品には、各社独自
べき映像のシチュエーションすべてに適合する性
の技術が製品に組み込まれている。
能をもち、かつ、鮮明化に必要な映像パラメータ
しかし、その性能や機能は視認性の改善が確保
の設定は同一パラメータ値ですべての環境にマッ
された物が少なく、さらに性能や機能を満足して
チした適用が可能である。さらに鮮明化処理アル
いても高価なものとなり汎用性に欠けるなど課題
ゴリズムは、リアルタイム性を確保させるため、
を有している。
同一フレーム内で処理が完結する方式を採用して
そこで、われわれはその課題解消と用途拡大へ
いる。また、処理映像はすべてカラー処理を行う。
の期待から各パートナーがもつ独自の映像化技術と
専門化ビジネスを活かし取組みをスタートさせた。
2
映像鮮明化技術と主な特長
3
映像鮮明化の処理例
処理例については主な動画シチュエーションか
ら静止画にピックアップを行い、その左画像をオリ
映像鮮明化とは、視認性のよくない映像をよい
ジナル画像とし右画像を鮮明化処理の画像とした。
状態に改善する技術であり、映像そのものを高品
また、撮像系には汎用のハンディカメラを用い、
質に映像化処理する技術ではない。
特殊な機能をもつカメラは用いていない。
すなわち、カメラ等で撮像された悪環境下の映
像を鮮明にする技術と言った方が適切である。
3.1 濃霧環境、降雨+霧の複合環境
特に鮮明化ニーズとして捉えているのは、濃霧、
写真 1 に示す処理画像は、海上の濃霧環境で撮
豪雨、降雪、逆光、暗視を主体とするセキュリティ
像されたタンカー船である。処理画像は船体名や
分野に対するシチュエーションの改善や非破壊分
船体デッキなどが鮮明に処理されて見える。一方、
32 ︱June 2015
eizojoho industrial