胸腹部大動脈瘤:対麻痺症例に学ぶ術式の変遷 -術式および - MT Pro

 胸腹部大動脈瘤:対麻痺症例に学ぶ術式の変遷
一術式および補助手段の脊髄虚血に対する予防効果について
森下 清文 数井 暉久 深田 穣治 安倍十三夫
要 旨:胸腹部大動脈瘤手術に伴う対麻痺の克服に向けさまざまな手術術式・補助手段
の工夫を行ってきたので,これらが対麻痺予防にもたらす効果について報告した.
対象は胸腹部大動脈瘤78例で,これを手術術式・補助手段の大幅な変更を行った1994年
4月を境として,それ以前に手術を行った48例(I群)とそれ以降に外科治療を行った30
例(II群)に分類した.I群は部分体外循環下にCrawfordのgraft
しくはonlay
inclusion techniqueも
patch graft法により再建を行った.JI群は主として側枝付き人工血管を用い
分節遮断下に分枝の再建を行った.部分体外循環としてヘパリン結合型心肺回路を用い,
ヘパリン投与量の減少を図った.また症例に応じて超低体温循環停止法を用いた.
脊髄虚血はI群で5例(対麻痺4例,不全麻痺1例),
II群で1例(不全麻痺1例)に発
生した.再建した肋間・腰動脈の数はI群が2.2±2.2対で,II群が3.2±2.2対であった(p<
0.05).肋間・腰動脈の平均虚血時間はI群が50±32分,II群が21±10分で(pく0.05),脊
髄虚血例ではI群が72±42分,II群は60分であった.
側枝付き人工血管による分節遮断下の肋間・腰動脈再建,ヘパリン結合型人工心肺回路
の使用,症例に応じた超低体温循環停止法の使用により胸腹部大動脈瘤30例中,不全麻蝉
の発症1例という良好な結果を得た.本法は脊髄虚血予防において有用な手段であった.
(日血外会誌6
: 525-530,
1997)
索引用語:脊髄虚血,胸腹部大動脈瘤,ヘパリン結合型心肺回路,超低体温循環停止,分
節遮断
する.
はじめに
対象と方法
胸腹部大動脈瘤手術時に発生する対麻痺は最も忌む
べき合併症であり,その克服に向けさまざまな手術術
対象は1982年5月から1996年6月までに外科治療
式・補助手段の工夫を行ってきた1
を施行した胸腹部大動脈瘤78例である.これを手術
6).今回,著者らは
当施設における手術術式・補助手段の変遷とこれらが
術式・補助手段の大幅な変更を行った1994年4月を
対麻痺予防にもたらす効果について検討したので報告
境として,それ以前に手術を行った48例(I群)とそ
れ以降に外科治療を行った30例(II群)に分類した.
札幌医科大学医学部第2外科(Tel
: 011-611-2111)
それぞれの群の患者背景を表1に示した.II群で解離
〒060 札幌市中央区南1条西17丁目
受付:1996年12月27日
例およびCrawford分類II型の割合が多かった(p<
受理:1997年4月23日
0.05).
71
日血外会誌 6巻4号
526
表1 患者背景
〃
工群
患者数
年齢
性別
Crawford分I
皿
m
Ⅳ
破裂
成因 解離
H群 p
〃
48
56±13
30
35/13
20/10
6(13%)
16(33%)
19(40%)
7(14%)
4(8%)
3(10%)
value
59±15
0.0294
17(57%)
3(10%)
7(23%)
→
4(13%)
0.034
非解離
16(33%)
32(67%)
Marfan症候群
再手術
5(10%)
14(29%)
I群はStoneyのspiral
18(60%)
12(40%)
6(20%)
16(53%)
opening法により瘤へ到達し,
人工血管により再建を行った.腹部分枝,腎動脈およ
び肋間・腰動脈の再建は,主としてen
block に大動脈
図1 側枝付き人工血管による再建法
壁をくり抜き人工血管側孔に吻合するCrawfordの
graftinclusion techniqueか,
以上の両群に対し脊髄虚血の発生頻度,再建した肋
onlay patch graftにより
開存する分枝をすべて再建する方法のいずれかを用い
間・腰動脈の数,虚血時間を比較した.虚血時間はen
た7).補助手段としては大腿動静脈部分体外循環法を
blockに再建した症例ではen
使用し,腹部分枝および腎動脈の再建は腹腔動脈,上
遮断下に再建した症例では1分節ごとの虚血時間を算
腸開膜動脈,左右腎動脈の選択的濯流下に行った7).
定した.また各群の脊髄虚血症例について手術方法,
II群もI群と同様,
虚血時間,再建動脈数を示した.統計処理はMann-
Stoneyのspiral
opening法によ
block ごとの,また分節
り瘤へ到達した.肋間・腰動脈再建法は主として図1に
Whitney U -testかFisherの直接確立法で行い,p<0.05
示すごとく,人工血管に吻合した側枝と肋間動脈開口
を有意差ありと判定した.データは平均値土標準偏差
部を吻合する方法を用いた.吻合終了後は人工血管に
で表した.
かけた遮断雄子を直ちに再建した側枝の末梢へ移動さ
結 果
せ血流を再開させ虚血時間の短縮を図った.肋間動脈
の再建中は開口部にバルーン・カテーテルを挿入し,
採用した術式はI群でgraft
出血および逆流に伴う脊髄濯流圧の低下を防止した.
40例,
吻合終了後は遮断銀子を1分節末梢へ移動させ次の肋
るパッチ形成術が4例であった.またII群では側枝付
間・腰動脈の再建を行った.同様の手技で順次T8から
き人工血管による再建を22例に行い,
LIまでの開存する肋間・腰動脈を再建した.ヘパリン
を中心に8例にgraft
結合型心肺回路を部分体外循環に用い,ヘパリン投与
分体外循環はI群の45例(94%),
量の減少を図った(100
に使用し,体外循環時間はそれぞれ114±53分,
1U/kg).
inclusion
techniqueが
onlay patch graft法が4例,嚢状動脈瘤に対す
Crawford IV 型
inclusion technique を用いた.部
II群の27例(90%)
瘤径が大きく分節遮断が行えない症例,大動脈置換
86分であった(pく0.01).4例に超低体温循環停止,1
術の既往があり中枢側の癒着剥離に困難が予想される
例に肋間動脈の選択的濯流を行ったが,いずれもII群
症例に対しては,補助手段として超低体温循環停止法
の症例であった.
を用いた.中枢側吻合終了後は人工血管に縫いつけた
脊髄虚血はI群で5例(10%),
側枝から濯流を開始し,心臓ならびに頭部の循環を保
発生した.内訳は対麻蝉がI群の4例,不全麻蝉を両群
った(図2).一部の症例では先に肋間動脈開口部に側
に1例ずつ認めた.しかし両群の脊髄虚血発生頻度に
枝用人工血管を吻合し,そこから肋間動脈の選択的濯
は統計学的な有意差を認めなかった.脊髄虚血は肋
流を開始しながら再建を行った(図3).
間・腰動脈の虚血時間が60分を越える症例に多発し,
72
183±
II群で1例(3%)に
1997年6月
森下ほか:術式・補助手段の脊髄虚血予防効果
図2 冠状動脈および弓分枝の濯流
36%
図3 肋間・腰動脈の選択的濯流
(5/13)に認めた.これに対し60分未満の症例の
発生頻度は2%
527
表2 脊髄虚血症例(l)
(1/53)であった(p<0.001).再建し
群年齢病型分類病因
術式
た肋間・腰動脈の数はI群が2.2±2.2対で,II群が
3.2±2.2対であった(p<0.05).また肋間・腰動脈の平
均虚血時間はI群が50±32分で,II群が21±10分で
あった(p<0.05).
脊髄虚血症例の詳細を表2・表3に示した.症例2は
動脈硬化性のCrawford分類m型の破裂例で緊急手
症例1
1
31
n
慢性解離
graftinclusion
症例2
1
67
m
動脈硬化
graftinclusion
症例3
1
63
Ⅲ
動脈硬化
graftinclusion
症例4
1
44
n
慢性解離
graftinclusion
症例5
1
39
m
慢性解離
graftinclusion
症例6
Ⅱ
70
IV
慢性解離
側枝付き人工血管
術を施行した.術中所見では開存する肋間・腰動脈は
みつからず腹部分枝および右腎動脈を再建した.術後
不全麻蝉となったが,回復し徒歩にて退院となった.
I群の他の脊髄虚血例はgraft
inclusion 法で肋間・腰動
症例1
脈の再建を行ったが,動脈壁の性状が不良で吻合に時
症例2
症例3
パッチ置換術を施行したが,7年後に残存部の瘤化の
ため再手術となった.瘤径は10
cm で遮断銀子がかか
らず,分節遮断を行えなかった.このため中枢側吻合
後,側枝をT12へ吻合し血流を再開するのに60分を
脊髄虚血症例(2)
再建分枝 虚血時間(分)*
T9・T11 80
0
対麻揮
対麻蝉
T11,T12
症例4
症例5
対麻癖
T8-L1
症例6
不全麻岸
T12
T12,L1
8283
間を要した.症例6はCrawford分類IV型の解離例で
表3
脊髄虚血
対麻庫
不全麻揮
115
60
*肋間・腰動脈
要した.術後,不全麻岸となり,起立は不可能である.
広範囲型胸腹部大動脈瘤の場合,手術時間を延長し侵
考 察
襲を増大させるため必ずしも得策とはいえない.これ
対麻輝予防には術中の脊髄保護と脊髄栄養動脈の確
に対し著者らはAdamkiewicz動脈がT8からLIの
実な再建が重要となる8).しかし胸髄下部より腰髄を
間に90%近く存在することに基づき9),これらの肋
栄養するAdamkiewicz動脈の正確な同定が困難なこ
間・腰動脈を可及的に再建する方針を徹底させた.
とから再建を確実に行うためには,すべての開存する
Svenssonらは開存する肋間・腰動脈の75%以上を再
肋問・腰動脈の再建が要求される.しかしこの方法は
建することにより脊髄虚血の発生頻度を5%まで下げ
73
528
日血外会誌 6巻4号
ることができたと述べているlo).
が問題となるが, 1994年4月以降はヘパリン結合型の
しかし解離例のごとく多数の肋間・腰動脈が開存す
心肺回路を用いることにより従来のヘパリン量の半量
る場合,たとえ再建範囲をT8からLIに限定したと
で装置を運転しており,出血量の軽減を図っている18)
しても再建数は多くなり,脊髄虚血時間の延長は免れ
一方,超低体温循環停止法は脊髄の保護効果にすぐれ,
ない.このため再建数を増加させても虚血時間を延長
良好な手術野が得られるなど魅力的な方法であるが15)
しない手術術式が要求される.これまで著者らは脊髄
出血傾向の増大および肺合併症の発生など危惧される
虚血の解決のため幾つかの手術術式を試みてきた.大
点も多い19).本法を第1選択として手術を施行してい
動脈壁を島状にくり貫き人工血管の側壁へ吻合する
る施設もあるが,前記の理由から著者らは瘤径が大き
graftinclusiontechnique は一般に最も用いられている
く分節遮断が行えない症例,大動脈置換術の既往があ
術式であるが,大動脈壁の性状が脆弱な場合,吻合が
り中枢側の癒着剥離に困難が予想される症例に限って
むずかしく止血に難渋するなど虚血時間の延長をもた
採用している.
らしやすい.この場合,複数の肋間・腰動脈が虚血に
脊髄虚血の発生頻度については数々の報告があるが,
晒されることからAdamkiewicz動脈を含む可能性が
1990年代の報告に限ると最も症例数が多いBaylor大
高くなる.当初,著者らは本術式を第1選択として用
学は対麻禅7%
いていたが,40例中5例(12.5%)の脊髄虚血発生をみ
という発生頻度を報告している8).以下Schepensら20)
た.
は対麻輝6%(5/87),不全麻揮8%
一方onlay
patch graft法は手技も容易で迅速に再建
(105/1,509),不全麻癖9%
(129/1,509)
(7/87), Gilling-
Smithら21)は対麻蝉6%(8/130),Coxら22)は対麻犀
を行える利点を持つが,瘤壁を一部残すためMarfan
16%(19/116),不全麻庫5%(6/
症候群などでは遠隔期における瘤の再発が危惧される.
対麻揮4%
これに対し側枝付き人工血管で再建する方法は1分枝
字を挙げた.著者らの成績は対麻揮5%
あたりの虚血時間が短縮でき,瘤壁が脆弱で吻合に手
麻癖3%(2/78)で諸家の成績とほぽ一致した.特に術
間取る場合も再建する肋間・腰動脈は基本的に1対で
式・補助手段の大幅な変更を行った1994年4月以降の
あるため虚血時間の延長はこの動脈に限られるという
成績は解離症例やCrawford
利点を持っている.開存する肋間・腰動脈の径(1∼2
らず不全麻霖症例を1例認めただけという良好な成績
mm)と側枝に用いる人工血管の径(6∼8mm)に差が
であった.
(6/167),不全麻揮8%
116), Grabitzら23)は
(14/167)という数
(4/78),不全
II型が増えたにもかかわ
あるため血栓閉塞をおこしやすいという意見もある
が10)血栓閉塞が原因でおこった脊髄虚血症例を1例
結 語
も経験していないことから,臨床上は問題にならない
側枝付き人工血管による分節遮断下の肋間・腰動脈
と考えている.本術式における肋間・腰動脈の平均虚
再建,ヘパリン結合型人工心肺回路の使用,症例に応
血時間は20分前後に過ぎず,虚血時間の増加につれて
じた超低体温循環停止法の使用によって1994年4月
脊髄虚血の発生頻度が増えることを考え合わせると安
以降に外科治療を行った胸腹部大動脈瘤30例中,脊髄
全な術式といえる.ただし瘤径が大きく分節遮断が行
虚血発生は不全麻揮症例1例という良好な成績を得た.
えない症例では本術式を施行できないという欠点を持
これらの治療法は脊髄虚血予防において有用な手段で
っている.
あった.
一方,術中の脊髄保護法は現在までにさまざまな方
法が考案されてきた.薬物療法11`13),脊髄液のドレナ
文 献
ージ法14)超低体温循環停止法15)局所的な脊髄冷却
1)数井暉久,小松作蔵,佐々木孝他:胸腹部大動脈
法16)左心バイパス法や部分体外循環などの補助手
瘤に対する外科治療.日胸外会誌,33:
段2.17)が報告されたが,いまだ確実な方法はない.著者
らは一貫して大腿動静脈部分体外循環法を補助手段と
2) Kazui, T・, Komatsu,
して用い遮断末梢側の脊髄や腎臓などの臓器保護に努
Surgicaltreatment of aneurysms
めてきた.本法はヘパリン使用を必要とするため出血
74
32-38,
1985.
S. and Yokoyama,
H, :
of the thoracic
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bypass.
with
529
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repair of thoracoabdominal
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75
replacement
日血外会誌 6巻4号
530
Thoracoabdominal
Aortic Operations: Effect of Surgical Techniques and
Adjuncts on Postoperative Spinal Cord Ischemia
Kiyofumi
Department
Key
Morishita,
Teruhisa
of Thoracic and Cardiovascular
words:
purpose
developed
We
June
of this study
to reduce
operated
(group
other
was
the incidence
studied 78 patients who
1996. They
upon
before March
II). In group
tube grafts from
technique
Postoperative
cord
spinal
paraparesis) in group
In conclusion,
The
number
the placement
arteries, segmental
hypothermic
tion if necessary
technique
achieved
by
in 40, onlay
conventional
have
aortic operations.
May
Forty-eight
surgery from
we
April 1994
1982
and
patients were
to June
1996
patch grafting in 4 and
femoro-femoral
period, a selective perfusion
partial
system
was
of the renal and visceral vessels.In group II, we placed small lumen
ischemia
I, whereas in group
I versus 3.2±2.2 pairs in group
profound
the graft inclusion
adjuncts
repair between
intercostal or lumbar
arteriesin 22 patients and employed
sequential surgical repair was done
hypothermic
Heparin-bonded
occurred
in
to minimize
circulatory arrest was performed
control was unsafe as a result of scarring from
time of intercostal or lumbar
II (p<0.05).
aneurysm
I). Thirty patients had
was
and
after thoracoabdominal
based on the surgical procedure.
was not applied due to a large aneurysm.
bypass.
sequential repair
effect of the surgical techniques
to any given vascular bed. Profound
partial cardiopulmonary
or lumbar
circulatory arrest,Segmental
in 8. In addition, segmental
access for proximal
Abe
aortic aneurysm, Heparin-bonded
the visceral and renal ischema
perfusion
and Tomio
Medical University, School of Medicine
thoracoabdominal
the aortic graft to individual
the duration of ischemia
group
underwent
1994 (group
bypass. During
the graft inclusion
ischemic
to evaluate
4. Distal aortic perfusion
used to obtain oxygenated
a clamp
hypothermic
of spinal cord ischemia
I, we performed
in
cardiopulmonary
on 4 because
Surgery, Sapporo
were divided into two groups
techniques
Johji Fukada
Spinal cord ischemia, Thoracoabdominal
circuits,Profound
The
Kazui,
a previous operation
circuits were used for femoro-femoral
5 patients (10%,
4 had
paraplegia
and
1 had
II, it occurred in only 1 patient (3 %, paraparesis). The
arteries was
or
50 + 32 minutes in group
of reattached intercostal or lumbar
I versus 21 ±10
mean
minutes in
arteries was 2.2±2.2 pairs in group
II (p<0.05).
of small lumen
sequential
tube grafts from
repair, heparin-bonded
circulatory arrest are recommended
to prevent spinal cord ischemia.
the aortic graft to individual intercostal
partial cardiopulmonary
as techniques
which
and
can be utilized,in combina-
(Jpn. J. Vase. Surg., 6: 525-530,
76
bypass
1997)