日本の大学を国際化するために - ISFJ日本政策学生会議

ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
ISFJ2012
政策フォーラム発表論文
日本の大学を国際化するために1
―
日本への留学促進に向けての政策提言
慶應義塾大学
及川純一 大塚康平
樋口美雄研究会
神田和子 金那英
韓国を一例に
―
教育分科会
寺尾勇輝 山内健太郎
2012 年12月
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本稿は、2012年12月1日に開催される、ISFJ日本政策学生会議「政策フォーラム2012」のために作
成したものである。本稿の作成にあたっては、樋口教授(慶應義塾大学)をはじめ、多くの方々から有益且つ熱心
なコメントを頂戴した。ここに記して感謝の意を表したい。しかしながら、本稿にあり得る誤り、主張の一切の責
任はいうまでもなく筆者たち個人に帰するものである。
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ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
ISFJ2012
政策フォーラム発表論文
日本の大学を国際化するために
―
日本への留学促進に向けての政策提言
2012 年12月
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韓国を一例に
―
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
要約
近年、あらゆる分野でグローバル化が進んでいる。そのような状況に対応するためにも、
日本ではグローバル人材の育成や国際的な競争力を獲得すること、大学教育を国際化して
いくことの必要性が叫ばれている。
大学教育における国際化と聞いて、頭に浮かぶものの一つとして「留学」が考えられる
であろう。本稿では、国際化の促進のために実施されている大学の試みや留学を促進のた
めに実施されている日本政府の試みなど様々な場面で主張されている「海外から日本への
留学生を増加させる」という手段にフォーカスして、日本の大学を国際化することを目指
し、分析を進めていく。
まずは海外から日本への留学生を増加させるという手段を採用することの妥当性を示す
ためにも、海外から日本へ留学することによって発生するコストとベネフィットを考える。
そこで考えられたコストやベネフィットを説明変数に変換し、先行研究を参考に留学の阻
害要因を検証する分析を行う。その結果、日本の GDP が高まれば留学生数が増加すると
いう傾向が発見できたため、これを反映させた「日本の一人当たり GDP が上昇すれば、
各国から日本への留学生数は増加する」という仮説を立てた。
しかし、留学生の母国によって留学生を増加させる支援策が変わると考えたため、本稿
では韓国を一例に取り上げ、韓国の留学生を増加させる方向性で分析を深めていく。そし
て分析の結果だけではなく、執筆者の一人である韓国からの留学生、金那英の力を借りて
韓国側の留学政策やデータなども詳しく見ていくことで論文のオリジナリティを発揮して
いきたい。また韓国人留学生を対象にしたアンケート調査に着目すると、日本の生活の質
や経済状況が留学生数に影響を与えるということが予測された。先に設定した仮説を韓国
にフォーカスした「日本の一人当たり GDP が上昇すれば、韓国から日本への留学生数は
増加する」に置き換え、分析を行うと、日本の一人当たり GDP が1%上昇すると、韓国
から日本への留学生数は約 15 万人増加するという結果が得られた。つまりこの結果に
よって、日本の一人当たり GDP が上昇すれば、韓国から日本への留学生数は増加すると
いう仮説が成立すると証明されたのである。
この検証結果をまとめると、GDP を高めて経済力をつけることで留学生数を増やすとい
うことを政策提言として提示することになるが、それには限界がありそうだ。そこで実現
可能性を考慮した上で、ソフト・パワー(国際関係において、自国の魅力によって他国を
味方につける力)に注目する。実際に留学動機において日本文化への興味は上位を占めて
おり、日本産コンテンツ産業の海外売上は年々成長している。新興国の潜在留学生数比較
や日本文化受入れ可能性比較によって、どの国に対してどのようなアプローチをとること
で、日本のソフト・パワーが上昇し、留学生数がするかを考え、最終的な政策提言とす
る。
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ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
目次
はじめに
第1章
問題意識
第 1 節 留学生を増加させるために
第 2 節 留学生を増加させることのメリット
第2章
先行研究との比較・本稿の位置づけ
第3章
現状分析
第1節
現状分析 1:留学の阻害要因を考える
第1項 留学の阻害要因は何か
第2項 推計 1―留学の阻害要因の検証
第3項 推計 1 のまとめ
第2節
韓国を一例に
第1項 韓国を一例に
第2項 韓国の留学生策とその変遷
第3項 韓国から日本への留学状況
第4項 まとめ
第3節
韓国からの留学生を増加させるために
第1項 留学動機・目的を考える
第2項 推計 2 を行うにあたって
第3項 推計 2-韓国の留学生数に関する仮説の検証
第4項 推計 2 の結果
第5項 推計 2 における注意点
第6項 まとめ
第4章
政策提言に向けて
第1節
第2節
第3節
第4節
第5章
ソフト・パワーとは
日本への留学理由に占める文化的要因
日本のソフト・パワーと留学生数の相関
分析からの考察
政策提言
第 1 節 ハード・パワーの醸成
第 2 節 ソフト・パワーの醸成
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ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
第6章
先行論文・参考文献・データ出典
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ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
はじめに
日本だけでなく世界全体において、ヒト、モノ、カネ、情報などが国境を越えた社会・
経済のグローバル化が急速に進み、競争が激化している。日本国内では「グローバルな人
材の量的・質的な不足」から「経営面でも技術面でも国境を越えて移動するというグロー
バル競争に対応できない企業の発生」、それに伴う「日本企業の劣後」、「日本の国際競
争力の低下」という負のループが蔓延しているように感じられる。この問題は日本の将来
にかかわる大きな問題であって、これらを解決することなしに、日本が今後グローバル社
会の中で競争優位を獲得し、成長していくことは困難であるということは目に見えている。
ではこれらの問題を解決していくためには、どのような方法が考えられるのであろうか。
グローバルな人材の量的・質的な不足によってグローバルな競争にうまく対応できず、企
業の劣後や国際競争力の低下が進む日本社会では、まずグローバルな人材の不足を解消す
るためにそのような人材を育成する必要がある。そしてそのような人材を育成する場とし
ては、社会に直結している大学が最も効果的な場であると考えられる。
この考えを裏付けるものとして、ここに日本の大学で行われている政策を提示する。東
京大学は、人材育成への社会的要請、国際的な大学間競争の激化に対応してくためには、
大学教育の国際化を進めることが急務であると主張している。
そして日本が留学生の受入れ数の増加にフォーカスした代表的事例として、留学生 10
万人計画、留学生 30 万人計画が挙げられる。これらによって、日本留学への関心を呼び
起こす動機づけや情報提供から、入試・入学・入国など入り口の改善、大学等の教育機関
や社会における受入れ体制の整備、卒業・修了後の就職支援等に至る幅広い施策が検討さ
れている。これらを踏まえ、本稿では大学を国際化する方法として「海外から日本への留
学生を増加させる」ことを採用し、政策提言としては海外から日本への留学生数を増加さ
せるための政策を検討、提言する。
しかし、ここでいくつかの疑問が生じる。なぜ留学生の受入れに力を入れる方法を採用
するのかということ、海外からの留学生の数を増加させるだけで本当に日本の大学は国際
化するのかといったような疑問である。海外から日本への留学生を増加させるという目標
を採用・設定するためには、この目標の妥当性を検証する必要があると言えるだろう。本
稿では、まずはじめに海外から日本への留学生を増加させるということのメリットを考え
る。次に、留学することで発生するコストとベネフィットを考え、その結果から考え出さ
れる説明変数を用い、何が留学を促進・阻害しているのか、その要因を探るため計量分析
を行う。そして最終的にはその分析結果を活用して、いかにして日本への留学生を増やし
ていくための政策提言へとつなげていく。
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ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
第1章 問題意識
第1節
留学生を増加させるために
はじめにで述べたように、あらゆる分野でのグローバル化は、激しく変化していく社会
のなかで柔軟に対応できるような流動性のある人材を求めることになり、優秀な人的資本
をめぐる「人材競争」を生んだ。このような背景により、人材育成へ向けた社会的要請の
ための国際的な教育の現場が大変注目されることになった。
2012 年、東京大学は学内広報の『入学時期の在り方に関する懇談会―中間まとめ特集
版 2』によると、「学生の流動性を高め、多様性に富んだグローバル・キャンパス」を実現
することが重要であると掲げている。この学内広報では、9 月入学を導入することにより
日本の大学を国際化し、日本国内の大学にたくさんの留学生を誘致することを目指してい
た。
その他にも、既に国際化のためにあらゆる分野で様々な政策が実施され、様々な案が新
たに考えられている。本稿の目的と一致している留学生数の増加にフォーカスした政策の
事例を見てみると、大きな政策として、1983 年に当時の中曽根首相の指示により示された
「留学生 10 万人計画 3」がある。これは 21 世紀初頭には日本への留学生数を 10 万人に増
加させることを目標としていて、これを実現するために、留学生拡充のための教育プログ
ラムや奨学金といった留学環境の整備を主な政策として掲げている。また日本政府は「留
学生 10 万人計画」が実施された後も、2008 年に入って「グローバル戦略」を展開する一
環として、2020 年まで留学生の数を 30 万人に拡大するという「留学生 30 万人計画 4」を
発表した。
このような事例を踏まえ、本稿では大学を国際化する方法として「海外から日本への留
学生を増加させること」を目指していく。しかし、このような政策が報告されている一方
で、留学生数を増加することについて疑問の声が上がっているのも事実であり、この目標
2
3
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『入学時期の在り方に関する懇談会 中間まとめ特集版』、東京大学、2012/1/26
「留学生受入 10 万人計画」:1983 年、当時中曽根総理大臣の元で示された政策。日本と諸外国との相
互理解の増進や教育、研究水準の向上のため、留学生交流は重要な国策として考えるべきであるが、当
時の日本への留学生数は他の先進国に比べてそれほど高い水準ではないという背景から生まれた計画。
目標としては、21 世紀初頭には当時フランス並みの留学生数 10 万人を国内に誘致することとしてい
る。主な政策としては、大学などにおける受入体制の整備や留学環境(日本語教育、宿舎の確保)など
を掲げている。
文部科学省 HP より引用、 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318576.htm,
「留学生 30 万人計画」:2008 年、日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界の間のヒト・モ
ノ・カネ・情報の流れを拡大する「グローバル戦略」(英語による授業など)を展開する一環として、
2020 年を目途に 30 万人の留学生受入を目指したものである。この計画が実施された初年度(2009 年)、
「留学生 30 万人計画」に関与した大学としては、東北大学、筑波大学、東京大学、名古屋大学、京都
大学、大阪大学、九州大学、慶應義塾大学、上智大学、明治大学、早稲田大学、同志社大学、立命館大
学である(以上 13 大学)。
文部科学省 HP より引用、http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/07/08080109.htm
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ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
の妥当性を示す必要がありそうだ。この後の第二節において、たくさんの留学生を誘引す
ることのメリットは一体どこにあるのかを考えてみることにする。
第2節
留学生を増加させることのメリット
留学生数を増やすことは受入国に対し、一体どういったメリットをもたらすのだろう
か。
これに関して 2010 年 、カナダのRoslyn Kunin & Associates, Inc(RKA,Inc)が発表した
報告書 5によると 2008 年、カナダへの留学生により、カナダ自国での約 8 万 3 千人の雇用
が創出され、3 億ドルに上る政府収入が生まれたと述べている。RKA,Incの報告書により
2010 年、カナダへの長期留学生 6による同国での消費支出は 69 億ドルに上り、これを換算
すると、約 42 億ドルにあたる教育やサービスの面などでの経済効果(GDP7%↑)をもた
らしと発表した。また、留学生により、労働市場が拡大される効果が生み出されたと述べ
ている。このような報告の結果も踏まえると、以下のような三つのメリットが日本にある
と考えられる。
まず一つ目としては、日本人学生にとってのメリットである。海外に出ることなく様々
な異文化交流や理解のチャンスが増えるメリットが考えられるだろう。日本から海外への
留学には渡航費や留学先の家賃や生活費など、日本の大学に進学し国内で生活するよりも
多くの直接的なコストが掛かると考えられる。また、海外への留学によって留学先の学事
日程とのずれにより就職活動の開始が遅れた場合など、間接的なコストもかかると考えら
れる。もし日本の大学の国際化された環境において、海外へ留学した場合と同様の教育を
受けられるならば、留学による直接的・間接的コストの掛からない日本の大学への進学は
日本人学生にとって大きなメリットであるといえる。また日本人学生は近年、「内向き志
向」であると言われ、海外への留学者数は減少している。大学を国際化し国内の大学にお
いても海外の大学と同様の教育を受けられるのであれば、大学の国際化は「内向き志向」
の日本人学生のニーズに合致しているといえる。
二つ目は大学にとってのメリットである。国際的な教育現場を提供することが容易にな
るという点や海外からの優秀な人材の輸入により、教育の質を一層高めることが可能にな
るという点が考えられる。大学の国際化によって日本の大学への期待が高まれば、志の高
い留学生を日本へ呼び込むチャンスもさらに増加していくであろう。優秀な学生を学内に
呼び込むことが可能となれば、大学間で競争が激化している現在、大学にとってのメリッ
トと言える。
三つ目は日本社会(企業)にとってのメリットである。優秀な海外からの人的資本やグ
ローバルな人材が確保でき、国際競争力を築くことができるという効果をもたらすと考え
られる。日本から海外への留学によって育成されたグローバル人材は、彼らが留学先の海
外で日本に全く関与しない形の就業をしてしまう、つまりグローバル人材が海外へ流出し
てしまった場合、日本にとっては大きなデメリットとなってしまう。従って人材流出を防
ぐためにも日本人学生を国内で育成する事には大きな意義がある。そして日本社会・企業
の国際競争力の強化という観点から言っても、グローバル人材を国内で育成する方が効率
的であると言うことができるであろう。また異なる視点からも日本社会へのメリットを考
えてみると、国内への留学生数の増加は地域活性化にもつながるという研究が目についた。
5
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Roslyn Kunin & Associates,Inc (RKA, Inc),「Economic Impact of International Education in Canada Final
Report」, Foreign affairs and International Trade Canada
長期留学生:90 日以上の長期滞在の留学生のこと
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ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
この内容としては、大分県は、2011 年、「大分県海外戦略 7」を発表し、この戦略は、企
業の海外展開支援、県産品の輸出拡大、観光客増大などによる地域産業の活性化と国際化
による地域産業に必要なアジアの人材の雇用と定着を目的としている。
これらのことを踏まえると、グローバル化が進み、大学教育の国際化の必要性が叫ばれ
ている現代において日本国内への留学生誘致はそれを改善する方策の一つとして考えられ
るのではないだろうか。これらのことから、本稿では日本の大学を国際化するための政策
として、留学生誘引のモデルを考察していきたい。
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佐藤 由利子、「留学生受入による地域活性化の取り組みと課題」、ウェブマガジン、『留学交流』、
2012.6
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ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
第2章 先行研究との比較・本稿の位
置づけ
本稿を書くにあたって参考にする先行研究として、以下のものをあげる。
一つ目の論文は、船津秀樹による『地域経済統合の進展と学生の国際間移動』である 8。
この論文の目的としては、地域経済統合の進展に伴って政策的に促進されてきた国際学生
交流のさまざまな効果を経済学的な視点から議論することとなっている。
問題意識は情報技術の急速な発展と交通手段の発達によって,大学における研究や教育
のスタイルにも大きな変化が起こってきたということに焦点が当てられている。
現状分析については、教育のスタイルの変化は国際教育の分野において顕著であり、外
国の大学で学ぶことは,一部の学生に限られたものではなくなってきたことが示されてい
た。またインターネットの普及によって,海外の大学の情報は、入手が大変容易になり、
大学側もさまざまな教育プログラムを積極的にマーケティングするようになってきている
という状況についても触れられていた。
船津の主張は、大学は新しい科学的な発見とそれに基づく技術で人々を知的に訓練し、
その教育活動を通じて多数の人的資本を社会に供給する。そして先進国に蓄積された人的
資本は、長期的な経済成長に貢献するというものであった。著者がそう主張する理由とし
ては、19 世紀後半に始まった日本経済の近代化の過程において、政府は、若い学生を、
当時の先進国、すなわち、ヨーロッパやアメリカの大学に送るとともに、日本に高等教育
機関を作るために、外国から教授を招聘した。新しい知識と技術を学ぶことは確かに日本
経済の持続的な発展に貢献した。経済成長の伝統的な理論が貯蓄や物的資本の蓄積を強調
するのに対して、新しい経済成長理論は、人的資本の役割に力点を置く高等教育の効果は、
重要な政策課題となる。発展途上国を支援する一つの道は、途上国から学生を受け入れ、
これらの国へと教授を派遣することにあるということが述べられていた。
グラビティ・モデルを用いた推計では、「学生を高等教育サービスの消費者と考える」
という前提のもと、この見えざる(教育サービスの国際貿易)国際貿易の規模を測定する一
つの方法として留学生の国際間移動数を把握することが目指され、地域経済統合の影響を
考察している。国際貿易の伝統的な理論においては、消費者は国境を越えて移動しないと
仮定されており、教育サービスの国際貿易に対する関心が低かったため、これまでほとん
ど分析がなされてこなかったということが指摘されていた。
しかし、世界各国で、高等教育機関への進学率が高まる中でこの問題を経済学的な手法
で分析することは重要であるがゆえに、推計を行うことの意義を裏付けていた。
推計結果としては、説明変数に対数をとり、推計結果における限界効果の度合いがとら
えやすくなるように工夫がされていた 9。派遣国のGDP が 1%成長すると,留学生数は 47.5
8
船津
秀樹、「地域経済統合の進展と学生の国際間移動」、『経済学研究』、北海道大学、2007 年 1
月、56 巻 3 号
9
推計式:FSij=a0+a1logGDPOi+a2logGDPHj+a3logDistanceij+a4APEC+a5EU+eij
10
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
人増加する。受入国のGDP が 1%成長すると,留学生の受入数は,102.8 人増加する。通
常のグラビティ・モデルと同様に,二国間の距離が大きいと,留学生数は減少することが
示されていた。
最終的な政策提言では、大学の教育システムは変化を求められており、大学側も教育シ
ステムにおいてマーケティングを行うようになったという教育サービスの消費化に着目し、
19 世紀後半に始まった日本経済の近代化の過程において,政府は若い学生を当時の先進
国(ヨーロッパやアメリカ)の大学に送るとともに、日本に高等教育機関を作るために外国
から教授を招聘し、類似システムを導入していったという歴史のように新しい知識と技術
を導入することで日本経済の発展を起こすべきであると主張されていた。また、新しい経
済成長理論は、人的資本の役割に力点を置く高等教育の効果は重要な政策課題となるとま
とめられていた。
二つ目の論文は、井口泰・曙光による『高度人材の国際移動の決定要因 ―日中間の留
学生移動を中心に―』である 10。
この論文では、留学生をめぐる国際環境の複雑な変化を踏まえ、急速に増大する中国か
ら日本への留学生の移動に焦点をあてること。経済分析の手法を応用し、中国から日本へ
の留学生の移動の経済的、社会的、政策・制度的な決定要因を明確にすることが目的とさ
れていた。
問題意識は IT 化の進行に伴う高度人材の獲得競争や資本・モノ・サービスの移動が盛ん
になったために頭脳流出の問題が発生していることに着目していた。資本・モノ・サービ
スの移動が盛んになった現代では、これらの移動による所得改善や技術移転の効果が存在
し、頭脳流出の効果を分離して測定不可能であること、OECD の研究でも経済的相互依存
関係の高まった諸国相互間の人材移動がいかなる経済的、社会的及び政策・制度的変数の
影響を受けているのかを、統計データをプールして分析するまでに至っていないという現
状に難色を示していた。また、このような問題が発生してしまうのには、留学生の国際移
動に関する統計を送出国と受入国の双方の経済・労働統計と併せて時系列的にプールする
ことが困難であるためだと述べられていた。
現状分析では、中国に焦点を当て、中国人の留学状況や日本における中国人留学生の受
け入れ、中国・日本での留学促進のための努力が詳細に調査され、中国と日本の留学背景
がまとめられていた。
著者らの主張としては、留学生の国際移動に関し経済分析を実施する際には、経済的変
数に加え、留学生の移動に影響を与えている送出国及び受入国の政策、制度変化も把握す
ることが必要であり、留学生受入国での滞在資格の変更や帰国奨励政策にも注目すべきで
あるというものであった。またここでは、留学生の移動をサービス消費と捉えられていた。
推計に関しては、経済及び労働諸変数に政策ダミーを取り込んで、最小二乗法により回
被説明変数 FSij は,j国から i 国に移動した留学生数
説明変数 GDPO は,派遣国の国内総生産
GDPH は,受入国の国内総生産
Distance は二国間の距離(二国間の距離は,首都間の距離)
APEC と EU は,APEC メンバー国と EU 加盟国を示すダミー変数。e は,撹乱項。
2000 年の二国間学生移動のデータは,UNESCO 統計所の好意によって提供された。
GDP データについては,国際連合の共通データベースを用いた。
最小二乗法による推計結果は,従属変数:FS(j国から I 国に移動した留学生数)、観測数:
10,427、従属変数の平均値:146.518、従属変数の標準偏差:1277.65、決定係数:
10
0.0716、自由度修正済み決定係数:0.0711
井口 泰、曙 光、「高度人材の国際移動の決定要因―日中間の留学生移動を中心に―」、『経済学論
究』、関西学院大学、2003 年 12 月、57 巻 3 号
11
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
帰方程式の係数を推計するというものであった 11 。ここでの推計結果では、中国の一人当
たりGDP、元の対円為替相場、帰国留学生、一人っ子政策ダミーが有意となっていた。ま
た一人当たりGDPと貿易総額又は、日経企業の従業員数の間に強い相関がみられたため、
貿易総額を変数から外す、考慮に入れていた入管規制緩和ダミーや資格変更ダミーも除外
するなど、説明変数を操作することで推計の質を保つための工夫も行われていた。しかし、
推計結果は表と文で説明されているものの、推計の数値を詳しく説明した部分が少ないよ
うな印象を受けた。船津論文と井口・曙論文を読んで比較すると、読者に推計の結果を正
しく理解してもらうためには、文章での説明も加えた方が良いのではないかと感じること
ができた。
論文の締めくくりとしては、中国・日本間の留学に関する状況や推計の結果から今後日
本の課題が示され、それらを改善・実行すべきであるというような形となっていた。具体
的な政策提言を立てるという論文というよりも、問題の所在を明確に提示する論文である
と感じた。
この二つの論文を参考に、本稿の中でも四つの工夫やオリジナリティを加える。工夫・
オリジナリティの具体的な内容としては、第一に推計の際は、説明変数に対数をとり、推
計結果における限界効果の度合いがとらえやすくなるように工夫をすること。第二に説明
変数の相関や影響度合いを考え、操作することで推計の質を保つ工夫をすること。第三に
推計結果は表だけでなく文章でも説明し、数値や限界効果の説明も詳しく行う工夫をする
こと。第四に井口・曙論文において留学生の国際移動に関する統計を送出国と受入国の双
方の経済・労働統計と併せて時系列的にプールすることが困難であると主張されていた問
題を乗り越えるというオリジナリティである。本稿では海外から日本への留学促進につい
て韓国を一例に取り扱っていく。韓国を一例にした理由は現状分析 2 で詳しく述べること
にするが、本稿の著者の一人である韓国人留学生、金那英の力を借りて、韓国側からの
データと日本側からのデータの二側面からデータを収集することが可能となった。これは、
井口・曙論文で困難とされていた「留学生の国際移動に関する統計を送出国と受入国の双
方の経済・労働統計と併せて時系列的にプールすること」を現状分析 3 で実現させるとい
う結果をもたらした。これらを盛り込みながら論文を書き進めていく。
11
推計式:y=α0 +α1x1 +α2x2 +α3x3 +α4x4 +α5x5 +μ
被説明変数
(μ は残差項)
yは日本法務省「出入国管理統計」、在留資格「留学」による新規入国者数(人)
説明変数x1 は一人当たり GDP、中国から日本への留学のほとんどが私費留学によるもの、
留学という人的資本投資を負担する経済的能力を測る代理変数として使用
x2 は一人っ子政策に関するダミー変数、
1978 年に実施され、18 年後の 1996 以降にダミーを採用
x3 は元の対円為替レート、為替変動が留学生の流入に及ぼす影響を推定可能に
日中間に緊密な経済関係が発生、相互依存度が高まりを示す変数を教育というサービス
の貿易の代理変数とする
x4 は中国大都市における失業率、留学生の国際移動は中国国内における大学卒業生の雇用機
会の不足や留学経験のない学生の就職状況を反映している可能性がある
x5 は海外からの帰国留学生数(総数)
その他考えられるダミー変数:中国側、私費留学生の出国帰省の緩和に関するダミー
日本側、入管法改正などによる留学生の国内就労に関する規制緩和ダミー
12
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
第3章 現状分析
第1節
第1項
現状分析 1:留学の阻害要因を考える
留学の阻害要因は何か
留学の際に阻害要因となるものは一体何なのだろうか。日本から海外へ、海外から日本
へ、留学の形態が異なれば違った問題が発生しているのだろうか。まずは海外から日本へ
留学する場合も日本から海外に留学する場合と類似した問題が発生しているのではないか
と考え、日本の論文や大学におけるアンケート調査などに目を向けることにした 12 。そう
してみると、留学生には母国と留学先の国の距離や外交問題、食事その他様々な文化など
多くの問題があることが分かった。そこで一般的に言われている留学の阻害要因が実際に
作用しているのか、実際に海外から日本への留学の際に直面する問題とは何なのか、とい
う疑問を解決するため、「推計 1-留学の阻害要因を検証する推計」を行うことにする。
まず適切な説明変数を設定するためにも、留学する際のコストとベネフィットを考える
こととする。留学することのコストとして考えられるのは、生活習慣や文化の違いや渡航
にかかる飛行機代、留学先での生活費や授業料、教育システムの違いから生じる入学時期
のずれなどが考えられる。ベネフィットとしては、留学先の魅力的で高レベルな教育、生
活の質、異文化に触れることで理解度が高まる、語学力の習得が考えられる。これらを踏
まえ推計 1 の詳細を以下のように設定する。
第2項
推計 1―留学阻害要因を検証
推計の対象期間は 2005 年から 2010 年までの 6 年間で、対象国はOECD加盟国の中か
ら、韓国・アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツ・オーストラリアの 7 か国を
選択する。対象期間は、ひとまず 2011 年の東日本大震災の発生が留学生の減少に影響を与
えたという事実を考慮して 2010 年までのデータを扱うことにする。それに加え、文部科
学省など日本政府により 2008 年に提唱された「留学生 30 万人計画 13」前後の留学生数の
データを扱うようにするために、2005 年から 2010 年の 6 年間に設定した。
12
13
「14) 東京大学の学生の留学に関する障害」、『入学時期の在り方に関する懇談会 中間まとめ特集
版』、東京大学、2012/1/26、44 頁
留学生 30 万人計画:日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界の間のヒト・モノ・カネ、情報
の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環として、2020 年を目途に 30 万人の留学生受入れ
を目指すもの。このため、日本留学への関心を呼び起こす動機づけや情報提供から、入試・入学・入
国の入り口の改善、大学等の教育機関や社会における受入れ体制の整備、卒業・修了後の就職支援等
に至る幅広い施策を、上記関係省庁において検討し、その基本的な考え方や施策の方向性を「留学生
13
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
対象国に関しては、日本学生支援機構の留学生数調査の順位と地理的な位置のバランス
を考慮して設定した。留学生数の数のみに着目すると中国が最も多い人数となっているの
だが、母体となる中国の総人口が他国と比べてかなり大きなものとなっているので、推計
1では除くことにした。また OECD 加盟国の中から対象国を選ぶことで、データ収集の困
難を回避できると感じたため、7か国の選択を行った。
被説明変数は「上記 7 か国からの日本への留学生数」(人口十万人当たり) 14とした。各国
で母体となる総人口数が異なることうを考慮するために、人口十万人当たりの数値を代入
することにする。
説明変数に関しては、井口・曙論文や船津論文の先行研究も参考にしながら検討し 15 、
「GDP」(米ドル)16、「為替レート」(1 ドル=○円、1 ユーロ=○円など) 17、「世界大学ラ
ンキング」 18 、「日本の一人当たりGDP」(米ドル) 19 を投入した。推計 1 における
「GDP」は「各国一人当たりGDP÷日本の一人当たりGDP」(米ドル)、「世界大学ランキン
グ」は「世界大学ランキング上位 100 位以内に入っている各国の大学数÷世界大学ランキ
ング上位 100 位以内に入っている日本の大学数」を意味する。推計結果の表記方法をわか
りやすくするため、「GDP」と「各国為替レート」、「日本の一人当たりGDP」は対数を
とることにした。
また、距離を説明変数に加えることも考えたが、距離は時系列の変化が起こっても変化
しないものなので、固定効果モデルでの推計ができなくなることが考えられる。したがっ
て、ここでは除くことにする。そして距離に関する解釈としては、先行研究における「留
学者の母国と留学先の国の距離が遠くなるほど留学生の数は減少する」という研究結果を
用いることにする 20。
これら要素でパネルデータを作成し、推計を行った。まず固定効果モデルで推計を行っ
たところ、表 1 で示すように、帰無仮説の「固定効果なし」は検定結果の P 値=0.0000 よ
り棄却された。
30 万人計画」骨子としてとりまとめる。
「留学生 30 万人計画」、文部科学省HP、http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/07/08080109.htm、
2012/10/08
14
「日本への留学整数」、日本学生支援機構、http://www.jasso.go.jp/statistics/index.html、2012/08/27
「主要国の人口の推移」、総務省統計局・政策統括官・統計研修所、
http://www.stat.go.jp/data/sekai/02.htm、2012/08/27
15
井口 泰、曙 光、「高度人材の国際移動の決定要因―日中間の留学生移動を中心に―」、『経済学論
究』、関西学院大学、2003 年 12 月、57 巻 3 号、112~117 頁
船津 秀樹、「地域経済統合の進展と学生の国際間移動」、『経済学研究』、北海道大学、2007 年 1
月、56 巻 3 号、7(371)~8(372)頁
16
「各国 一人当たり GDP、『OECD 加盟国データ』、総務省統計局・政策統括官・統計研修所、
http://www.stat.go.jp/DATA/sekai/03.htm 、2012/08/27
17
「為替レート」、『外国為替公示相場ヒストリカルデータ(月中平均データ)』、みずほ銀行、
http://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/information/market/historical.html、2012/08/27
18
「世界大学ランキング」、Times Higher Education、 http://www.timeshighereducation.co.uk/&prev=/s、
2012/08/29
19
「日本 一人当たり GDP」、『OECD 加盟国データ』、総務省統計局・政策統括官・統計研修所、
http://www.stat.go.jp/DATA/sekai/03.htm 、2012/08/27
20
船津 秀樹、「地域経済統合の進展と学生の国際間移動」、『経済学研究』、北海道大学、2007 年 1
月、56 巻 3 号、8(372)頁
14
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
表 1 固定効果モデル検定結果
Redundant Fixed Effects Tests
Equation: EQ01
Test cross-section fixed effects
Effects Test
Statistic
Cross-section F
Cross-section Chi-square
d.f.
30.505541
81.150055
Prob.
(6,31)
6
0.0000
0.0000
次に変量効果モデルで推計を行った。ここでの帰無仮説は「固定効果が説明変数と無相
関」であり、表 2 で示すように、検定結果のP値=0.0000 より棄却された。この結果から
固定効果モデルでの推計を採用することにする21。
表 2 変量効果モデル検定結果
Correlated Random Effects - Hausman Test
Equation: EQ01
Test cross-section random effects
Test Summary
Cross-section random
Chi-Sq. Statistic
69.478308
Chi-Sq. d.f.
Prob.
4
0.0000
したがって、「推計 1-留学の阻害要因を検証する推計」の結果は以下の通りに示され
る。
被説明変数:「上記 7 か国からの日本への留学生数」(人口十万人当たり)
サンプル数:42
自由度修正済み決定係数:0.993474
F 検定:0.0000
21
松浦克己/コリン・マッケンジー、『EViews による計量経済学入門』、東洋経済新報社、東京、2005
年、
215~217 頁
15
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
表 3 推計 1-留学の阻害要因を検証する推計の結果
説明変数
切片
Log(各国為替レート)
Log(日本の一人当たり GDP)
大学ランキング
Log(GDP)
係数
T 検定
-52.0141
-2.1287
6.3152
-0.0013
24.1314
P値
-1.18
-1.50
1.47
-0.02
3.31
0.2485
0.1438
0.1521
0.9828
0.0024
***
***:1%水準で有意第 3 項
第3項
推計 1 の結果とまとめ
表 3 の結果より、各国為替レートが 1%上昇すると日本への留学生数は人口十万人当た
り 2.1 人減少し、円高になると留学生数が減少することがわかる。また日本の一人当たり
GDP が 1%上昇すると人口十万人当たり 6.3 人増加することから、日本の GDP 上昇が留学
生数の増加につながる傾向にあることが見て取れる。これを踏まえて、1%水準で有意と
なった、「GDP つまり、各国の一人当たり GDP÷日本の一人当たり GDP」が 1%上昇する
と、留学生数は人口十万人当たり 24.1 人増加するという結果について考えてみる。日本の
GDP 上昇が留学生数を増加させることを考慮すると、この結果は分子、つまり各国の一人
当たり GDP の増加が留学生増加に影響していると予想することができる。
しかし、世界各国の経済成長を促進する政策をこの論文で提言することは、実現可能性
という観点でリアリティを持たない。よって、「日本の一人当たり GDP が上昇すると、
日本への留学生数が増加する」という結果にフォーカスして、分析をさらに深めていくこ
とにする。
また、ここで大学内の留学生たちからの意見やアンケート調査 22 にも着目しながら、留
学生数を増加させるための効果的な方法も考えてみることにした。すると留学生にとって
経済的な援助が最も重要で、必要とされているという現実を垣間見ることができた。経済
的な援助として考えられるのは、奨学金制度の充実や留学生寮の設置などによる生活支援、
円高是正など様々であった。しかし、どれも広く世間で言われているようで、耳にしたこ
とがあるありきたりな内容に思えてしまう。
この論文では推計 1 での結果と現実的な資金的な援助方法を実現することが可能になる
と考えられる、GDP に着目することでオリジナリティを出していくことにする。
これら二つのことから、「日本の一人当たり GDP が上昇すれば各国から日本への留学
生数は増加する」という仮説を立て、その仮説が成立するかどうかを現状分析 3 の推計 2
で検証していきたいと思う。
22
「14) 東京大学の学生の留学に関する障害」、『入学時期の在り方に関する懇談会 中間まとめ特集
版』、東京大学、2012/1/26、44 頁
16
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
現状分析 2:韓国を一例に
第2節
第1項
韓国を一例に
そこで、本稿では、日本の大学を国際化するための方法として、研究対象となる国を韓
国に絞って考えることにする。これについてもこの論文におけるオリジナリティの一つと
言えるであろう。韓国を一例として扱った理由としては、以下のような三つの理由があ
る。
まず一つ目の理由として、上記の現状分析1の結果でわかるように、留学することにあ
たって考慮する条件が、国によって違ってくるのではないかと考えたからである。例え
ば、送り出し国と日本とがどれだけ離れているかによって、飛行機代や荷物輸送費用が変
わってくる、つまり留学するときの準備費用に影響を及ぼす。その中でも韓国は日本と地
理的にもっとも接している国であるため、割と文化や価値観など、共通しているところが
多い国と言えるだろう。また、教育制度の面からみても、日本と韓国、両国とも6-3-34制をとっていて、ほぼ同じ教育制度と取っている。
二つ目は、日本への留学生数が中国に次いでもっとも多い国であることも、研究対象と
して考慮した一つの要因である。
表 4 出身国(地域)別留学生数上位 5 位
中国
韓国
台湾
ベトナム
マレーシア
87,533 人
17,640 人
4,571 人
4,033 人
2,417 人
(1,360 人(1.6%)増)
(2,562 人(12.7%)増)
(762 人(13.7%)増)
(436 人(12.1%)増)
(48 人(1.9%)増)
出所:JASSO 「平成 23 年度外国人留学生在籍状況調査結果」 23
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「平成 23 年度外国人留学生在籍状況調査結
果」によると、平成 23 年 5 月、留学生 24数は、138,075 人で、2010 年と比べて 3,699 人
(2.6%)減少傾向にある。毎年増加の推移を示していた留学生数が 2011 年度に減少している
原因としては、東日本大震災の影響が大きいと考えられる。上記の表 4 は、出身国(地域)
別留学生数上位 5 位 25の国を表している。日本への留学生で最も多い割合を占めているの
は、中国(87,533 人)であって、次いで韓国(17,640 人)、台湾(4,561 人)、ベトナム(4,033
人)、マレーシア(2,417 人)の順で、ほとんどの留学生がアジアから来ていることがわか
る。現状分析1-Ⅱのところで述べているように、本稿では、中国の場合、総人口が他国と
比べて規模がかなり大きなものとなっているので、中国に次いでもっとも多い割合を占め
ている韓国に着目することにした。
23
24
25
独立行政法人、日本学生支援機構、http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data11.html、2012/08/24
ここでいう 「留学生」とは、「出入国管理及び難民認定法」別表第1に定める「留学」の在留資格
(いわゆる「留学ビザ」)により、我が国の大学(大学院を含む。)、短期大学、高等専門学校、専
修学校(専門課程)及び我が国の大学に入学するための準備教育課程を設置する教育施設において教
育を受ける外国人学生をいう。
独立行政法人、日本学生支援機構、http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data11.html
17
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
さらに三つ目としては、高等教育機関への進学率が OECD 国の中で上位を示していると
いう点に着目したいと思ったためである。
表 5 主要国の高等教育機関への進学率 26
国
日本
韓国
アメリカ
イギリス
オーストラリア
ドイツ
OECD 平均
(%)
49
71
70
61
94
40
59
出所:OECD (2011), Education at a Glance 2011: OECD Indicators
以上のような三つの理由で、本稿では対象国を韓国に絞り、日本への韓国人留学生を増
やすための分析を行っていく。
第2項
韓国の留学政策とその変遷
対象国を韓国に着目し、考察していくことにあたって、まずは韓国が今まで行ってきた
留学生政策に着目し、その背景について探ってみることにする。
留学生政策を考える際、韓国から海外への送り出し政策と、海外から韓国への受け入れ
政策を両面について考える必要があるが、本稿では、日本への韓国人留学生誘致を目的と
しているため、韓国から海外への送り出し政策だけに焦点を当ててその変遷を考えること
にした。
韓国の留学生政策の変遷 27は大きく5つに分けられる。
1955 年以前
第 1 期の留学生政策に関する記録として、1947 年アメリカの大学で韓国人留学生に奨学
金を支給することを韓国の政府に提案していることがある。しかし、まだこの時期は海外
留学生に対する支援や体系的な政策は整っていなかった。1955 年、文教部 28により、「外
国人留学試験及び設定に関する規定」が制定されはじめて、政策的な行政が実施されるこ
26
27
28
高等機関は、大学・短期大学、高専4年、専修学校を合計したもの
高等機関への進学率は、当該年度の上記の教育機関への入学者数を18歳人口で割った割合
18歳人口とは、3年前の中学校卒業者および、中等教育学校前期課程修了者数
文部科学省、http://www.mext.go.jp/
Education at a glance 2011 OECD indicators,OECD
http://www.oecd.org/document/53/0,3343,en_2649_39263238_45897844_1_1_1_1,00.html#d
韓国国立国際教育院 HP
http://www.niied.go.kr/index.do
韓国養育科学技術部
http://www.mest.go.kr/web/1174/site/contents/ko/ko_0145.jsp
日本の文部科学省に当たる中央行政機関、現在の教育科学技術部。
18
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
とになる。
1955 年~1980 年
第 2 期の留学生政策は、制度の確立及び、規制期であって、1970 年代に入って、文教部
は、国内教育並みに海外への留学政策に力を入れる。1977 年には「国費留学制度」導入さ
れ、1980 年まで、約 200 人の学生が国の支援を受け、留学をすることになった。
1981 年~1985 年
私費留学が廃止され、留学生政策は自由化に達した時期が第 3 期である。この時期の留
学生の数は、1970 年代に比べ、10 倍以上に増加し、1981 年 6 月基準で留学生の数は、
13,113 人(男:9,606 人、女:3,506 人)だった。地域別には、アメリカ(9,438 人)、ドイ
ツ(1,195 人)、日本(916 人)、フランス(595 人)順に多い。「海外留学に関する規定」はたく
さんの留学生を海外に送り出した。
1990 年代~2000 年代
留学の自由化と典型的な学歴社会である韓国において、早期留学ブームが起こる。早期
留学とは満 17 歳未満の人が留学することを言う。早期留学生数は、徐々に増加の推移を
示し、1998 年には 1,562 人、2006 年には 29,511 人となった。
現在
早期留学は 2006 年を頂点にして、2008 年の金融危機をきっかけに停滞傾向にある。し
かし、韓国の海外への留学は毎年増加の傾向にある。2011 年、韓国の統計庁によると、海
外韓国人留学生の数は 262,465 人に上っている。国際化により、国の間での人的資源の移
動が頻繁になり、増加の推移はこれからも続く見込みである。
図 1 海外韓国人留学生 29
29
図 1 における 1 から 9 の数値は 2003 年から 2011 年を示す。
19
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
国
アメリカ
韓国人留学生数(人)
72,153
割合(%)
27.5
出所:韓国教育開発院、教育統計年報、韓国銀行経済統計システム
第3項
韓国から日本への留学状況
このように、韓国で留学生送り出し推移は毎年増加の傾向にある。韓国の総人口は、
48,860,500 人と推算されているが、このなかで、高等教育機関へ進学する割合は 71%でこ
の数値は OECD 平均の 52%を大きく上回る数値である。高等教育機関へ進む人の中で、国
内の教育機関への進学者が約 335 万人で、海外の教育機関への進学者が約 26 万人と統計
庁は計算している。
国別に韓国人留学生数をみてみると、アメリカがもっとも多い割合で、27.5%、中国
(24.0%)、オーストラリア(12.9%)、日本(9.8%)と続く。このデータを見ると、日
本への留学はアメリカや中国への留学に比べるとまだまだ規模が小さいことがわかる。こ
こで増加傾向にある韓国の留学生や他国へ留学する学生たちを日本へ呼び寄せることがで
きれば、今後韓国から日本への留学生数を増加させていくことは可能であると考えられる。
また国際化が進んでいるなか、韓国人の日本への留学も毎年増加している推移であるが、
2011 年度日本への留学生数(25,692 人)が前年度(27,965 人)に比べ、減少に転じている
のは、東日本大震災の影響が及んでいると考えられる。
表 6 2011 年主要国家別送り出し留学生数 30
韓国統計庁
http://www.index.go.kr/egams/stts/jsp/potal/stts/PO_STTS_IdxMain.jsp?idx_cd=1534&bbs=INDX_001&clas_div
=A
30
韓国統計庁
http://www.index.go.kr/egams/stts/jsp/potal/stts/PO_STTS_IdxMain.jsp?idx_cd=1534&bbs=INDX_001&clas_div=A
20
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
中国
イギリス
オーストラリア
日本
カナダ
ニュージーランド
その他
計
62,957
17,310
33,929
25,692
15,808
10,289
24,327
262,465
24.0
6.6
12.9
9.8
6.0
3.9
9.3
100.0
出所:教育科学技術部 「2011 年度国外韓国人留学生統計」
第4項
まとめ
国際化が進んでいるなか、世界各国で人的資源の移動が活発化している。こういった現
状は今後も続くだろう。韓国人の海外留学は英語圏への需要が多いが、国際化により中国
や、日本といった、非英語圏への留学の風潮を徐々に作り出している。では、日本への韓
国人留学生数を増やすためには一体どういった政策が考えられるのだろうか。
第3節 現状分析 3:韓国からの留学生を増加
させるためには
第1項
留学動機・目的を考える
ではそもそも、留学生はどのような理由で日本にやって来ているのであろうか。日本へ
の留学生を対象に行われたアンケート調査 31によると、理由の第一位(53.1%)として、「日
本社会に興味があり、日本で生活したかったから」というものが上がっていた。第二位
(46.4%)は「日本語・日本文化を勉強したかったから」、第三位(33.2%)は「日本の大学な
どの教育・研究が魅力的だと思ったから」で、第四位(29.3%)では「日本と関連のある職業
に就きたかったから」となっていた。
31
「なぜ留学先を日本に選んだのか?」、日本学生支援機構、http://www.jasso.go.jp/statistics/index.html、
2012/10/01
21
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
また、韓国の留学生のみを対象にしたアンケート調査 32に注目してみると、第一位(40%)
が「仕事上で有利だから、日系企業への就職がしやすいから」、第二位から第四位が「日
本語が勉強しやすい」、「日本の教育機関の教育が魅力的」、「アニメなどの日本文化の
影響」、第五位(22%)が「アルバイトができること 33」という結果が出ていた。現状分析 1
で行った「推計 1-留学の阻害要因を検証する推計」の結果を思い出してみたいと思う。
そこで示された、日本のGDPが上昇すれば海外から日本への留学生数は増加するという内
容とこのアンケート調査に関係性が見いだせるように思われる。
ここで経済産業省によるGDPの定義を見てみると、「日本国内で 1 年間に新しく生み出
された生産物やサービスの金額の総和、その国の経済力の目安として用いられるもの」と
示されていた 34 。これらを踏まえると、韓国からの留学生の抱く「日本社会への興味や日
本での生活への憧れ」や「日本での就職の際や仕事上で有利」という感情は、日本での生
活の質・レベルの指標であるGDPが向上すればさらに強くなる、日本の経済が豊かになれ
ばさらに大きくなる可能性があると考えられるのではないだろうか。韓国から日本への留
学生の数を増加させるためには「日本へ行きたい」という韓国人留学生の感情を強めるこ
と、さらには「日本が留学先の国として魅力的な国になること」、「日本の生活レベルの
向上、経済力の強化」が必要であると考えられるであろう。
第2項
推計 2 を行うにあたって
現状分析 3 では、現状分析 1 での推計結果と現状分析 2 で取り上げた韓国を一例に、
「日本の一人当たり GDP を高めれば、韓国から日本への留学生数は増加する」という仮
説を立て、「推計 2-韓国留学生数に関する推計」として検証を行っていく。
第3項
推計 2-韓国留学生数に関する仮説の検証
推計 2 でも推計1と同じように、2011 年の東日本大震災の発生が留学生の減少に影響を
与えたという事実を考慮して、1980 年から 2010 年までの 31 年間を対象期間に設定した。
この時系列データを最小二乗法で推計した。
当初は、被説明変数を「韓国から日本への留学生数」とすることを考えていたが、統計
データが 1999 年から 2012 年までのものしか入手することができなかった。そこで視点を
変え、韓国側の統計データを活用することにし、「韓国の日本への出国者数(在留資格:留
32
33
34
白石勝己、「韓国の留学代理店アンケート調査 ~最近の日本留学」、『月刊 アジアの友 第 437
号』、2005 年、4 頁
アンケートの対象者構成は、割合の高い順から、日本語学習長期・専門学校・大学学部・日本語学習短
期・ワーキングホリデー・インターンシップ等・大学院となっている。
日本では留学生がアルバイトを行うことは法律的に許されているが、他国では学校内でのアルバイトは
許可されていても、学校外では禁止されている所も多い。特にアメリカでは留学ビザでアルバイトを行
うことは法律的に禁止されており、もしアルバイトを行っていることが知れた場合には国外追放とな
る。
韓国留学協会 http://www.kosaworld.org/ 、2012/10/22
「GDP とは?」、経済産業省キッズページ、http://www.meti.go.jp/ 、2012/10/26
22
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
学)」(人口十万人当たり) 35 を被説明変数とした推計を行った。韓国国内での時系列の推移
による人口の増減を考慮するため、人口十万人当たりの数値を代入した。また、韓国の
データの中でも、データ集計方法の変更で 2003 年と 2005 年から 2010 年までのものが記
されておらず、ここでの推計では 2003 年、2005 年から 2010 年までのデータは欠損値とし
て推計した。
説明変数としては、推計1でも用いた「韓国の一人当たりGDP」(単位:米ドル)、「日
本の一人当たりGDP」(単位:米ドル) 36、「韓国の実質実効為替レート 37」に加え、「韓国
の政治的グローバリゼーション」、「日本の政治的グローバリゼーション」 38 、「日本か
ら韓国への輸出総額」(単位:100 万円)、「日本から韓国への輸入総額」(単位:100 万
円) 39、を投入した。
これらの説明変数では、為替は時系列の推移によって韓国の物価が変動している可能性
を考慮して、実質実効為替レートを使用する。また韓国と日本の経済的つながりや韓国・
日本それぞれのグローバル化の度合いが留学生数の変化に何らかの影響を与えるのではな
いかと考え、政治的グローバリゼーションの度合いを加えるなど工夫をした。さらに推計
結果を解釈しやすいように、推計 1 同様、説明変数は対数をとる工夫も加えた。
35
「韓国 出国者数データ」、出入国外国人政策本部 HP、http://www.immigration.go.kr、
2012/09/26
「韓国総人口」、IMF World Economic Outlook databases、http://www.imf.org/external/ns/cs.aspx?id=28、
2012/10/03
在留資格:外国人が日本に在留することについて,法が定める一定の資格。外国人は,その資格をもっ
て日本に在留するものとされ,在留することのできる期間,行なうことができる活動は在留資格
ごとに法定されている。在留資格により認められる以外の活動,在留資格の変更,在留期間の更新
を行なうには法務大臣の許可が必要とされる。その種類は出入国管理及び難民認定法の別表で規定
され,2000 年現在 27 の在留資格が定められているほか,在日韓国人・朝鮮人・台湾人については
特例法により特別永住者の在留資格が認められている。
『ブリタニカ・オンライン・ジャパン 小項目事典』、http://japan.eb.com/rg/article-N0428100、
2012/10/29 より引用
36
37
「韓国・日本 一人当たり GDP」、IMF World Economic Outlook Database、
http://www.imf.org/external/ns、2012/09/24
「実質実効為替レート」、Principal Global Indicators、http://www.principalglobalindicators.org/、2012/09/24
実質実効為替レート指標:通貨の実勢値の推移を示す指標。ひとつの通貨が一定期間内に他の通貨に対
しどのような動きをしたかをみるために編出された指標で,名目実効為替レートに,各国のインフ
レ率格差に基づいた調整を加えて算出する。
『ブリタニカ・オンライン・ジャパン 小項目事典』、http://japan.eb.com/rg/article-G1053600、
2012/10/29 より引用
38
The KOF Index of Globalization measures the three main dimensions of globalization:
Economic, social, and political.
In addition to three indices measuring these dimensions, we calculate an overall index of globalization and subindices referring to
actual economic flows, economic restrictions, data on information flows, data on personal contact, and data on
cultural proximity. (KOF の HP から引用)
「韓国・日本の政治的グローバリゼーション」、KOF Index of
39
Globalization,
http://globalization.kof.ethz.ch/ 、2012/08/24
「輸出入総額」、財務省貿易統計ホームページ http://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm、
2012/08/24
23
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
「推計 2-韓国留学生数に関する推計」、「仮説:日本の一人当たり GDP を高めれば、
韓国から日本への留学生数は増加する」の検証結果は、以下のように要約される。
被説明変数:「韓国の日本への出国者数(在留資格:留学)」(人口十万人当たり)
サンプル数:31(2003 年、2005 年から 2010 年を除くと 24)
自由度修正済み決定係数:0.9101
Log likelihood:-80.7719
F 検定:0.0000
ダービンワトソン値:1.1241
表 7 推計 2-韓国留学生数に関する推計の結果
説明変数
切片
Log(日本
一人当たり GDP)
Log(韓国
Log(韓国
一人当たり GDP)
実質実効為替レート)
T 検定
-2.72
P値
0.0150
290.2168
3.22
-91.8313
74.2266
-1.14
2.18
0.0053
***
0.2702
0.0443
**
0.4348
0.8164
0.6058
0.2597
27.6228
0.80
-8.3336
-0.24
-15.1217
-0.53
-24.8329
-1.17
**:5%水準で有意 ***:1%水準で有意
Log(日本の政治的グローバリゼーション)
Log(韓国の政治的グローバリゼーション)
Log(日本から韓国への輸出総額)
Log(日本の韓国からの輸入総額)
第4項
係数
-1831.779
推計 2 の結果
この結果から、日本の一人当たり GDP が 1%水準で有意、韓国の実質実効為替レートが
5%水準で有意となった。推計 2 の推計結果は、日本の一人当たり GDP が 1% 上昇する
と、韓国から日本への留学生数は、人口十万人当たり 290.2 人増加するということを意味
する。これは韓国の人口 5,000 万人当たりに換算すると、145,100 人の増加となる。次に、
韓国の実質実効為替レートについては、1%上昇すると韓国から日本への留学生数は、人
口十万人当たり 74.2 人増加することを意味している。これも韓国の人口 5,000 万人当たり
に換算すると、37,100 人増加すると解釈できる。
24
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
第5項
推計 2 における注意点
また時系列データを扱う際には、ある時点(t)と他のある時点(s)の誤差項が相関を持つと
き、系列相関が生まれる可能性があることに注意する必要がある40。ここで、「推計 2-韓
国留学生数に関する推計」において系列相関が発生しているかどうかを検定するために、
ダービンワトソン値 41に着目する。系列相関があるかどうか(両側検定)、有意水準 5%で検
定を行った。検定の結果は以下のとおりである。
欠損値を除くサンプル数:24
ダービンワトソン値:1.1241
両側検定有意水準 5%、説明変数 7 個:dℓ=0.668、du=2.066
『Eviews による計量経済学』によると、
d<dℓ, d>4-dℓ (棄却域)
dℓ<d<du, 4-du<d<4-dℓ (不定域)
du<d<4-du (採択域)
のように示されており 42 、Kmenta[1997]の分布表 43 から計算すると、dℓ=0.668<d=
1.1241<du=2.066 の不定域となる。
この結果から、推計 2 において系列相関が発生しているとは断定できないので、系列相関
の存在は問題視しないことにする。
第6項
まとめ
これらのことから、推計前に立てた仮説、「日本の一人当たり GDP を高めれば、韓国
から日本への留学生数は増加する」は妥当であり、成立したと言えるであろう。この結果
を踏まえ、この論文の政策提言へとつなげていく。
40
41
42
43
松浦克己/コリン・マッケンジー、『EViews による計量経済学入門』、東洋経済新報社、東京、2005
年、144 頁
ダービン=ワトソン・テスト:系列相関モデルにおいて系列相関がないかどうかを検定するために最も
よく使われる手法。利用条件としては、①モデルに定数項がある、②説明変数は非確率変数であるとい
う前提がある。同書、154 頁
同書、155~156 頁
Kmenta.J,[1997] Elements of Econometrics, 2nd edition, University of Michigan Press, Ann Arbor
25
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
第4章 政策提言に向けて ―日本のソフ
ト・パワーと留学生の相関関係―
第1節
ソフト・パワーとは
本稿では第二章までの分析において、日本のGDPなどのハード・パワーに着目した。本
章の分析では、ソフト・パワーに着目した考察を深めることとする。ここで言うソフト・
パワ―とは、ジョセフ・ナイの提唱した概念に基づく、「国際関係において、自国の魅力
によって他国を味方につける力」と定義されるものである 44 。ハード・パワーとは、ソフ
ト・パワーと対立する概念であり、国家の経済力や軍事力を指す。
本章における考察では、日本のソフト・パワーのなかでも、クール・ジャパン政策の一
環として世界へと発信されつつある、アニメや漫画の人気を代表としたソフト・パワーの
醸成により留学生を取り込むことに対する考察を深めたいと考える。
第2節
日本への留学理由に占める文化的要因
第一に、JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)による日本への留学理由調査を分析
し、日本への留学動機においてソフト・パワーの影響がどの程度強力であるかを分析した
い。
44
ジョセフ・s・ナイ著、山岡洋一訳、『ソフト・パワー』、日本経済新聞社、2004 年
26
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
表 8 日本を留学先に選んだ理由(複数回答可能) 45
順位
第一位
第二位
第三位
第四位
第五位
第六位
第七位
第八位
第九位
第十位
理由
日本社会に興味があり、日本で生活したかった
日本語・日本文化を勉強したかった
日本の大学などの教育・研究が魅力的だと思った
日本と関連のある職業に就きたかったため
友人・知人・家族などに進められた
興味ある専門分野があった
異文化に接したかった
地理的に近い
大学間交流協定により進められた
奨学金を得られた
回答比率
53.1%
46.4%
33.2%
29.3%
26.4%
25.1%
22.3%
21.1%
4.7%
4.0%
出所:日本学生支援機構「なぜ留学先を日本に選んだのか?」
上記アンケートにおいて、第一位の理由はソフト・パワーとハード・パワー両者の当て
はまる日本の魅力に起因する留学理由であり、第二位、第七位の理由は日本の文化的魅力
を要素として挙げていることから、ソフト・パワーに当てはまる日本の魅力に起因する留
学理由である。
上記の留学理由調査からも読み取れるように、日本への留学を決定する要因として、日
本文化に対する興味の影響は大きいものであると推測される。
第3節
関
日本のソフト・パワーと留学生数の相
上記の議論を踏まえ、外国から日本への留学生数と海外諸国における日本文化のプレゼ
ンスの大きさに相関関係があるか否かについて、分析を行った分析した。
45
「なぜ留学先を日本に選んだのか?」、日本学生支援機構、http://www.jasso.go.jp/statistics/index.html、
2012/10/01
27
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
分析手法
回帰式
被説明変数
説明変数
データ
重回帰分析
y = a + b1 x1 + b2 x2
諸外国から日本への留学生数
日本から諸外国への書籍輸出量③日本から諸外国への電気機器輸出量
:平成22年外国人留学生在籍状況調査 出身地域別留学生数 46
:貿易省 普通貿易統計 国別品別表 光学機器、写真用機器、映画用
機器、測定機器、検査機器、精密機器及び医療用機器並びにこれらの部
分品及び附属品(本分析では、データの充実性から「ハイドロメーター
その他これに類する浮きばかり、温度計、パイロメーター、気圧計、湿
度計及び乾湿球湿度計(記録装置を有するか有しないかを問わない。)
並びにこれらを組み合わせた物品)」の貿易量を使用。
③ :貿易省 普通貿易統計 国別品別表 印刷した書籍、新聞、絵画その
①
②
①
②
他の印刷物並びに手書き文書、タイプ文書、設計図及び図案 印刷した書
籍、小冊子、リーフレットその他これらに類する印刷物(単一シートのも
のであるかないかを問わない。)
データサン
プル
仮説
n=15 大韓民国、中華人民共和国、台湾、ベトナム、タイ、シンガポー
ル、マレーシア、フィリピン、インドネシア、インド、英国、フラン
ス、ドイツ、カナダ、アメリカ合衆国
留学生数と書籍輸出量に正の相関が存在する
検定結果
係数a
モデル
標準化されていない係数
B
(定数)
日本から諸外国へ
1 の書籍輸出量
日本から諸外国へ
の電気機器輸出量
標準誤差
2407.307
1578.037
.000
.009
.013
.001
標準化係数
t 値
有意確率
ベータ
1.526
.153
-.003
-.039
.970***
.972
14.460
.000
***有意水準1%
a. 従属変数 諸外国から日本への留学生数
〈分析から読み取れること〉
書籍輸出量と留学生数には適切な相関がみられなかった。
今回の分析では、書籍輸出量と留学生数の相関に適切な相関係数はみられなかった。
本分析において、国ごとの地理的要因やその他の要因を排除することが出来なかった
こと等がその理由であると推測される。
46
「出身地域別留学生数」、日本学生支援機構、
http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data10.html、2012/10/29
28
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
第4節
分析からの考察
上記二つの分析から得られた考察
① 日本への留学理由アンケートから、日本への留学生は文化的要因によるプル要因の影
響が大きいと考えられる。
② 海外諸国に対する日本の書籍輸出量と留学生数の間には適切な相関を見出すことはで
きなかった。
以上、②の回帰分析の結果では、国別国家単位での分析を行ったことなどから、適切な
相関関係を見出すことはできなかった。しかし、①のアンケート結果から読み取れるよう
に、日本への留学に際して文化的要因は大きいと考えられる。
日本への海外留学生を増加させるという目的のもとにおいては、日本の文化的魅力を高
めることの効果は依然として高いと考えられる。
29
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
第5章 政策提言
第1節
ハード・パワーの醸成
本稿の第 3 章、第 3 節の分析において結論付けた通り、日本の GDP と日本への留学生数に
は正の相関関係が存在する。本節では、経済力に基づいた日本のハード・パワーの醸成による
留学生の呼び込みについて政策提言を行いたいと考える。
日本の GDP 上昇により、日本への留学生が受ける利益とは、日本で学んだ経験による母国
での就職活動への優位性であり、日本での生活を享受することであると考えられる。
第一に、日本へ留学するインセンティブとなる要因について考えてみたい。留学における主
要な目的は大学で学ぶことである。よって、海外からの留学生数増加させるためには、日本の
大学教育の海外から見た魅力を高めることが必要である。日本の大学の国際的プレゼンスを高
めるために、以下の2点を提案したいと考える。第一に、日本が強みを持つ分野において資金
や人材を投入した課程を有名大学に設置し、他国大学との差別化を図ること。第二に、上記課
程の管理・運営においてビジネスで活用されているブランディング手法を取り入れて大規模な
ブランディング及びマーケティングを行うことである。
日本は、先端物理工学等において依然として技術的優位性を保持している。この分野におい
て海外学生の受け入れを視野に入れた課程を整備することにより、その課程で学ぶことの魅力
を高める。卒業後の人材の受け入れ先や資金提供を産官が協力しておこなうことで、産官学の
協力体制のもとにこの課程の設置を遂行することが提案される。
第二に、日本へ留学する際にためらう要因となる障壁について考察し、その障壁を取り除く
ことで留学生数の増加をもたらしたいと考える。
先行研究を参照した結果、日本への留学生数の増加をもたらす効果の大きな施策として、奨
学金制度の充実が挙げられている。学生が奨学金をどのように使用し、大学での学業に対して
どの程度尽力しているのかを監視・管理するシステムのもとで、奨学金を提供する制度設計を
行うことにより、従来よりも柔軟性の高い奨学金提供を達成することが望まれる。
第2節
ソフト・パワーの醸成
ここではソフト・パワーの醸成による留学生数の増加を達成するための施策について言及し
たいと考える。本稿においては、留学生の潜在市場として中国・台湾・香港・インドネシア・
ブラジル・タイ・シンガポール・インド・トルコ・ベトナム・ロシア・サウジアラビア・米
国・フランスの計14か国についての現状分析を行い、各国をグルーピングしたうえで、各グ
ループにおいて日本産コンテンツの人気を高めることにより留学生数の増加を期待したい。
30
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
・中国
[現状]
中国は、コンテンツ市場・他産業の双方について市場規模・ 成長性が共に大きく、市場進
出期において日本のコンテンツの参入余地が大きい。日本産のコンテンツの人気はすでに一
程度高いが、政府による規制の存在により日本産コンテンツの露出機会が制約されている。
[日本文化人気向上のための施策]
テレビやインターネット等に対する規制の制約内において日本産コンテンツの発信量を増
加させる。また、政府との協力関係を構築し、政治的イデオロギーを含まないよう日本産コ
ンテンツの発信量の制約を緩和するよう働きかける。
・タイ,インドネシア,ブラジル,シンガポール
[現状]
上記4か国では日本のアニメ・キャラクターの普及率が高い。各国は親日国家であり、市
場成長の期待値も高い。シンガポールでの日本産コンテンツの人気上昇により、周辺諸国へ
の波及効果を期待することができる。
[日本文化人気向上のための施策]
効果的にメディアの枠を確保し、既に人気の高い日本産コンテンツを発信することで各国
国民により近い文化として日本文化を定着させる。
・インド,トルコ
[現状]
これらの二カ国では、日系コンテンツの普及の歴史が浅く、流通も限定的である。また、
文化的背景から、受け入れられるコンテンツが限定的である。市場に対する日本企業の知見
が少ないために、日系企業は進出躊躇する傾向がある。
[日本文化人気向上のための施策]
現地文化に対応させたコンテンツを選択し、集中投下することにより、新たな顧客層を創
出することが必要である。
・ロシア,ベトナム,サウジアラビア
[現状]
これらの二カ国でも、日系コンテンツの普及の歴史が浅く、流通も限定的である。両国で
は国家による市場規制が高い。
[日本文化人気向上のための施策]
中長期的な有望市場を見据え、国主導により日系コンテンツの認知底上げが必要である。
・米国,フランス
[現状]
コンテンツ産業が成熟しており、日系コンテンツ普及の歴史も長い。「強いコンテンツ」
を活かして、多様なマネタイズの手段を構築していくことが重要な段階である。
[日本文化人気向上のための施策]
コンテンツのマネタイズ機会を増やし、新しいメディアの構造に対応したビジネスモデル
を模索する必要がある。
31
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
上記の5グループに対して、日本のコンテンツ産業が参入戦略を遂行する際に、高校生・大学
生層をターゲットに含ませることで、彼らに対する日本文化の人気を向上させ、留学先国選択
において日本の選択率を高めることを期待する。
上記の施策のもとに、日本のハード・パワー及びソフト・パワーを効果的に醸成し、留学生
数の増加に繋げることを、政策提言として提言する。
32
ISFJ政策フォーラム 2012 発表論文 1h – 2th Dec. 2012
参考文献
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―
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― 論文
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Web ―
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