コンクリート工学年次論文集 Vol.25 - 日本コンクリート工学協会

コンクリート工学年次論文集,Vol.25,No.2,2003
論文
1999 年台湾・集集地震で被害を受けた橋梁の詳細調査
田崎
賢治*1・幸左
賢二*2・山口
栄輝*3・庄司
学*4
要旨:1999 年台湾・集集地震で被災した橋梁について再度現地調査を行った。その中から2
橋を代表し,被害原因に関する新たな知見を取り入れた分析を実施した。まず,長庚大橋は
桁衝突解析上の橋台部のモデル化において,パラペット部は現地の破壊状況からせん断抵抗
バネモデルとし,また,橋台背面土は現地で採取した背面土の三軸圧縮試験結果を用いて抵
抗バネを設定することにより,桁が橋台パラペットにめり込み落橋に至る可能性があること
をシミュレーションにより確認した。次に,斜張橋である集鹿大橋は施工上におけるケーブ
ル定着部の耐力不足が原因でケーブルの抜け出しが生じたことが明らかとなった。
キーワード:橋梁,地震被害,台湾・集集地震,長庚大橋,集鹿大橋
1.
のうち,卑豊橋,石圍橋,一江橋,烏渓橋,猫
はじめに
1999 年 9 月 21 日,台湾の中央部集集で発生
羅渓橋,名竹大橋の6橋についてはすでに復旧
した M7.3 の大地震では,台中県,南投県を中心
工事が終了して開通されていた。一方,長庚大
に橋梁にも甚大な被害が生じている。筆者らは
橋は下部工および基礎工の復旧工事中であり,
地震直後,台中県を中心に,橋梁の被害調査お
斜張橋である集鹿大橋は開通されていたものの,
よび測量調査を実施している。
ケーブルは1本が抜けたままで,ベント支保工
今回,2002 年 11 月に再度現地調査を実施し,
復旧状況と併せて被害の詳細調査を実施した。
調査の目的は,橋梁管理者とのヒアリングと詳
が設置された状態であった。
震源地
(集集)
集集)
台北
細図面の入手,これまで被害分析を行ってきた
橋梁の不明点の解明,微動測定による地盤条件
の調査である。
★
1号線
大甲渓
本稿では,今回の調査結果を踏まえ,調査を
高速道路
行った橋梁の中から長庚大橋と集鹿大橋の2橋
台中
を代表し,新たに得られた知見と被害原因につ
3号線
□
卑豊橋 長庚大橋、 石圍橋
石岡
一江橋
烏渓橋
いて述べる。
2.
3号線
13号線
台中
南東
14号線
高速道路
調査した橋梁の概要
1号線
南投 □
名竹大橋
台湾・集集地震では,震源近傍の南北に走る
3号線
橋等の被害を受けている 1)~2)。
今回の調査では,図-1の橋梁位置図に示す
8橋について被害調査を行った。調査した8橋
図-1
工修
(正会員)
*2 九州工業大学 工学部 建設社会工学科
Ph.D.
(正会員)
*3 九州工業大学 工学部 建設社会工学科
Ph.D.
(正会員)
*4 筑波大学 機能工学系 工博 (正会員)
-1255-
震源
□
集集
集鹿大橋(斜張橋)
断層に沿って,局所的であるが多くの橋梁が落
*1 大日本コンサルタント㈱ 九州支社 構造技術部
猫羅渓橋
:河川
:車籠埔断層
0
10km 20km
橋梁位置図
D7桁
34.7m
2.5m
D6桁
D5桁
D4桁
D3桁
D2桁
34.7m
34.7m
34.7m
34.7m
34.7m 13.0m
2.5m
2.5m
2.5m
P6
P7
P5
北側
P4
2.5m
P3
D1桁
2.5m
P2
P1 A1
南側
(a)地震前の橋脚間距離(=桁長)
橋脚天端間
0m
34.9m
0.30m
34.8m
0.50m
35.0m
0.70m
35.6m
(+0.8m)
34.9m
34.8m
35.0m
34.8m
34.9m
(+0.4m)
12.9°
8.9°
橋脚基部間
めり込み
34.5m
(b)地震後の測量結果
図-2
3.
3.1
長庚大橋の被害状況と測量結果
長庚大橋の復旧状況と詳細調査
B=400
被害概要と測量結果
H=1200
長庚大橋は 13 径間の単純桁橋梁である。
中央
W=13000
900
部の 11 径間はいずれも径間長 34.7m,幅員 13.1m,
600
桁高 2.0m の 5 主桁 PC 構造であり,両端部には
1800
13m の単純桁が存在する。基礎は直径が約 6m,
長さ 13m のケーソン基礎,橋脚は RC 単柱構造で
1300
単位(mm)
高さ 5~8m,断面は小判型の 5.0m×2.0m である。
13000
130-φ13@200
2-φ10
60
部は図-3に示すように,断面形状が 13.0m×
60
400
また,橋台は高さ 8.3m の重力式で,パラペット
0.4m,主鉄筋φ13 が 200mm ピッチの1段配筋で
図-3
あり,帯鉄筋は配筋されていない。
橋台パラペット部の断面形状
損傷状況は図-2に示すように,A1 橋台側
の D2 桁,D3 桁が落橋している。現地では明瞭
な断層線は認められず,このような桁の水平移
動によって落橋に至った原因としては,単純桁
であることに加えて橋軸方向の桁の最大応答変
位が桁かかり長 1.0m を超えたことや橋軸方向
に落橋防止構造が存在しないこと,橋台パラペ
ットの耐力不足などが挙げられる。現地におけ
る測量結果によると,P2 橋脚,P1 橋脚はそれ
図-4
ぞれ 8.9°,12.9°傾いているが,橋脚の位置
長庚大橋橋台部の損傷状況
は地震前後で変化していない。また,現地にお
は,橋脚自身は移動していないにも関わらず,
ける桁遊間位置と橋脚中心の測定結果から,桁
支承が破壊し,それぞれの桁自身が水平移動し
の移動量を推定すると,P6 橋脚上で 0.30m,P5
たことを示している。その結果,図-4に示す
橋脚上で 0.30m,P4 橋脚上で 0.50m,P3 橋脚上
ように,桁が A1 橋台パラペット部にめり込み,
で 0.70m,それぞれの桁は A1 橋台側に移動し
橋台背面土が大きく盛り上がっていることが確
ている。このことは,P6 橋脚より A1 橋台側で
認されている 1~2)。
-1256-
3.2
復旧状況
歴応答解析における解の収束性を考慮して,こ
図-5に長庚大橋の復旧状況を示す。調査時,
れらのバネを合成し,
1個のバネを用いている。
本橋は下部工および基礎工の復旧工事中であり,
この中で,②パラペット自体の抵抗バネは桁衝
上部工は架設されていない状況であった。新設
突時のパラペットの破壊形態を考慮して設定す
橋梁の橋脚は RC 三柱式ラーメン橋脚であり,
る必要がある。
基礎は深さ 16.8mのオープンケーソン基礎で
3.4
ある。
また,被災した橋台部が残置されており,
今回の調査では,長庚大橋は復旧途中であり,
今回の調査で得られた知見
端部の D1 桁も撤去されていた。なお,橋台背
被災した橋台部が残地され,端部の D1 桁も撤
面土の土質は玉石混じりの砂質土であり,現地
去されていたため,損傷を受けたパラペット部
の発生土を背面土に利用したものと考えられる。
を目視により直接調査することが可能であった。
3.3
既往の桁衝突解析と橋台部のモデル化
調査の結果,図-8に示すように,桁とパラ
長庚大橋の落橋の主要因として,地震動によ
ペットの衝突により,パラペットが基部でせん
り支承が破壊し,桁同士が衝突を起こして桁が
断破壊し,約 1m 背面土側にめり込む被害が生
橋台背面土にめり込んだことが考えられる。
じていることが確認できた。これは表-1に示
そこで,大規模地震時にこのような桁衝突現
すように,道路橋示方書・同解説Ⅴ耐震設計編
象が起こる可能性があることの認識に立ち,地
4)に準じて算出したパラペットのせん断耐力が
震以降,図-6に示すような長庚大橋を対象モ
曲げ耐力よりも小さいためと考えられる。
デルとして,現地での調査結果
1)
及び入手した
竣工図をもとに非線形動的解析による桁衝突の
シミュレーションを行っている。この中で,橋
台部の抵抗バネのモデル化は上部工の応答変位
に大きく影響を及ぼすことが明らかとなってお
り 3),橋台部の適切なモデル化が課題である。
桁衝突解析における橋台部のモデル化は図-
7に示すように,
①桁とパラペットの衝突バネ,
②パラペット自体の抵抗バネ,③橋台背面土の
図-5
抵抗バネが直列バネとして必要となるが,時刻
D7桁
D7桁
D6桁
D6桁
D5桁
D5桁
D4桁
D4桁
長庚大橋の復旧状況
D3桁
D3桁
D2桁
D2桁
橋台部バネ
衝突バネ
P7
P6
P5
支承
バネ
基礎
バネ
D1桁
D1桁
支承
バネ
支承
バネ
P4
P3
A1
P2
P1
図-6 解析フレームモデル
パラペットの
衝突バネ 抵抗バネ
P
P
P1
+
K0
遊間量δ0
橋台背面土
抵抗バネ 衝突バネ
P
+
K1
δ
δ1
図-7
K2
δ2
P1
K3
δ
背面土の抵抗バネ
橋台部の抵抗バネ
-1257-
=
P2
δ
パラペットの抵抗バネ
P
K3
δ0+δ1+δ2
合成バネ
δ
ずれ
mの
1
約
したがって,長庚大橋の橋台部の破壊形態は
パラペットのせん断破壊であることから,パラ
ペット部のモデル化はせん断抵抗バネモデルと
して設定する。
一方,橋台背面土の抵抗特性は現地調査にお
いて橋台背面土のサンプルを採取し,三軸圧縮
パラペットの
主鉄筋
試験を行った結果を用いて設定する。試験の結
せん断
破壊
果,背面土は玉石混じりの砂質土であり,粘着
力C=0,せん断抵抗角φ=19.7°,N値 10 程
図-8
度と推定される。したがって,道路橋示方書・
同解説Ⅳ下部構造編
5)
に規定されている水平方
表-1
り初期剛性 K2 は 1.42×106kN/m となる。また,
土圧抵抗の最大耐力は,道路橋示方書・同解説
Ⅴ耐震設計編 4)に示される L2 レベル,タイプ
Ⅱ大規模地震時の地表面の設計水平震度 kh=
ラペット高 h=2.0m 分のみを考慮して 2.298×
103kN と設定する。
橋台パラペットの破壊形態
0.20
0.00
4805.3
1908.0
せん断破壊
引張主鉄筋比(%)
帯鉄筋体積比(%)
曲げ耐力 Py(kN)
せん断耐力 Ps(kN)
破壊形態
向地盤反力係数から,パラペットの背面面積よ
0.7 を用いて地震時受働土圧式より算出し,パ
長庚大橋橋台部の損傷
水
平
変
位
(m)
図-9と図-10 にそれぞれ兵庫県南部地震
における JR 鷹取駅波形(E-W)を用いて時刻歴
1.60
1.20
0.80
0.40
0.00
-0.40
-0.80
-1.20
-1.60
A1橋台側最大応答変位
(1.225m,27.580sec)
0
図-9
応答解析を行った場合の A1 側端部桁の時刻歴
応答変位波形と橋台パラペット部の応答履歴結
3000
果を示す。解析における数値積分には,ニュー
2000
10
20
時刻(sec)
30
40
端部桁の時刻歴応答変位波形
最大応答水平力(2301kN,1.222m)
マークのβ法(β=1/4)を用い,積分時間間隔
1000
水
平
0
力
(kN)
-1000
はΔt=1/20000 秒,粘性減衰としてレーリー減
衰を用いている。
図-9より,まず,5.2 秒付近で+側に 0.3m
程度変位し,遊間量は 22mm であることから,す
-2000
でにこの時点で端部桁がパラペットを押し込み,
-3000
-1.6 -1.2 -0.8 -0.4 0
0.4
水平変位(m)
橋台背面土にめり込んでいることがわかる。さ
らに,6~7 秒で水平変位が 0.8m まで急激に増
図-10
加し,最大応答変位 1.225m に達した後,残留変
0.8
1.2 1.6
橋台パラペット部の応答履歴
位が生じる結果となる。また,橋台部の応答履
今回,長庚大橋近傍で観測された台湾波形
歴は図-10 に示すように,端部桁がパラペット
(Tcu068EW)を用いた解析も行っているが,JR
に衝突後,パラペットが破壊し,背面土の受働
鷹取波形の場合と比べて最大応答変位が約
土圧の上限値を超えて非線形の挙動となる。履
30%と小さく,JR 鷹取波形を用いた場合の方が
歴の中で水平変位が 0.3~0.8m の間は一度も戻
実際の被害状況に近い応答結果となる。したが
り勾配がなく,この間は桁が一度に背面土にめ
って,
長庚大橋は局所的に Tcu068EW 波形よりも
り込んだことを示している。
大きな地震波形が作用した可能性も考えられ,
-1258-
P13 (地震前120m) P12
119.9m
(地震前120m) P11
119.4m
地震前とほとんど
S
変化していない
N
斜材定着部の抜出し
58m
ソケット、防振ゴムの抜出し多数
主桁端部の損傷
主桁端部の損傷
主桁剛結部のかぶりコンクリート剥離
および軸方向鉄筋の座屈
主塔の傾斜:橋軸直角方向:0.00°
主塔基部のかぶりコンクリート剥離
主桁剛結部のかぶりコンクリート剥離
橋脚基部の東西側にひびわれ
図-11 集鹿大橋の被害概要と測量結果
このような場合,桁が橋台背面土にめり込み,
桁かかり長 1.0m を超えて落橋に至る可能性が
あることをシミュレーションにより確認できた。
4.
4.1
集鹿大橋の復旧状況と詳細調査
被害概要と測量結果
集鹿大橋は震源地集集の南に位置し,濁水渓
にかかるPC2径間斜張橋である。地震当時,
主桁中央部の現場打ちを残して施工中であった。
断面構成は主桁が円弧線形 2 室1主箱桁であり,
図-12
集鹿大橋の復旧状況(1)
図-13
集鹿大橋の復旧状況(2)
桁高 2.75m,全幅員 24.0m,支間長 2@120m=240m
である。また,主塔は 3.0m×4.0~6.0m の中空
菱形変断面 RC 柱で高さ 58m,斜材は片側 17 段
の並列ケーブル 1 面吊り2組である。下部工の
主塔部橋脚は 6.0m×6.3m の楕円形 RC 柱である。
損傷状況は図-11 に示すように,主桁,主塔,
橋脚およびケーブルすべての要素に及んでいる。
まず,主塔基部の橋軸直角方向の損傷や主桁端
部とアプローチ橋の直角方向の桁ずれなどが発
生している。一方,主桁と主塔の剛結部では,
特に南側の主桁にコンクリートの剥落や軸方向
鉄筋の座屈が生じていることから,本橋では,
4.2
橋軸方向,橋軸直角方向ともに大きな地震力が
図-12,図-13 に集鹿大橋の復旧状況を示す。
復旧状況
作用したものと考えられる。また,斜材定着部
本橋は開通されていたものの,ケーブルは1本
では,多数のソケットと防震ゴムの抜け出しや
が抜けたままで,ベント支保工が設置された状
南側の上から 11 段目斜材において定着部から
態であった。主塔基部はコンクリート巻立てに
の抜け出しがあったことから,斜材に大きな振
より,また,橋脚基部は鋼板巻立てにより補修
動と引張力が生じたものと考えられる。
済であった。
-1259-
既往の被害分析
2000
ケーブルの引張強度
材の定着部が抜け出したことなど,耐震設計上
問題のある損傷形態であった。したがって,今
後の斜張橋の耐震設計を行う上で,その発生メ
応力度(N・mm2)
本橋の被害では,橋脚基部のみならず,主塔
や主桁に塑性ヒンジが発生していることや,斜
1500
抜出し位置
1000
500
カニズムを検討することは重要であることから,
橋全体系モデルを用いて線形動的応答解析を実
0
応力度 軸力
□
TCU078 ■
○
TCU129 ●
15000
●●●
●●
●■■■●●
●●
■■■● ○
●■
■ ●
●■
○ ■
●■
■●□□
■ ●
●■
●
●■
■
■ ■
●■
■●
●
○
● ○□
○□○○○
■●
○
○
●■
○
○
■■
□□□□○
○
□ □□ ○
○
○
□
■
○
□
□
□○
● ○□□
○
□○○■●
□ □
■ ○□
□
■
● □
□○ ●
■○○
□
□○■●
●○□
□○■
■
□
□○●
■○
●
□○
○
□□
■
□
0
施することにより,主桁,主塔およびケーブル
に対する断面力の分布状況が調査されてきた
20000
5
10
15
20
25
30
10000
軸 力(kN)
4.3
5000
0
35
ケーブル番号
2)
。
図-14
入力地震波は強震観測点の中で本橋に最も近
集鹿大橋のケーブル張力
い Tcu078(最大加速度 440gal)および Tcu129
(最大加速度 983gal)を用いている。
5.
解析の結果,被害状況に対応して主桁の主塔
剛結部近傍,主塔基部および橋脚基部において
まとめ
以上より今回得られた知見を以下にまとめる。
(1) 長庚大橋の桁衝突に伴う橋台パラペット部
曲げモーメントが大きくなることが確認されて
の破壊形態はせん断破壊である。
いる。また,図-14 に示すように,ケーブルの
(2) 橋台部の適切なモデル化と桁衝突解析を行
最大応力分布は抜け出したケーブル位置で最も
った結果,長庚大橋の橋台のように,パラ
大きくなるものの,ケーブルの引張強度に比べ
ペットのせん断耐力が比較的小さい場合,
ると最大引張応力度は 45%程度と小さい結果
今回用いたような入力地震波形によっては
となる。したがって,構造的にケーブルが定着
桁が橋台にめり込むような被害が生じる危
部から抜け出すことは考えにくいため,損傷の
険性があることがわかった。
(3) 集鹿大橋のケーブルの抜け出しは施工上に
原因究明が課題である。
4.4 今回の調査で得られた知見
おける定着部の耐力不足が原因である。
今回の調査では,現地踏査以外に,台湾側か
ら被害資料と詳細図面を入手したが,併せて台
参考文献
湾の橋梁管理者と被害原因についてヒアリング
1)
を行い,新たな知見が得られた。
九州工業大学:1999 年 9 月 21 日台湾集集
地震橋梁被害調査報告書,2000.4
ヒアリングの結果,集鹿大橋は地震当時,施
2)
土木学会地震工学委員会:地震時保有水平
工上の理由によりケーブル定着部の引張耐力が
耐力法に基づく耐震設計法の開発に関する
設計の 30%程度と小さく施工されていたこと
研究小委員会研究報告書,pp.567-576,
が明らかとなった。既往の解析結果では,図-
2001.3
14 に示すように,ケーブルの最大引張応力度は
3) 手嶋康博,幸左賢二,田崎賢治,鈴木直人:
引張強度の 45%程度となる結果が得られてい
台湾集集地震における玉突き衝突の被害分
るが,ケーブル定着部の引張耐力が設計の 30%
析,コンクリート工学年次論文報告集,
程度であったとすると,ケーブルが定着部から
Vol.24,pp.1027-1032,2002.6
抜け出すことは十分に考えられる。
4) 日本道路協会:道路橋示方書・同解説,Ⅴ
以上のことから,集鹿大橋におけるケーブル
の抜け出しの原因はケーブル定着部の耐力不足
耐震設計編,2002.3
5) 日本道路協会:道路橋示方書・同解説,Ⅳ
であることが考えられる。
下部構造編,pp.254-257,2002.3
-1260-