2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する分析法の目次

2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
Bayer Yakuhin, Ltd.
2.7.1
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生物薬剤学試験及び関連する分析法の目次
2.7.1.1
背景及び概観 ..................................................... 5
2.7.1.1.1
序論 ....................................................... 5
2.7.1.1.2
概要 ....................................................... 5
2.7.1.1.2.1
背景 ..................................................... 5
2.7.1.1.2.2
処方 ..................................................... 6
2.7.1.1.2.3
溶出性 ................................................... 6
2.7.1.1.2.4
バイオアベイラビリティ及び吸収 ........................... 6
2.7.1.1.2.5
食事の影響 ............................................... 7
2.7.1.1.3
処方開発 ................................................... 8
2.7.1.1.4
溶出特性 .................................................. 11
2.7.1.1.5
分析法及び薬物動態の評価 .................................. 11
2.7.1.1.5.1
臨床薬理試験における薬物動態検討用試料の採取方法 ........ 11
2.7.1.1.5.2
ヒト血漿中及び尿中リバーロキサバン濃度の測定 ............ 11
2.7.1.1.5.3
薬物動態の評価 .......................................... 12
2.7.1.1.6
生物薬剤学上の概観 ........................................ 12
2.7.1.1.6.1
溶解性及び透過性 ........................................ 12
2.7.1.1.6.2
バイオアベイラビリティ及び吸収 .......................... 13
2.7.1.1.6.3
食事の影響 .............................................. 15
2.7.1.2
個々の試験結果の要約 ............................................ 19
2.7.1.2.1
絶対的バイオアベイラビリティ試験 [試験 11273
(M5.3.1.1.1/PH-34919)] .................................. 19
2.7.1.2.2
健康男性被験者を対象とした単回投与による漸増試験:相
対的バイオアベイラビリティの検討 [試験 10842
(M5.3.3.1.5/PH-33050)] .................................. 22
2.7.1.2.3
消化管における吸収部位を検討する試験 [試験 10924
(M5.3.1.1.2/PH-33308)] .................................. 25
2.7.1.2.4
10mg 錠を用いた食事の影響試験 [試験 11937
(M5.3.1.1.3/PH-34948)] .................................. 26
2.7.1.2.5
20mg 錠を用いた食事の影響試験 [試験 11938
(M5.3.1.1.4/PH-35231)] .................................. 29
2.7.1.2.6
10mg、15mg 及び 20mg 錠を食後に投与した際の用量比例性
を検討した試験[試験 12362(M5.3.1.1.5/PH-36272)].......... 33
2.7.1.2.7
15mg 錠の国内第Ⅲ相臨床試験用処方と市販処方の生物学
的同等性試験 [試験 13371(M5.3.1.2.1/ A45677)].......... 36
2.7.1.3
全試験を通しての結果の比較と解析 ................................ 38
40
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分析法
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2.7.1.3.1
2.7.1.4
参考文献
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リバーロキサバンの曝露量に及ぼす食事の影響-統合解析
結果 (5.3.5.3.4/PH-36318) .............................. 38
付録 ............................................................ 40
............................................................... 40
40
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略語一覧
略 語
Aeur
AUC
AUC(0-tn)
ANCOVA
AUC/D
AUCnorm
C
CL
CL/f
CLR
Cmax
Cmax,norm
Cmax/D
CRF
CV
DVT
h
HPLC
ICH
ISTD
LLOQ
LS
n
NVAF
Papp
PD
英 語 名 称
日 本 語 名 称
amount of drug excreted via urine
尿中排泄率
area under the plasma concentration vs 血漿中濃度-時間曲線下面積
time curve
AUC from time zero to the last time
the concentration quantified
analysis of covarince
AUC divided by dose(mg)
AUC divided by dose(mg) per kg body
weight
投与後 0 時間から最終測定時間までの AUC
共分散分析
投与量(mg)で補正した AUC
体重(kg)当たりの投与量(mg)で補正した
AUC
total(bound and unbound)drug
血漿中総薬物濃度(結合型と非結合型の総
concentration in plasma
和)
clearance
クリアランス
total body clearance of drug from
経口投与時の見かけの全身クリアランス
plasma calculated after oral
(経口クリアランス)
administration( apparent oral
clearance)
renal body clearance of drug
腎クリアランス
maximum drug concentration in plasma 単回投与後の最高血漿中濃度
after single dose administration
maximum drug concentration in plasma 体重(kg)当たりの投与量(mg)で補正した
after single dose administration
Cmax
divided by dose(mg) per kg body weight
maximum drug concentration in plasma 投与量(mg)で補正した Cmax
after single dose administration
divided by dose(mg)
case report form
症例報告書
coefficient of variation
変動係数
deep vein thrombosis
深部静脈血栓症
hour
時間
high performance liquid chromatography 高速液体クロマトグラフィー
International Conference on
日米 EU 医薬品規制調和国際会議
Harmonization of Technical Requirement
for Registration of Pharmaceuticals
for Human Use
internal standard
内部標準
lower limit of quantification
定量下限
least squares
最小二乗
number
数(被験者数)
nonvalvular artrial fibrillation
非弁膜症性心房細動
apparent permeability
見かけの透過係数
pharmacodynamic(s)
薬力学
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略 語
PE
PK
Q value
SD
SOP
SPAF
t1/2
tmax
VTE
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英 語 名 称
日 本 語 名 称
pulmonary embolism
肺塞栓症
Pharmacokinetic(s)
薬物動態
Q value according to USP<711>
USP<711>の Q 値
standard deviation
標準偏差
standard operating procedure
標準業務手順書
stroke prevention in atrial
心房細動患者における脳卒中の発症抑制
fibrillation
half-life associated with the terminal 半減期
slope
time to reach maximum drug
最高血漿中濃度到達時間
concentration in plasma
venous thromboembolism
静脈血栓塞栓症
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2.7.1.1
2.7.1.1.1
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背景及び概観
序論
本項では、臨床開発に使用した製剤処方の in vitro 及び in vivo におけるリバーロキサバン
錠の生物薬剤学的特性についてまとめた。本剤は、a)
、b)
又は c)非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳卒中及び全身性塞栓症の
発症抑制(国内:10mg 及び 15mg 及び国外:15mg 及び 20mg)を適応症として開発され、それぞれ
の臨床試験で使用された。一般的な溶解性及び吸収特性、経口バイオアベイラビリティ、食事の
影響並びにその他の吸収に及ぼす要因について考察した。
M2.7.1.1.2 に、関連する生物薬剤学的データの概要を示した。M2.7.1.1.3 及び M2.7.1.1.4 に
は治験に用いた製剤処方及びその溶出特性を示した。ヒト生体試料中のリバーロキサバン濃度の
定量に用いた分析方法及び薬物動態評価に用いた方法を M2.7.1.1.5 に記載した。生物薬剤学上
の概観は M2.7.1.1.6 に記載した。M2.7.1.2 では個々の臨床生物薬剤学試験の結果について示し
た。M2.7.1.3 では、全試験を通しての結果及び結論をまとめた。
リバーロキサバン錠は即放性の特性を有するため、M5.3.1.3「In vitro-In vivo 関連を検討
した試験報告書」は該当しない。
2.7.1.1.2
2.7.1.1.2.1
概要
背景
リバーロキサバンは、臨床開発において 1.25mg から 30mg の即放錠が用いられた。
第Ⅰ相臨床試験では、即放錠以外に以下の製剤処方が用いられた。

経口液剤(0.1%):ヒトに最初に投与した用量漸増試験用処方として用いられ、また 5mg 錠
の相対的バイオアベイラビリティの検討のために用いられた。

経口液剤(10mg):[14C]リバーロキサバンのマスバランス及び排泄経路を検討するために用
いられた。

静脈注射剤(1mg):リバーロキサバンの絶対的バイオアベイラビリティの検討のため用いら
れた。
本項では、リバーロキサバンの生物薬剤学的特性及び即放錠の製剤特性を明らかにするため、
健康若年男性被験者を対象とした下記の試験結果を記載した。
1) 試験 11273[M5.3.1.1.1/PH-34919] 5mg 及び 20mg の用量で検討した絶対的バイオアベイラビ
リティ試験
2) 試験 10842[M5.3.3.1.5/PH-33050] 錠剤と液剤との相対的バイオアベイラビリティの検討を
含む、漸増投与時の安全性、忍容性、薬力学及び薬物動態を検討した試験
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3) 試験 10924[M5.3.1.1.2/PH-33308] 消化管での吸収部位を検討した試験
4) 試験 11937[M5.3.1.1.3/PH-34948] 10mg 錠を用いた食事の影響試験
5) 試験 11938[M5.3.1.1.4/PH-35231] 20mg 錠を用いた食事の影響試験
6) 試験 12362[M5.3.1.1.5/PH-36272] 食後投与時における 10mg 投与に対する 15mg 及び 20mg
投与の用量比例性の検討
7) 試験 13371[M5.3.1.2.1/A45677] 国内第Ⅲ相臨床試験に用いた 15mg 錠と申請製剤との生物
学的同等性試験(後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインによる)
2.7.1.1.2.2
処方
リバーロキサバンの臨床試験に用いた異なる含量(1.25mg から 30mg)の錠剤は、すべて同一の
基本処方及び製造工程に基づいている。更に、すべての含量の錠剤は、同じ大きさ及び重量とな
るように開発された(M2.3.P.2.2)。第Ⅰ相及び第Ⅱ相臨床試験用製剤から第Ⅲ相臨床試験用製
剤への変更は、フィルムコーティングの のみで、
性を高める目的で
をわずかに
添加した。10mg 錠については、国内第Ⅲ相臨床試験に用いた製剤と申請製剤は同一である。
15mg 錠は、二重盲検試験における盲検性を保証するため、第Ⅲ相臨床試験用製剤は同試験で用
いた 10mg 錠と同じ淡赤色としたが、申請製剤は赤色である。両者は規格試験条件下で同等の溶
出プロファイルを示した。なお、15mg 錠の第Ⅲ相臨床試験用製剤と申請製剤は生物学的同等性
試験(試験 13371)において生物学的同等性が証明されている。
リバーロキサバン錠の製造には、
造粒、打錠及びフィルムコーティングが適用されてい
る。この標準的な製造工程は、臨床開発を通して一貫しており、市販製剤にも適用される
(M2.3.P.2.3)。
2.7.1.1.2.3
溶出性
すべてのリバーロキサバン錠の臨床試験用バッチは、溶出性規格(
)に適合した。
臨床試験用製剤の出荷試験に用いたすべての溶出試験法は、「分析バリデーションに関するテキ
ストについて」(平成 7 年 7 月 20 日付薬審第 756 号、ICH-Q2A)に準拠してバリデートされた
(M2.3.P.5)。第Ⅲ相臨床試験用製剤の出荷試験に用いた溶出試験法の詳細は、M3.2.P.5.2 に
記載した。この試験法は、申請試験法と同じであり、溶出試験パラメータの選定理由及び妥当性
は M3.2.P.5.3 に述べた。
2.7.1.1.2.4
バイオアベイラビリティ及び吸収
BCS(Biopharmaceutical Classification System)分類によれば、リバーロキサバンは
性・
性薬物(クラス )に分類される。5mg 及び 10mg のリバーロキサバンを液剤にて経口
投与した際、リバーロキサバンは速やかに吸収された(約 0.5 時間後に Cmax に到達した)。
1.25mg から 80mg のリバーロキサバンを錠剤にて経口投与した際についても同様に速やかに吸収
された(2 から 4 時間後に Cmax に到達した)。経口バイオアベイラビリティは良好で、5mg 錠の
絶対的バイオアベイラビリティはほぼ 100%(平均 112%)であった。
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健康成人男子被験者を対象に、リバーロキサバン錠を空腹時に低用量(1.25mg から 15mg)投
与した際の薬物動態は用量線形性を示した。空腹時に 15mg を超える用量を投与した際の曝露量
は用量に応じた増加を示したが、その増加は用量比を下回るものであった(40mg 以上の用量で
は増加が少なかった)。これは、リバーロキサバンの水に対する溶解性が
性で、溶解
度が から mg/L であることから、高用量を投与した際には吸収率が低下したことによるものと
考えられる。空腹時に 20mg(20mg 錠)を経口投与した際の絶対的バイオアベイラビリティは
66%であったが、空腹時投与の場合と比べ食後投与時の AUC は 39%増加したことから、20mg 錠
を食後に投与した際の吸収の程度はほぼ 100%に達すると考えられる。
健康成人男子被験者を対象に、10mg、15mg 及び 20mg のリバーロキサバンを食後投与した際の
曝露量は用量に比例して増加し、投与量で標準化した AUC(AUC/D)及び Cmax(Cmax/D)を各投与群
で比較すると、15/10 mg 比、20/10 mg 比及び 20/15 mg 比の 95%信頼区間は生物学的同等性の
判定基準内であった(M2.7.1.2.6)。
健康成人男子被験者を対象に、リバーロキサバンを 1 日 1 回及び 1 日 2 回、食後に反復投与し
た際の定常状態の AUC 及び Cmax は、検討した 1 日最高用量(30mg1 日 2 回投与)まで用量に応じ
増加した(M2.7.2.2.1.4)。すなわち、現在の国外における臨床適応用量範囲を超えても食後投
与時では完全な吸収が得られると考えられる。
2.7.1.1.2.5
食事の影響
リバーロキサバン 10mg 錠を用いた食事の影響試験[試験 11937(M5.3.1.1.3/PH-34948 )]で
は、食事の摂取が薬物動態に影響しないことが示された。
20mg 錠を用いた食事の影響試験[試験 11938(M5.3.1.1.4/PH-35231)]では、リバーロキサバ
ンの平均 AUC 及び Cmax がそれぞれ 39%及び 76%増加し、薬物動態に対する食事の影響が示され
た。食事の影響は、高カロリー高脂肪食(アメリカンブレックファースト)もしくは高炭水化物
食(コンチネンタルブレックファースト)においても同様の影響がみられた。
リバーロキサバン 10mg、15mg 及び 20mg 錠を食後に投与した際の曝露量を検討した試験[試験
12362(M5.3.1.1.5/PH-36272)]では、10mg、15mg 及び 20mg を食後に投与した際のリバーロキ
サバンの曝露量には用量比例性が認められた。この結果から、食後投与により 20mg 投与時のリ
バーロキサバンのバイオアベイラビリティが改善されることが示唆された。
第Ⅰ相臨床試験の統合解析結果では、15mg 投与時において食後投与時の AUC 及び Cmax は、空腹
投与時と比較しそれぞれ約 18%及び約 86%の増加を示した(M2.7.1.3.1)。
リバーロキサバン 20mg 錠において食事の影響が認められたこと、及び 10mg、15mg 及び 20mg
食後投与時の曝露量に用量線形性が認められたことを考え合わせると、リバーロキサバン 15mg
錠においても食事の影響が認められ、食後に投与するにことによりバイオアベイラビリティに改
善がみられると考えられる。
NVAF 患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験においては、リバーロキサバン 10mg 及び 15mg を
食後に投与することとした。
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2.7.1.1.3
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処方開発
リバーロキサバンの臨床試験には、異なる含量(1.25~30mg)の即放錠を用いたが、すべて同一
の基本処方及び製造工程に基づいている。(M2.3.P.2.2)。
第Ⅰ相臨床試験は、原薬 5mg 及び 10mg を
に溶解した経口液剤(原薬を
に溶解した 0.1%液)を用い、20 年に開始された。その後、即放錠として mg 及び
mg 錠が用いられ、次いで
mg、 mg、 mg 及び mg 錠が追加された。
経口液剤はマスバランス試験でも用いられた。5mg 及び 20mg 錠の絶対的バイオアベイラビリ
ティ試験において、1mg の静脈注射剤が投与された[試験 10991(M5.3.3.1.7/PH-33229)、試験
11273(M5.3.1.1.1/PH-34919)]。
リバーロキサバン錠は、適切な錠剤硬度、速やかな崩壊及び in vitro での有効成分の速やか
な溶出を保証するために、標準的な添加剤である結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウ
ム、ヒプロメロース、乳糖水和物、ステアリン酸マグネシウム及びラウリル硫酸ナトリウムを含
有する。すべての含量の錠剤は、同一の大きさ(直径 6mm)及び重量( mg 及びフィルムコーティ
ング
mg)を有し、第Ⅰ相及び第Ⅱ相臨床試験では同一の外観(ヒプロメロース、マクロゴー
ル及び
からなる 色フィルムコーティング)とした。第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験用製剤から
第Ⅲ相臨床用製剤への変更は、フィルムコーティングの のみで、
性を高める目的で
をわずかに添加した。国内第Ⅱ相試験(試験 11390、12024 及び 11866)、国内外第Ⅲ相試
験(試験 12620 及び 11630)、食事の影響試験(試験 11937、11938)及び線形性確認試験(試験
12362)で使用した製剤と最終製剤の関係を図 2.7.1. 1に示す。
本剤には服用のしやすさ及び錠剤の識別性を目的としてフィルムコーティングを施しているが、
全て汎用品の添加剤を用いた
膜であり、溶出に対する機能を持たせたものではない。また、
処方変更ガイドラインに準じて 10mg 錠の素錠とフィルムコーティング錠の溶出プロファイルが
同等と判定されたことからも、フィルムコーティングが非機能性であることを確認している
〔2.3.P.2.2.1.4 3)〕。10mg 錠、15mg 錠及び 20mg 錠については、フィルムコーティングに含
まれる着色剤の配合比率のみが異なった複数の処方の製剤を使用したが、フィルムコーティング
の
は一定であるため、着色剤の僅かな変更が製剤の溶出性に影響を及ぼすことはないと考え
る。10mg 錠について、国内第Ⅲ相試験(試験 12620)の用量設定根拠となった国内第Ⅱ相試験
(試験 11866)において使用された製剤は、最終製剤である。また線形性確認試験(試験
12362)及びその他の国内第Ⅱ相試験(試験 11390 及び 12024)に用いられた製剤は、最終製剤
(淡赤色)とはフィルム層に含まれる着色剤(酸化チタン及び三二酸化鉄)の配合比率のみが異
なる( 色)。処方変更ガイドラインによると、本処方変更は 水準であるが、以下の理由によ
り、臨床製剤( 色)と最終製剤(淡赤色)の溶出同等性は担保できるものと考える。

フィルムコーティングが非機能性であり〔2.3.P.2.2.1.4 3)〕、着色剤の僅かな変更は
製剤の溶出性に影響を及ぼさない。

着色剤の変更割合がより大きい
(M2.7.1.2.7/試験 13371)。

含量違い製剤(5mg 錠と 10mg 錠)での比較であっても、着色剤の配合比率が本処方変更
と同じであるフィルムコーティング( 色と淡赤色)をもつ製剤間において溶出同等性が
確認されている〔2.3.P.2.2.1.4 1)〕。
水準においてもヒト試験による同等性が確認されている
本剤の含量違い製剤は、素錠に同じ種類の添加剤を含み、薬物含量の増量に合わせて賦形剤の
量を調節することにより重量を一定に保っている(2.3.P.2.2.1.3)。国内第Ⅱ相試験(試験
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11866)で使用された 10mg 錠
と 5mg 錠
、並びに 10mg 錠
+5mg 錠
と国内第Ⅲ相試
験(試験 12620)で使用された 15mg 錠
の溶出同等性については、含量変更ガイドラインに
準じて溶出試験を実施した結果、いずれの溶出試験条件においても平均溶出率、個々の溶出率と
もに判定基準を満たし〔2.3.P.2.2.1.4 1)、2.3.P.2.2.1.4 2)〕、含量違い製剤間の溶出同
等性を確認している。
国内第Ⅲ相試験製剤と申請製剤は、10mg 錠は両製剤で同一処方であり、15mg 錠はフィルム層
に含まれる着色剤(酸化チタン及び三二酸化鉄)の配合比率が異なるのみで、素錠の処方は同一
且つフィルムコーティングの基本組成は同じである。15mg 錠について、国内第Ⅲ相試験製剤と
申請製剤の処方変更水準を、「経口固形製剤の処方変更の生物学的同等性試験ガイドライン(平
成 18 年 11 月 24 日付薬食審査発第 1124004 号)に則して計算したところ、 水準と判定された。
リバーロキサバン錠 15mg は通常製剤の
性薬物に分類されることから、両製剤間の生物学的
同等性の証明には、ヒトによる生物学的同等性試験が必要と判断し、「後発医薬品の生物学的同
等性試験ガイドライン(平成 18 年 11 月 24 日付 薬食審査発第 1124004 号)に則って、ヒトによ
る生物学的同等性試験を実施している(M2.7.1.2.7/試験 13371)。また、両者は規格試験条件
下で同等の溶出プロファイルを示した。錠剤組成は M2.3.P.2.1 に記載した。
リバーロキサバン錠の製造には、
造粒、打錠及びフィルムコーティングが適用されてい
る。この標準的な製造工程は、臨床開発期間を通し一貫しており市販製剤にも適用される
(M2.3.P.2.3)。
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1.25mg 錠
5mg 錠
10mg 錠
15mg 錠
食事の影響試験
(15921)
食事の影響試験
(11938)
食事の影響試験
(11937)
線形性確認試験
(12362)
国内第Ⅱ相臨床試験
(11390)
国内第Ⅱ相臨床試験
(12024)
国内第Ⅱ相臨床試験
(11866)
国外第Ⅲ臨床試験
(11630)
国内第Ⅲ臨床試験
(12620)
生物学的同等性試験
(13371)
最終製剤
図 2.7.1. 1 臨床試験製剤と最終製剤の関係
20mg 錠
10
30mg 錠
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2.7.1.1.4
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溶出特性
第Ⅲ相臨床試験用製剤の出荷試験に用いた溶出試験法の詳細を M3.2.P.5.2 に記載した。この
試験法は、申請試験法と同じである。最終処方が確定していない開発初期段階においては、
1.25mg から 30mg に至るすべての含量の即放錠に対して包括的な溶出試験法が用いられた。その
後(第Ⅲ相臨床試験の開始前)、飽和溶解度の 倍以上のシンク条件とするため、含量によって
試験液の
量を調整し、
濃度を、10mg 錠では
%、15mg 及
び 20mg 錠では
%とした(M2.3.P.5.3)。これ以外の溶出試験パラメータは、開発期間を通じ
て変更されなかった。更に、溶出性の出荷規格(
、M2.3.P.5.2 参照)も開発期間
を通じて変更しなかった。臨床試験用製剤の出荷試験に用いた溶出試験法は、ICH Q6A ガイドラ
インに準拠してバリデートされている(M2.3.P.5.3)。すべての臨床試験用バッチは、溶出性の
規格(
)に適合した(M2.3.P.5.4)。
2.7.1.1.5
2.7.1.1.5.1
分析法及び薬物動態の評価
臨床薬理試験における薬物動態検討用試料の採取方法
薬物動態の検討を目的にした第Ⅰ相臨床試験、臨床薬理試験及びその他の臨床試験において、
血漿試料を多数点もしくは小数点での採血をした。いくつかの試験では尿試料の採取も行った。
2.7.1.1.5.2
ヒト血漿中及び尿中リバーロキサバン濃度の測定
臨床試料中の血漿中リバーロキサバン濃度の定量法は、報告書‘Bioanalytical methods and
validation data for the determination of BAY 59-7939 in human plasma, urine and
dialysate’ ’に記載 した。 バリデーションに 関するデータについても本報告書に 記載した
(M5.3.1.4.4/PH-34945 version 2)。
血漿中リバーロキサバン濃度は、逆相系(C18)カートリッジを用い固相抽出した後、あるいは
メタノールを用いて除たん白した後、バリデートされた HPLC-MS/MS(高速液体クロマトグラ
フィー/タンデム質量分析計)で定量した。リバーロキサバンの類似化合物である
、もしくは[2H5,15N]リバーロキサバンを内部標準として
用いた。捕捉したイオン(m/z)は 436→145(リバーロキサバン)及び 464→145(内部標準)あ
るいは 442→145(ラベル化内部標準)であった。通常の定量に用いた検量線範囲は 0.5μg/L
(定量下限)から 500 又は 1000μg/L であった。血漿中リバーロキサバン濃度の測定結果は、ブ
ランク血漿に既知濃度のリバーロキサバンを添加した精度管理用試料を臨床試料と同時に測定す
ることによって管理した。血漿中リバーロキサバン濃度は、社内 SOP 及び分析方法のバリデー
ションに関する FDA のガイダンス 1)に従い精度 15%以内、真度 85~115%で定量した。
尿中リバーロキサバン濃度は固相抽出により試料を調製した後、バリデートされた紫外吸光光
度計検出器(測定波長:250nm)付き HPLC で定量した。通常の定量に用いた検量線の範囲は
0.01mg/L(定量下限)から 5.0mg/L であった。臨床試料中の濃度測定結果は、ブランク尿に既知濃
度のリバーロキサバンを添加した精度管理用試料を測定することによって管理した。尿中リバー
ロキサバン濃度は、社内 SOP 及び分析方法のバリデーションに関する FDA のガイダンス 1)に従い
精度 15%以内、真度 85~115%で定量した
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
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それぞれの臨床試験の濃度分析に関する詳細は、各治験総括報告書の付録に記載されている。
2.7.1.1.5.3
薬物動態の評価
薬物動態学的パラメータは、社内オペレ-ションマニュアル及び社内ガイドライン
[M5.3.1.4/R-5747 及び R-5747 Amendment A]に従い血漿中薬物濃度及び投与後時間から算出した。
薬物動態学的パラメータとして、血漿中濃度時間曲線下面積(AUC)、最高血漿中濃度(Cmax)、最高
血 漿 中 濃 度 到 達 時 間 ( tmax ) 及 び 消 失 半 減 期 (t1/2) を 、 KINCALC ( Bayer Healthcare AG;
Wuppertal,Germany が 開 発 し た プ ロ グ ラ ム ) 又 は WinNonlin ソ フ ト ウ エ ア ( Pharsight
Corporation, Mountain View/CA, USA)を用い、ノンコンパートメント法により算出した。AUC
の計算は台形法を用い、t1/2 は消失相における血漿中濃度を対数変換後、線形最小二乗法により
回帰させ推定した。Cmax と AUC は投与量又は体重当たりの投与量で補正した値も算出した。尿の
薬物動態学的パラメータについては、リバーロキサバン尿中濃度及び尿量から尿中排泄量
(Aeur)及び腎クリアランス(CLR)を算出した。
リバーロキサバンの平均血漿中濃度推移(測定時点のデータ数の 2/3 以上で定量下限値以上の
濃度が得られた場合に計算)は幾何平均値及び幾何標準偏差として示した。tmax 及び Aeur を除く
薬物動態学的パラメータは幾何平均値、幾何変動係数(幾何 CV%)及び範囲で示した。tmax の結
果は中央値(範囲)で、Aeur は算術平均(算術 CV%)で示した。
2.7.1.1.6
2.7.1.1.6.1
生物薬剤学上の概観
溶解性及び透過性
リ バ ー ロ キ サ バ ン は 、 水 ( 7mg/L 、 精 製 水 ) あ る い は 酸 性 溶 媒 ( 5mg/L 、 0.1mol/L 及 び
0.01mol/L 塩酸)又は pH3~9 の緩衝液(5mg/L)には、ほとんど溶けない(M2.3.S.1.3)。
リバーロキサバンの透過性を、頂端膜側(A)から基底膜側(B)及び B 側から A 側の 2 方向に
ついてバリデートされた Caco-2 細胞アッセイ系を用い、3 段階の異なる濃度(0.92μM、9.2μM
及び 92μM)で検討した [M4.2.2.7.1/PH-34936]。0.92μM、9.2μM 及び 92μM の濃度における
A 側から B 側への見かけの透過係数 Papp 値(A→B)はそれぞれ 8.88±0.1、7.98±0.6 及び 7.45±
0.5(×10 - 6cm/sec)、Papp 値(B→A)は、49.0±3.8、53.0±7.14 及び 50.6±7.4(×10 -
6
cm/sec)であった。これらのデータから、0.92、9.2 及び 92μM の濃度における相対輸送比
(efflux ratio)は、それぞれ 5.5、6.8 及び 6.8 であった。検討した濃度範囲では、この相対
輸送比に飽和は認められなかった。リバーロキサバン 9.2μM における相対輸送比は、5μM の Pgp 阻害剤イベルメクチンの添加により、6.8 から 0.8 に減少した(M4.2.2.7/PH-34936)。
22 種の対照薬物(11 種の高透過性及び 11 種の低透過性)と比較した結果、リバーロキサバン
は高透過性薬物であることが明らかになった。この高透過性を考慮すると、リバーロキサバンの
軽度ないし中等度の輸送活性は、消化管全体的での吸収には影響を及ぼさないとは考えられ、高
い経口バイオアベイラビリティが認められたことと矛盾しない(M4.2.2.7/PH-34936)。
BCS(Biopharmaceutical Classification System)分類 2)に従うと、リバーロキサバンは
性・
性の化合物(クラス )に分類されると考えられる。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
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2.7.1.1.6.2
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バイオアベイラビリティ及び吸収
リバーロキサバンの経口バイオアベイラビリティは、M2.6.4 に記載した in vitro 特性及び in
vivo の非臨床試験成績と一致し、良好な結果が得られた。これらの成績は、リバーロキサバン
の吸収及がほぼ完全であること、並びに低クリアランス薬物であるため初回通過効果の影響が小
さいことによるもの考えられる。
健康成人男子被験者にリバーロキサバン 5mg 及び 10mg を溶液で経口投与した際、リバーロキ
サバンは速やかに吸収され、Cmax は投与約 30 分後に観察された。錠剤を投与した場合には、投与
2~3 時間後に血漿中濃度のピークが観察された。AUC を両製剤間で比較すると、バイオアベイラ
ビリティは製剤間で同様であった。[試験 10842(M5.3.3.1.5/PH-33050)。
12 名の健康成人男子被験者を対象に 5mg 又は 20mg の即放錠を空腹時単回投与した際の絶対的
バイオアベイラビリティを、1mg のリバーロキサバンを 30 分間静脈注入した際のバイオアベイ
ラビリティを対照として検討した[試験 11273(M5.3.1.1.1/PH-34919)]。5mg 錠の絶対的バイオ
アベイラビリティはほぼ 100%(平均 112%)であったのに対し、20mg 錠の絶対的バイオアベイラ
ビリティは 66%であった。
[14C]リバーロキサバンを用いたマスバランス試験[試験 10991(M5.3.3.1.7/PH-33229)]にお
いても、高い経口バイオアベイラビリティが示された。投与した 10mg のリバーロキサバンのう
ち約 94%が回収され、そのうち約 66%が尿中の未変化体又は代謝物として、28%が糞中の代謝
物として回収された。未吸収のリバーロキサバンが消化管内で分解される可能性は、リバーロキ
サバンをヒト糞とインキュベートした結果(M4.2.2.4.10/PH-31969 Version 2)からも排除でき
ると考えられる。
1.25mg から 80mg のリバーロキサバンを空腹時投与した際のリバーロキサバンの AUC 及び Cmax
を図 2.7.1.1-1 に示した[試験 10842(M5.3.3.1.5/PH-33050)]。
空腹時に錠剤を用いて低用量 (1.25mg から 15mg まで)のリバーロキサバンを健康成人男子被
験者に投与した際、リバーロキサバンの薬物動態には用量線形性が認められた。15mg を超える
用量を空腹時に投与した際の曝露量には用量に応じた増加が認められたが、用量比を下回る増加
であった。[試験 10842(M5.3.3.1.5/PH-33050)]。リバーロキサバンは水に対する溶解性が低
いことから、高用量投与時には難溶解性に起因し吸収の低下が生じたと考えられる。本試験にお
ける尿中排泄率を低用量(1.25mg)と高用量(60 及び 80mg)で比較したとき、高用量投与時に
は排泄率が低下する結果(低用量で 40%であったのに対し高用量では 10%であった)とも矛盾
しないと考えられた。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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図 2.7.1.1-1 1.25mg~80mg のリバーロキサバンを空腹時投与した際のリバーロキサバンの AUC
及び Cmax [箱ひげ図:10/25/50/75/90%点及び算術平均を表示](試験 10842)
引用元:M5.3.3.1.5(試験 10842/PH-33050)の Tables 14.4.1-2
絶対的バイオアベイラビリティを検討した試験 11273 において、空腹時に投与した際の 20mg
錠の経口バイオアベイラビリティが 66%であったことからも、この知見を支持するものと考え
られる[試験 11273(M5.3.1.1.1/PH-34919)]。
20mg 錠を用いて食事の影響を検討した試験 11938 において、リバーロキサバン 20mg を食後に
投与した際の平均 AUC は、空腹時と比較し約 39%増加した。リバーロキサバン 20mg を食後に投
与した際の吸収はほぼ 100%に達すると考えられた[試験 11938(M5.3.1.1.4/PH-35231)]。
試験 12362 においてリバーロキサバン 10mg、15mg 及び 20mg を食後に投与した際の曝露量を
検 討 したところ、 曝露量 は 用量 に比 例し 増加し 、 投与量で 標準化した AUC( AUC/D) 及び
Cmax(Cmax/D)を各投与群で比較したとき、15/10 mg 比、20/10 mg 比及び 20/15 mg 比の 95%信頼
区間は生物学的同等性の判定基準内であった [試験 12362(M5.3.1.1.5/PH-36272)]。さらに、
リバーロキサバンを 1 日 1 回及び 1 日 2 回、食後に反復投与した際、定常状態の AUC 及び Cmax に
は検討用量の 1 日最高用量である 30mg1 日 2 回まで、用量に応じた増加が確認された。すなわち、
食後投与時においては、海外で使用されている臨床用量を超える用量まで、ほぼ完全な吸収が示
されていると考えられる[試験 10847(M5.3.3.1.6/PH-33185)]。
以上の成績から、10mg 投与時においては、食事の摂取条件と無関係に、経口吸収はほぼ完全
であり、経口バイオアベイラビリティは高く(80~100%)、15mg 投与時においては食後投与時
により高いバイオアベイラビリティを示すものと考える。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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2.7.1.1.6.3
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食事の影響
リバーロキサバンの吸収に及ぼす食事の影響を検討するため、10mg 錠及び 20mg 錠を用いた食
事の影響試験 2 試験(試験 11937 及び 11938)並びに 10mg、15mg 及び 20mg を食後に投与した際
の曝露量の用量線形性を検討する試験(試験 12362)を実施した。

試験 11937(M5.3.1.1.3/PH-34948) 10mg 錠を用いた食事の影響試験

試験 11938(M5.3.1.1.4/PH-35231) 20mg 錠を用いた食事の影響試験

試験 12362(M5.3.1.1.5/PH-36272) 10mg、15mg 及び 20mg を食後に投与した際の曝露量の
用量線形性を検討する試験
10mg 錠を用いた食事の影響試験[試験 11937(M5.3.1.1.3/PH-34948)]では、高カロリー高脂
肪食はリバーロキサバンの AUC 及び Cmax に影響を及ぼさなかった。AUC 及び Cmax の点推定値(食
後/空腹時×100 %)はほぼ 100 であり、90%信頼区間の範囲が生物学的同等性の判定基準内にあ
り、薬物動態に及ぼす食事の影響はないと考えられた。
表 2.7.1.1-1 リバーロキサバン 10mg 錠投与後のリバーロキサバンの AUC 及び Cmax の点推定値
(食後/空腹時×100%、最小二乗平均の比)及び両側 90%信頼区間[分散分析結
果、n=24](試験 11937)
引用元:M5.3.1.1.3(試験 11937/PH-34948)の Table 14.4 / 5
食後投与時の tmax(中央値)が約 0.5 時間遅延したが、消失相は変化しなかった。
試験 11937 における個体間変動は食事の条件とは関係せず、AUC 及び Cmax の変動係数はそれぞ
れ 24%及び 26%であった。なお AUC 及び Cmax の個体内変動の変動係数は、それぞれ 13%及び
20%であった。
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図 2.7.1.1-2 リバーロキサバン 10mg 錠を空腹時もしくは食後に投与した際のリバーロキサバ
ンの血漿濃度推移 [幾何平均/幾何標準偏差、片対数目盛](試験 11937)
引用元:M5.3.1.1.3(試験 11937/PH-34948)の Table 14.4/1
健康成人男子被験者を対象に実施した 20mg 錠の食事の影響試験[試験 11938(M5.3.1.1.4/PH35213)]では、高カロリー高脂肪食摂取によりリバーロキサバンの AUC 及び Cmax がそれぞれ 39%
及び 76%増加した。
表 2.7.1.1-2 リバーロキサバン 20mg 錠投与後のリバーロキサバンの AUC 及び Cmax の点推定値
(食後/空腹時×100%、最小二乗平均の比)及び両側 90%信頼区間 [分散分析結
果、n=22](試験 11938)
引用元:M5.3.1.1.4(試験 11938/PH-35213)の Table 14.4/5
食後投与した際の tmax(中央値)に約 1.5 時間の遅延がみられたが、消失相は変化しなかった。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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図 2.7.1.1-3 20mg 錠を空腹時又は食後に投与した際のリバーロキサバンの血漿中濃度推移
[幾何平均/幾何標準偏差](試験 11938)
引用元:M5.3.1.1.4(試験 11938/PH-35231)の Table 14.4/1
試験 12362(M5.3.1.1.5/PH-36272)では、リバーロキサバン 10mg、15mg 及び 20mg を食後に
投与した際の曝露量と投与量との関係を検討した。投与量で標準化した AUC(AUC/D)及び
Cmax(Cmax/D)を各投与群で比較したとき、15/10 mg 比、20/10 mg 比及び 20/15 mg 比の 95%信頼
区間は生物学的同等性の判定基準内にあり、10~20mg の用量範囲で曝露量は用量比例性を示し
た。
表 2.7.1.1-3 投与量で補正した AUC(AUC/D)及び Cmax(Cmax /D)の点推定値(最小二乗平均の
比)及び両側 95%信頼区間[分散分析結果](試験 12362)
引用元:M5.3.1.1.4(試験 11938/PH-35231)の Table 14.4/5
Ratio
15 mg / 10 mg
Parameter
AUC/D
Cmax/D
20 mg / 10 mg
AUC/D
Cmax/D
20 mg / 15 mg
AUC/D
Cmax/D
Source: Table 14.4/5
Unit
h/L
1/L
h/L
1/L
h/L
1/L
n
24
24
24
24
24
24
CV
9.14
10.72
9.14
10.72
9.14
10.72
Estimated
Ratio
0.9997
0.9652
0.9550
0.9099
0.9553
0.9427
95% confidence
interval
[0.9480 ; 1.0542]
[0.9070 ; 1.0272]
[0.9057 ; 1.0071]
[0.8551 ; 0.9683]
[0.9059 ; 1.0074]
[0.8858 ; 1.0032]
リバーロキサバン 10mg 錠では、薬物動態に及ぼす食事の影響がないことが確認されたが、リ
バーロキサバン 20mg 錠では、薬物動態に及ぼす食事の影響(AUC の 39%増加、Cmax の 76%上
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昇)が示された。リバーロキサバン 10mg、15mg 及び 20mg 錠を食後に投与した際の曝露量を検討
した試験では、10mg、15mg 及び 20mg を食後に投与した際のリバーロキサバンの曝露量には用量
比例性が認められた。この結果から、食後にリバーロキサバンを投与することにより、リバーロ
キサバンのバイオアベイラビリティが改善されることが示唆された。
第Ⅰ相臨床試験の統合解析結果では、15mg 投与時において食後投与時の AUC 及び Cmax は、空腹
投与時と比較しそれぞれ約 18%及び約 86%増加した(M2.7.1.3.1)。
リバーロキサバン 20mg 錠において食事の影響が認められたこと、及び 10mg、15mg 及び 20mg
食後投与時の曝露量に用量比例性が認められたことを考え合わせると、リバーロキサバン 15mg
錠においても食事の影響が認められ、食後投与することによりバイオアベイラビリティに改善が
みられると考えられる。
NVAF 患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験においては、リバーロキサバン 10mg 及び 15mg を
食後に投与することした。10mg 又は 15mg 錠の投与に関する添付文書中の記載案は、「食後に経
口投与する」としている。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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2.7.1.2
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個々の試験結果の要約
2.7.1.2.1
絶対的バイオアベイラビリティ試験 [試験 11273(M5.3.1.1.1/PH-34919)]
本試験は、12 名の健康男性被験者を対象とした単一施設、無作為化、非盲検、3 期のクロス
オーバー試験である。5mg 又は 20mg 錠を単回投与した際の薬物動態を、リバーロキサバン 1mg
を 30 分間持続静注した際の薬物動態と比較した。さらに、各投与時の薬力学、安全性及び忍容
性を検討した。治験薬は朝に空腹時に投与された。
1)薬物動態
リバーロキサバン 5mg 経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは 112%であったが、20mg
投与時には 66%であった。5mg 投与時の絶対的バイオアベイラビリティが 100%を超えたのは偶
発的な要因によるものと考えられる(点推定値は 100%を含む信頼区間の範囲内に入っていた)。
表 2.7.1.2-1 リバーロキサバン AUC/D 及び Cmax/D の点推定値(最小二乗平均の比)及び両側
95%信頼区間[分散分析結果、n=12](試験 11273)
引用元:M5.3.1.1.1(試験 11273/PH-34919)の Table 14.4/5
リバーロキサバン 5mg 及び 20mg を空腹時に経口投与、並びに 1mg(実量 0.934mg)を持続静脈
内投与した際のの血漿中リバーロキサバン濃度推移を図 2.7.1.2-1に、薬物動態学的パラメータ
を表 2.7.1.2-2示した。
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図 2.7.1.2-1 リバーロキサバン 5 及び 20mg 錠を空腹時単回経口投与又は 1mg 液(実量
0.934mg)を静脈内投与した際の血漿中リバーロキサバン濃度推移 [幾何平均/幾
何標準偏差] (試験 11273)
引用元:M5.3.1.1.1(試験 11273 / PH-34919)の Table 14.4/1
表 2.7.1.2-2 リバーロキサバン 5 及び 20mg 錠を空腹時単回経口投与又は 1mg 液(実量
0.934mg)静脈内投与した際のリバーロキサバンの薬物動態学的パラメータ[幾何
平均/幾何 CV%(範囲)、n=12] (試験 11273)
引用元:M5.3.1.1.1(試験 11273/PH-34919)の Table 14.4/2、14.4/3
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各投与群における tmax(中央値)はそれぞれ 2.5 時間(5mg 経口投与時)、1.5 時間(20mg 経
口投与時)及び 0.5 時間(1mg 静注投与時)であった。消失半減期(幾何平均値)は 4.9 時間
(5mg 経口投与時)、8.5 時間(20mg 経口投与時)及び 4.5 時間(1mg 静注投与時)であった。
5mg 及 び 20mg 投 与 時 の 曝 露 量 は 、 空 腹 時 単 回 投 与 に よ る 用 量 漸 増 試 験 [ 試 験 10842
(M5.3.3.1.5/PH-33050)]で観察された値と類似しており、曝露量に用量に応じた増加がみられ
た。しかしながら、用量比例的な増加ではなく、20mg 投与時の AUC/D 及び Cmax/D は、5mg 投与時
と比較し平均でそれぞれ 59%及び 42%であった。高用量で見られた吸収の低下は、リバーロキ
サバンが消化管下部で吸収率が低下することに起因し、終末相での消失半減期が見かけ上やや延
長することの原因となっている。
20mg 投与時における未変化体の尿中排泄率は 5mg 投与時に比べ低かった(5mg で 52%、20mg
で 35%)。
リバーロキサバン静注後の平均全身クリアランスは 10.7L/h[(0.137L/(h·kg)]であった。約
40%のリバーロキサバンは未変化体として腎臓を介して排泄された。このことから、リバーロキ
サバンの排泄には腎が主要な貢献をしていると考えられる。
ヒトにおけるリバーロキサバンの R 体へ光学変換の可能性を検討するため、本試験では一部の
血漿及び尿試料を用いて追加測定を実施した。20mg 経口投与後の 12 例の被験者におけるリバー
ロキサバンの最高血漿中濃度付近の血漿試料(投与後 1~3 時間目)及び 0~4 時間目の蓄尿試料
を測定したところ、リバーロキサバンの R 体への光学変換は、いずれも検出限界(未変化体濃度
の 1%)以下であった。
2) 薬力学
リバーロキサバン 5mg 及び 20mg 投与において血液凝固パラメータである PT 及び aPTT に用量
に応じた延長が認められた(表 2.7.1.2-3 及び表 2.7.1.2-4)。
表 2.7.1.2-3 PT のベースライン値からの相対変化率[中央値(範囲)、n=12]
引用元:M5.3.1.1.1(試験 11273/PH-34919)の Table 11-2、Table 14.2/2.1
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表 2.7.1.2-4 aPPT のベースライン値からの相対変化率[中央値(範囲)、n=12]
引用元:M5.3.1.1.1(試験 11273/PH-34919)の Table 11-2、Table 14.2/2.2
2.7.1.2.2
健康男性被験者を対象とした単回投与による漸増試験:相対的バイオアベイ
ラビリティの検討 [試験 10842(M5.3.3.1.5/PH-33050)]
本試験は、健康若年男性被験者 103 名を対象とした無作為化、単盲検、プラセボ対照、漸増投
与試験である。本試験では、リバーロキサバン 1.25、5、10、15、20、30、40、60 及び 80mg を
錠剤として、5mg 及び 10mg を経口液剤として単回投与し、安全性、忍容性、薬力学的効果及び
薬物動態を検討した。治験薬は空腹時に投与された。
液剤投与後のリバーロキサバンの血漿濃度推移において、血漿中リバーロキサバン濃度は約
0.5 時間で最高血漿濃度に達した後、速やかに減少した。消失半減期は 3~5 時間であった。一
方、錠剤投与後はの Cmax は投与後 2~3 時間後に観察された。平均消失半減期は 5 及び 10mg 錠で
約 4~9 時間であった。5mg 及び 10mg 投与時の相対的バイオアベイラビリティはほぼ 100%で
あった。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
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図 2.7.1.2-2 リバーロキサバン 10mg を液剤又は錠剤として空腹時経口投与した際の血漿中リ
バーロキサバン濃度推移[幾何平均/幾何標準偏差](試験 10842)
引用元:M5.3.3.1.5(試験 10842/PH-33050)の Table 14.4.1-1
表 2.7.1.2-5 リバーロキサバン 5 又は 10mg を液剤又は錠剤として空腹時経口投与した際の薬
物動態学的パラメータ[幾何平均/幾何 CV%(範囲)](試験 10842)
引用元:M5.3.3.1.5(試験 10842/PH-33050)の Tables 14.4.1-2、14.4.1-3、14.4.2-2、
14.4.2-3
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
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液剤投与した際の血漿中リバーロキサバン濃度は用量に応じた増加がみられた。錠剤投与した
際の血漿中リバーロキサバン濃度についても 15mg までは用量比例的な増加が認められた。
高用量投与時の Cmax 及び AUC は、用量に応じた増加が認められたが、用量比を下回る増加で
あった。本剤の難溶解性に起因し、高用量では吸収が低下することを示唆するものと考えられた。
本試験における尿中排泄率を低用量(1.25mg)と高用量(60 及び 80mg)で比較すると、低用量
で約 40%であったのに対し、高用量では約 10%であった。高用量で見られた吸収速度の低下は、
リバーロキサバンが難溶解性であり、水分量の少ない消化管下部において吸収率が低下すること
に起因し、終末相での消失半減期が見かけ上やや延長することの原因となっている。
表 2.7.1.2-6 リバーロキサバン 1.25mg から 80mg を錠剤として空腹時経口投与した際のリバー
ロキサバンの薬物動態学的パラメータ[幾何平均/幾何 CV%(範囲)](試験
10842)
引用元: M5.3.3.1.5(試験 10842/PH-33050)の Tables 14.4.1-2、14.4.1-3
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
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表 2.7.1.2-6 リバーロキサバン 1.25mg から 80mg を錠剤として空腹時経口投与した際のリバー
ロキサバンの薬物動態学的パラメータ[幾何平均/幾何 CV%(範囲)](試験
10842)(続き)
2.7.1.2.3
消化管における吸収部位を検討する試験 [試験 10924(M5.3.1.1.2/PH33308)]
本試験は、健康若年男性被験者 9 名を対象とした、単一施設、非盲検、非無作為化、非プラセ
ボ対照、5 群 5 期のクロスオーバー試験である。リバーロキサバン投与は、即放錠あるいは原薬
(顆粒)もしくは溶液(EnterionTM カプセルを使用)を単回投与し、消化管通過時のリバーロキ
サバンの吸収とバイオアベイラビリティを検討した。
EnterionTM カプセル及びガンマシンチグラフィの詳細については、治験実施計画書[試験 10924
(M5.3.1.1.2/PH-33308)]に記載した。
リバーロキサバンの吸収は、薬剤が放出された消化管の部位によって異なっていた(図
2.7.1.2-3)。リバーロキサバンの顆粒が小腸近位部又は遠位部で局所放出された際には、血漿
中リバーロキサバン濃度は即放錠の投与と比較しやや低かった。リバーロキサバンの顆粒が上行
結腸で放出された際は、血漿中リバーロキサバン濃度は顕著に低かったが、上行結腸で薬剤溶液
が放出された際の相対的バイオアベイラビリティの低下は明確ではなかった。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
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図 2.7.1.2-3リバーロキサバン投与後の AUC/D (A):リバーロキサバン 5mg 錠を 2 錠経口投与、
(B):10mg 顆粒を小腸近位部で放出、(C)小腸遠位部で放出、(D):上行結腸で
放出、(E):5mg 溶液を上行結腸で放出 [箱ひげ図 10/25/50/75/90%点と算術平
均を表示、n=6~9](試験 10924)
引用元: M5.3.1.1.2(試験 10924/PH-33308)の Table 14.4/2
リバーロキサバン顆粒の吸収は、小腸の近位部及び遠位部で比較的良好な吸収が観察されたが、
上行結腸では著しい吸収の低下がみられた。リバーロキサバン 5mg 溶液を投与した際は、10mg
を顆粒で投与した場合に比較し約 2.4 倍高いバイオアベイラビリティが得られた。上行結腸にお
いて溶液投与時のバイオアベイラビリティが顆粒投与時と比較し高かったことから、顆粒投与時
の吸収の低下は、結腸での透過性が低いことによる要因よりも、小腸に比べ水分量が少ない結腸
における溶解性の低下が起因したと考えられた。
2.7.1.2.4
10mg 錠を用いた食事の影響試験 [試験 11937(M5.3.1.1.3/PH-34948)]
本試験は、健康男性被験者 24 名を対象にした、単一施設、無作為化、非盲検、2 群 2 期クロ
スオーバー試験であり、10mg 錠を用いた。食事の内容は高カロリー高脂肪食とした。
1) 薬物動態
リバーロキサバン 10mg 錠を空腹時又は食後に投与した際のリバーロキサバンの血漿中薬物濃
度推移を図 2.7.1.2-4に示した。主要な薬物動態学的パラメータと分散分析結果を表 2.7.1.2-7
及び表 2.7.1.2-8に示した。
リバーロキサバン 10mg 投与後の AUC 及び Cmax は空腹時及び食後投与時で同様であったが、食後
投与時には吸収がやや遅延し、tmax(中央値)に約 0.5 時間の遅延が見られた。消失半減期は同
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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様の値であった。空腹時に対する食後投与時の AUC 及び Cmax の点推定値はほぼ 1 であり、90%信
頼区間は 0.80 から 1.25 の範囲内であった。以上より、リバーロキサバン 10mg 錠では、高カロ
リー高脂肪食がリバーロキサバンの薬物動態に影響を与えないことが示された。
図 2.7.1.2-4 リバーロキサバン 10mg 錠を空腹時又は食後に投与した際の血漿中リバーロキサ
バン濃度推移 [幾何平均/幾何標準偏差] (試験 11937)
引用元: M5.3.1.1.3(試験 11937/PH-34948)の Table14.4–1
表 2.7.1.2-7 リバーロキサバン 10mg 錠を空腹時又は食後に投与した際のリバーロキサバンの
薬物動態学的パラメータ [幾何平均/幾何 CV%(範囲)] (試験 11937)
引用元: M5.3.1.1.3(試験 11937/PH-34948)の Table 14.4/2、Table 14.4/3
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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表 2.7.1.2-8 AUC 及び Cmax の点推定値(食後/空腹時、最小二乗平均の比)及び両側 90%信頼
区間 [分散分析結果、n=24](試験 11937)
引用元:M5.3.1.1.3(試験 11937/PH-34948)の Table 14.4/5
2) 薬力学
第Xa因子活性阻害及び PT 延長の薬力学的パラメータを表 2.7.1.2-9 及び表 2.7.1.2-10 に示
した。AUC(0-tn)及び Emax の最小二乗幾何平均値の比(食後/空腹時)とその 90%信頼区間を表
2.7.1.2-11 に示した。高カロリー高脂肪食は、第Xa因子活性阻害及び PT 延長の AUC(0-tn)及
び Emax に影響を及ぼさなかった。空腹時投与と比較し、食後投与時の第Xa因子活性阻害及び PT
延長の tmax は約 1 時間延長した。
表 2.7.1.2-9 リバーロキサバン 10mg を空腹時又は食後に投与した際の第Xa因子活性阻害の
薬力学的パラメータ[幾何平均値/幾何 CV%(範囲)](試験 11937)
引用元:M5.3.1.1.3(試験 11937/PH-34948)の Table 11-5、Table 14.2/3.1.1
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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表 2.7.1.2-10 リバーロキサバン 10mg を空腹時又は食後に投与した際の PT 延長の薬力学的パ
ラメータ[幾何平均/幾何 CV%(範囲)](試験 11937)
引用元:M5.3.1.1.3(試験 11937/PH-34948)の Table 11-6、Table 14.2/3.1.1
表 2.7.1.2-11 リバーロキサバン投与時の第Xa因子活性阻害及び PT 延長の AUC(0-tn)及び
Emax の最小二乗幾何平均の比(食後投与/空腹時投与)とその 90%信頼区間
(試験 11937)
引用元:M5.3.1.1.3(試験 11937/PH-34948)の Table 11-7、Table 14.2/4.1
以上より、リバーロキサバン 10mg 錠は、薬物動態及び薬力学に及ぼす食事の影響はないこと
が確認された。この製剤は、NVAF 患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床験においても使用され、市
販予定としている。
2.7.1.2.5
20mg 錠を用いた食事の影響試験 [試験 11938(M5.3.1.1.4/PH-35231)]
本試験は、健康男性志願者 24 名を対象とした単一施設、無作為化、非盲検、2 群 2 期クロス
オーバー試験であり、リバーロキサバン 20mg 錠を用いた。食事内容は高カロリー高脂肪食とし
た。
1) 薬物動態
リバーロキサバン 20mg 錠を空腹時又は食後に投与した際の血漿中リバーロキサバン濃度推移
を図 2.7.1.2-5に示した。主要な薬物動態学的パラメータ及び分散分析結果を表 2.7.1.2-12及
び表 2.7.1.2-13に示した。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
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食後投与時の AUC 及び Cmax は空腹時と比較しそれぞれ約 39%及び 76%増加した。又、食後投
与時には吸収がやや遅延し、tmax が約 1.5 時間(中央値)遅延した。消失半減期は同様の値で
あった。空腹時に対する食後投与時の AUC 及び Cmax の 90%信頼区間の下限値は 1.25 を越えてい
た。
Rivaroxaban plasma concentration [µg/L]
以上より、リバーロキサバン 20mg 錠では、高カロリー高脂肪食がリバーロキサバンの曝露量
を増加させることが示された。
250
20 mg tablet fasted (n=22)
20 mg tablet fed (n=22)
200
150
100
50
0
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
Time [h]
図 2.7.1.2-5 リバーロキサバン 20mg 錠を空腹時又は食後に投与した際の血漿中リバーロキサ
バン濃度推移 [幾何平均/幾何標準偏差] (試験 11938)
引用元:M5.3.1.1.4(試験 11938/PH-35231)の Table 14.4/1
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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表 2.7.1.2-12 リバーロキサバン 20mg 錠を空腹時又は食後に投与した際のリバーロキサバンの
薬物動態学的パラメータ [幾何平均/幾何 CV%(範囲)] (試験 11938)
引用元:M5.3.1.1.4(試験 11938/PH-35231)の Table 14.4/2, 14.4/3
Parameter
Unit
n
AUC
g*h/L
22
Cmax
g/L
22
tmaxa
h
22
t½
h
22
Rivaroxaban 20 mg
without food
1477/23.28
(1051 – 2754)
159.9/33.79
(76.30 – 257.2)
2.500
(0.75 – 6.00)
7.996/30.90
(4.922 – 16.22)
n
22
22
22
22
Rivaroxaban 20 mg
with food
2048/22.75
(1422 – 4078)
281.4/27.49
(145.8 – 551.3)
4.000
(2.50 – 6.00)
7.483/45.98
(3.866 – 21.71)
a
Median (range)
Table 14.4 / 2, Table 14.4 / 3
表 2.7.1.2-13 リバーロキサバン 20mg 投与後の AUC 及び Cmax の点推定値(食後/空腹時、最小
二乗平均の比)及び両側 90%信頼区間 [分散分析結果、n=22](試験 11938)
引用元:M5.3.1.1.4(試験 11938/PH-35231)の Table 14.4/5
Test
With food
Reference
Fasted
Parameter
AUC
Cmax
Estimate (90%CI)
1.386 (1.293 – 1.486)
1.760 (1.549 – 1.999)
Source:Table 14.4 / 5
2) 薬力学
第Xa因子活性阻害及び PT 延長の薬力学的パラメータを表 2.7.1.2-14 及び表 2.7.1.2-15 に
示した。AUC(0-tn)及び Emax の最小二乗幾何平均値の比(食後/空腹時)とその 90%信頼区間を表
2.7.1.2-16 に示した。空腹時投与時と比較して第Xa因子活性阻害は増加し、PT は延長した。
第Xa因子活性阻害の AUC(0-tn)及び Emax は共に約 40%増加し、tmax は 1.5 時間(中央値)遅延
した。PT の AUCabs 及び Emax,abs[abs は実測値(秒)に基づくパラメータ]はそれぞれ 71%及び
64%増加した。第Xa因子活性阻害と同様に PT の tmax は約 1.5 時間(中央値)遅延した。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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表 2.7.1.2-14 リバーロキサバン 20mg を空腹時又は食後に投与した際の第Xa因子活性阻害の
薬力学的パラメータ[幾何平均/幾何 CV%(範囲)](試験 11938)
引用元:M5.3.1.1.4(試験 11938/PH-35231)の Table 11-6、Table 14.2/3
表 2.7.1.2-15 リバーロキサバン 20mg を空腹時又は食後に投与した際の PT 延長の薬力学的パ
ラメータ[幾何平均/幾何 CV%(範囲)](試験 11938)
引用元:M5.3.1.1.4(試験 11938/PH-35231)の Table 11-7、Table 14.2/3
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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表 2.7.1.2-16 リバーロキサバン 20mg 投与時の第Xa因子活性阻害及び PT 延長の AUC(0-tn)
及び Emax の最小二乗幾何平均の比(食後/空腹時)とその 90%信頼区間(n=
22)(試験 11938)
引用元:M5.3.1.1.4(試験 11938/PH-35231)の Table 11-8、Table 14.2/4.1
2.7.1.2.6
10mg、15mg 及び 20mg 錠を食後に投与した際の用量比例性を検討した試験
[試験 12362(M5.3.1.1.5/PH-36272)]
本試験は、健康男性被験者 24 名を対象とした単一施設、無作為化、非盲検、3 期クロスオー
バー試験であり、リバーロキサバン錠 10mg、15mg 及び 20mg を食後投与した。
リバーロキサバン 10mg、15mg 及び 20mg 錠を高カロリー高脂肪食摂取後に投与した際の主要な
薬物動態学的パラメータ及び分散分析の結果を、表 2.7.1.2-17及び表 2.7.1.2-18に示した。ま
た平均血漿中濃度推移を図 2.7.1.2-6に、投与量と AUC 及び Cmax の関係を図 2.7.1.2-7に示した。
リバーロキサバン 10、15 及び 20mg 投与後のリバーロキサバンの tmax は投与量にかかわらずほ
ぼ同様で、中央値は 3.0 から 3.5 時間であった。また、t1/2 についてもほぼ同様で約 11 から 12
時間であった。AUC 及び Cmax には、投与量に比例した増加がみられ、投与量で補正した AUC 及び
Cmax の比(15/10mg、20/10mg 及び 20/15mg)の 95%信頼区間は、生物学的同等性の判定基準内で
あった。すなわち、リバーロキサバン 10mg、15mg 及び 20mg 錠を、高カロリー高脂肪食摂取後に
投与したところ、曝露量に用量比例性が示された。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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表 2.7.1.2-17 10、15 及び 20mg のリバーロキサバン錠を高カロリー高脂肪食摂取後に経口投
与した際のリバーロキサバンの薬物動態学的パラメータ [幾何平均/幾何 CV%
(範囲)] (試験 12362)
引用元:M5.3.1.1.5(試験 12362/PH-36272)の Table 14.4/2、14.4/3
Parameter
AUC
Unit
g*h/L
AUC/D
AUC(0-tn)
h/L
g*h/L
%
%AUC(tn-)
Cmax
g/L
Cmax/D
1/L
tmax a
h
MRT
h
t1/2
h
10 mg
(n=24)
1201/21.3
(621.5-1798)
0.1201/21.3
(0.06215-0.1798)
1184/21.4
(611.1-1778)
1.214/52.8
(0.5020-2.906)
161.7/17.2
(127.3-235.4)
0.01617/17.2
(0.01273-0.02354)
3.000
(0.5000-6.000)
10.12/16.8
(7.924-14.30)
10.98/44.7
(4.718-21.75)
15 mg
(n=24)
1801/22.2
(952.1-2870)
0.1201/22.2
(0.06348-0.1913)
1778/22.0
(944.0-2832)
1.027/72.7
(0.2741-3.415)
234.2/17.4
(170.8-347.1)
0.01561/17.4
(0.01138-0.02314)
3.500
(1.000-6.000)
10.15/22.4
(6.817-14.82)
11.10/62.1
(5.112-33.76)
20 mg
(n=24)
2294/19.0
(1464-3227)
0.1147/19.0
(0.07322-0.1614)
2255/18.9
(1452-3178)
1.071/124.2
(0.2642-8.297)
294.4/15.0
(225.4-360.6)
0.01472/15.0
(0.01127-0.01803)
3.000
(0.5000-6.000)
10.92/29.0
(7.714-24.45)
12.08/60.8
(4.787-36.43)
a
median(range)
Source:Table 14.4/2 to 14.4/3
表 2.7.1.2-18 投与量で補正した AUC 及び Cmax の点推定値(最小二乗幾何平均の比)及び両側
95%信頼区間 [分散分析結果](試験 12362)
引用元:M5.3.1.1.5(試験 12362/PH-36272)の Table 14.4/5
Ratio
15 mg / 10 mg
20 mg / 10 mg
20 mg / 15 mg
Source:Table 14.4/5
Parameter
AUC/D
Cmax/D
AUC/D
Cmax/D
AUC/D
Cmax/D
Unit
h/L
1/L
h/L
1/L
h/L
1/L
n
24
24
24
24
24
24
CV
9.14
10.72
9.14
10.72
9.14
10.72
Estimated
Ratio
0.9997
0.9652
0.9550
0.9099
0.9553
0.9427
95% confidence
interval
[0.9480 ; 1.0542]
[0.9070 ; 1.0272]
[0.9057 ; 1.0071]
[0.8551 ; 0.9683]
[0.9059 ; 1.0074]
[0.8858 ; 1.0032]
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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図 2.7.1.2-6 10、15 及び 20mg のリバーロキサバン錠を高カロリー高脂肪朝食摂取後に経口投
与した際の血漿中リバーロキサバン濃度推移 [幾何平均] (試験 12362)
引用元:M5.3.1.1.5(試験 12362/PH-36272)の Table 14.4/1
図 2.7.1.2-7 10mg、15mg 及び 20mg のリバーロキサバンを食後に投与した際のリバーロキサバ
ンの AUC 及び Cmax の用量比例性[箱ひげ図 10/25/50/75/90%点と算術平均値
を表示(5、95%点は黒点で、平均値は太線で表示)、n=24](試験 12362)
引用元:M5.3.1.1.5(試験 12362/PH-36272)の Table 14.4.2
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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2.7.1.2.7
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15mg 錠の国内第Ⅲ相臨床試験用処方と市販処方の生物学的同等性試験
[試験 13371(M5.3.1.2.1/ A45677)]
本試験は、日本人健康男性被験者 20 例を対象にした、単一施設、無作為化、非盲検、2 群 2
期のクロスオーバー試験であり、国内第Ⅲ相臨床試験で用いたリバーロキサバン 15mg 錠(対照
薬)と申請予定のリバーロキサバン 15mg 錠(試験薬)の生物学的同等性を検討した。なお、2
種の錠剤はフィルムコートの色(淡赤色対赤色)のみが異なる製剤である。
主要な薬物動態学的パラメータ及び分散分析の結果を、表 2.7.1.2-19及び表 2.7.1.2-20にそ
れぞれ示した。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
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40
表 2.7.1.2-19 リバーロキサバン 15mg を空腹時単回経口投与した際のリバーロキサバンの薬物
動態学的パラメータ( :15mg 錠申請製剤、 :第Ⅲ相臨床試験の使用製
剤)[幾何平均/幾何 CV%(範囲)、n=20] (試験 13371)
引用元:M5.3.1.2.1(試験 13371/A45677)の Table 14.4.2
Parameters
AUC(0-tn)
Unit
[μg*h/L]
Cmax
[μg/L]
tmax a
[h]
t1/2
[h]
Test
1810.60 / 23.44
(1101.89, 2517.59)
256.36 / 22.51
(159.93, 390.21)
2.50
(0.50, 4.00)
8.21 / 30.42
(5.67, 16.85)
Reference
1797.35 / 20.85
(1268.70, 2804.35)
235.03 / 24.81
(154.21, 400.05)
1.50
(0.50, 6.00)
8.94 / 39.04
(4.30, 17.72)
a
Median (range)
Source: Table 14.4.2
表 2.7.1.2-20 AUC(0-tn)及び Cmax の点推定値( / 、最小二乗幾何平均の比)及び両側
90%信頼区間[分散分析結果者、n=20] (試験 13371)
引用元:M5.3.1.2.1(試験 13371/A45677)の Table 14.5.2
Parameters
AUC(0-tn)
Cmax
Source: Table 14.5.2
Ratio Test/Reference
1.007
1.091
90% confidence interval
0.920 – 1.104
0.985 – 1.208
AUC(0-tn)及び Cmax の点推定及び 90%信頼区間は、生物学的同等性の基準内(0.80 から 1.25)
にあり、において申請予定製剤と国内第Ⅲ相臨床試験で用いられたリバーロキサバン 15mg の生
物学的同等性が示された。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
Bayer Yakuhin, Ltd.
2.7.1.3
2.7.1.3.1
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38 of
40
全試験を通しての結果の比較と解析
リバーロキサバンの曝露量に及ぼす食事の影響-統合解析結果
(5.3.5.3.6/PH-36318)
リバーロキサバン 1.25mg から 80mg の用量を単回投与した第 I 相臨床試験、並びに 5mg から
30mg の用量を反復投与した第Ⅰ相臨床試験の成績を統合し、探索的に共分散分析を実施した。
リバーロキサバンの曝露量には、検討した用量範囲で用量に応じた増加がみられた。また、す
べての投与量を含めて評価すると、食後投与時の AUC 及び Cmax は空腹投与時に比べ 18%及び
42%高かった(表 2.7.1.3-1)。10mg 以下の用量に限定すると食事の影響は小さくなったが、
15mg 投与時では、食後投与時の方が AUC で 18%、Cmax で 86%高かった。15mg 以上の用量では食
事の影響はさらに顕著になった[M5.3.5.3.6/PH-36318]。
表 2.7.1.3-1 投与量で補正したリバーロキサバンの AUC(AUC/D)及び Cmax(Cmax/D)と食事の影響
に関する ANCOVA 結果(幾何平均/幾何 CV%)
引用元:M5.3.5.3.6(PH-36318)の Table 14.04.E1.2、Table 14.04.E1.4、Table 14.04.E2.2、
Table 14.04.E2.4
Condition
AUC/D
[h/L*1000]
95.6 (42.1)
Cmax/D
[1/L*1000]
12.1 (51.7)
point estimate [90% confidence interval]
all doses, fasted
(n=591/692)
all doses, fed
115.6 (26.9)
16.1 (30.6)
(n=526/582)
104.2 (30.3)
17.1 (34.9)
 10 mg, fasted
(n=78/78))
122.3 (30.8)
22.2 (24.8)
 10 mg, fed
(20/20)
10 mg, fasted
121.5 (34.1)
16.3 (40.1)
(n=189/189))
10 mg, fed
117.7 (28.1)
17.5 (27.4)
(n=263/263)
15 mg, fasted
99.5 (32.6)
13.2 (37.4)
(95/145)
15 mg, fed
128.7 (25.9)
17.8 (27.2)
(36/36))
20 mg, fasted
79.1 (37.2)
8.64 (41.7)
(113/113))
20 mg, fed
106.9 (23.7)
13.6 (29.9)
(145/201)
71.3 (42.3)
8.49 (43.8)
 20 mg, fasted
(116/167))
118.8 (24.1)
16.7 (19.1)
 20 mg, fed
(62/62))
Source: PH-36318 Tables 14.04.E1.2, 14.04.E1.4, 14.04.E2.2, 14.04.E2.4
for AUC/D, fed vs fasted:
1.18 [1.10 - 1.27]
for Cmax/D, fed vs fasted:
1.42 [1.31 - 1.53]
for AUC/D, fed vs fasted:
1.17 [1.01 - 1.36]
for Cmax/D, fed vs fasted:
1.16 [0.99 - 1.36]
for AUC/D, fed vs fasted:
1.08 [0.99 – 1.18]
for Cmax/D, fed vs fasted:
1.22 [1.11 – 1.33]
for AUC/D, fed vs fasted:
1.18 [0.96 – 1.46]
for Cmax/D, fed vs fasted:
1.86 [1.58 – 2.18]
for AUC/D, fed vs fasted:
1.29 [1.18 – 1.40]
for Cmax/D, fed vs fasted:
1.63 [1.49 – 1.78]
for AUC/D, fed vs fasted:
1.71 [1.50 – 1.96]
for Cmax/D, fed vs fasted:
1.97 [1.72 – 2.27]
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
Bayer Yakuhin, Ltd.
2.7.1.3.2
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リバーロキサバンの曝露量に及ぼす食事の影響 -まとめ
食事の影響試験は 10mg 錠(試験 11937)及び 20mg 錠(試験 11938)を用いて実施した。試験に
用いた 10mg 錠は最終製剤である。一方、20mg 錠は本邦における申請用量ではないものの、製剤
の基本処方はすべての含量で一貫しており、素錠に含まれる添加剤の種類は同一で、薬物含量の
増量を賦形剤の量で調節することにより重量を一定に保っている。
申請製剤である 15mg 錠については、国内第Ⅲ相試験で用いた製剤と素錠の処方は同一で且つ
フィルムコーティングの基本組成は同じである。但し、フィルム層に含まれる着色剤(酸化チタ
ン及び三二酸化鉄)の配合比率のみが異なり、処方変更ガイドラインにおける処方変更水準は
水準に該当した。15mg 錠は
薬物を含む通常製剤に分類されることから、両製剤間の生物
学的同等性の証明には、ヒトによる生物学的同等性試験が必要と判断し、「後発医薬品の生物学
的同等性試験ガイドライン(平成 18 年 11 月 24 日付薬食審査発第 1124004 号)に則して、ヒト
による生物学的同等性試験を実施し、同等性を確認している(試験番号 13371)。
また、高カロリー及び高脂肪食の摂取後にリバーロキサバン 10mg、15mg 及び 20mg 錠を投与し
用量線形性を検討した試験(試験 12362)で用いた 15mg 錠は、フィルムコーティングに含まれ
る着色剤の配合比率のみが申請製剤又は国内第Ⅲ相試験で用いた製剤と異なる。試験 12362 と国
内第Ⅲ相臨床試験で用いた製剤の処方の違いは着色剤の配合比率のみで、溶出速度に影響を及ぼ
すコーティング剤及び可塑剤の処方量、並びにコーティング膜量フィルム層についての違いでは
ないことから、申請規格における試験条件下での溶出性を確認することにより、処方間の同等性
確認が可能と判断し、溶出性の申請規格(
)に適合していることを確認した。
また、試験 12362 では 10~20mg の用量範囲で薬物動態の用量線形性が示されている。
10mg 錠を用いた食事の影響試験(試験 11937)では、食事の摂取が薬物動態に影響しないこと
が示されたのに対し、20mg 錠を用いた食事の影響試験(試験 11938)では食事の影響(AUC の
39%増加、Cmax の 76%上昇)が認められた。これは、水に対するリバーロキサバンの溶解性が低
く(7mg/L、精製水)、リバーロキサバンの含量が 10mg から 20mg に増したことにより、消化管
での溶解量が減少し、溶解性が吸収の律速過程になったためと考えられる。5 mg 錠を空腹時投
与した際の絶対的バイオアベイラビリティはほぼ 100%であったのに対し、20mg 錠を空腹時投
与した際の絶対的バイオアベイラビリティは 66%であったことからも、20 mg を投与した際には
リバーロキサバンの溶解性が低下し、その結果として吸収率が低下したと考えられる。
空腹時に 20mg(20mg 錠)を投与した際の絶対的バイオアベイラビリティは 66%であったのに
対し(試験 11273)、20mg を食後に投与した際の AUC は、空腹時投与時と比較し 39%増加し、
ほぼ完全な吸収が得られた。この結果から、20mg 投与時のリバーロキサバンの吸収過程におい
て、本薬の膜透過性が吸収の律速になるのではなく、溶解性が吸収の律速になることが示唆され
た。すなわち、リバーロキサバン 20mg を食後に投与した際、食事の摂取により胆汁の分泌が亢
進され、胆汁酸の界面活性作用による可溶化効果が増した結果、本薬の吸収が促進されたと考え
られる。さらに、高カロリー、高脂肪食の摂取後にリバーロキサバンを投与した試験(試験
12362)おいて 10~20mg の用量範囲で曝露量の用量線形性が示されている結果からも、食事の摂
取により、高用量投与時におけるリバーロキサバンのバイオアベイラビリティは改善されるもの
と考えられる。
血中濃度への食事の影響は、15mg 錠に含まれる本薬の溶解度に依存するため、摂食刺激により
惹起される胆汁の分泌及び食事に伴う水分摂取が本薬の溶解度を増加させ、結果として吸収量が
増加し血中濃度に大きな影響を及ぼすものの、空腹時投与での吸収の律速過程は、本薬の溶解性
にあるため、15mg 錠での食事の影響は、最大でも 20mg 錠で認められた血中濃度の増加(AUC:
39%増加、Cmax:76%増加)を上回ることはないと予想される。
2.7.1 生物薬剤学試験及び関連する
分析法
Bayer Yakuhin, Ltd.
2.7.1.4
Page
40 of
40
付録
本文中の適切な箇所に図表を示した。
参考文献
1) U.S.Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration, Center
for Drug Evaluation and Research (CDER), Center for Veterinary Medicine (CVM).
Guidance for Industry: Bioanalytical Method Validation. 2001.
2) U.S.Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration, Center
for Drug Evaluation and Research (CDER).Guidance for Industry: Waiver of In Vivo
Bioavailability and Bioequivalence Studies for Immediate-Release Solid Oral Dosage
Forms Based on a Biopharmaceutics Classification System.2000