「キャッチバレーボール」 小6年

実践のエッセンス③
実践のエッセンス③ 《小学校 6 年》 E ボール運動(イ ネット型)
1 研究の成果
運動が苦手な児童も得意な児童も、男女関係なく協力して運動し、自分の役割を果たすことの喜びや
みんなで喜び合うことの楽しさや思い切り体を動かすことのよさを実感できた実践
2 単元名
1・2・3のリズムでアタック!「キャッチバレーボール」
単元名
1・2・3のリズムでアタック!「キャッチバレーボール」
3 教材化の要点
(1)チーム構成やチーム内の役割分担の工夫
【1チームの人数を2人または3人にする】
①
②
③
④
役割分担が明確になり、どの子も活躍できる。また、攻撃のパターンが作りやすい。
運動が得意な児童を2人チームに入れることで、目いっぱい運動を楽しむことができる。
1人の動く範囲が広くなり、運動量が確保できる。
お互いの頑張りを認め合うことができる。
【仲良しチーム制とチーム内の役割分担の明確化】
① 12 チームを 2 チームずつ「A-1 と A-2」のようにペアにし、仲良しチームにする。前半は「A-1 チ
ーム」後半は「A-2 チーム」が戦い、両チームの合計点を得点とするため、お互いを応援し合った
り、アドバイスをし合ったりする姿が自然に生まれる。
② 各チームに「審判」
、
「得点」
、
「応援リーダー」役を決めさせることで、試合をしていない時にも緊
張感を継続できるとともに、試合以外でも活躍できる。
(2)ルールの工夫
【キャッチとランの導入】
① 必ず 3 回で相手コートに返すが、レシーバーかセッターのどちらかはボールをキャッチしてよいた
め、苦手な児童も積極的にプレーできる。
② ボールをキャッチした場合「1・2・3」のリズムに乗っていれば、走って移動してもよい。そうす
ることで、トスやアタックしやすい場所にボールを上げることができ、3段攻撃が成立しやすい。
(3)試合をしていない時の役割分担の工夫
【応援時のルールを設け、応援ポイントを取り入れる】
① 攻撃時に「1・2・3」のかけ声をかけさせる。そうすることで、リズムに乗った3段攻撃ができる。
② 仲良しチームが得点した時は、試合をしている児童と応援している児童全員でハイタッチをして喜
びを分かち合う。そうすることで、チームの一体感が増すとともに、運動量も確保できる。
③ 一番元気よく応援したり、得点時にチームワークよく喜び合ったり、
「1・2・3」のリズムを大き
な声で言えていたチームに「応援ポイント2点」を与える。そうすることで、どのチームも応援に
手を抜かず、場が盛り上がる。また、運動が苦手な児童も応援で活躍しようとする姿が見られる。
(4)その他の工夫
【課題となっているボール操作の技術を取り入れた準備運動の場づくり】
● 子どもたちが「もっと上手にできれば・・・。
」と感じていることを取り入れ、体育館全体を使っ
て準備運動の場をつくることで必要感を持って取り組むことができる。
≪準備運動の場とその効果≫
「ふわっとトスゾーン」…オーバーハンドトスでバスケットゴールに入れる。
→山なりのトスを上げる感覚をつかむことができる。
「高くトスゾーン」…ギャラリーの柵に貼ってある的にオーバーハンドトスやアンダーハンドトスでボ
ールを当てる。→自然に膝をやわらかく使うことができるようになる。
「オーバーハンドトスゾーン」…壁面に貼ってある手形をタッチしながら移動する。
→オーバーハンドトスの手の形やボールに対して下から入る動きが自然に身につく。
「力強くアタックゾーン」…壁面に貼ってあるボールのイラストをアタックする。
→ボールに対する自分の位置、ジャンプとアタックのタイミングを自然につかむことができる。
「ファインレシーブゾーン」…V字に貼られたビニールテープの一方からスタートし、反対側の線上に
友達が投げた球をランニングキャッチする。速く走れる人ほど、Vの字の角度を広げ、走る距離を長
くしていく。→積極的にボールを取りに行くことができない児童やボールを譲り合ってしまうチーム
に効果的。夢中でボールを追うことで、自然に思い切り体を動かすことができる。
【自分の満足度やお互いのよさを認め合える学習カードの工夫】
● 「友だちの良いところ」を書く欄を設け、自分のチームや仲良しチームの友だちの良さを記入する。
運動が苦手な児童にとって励みになる。また、友だちの良さを認め合える学級づくりにつながる。
● 自分の満足度の評価が低い児童に対し、担任が声をかけたり、アドバイスしたりできる。
4 実践の概要
【単元の進め方】
時
1
2
・
3
活動内容
☆教師がしたこと ・指導した内容
①生活班でのラリー練習
②めざせ 10 回ラリーゲー
ム
③キャプテンの選出
☆ラリーを続けて見せ、ラリーが続く楽しさを感じさせる。
☆児童の技能を見極め、チーム分けに活かせるように記録する。
・ラリーの円の大きさ・アンダーハンド、オーバーハンドトス
・ボールを上げる位置や高さ・次に打つ友だちの名前を呼ぶこと
①チームに分かれ各チー
ムの攻撃パターン作り
②仲良しチームでラリー
ゲーム
☆三段攻撃、試合形式でのラリーを見せる。
☆レフトからアタックする時の位置、セッターの位置に印を付ける。
☆1・2・3 のリズムを大切にした攻撃をするように伝える。
・
「キャッチ」と「ラン」を入れても良いこと
・アタック、トスしやすい位置、打ちやすいトスの位置や高さ
4
5
|
9
①練習試合
☆だれがレシーブしても三段攻撃ができるよう考えさせる。
②うまくいかないことの ☆リズム良く三段攻撃ができているチームの紹介。
発表
☆子どもたちが課題と感じていることを聞き取る。
①新しい準備運動
☆前時の「満足度」が低い児童を中心に指導、声がけ。
②ルールの確認とリーグ ☆「友だちのよさを認める言葉」を全体に広める。
戦
☆チームワークのよさの紹介。
5 成果と課題
① 準備運動とプレーにつながりが生まれ、課題意識を持って準備運動に取り組めるようになった。
【子どもたちの声より】
*新しい準備運動は難しかったりつかれたりするのもあるけど、おもしろくてとてもいいと思います。
*正直言うと、私はキャッチバレーボールは好きではありません。理由はトスを上手く上げられないの
と、動きが遅くなってしまうからです。なので私は、今日の練習の時にバスケットゴールでやる(=
今日の練習の時にバスケットゴールでやる(=
ふわっとトスゾーンのこと)のを一生懸命にやりました。
② 体育を苦手とする児童も思いきり運動を楽しむことができた。また、その後の単元や普段の生活の中
で、自然に友だちのよさを認め合う雰囲気が生まれた。
【子どもたちの声より】
*私はキャッチバレーボールが好きです。みんなで協力してアタックしやすいところにトスしたり、み
みんなで協力してアタックしやすいところにトスしたり、み
んなでハイタッチをしたりとても楽しいです。
んなでハイタッチをしたりとても楽しいです
。
*僕は球技は苦手ですが、なんだかこれはそんなに嫌でもないです。こんな僕のチームでも工夫したル
ールで勝つことができるからです。なかなか高く上げることができないので苦しいところです。キャ
キャ
ッチバレーは別に上手くはないけれど、僕の中では数少ない好きなスポーツに入るものでしょう。
③ 運動を苦手としている児童がボールにとびついたり、汗びっしょりになったり、声をからして応援す
る姿が見られた。また、どの児童も、キャッチバレーボールの授業を心待ちするようになった。
④ 普段の生活の中でもお互いのよさを自然に認め合える学級の雰囲気が生まれた。
⑤ 「この準備運動でもっと○○を練習したい!」という反省を持つ児童が増え、課題意識を持って準備
運動に取り組めるようになり、準備運動と試合に明確なつながりが生まれた。
● 1 時間の授業の中で、仲良しチーム同士でアドバイスをしあったり、チーム内で戦術を考えたりする
時間の確保が十分にできなかった。6 学年ということを考えると、チームに足りない部分を自分たち
で見つけ、そこを克服するために課題意識を持ってチームで練習する場面を設けたかった。