㊢ 13町監第173号の3 2013年11月22日 請 求 人 様 町田市監査委員 同 同 同 小 西 木 下 佐々木 佐 藤 弘 子 健 治 智 子 伸一郎 町田市住民監査請求監査結果通知書 (町田市職員措置請求について) 2013年9月25日付けで請求のあった標記のことについて、地方自治法第242条 第4項の規定により、監査した結果を次のとおり通知します。 第1 請求の受付 1 請求人 (略) 2 請求書の提出 2013年9月25日 3 請求の内容 (1)主張事実 市道鶴川616号線(昭和37年3月29日認定。最小幅員1.82m、未供用 延長0)(以下「本件市道」という。)の幅員確保要請に対する、町田市(以下「市」 という。)の処置についての異議申立て。 本件市道の一部が、隣接する畑の土や雑草で覆われているため、本件市道として 公開されている最小幅員1.82mの確保の依頼を一年ほど前にした。市からの返 答の一部を挙げると「市道が狭くなっている原因が市道に面している両サイドに盛 り上がっている畦なので、その所有者に畦の除去を依頼することしかできない。通 学路ではなく、人、バイクは通れるので今までどおりで不都合はない。1.82m の幅員確保はできない。畦の除去の依頼は畑の所有者にしていく。」とのことであ った。 バス停が近くにあるため、通勤、通学でも使用されている。一年経ても本件市道 上の土は除去されず、雑草が伸びると本件市道上を覆う状態である。個人の力では 交渉は無理と判断し、市議会議員に相談をした。 4か月後に施工された工事で、本件市道に木柵が設置された(2013年8月6 日施工)。なぜ、市道上に木柵が設置されたのか市に問い合わせたところ、市の返 答は「畑の所有者が、図面どおりの境界柵を作られると、自分の畑の草刈りのチェ ーンソーの刃が当たって草刈りがしにくいとのこと。土の所有権が畑の持ち主にあ るため勝手に除去できないので、所有者と協議の上その場所に設置した。」とのこ とであった。 市道は市の財産であるとともに、そこを使用する市民の財産でもある。その財産 を、私人に与えた形にしているのは地方公務員の職務に違反しているのではないか。 しかも、本来なら土地が高いところにある土地の所有者が、所有者側に土留め工事 を行うべきなのに市が行っている。 境界杭(2か所)を見つけた。この工事も公共用地境界図(57-60及び58 -186)があるのに境界杭を無視した工事を行っている。なぜかと市に質問した ところ、返答は「境界杭どおりに工事をするとは限らない。」とのことであった。 いろいろな現場状況があるから、それは理解できる。しかし、この場所でこの工事 は納得できない。境界杭は何のためにあるのか。 -1- 私は今回、市と交渉した中でその対応の仕方に非常な不信感を持った。質問をし ても言質をとられるのを嫌ってか自分の言葉で話さない、もしくはダンマリを決め、 人間性のある話合いができない。2例挙げる。 幅1.82mあれば軽自動車は通れますよねとの質問に対し「さあ、分かりませ ん」との答えであった。4か月後に同じ質問をしたが、答えは同じであった。社会 人であれば一般的な知識だと思う。もしも本当に分からないのであれば、調べると いう姿勢が立場上必要ではないか。 境界杭を壊そうとしたり、その上に物を置き、意図的に認識できないようにされ ている状態があるのを指摘すると「この下に杭があるのを分からせるために物を置 いているのではないか。杭の損壊も少しなら問題はない。」との答えであった。境 界杭の管理をする立場の人の言葉なのか。堂々めぐりの話になり、納得のいく答え をいただけなかったので、今回このような形で問題提起をした。 (2)措置要求 町田市長は、本件市道の最小幅員1.82mを確保の上、全面舗装施工し、軽自 動車の通行可能工事を実施すること。 4 請求の要件審査 本件請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第 242条所定の要件を備えているものと認めた。 第2 監査の実施 1 監査対象事項 本件市道について、財産の管理を怠る事実があるか否かを監査対象とした。 2 監査対象部課 建設部道路管理課、道路用地課及び道路補修課を監査対象とした。 3 4 証拠の提出及び陳述等 自治法第242条第6項の規定に基づき、2013年10月21日に請求人の陳述 の聴取を行った。請求人から資料Ⅰ~資料Ⅵが提出された。 監査対象部課に対する事情聴取 2013年10月21日及び同月28日に監査対象部課に対して事情聴取を行った。 第3 監査の結果 1 事実関係の確認 (1)本件市道について -2- ア 昭和37年(1962年)3月29日、本件市道は、道路法(昭和27年法律 第180号)第8条に該当する市道と認定された(昭和37年3月29日付け町 田市告示第8号)。 本件市道は、道路台帳の実延長調書によれば、区間延長180.00m、区間 面積327.60㎡、車道幅員0.82m、路肩幅員1.00m(道路部幅員 1.82m)であった。 イ 市は、建設省所管国有財産部局長である東京都知事に対して、昭和56年 (1981年)10月28日付け町建発第736-2号「公共用地境界明示申請 書」にて、本件市道を含む公共用地と隣接する私有地との境界が不明であるため 現地で明示するよう依頼した。 東京都財務局用地部境界確定課(以下「東京都境界確定課」という。 )は、同日 付け財用境申第2819号にて、本申請書を収受した。 ウ 昭和57年(1982年)2月2日及び同月23日、東京都境界確定課、私有 地地権者8名及び市は、境界確定の現地立会をした。そして、私有地地権者8名 は東京都知事に対して、私有地と公共用地(道路敷)との境界は現場で表示のと おり異議なく承諾する旨の承諾書を提出した。 エ 昭和57年(1982年)6月15日、東京都境界確定課は、市が上記イで申 請した土地の境界を確定した。 オ 市は、昭和57年(1982年)11月27日付け町田市告示第246号にて 本件市道を含む市道路線の区域変更をし、同日付け町田市告示第247号にて供 用開始をした。本件市道に係る区域変更の内容は、区間延長を192.63m、 区間面積を352.87㎡に変更するものであった。 カ 市は、本件土地を管理している東京都知事に対して、2002年2月15日付 け01町建管第605号「国有財産譲与申請書」にて、本件市道を含む国有財産 について、道路法第90条第2項の規定に基づく譲与を申請した。 キ 東京都は、平成14年(2002年)4月1日付け13財財国第989号「国 有地の譲与について」により、本件市道を含む国有地を市に譲与した。このこと により、本件市道は市の財産となった。 (2)主管部課の説明について ア 本件市道の財産管理 (ア)本件市道は、平成14年(2002年)4月1日付けで国有地の譲与を受け ていることから市の財産である。このため、道路法第29条及び同法第42条 に基づく管理が求められると考えている。 (イ)道路法第42条では「道路管理者は(中略)一般交通に支障を及ぼさないよ うに努めなければならない。」と規定している。本件市道は、調査により、歩 行者・自転車・配達車両(バイク)の通行を確認しており、一般交通に支障が ないと考えている。 (ウ)本件市道と隣接する私有地との境界は、昭和57年(1982年)6月15 日に確定している。しかし、本件市道の一部に、隣接する家の擁壁及び畑の法 面が越境していることは認識している。 -3- (エ)擁壁及び畑の所有者に対しては、土地利用形態が変わる際には擁壁を撤去す ることや、越境した畑の土を撤去すること等を指導している。 (オ)本件市道のうち、本件請求に係る部分には、境界標が6点埋設されている。 (カ)2013年10月22日、建設部道路用地課(以下「用地課」という。)職 員4名が、上記(オ)の境界標を確認した。確認の際、隣接する畑の所有者の 妻が立ち会った。 (キ)2013年11月14日、畑の所有者は、市に境界確認書を提出した。 (ク)2013年11月14日、畑の所有者は、本件市道と接道する区域について、 将来開発行為等の指導を受け土地利用形態が変わる際には、道路内に存する擁 壁及び畑の土を撤去すること及び道路に隣接する草については、従前より自主 的に刈り取り等管理をしている旨の確認書を提出した。 イ 本件市道の道路機能上の管理 (ア)本件市道の道路機能上の管理についても、財産管理と同様に、道路法第29 条及び同法第42条に基づく管理が求められると考えている。 (イ)道路法第29条では「道路の構造は、当該道路の存する地域の地形、地質、 気象その他の状況及び当該道路の交通状況を考慮し(中略)安全かつ円滑な交 通を確保することができるものでなければならない。」と規定している。本件 市道付近には湧水が発生しており、本件市道の南側に接する市道鶴川289号 線(町田都市計画道路3・4・15木曽金井線)の歩道部分の通行にも支障を 及ぼしている状態であった。そのため、本件市道には側溝が設置されている。 (ウ)市は、上記(イ)の状況を解消し道路上の安全を確保するため、側溝の脇に 木柵を設置することとした。 (エ)2013年7月18日、市は、畑の所有者に木柵を設置することを伝え、了 承を得た。 (オ)2013年8月6日、建設部道路補修課(以下「補修課」という。)職員が 木柵を設置した。 (カ)木柵は、道路機能の管理上、本件市道上に設置したものである。財産管理の 面からは、越境状態の解消について、今後も引き続き畑の所有者に指導をして いく予定である。 ウ 畑の所有者への指導 (ア)2012年6月13日、請求人から建設部道路管理課(以下「管理課」とい う。)に対し、畑側の法面から本件市道側に草がせり出しているとの連絡があ った。管理課職員は、畑の所有者宅を訪問し、草刈りと畑の土の除去を指導し た。畑の所有者は、3か月に1度は草刈りと本件市道上及び側溝上の土を清掃 しているとのことであった。管理課職員は、草刈り及び清掃が完了し、歩行者・ バイク・車椅子の通行に支障がないと判断したため、本件に対する対応を完了 とした。 (イ)2012年8月13日、請求人から管理課に対し、本件市道の幅員を境界図 どおり確保して欲しいとの要望があった。管理課職員が、畑の所有者宅を訪問 し、本件市道への越境について、土地利用形態が変わる際に越境を解消するよ -4- う指導したところ、了解が得られた。 (ウ)2012年9月11日、請求人から管理課に対し、上記(イ)と同様の要望 があったため、管理課職員が畑の所有者宅を訪問し、再度指導をした。 (エ)2012年9月12日、管理課は経済観光部農業振興課に対し、畑所有者へ 道路内への越境防止の指導を依頼した。同日管理課は、農業振興課職員が畑の 所有者宅を訪問し指導をしたとの報告を受けた。 (オ)2013年3月21日、請求人から管理課に対し、畑の土が道路上に堆積し ており通行に支障が出ているため対処して欲しい旨の連絡があった。管理課職 員は、畑の所有者宅を訪問し指導をした。 (カ)2013年8月26日、1点の境界標上にコンクリートブロックなどが置か れていたため、管理課及び用地課職員が畑の所有者宅を訪問し、境界標が見え る状態にするよう指導した。 (キ)2013年8月27日、再び1点の境界標が隠されていたため、用地課職員 が畑の所有者に電話し、境界標が見える状態にするよう指導した。 2 判断 自治法第242条に定める住民監査請求は、地方公共団体の職員による違法又は不 当な行為等により地方公共団体の住民として損失を被ることを防止するために、住民 全体の利益を確保する見地から、職員の違法、不当な行為等の予防、是正を図ること を本来の目的とするものである。このため、請求の対象は、自治法第242条第1項 に規定する違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の 締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担、又は違法若しくは不当に公金の 賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実に限定されている。 本件請求において請求人は、市の財産である本件市道の一部に個人が所有する畑の 一部が越境しており、市が境界どおりの管理を行っていないことが「財産の管理を怠 る事実」に該当すると主張していると解される。 本件について、職員の違法又は不当に財産の管理を怠る事実があるかどうかについ て、前記事実関係の確認に基づき、次のように判断する。 (1)財産の管理を怠る事実の有無について 本件市道について市は、前記事実関係の確認で示したとおり、隣接する畑の一部 が越境している事実を認識した後、この状態を解消すべく畑の所有者に対して指導 を含む対応を行っている。また、市は、監査期間中に本件請求に係る部分の境界標 の確認を改めて行い、畑の所有者から境界確認書を徴している。このことから、市 が越境している事実を漫然と放置している状態であるとは言えない。さらに市は、 本件市道の存する地域の地形や交通状況を考慮した上で安全かつ円滑な交通の確保 に努め、一般交通に支障を及ぼさないよう維持しており、道路法第29条及び同法 第42条の規定に基づく管理を行っている。 本件市道は私有地との境界が確定しており、また、市は、境界標の確認をし、隣 接する畑の所有者から境界確認書などを徴している。さらに、市は、越境について -5- 隣接する畑の所有者に指導をしている。 以上のことから、違法又は不当に財産管理を怠っているとは言えない。 3 結論 以上のことから、請求人の主張には理由がない。 -6- 資料(町田市職員措置請求書) 町田市職員措置請求書 1 市道鶴川616号線(昭和37年3月29日に認定されている。最小幅員1.82m 未供用延長0)の幅員確保要請に対して、市の処置に異議申し立て。 市道鶴川616号線の一部(添付図面1の○で囲んである)が、添付写真①の状況であ る為、公開されている最小幅員1.82m確保の依頼を一年程前にしました。市からの 返答の一部を挙げます。 ○市道が狭くなっている原因が市道に面している両サイドの畑の土なので、その所有者 に土の除去を依頼することしか出来ない。通学路ではない、人、バイクは通れるので 今まで通りで不都合はない。1.82の幅員確保はできない。除去の依頼は畑の所有 者にしていく。 バス停が近くにある為、通勤、通学でも使用されています。 一年経ても市道上の土は除去されず、雑草が伸びると添付写真②の状態です。個人の力 では交渉は無理と判断し、A市会議員に相談をしました。 4ヶ月後に施行された工事が添付写真③です。(H25.8.6施行) なぜ、市道上に木柵が設置されたのか。 市(道路管理課B課員)の返答は ○畑の所有者が、図面通りの境界柵を作られると、自分の畑の草刈りのチェーンソーの 刃が当たって草刈りがしにくいとのこと。土の所有権が畑の持ち主にある為勝手に除 去できないので、所有者と協議の上その場所に設置した。 市道は市の財産であると共にそこを使用する市民の財産でもあります。 その財産を、私人に与えた形にしているのは地方公務員の職務に違反しているのではな いでしょうか。しかも、本来なら土地が高いところにある土地の所有者が、所有者側に 土留め工事を行なうべきなのに市が行なっている。 添付図面2の○で囲んである境界杭(2ヶ所)を見つけました。 (写真④と写真⑤) この工事も公共用地境界図(57-60及び58-186)があるのに境界杭を無視し た工事を行なっている。 なぜか、と市(道路用地課C課長)に質問しました。 返答は、 ○境界杭通りに工事をするとは限らない。 いろいろな現場状況があるでしょうから、それは理解できます。 しかし、この場所でこの工事は納得できません。 境界杭は何の為にあるのですか。 私は今回、市と交渉した中でその対応の仕方に非常な不信感を持ちました。 質問をしても言質をとられるのを嫌ってか自分の言葉で話さない、もしくはダンマリを 決め、人間性のある話し合いができないことです。 -7- 2例挙げます。 ○ 道路管理課(B課員) 幅1.82mあれば軽自動車は通れますよね?の質問に 「さあ、わかりません」 4ヵ月後に同じ質問をしました。答えは同じでした。 社会人であれば一般的な知識だと思います。もしも本当にわからないのであれば、調 べる、という姿勢が立場上必要ではないですか。 ○ 道路用地課(C課長) 境界杭を壊そうとしたり、その上に物を置き(写真⑥-1、⑥-2)意図的に認識で きないようにされているのを指摘すると、「この下に杭があるのを分からせる為に物 を置いているのでは。杭の損壊も少しなら問題はない」 境界杭の管理をされる立場の人の言葉でしょうか。堂々めぐりの話になり、納得のいく 答えをいただけませんでしたので、今回このような形で問題提起をさせていただきまし た。 改めて、市道鶴川616号線の最小幅員1.82mの確保のうえ、全面舗装施行し、軽 自動車の通行可能工事を実施するよう求めます。 2 請求者 (略) 地方自治法第242条第1項の規定により、事実証明書を添え、必要な措置を請求します。 2013年9月25日 町田市監査委員殿 (注)以上、原文のまま掲載。ただし、個人の氏名等の個人情報については省略した。 事実証明書 1 該当箇所の道路網図(町田市建設部道路用地課所管)及び現場写真①~③ 2 町田市が保有する土地境界図の写しのコピー及び現場写真④、⑤ 3 現場写真⑥-1、⑥-2 資料Ⅰ 今回の請求及び陳述の為に参考とした町田市役所所有の図面、台帳等及び町 田市役所のホームページからアウトプットした情報等の一覧。その取得に際 しての町田市職員とのやりとり。(略)所有品からの補足説明。 資料Ⅱ 町田市が保有する土地境界図の写しのコピー 資料Ⅲ 建築工事の為の敷地調査報告書の一部 資料Ⅳ 2013年10月7日現在の境界標P16の周辺(現場写真) 資料Ⅴ 該当箇所の道路網図(町田市建設部道路用地課所管) -8- 資料Ⅵ 請求人の陳述原稿 (注)資料Ⅰ~Ⅵは、2013年10月21日に行った陳述の際に新たな証拠として提出された。 -9-
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