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News Release
2013年2月22日
報道各位
ラサール不動産投資顧問株式会社
「2013 年 グローバル不動産投資戦略」 調査レポートを発表
本日、記者説明会を開催
世界有数の不動産投資顧問会社、ラサール インベストメント マネージメント インク(本社: 米国イリノイ
州シカゴ、最高経営責任者:ジェフ・ジェイコブソン、 以下「ラサール」)は、今年も主要30か国における不動
産投資の展望「2013年 不動産投資戦略レポート」(19回目)を発表し、本日記者説明会を行いました。
「2013年 不動産投資戦略レポート」の概要を下記にお知らせいたします。
Ⅰ.投資展望
2013 年の投資トレンド
2013 年から 2014 年の不動産投資市場は安定稼働する不動産を対象とする投資家にとっては比較的
良好な環境になると見込まれます。さらに、投資適格債および借入金利に対する不動産の利回りスプレッ
ドは、引き続き魅力的な水準で推移するでしょう。こうした環境の下で、2013 年の投資に関連する論点は
以下の 5 つです。
1. 優良不動産を対象とする全てのコア投資向け資金を投下し切れるか?
ラサールの見解: 投資家は 2013 年に不動産がどの程度売却されるかという点に注意を払う必要が
あります。主要市場の稼働不動産を求める買い手は多数存在します。こうした買い手の資金量に対し
てどの程度の不動産が市場で売却されるかが問題となります。
2. コア投資家が対象とする投資範囲が、ニッチセクターや非主要都市まで拡大するか?
ラサールの見解: まず、優良不動産と非優良不動産の間に生じる価格の二極化は今後も存続する
と考えられます。このような価格ギャップには通常正当な理由があるからです。この中で、主要都市の
中でもテナント需要の拡大に応じてエリアが拡張する都市の周辺に立地する不動産の方が、低迷す
る非主要都市よりも優れた投資対象となります。
非主要都市が将来的に主要都市へと格上げされることは稀です。
3. トータルリターンを重視する投資家にとって、より魅力的なリスク・リターンのバランスを提供する投資
機会はどこにあるか?
ラサールの見解: 資本ギャップ戦略(例:メザニンローンへの投資)、改修や補修を行う再生・リポジ
ショニング/バリューアッド戦略(例:不動産の管理運営が不十分な不動産への投資)、そして案件数
は少ないものの、増床や開発戦略が挙げられます。
4. 影響度の大きいマクロ経済に関連するリスクは不動産市場にどのような影響を与えるか?
ラサールの見解: 投資戦略の選択による解決策はなく、投資家はコア戦略とコア戦略以外のバラン
スを適切に取ることによって対応するべきと考えます。
5. 現在の経済環境が変化し始める場合には、どの投資戦略が他をアウトパフォームするか?
ラサールの見解: インフレに追随するインカムを生み出す不動産をポートフォリオへ追加することが
賢明だと考えられます。また、コア戦略からコア・プラス戦略、バリューアッド戦略、成長戦略へ少しず
つシフトし始めることが有効でしょう。
コア投資の原則
以下のコア投資の原則は、2013 年のポートフォリオ運用を成功させるためのガイドラインだとラサール
は考えています。
z
不動産投資の本質的価値または適正価値を、時々の投資市場とファンダメンタルズに応じて修正し
た上で認識する。
z
不動産市場のシクリカル性は高いこと、また不動産ファンダメンタルズと資金フローが同様に変化す
ることはまれであることを認識する。
z
追加で取るリスクに見合った追加リターンを確保する必要があることを認識する。
z
ポートフォリオを構成する不動産が特定の市場やセクターに集中することを避け、投資対象の分散を
維持する。
z
全ての投資に対して、具体的なリスク指標を設定する。
Ⅱ.地域別の投資展望
2013 年の世界の GDP 成長率予測が最近下方修正されていますが、これは世界中の不動産に対する
テナントの需要に悪影響を及ぼします。この成長率予測に基づけば、2013 年にほとんどの先進国の不動
産市況が、若干の改善または横ばいとなるでしょう。一方で、ユーロ圏および米国が財政問題をコントロ
ールできる場合には、2014 年以降 GDP 予測を押し上げる効果が期待できます。
特に米国、カナダ、英国、ドイツ、日本のような資金の逃避先となる投資対象国では、GDP の低成長性
に対応して金利も低水準にあります。歴史上最低水準にある金利およびそれを長期間維持するような政
府の公約によって、これらの市場の不動産価格は押し上げられて、あるいは歪められています。不動産の
利回りはリスクフリーレートよりも高く魅力的ですが、絶対水準は過去最低またはそれに近い水準であり、
将来的には金利が必ず正常化に向けて上昇し、不動産利回りを押し上げるでしょう。
【アジア太平洋】
2013 年におけるアジア太平洋地域への有望な不動産投資機会は以下の 3 つです。
① コア投資
キャピタルリターンよりも安定的なインカムを選好する投資家にとっては、魅力的な投資機会が生じる
と予想されます。
② 不動産のリポジショニングまたは開発
コア不動産への投資家の需要増大や 2013 年に見込まれる市況回復によるリターンを享受することが
できます。
③ 徐々にリスク許容度を高めて投資すること
又、2013 年に想定される魅力的な投資分野を下記に挙げます。
1. 立地が最も優れ、強いインカムを生むコア不動産
・ 物流施設
中国、日本、シンガポールなど多くの国々において、安定稼働する近代的物流施設は適切な価格で
取得することができ、さらに安定的なインカムを生み出すと予想されます。オーストラリアでも物流施設、特
に、主要港や物流インフラに繋がっているものは魅力的です。この分野における期待リターンは 6%~
11%であり、中でも中国が最も高くなると予想されます。
・ 商業施設
商業施設への投資は依然として合理的ですが、立地の選定が重要であり、さらに売却案件は限られて
います。具体的には、シンガポールとオーストラリアの郊外のショッピングモール、中国の大都市および準
大都市における高級品主体の商業施設、日本の郊外地域が注目されます。期待リターンは 6%~8%で
す。
・ オフィス
オーストラリアでは、主要都市の中心地区における優良なオフィスは取得価格が比較的高くはなってい
ますが、それでも 8%~10%のリターンを生み出すことが期待されます。これらの市場では新規供給が概
して限定的であり、投資市場には厚みがあるため、投資家にとっては魅力的です。
2. リポジショニングやコア不動産の創出
・ オフィス
ラサールはオーストラリア、中国、シンガポールの B クラスまたは中心地区の周辺部にある不動産のリ
ポジショニングを推奨します。コア不動産の価格が急上昇し、僅かではあるものの、コア投資家は投資対
象範囲の拡大を許容し始めています。期待リターンは 10%~15%です。
・ 商業施設
オーストラリアでは、生活必需品を主体とするネイバーフッド型あるいはやや小規模のリージョナル型シ
ョッピングセンターの中に適切に運営管理されていない不動産が多数あります。これらを適切に管理運営
することによる期待リターンは 11%~15%です。
3. リスク許容度の引き上げ
・ ホテル
中国および日本において、運営管理が不十分な国内ブランドホテルのリポジショニングは魅力的であり、
その期待リターンは 11%~13%です。ソウルでは、主要な中心地区において、経年劣化が著しいビルを
ホテルへ用途変更することによって、13%以上のリターンが期待できます。
・ 住宅
住宅の開発では、様々な市場で魅力的なリターンが期待できます。具体的には、オーストラリア(都心
部)、香港(供給が不足するエリアにおける再開発)、日本(高級賃貸物件の分譲マンションへの転換)、
シンガポール(中流層向けエリアおよび高級住宅のエリア)などが挙げられます。期待リターンは 15%以
上です。
・ 物流施設
物流施設の開発は、物流ネットワークの近代化や拡大が進む市場において魅力的です。最も魅力的
な国は中国、日本、韓国であり、これらの市場における期待リターンは 12%~14%です。
4. コア不動産のような安定インカムを生む ニッチな不動産クラス
・ コア不動産のような安定インカム
一般的にはコア投資の対象とみなされていないものの、コア不動産のようなリターンを生み出す不動産
が存在します。具体的には、東京におけるフル稼働している B クラスのオフィス、さらにオーストラリア、日
本、シンガポール、韓国などの首都における 3 または 4 つ星のビジネスホテルなどが挙げられます。これ
らの不動産は、伝統的なコア不動産よりも取得価格が低く、同等以上のリターンが期待できますが、より積
極的な運営への関与が求められます。
・ 商業施設
オーストラリアの大型の物品を扱うショッピングセンターは魅力的です。景気の下落局面で不動産価格
は大幅に調整され、現在も回復していません。一部の商圏では人口が増加して消費者の所得も増えてお
り、商業施設がミスプライシングされていると考えられます。
・ ショッピングモール
シンガポールでは、優良なショッピングモールが割安な価格で売り出されているものの買い手が見つか
らない状態にあります。現金を要するまたはファンドの満期を控えている売り手は売却する必要に迫られ
ており、さらに価格を引き下げる可能性があります。
・ 複合施設の開発
中国における複合施設の開発は魅力的です。介護施設またはインターナショナル・スクールを付帯す
ることによって、増大する中流層の需要を捉えることが可能であり、また競合物件との差別化も可能です。
政府から土地を安く利用できる可能性もあります。
*「2013 年に想定される魅力的な投資分野」におけるリターンへの言及は、全て 5 年超のレバレッジなし
のトータルリターンです。
中国の安定的な中期見通し
今後 10 年間は、中国経済の成長ペースは鈍化すると予想されますが、それでもその他の殆どの国々
を上回る見通しです。長期的な市場見通しに基づくと、新規開発と既存物件のいずれも、今から優良な
不動産へ投資することによって、今後も中長期的に魅力的なリターンを得ることができるでしょう。将来の
経済発展へ向けて、中国政府が経済構造と領土問題のいずれに対してもバランスのとれた政策をとれば、
商用不動産と分譲住宅の両方に対して中長期的な需要が創出されるでしょう。また、増大する中流層か
らの需要が安定的に拡大し、オーストラリア、韓国および日本を含むアジア太平洋地域の他の主要諸国
の経済成長を持続させるものと予想されます。
【欧州】
欧州全体の経済状況は 2012 年も継続的に悪化し、2013 年も急速な回復は見込めません。財政危機
の本格的な解決はこれからです。不動産賃貸市場は、いくつかの国々では比較的に堅調ではあるものの、
その他の大半の国々においては脆弱な状態にあります。不動産のエクイティ投資家は、非コア不動産へ
の投資に対して従来にはないほど消極的になっており、デット投資家も新規融資を制限することを余儀な
くされています。このような複雑な情勢が、市場で起こっている本質的な変化を見えにくくしています。た
だし、実際には欧州中央銀行の措置の下で、ユーロ危機の解決へ向けたプロセスが僅かながらも進捗し
ていることにも留意する必要があります。
欧州における最良の投資機会には、以下が含まれます。
・ メザニンローン
低成長の欧州においては、信用が逼迫した状況が 2013 年中も継続することから、メザニンローンへの
投資は、最も魅力的なリスク調整後リターンをもたらすものと予想されます。ドイツと英国以外でこの投資
機会はまだ殆ど広がっていませんが、これら 2 つの国では明らかに増加しています。2013 年には数多く
の重要な投資案件が現れると予想されます。コア不動産に対するメザニン債の投資を行う場合には 8%
~10%のトータルリターンが予想され、非コア不動産ではより高いリターンが達成可能となります。
・ 各国の代表的都市における優良不動産
不動産ファンダメンタルズが停滞する非主要市場でさえも、代表的都市における優良不動産の利回り
の上昇(=不動産価格の下落)は限定的であり、価格のディスカウントが発生する可能性はほとんどありま
せん。ただし、例外があります。規模が大きい不動産の売却においては、苦境に陥ったドイツのオープン
エンド型ファンド、過剰なローンを提供した銀行、および償還を迎えるファンドから売却される物件です。
特に、不動産価格が 5 千万~1 億ユーロ(60 億円~120 億円相当)の大型物件に対しては、融資を抑制
しているほとんどのデット投資家にとっては規模が大きすぎ、一方で大型の政府系ファンドの投資対象に
は入らないため、買い手が不足しています。このような資金ギャップが投資機会となります。多くの清算中
のドイツのオープンエンド型ファンドによる強制売却は、ドイツ、フランス、オランダのオフィス市場におい
て発生しており、2013 年には更に増加するものと見込まれます。ただし、多くの不動産の簿価が依然とし
て割高な水準にあり、売却により損失が実現してしまうことが取引機会を限定するという一面もあります。ま
た、中心エリアの近辺にあって空室率がそれほど高くなく、多少の改修工事によってバリューアップできる
にもかかわらず十分な資本が投下されていない不動産には、リポジショニングの投資機会があります。こ
の投資の対象となる不動産は、主にロンドン、パリ、フランクフルト、ミュンヘン、ストックホルムのような大都
市において築年数が経過した不動産です。
・ ビジネス中心地区の辺縁
ビジネス中心地区の辺縁に位置する不動産には、異なる投資機会があります。テクノロジー産業は、個
人向け製品を手掛ける大手企業とその取引先企業を中心として引き続き成長するものと予想されます。こ
れらの企業は、過去 10 年間に現れた新興のインターネット関連企業よりも十分に成熟しています。これら
のテナントは、ビジネス地区として確立したエリアにおける優良不動産の中で、中規模の物件で利用に際
して柔軟性の高いオフィスを次々に賃借しています。ワイヤレス・テクノロジーの発展によって、利用に際
して建物の仕様から受ける制約が従来よりも少なくなり、このようなテナントにとっては、中心地区の優良
不動産よりも近郊の中規模物件は賃料が低めであることから魅力的です。最近の例として、グーグルがロ
ンドンのビジネス中心地区の外で 157,500 平方フィート(4,400 坪相当)のスペースを賃借しました。また、
欧州の銀行の新しい監督機関がフランクフルトまたはブリュッセルに置かれる予定で、オフィス需要が生じ
ます。このように、2013 年には具体的な投資機会が発生すると予想されます。
・ 商業施設
商業施設はディフェンシブ性を有しており、消費者の需要が停滞する中でも引き続きリスク回避的なコ
ア投資家が選好するセクターとなるでしょう。ただし、難点としては、現行の保有者に売却ニーズが乏しく、
2013 年の売買件数は 2012 年を下回ると予想されることです。ターゲットとすべき不動産は、大都市の主
要な通りに面した物件、または非主要都市ではあるが、その商圏の特性に適した有力物件です。また、フ
ランスやドイツなどの国々では、ショッピングセンターが優れた投資対象と考えられます。英国では、スー
パーマーケットまたは優良な郊外型ショッピングセンターがより魅力的です。期待リターンは 4%~7%で
す。
・ 成長投資
欧州における成長投資はほぼポーランドおよびトルコに限定されます。主な投資対象は、商業施設や
オフィスが集積し、賃貸市場として確立されたエリアです。
【北米】
2013 年の不動産投資環境は、2012 年と大きく変わらないと予想されます。経済成長率は低水準にとど
まり、不動産ファンメンタルズは緩やかに改善し、安定稼働する不動産に対してはエクイティとデットが比
較的に豊富に提供される見通しです。米国、カナダ、メキシコは、人口増加と潤沢なエネルギーを含む天
然資源の恩恵を受けて、特に欧州と比較して良好な状態にあります。
北米における最良の投資機会には、以下が含まれます。
<米国>
ラサールは、過去数年間に亘って推奨してきたディフェンシブ戦略に加えて、レバレッジを活用したイ
ンカム主体のコア投資を推奨します。加えて、コア不動産の価格が十分に上昇したことから、今後はより
高いリターンを期待できる投資へシフトすることを推奨します。さらに、現在、米国ではバリューアッド投資
を志向する投資家が不足しています。十分に稼働していない不動産や運営管理が不十分な不動産に対
する取得競争は限定的であり、このような不動産を検討する買い手は時間をかけて、徹底的な分析を基
に投資決定を行うことができます。なお、コア投資では、商業施設セクターおよび物流施設セクターをや
やオーバーウェイトすることを推奨します。
・ 商業施設
商業施設の魅力は高いインカムリターンにあります。ただし、留意点として、スーパーマーケット業界に
おける変化、e-コマースの市場シェアの上昇、郊外型大規模店舗の減少などの構造的変化などを念頭
に置く必要があります。この中で主なターゲットは、優良なショピングセンター、Whole Foods や Wegmans
のような新業態の食料品店を核テナントとするショッピングセンターであると考えられます。その他に、ニュ
ーヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、マイアミなどの観光客が多い都市においては、ニッチではあるものの、主
要な通りに面した商業施設が魅力的です。
・ 物流施設
物流施設もややオーバーウェイトすべきセクターです。高い不動産利回りが魅力的です。さらに、世界
的な景気後退後の賃料と稼働率の大幅な下落が終息し、これから回復する状態にあります。基本的には
大規模な物流施設が推奨されますが、今後 1 年〜2 年は小規模な物流施設も住宅市場が回復する地域
の湾岸エリアにあるものは良好なパフォーマンスを生むと予想されます。
・ 賃貸住宅およびビジネス中心地区のオフィス
これらの不動産は、賃貸市況が健全であり、その恩恵を受けることが可能です。留意すべき点として、
各都市のトップクラスの優良物件(トロフィー物件)に対しては慎重になる必要があります。賃貸住宅に関
しては、都心や中心部に近い物件は非常に割高となっており、郊外の交通利便性の高いエリアにある物
件が最も割安です。
・ 郊外のオフィス
全般的には、郊外のオフィスは明らかにアンダーウェイトすべきと考えられます。現在、テナントの需要
は郊外よりも都心へ向いています。ただし、例外として、タウンセンターという交通インフラが充実した徒歩
圏内にある複合施設は魅力的です。テナントおよび通勤者にとっては、自動車通勤を前提とした郊外型
オフィスよりも便利です。また、診療所などの医療サービス系テナントを主体とするメディカルオフィスは引
き続き有望なニッチセクターです。医療機関が郊外の施設を拡充する中で、新たな投資機会が生まれる
でしょう。
・ オフィスのディストレス案件
オフィスの保有者または不動産自体がディストレスとなった案件は魅力的なリターンをもたらします。売
却価格が十分に低く、取得に際する価格競争は激しくありません。コア戦略とは反対に、オフィスの高リタ
ーン投資の機会は郊外エリアで発生するでしょう。ディストレス案件は短期的に増加する可能性は低いも
のの、ラサールは現在から計画的に投資する準備を進めるべきと考えています。主な投資対象としては、
郊外のタウンセンター、都心の複合施設、物流施設、ビジネス中心地区のオフィスなどが挙げられます。
2005 年~2007 年に発生した不動産バブルの崩壊から生まれるディストレス機会は、現在の低金利と潤
沢なデッド性資金を背景として抑制されています。それでも、手元流動性が枯渇した不動産保有者から
放出される案件は多数存在しています。
<カナダ>
コア投資としては、新規参入する米系小売企業をテナントとするショッピングセンター、およびカナダ西
部の物流施設をオーバーウェイトすることを推奨します。また、高リターン投資の中では、郊外の交通機関
が集中するエリアにある優良なオフィス物件、都心にある商業スペースを付帯した賃貸住宅開発が最も魅
力的です。
<メキシコ>
ラサールが最も推奨するコア投資は、経済が成長している地域(主に中央メキシコ)における物流施設
です。次に、メキシコシティのオフィス、主要都市の商業施設です。自国内の機関投資家が初めてコア不
動産に投資し始めており、投資需要は増大するものと予想されます。高リターン投資の中で魅力的な投
資は、生活必需品や日用品向けの小規模スペースを少なく抑えた商業施設の開発、経済が成長してい
る地域における中所得者層向け住宅の開発などが挙げられます。また、カボ・サン・ルーカス、カンクン、
プエルト・バジャルタのような機関投資家が投資対象とする都市にあり、実績のあるブランドで運営されて
いるホテルも魅力的です。
Ⅲ.最後に
今後 2 年間あるいは 3 年間は、不動産投資家は世界の大半の主要な不動産市場において、引き続き
低金利、低インフレおよび緩やかな経済成長という課題に直面するでしょう。世界の先進諸国は、一連の
金融危機および繰り返し起こる景気後退(一部では現在も進行中)からの本格的な回復にはほど遠い状
況です。新興諸国における経済の回復ペースは相対的には速いものの、中国、ブラジル、インドその他
の国々における成長軌道は過去十年間に比べてかなり低くなると考えられます。このような中、不動産は
他の資産クラスと同様に、長引く低成長に適応する必要があります。
ラサール不動産投資顧問について
世界最大の総合不動産サービス企業であるジョーンズ ラング ラサール グループ傘下にある、世界有数の不動産
投資顧問会社です。世界規模で、私募、公募の不動産投資活動をしており、総運用資産残高は約 470 億ドルです
(2012 年 3 月末現在)。私募、公募、デット、エクイティのあらゆる不動産投資活動を世界中の不動産キャピタル
マーケット、オペレーティングマーケットで展開しています。主要顧客は、世界の公的年金基金、企業年金基金、
保険会社、政府関連、その他基金(大学基金など)、個人投資家などです。