肺分画症手術症例の検討

B呼外会誌 22巻3号(2008年4月)
274(522)
P30−06
重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術後
に発症したクリーゼ症例の検討
P30−07
各種胸腺疾患に適した手術アプローチ選
択の検討
金沢大学医学部附属病院心肺・総合外科
東北大学加齢医学研究所呼吸器再建碩究分野
吉賑周平,小田誠,松本勲.今川健久,斉藤健一郎,谷内毅,
渡邊剛
松村輔二,
国的1重症筋無力症(MG)に対する拡大胸腺摘畠術後にクリーゼを発症し
重症簸無力症(MG〉,掬腺腫など胸腺疾患に対して胸腔鏡手術の導入から5年
松田安史,
佐渡哲,遠藤千顕,星川康,桜田晃,
菅原崇史 岡田克典 近藤丘
野騰雅史,
た症例の臨床的背景を検討した.【対象と方法】1983年1月から20⑪7年12月まで
が経過したので,手術アプローチ選択について検討した.【対象】02年9月∼07
に,当科においてMGに対し拡大掬腺摘鐵術を施行されたlig例を対象とした.
年8月の胸腺切線128例(MG75例,胸腺腫55例,胸腺嚢胞10例,成熟奇形腫4例,
術後にクリーゼを発症した15例(A群).発症しなかった104例(B群/の爾群
掬腺癌尋例,悪性リンパ腫2例,悪牲胚細胞腫瘍2舞,その飽4例)を対象とした、
を比較検討した,【結果1牲別はA群で男/女が7/8例,B群では35/69例
【疾患と手術手法11)MG(含小型胸腺腫合儒)に鏡観下手衛(画側掬腔アプ
(p耳α49)、手術時隼齢はA群で平均鯉(22∼80)歳B群で44,0(1ユ∼73)
ローチ,胸骨つり上げ併用)で拡大胸腺摘出術を施行した.2)胸腺嚢胞,小
歳(p1027〉.Osserman分類ではAl洋で眼筋型/全身型が1/14例,B群で
型掬腺腫,成熟奇形腫に鏡視下手術(片翻鞠腔アプローチ〉で胸腺摘出/片葉
2i/83例(p#(L37).抗AchR抗体はA群ではi4例(93.3%/,B群では87擁
切除術を施行した.鏡視下手術の適応腫瘍は,左碗頭静脈に接せず,径50mm
(83.7%)で陽性(p皿α55).胸腺鯉織はA群において過形成/胸線腫/雀常騰
未満,周騒腰器浸潤所見のないこと.3)それ以外の旛腺悪性腫瘍などは開胸
腺が5/9/i例,B群においては妬/30/28例(p1O、io).術前の抗コリンエステラ
手術(胸骨正申/胸骨L字切開)を選択した,1績果I MG66例(88%)に鏡
ーゼ薬の投薬量はi田当たりA群で平均1560(O∼300)mg,B群で平均113,7
視下拡大鞠腺摘出術を行い,開胸手術移行畦例(出煎2鰐,癒着2擁),胸腺腫合
(0∼240)mg(p漏Oっ2)とA群で有童に多かった,衛構にステロイド(PSL)
併21携は全て鏡視下切除可能(合併切除:肺尋例,心膜2例)であった.片側掬
投与されていた2例,壷漿交換を施行された2例はいずれもA群のみであった.
腔アプローチは.胸腺嚢胞10例,小型胸腺腫7例,成熟奇形腫3例など21例に行
A群においては4例を除いて衛後にPSLは中燕可能であった.A群において人
い,胸腺片葉切除衛18例,鵬腺摘出術3例を施行した.経験により手術体位を
工呼吸器管理を必要とした症例はio例であり,その期間は平均27.3(1∼240)
側臥位から仰臥位に変更した.開鵬アプローチは,胸腺腫27例,MG9例,胸
段間であった,手術からクリーゼが発症するまでの期問は15.0(1∼90)日で
腺癌4例,悪姓リンパ腫2桝,悪挫胚綱胞腫蕩2例など41例に適応し,拡大胸腺
あった.1考察及び結語】衛前の蝦当たりの抗コリンエステラーゼ薬の投与量
摘出徳11例,胸腺摘出術25例,掬腺片葉摘出術5例を行い,隣接朦器合併切除
の多い症擁,掬腺腫合欝症例,術筋PSLや錘1漿交換を必要とする重症例は術
を15例(縢15鰐,心膜12例,大撫管6例)に施行した、1考察1胸腺疾患に対す
後クリーゼを発症する傾1鰍こあると考えられた.また眼筋型でも術後クリーゼ
る基本的手術アブローチは胸骨正中窃開であるが,胸腺疾患の2/3以上は鏡視
を発症する扉能惟があり,周術期には十分に淫意する必要があると考えられた.
下に切除可能(MG85%.胸腺腫50%,胸腺嚢胞100%,成熟奇形腫75%)で
ある.
P30−08
肺分爾症手術症例の検討
土1甫協構病院呼吸器夕稗斗
P30−09
肺動静脈痩5例の治療経験
1昭和大学横浜市北部病院呼吸器センター,
一外科
2昭和大学医学部第
稲垣雅春,小貫’琢哉,井口けさノk
佐藤庸子i,北晃明彦!,神尾義人},鈴木浩介1,門倉光隆2
肺分画症とは,正常肺と分離する肺組織で,大循環系から慮液
の供給を受けている疾患と定義される.!989年から1997年まで
に,当科で手衛を施行した肺葉内肺分爾症の5例を検討した、
性別は男性3例,女性2例.年齢は10歳から56歳,平均29歳.発
見動機は検診2例,胸痛1例,繰り返す肺炎1例,膝化膿症1例.
部位は右下葉が3例,左下葉が2例.全例術前診断で,異常動脈
起始部は胸部下行大動脈が3例,腹部大動脈が2例.本数はま本
が3例,2本が1例,3本が1例.還流は肺静脈へが4例,下大静脈
へが1例.手術アプローチは後側方開胸が2例.前側方拶跨胸が1
例,側方開胸が1例,VATSが1例.術式は部分切除1例,
S9+io区域切除1例,下葉切除3例.手術時問は117から3i8分,
平均199分,出血量は45から355m1,平均143m1.術後経過は全
例良好であった.
肺動静脈疲は先天性の肺毛細搬管形成不全によって動脈,静脈
問に短絡を起こす疾患であり,本邦ではその20%にRendu−
Osler−Weber病を合併するといわれている.シャントによる諸
症状,痩の破裂や脳膿瘍などの合併症を引き起こすことがある
ため治療を要するが,外科的切除術とカテーテル塞栓術があり,
昨今ではカテーテル治療が主流となりつつある.当院で2005年
4月から2007年11月に経験した肺動静脈痩5例の平均年齢は46.6
歳,男性3例,女性2例,発見動機は胸部X線異常発見が3例,
呼吸園難自覚が1例.他疾患手術聴発兇が三例であった.両側多
発が4例,単発が!例,明らかなRendu◎sier−Weber病合併は1
例,非合併は准例であった.治療はカテーテルによる塞栓術が3
例,手術が2例であり,治療による合併症は認めなかった.治
療後SpO2あるいは呼吸困難感改善が4例.変化なしが1例であ
った.肺動静脈痩の治療経験について,文献的考察を含め報告
する.