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1 熊本中央病院 心臓血管外科
2 福井大学病院 第二外科
3 京都大学病院 心臓血管外科
中津太郎1、田村暢成1、柳茂樹1、許敞一1、腰地孝昭2、坂田隆造3

本邦において高齢化社会が進む中で80歳以
上の超高齢者に対するCABG症例の数は増
加しつつある。

これらの超高齢者に対するCABGを行う際に
内胸動脈を用いることで遠隔期成績を改善
することができるか否かを検討することを本
研究の目的とした。

対象
 163 人 (1988~2011:80歳以上の単独CABG)
 Non ITA群
 ITA群

28人
135人
追跡期間
 4.7±3.7年

評価
 全死亡、 心臓関連死、MACCE
背景
Non ITAs
N=28
ITAs
N=135
P Value
年齢
82.9±2.0
82.0±2.0
0.038
男性
18 (64.3%)
76 (56.3%)
0.436
高血圧
20 (74.1%)
95 (70.9%)
0.739
高脂血症
4 (14.8%)
51 (38.1%)
0.025
糖尿病
9 (33.3%)
35 (26.1%)
0.443
脳血管障害の既往
4 (14.3%)
20 (14.8%)
1.000
閉塞性動脈硬化症
4 (14.3%)
14 (10.4%)
0.517
心筋梗塞の既往
10 (35.7%)
41 (30.4%)
0.579
人工透析症例
5 (17.9%)
4 (3.0%)
0.008
Non ITAs
ITAs
P Value
21 (75%)
21 (15.6%)
<0.001
IABP
2 (7.1%)
2 (1.5%)
0.137
AMI
7 (25.0%)
5 (3.7%)
0.001
CABG歴
4 (14.3%)
3 (2.2%)
0.017
1枝病変
0
5 (3.7%)
2枝病変
11 (39.3%)
35 (25.9%)
3枝病変
17 (60.7%)
95 (70.4%)
左主幹部病変
19 (67.9%)
52 (38.5%)
0.040
CCS
3.36±1.00
2.54±1.15
0.002
EF < 40
1 (6.3%)
10 (8.7%)
EF 40-60
7 (44%)
37 (32%)
EF > 60
8 (50%)
68 (59%)
49.7±7.6
49.5±7.2
緊急症例
LVDd
0.244
0.650
0.974
Non ITA
吻合数 3.0±0.86
Cx 23
SVG
RCA16
SVG
GEA
23
15
1
ITA N=135
N=28
LAD 27
SVG 25
RA
1
GEA 1
Patency 98.8%
吻合数 2.88±0.97
Cx 101
SVG
RITA
LITA
GEA
RA
RCA 91
SVG
GEA
RITA
RA
78
11
7
3
2
78
9
2
2
LAD 134
LITA
RITA
RA
SVG
124
8
1
1
Patency 97.4%
CABG arrest
CABG Vf
On Pump beating CABG
OPCAB
手術時間
体外循環時間
大動脈遮断時間
吻合枝数
Non ITAs
26 (93%)
0
1 (3.6%)
1 (3.0%)
307±141
140±58
80±31
3.0±0.86
ITAs
62 (46%)
3 (2.2%)
23 (17%)
47 (35%)
306±82
122±46
72±28
2.88±0.97
P value
<0.001
0.973
0.120
0.232
0.520
入院死亡
PMI
脳梗塞
縦隔炎
術後再開胸
Non ITAs
1 (3.6%)
2 (7.1%)
3 (10.7%)
1 (3.6%)
1 (3.6%)
ITAs
6 (4.8%)
1 (0.7%)
3 (2.2%)
2 (1.5%)
6 (4.4%)
P value
1.000
0.077
0.064
0.434
1.000
Non ITAs
ITAs
P=0.288
Years
0
3
5
7
10
13
Non ITAs
27
16
13
7
3
1
ITAs
129
81
53
33
14
3
Non ITAs
ITAs
P=0.353
Years
0
3
5
7
10
13
Non ITAs
27
16
13
7
3
1
ITAs
129
81
53
33
14
3
Non ITAs
ITAs
P=0.610
Years
0
3
5
7
10
13
Non ITAs
23
14
12
7
3
1
ITAs
129
68
41
25
11
3

EF>60
糖尿病
OR
0.469
1.964
95% CI
0.259~0.849
1.103~3.497
p value
0.012
0.022
喫煙歴
1.811
1.007~3.259
0.047
Cox proportional hazard analysisにて検討した項目
 年齢、性別、肥満、病変数、左主幹部病変、CCS、EF、OMI、
高血圧、高脂血症、糖尿病、脳血管障害既往、PVD、人工透析緊急手術、
IABP、AMI、CABG既往、RA使用、GEA使用、ITA使用、BITA、
心停止下CABG、Vf下CABG、ONPBCAB、OPCAB、吻合枝数、手術時間、
体外循環時間、大動脈遮断時間、PMI、脳梗塞、縦隔炎、再開胸

高齢、CCS、LMT病変、透析症例、緊急手術
等の点でNon ITA群はITA群と比較して患者
背景が悪いにも関わらず、遠隔期の生存率
において二群間に有意差は認めなかった

80歳以上の患者は長期的な生存が期待でき
ず、ITAによる長期成績の改善の恩恵を受け
にくい可能性がある
 Non ITA
 ITA
66.0%(5 年)、20.1%(10年)
67.6%(5 年)、37.2%(10年)
J Am Coll Cardiol. 2004 ;44(11):2149-56

SVGのLADへのBypassの10年開存率は69%ある

80歳以上の高齢患者に対してITAを用いなく
ても、長期予後は悪化しなかった。

80歳以上の高齢患者で緊急手術のようなハ
イリスク症例の場合には、ITAを使用せずに
手術を行うことも許容されるものと考えられる。