理数物理 学習指導案 - 岡山県立倉敷天城高等学校

理数物理
岡山県立倉敷天城高等学校
3年R組
学習指導案
7名(校内科目名「標準 理数物理」)
使用教室(物理第2教室)
単
元
(題材)
目
指
計
標
導
画
指 導 上
の 立 場
指導者
教員
,
ネイティヴ教員
◎円運動と万有引力
○物理学の最先端で行わ れている研究 についての 最新の知見を ,生涯にわ たって科学雑誌な
ど様々なメディアから積極的に得ようとする態度を身に付ける。【SSH研究仮説】
(関心・意欲・態度)
○円運動,単振動,万有 引力などに関連する力学 現象について,物理の原 理・法則に基づい
て解析するための思考力・判断力 を身に付ける。
(思考・判断)
○円運動,単振動,万有 引力などに関連する力学 現象について,物理の原 理・法則に基づい
て,他者にわかりやすく 表現したり実験を計画・遂行したり する力を身に付ける。
(観察・実験の技能・表現)
○円運動,単振動,万有引力などに関連する物理の原理・法則を理解する。
(知識・理解)
第1次
第2次
第3次
第4次
等速円運動 ……………………………………………………… …10時間
慣性力 ………………………………………… …………………… 2時間
単振動 …………………………………… ………………………… 8時間
万有引力 ……………………………………………… …………… 8時間(本時)
◎単元観(教材観)
物理Ⅱの力学に対応 する単元で,等速円運動 ,慣性力,単振動,万有 引力を扱う。 万有
引力では, ケプラ ーの法 則,万有引 力の法 則を学 習した後, 惑星の 運動や 人工衛星の 運動
について理 解を深 める。 本時は,こ の単元 のまと めとし て実 施する 。 高等 学校物理の この
単元での物 体(天 体)の 扱い は,大 きさの 無視で きる「質点 」 であ る。 本 時では,単 元の
まとめとし て,物 体(天 体)を大き さのあ るもの として扱っ たとき の物理 現象を,木 星の
衛星Europa(エウロパ)の海を題材とした TIME誌の記事を基に扱う。
◎生徒・学級の実態(学級観)
理数科3年次生の 理数物理については,「発展理数物理」と「標準理数物理」に分かれて
履修させて いる。 生徒の 学習意欲は 概ね高 く,授 業にも積極 的に参 加して いる。 一部 ,英
語を取り入れた授業にも抵抗なく取り組んでいる。
◎指導・支援上の基本方針や留意点(指導観)
高等学校物理のこの単元での物体(天体)の扱いは,大きさの無視できる「質点」であ
る。本時では,単元のまとめとして物体(天体)を大きさのあるものとして扱ったときの
物理現象を,木星の衛星 Europa(エウロパ)の海を題材とした TIME誌の記事を基に扱う。
この単元の学習を通して,生涯にわたって科学研究についての関心を持ち続け ,最先端の
知見を様々なメディアから得ようとする態度を養うことを目標と する。【SSH研究仮説】
本 時 の 授 業 の 展 開 は SSH研 究 開 発 の 一 環 と し て 本 校 が 開 発 し た 科 学 英 語 読 解 メ ソ ッ ド
PaReSK(パレスク)の理念に基づいて行う。
なお,PaReSK(パレ スク )については,別紙 (平成24年度研究開発 実施報告書の抜粋)
を参照されたい。
本
時
案 (第4次 第8時)
万有引力にかかわる自然現象についての最新の知見を科学雑誌などから積極的に得よ
うとする態度を身に付ける。(関心・意欲・態度)
2 天体が球である理由,潮汐力,潮汐加熱が万有引力にかかわる現象として考察すること
ができる。(思考・判断)
学習活動・内容
教師の指導・支援
留意事項・評価規準
高等 学校 物 理で の 万有 引 力の
Time誌の記事の図を概観し,木 ○留意事項
法則が,物体を質点とし て扱っ 星,その衛星であるEuropaで生じ
非 連 続 テ キ ス ト (
ていることを理解すると ともに て い る 現 象 に つ い て 学 習 す る こ
non-continuous text)である図
, 本 時 の 学 習 内 容 で あ る Europa とを知らせる。
と, その キ ャプ シ ョン に 含ま
の海で扱う物理現象が大 きさの
また,本時の目的は天体の物理
れて いる キ ーワ ー ドを 頼 りに
ある物体としての扱いで あるこ 現象を通して物理の原理・法則の
読み進める。
とを理解する。
理解を深めることを目的として
また,正確な訳よりも ,図や いるので,正確な訳よりも大意を
キーワードを頼りに大意 をつか つ か む こ と が 大 切 で あ る こ と を
むことが大切であること を理解 知らせる。
する。
本 時 の
(学習)
目
標
導
入
1
パラグラフもしくは 図の キャ
プションごとに書かれて いる内
容を理解する。ネイティ ヴ教員
が音読する記事について ,キー
ワード並びにボキャブラ リーを
確認した上で大意を把握 するよ
う努める。
1
MY DAD’S BIGGER THAN
YOUR DAD
木 星 と Europa,地 球 と 月 に つ
い て ,そ れ ら の 大 き さ と 距 離
について概観する。
2
GRAVITATION
補 助 教 材 University Physics
の p.404 に 掲 載 さ れ て い る 木
星 の 衛 星 Amaltheaの 形 が 球 形
でない理由を理解する。
展
記 事 を ネ イ テ ィ ヴ 教 員 が 音 ○留意事項
読し,その概要について,必要
日本語についての説 明は,
事項を補いながら教員Aが説
逐語 訳で は なく , 大意 を 伝え
明する。
ることとする。
□ 評 価 に つ い て は ,1 単 位 時 間
を通して次の2点について
1 前 者 の DADと 後 者 の DADが
行う。
それぞれ何を示すか発問を行
う。
◆総括的評価
天体におけ る物理現 象など
につ いて の 最新 の 知識 を 科学
雑誌 など か ら積 極 的に 得 よう
2 質量が小さな天体は部分と
とする。
部 分 同 士 の 引 力 が 小 さ く 球 形 (関心・意欲・態度)
にならないことを知らせる。 [発問,観察]
◆総括的評価
Paragraph 1
3 “to get straight”が「はっきり
天体が球である理由 ,潮汐
Europa に 魚 が い る と 言 う
とさせておく」と言う意味であ
力, 潮汐 加 熱が 万 有引 力 にか
こ と も ,い な い と 言 う こ と も
ることを伝える。
かわ る現 象 とし て 考察 す るこ
分かっていないことを理解
とができる。
する。
(思考・判断)
[発問]
4 Ocean
4 地球の海で最も深いところ
Europa の 表 面 を 取 り 囲 む
で も お よ そ 10kmで あ る こ と を
海 の 深 さ が 160kmで , 内 部 か
知らせ,Europaの 海 が いかに深 ◇形成的評価
らの熱によって暖められて
いものであるか気付かせる。
専門用語,英単語, 英文が
いることを読み取る。
理解 でき て いる か どう か ,適
宜発 問を 行 った り ,パ フ ォー
マン スを し たり し なが ら 理解
5 Paragraph 2
5 Europaの 海 に は , 生 命 に と
を促す。
生命が存在するためには,
っ て 必 要 な 塩 や 有 機 化 合 物 が (知識・理解)
塩と有機化合物が必要であ
あるかどうか今まで分かって
[発問]
ることを知る。
いなかったことを知らせる。
3
開
6
Paragraph 3
6 “a soup of life”「 生 命 の ス ー
Europa の 海 が ,「 生 命 の ス
プ」が具体的にはどのような
ー プ 」で あ る こ と が 観 測 か ら
ものかについて理解させる。
分かってきたことを知る。
7
7 衛星同士の引力によって
Interior
Europa の 表 面 が 引 っ 張 り 上 げ
Europaの 内 部 が , 他 の 衛 星
られることを伝える。
の影響による潮汐を 原因 とす
る「潮汐加熱」で暖 めら れて
いることを知る。
7
Tide
7 地球を質点と考えると,地球 ○ 留 意 事 項
月が地球の周りを回ってい
地球の潮汐を例に, 潮汐が
も地球と月の共通の重心の周
りを回っており,遠心力と万有 る と い う 感 覚 が ぬ ぐ え な い が ,
どのような原理で生 じる かに
引力がつり合っていることを 地 球 も 共 通 の 重 心 の 周 り を 回
ついて理解する。海 洋の みな
確認する。しかしながら,地球 っ て い る た め ,遠 心 力 が 働 い て
らず,固体地球の部 分も 潮汐
を大きさのある物体と考える い る こ と を し っ か り と 確 認 す
の影響を受けること を理 解す
と,月に近い表面は月からの引 る 。
る。
力の方が大きく,逆に月から遠
い表面は遠心力の方が大きく
なることを確認する。そのため
に,地球の形が球形ではなく,
ラグビーボールのようになる
ことを理解させる。
8
8 イ オ( Io)や Europaか ら 噴 出
A Window into Europa’s
しているものが何なのか想像
画面の図が,惑星探 査機に
させる。
よる写真ではなく, 科学 的な
証拠に基づいてアー ティ スト
が描いた絵であるこ とを 理解
する。
9
9 硫黄の残渣が存在するのが
Sulfur Residue
Europaの hemisphere( 半 球 )で
Europa の 表 面 の 硫 黄 の 残
あることが何を意味している
渣 が ,イ オ の 火 山 の 噴 火 に よ
かについて考えさせる。
って運ばれてきたものであ
ることを知る。
10
Ice Shell
10 亀 裂 の 原 因 が 潮 汐 で あ る こ
とを理解させる。
Europa の 表 面 を 覆 っ て い
る 氷 に ,潮 汐 力 が 原 因 と な っ
てできた亀裂が放射状に伸
びていることを理解する。
11
Geysers
11 氷 に で き て い る 亀 裂 が 表 面
氷の下の水が泡だっ て,と
の物質を下にある海に流し込
きおり氷の亀裂から 間欠 泉の
む役割をしていることを理解
させる。
ように噴出すること を知 る。
また,この亀裂を通 って 氷の
表面の物質や化合物 が逆 流し
て海に流れ込むことを知る。
12
Paragraph 4
12 万 有 引 力 ( 潮 汐 力 ) の 役 割
海が暖かく保たれて いる要
が,海を暖かく保っているこ
因が,万有引力を原 因と する
とと,氷の亀裂を生じさせて
いることであることを再確認
潮汐力であること, 大気 中に
する。
ナトリウムの痕跡が ある こと
が観測から分かった こと を理
解する。さらに,硫 酸マ グネ
シウムのみならず, 塩化 ナト
リウムも存在してい るこ とが
明らかになった ことを知る。
これらの物質が,氷 の亀裂
を通って海に流れ込 むこ とを
理解する。
13
ま
と
め
Paragraph 5
13 こ の 記 事 の ま と め と し て ,
有機化合物,塩,暖 かさ,
生命が存在するであろうとす
水がそろって,生命 があ るで
る根拠が何なのかについて考
あろうことが想像で きる こと
えさせる。
を理解する。
万有引力が,天体の様 々な物
様々な物理現象が,物理の原理 ○留意事項
理現象にかかわっている ことを や 法 則 を 適 用 す る こ と に よ っ て
生涯にわったて科学の 最先端
理解する。
理解できることを知らせる。
で行われていることに関 心を持
ち続けるよう促す。
実験準備
参考資料
・ 教 科 書 「 改 訂 高 等 学 校 物 理 Ⅱ 」( 数 研 出 版 ) pp.60-68
・TIME “Water World A deep ocean on a distant moon may have all the right ingredients for life ”
(April1,2013)
・“University Physics”(Addison-Wesley)p.404