大学入試ワンポイント講座~数学~ - k2kajiura

大学入試ワンポイント講座~数学~
1,
2 次関数の最大・最小
2,
3 次関数の最大・最小
3,
面積計算
4,
2 次関数の利用
文責 梶浦一毅
1,
2 次関数の最大・最小
2 次関数の最大・最小問題は,軸の位置での以下の 5 つの場合分けに尽きる.
(a) (範囲の右端)<(軸)
(b) (範囲の中央)<(軸)≦(範囲の右端)
このとき
このとき
このとき
最大は左端, 最小は右端
最大は左端, 最小は頂点
最大は両端, 最小は頂点
(d) (範囲の左端)≦(軸)<(範囲の中央)
(e) (軸)<(範囲の左端)
このとき
このとき
最大は右端, 最小は頂点
最大は右端, 最小は左端
(c)(軸)=(範囲の中央)
*上記は 2 次の項の係数が正の場合である. 2 次の項の係数が負の場合は最大最小のとり方がすべて逆である.
例題 a を定数とするとき,2 次関数y = x 2 − 2ax + 2a2 について, 区間 0≦x≦2 におけるこの関数の最大値 M(a)と最小値
m(a)を求めよ.
[宇都宮大]
2
2, 3 次関数の最大・最小
微分して,増減を調べ, 極大・極小を見つけたのち, 与えられた範囲内で最大最小を求める.
ポイントとなるのは, 範囲の両端と極大極小の比較である.
*極大・極小は
d
dx
f(x) = 0 となる点である.
例題 曲線 y = x 2 と直線 y = 2x + t ( −1 < 𝑡 < 1 ) の 2 つの交点を A,B とし, 点( 0 , 1 ) を C とする.
三角形 ABC の面積の 2 乗を S(t)とおく.
(1) S(t)を求めよ.
(2) S(t)の増減を調べ, S(t)の最大値とそのときの t の値を求めよ.
[03 大阪教育大]
3
3,面積計算
3.1
3.2
放物線と直線に囲まれた面積
f x , g x を次のようにする. (a, b, c, d, e は実数, a ≠ 0)
2 つの放物線に囲まれた面積
f x , g x を次のようにする. (a~f は実数, a, d ≠ 0)
2
f x = ax + bx + c
f x = ax 2 + bx + c
g x = dx + e
g x = dx 2 + ex + f
また,f(x) と g(x) の 2 つの交点の x 座標をα, β (α < 𝛽) と
また,f(x) と g(x) の 2 つの交点の x 座標をα, β (α < 𝛽) と
する.
する.
このとき, 放物線と直線に囲まれた面積 S は,
S=
3.3
a
β−α
6
このとき, 放物線と放物線に囲まれた面積 S は,
3
S=
a−d
β−α
6
3
放物線上の 2 点における接線と放物線が囲む面積
f x を次のようにする. (a, b, c は実数, a ≠ 0)
f x = ax 2 + bx + c
また,2 つの接点の x 座標をα, β (α < 𝛽) とする.
このとき, 放物線上の上記の 2 接点における接線と放物
線が囲む面積 S は,
S=
a
β−α
12
3
例題 放物線 y = x 2 − 4x + 3 を C とする.C 上の点( 0 , 3 ) と( 6 , 15 ) における接線をそれぞれ L1 , L2 とするとき, 次の
ものを求めよ.
(1) L1 , L2 の方程式
(2) C, L1 , L2 で囲まれる面積
[群馬大]
4
4, 2 次関数の利用
最大・最小を求めたい関数の中に 2 次関数が現れた場合, それ以外の部分が定数の演算であれば,
2 次関数の最大・最小問題に問題のすり替えができる.
また, 今回は扱わないが三角関数, 指数・対数関数, ベクトルの分野でも 2 次関数の利用がよく見られる.
例題 座標平面上で, 点(1,2)を通り傾き a の直線と放物線 y = x 2 によって囲まれる部分の面積を S(a)とする.
a が0 ≤ a ≤ 6 の範囲を変化するとき, S(a)を最小にするような a の値を求めよ.
[10 京都大]
5
補充問題
問題 1
関数 f x = x 2 − 2k k + 1 x + 1 は−2 ≤ f 1 ≤ 2 を満たしているという. ただし k は実数.
(1) k の値の範囲を求めよ.
(2) 0 ≤ x ≤ 4における f(x)の最大値を M とするとき, M を k の式で表せ.
(3) M の最小値を求めよ.
[06 北海学園大]
問題 2
区間0 ≤ x ≤ 1 において, 関数f x = 3x 3 − k 2 x + 2 の最大値と最小値を求めよ. ただし, k > 0 とする.
[93 岩手大]
問題 3
放物線 y = 3x x − 2 と直線 x = a , x = a + 1 および x 軸で囲まれる部分の面積を S(a)とする.
a が0 ≤ a ≤ 2 の範囲を動くとき, S(a)の最大値とそのときの a の値を求めよ.
[02 東京都立大]
問題 4
x の関数 f(x)=x 2 + x − 3を考える。
(1) 点(t , f(t))における関数 f(x)の接線を求めよ.
(2) 関数 f(x) の接線のうち、点 (−2, −5) を通る接線を求めよ.
(3) (ⅱ)で求めた2つの接線の, 曲線 y=f(x)との2つの接点を通る直線を L とする.
直線 L と曲線 y=f(x)とで囲まれる図形の面積を求めよ.
(4) 曲線 y=f(x)と(ⅱ)で求めた 2 本の接線で囲まれた図形の面積を求めよ.
(5) (ⅲ)で求めた面積をS1 , (ⅳ)で求めた面積をS2 として、S1 ∶ S2 を求めよ.
[オリジナル問題]
問題 5
C1 , C2 をそれぞれ次の 2 次関数で表わされるグラフとする.
1
C1
: y = − x2 + x
C2
: y = x 2 − 2x
2
このとき, C1 とC2 で囲まれた図形の面積を求めよ。
[オリジナル問題]
6
1
軸はk = − 2 だから
補充問題解答
問題 1
−2 ≤ k ≤ −1 , 0 ≤ k ≤ 1
の範囲で M はk = −2 , 1で最小値 1 をとる.
(1)
f x = x 2 − 2k k + 1 x + 1
より, f(1)=−2k 2 − 2k + 2
与えられた条件は
(*)
−2 ≤ f 1 ≤ 2
(*)の左側の不等式により
−2k 2 − 2k + 2 ≥ −2
k2 + k − 2 ≤ 0
(k − 1)(k + 2) ≤ 0
−2 ≤ k ≤ 1
…①
(*)の右側の不等式により
−2 ≤ f 1 ≤ 2
この条件は左側の不等式も右側の不等式も満たせ,と言
−2k 2 − 2k + 2 ≤ 2
っているので,最後に共通範囲をとって下さい.
k2 + k ≥ 0
“and”と”or”日本語でいえば”かつ”と”または”の区別を
k(k + 1) ≥ 0
k ≤ −1 , 0 ≤ k …②
しっかりしておいてください.
①,②の共通範囲をとって
−2 ≤ k ≤ −1 , 0 ≤ k ≤ 1
(2)
f x = x 2 − 2k k + 1 x + 1
を平方完成して
f(x) = x − k k + 1
2
− k(k + 1)
2
+1
であるから,軸は x = k(k + 1)
下に凸の 2 次関数は最大値を範囲(定義域)の左端か右端の
どちらかでとるので,場合分けは 2 種類です.
よって
(a)
k k + 1 ≤ 2 のとき,すなわち
k2 + k − 2 ≤ 0
k − 1 (k + 2) ≤ 0
−2 ≤ k ≤ 1
(a)で求めた最大値は解答中にあるように
(1)で求めた k の範囲とあわせて
−2 ≤ k ≤ −1 , 0 ≤ k ≤ 1
−2 ≤ k ≤ −1 , 0 ≤ k ≤ 1
の範囲での最大値であるが,この範囲は丁度(1)で導
2
であるとき, 最大値は f(4)=−8k − 8k + 17
出したこの問題での f(x)の定義域なので,(b)の範囲
(b)
では f(x)が定義されていないのは自明です.
k k+1 > 2
すなわち, k < −2 , 1 < k のとき
これは(1)で求めた k の範囲から, 不適.
以上(a),(b)より
M=−8k 2 − 8k + 17 (−2 ≤ k ≤ −1 , 0 ≤ k ≤ 1)
(3) , (2) より, M は
M=−8k 2 − 8k + 17 (−2 ≤ k ≤ −1 , 0 ≤ k ≤ 1)
平方完成して
M=−8 k +
1 2
2
+ 15
7
問題 2
(b)
区間0 ≤ x ≤ 1 において, 関数f x = 3x 2 − k 2 x + 2 の最大
最大値 −k 2 + 5
値と最小値を求めよ. ただし, k > 0 とする.
3 ≤ k < 3 のとき
2
最小値 − 9 k 3 + 2
(x=1)
k
x=3
f x = 3x 3 − k 2 x + 2
x について微分して
f′ x = 9x2 − k 2
f′ x = 0 となるのは,
9x 2 − k 2 = 0
3x + k 3x − k = 0
x=±
(c) 0 < 𝑘 < 3 のとき
k
3
最大値 2 (x=0)
0 ≤ x ≤ 1 , k > 0 に注意して
2
最小値 − 9 k 3 + 2
増減表は以下の通り
…
k
3
…
f ’(x)
-
0
+
f(x)
↘
極小
↗
x
0
k
x=3
また f(0)=2 , f(1)= −k 2 + 5
k
f
3
2
= − 9 k3 + 2
f(0)=f(1)となるのは
*問題 2 の場合分けについての補足*
−k 2 + 5 = 2
まず,極小が範囲に入っているかで最小値を
k=± 3
とる位置が変わってしまうので,場合分けが
k > 0 より k = 3
必要です.
以上より
(a)
k
3
k
k>0 から > 0だから,
≥ 1 すなわち k ≥ 3 のとき
3
場合分けは
最大値 2 (x=0)
最小値 −k 2 + 5
(x=1)
k
3
≥ 1と
k
3
<1
のときですね.
ただし,
k
3
< 1のときは
2
最小値は− 9 k 3 + 2ですが,最大値を x=0 でと
るのか,x=1 でとるのか定かでないので,また
場合分けが必要になります.
だから, f(0)=f(1)となる k を前もって見つけ
ておいて,その k の前後で場合分けをします.
すると,解答のような 3 つの場合分けが必要
となります.
8
問題 3
問題 4 (1)
f(x) = x 2 + x − 3
y = 3x x − 2
これは x=0 , 2 で x 軸と交わる下に凸のグラフである.
x について微分して
f ′ x = 2x + 1
(1) 0 ≤ a ≤ 1 のとき
よって点 (t , f(t)) における接線の方程式は
a+1
S(a)= −
3x x − 2
dx
y = 2t + 1 x − t + t 2 + t − 3
a
a+1
=−
= 2t + 1 x − t 2 − 3
2
(3x − 6x) dx
(2)
a
3
=− x −
(1) より接線の方程式は
3x 2 a+1
a
= − (a + 1)3 − 3(a + 1)2 + a3 − 3a2
y = 2t + 1 x − t 2 − 3
= −3a2 + 3a + 2
これが点 −2, −5 を通るから
−5 = −2 2t + 1 − t 2 − 3
平方完成して
2
1
S a =−3 a−
2
t 2 + 4t = 0
11
+
4
t = 0 , −4
よって0 ≤ a ≤ 1 のとき最大値
11
4
をとる
よって
f(x) = x 2 + x − 3 の接線のうち点 −2, −5 を通る接線
(2) 1 < 𝑎 ≤ 2 のとき
2
S a =−
a+1
3x x − 2
dx +
a
3
3x x − 2
の方程式は
dx
y = x − 3 , y = −7x − 19
2
=−x −
3x 2 2a
3
+ x −
3x 2 a+1
2
(3)
= −2 + a3 − 3a2 + (a + 1)3 − 3 a + 1
3
2
接点はそれぞれ, ( 0 , -3), ( -4 , 9) であるから,
−2
2
この 2 点を通る直線 L の方程式は
= 2a − 3a − 3a + 6
S’ (a) = 6a2 − 6a − 3
y = ax − 3 (a は実数) と書ける.
S’ (a)=0 となるのは
これが( -4 , 9)を通るから,
6a2 − 6a − 3 = 0
9 = −4a − 3
2
a = −3
2a − 2a − 1 = 0
a=
よって直線 L の方程式は,
1± 3
2
L: y = −3x − 3
1 < 𝑎 ≤ 2より,
以上より, 求める面積は
a=
0
1+ 3
2
0
よって増減表は
a
1
S’ (a)
S(a)
2
−3x − 3 − x 2 + x − 3
−4
=
…
1+ 3
2
…
-
0
+
↘
極小
↗
−x2 − 4x dx
−4
2
x3
= − − 2x2
3
4
=−
以上より 1 < 𝑎 ≤ 2 のとき
=
S(a)の最大値は 4
(1) , (2) より
S(a)は a=2 のとき最大値 4 をとる.
9
32
3
64
− 32
3
0
−4
dx
(3) 別解
解答には”計算して”とでも書いて,いか
我々は計算せずとも答えは(1)の
直線 L を g(x)とする.
にもまともに積分計算したかのように
半分と知っているので,
(2)により接点の x 座標は0 , −4である
見せかけて, 問題の余白で
具体的に”正攻法”で計算する必
1
0 − −4
6
から, 放物線 f(x)と g(x)は連立させると
x = 0 , −4を解にもつ.
このことから
=
g(x)-f(x)=-x(x+4)
要はありませんね.
3
この方法を使うにしても,”公式
より”としたり,いきなり答えを
32
3
書いたりはせず,式だけは立てて
である.
と計算して, 答えだけ書いておけば
おいて,計算したら(実際にはし
よって求める面積は
OK.
ない)こうなりました,というこ
とで答えを書く.というようにし
0
-x(x + 4)dx
ておいてください.
(4)別解
−4
(2) , (3) より求める面積は
これを計算して,
−2
32
3
x 2 + x − 3 − (−7x + 19) dx
−4
0
+
今回 3 節で紹介した 3 つの公式の計算
x2 + x − 3 − (x − 3) dx
−2
手法を記述式の答案で”公式より”など
これを計算して,
と書いて使うのは, あまり良くない.
上記の答案のように”計算して”などと
16
3
書いて逃げておいた方が安全.
(5)
(3) , (4) より
(4)
2:1
(2) , (3) より求める面積は
−2
問題 5
x 2 + x − 3 − (−7x + 19) dx
1
y = − 2 x2 + x
−4
0
+
y = x 2 − 2x
x 2 + x − 3 − (x − 3) dx
これらを連立して
−2
−2
=
0
x 2 + 8x + 16 dx +
−4
3
=
x
+ 4x 2 + 16x
3
1
x 2 − 2x = − x 2 + x
2
x 2 dx
−2
−2
3 0
+
−4
x
3
3 2
x − 3x = 0
2
−2
8
64
8
= − + 16 − 32 − − + 64 − 64 − −
3
3
3
3
x x−2 = 0
2
x = 0 ,2
8
64 8
= − − 16 +
+
3
3 3
=
よって
求める面積は
16
3
2
0
3
− x 2 + 3x dx
2
これを計算して, 求める面積は 2
*以下の計算をすればよい*
1
1 − −2
(2 − 0)3 = 2
6
10