資料−2 平成17年度 木更津下水処理場放流に伴うモニタリング調査 説 明 資 料 平成18年8月 木更津市都市部下水道推進室 い で あ 株 式 会 社 目 次 1. 調査目的 .................................................................. 1 2. 調査構成 .................................................................. 1 3. 調査地点及び調査時期....................................................... 1 4. 調査内容 .................................................................. 3 5. 調査結果のまとめ........................................................... 4 5.1 淡水の分布状況........................................................... 4 5.2 水質の状況 .............................................................. 5 5.3 底質の状況 .............................................................. 9 1.調査目的 本調査は、木更津下水処理場からの放流水が海域に及ぼす影響を把握し、過年度に実 施した調査結果と照合し、各調査について総合的にとりまとめ、その影響範囲及び経年 変化を明らかにするものである。 2.調査構成 本調査の構成は、以下のとおりである。 ① 水温塩分調査(分布調査)・・・・・・放流水の周辺海域での分布範囲の把握 ② 水質調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・放流水による周辺海域の水質への影響の把握 ③ 底質調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・放流水による周辺海域の底質への影響の把握 底質変化の原因等を確認 3.調査地点及び調査時期 本調査の調査位置は、図- 3.1.1、調査時期は表- 3.1.1 に示すとおりである。 表- 3.1.1 調査実施日 調査 調査名 水温塩分 調査 頻度 調査時期 定点観測 1回 平成 18 年 1 月 29 日 航走観測 1回 平成 18 年 1 月 29 日 調査地点 St.1,1’,a,b ,c,d,e,f L-A,B,C,C’, D,D’,E 平成 17 年 11 月 4 日,11 月 18 日,12 月 水質調査 6回 16 日,平成 18 年 1 月 16 日,2 月 13 日,3 St.1,3,4,6 月1日 底質調査 1回 平成 17 年 11 月 4 日 - 1 - St.1,8 - 2 - 0 君津市 富津市 調査範囲 4 2 4km 木更津市 [2地点] :底 質 調 査 地 点 広域図 [4地点] :水 質 調 査 地 点 :水温・塩分航走観測ライン測線[7ライン] :水温・塩分調査地点(定点観測)[8地点] 凡 例 6 L-B e f L-C L-D’ 8 1' b 1 a 図- 3.1.1 調査地点位置 L-A d c 口 L-C’ 放流 L-D 貯木場 0 木更津下水処理場 L-E 3 木更津航空基地 1 km 矢那川 4.調査内容 本調査の内容をとりまとめ表- 3.1.1 に示す。 表- 3.1.1 調査内容一覧 調査 水温・塩分調査 水質調査 底質調査 内容 調査項目 ◎水質調査 水温・塩分 pH,DO,SS,T-N,NH4-N, NO2-N,NO3-N,T-P, PO4-P,塩分,残留塩素※ 調査方法 ◎水温・塩分計による 分布調査(定点観測及 び航走観測) 測定層 ◎採水器による採水, 室内分析 ◎定点観測:表層(0m) 0.3,1,2,3,4,5m 以 下 1m 間隔で測定 ◎ 航 走 観 測 : 0.3,1,2,3,m の4層で pH,COD,全硫化物, 強熱減量,含水比, 粒度組成 ◎採泥器による採 泥, 室内分析 ◎表層泥 ◎上層:海面下 0.5m ◎下層:海底上 1.0m (ただし、※印は上層のみと する。 ) 測定 調査時期 ◎水質調査 ◎11 月のみ1回 11 月∼3 月:11 月は月 2 回、 ◎1 月の大潮期 その他の月は月 1 回 上記の各大潮期 (6 回/年:11∼3 月) 調査潮時 ◎分布調査:干潮・満 潮時の 2 回 地点数 ◎干潮時のみ1回 ◎水質調査:4 地点 ◎定点観測:8 地点 (ただし、※印は放流口前面 ◎航走観測:7 側線 St.1 と矢那川河口沖 St.3 の ◎2 地点 み分析) (注)pH:水素イオン濃度,DO:溶存酸素,COD:化学的酸素要求量,SS:浮遊懸濁物質,T-N:全窒素, NH4-N:アンモニア性窒素,NO2-N:亜硝酸性窒素,NO3-N:硝酸性窒素,T-P:全リン,PO4-P:リン酸態リン - 3 - 5.調査結果のまとめ 5.1 淡水の分布状況 放流口周辺海域における淡水の分布状況については、影響域が大きくなる干潮時表層 (海面下 0.3m)の塩分は、29.90∼31.91 の範囲を示した。矢那川河口部付近でやや低い 値がみられたが、放流口前面から木更津港防波堤にかけての広い範囲で概ね 31 程度とほ ぼ一様な分布を示し、調査海域の西側にかけて塩分が増大する傾向がみられた。下水処 理場の放流口周辺については周辺海域とほぼ同程度であり、これまでと同様、放流水の 影響による塩分の大きな低下は認められなかった。 平成 18 年 1 月 29 日(干潮時) 測定層: 0.3m 単 位: − 最 小: 29.90 最 大: 31.91 自衛隊駐屯地 木更津港防波堤 中の島公園 31.43 31.82 31.47 31.69 31.73 31.20 31.88 31.58 31.46 31.85 31.45 31.52 31.58 31.44 31.62 31.38 31.72 31.59 31.46 31.24 31.85 31.91 31.76 31.48 31.04 31.04 31.13 31.54 31 31 31.53 31.43 30.57 31.57 31.70 31.66 31.58 31.26 31.58 31.74 31.65 30.36 31.04 30.46 31 31.65 31.18 31.04 30.65 30.33 31.00 31.09 31.09 31.05 31.58 31.54 31.11 31.27 30.63 中の島大橋 31.40 31.35 30.18 30.20 30.29 31 29.90 30.72 30.13 30.97 31.37 30.79 31 30 30 31.80 小船溜り 31.65 31.57 31.80 31 富士見大橋 放流口 31.69 30.83 31.72 木更津市 30.67 30.76 30.72 30.70 下水処理場 31.09 31.11 31.08 31.07 貯 木 場 0 100 500m 図- 5.1.1 放流口周辺海域の塩分の分布状況(海面下 0.3m) - 4 - 矢 那 川 5.2 水質の状況 放流口周辺の水質(St.1 の上層)について、平成 17 年度の測定結果と昭和 63 年度か ら平成 16 年度までの 17 年間の測定値(月別の最大、最小、平均値)を比較した結果は、 図- 5.2.1 に示すとおりである。 ・ 溶存酸素量(DO)は 6.2∼7.6mg/L の範囲となり、いずれも過去の測定値の範囲内で 推移していた。 ・ 水素イオン濃度(pH)は 6.9∼7.2 の範囲となり、11 月(1 回目)、1 月、2 月に過 去の測定値の範囲内を下回った。 ・ 化学的酸素要求量(COD)は 4.1∼8.8mg/L の範囲となり、いずれも過去の測定値の 範囲内で推移していた。 ・ 全窒素(T-N)は 2.33∼6.89mg/L の範囲となり、いずれも過去の測定値の範囲内 で推移していた。 ・ 全リン(T-P)は、0.065∼0.382mg/L の範囲となり、いずれも過去の測定値の範囲 内で推移していた。 1 月、2 月の採水した海水は、塩分濃度は低かったことから、海水に含まれる淡水の割 合が多かったため、水素イオン濃度(pH)が低い値になったと考えられる。 代表的な汚濁指標であるCOD、T-N、T-Pの放流口前面(St.1)の上層と他の地 点の値を比較すると図- 5.2.2 に示すように、St.1 の上層を除き他の地点では上下層と も概ね一定の低い値で推移しており、放流水の影響は、下層や他の地点に及ぶものでは なかった。 以上により、これまでと同様に放流水の影響はみられなかった。 - 5 - DO(St.1,上層) T-N(St.1,上層) (mg/L) 12.0 (mg/L) 18.0 10.0 15.0 8.0 12.0 6.0 9.0 4.0 6.0 2.0 3.0 0.0 10 11(1) 11(2) 12 1 2 0.0 3 (月) 10 DO飽和度(St.1,上層) 100 80 60 40 20 0 11(1) 11(2) 12 1 12 1 2 3 (月) T-P(St.1,上層) (%) 120 10 11(1) 11(2) 2 (mg/L) 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 10 3 (月) 11(1) 11(2) 12 1 2 3 (月) pH(St.1,上層) 最大値(S63∼H16) 平均値(S63∼H16) 最小値(S63∼H16) 平成17年度 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 10 11(1) 11(2) 12 1 2 注1)平成17年度は、平成17年11月∼平成18年度3月 まで調査を実施し、このうち11月は調査を2回実施 している。 グラフ中の「11(1)、11(2)」に11月の1回目、2回目 の調査結果を示した。 最大・最小・平均値は同じ値については両結果とも 3 (月) 同じ値を示した。 COD(St.1,上層) 注2)平成17年度は10月調査を実施していないためグラ フ中には過年度の調査結果の最大・最小・平均の値 のみを示した。 (mg/L) 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0 10 11(1) 11(2) 図- 5.2.1 12 1 2 3 (月) 放流口前面(上層)の水質の月別変化(昭和 63 年度∼平成 17 年度) - 6 - 塩分(上層) St.1 35.00 St.3 30.00 St.4 25.00 St.6 20.00 15.00 10.00 5.00 0.00 11/4 11/18 12/16 1/16 2/13 (調査日) 3/1 塩分(下層) St.1 35.00 St.3 30.00 St.4 25.00 St.6 20.00 15.00 10.00 5.00 0.00 11/4 11/18 12/16 1/16 2/13 (調査日) 3/1 COD(上層) (mg/L) 12 St.1 St.3 10 St.4 8 St.6 6 4 2 0 11/4 11/18 12/16 1/16 2/13 3/1 (調査日) COD(下層) (mg/L) 12 St.1 St.3 10 St.4 8 St.6 6 4 2 0 11/4 11/18 12/16 1/16 2/13 3/1 (調査日) 図- 5.2.2(1) 水質の地点別経時変化(平成 17 年度) - 7 - T−N(上層) (mg/L) 10.0 St.1 8.0 St.3 St.4 6.0 St.6 4.0 2.0 0.0 11/4 11/18 12/16 1/16 2/13 3/1 (調査日) T−N(下層) (mg/L) 10.0 St.1 St.3 8.0 St.4 6.0 St.6 4.0 2.0 0.0 11/4 11/18 12/16 1/16 (mg/L) 0.6 2/13 3/1 (調査日) T−P(上層) 0.5 St.1 St.3 0.4 St.4 0.3 St.6 0.2 0.1 0.0 11/4 11/18 12/16 1/16 (mg/L) 0.6 2/13 3/1 (調査日) T−P(下層) 0.5 St.1 St.3 0.4 St.4 0.3 St.6 0.2 0.1 0.0 11/4 11/18 12/16 1/16 2/13 3/1 図- 5.2.2(5) 水質の地点別経時変化(平成 17 年度) - 8 - (調査日) 5.3 底質の状況 (1) 放流口前面の底質の経年変化 放流口前面(St.1)の底質について、昭和 63 年度から平成 17 年度まで比較した結 果は図- 5.3.1 に示すとおりである。 ・ 底質の含水比は、65.4%であり、過去の測定値の範囲に含まれる値を示していた。 ・ 粒度組成は、礫・砂分が 50%であり、過去の測定値の範囲に含まれる値を示して いた。 ・ 化学的酸素要求量(COD)は、9.6mg/g 乾泥であり、過去の測定値の範囲に含ま れる値を示した。 ・ 全硫化物は、1.1mg/g 乾泥であり、過去の測定値の範囲を上回っており、調査開 始以来、最も高い値を示していた。 ・ 強熱減量は、8.4%であり、過去の測定値の範囲に含まれる値を示していた。 底質としての環境基準値は定められていないが、参考までに、水産の生産基盤とし て水域の望ましい条件を示している「水産用水基準」の底質の基準と比較すると、平 成 17 年度の全硫化物は基準値(0.2mg/g 以下)を上回っていたものの、CODは、基 準値(20mg/g 以下)を満たしていた。 (2) 放流口前面の底質及びその他の地点の底質の経年変化 放流口前面の St.1 及び航路内の St.8 の底質について、平成 12 年度∼平成 17 年度 までの 6 ヵ年を比較した結果は図- 5.3.2 に示すとおりである。 ・ St.1 における平成 17 年度のCODは、昨年度とほぼ同程度の値を示していた一 方、全硫化物は、高い値となっていた。 ・ St.8 のCODは、昨年度とほぼ同程度の低い値を示していたが、全硫化物は、昨 年度に比べて高い値となっていた。 ・ 2 地点のCOD及び全硫化物の値を比較すると、過去 5 年間と同様に平成 17 年度 も St.1 はCOD、全硫化物ともに他の地点(St.8)に比べて高い値を示してい た。 - 9 - COD 全硫化物 (mg/g乾泥) (mg/g乾泥) 35 1.2 30 1.0 25 0.8 20 0.6 15 0.4 10 0.2 5 0.0 0 S63 H1 2 3 4 5 6 7 8 S63 H1 2 3 9 10 11 12 13 14 15 16 17 (年) 4 5 6 粒度組成 含水比 (%) (%) 140 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 120 100 80 60 40 20 0 S63 H1 2 3 4 5 6 7 8 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 (年) 9 10 11 12 13 14 15 16 17 (年) 強熱減量 S63 H1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 (年) 礫分 粗砂分 細砂分 シルト分 粘土分 (%) 12 10 8 6 4 2 0 S63 H1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 (年) 図- 5.3.1 放流口前面(St.1)の底質の経年変化(昭和 63 年度∼平成 17 年度) - 10 - COD (mg/g乾泥) 35 30 25 St.1 St.7 St.8 20 15 10 5 0 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 (調査年度) (mg/g乾泥) 全硫化物 1.2 1.0 0.8 St.1 St.7 St.8 0.6 0.4 0.2 0.0 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度(調査年度) 注)1.全硫化物の平成15年度の調査結果は<0.01(定量下限値未満)であったが、グラフ上では0.01として示した。 注)2.平成17年度の調査地点はSt.1及びSt.8の2地点である。 図- 5.3.2 各調査地点における底質の経年変化 - 11 -
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