2 3 3 懸垂吸音体の吸音特性について(第 1報〉 (板状繊維質材料について) 成 瀬 , 1 . 1 ヘ 血 {仁I O n the Acoustical Characteristics of Suspended Absorbers. .on the Fibered Plates Part 1 Haruoki NARUSE Weknowthatsuspended absorbers a r ea v a i l a b l ef o ra c o u s t i c improvement o fi n t e r i o r, butf 巴w f undamentals t u d i e shaveh i t h e r t obeenmadeon i t . This experimental study i s made fundamentally on th 邑 a c o u s t i c a lc h a r a c t e r i s t i c so f i b e r e dp l a t e s . suspendedabsorbers,usingf 1 . 表 緒 音場改善を目的として室内音響設計を行う場合,ある 種の特殊閉鎖空間に於ては,通常の如く壁面,天井面の 吸音処理のみでは所要の吸音力が得られない場合,或い は,壁面,天井面を吸音処理する事が実際上不可能であ 2 測定装置 1.可聴周波数雑音発生器 2 .バンドパスフィルター セット 3 . 1 0 "スピーカー B&K社 製 1 4 0 2型 B&K社 製 1 6 1 2型 パイオニア社製 PAX-12A る場合が起る.そのー解決策として懸垂吸音体が考案さ スコーカー パイオニア社製PT-7 れ,我が国 i 乙於ても数例にのぼり一応の成果を修めてい トウィーター パイオニア社製 る.しかしながら,その本質的な解明は充分注されてお 4 .コンデンサ一マイクロ ホン及び附属品 らず,研究資料も少ない。 本報では,懸垂吸音体の基礎的性質の解明を目的とし て板状繊維質材料について実験検討を行ったので,その 結果について報告する. 2 . B&K社 製 4 1 3 1型 B&K社 製 2 1 1 2 型 B&K社 製 2 3 0 5型 懸垂吸音体の材料 i とは板状繊維質材料(グラスウール 50mm厚,密度 12kg/m')を採用し, 実験方法 本実験は名白屋工業大学建築学科音響実験室第 2残響 室で行った.図 5 .広帯域周波数分析器 6 .高速度レベル記録器 PM-12A u乙音響実験室の平面を示し,表 u乙残 その補強及びジ 乙ビニールレールを用いた. 本実験で ョイントフック l は,形状は正方形(大型のものは長方形も含む)とし, 響室の諸元を示す.本残響室の音響特性については既報 その片側表面積の合計を 4種 類 l こ定め,各々について, の如くである.表 2f ζ測定装置を,図 2 f ζ測定回路図を 単体の大きさ,枚数,間隔,配置の方法を変えて測定を 乙スピーカ一位置とマイク位置及び吸音体を 示す.図 3f 行った.懸垂 ζ lは天井面のフックのみを利用したので, 懸垂した天井フック{立置を示す. 間隔はフックの間隔で示す.懸垂方法は,隣り合う吸音 表 廿 ~ 積 表 面 積 床 面 積 壁厚と内部仕上 1 体が交互に直角になるのを原則としている 残響室の諸元 こ一例 図 4f を示す. 第 1残 響 室 第 2残 響 室 119m' 144m2 26m' 20cm厚 の コ ン 155m' 172m' 34m2 20cm厚 の コ ン クリートにモル タJレコテミカゃキ クリートにモル タルコテミガキ 表 3K実験ケ{スを示し,写真 1にその一例としてケ ース 9の場合を示す. 測定は,各々のケースについて 100~5000C/S の拍オクターブ毎に行い,吸音力をセー ビンの公式より算出した. ムA=0.161V( 1 /T-1/T0 ) ただし,ム A =吸音力(メーターセービン) 2 3 4 成 瀬 治 興 1~I 機 2測定室 Scale 1 /1 0 0 図 1 音響実験室平面図 ヵ ピ ス ?イクロホン 残響室 バンドノマスフィルター 可聴周波数雑音発生器 広帝域周波数分析器 高速度レベル記録器 図2 測定回路図 2 3 5 懸垂吸音体の吸音特性について(第 1報) v=~容積 (m 8 ) T =試料を配置した時の残響時間 ( s e c ) To=空室残響時間 ( s e c ) ・ 3 . 実験結果と考察 3 1 3 . 6 6 m X366 m m m ,,13.66 x2.75 床置と懸垂の場合の比較 町B m XI3.66X1 .8 3 図 5ζ f同型同寸法の吸音体を床置と懸垂した場合につ v /I' 1 n Z 6 U × o1 3 . 6 6 X O . 9 2 いてその吸音力の比較&示す. ト │ート ← 懸 垂 一時世 ト ー 1 更 、 ト 、 1 / 1 ぷ' n u 入U l M γ l h l k ) h h h m g ν 1 / ' ト 、 〆' , y . . v r . . 1 1 . , ,, / / レ〆 、 ト 、 、 、 ト寸 、 、 , V ノ/ ぽ I / I, lV V1 1 5 。 入 炉 1 2 5 レ J . V νレ / ト' ノ 2 5 0 5 0 0 1 0 0 0 2 0 0 0 図 5 床置と懸垂の吸音力 写 1 + ¥ + + / 8枚 8枚 〉 く X 8枚: 8枚 × 8枚 X × 8枚 8枚 × × × 8枚 + 図 3 y< 、 ν1(1" .~Ï' Wヤ ~/ 初 住 ニ 、 ト ー J 、ト 図 4 (ケース 9) 4 0 0 0 % 成 瀬 治 輿 2 3 6 表3 実験ケース 大x きm │I.'~~ 叫間隔 フ │ ケ ー ス の合 │ 咋 面m 積2 │ 単 糊I │m 叶 日 ック数 用フ│トス の鯖 曹 │ 単 体 さのm I│ m利 用 ック数 x大 mき I│ ,~~ さ 体mの 1 3. 40 3 . 6 6 X 3 . 6 6 * 1 .8 3x1 .8 3 0 . 9 2 x O . 9 2 . 4 6 0 . 4 6x0 1 0 . 0 5 3 . 6 6 X 2 . 7 5キ 1 .8 3x1 . 8 3 0 . 9 2x0 . 9 2 0 . 4 6 X O . 4 6 6 . 7 0 .8 3 * 3 . 6 6x1 1 .8 3x1 .8 3 1 4 1 6 1 6 1 6 1 6 1 6 6 4 6 4 1 1 1 1 2 3 1 1 4 4 1 6 8 4 4 4 1 6 8 1 2 3 4 5 6 7 8 6 1 3 3 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 1 2 4 8 4 8 4 8 48 1 2 1 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 1 1 2 3 3 3 1 2 6 6 6 4 4 4 3 3 3 1 6 8 6 6 1 0 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 1 6 1 7 1 8 1 9 2 0 2 1 2 2 2 3 2 4 2 5 2 6 1 2 2 2 1 2 3 2 2 2 2 2 7 2 8 2 9 3 0 全般的傾向として,床置が 8 0 0 C j S附近でピークを生 ずるのに対し,懸垂は周波数の増加に伴って増大してい 0 . 9 2 x O . 9 2 6 . 7 0 0 . 4 6 x O . 4 6 3 . 6 6 X O . 9 2 * 1 .8 3x1 .8 3 0 . 9 2 x O . 9 2 3 . 3 5 . 4 6xO.46 0 考 備 8 8 8 8 8 8 8 3 2 3 2 3 2 3 2 3 2 1 1 4 4 4 4 4 4 4 1 6 1 6 1 6 1 6 1 6 1 6 1 6 1 6 1 1 2 3 1 2 3 1 1 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 1 1 2 3 1 2 3 8 4 4 4 2 2 2 1 6 8 4 4 4 1 2 4 4 4 2 2 2 1 1 6 8 4 4 4 2 2 2 3 1 3 2 3 3 3 4 3 5 3 6 3 8 3 9 4 0 4 1 42 4 3: ' 4 4 4 6 5 4 干 4 7' 4 8 4 9 ~ 5 0宅I 5 1 5 2 5 3 5 4 5 5 内 匂 ザ 5 6 5 7 5 8 5 9 I *印床置と懸重について測定したもの I L於て吸音効果を大にする要因となったものと考えられ る. る.また,単体の大きさによって多少異なるカ;100~200 それ故,板状繊維質材料の懸垂吸音体の場合には,高 CjSでは懸垂が床霞より吸音力大で ,200~315CjSでは 大略懸垂と床置と吸音力が等しし 4 0 0 C j S以上では床 周波域で床置の場合のセーピンの平均自由路長とは異な 乙高周波域でその差が 置より懸垂が吸音力大であり,特 I て,床置の吸音力から懸垂の吸音カが推定できると考え 顕著である. る. ζ れより,共鳴吸収による吸音効果は床置とあまり差 異がないが,低周波域では片面拘束を受ける床置のもの る平均自由路長を探用する事が必要であり,それによっ 図6 1 < : :床置の吸音力と懸霊の吸音力の比をオクターブ 毎に示す. より自由な懸垂の方が板振動による吸音効果が大きく, .35m2~ 1 3. 40m2の範囲で, 片側表面積の合計 (X)が3 高周波域では音波が片面に入射する床置のものに比して 2 5 0 C j S以下は規則性が認められないが ,5 0 0 C j S以上で 両面に入射する懸垂の方が吸音効果が大きいものと考え はかなり良い直線的相関を示し,吸音力比(y)は図中の られる. これは,床置の場合と異なり,懸垂の場合に 式で示される. は空簡を多くの選択拡散透過性を有する隔壁で区切った 故1 < : :,乙の方法によって繊維質材料の床置吸音力より 事になるので平均自由路長が短かくなり,特 I L高周波域 懸垂吸音力をほぼ正確に推定する事が可能であると考え 237 懸垂吸音体の吸音特性について(第 1報) Y Y 3 . 0 3 . 0 ド ド/ 2 . 0 / レ/- - レ レ/ 2 . 0 1 .0 レ - 1 .0 4000% 1 3 . 4 0X 1 0 . 0 5 3 . 3 5 Y Y 2 . 0 2 . 0 1000% 。 2 6 . 7 0 ー - 500% i 3 . 4 oX 1 0 . 0 5 1 0 . 0 5 1 3 . 4 0 レ一一一レ一一一 - 1 .0 Y=0.04X十1.0 m 3 . 3 5 6.70 ー 一 一 一ト ー「一ー一一一 1 .0 目 m 6.70 m 3 . 3 5 - Yニ O 08X+1 .04 2000% Y=O.よ l 1X +1 .2 2 レ - 3 . 3 5 X l ' = = ' Y=0.05X十 0 . 7 8 6.70 1 0 . 0 5 i r 4 QX 1 0 . 0 5 i 3 . 4 OX m2 Y 2 . 0 Y 2 . 0 1 .0 1 .0 250% 125% i 3 . 4 oX 1 0 . 0 5 図 6 3 . 3 5 6.70 m 2 6.70 m 3 . 3 5 懸垂/床置吸音力比 る. 3 2 間隔,単体の大きさ,枚数,配置方法について ①間隔 残響室の規模的制約(室容積,フック位置及 び数) より実験範囲が限定されたが, 園 単体の大きさが ロ2 0 0 0 % 0. 46mx0. 46mのものを除いた全ての場合を通じて間隔 . ' . が 1mの場合には集中懸垂(間隔 Om) の時より吸音力 ) J が相当低下する場合が多い事より,少なくとも間隔を単 4 ゾ 体の大きさ以上とする事が必要であり, 且つ O.92mX A 、、 しでもあまり効果はないものと考えられる. ミ 干 以上より, ~懸垂吸音体の間隔は単体の大きさの約 2 倍 ~@ を採用すれば良い吸音効果が得られるものと考えられる 医 1 0 0 0 % ( )5 0 0 % ' 1 1 12 50% 帆 46mX0. 4 6mの結果より判断して 3倍以上と O.92mと 0. が,今後さらに, 4 0 0 0 % 。125% ζ れに関する実験検討を行い報告をす るつもりである. ②単体の大きさ及び枚数片側表面積の合計を一定に して単体の大きさを変えると,一枚当りの吸音力は対数 。 m m m m 3 6 6 Xl .8 3 1 .8 3 Xl .8 3 C 0 . d K 0 . J グラフ上で双曲線的相関を示す. 図 7にその一例を示 す 固 図 7 一枚当りの吸音力 m m . 4 6 X 0. 46 0 成 瀬 治 興 238 トー 圏4 0 0 0 C / 3 1 5 X2UX87ッ ク γ一川M ト一一 : ; 1 X5 0 0 C / : u 入 : u . j . ! . j . ! ' j J 1 5 // / /ン / / / ν . j . ! ご 1 0 々 ¥ ヨ叫 i イ L / - 51 / 1 / I ス 1 0 / J I L 干 そ ~rnr レ lH H 車 E 三 j 1 / 5 面積 1 / 単体の大きさ U 0 1 枚 0 4 枚 2 枚 3 枚 4 枚 立1 ロ1 単体の大きさ1.83X1 .83 。 8 枚 1 2 枚 1 6枚 m m 単体の大きさ O .96X0 . 9 6 1 2 5 図 8 枚数と吸音力 9 13.40m2 m m O,9 2 X O,9 2 枚数 1 6枚 間隔 1m 1 5 0 0 1 0 0 0 2 0 0 0 4 0 0 0冷 2 5 0 図 実質的表面積は増加している(エッジ部分の面積が培 加している)にもかかわらず,全ての場合に集中懸垂よ / / / / // , , 斗j ス 1 0 E 手 o1I~X167 々 ¥ 々 ¥ ~rn / 卜一一一 口20ωC/ ( 干 ミ / 事4 枚X47ソ ク 配置方法と吸音力 える。 り良い結果を示しているのは 0 . 46mX0 . 46mの間隔を充 4 .結 分とって懸垂したもののみであって,このととからも, 本報では,板状繊維質材料(グラスウール 50mm 厚 , 閲備を考慮しなければ単体の大きさのみを変えても良い 吸音効果は期待できないものと考えられる. 単体の大きさを一定とし,枚数を変えた場合の各々の 言 密度 1 2kg/m') の懸垂吸音体について床置との比較, 間隔,単体の大きさ,枚数及び配置方法の諸点より実験 検討したところを報告した。 間隔に対する平均値を対数グラフに表わすと指数関数的 摘筆 l 乙当り,終始御懇篤なる指導を賜った名古屋工業 相関を示す.図 8にその例を示す.単体の大きさが小さ 大学宮野秋彦教授,同工業教員養成所鵜飼正保助教授に い程,また,高周波数になる程,枚数による影響が顕著 深く感謝の意を表すると共に,実験 l 乙当り惜しみえよく御 であるが,枚数を増加しでも間隔を充分にとることが必 協力を頂いた小川芳弘君ζ l深謝の意を表する. 要であると考える. ①配置方法片側表面積の合計,単体の大きさ,枚数, 間隔が全て同一であっても,集中的に配置する場合(天 井フック使用数が少ない)と分散的に配置する場合(天 井フック使用数が多い)とでは,その吸音効果 l と差を生 じ,特 l こ高周波域で顕著であり,集中的に配置する場合 の方がよい結果を示している.図 9にその一例を示す. ζ れは,懸垂吸音体と天井,墜との距離が近づく程,回 折現象が著しく妨害され吸音力が低下する為と考える。 従って吸音効果を良好にする為 l とは懸垂吸音体と天 井,壁との距離を出来るだけ大きくとることが必要と考 文 献 1 ) R.K Cook ,P. Chrzanowski,J.A.S.A Vo l .21, No. 3,167 ( 1949). 2 )1 . Malecki,Hochfrequenztechniku .E l e c t r o akustik,Bd 67,124 (1959). 3 ) 佐藤鑑,佐武俊男,長谷川欽一,日本建築学会関東 支部第 26回研究発表会梗概集, 13 (1959). 4 ) 小島武男,宮野秋彦,鵜飼正保,成瀬治輿,日本建 築学会東海支部研究報告集 4,83 ( 1965). 5 ) 宮野秋彦,鵜飼正保,成瀬治興,芳村恵司,日本建 築学会東海支部研究報告集 5,69 ( 1966).
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