研専第17-9号 - 原子力規制委員会

研専第17−9号
安全研究に関する国際協力について
平成19年8月31日
日本原子力研究開発機構
1
目次
安全研究に関する国際協力の意義
安全研究に関する国際協力計画の変遷
主な国際協力枠組みの目的
国際協力の現状と今後の展開
Ⅰ .規制システム分野
Ⅱ .軽水炉分野
○燃料 ○熱水力 ○材料
Ⅲ.核燃料サイクル施設分野
Ⅳ.放射性廃棄物・廃止措置分野
Ⅴ.新型炉分野
Ⅵ.放射線影響分野
Ⅶ.原子力防災分野
5. アジア諸国との原子力安全に係る国際協力
6. 今後、我が国が主導すべき国際協力
1.
2.
3.
4.
2
安全研究に関する国際協力の意義
z 原子力安全は世界共通の課題であり、安全技術や運転経
験等に関する情報の共有が重要。
z 我が国は、これまで多数の国際共同研究計画等により安
全研究を主導。今後も安全研究の国際拠点として貢献。
z 世界的に安全研究予算が大きく減少しており、国際協力に
よって効率的・効果的に推進。
z 国際安全基準類の策定・検討に技術検討段階から積極的
に参画し、我が国の考え方との整合性を確保。
z 新型炉等の開発における国際協力では、安全性に関する
共通認識の醸成や安全評価技術の効率的開発に寄与。
z アジア諸国の安全技術の向上及び人材育成に貢献。
3
安全研究に関する国際協力計画の変遷
1975 (S50)
1985 (S60)
:我が国主催
1995 (H7)
2005 (H17)
確率論的安全評価(PSA)
;米国主催
COOPRA計画( 02- 07)
OECD OPDE/ICDE/FIRE計画( 05- 08)
燃料安全
NSRR計画 ( 76- )
OECDハルデン計画( 67- 08)
PBF計画( 76- 85)
熱水力安全
大型再冠水計画
( 80- 90)
LOFT計画( 76- 82)
OECD CABRI水ループ計画( 00- 08)
PHEBUS計画( 81- 95)
ROSA-IV計画
( 84- 93)
ROSA-AP600計画( 92- 99)
OECD LOFT計画( 83- 89)
SFD計画
( 83- 90)
シビアアクシデント
OECD SETH/PKL計画( 01- 07)
TMI-2計画
( 84-89)
OECD RASPLAV-MASCA計画( 94- 06)
CSARP計画( 93- 09)
ACE計画( 87- 97)
LACE計画
( 85- 89)
OECD ROSA計画
( 05- 09)
経年変化
OECD MCCI計画( 02- 09)
JPDR圧力容器鋼材試験計画( 94- 99)
OECD SCAP計画( 06- 10)
核燃料サイクル施設安全
廃棄物処分・ IAEA高レベル廃棄物安
廃止措置安全 全評価計画( 77- 81)
OECD PRISME計画( 06- 10)
OECDナチュラルアナログ
研究計画( 89- 92)
OECD-PSAG
計画( 86- 93)
放射線リスク・環境影響
仏CEA, IRSNとの研究協力( 94- 11)
日中放射性廃棄物
安全研究協力( 88- 93)
日加放射性廃棄物
安全研究協力( 87- 93)
米EPAとの放射線防護分野研究協力( 90- 11)
OECD TDB計画
TSM計画( 03- 08)
OECD CPD計画( 99- 11)
WSPEEDI計画( 97- 02)
80∼90年代には、米国・日本が多数の国際協力計画を主催。2000年以降、主にOECD/NEAの共同計画として実施。 4
主な国際協力枠組みの目的
経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)
原子力規制活動委員会(CNRA)、WGOE等
原子力施設安全委員会(CSNI)、WGRISK等
原子力科学委員会(NSC)、WPNCS等
放射性廃棄物管理委員(RWMC)、IGSC等
放射線防護・公衆衛生委員会(CRPPH)、WPNEM等
9原子力安全規制・安全研究に
関する情報交換・意見交換
9安全上の課題や規制ニーズの
同定と技術の現状レビュー
9国際共同研究やベンチマーク
解析等の推進
多国間協力(Joint Project)
9国際共同研究の実施、データ及び解析コードに関する情報の共有
9国際的データベースの構築、又はデータの交換
国際原子力機関(IAEA) 、国際放射線防護委員会(ICRP)等
9IAEA:国際安全基準の策定・改訂
9ICRP:放射線防護に関する科学的検討・勧告
9UNSCEAR:放射線影響に関する科学的知見の収集・報告
二国間協力
(米国原子力規制委員会(NRC)、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)、
韓国原子力研究所(KAERI)等との原子力全般の研究協力等
9共同実験の実施、実験データ及び解析コードの交換
9研究者の相互派遣を含む研究協力、情報交換
5
Ⅰ .規制システム分野
国際的課題
z リスク情報の安全規制への活用は、確率論的安全評価(PSA)技術の進展に伴
い、国際的にも活発に行われている。
z 実際に発生した事故・故障に対する分析・評価を通して得られた知見や教訓を安
全確保に反映させることの重要性は世界的に共通した 認識であり、国際的に活
発な活動が進められている。
国際協力の現状と今後の取組み
z OECD/NEA/CSNI リスク評価ワーキンググループ(WGRISK) において、新たに
「確率論的リスク判断基準と安全目標」の活動が開始された。今後2年間で各国
の安全目標と性能目標等のリスク判断基準について、定義、現状および使用経
験についてレビューし、今後の課題を検討する。
z PSA手法の高度化の一環として、PSAの不確実さ要因分析に役立つグローバル
感度解析手法の開発について、欧州委員会共同研究センター(JRC)と国際会議
(SAMO:Sensitivity Analysis of Model Output)等に協力。
z 韓国KAERIとの研究協力協定を基礎に、日韓PSAワークショップを主催し、日韓
両国のPSA専門家の交流と情報交換に寄与。
6
Ⅱ.軽水炉分野 ○燃料安全
国際的課題
高燃焼度燃料の安全確保のために
9反応度事故(RIA)、
9冷却材喪失事故(LOCA)、
9異常な過渡事象について
z高燃焼度領域に顕在化する現象の理解、
z安全評価手法の高度化、
z安全余裕のより正確な把握 が必要。
国際協力の現状と今後の取組み
z現在、 RIA・LOCA時の燃料挙動研究
分野でNSRR等による世界一のデータ
を取得し、国際的な議論の場に提供。
zOECDカブリ水ループ計画、OECDハ
ルデン炉計画に参加し、試験計画の
決定や試験結果の評価に貢献。
z今後も国際的なプレゼンスを維持し、
燃料破損予測手法等、燃料安全評価
と規制の高度化に貢献。
RFEFにおけるLOCA時
燃料挙動実験・解析
NSRRによる
RIA時燃料挙
動実験・解析
OECD/NEA
z 原子力施設安全委員
会(CSNI)燃料安全
ワーキンググループ
(WGFS)
共同プロジェクト:
z カブリ水ループ計画
(NSRRデータの一部
を提供)
z ハルデン炉計画
JMTRによる異常
過渡試験(検討中)
二国間協力
z フランス放射線
防護原子力安全
研究所(IRSN)
z フランス原子力
庁(CEA)
z 米国原子力規制
委員会(NRC)
7
Ⅱ.軽水炉分野 ○熱水力・シビアアクシデント
国際的課題
圧力容器
z現在、 OECD/NEA ROSA計画をJAEA
が主催し、熱水力最適評価手法の開
発・検証に必要なデータを拡充・提供。
z今後も、OECD/NEA、IAEAでの多国間
協力や米国、フランス等との二国間協
力を活用して、軽水炉の高度利用及び
新型軽水炉に適用できる高精度な熱水
力安全評価手法の開発・検証を進める。
加圧器
国際協力の現状と今後の取組み
参加国:米国、フランス、
ドイツなど13ヶ国(17機関)
期間 : 2005∼ 4年間
予算総額: 4.2M $ (約5億円)
蒸気発生器
z出力増強や燃料の高燃焼度化等、軽
水炉の高度利用、及び新型軽水炉の
安全評価に、従来の保守的な安全評価
(EM)手法に代わり、安全余裕を現実的
精度で評価する「熱水力最適評価(BE)
手法+統計的不確かさ評価」を検討。
OECD/NEA ROSA計画
ROSA/LSTF装置:
PWRを同じ高さ、体積1/48
で模擬した世界最大の装置
OECD/NEA
z CSNI事故管理解
析ワーキンググ
ループ(WGAMA)
共同プロジェクト:
z ROSA計画
(JAEA主催)
z SETH-2計画
z PKL計画
z MASCA計画
z MCCI計画
z BIP計画
二国間協力
z 米国原子力規制
委員会(NRC)
z フランス原子力
庁(CEA)
z 韓国原子力研究
所(KAERI)
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Ⅱ.軽水炉分野 ○材料劣化・高経年化対策
国際的課題
破壊靱性補正値
z米国、日本、フランス等において、30年
∼40年プラントの認可更新や運転継続
が行われており、材料劣化管理、高経
年化対策に関する安全規制の高度化
が重要となっている。
IAEA CRP原子炉圧力容器鋼材破壊靭性
評価技術の整備(マスターカーブ法)
破壊靱性
マスターカーブ
平均
下限5%
国際協力の現状と今後の取組み
zIAEA CRPマスターカーブ法計画に参加
し、長期運転における監視試験の高度
化に貢献。
zOECDハルデン炉計画に参加し、IASCC
評価技術の高度化等に貢献。
z我が国の提案によるOECD/NEA SCAP
計画において、SCC・ケーブル劣化に関
する事例データベース及び知識ベース
を構築し、高経年化対策と安全規制の
高度化に貢献。
z今後、JMTRを用いたIASCC試験、原子
炉圧力容器鋼破壊靭性試験を検討中。
下限1%
試験温度と参照温度の差(℃)
OECD/NEA
二国間協力
z CSNI機器・構造の健全
性・高経年化ワーキン
ググループ(WGIAGE)
z PWR原子炉容器確率論
的構造健全性ラウンド
ロビン(PROSIR)
z 米国原子力
規制委員会
(NRC)
z フランス原子
力庁(CEA)
z 韓国原子力研
究所(KAERI)
共同プロジェクト:
z 経年劣化管理(SCAP)
計画(我が国の出資)
z ハルデン炉計画
9
Ⅲ.核燃料サイクル施設分野
国際的課題
z核燃料サイクル施設の安全確保のため、
燃焼度クレジット、リスク情報の活用、
再処理施設の高経年化対策に関する
安全規制の高度化が重要となっている。
STACYによる燃焼度クレ
ジットに関する実験・解析
グローブボックス火災
時の燃焼特性、放射性
物質放出・移行特性に
関する基礎データ取得
国際協力の現状と今後の取組み
zWPNCS等において、燃焼度クレジット等
に関する情報交換を実施。
zWGRISK及びWGFCS等において、核燃
料サイクル施設のリスク情報の活用、
高経年化対策に関する情報交換を実施。
zOECD PRISME計画に参加し、火災時
の熱・煤煙の伝播に関する基礎的デー
タ、解析コードの情報を交換。
z今後、英国BNG社、フランスAREVA社
やIRSNとの情報交換を積極的に行い、
再処理施設の安全確保や保全対策に
関する研究を推進。
OECD/NEA
二国間協力
z 原子力科学委員会
(NSC)臨界安全ワーキ
ングパーティ(WPNCS)
z CSNI 燃料サイクル施
設安全評価ワーキング
グループ(WGFCS)
共同プロジェクト:
z 火災影響実験
(PRISME)計画
z フランス放射線
防護原子力安全
研究所(IRSN)
z フランス原子力
庁(CEA)
10
Ⅳ.放射性廃棄物処分・廃止措置分野
国際的課題
z放射性廃棄物処分の安全性の総合的
な提示方法、及び許認可を見据えた具
体的な安全評価手法の検討。
z施設解体に伴う段階的管理、操業から
廃止措置への移行における人的・技術
的資源の継承、記録の共有の検討。
JAEA瑞浪・幌延
深地層研究計画
国際協力の現状と今後の取組み
zJAEA瑞浪・幌延の深地層研究施設を
利用した国際研究協力や各国の地下
研究施設における原位置試験に参加。
zOECD/NEA TDB計画や熱-水-応力連
成モデルなど安全評価のための国際
的課題解決のための研究協力を実施。
zOECD/NEA CPD計画等により廃止措
置情報の国際共有を図る。
z今後、 米国廃棄物規制解析センター
CNWRAとの情報交換の実施を検討中。
スイスNAGRAグリム
ゼル試験場における
原位置試験研究計画
(NAGRAホームページより引用)
OECD/NEA
二国間協力
z 放射性廃棄物管理委
員会(RWMC)セーフ
ティーケース統合グ
ループ(IGSC) 等
共同プロジェクト:
z 熱化学データベース
(TDB)計画
z 熱-水-応力連成モデ
ル開発計画
z 廃止措置情報交換
(CPD)計画 等
z 米国DOE
z フランスCEA
z 韓国KAERI
z ベルギー原子力研究
センター(SCK・CEN)
z スイス放射性廃棄物
管理共同組合
(NAGRA)
z スウェーデン核燃料
廃棄物管理公社
(SKB) 等
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Ⅴ.新型炉分野 ○高速増殖炉の安全評価
国際的課題
第4世代炉国際フォーラム(GIF)
z安全性の目標: 高い信頼性、低い炉心
損傷発生頻度、敷地外緊急時対応不要。
zNa冷却高速炉(SFR)の安全設計要求:
受動安全性、炉心損傷影響緩和、PSA
の設計利用、Na化学活性問題への対応。
zフランス、米国の主要なSFR関連試験施
設は廃止または休止状態。
もんじゅ原子炉
炉心損傷事象試験(EAGLE
計画):カザフスタン国立原子
力研究センターとの共同研究
IGR 試験施設
国際協力の現状と今後の取組み
zGIF: SFRシステム運営委員会の下に設計・安全性プロジェクトを設置。日、米、
仏、韓国が参加。 今後、ロシア、中国が参加の方向。
z仏CEAと炉心損傷事象、Na漏洩・燃焼等の実験・解析に関する研究協力を実施。
z日米共同行動計画(2007.4)の中で国際原子力パートナーシップ(GNEP)に関する
高速炉技術WGが設置され、主としてプラント設計に関する研究開発協力を開始。
z現在、日、米、仏三国間で試験研究協力の準備を開始。我が国からは「常陽」、
「もんじゅ」、Na-水反応試験などを提示し、米国からはTREAT炉による安全性試
験、仏からはフェニックス炉によるEnd-of-life試験等が示されている。
12
Ⅵ.放射線影響分野
国際的課題
z ICRP、IAEA、UNSCEAR、WHO、OECD/NEAは、それぞれの立場で、鉱山、屋内
ラドンの防護や自然起源の放射性物質(NORM)、ウラン系廃棄物の規制、処分
に関してラドンの検討を進めている。
z ICRPは、平成19年3月に放射線防護に係る新しい基本勧告を採択した。 今後、
勧告を国際安全基準等に取り入れるための線量評価法の開発が進められる。
z ICRPは、修復され難く生物影響上重要なクラスターDNA損傷が低線量放射線で
も生成されることをLNT仮説(しきい値なし直線仮説)の根拠としている。
国際協力の現状と今後の取組み
z IAEAの新規の国際緊急時対応計画策定のための専門家グループに参加し、特
に、国境を越える放射能汚染時の汚染状況予測計画に協力。 今後、新計画の
実現への積極的な貢献が必要。
z ラドン測定法の標準化に関してアジア地域での指導的な役割を果たす。
z ICRPタスクグループメンバーとして、新しい線量計算用放射性核種データベース
の開発、線量換算係数の整備への協力を継続する。
z クラスターDNA損傷に関して、英国医学研究所(MRC)及びストックホルム大学と
の研究協力を行ってきた。将来、ICRP報告書類への貢献を目指す。
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Ⅶ .原子力防災分野
国際的課題
z ICRP新勧告、IAEA国際基本安全基準(BSS)改定、IAEA安全要件、安全指針策
定等において、緊急事態に対する準備と対応の基本的考え方、防護指標の見直
しが進められている。
z 事故後の長期的な復旧に係る原則と防護指標、ステークホルダーの意思決定過
程への参加を含む緊急事態管理への関心が高い。
z 原子力緊急時関連条約に基づき、IAEAは事故・緊急センター(IEC)を2005年設
立し、国際通報・援助の体制を強化している。
国際協力の現状と今後の取組み
z IAEAの国際安全文書策定について、安全要件(GS-R-2)および安全指針(GS-G2.1)の策定、安全指針(DS44)に関する技術会合参加、及び放射線防護に関する
基本安全基準(BSS)の検討に寄与。今後、これらの文書をベースに防災指針へ
の対応等を検討する。
z IAEAのアジア原子力安全ネットワーク(ANSN)の「緊急時対応専門部会」の活
動の中で、アジア諸国の原子力施設の緊急事態対策と対応の基盤強化を支援し
ている。今後、アジアの緊急時体制の強化に向けた、情報共有、緊急時訓練
データベースの構築、GS-R-2の浸透などを通して日本の経験を提供していく。
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アジア諸国との原子力安全に係る国際協力
アジア・太平洋地域原子力研究協力(JAEA安全研究センター)
概要: アジア諸国の若手研究者を国際会議への参加 及びJAEAでの共同研究実施のために
受け入れ、アジア諸国の安全技術の向上及び人材育成に貢献する。
実績: 中国(25)、韓国(1)、インドネシア(10)、
マレーシア(4)、タイ(8)、ベトナム(5)、バング
ラディシュ(4) 計 57名(うち6ヵ月滞在 4名)
研究テーマの例:
z自然循環型研究炉の安全評価
z放射性核種の土壌・岩石中の移行挙動
z原子炉圧力容器鋼材の破壊靭性評価
この他、下記枠組み等で、専門家の派遣、研究者の受け入れ等の協力を実施。
国際原子力安全セミナー(文科省)
概要:
原子力立地を計画している近隣アジア諸国から
原子力に携わる技術者及び研究者を受け入れ、
原子力施設の安全に関する技術研修を行い、こ
れら諸国の原子力に係る安全性を向上させると
ともに、これら諸国から安全性の向上に関する
情報を収集し、我が国の原子力施設の安全性
向上に反映させる。
研修内容:
原子力施設の安全性や放射線防護等に関す
る技術研修(6ヶ月∼1年)を実施。大学を中心
に受け入れ、学位取得も可能とする。
IAEA東南アジア、太平洋及び極東にお
IAEA東南アジア、太平洋及び極東にお
ける原子力施設の安全に係わる特別拠
ける原子力施設の安全に係わる特別拠
出金事業(EBPアジア・プロジェクト)
出金事業(EBPアジア・プロジェクト)
ワークショップ開催:
z 原子力安全性に関するワークショップ
z 研究炉の安全評価に関するワークショップ
z IAEA原子力安全基準に関するワークショップ
アジア原子力安全ネットワーク(ANSN):
z アジア諸国の原子力安全基盤の強化のため、
加盟国間で原子力安全情報を共有
z 原子力安全(教育・訓練、廃棄物、緊急時対
応等)に係わる知識・経験をデータベース化
し、インターネットを介して、アジア地域の教
育・訓練に活用
z 運営委員会による自立的・持続的活動
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今後、我が国が主導すべき国際協力
以上のように、我が国は、安全研究に係わる国際状況を踏まえ
積極的に国際協力を推進する必要がある。今後、我が国が主体
的に取組むべき安全研究分野として、以下が位置付けられる。
① 我が国がその分野における世界最高クラスの研究施設を
有し、それを核として国際的に高いレベルの原子力安全に
関する知識の結集が見込める分野。
② 我が国が将来の原子力システムの開発を主導しており、今
後、そのシステムに係る安全規制・基準類の策定において
も国際協調を図るべき分野。
③ 我が国がその分野において世界有数の科学・技術基盤を
有しており、国際的知識ベースの構築とその利用促進を主
導することにより、世界の原子力安全に貢献できる分野。
16
(参考)安全研究国際協力一覧(1/6)
分野
Ⅰ.規制シス
テム分野
Ⅱ.軽水炉分
野 ○全般
委員会・多国間協力・二国間協力等
協力内容
国内参加機関
OECD/NEA/原子力施設安全委員会
(CSNI) リスク評価ワーキンググループ
(WGRISK)
確率論的安全評価(PSA)技術に関する情報
交換及び意見交換。特定課題に関する詳細検
討や技術の現状レビュー
JAEA, JNES
OECD/NEA/CSNI人的・組織的要因ワーキ
ンググループ(WGHOF)
人的・組織的要因・分析技術に関する情報交
換及び意見交換。
JNES
OECD/NEA/原子力規制活動委員会
(CNRA)運転経験ワーキンググループ
(WGOE)
原子力施設の運転経験を基にその信頼性、安
全性の維持向上について検討。事象報告シス
テム(IRS)等のデータベースを監督。
JAEA, JNES
OECD/NEA/配管損傷データ交換(OPDE)
配管損傷事象に関する国際的なデータベース
の構築及び分析・評価。
JNES
OECD/NEA/共通要因故障データ交換
(ICDE)
共通要因故障データに関する国際的なデータ
ベースの構築及び分析・評価。
JNES
OECD/NEA/火災データ交換(FIRE)
火災PSAに必要な情報の国際的なデータベー
スの構築及び分析・評価。
JNES
OECD/NEA/計算機システム故障データ交
換(COMPSIS)
安全上重要な計算機システムの故障に関する
データベースの構築及び分析・評価。
JNES
米国原子力規制委員会(NRC)との確率論
的リスク評価に関する協力(COOPRA)
停止時PSA、リスク情報を活用した意思決定、
火災PSA等について情報交換。システム信頼
性解析コードの利用。
JAEA, JNES
OECD/NEA/CSNI
原子力施設安全に関する技術的検討。各ワー
キンググループ等の方向付け。
NISA, MEXT,
JAEA, JNES
17
(参考)安全研究国際協力一覧(2/6)
分野
委員会・多国間協力・二国間協力等
Ⅱ.軽水炉分
野
○全般(続き)
米国NRCとの原子炉安全研究分野取決め
軽水炉燃料の高燃焼度化、シビアアクシデント、 JAEA
熱水力安全、高経年化に関する情報交換、及
び解析コード・実験データの交換。
フランス放射線防護原子力安全研究所(IR
SN)との日仏原子炉安全防護分野におけ
る研究取決め
反応度事故(RIA)時の燃料挙動、臨界安全、
高速炉安全解析等に関する情報交換。
JAEA
フランス原子力庁(CEA)との原子力研究
開発に関する協力
原子炉安全性・先端原子炉システム、核燃料
サイクル、廃棄物・廃止措置、原子力科学等に
関する情報交換。
JAEA
韓国原子力研究所(KAERI)との日韓原子
力安全性及びその関連分野での研究協力
PSA、熱水力、シビアアクシデント、材料、高温
ガス炉、陽子加速器、廃棄物処分、照射炉、緊
急時対応等に関する情報交換。
JAEA
OECD/NEA/CSNI 燃料安全ワーキンググ
ループ(WGFS)
高燃焼度燃料及びMOX燃料の安全基準・安
全研究の調査検討。
JAEA, JNES
OECD/NEA ハルデン炉計画
ノルウェーのハルデン炉において燃料・材料照
射試験、マンマシンシステム研究を実施。
JAEA ,電中研、
三菱重工
OECD/NEA CABRI水ループ計画
フランスIRSNのCABRI炉において高燃焼度軽 JAEA
水炉燃料のRIA模擬実験を水冷却条件で実施。
NSRRデータの一部を提供。
OECD/NEA/CSNI 事故管理・解析ワーキン
ググループ(WGAMA)
設計基準事象、シビアアクシデント及び放射性
物質挙動に関する安全研究の調査検討。
JAEA, JNES
OECD/NEA ROSA計画
JAEAのROSA/LSTFを用いて軽水炉冷却材
喪失事故(LOCA)及び異常な過渡変化時の
熱水力安全評価上の課題を解決する。
JAEA(ホスト
機関), JNES
○燃料安全
○熱水力・シ
ビアアクシデ
ント
協力内容
国内参加機関
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(参考)安全研究国際協力一覧(3/6)
分野
○熱水力・シ
ビアアクシデ
ント(続き)
○材料劣化・
高経年化対
策技術
委員会・多国間協力・二国間協力等
協力内容
国内参加機関
IAEA CRP 最適予測事故解析の不確か
さ評価に関する研究協力
最適予測事故解析の不確かさ評価に関して実験
解析及び実炉解析等の最新知見を集約する。
JAEA
OECD/NEA SETH-2計画
スイスPSI研究所のPANDA、フランス電力公社
(EDF)のMISTRAを用いてLOCA後の格納容器内
の水蒸気及び非凝縮ガス挙動試験を実施。
JNES
OECD/NEA PKL計画
ドイツAREVA社のPKLを用いてPWRのホウ素希
釈事象及び停止時ミッドループ運転時の除熱機
能喪失事象に関する試験を実施。
JNES
OECD/NEA MASCA計画
ロシア・クルチャトフ研究所のRASPLAV施設を用
いてシビアアクシデント時の圧力容器内溶融炉
心プール成層化に関する試験を実施。
JNES
OECD/NEA MCCI計画
米国ANLのMACE施設を用いてシビアアクシデン
ト時の圧力容器外炉心溶融物の冷却性及びコン
クリートとの相互作用に関する試験を実施。
JNES
OECD/NEA BIP計画
カナダAECL主催により、事故時の格納容器内
(放射線照射下)における有機ヨウ素生成・壁面吸
着等に関する実験及び解析を実施。
JNES
米国NRCとのシビアアクシデント研究協
力(CSARP)
シビアアクシデント時の燃料挙動、核分裂生成物 JNES
の移行挙動、格納容器健全性に関する情報交換。
OECD/NEA/CSNI 機器・構造の健全性・
高経年化ワーキンググループ(WGIAGE)
機器・構造の健全性及び高経年化に関する安全
研究の調査検討。
JAEA, JNES
OECD/NEA SCAP計画
高経年プラント管理に関する規制情報、及び応
力腐食割れとケーブル絶縁低下に関する技術情
報の収集・分析、データベース及び知識の構築。
JNES(資金提
供国:日本)
19
(参考)安全研究国際協力一覧(4/6)
分野
委員会・多国間協力・二国間協力等
協力内容
国内参加機関
JAEA、電中研
○材料劣化・
高経年化対
策技術(続き)
IAEA CRP 原子炉圧力容器鋼の破壊靱
性モニターのためのマスターカーブ法
監視試験における中性子照射脆化評価に関する
破壊靱性マスターカーブ法の国際ガイドラインの
策定に関する試験研究。
Ⅲ.核燃料サ
イクル分野
OECD/NEA/CSNI 燃料サイクル施設安
全評価ワーキンググループ(WGFCS)
燃料サイクル施設の安全評価に関する調査検討。 JAEA, JNES
OECD/NEA/原子力科学委員会(NSC)
臨界安全ワーキングパーティ(WPNCS)
臨界実験評価、燃焼度クレジット、使用済燃料同
位体組成、臨界事故評価等の調査検討。
JAEA, JNES
OECD/NEA PRISME計画
フランスIRSNカダラッシュの研究施設において火
災伝播実験を実施。
JNES
OECD/NEA/放射性廃棄物管理委員会
(RWMC)
放射性廃棄物管理に関する規制・技術検討。各
グループ等の方向付け。
NISA, METI,
JAEA, JNES
OECD/NEA/RWMCステークホルダー信
頼構築フォーラム(FSC)
廃棄物処分のステークホルダー信頼構築に関す
る情報交換。
JAEA
OECD/NEA/RWMCセーフティーケース統
合グループ(IGSC)
廃棄物処分プロセスとシステム解析に関する
セーフティーケースの評価及び情報交換。
JAEA
OECD/NEA/RWMC廃止措置・解体ワー
キングパーティ(WPDD)
廃止措置と解体に関する技術、経済性、政策に
関する検討及び情報交換。
JAEA, JNES
OECD/NEA 熱化学データベース計画
(TDB)
廃棄物処分安全評価モデル作成に必要な熱化
学物性データベースを構築。
JAEA
OECD/NEA 収着モデル(TSM)開発計画
収着モデルの開発・適用、ガイドライン作成。
JAEA
OECD/NEA 熱-水-応力連成モデルの開
発・確証計画
熱-水-応力連成モデルの開発 ・適用、ガイドライ
ン作成。
JAEA
Ⅳ.廃棄物・
廃止措置分
野
20
(参考)安全研究国際協力一覧(5/6)
分野
Ⅳ.廃棄物・
廃止措置分
野 (続き)
Ⅴ.新型炉分
野
○高速増殖
炉の安全評
価技術
委員会・多国間協力・二国間協力等
協力内容
国内参加機関
OECD/NEA モンテリ地下研究所におけ
る原位置試験研究計画
地球化学的現象解明に関する国際共同研究。
JAEA
OECD/NEA 廃止措置情報交換計画
(CPD)
各国原子力施設の廃止措置計画に係わる科学
技術情報の交換。
JAEA
米国DOEとの原子力科学・エネルギー分
野の研究協力
LBNLと岩盤中物質移動に関する共同実験、
SNLと安全評価システムに関する共同研究
JAEA
フランス原子力庁(CEA)との原子力研究
開発に関する協力
化学・地球化学的基盤研究
JAEA
ベルギー原子力研究センター(SCK・
CEN)とのα放射性核種含有ガラス固化
体を用いた原位置試験
地下研究施設における共同研究
JAEA
スイス放射性廃棄物管理協同組合
(NAGRA)との廃棄物管理協定
スイス地下研究施設における共同研究、及び深
地層の研究施設計画の立案支援(瑞浪・幌延)
JAEA
スウェーデン核燃料廃棄物管理公社
(SKB)との地下研究所における廃棄物
管理共同研究
地下研究施設における共同研究
JAEA
第4世代炉国際フォーラム(GIF)ナトリウ
ム冷却高速炉(SFR)システム運営委員
会 設計・安全性プロジェクト
SFR炉に要求される安全性のレベルやシビアアク
シデントに対する考え方に関する合意形成、R&D
協力を計画。
JAEA
IAEA 革新的原子炉及び核燃料サイクル
に関する国際プロジェクト(INPRO)
高速炉に関するクローズド燃料サイクルの共同
評価。
JAEA
21
(参考)安全研究国際協力一覧(6/6)
分野
委員会・多国間協力・二国間協力等
協力内容
Ⅴ.新型炉分
野
○高速増殖
炉の安全評
価技術(続き)
フランス原子力庁(CEA)との原子力研究
開発に関する協力
炉心損傷事象に関する試験及び評価技術開発、
Na漏洩・燃焼の評価技術開発の協力。
JAEA
国際原子力エネルギーパートナーシップ
(GNEP)日米共同行動計画 高速炉技術
ワーキンググループ
本年(2007)4月に合意された日米共同行動計画
の下に設置された6WGのひとつ。安全性に係わ
る研究協力の開始は2008以降となる予定。
JAEA
Ⅵ.放射線影
響分野
OECD/NEA/放射線防護・公衆衛生委員
会(CRPPH)
放射線防護規制に係わる科学的課題に関する
情報交換及び意見交換。
MEXT、JAEA、
JNES、NIRS
国際放射線防護委員会(ICRP)
放射線防護に関する検討・勧告。
NIRS、JAEA
原子放射線の影響に関する国連科学委
員会(UNSCEAR)
放射線の線源と影響等に関するレビュー・報告。
NSC、JAEA
米国環境保護庁(EPA)との放射線防護
分野の研究協力
線量評価研究、放射線影響/リスク研究、放射線
防護基準に関する情報交換。
JAEA
IAEA/ANSN/緊急時対応専門部会(EPRTG)活動
緊急時対策と対応に係わる優れた活動の共有、
訓練を通した知見の共有。
JAEA、JNES、
NIRS、
Ⅶ.原子力防
災分野
国内参加機関
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