第 74 回日本癌学会学術総会にて研究発表を行いました

第 74 回日本癌学会学術総会にて研究発表を行いました(2015/10/8-10)
テーマ:災害ストレスと産婦人科疾患
場所:名古屋国際会議場(名古屋市)
災害産婦人科学分野の研究テーマの一つである「災害ストレスと婦人科疾患」について、当
研究所の三木康宏 講師と笛未崎 技術専門職員(災害医学研究部門 災害産婦人科学分野)がポ
スター発表を行いました。
体の恒常性を司っているホルモンは、血液中を流れながらその作用を必要とする臓器(標的
臓器)で作用を発揮します。的確にホルモンの刺激を受けるために、標的臓器ではホルモンを受
け入れるタンパク構造を有しており、ホルモン受容体と呼ばれます。ホルモンはその受容体と結
合することで、始めてその作用を発揮することができます。ストレスによって分泌されるホルモ
ン群は、ストレスが生体に負の影響を及ぼさないように、血圧を上昇させたり脳や筋肉に糖を送
り込こむことでストレスに抵抗する体制を整えます。しかし、過度のストレスホルモンは自律神
経や免疫系に悪影響をおよぼすことも確認されています。このようにストレスホルモンは身体
の各所で重要な役割を果たしていることが知られていますが、子宮における疾患との関連につ
いては全くわかっていません。
三木講師はストレスホルモンであるコルチゾールが子宮内膜癌組織中に蓄積し、癌細胞の増
殖に関与すること明らかにし、さらにその受容体が癌増殖に関わることを発表しました(演題
名:Involvement of stress hormone, cortisol in endometrial cancer progression)
。笛技
術補佐員は子宮筋弛緩に関連するホルモンであるリラキシンが、同様に子宮内膜癌細胞の増殖、
浸潤に関与することを明らかにしました(演題名:Effects of relaxin on endometrial cancer
cell proliferation and invasion through differential pathways)
。国内外の多くの癌研究の
専門家が集う本会にて、当分野の「災害ストレスと婦人科疾患」をアピールする良い機会となり
ました。
座長の進行でポスター前で行われた発表の様子
左:笛技術専門職員
右:三木講師
文責:三木康宏(災害医学研究部門)