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関 係 各 位
2016 年 2 月 29 日
大鵬薬品工業株式会社
欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)
LONSURF ® (一般名:トリフルリジン・チピラシル)を
進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として承認勧告
大鵬薬品工業株式会社(本社:東京、代表取締役社長:小林 将之)は、新規の
経口ヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤「LONSURF ® 」(日本での製品名:「ロンサーフ ®
配合錠 T15・T20」、開発コード:TAS-102、一般名:トリフルリジン・チピラシル塩
酸塩、以下「本剤」)について、提携先のセルヴィエ社(フランス)が欧州医薬品庁
(European Medicines Agency:EMA)の医薬品委員会(Committee for Medicinal
Products for Human Use:CHMP)より、承認勧告を受領しましたのでお知らせし
ます。勧告の対象となる適応症は、「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン
療法、イリノテカン療法や抗 VEGF 抗体療法、および抗 EGFR 抗体療法を含む
既存治療の施行後、またはこれらの治療法が適応とならない、遠隔転移を有す
る成人の結腸・直腸癌」です。本剤は大鵬薬品が創製・開発し、ライセンス契約
の下、セルヴィエ社が EU 諸国での開発・販売権を保有しています。
今回の勧告は、標準化学療法に不応・不耐となった治癒切除不能な進行・再発
の結腸・直腸がん患者 800 名を対象に、日本を含む 13 カ国で実施した国際共
同 第 Ⅲ相 臨 床 試 験 (試 験 名 :RECOURSE)の結 果 に基 づいています。本 試 験 に
おいて、本剤投与群はプラセボ投与群に比較して、主要評価項目である全生存
期間(Overall Survival: OS)を有意に延長しました。本剤投与群はプラセボ投与
群 に比 較して死亡リスクを 32%低下し(ハザード比 0.68; 95%信頼 区間: 0.58 0.81; p<0.001)、全生存期間の中央値を 1.8 カ月延長しました(本剤投与群 7.1 カ
月、プラセボ投与群 5.3 カ月)。最も多く観察された副作用(≥ 30%)は好中球減少
症、悪心、倦怠感、貧血、白血球減少症でした 1, 2 。
また、本年開催されたGastrointestinal Cancers Symposium (米国臨床腫瘍学
会 消 化 器 がんシンポジウム)で発 表された全生存期 間の最 終解 析データ(死 亡
イベント 89%)においても、本剤投与群でプラセボ投与群に比較して臨床的な有
用 性 と統計 学的 に有 意な生存 期 間 の延 長 が確認されました。この最終 解 析結
果では、本剤投与群で死亡リスクを 31%低下し、全生存期間の中央値を 2 カ月
延長しました。全生存期間の中央値は本剤投与群で 7.2 カ月、プラセボ投与群
で 5.2 カ月であり(ハザード比 0.69; 95%信頼区間: 0.59 - 0.81; p<0.0001)、1 年生
存率はそれぞれ 27.1%と 16.6%でした 2, 3 。
今 回 の承認勧告を受 けて、本剤は今後 欧 州委員会で審 議されることとなり、欧
州委員会により販売が承認されると、本剤の承認は EU 加盟国 28 カ国とアイス
ランド、リヒテンシュタイン、およびノルウェーに適用されることになります。
2015 年 6 月、大鵬薬品とセルヴィエ社は本剤の共同開発および商業化に関す
るライセンス契約を締結しました。本契約に基づき、セルヴィエ社は欧州・その他
地域(北米・日本/アジアを除く)において、本剤の開発と商業化を進めてまいりま
す。大鵬薬品は本剤を製造・供給し、北米・日本/アジアで本剤の開発と商業化
を進めてまいります。
【遠隔転移を有する結腸・直腸がんについて】
結腸・直腸がんは、今なおアンメット・ニーズの高い疾患であり、2012 年には欧州で 21
万 5,000 人が結腸・直腸がんで死亡し、2 番目に死亡数の多いがんとされています 4 。
結腸・直腸がん患者の約 25%において初回診断時に遠隔転移が確認され、約 50%で
遠隔転移を起こすとされています 5 。遠隔転移は、結腸・直腸がんの高い死亡率につな
がっており、遠隔転移を有するステージIVの結腸・直腸がん患者の 5 年生存率は約
11%となっております 6 。
【LONSURF(ロンサーフ)について】
本 剤 は、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩 酸塩 (TPI)を配 合 した経 口のヌクレオシド
系 抗 悪 性 腫 瘍 剤 で、フルオロピリミジンとは異 なる作 用 機 序 を有 しています。FTD は
DNA の複製時にチミジンの代わりに DNA 鎖に取り込まれ、DNA の機能障害を引き起こ
して抗腫瘍効果を発揮すると推測されています。TPI は FTD の分解に関与するチミジ
ンホスホリラーゼを阻害し、FTD の血中濃度を維持します。
本剤は、日本では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症で大鵬薬品
が販売、米国では「フルオロピリミジン療法、オキサリプラチン療法、イリノテカン療法や
抗VEGF抗体療法、およびRAS野生型 の場合は抗EGFR抗体療法の治療歴があり、遠
隔転移を有する結腸・直腸癌」の適応症で、大鵬薬品の米国子会社である大鵬オンコ
ロジー社が販売しています 7, 8 。
【セルヴィエ社について】
セルヴィエ社は、フランスに本社を置く研究開発型の非上場製薬会社です。世界 148 カ
国で積極的に事業を展開しており、セルヴィエ社の医薬品の 92%がフランス国外で処
方されています。従業員数は 21,200 名を超えています。2015 年の売上高は約 39 億ユ
ーロで、うち 24%が研究開発に投資されました。
現 在 、乳がん、肺 がん、その他固 形がん、種々のリンパ腫 、白 血病 等の革新 的ながん
治療薬を対象に 8 つの新規化合物の開発を世界中の複数のパートナーとともに進めて
おり、これら化合物は、細胞毒性や、プロアポトーシス、分子標的、免疫・細胞治療とい
った、がんの様々な異なる治療法をカバーしています。
Mayer RJ, et al. Randomized Trial of TAS-102 for Refractory Metastatic Colorectal
Cancer. N Engl J Med 2015; 372:1909-19.
2 LONSURF Summary of Product Characteristics
3 TAS-102 versus placebo plus best supportive care in patients with metastatic colorectal
cancer refractory to standard therapies: Final survival results of the phase III RECOURSE
trial. J Clin Oncol 34, 2016 (suppl 4S; abstr 634) Available at:
http://meetinglibrary.asco.org/content/159397-173 Accessed February 2016
4 Ferlay J, Steliarova-Foucher E, Lortet-Tieulent J et al. Cancer incidence and mortality
patterns in Europe: estimates for 40 countries in 2012. Eur J Cancer 2013;49: 1374–1403.
5 Metastatic colorectal cancer: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment
and follow-up. Ann Oncol (2014) 25 (suppl 3): iii1-iii9.
6 American Cancer Society. Colorectal Cancer. Available at:
http://www.cancer.org/cancer/colonandrectumcancer/detailedguide/colorectal-cancer-survi
val-rates Accessed February 2016
7 FDA News Release. FDA approves new oral medication to treat patients with advanced
colorectal cancer. 22 September 2015. Available at:
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm463650.htm
Accessed February 2016
8 Taiho Pharma. Taiho's Lonsurf® (trifluridine and tipiracil hydrochloride) Tablets
Approved in Japan for Treatment in Advanced Metastatic Colorectal Cancer. Available at:
http://www.taiho.co.jp/english/news/20140324.html Accessed February 2016
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