僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術スライド - 帝京大学 医学部

第3回帝京大学心臓外科セミナー
僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術
帝京大学 心臓血管外科
真鍋 晋
Normal
Prolapse
今日のお題
• 弁尖、腱索、乳頭筋
僧帽弁の解剖
• Coaptationの重要性
• 逸脱の機序
• 弁形成の基本テクニック
僧帽弁形成術
• 弁形成 vs. 弁置換術
• 遠隔期成績
僧帽弁の構造
弁尖
前尖
後尖
腱索
乳頭筋
前乳頭筋
後乳頭筋
僧帽弁の構造
僧帽弁の展開図
後尖
前尖
後尖
弁尖
腱索
乳頭筋
僧帽弁を横からみると,,,
心エコーのview
大動脈
左室
前尖
左心房
後尖
僧帽弁を外科医の眼からみると
(Surgeon’s view)
僧帽弁の解剖
手術時に展開される僧帽弁 (Surgeon’s view)
弁尖の分類
前尖
後尖
(Acar分類)
なぜパラシュートのような構造になってい
るか?
僧帽弁の前後で大きな血圧の差が生じる。
血圧
10 mmHg
血圧
130 mmHg
弁尖同志が重なりあい、
coaptationを形成する。
クリアゾーン
ラフゾーン
×
水泳用のゴールはシリコンが面で顔に密着し、
防水性をもたせている。
収縮期に弁口が25-40%%減少す
る。
さらに乳頭筋が収縮する。
Coaptationが増加する。
僧帽弁逆流はどのように生じるのか?
パラシュートのひもが、
切れてしまったら,,,
僧帽弁逸脱(PROLAPSE)はどのよう
にして治すのか?
僧帽弁形成術
僧帽弁形成術の主なテクニック
1.弁輪形成
(原則として全例)
2.矩形切除
(主に後尖)
3.人工腱索移植
(主に前尖)
僧帽弁形成術の流れ
1.弁輪に糸かけ
2.僧帽弁を展開する。
3.後尖病変があれば、矩形切除
4.前尖病変があれば、人工腱索
5.リング装着
6.人工腱索を調節する。
僧帽弁形成術の流れ
1.弁輪に糸かけ
2.僧帽弁を展開する。
3.後尖病変があれば、矩形切除
4.前尖病変があれば、人工腱索
5.リング装着
6.人工腱索を調節する。
弁輪への糸かけ
1.弁輪に糸かけ
2.展開
3.矩形切除
4.人工腱索
5.リング装着
6.人工腱索調節
弁輪への糸かけ
僧帽弁形成術の流れ
1.弁輪に糸かけ
2.僧帽弁を展開する。
3.後尖病変があれば、矩形切除
4.前尖病変があれば、人工腱索
5.リング装着
6.人工腱索を調節する。
後尖の矩形切除
逸脱している場所を、
切り取って取り除く。
1.弁輪に糸かけ
2.展開
3.矩形切除
4.人工腱索
5.リング装着
6.人工腱索調節
矩形切除
1. マークをつけ
2. 切除する
3. 弁輪に糸かけ
Compression suture
2-0 etibond interrupted
4. 縫合する
5-0PPP continuours
僧帽弁形成術の流れ
1.弁輪に糸かけ
2.僧帽弁を展開する。
3.後尖病変があれば、矩形切除
4.前尖病変があれば、人工腱索
5.リング装着
6.人工腱索を調節する。
人工腱索移植
切れてしまった腱索を、
再建する。
人工腱索移植
1.弁輪に糸かけ
2.展開
3.矩形切除
4.人工腱索
5.リング装着
6.人工腱索調節
1. 乳頭筋に糸かけ
CV-5 with pledget
人工腱索移植
2. 弁尖に糸かけ
人工腱索移植
1.弁輪に糸かけ
2.展開
3.矩形切除
4.人工腱索
5.リング装着
6.人工腱索調節
3. ターニケットで長さ調節
人工腱索移植
僧帽弁形成術と僧帽弁置換術は
どちらがいいのでしょうか?
弁置換術
VS.
弁形成術
Valve Repair Improves the Outcome of Surgery for Mitral Regurgitation
(弁形成術は僧帽弁閉鎖不全症の外科治療成績を改善する)
Maurice Enriquez-Sarano, MD
Mayo Clinic and Mayo Foundation,Rochester, Minn
(Circulation. 1995;91:1022-1028.)
僧帽弁閉鎖不全症に対して、僧房弁形成術を行った195人と僧房弁置換術を
行った214人との間で治療成績を比較した。
弁置換術 VS. 弁形成術
短期治療成績
弁置換術 (214例)
弁形成術 (195例)
手術死亡率
10.3%
遠隔期死亡原因
心不全
弁合併症
心臓以外
27例
17例
8例
9例
8例
6例
合併症回避率
再手術
血栓塞栓症
感染性心内膜炎
出血合併症
80%
70%
97%
73%
75%
68%
92%
88%
Enriquez- Sarano M, et al.
2.6%
Circulation 1995;91:1022-1028
弁置換術 VS. 弁形成術
遠隔期生存率
一般人口
僧帽弁置換術
Enriquez- Sarano M, et al.
一般人口
僧帽弁形成術
Circulation 1995;91:1022-1028
僧帽弁形成術はどのくらい
長持ちするのでしょうか?
弁形成術の遠隔期成績
DURABILITY OF MITRAL VALVE REPAIR FOR DEGENERATIVE DISEASE
(僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術の耐久性)
Marc Gillinov, MD
The Cleveland Clinic Foundation, Cleveland, OH
(J Thorac Cardiovasc Surg 1998;116:734-43)
僧帽弁閉鎖不全症に対して、僧房弁形成術を行った1072人について遠隔期の治
療成績を検討した。
再手術回避率
10年で92.9%
63%が弁に関連する
再手術の原因
不完全修復
7%
縫合不全
11%
不明
4%
弁病変の進行
59%
短縮腱索の断
裂
15%
心内膜炎
4%
※このスライドは帝京大学で行っている CVS セミナーで使用しております。CVS セミナーは
心臓外科に関するレクチャーを毎月一回開催しています。心臓血管外科、麻酔科、循環器
内科を中心に、看護師、臨床工学技師、理学療法士など毎回 30 名前後のメンバーが参加
しています。下記のホームページより他のスライドもご覧いただけます。
帝京大学医学部心臓血管外科学講座ホームページ
http://www.teikyo-cvs.com/index.html