「明確なビジョン・活動目的の共有」「リーダー」「実行力」が地域経済振興

2016 年 3 月 29 日
日本政策金融公庫
総 合 研 究 所
「明確なビジョン・活動目的の共有」「リーダー」「実行力」が地域経済振興活動の実効性を高める
~「地域経済の振興に取り組む中小企業に関するアンケート調査」結果~
Ⅰ
調査の目的
Ⅱ
実施要領
Ⅲ
サンプルのウェイト付け
Ⅳ
主な属性等
Ⅴ
1
2
3
4
Ⅵ
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
1
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
2
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
2
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
3
調査結果
地域経済振興活動への取り組み状況
-- -- -- -地域経済振興活動に取り組まない理由
-- -- -- -最も力を入れている活動と取り組みの動機
-- -- -活動の成果を左右する要因
-- -- -- -- -- -- -- --
5
9
10
11
まとめ
15
-- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- -- --
<問い合わせ先>
日本政策金融公庫総合研究所
小企業研究第一グループ
TEL 03-3270-1687
担当
村上
Ⅰ 調査の目的
地域経済はさまざまな問題を抱えている。とりわけ、高齢化の進展、人口減少など「人口問題」や企業の倒産・廃業等による「企業数の減
少」は10年前と比較して、より多くの地域で問題点として認識されるようになった(参考図-1)。その結果、多くの地域において経済が縮小
段階にあると考えられており(参考図-2)、地域経済を振興する活動が今まで以上に重要となっている。
中小企業は地域経済において重要なウェイトを占めている。そこで、中小企業やその経営者が取り組んでいる地域経済振興活動について、そ
の実態を明らかにするために本調査を実施した。
(参考図-1)地域経済が抱える問題点(複数回答、10年前と現在)
(%)
100
80
人口問題
既存企業の減少
10年前79.4%
現在92.5%
10年前72.8%
現在86.2%
経営環境の悪化
10年前64.3%
現在68.0%
(参考図-2)地域経済の現状
新規企業が
増えない
雇用機会
ボトルネック
2.8
10年前35.7%
現在44.1%
10年前51.5% 10年前43.6%
現在49.8%
現在58.2%
縮小して
いる
89.8
69.8
10年前
(n=1,532)
63.7
57.5
60
49.7
37.8
40
51.9
47.0
45.9
50.5
46.8
34.3
30.9
30.4
28.8
27.4
30.4
26.4
18.3
20
32.9
32.3
24.6
23.5
24.2
18.1
20.8
17.5
現在
(n=1,552)
40.6
40.4
29.8
23.8
12.0
5.7
4.8
人
口
の
自
然
減
人
口
の
社
会
減
企
業
の
廃
業
・
倒
産
が
多
い
中
心
市
街
地
・
商
店
街
の
空
洞
化
事
業
承
継
が
進
ま
な
い
で
あ
る
企
業
の
域
外
移
転
地
域
経
済
の
重
要
な
担
い
手
公
共
投
資
の
縮
減
観
光
客
が
増
え
な
い
家
計
所
得
の
低
迷
主
要
産
業
の
低
迷
で地
あ域
る経
企済
業の
の重
業要
績な
不担
振い
手
創
業
が
増
え
な
い
企
業
誘
致
が
進
ま
な
い
働
き
手
が
希
望
足す
る
職
種
等
が
不
雇
用
の
受
け
皿
が
不
足
人
材
不
足
横ばいで
ある
(n=1,545)
58.9
発展して
いる
24.6
18.7
19.0
6.9
5.4
4.8
0
高
齢
化
の
進
展
38.3
労
働
力
不
足
交
通
網
な
ど
の
分イ
ン
フ
ラ
が
不
十
交
通
網
な
ど
の
イ
ン
フ
ラ
が
劣
化
2.6 0.3
1.0
0.1
そ
の
他
(単位:%)
と
く
に
な
し
資料: 日本政策金融公庫「地域経済の現状と経済振興の取り組みに関するアンケート」結果(2016年3月)
(注) 人口100万人未満の市町村に立地する商工会・商工会議所2,141組織を対象に、地域経済の現状等を尋ねたアンケート調査である(回収数1,553組織、回収率72.5%)。
1
Ⅱ
Ⅲ
調査の実施要領
①
調査時点
2015年11月
②
調査対象
日本政策金融公庫(国民生活事業、中小企業事業)の取引先企業 13,000社
③
調査方法
調査票の送付・回収ともに郵送、アンケートは無記名
④
回収数
4,693社(回収率36.1%)
サンプルのウェイト付け
アンケート回答企業は実際の分布と比べて、製造業及び従業者20人以上の企業の構成比が高い。そこで、こうした偏りを調整し、実際の企業分布に近似し
た集計を行うために、集計ウェイトを設定した。以下では、ウェイト付けした集計結果を示す(ただし、n値は原数値を示す)。
①サンプルの分布
建設業
製造業
情報通信業
運輸業,郵便業
卸売業
小売業
不動産業,物品賃貸業
学術研究,専門・技術サービス業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
医療,福祉
その他のサービス業
その他
全産業(公務を除く)
(単位:社)
1~9人
10~19人
20人以上
合計
588
102
93
783
324
154
564
1,042
43
18
61
77
30
100
207
325
80
134
539
506
80
101
687
145
23
20
188
34
169
203
214
38
50
302
125
25
25
175
21
15
36
112
23
28
163
150
31
50
231
56
8
12
76
2,839
628
1,226
4,693
③集計ウェイト
建設業
製造業
情報通信業
運輸業,郵便業
卸売業
小売業
不動産業,物品賃貸業
学術研究,専門・技術サービス業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
医療,福祉
その他のサービス業
その他
②総務省「経済センサス-基礎調査」(2014年)による企業の分布
建設業
製造業
情報通信業
運輸業,郵便業
卸売業
小売業
不動産業,物品賃貸業
学術研究,専門・技術サービス業
宿泊業,飲食サービス業
生活関連サービス業,娯楽業
教育,学習支援業
医療,福祉
その他のサービス業
その他
全産業(公務を除く)
(単位:社)
1~9人
10~19人
20人以上
合計
372,657
54,627
28,894
456,178
295,746
54,517
67,340
417,603
36,635
9,576
46,211
37,862
13,363
23,497
74,722
177,128
28,090
27,602
232,820
573,305
56,432
44,377
674,114
307,705
7,802
6,336
321,843
22,509
173,263
195,772
481,941
39,383
25,227
546,551
355,188
14,826
15,386
385,400
109,919
10,173
120,092
198,799
50,777
50,829
300,405
207,304
20,280
26,087
253,671
49,925
8,970
8,323
67,218
3,361,975
377,892
352,733 4,092,600
1~9人
10~19人
20人以上
633.8
535.6
310.7
912.8
354.0
119.4
852.0
532.0
491.7
445.4
235.0
545.0
351.1
206.0
1133.0
705.4
439.4
2122.1
339.2
316.8
662.0
1025.2
2252.1
1036.4
504.5
2841.5
593.0
615.4
5234.2
678.2
1775.0
2207.7
1815.3
1382.0
654.2
521.7
891.5
1121.3
693.6
(注) ②表を①表の対応するセルごとに除して集計ウェイトを算出した。
なお、一部の業種については十分なサンプル数が得られないことか
ら、従業者規模のセルを統合して集計ウェイトを算出した。
2
Ⅳ
主な属性等
1
企業の属性等
①従業者規模
③業種
④加入団体(複数回答)
(単位:%)
3.7
1~4人
5.0
9.8
(n=4,693) 53.6
27.9
大分類業種
(n=4,693)
5~9人
建設業
11.2
10~19人
製造業
10.2
20~49人
情報通信業
1.1
50人以上
運輸業、郵便業
1.8
卸売業
5.7
小売業
16.5
(単位:%)
不動産業、物品賃
貸業
学術研究、専門・
技術サービス業
宿泊業、飲食サー
ビス業
生活関連サービス
業、娯楽業
②業歴
5.8 12.9
6.2
7.4
21.6
12.9 (n=4,671)
15.2
18.1
9年以下
10~19年
20~29年
30~39年
40~49年
50~59年
60~69年
70年以上
7.9
各種組合
32.2
青色申告会・法人会
31.2
中小企業家同友会
2.5
青年会議所
2.4
1.2
NPO法人
7.4
その他
(n=4,639)
16.6
加入団体なし
0
20
40
60
80(%)
4.8
13.4
(注) 「各種組合」には、生活衛生同業組合、商店街振興組合、商工
組合、事業協同組合などが含まれる。
9.4
教育、学習支援業
2.9
医療、福祉
7.3
その他のサービス
業
6.2
その他
1.6
合計
62.1
商工会・商工会議所
⑤現在の業況
5.6
17.6
悪い
35.3
(n=4,626)
やや悪い
やや良い
100.0
41.5
良い
(単位:%)
(単位:%)
資料: 日本政策金融公庫「地域経済の振興に取り組む中小企業に関するアンケート」(以下同じ)
(注) ウェイト付け後の集計結果である。ただし、n値は原数値を示している(以下同じ)。
3
2
経営者の属性等
3
①現在の年齢
立地する市町村
①人口規模
③地域圏区分
5万人未満
15.6
5.2
39歳以下
19.4
19.6
24.2
40歳代
50歳代
(n=4,685)
(n=4,688) 12.6
60歳代
31.5
21.3
70歳以上
28.4
22.2
5万~10万人
未満
10万~30万
人未満
30万~100万
人未満
100万人以上
29.4
37.9
(n=4,688)
4.6
地方圏
28.1
(単位:%)
(単位:%)
(単位:%)
(注)1 国勢調査(2015年速報値)による。
2 東京特別区部は「100万人以上」に含
めた。
②後継者の決定状況等による分類
大都市圏中心
市
大都市圏周辺
市町村
都市圏
(注) 国勢調査における分類である。地域
圏区分の詳細については参考2(17
ページ)を参照。
②人口増加率(1995年→2015年)
④過疎地域指定状況
(単位:%)
分類
決定企業
未定企業
事業承継の意向はあ
るが、後継者が決
まっていない企業
廃業予定企業
時期尚早企業
合計
選択肢
後継者は決まっている
(後継者本人も承諾している)
後継者の候補が複数おり、誰
を選ぶかまだ決めかねている
後
後継者にしたい人はいるが、
継
本人がまだ若い
者
は 現在、後継者を探している
決
後継者にしたい人はいるが、
ま
っ 本人が承諾していない
て その他
い
自分の代で事業をやめるつも
な
りである
い
自分がまだ若いので、今は決
める必要がない
(n=4,631)
26.9
5.3
2.6
10.8
30.6
50.3 (n=4,688)
9.7
29.7
5.0
2.5
27.3
15.2
100.0
▲21.9%以下
14.8
29.9
▲21.9%超
▲12.0%以下
▲12.0%超
1.4%以下
1.4%超
(単位:%)
(注) 人口増加率の分類は、全国1,741市区
町村の人口増加率の四分位点によっ
て設定したものである。市区町村
ベースの人口増加率の分布は参考1
(16ページ)を参照。
4
過疎地域
(n=4,688)
70.1
非過疎地
域
(単位:%)
(注) 過疎地域自立促進特別措置法によ
る。同法2条1項、33条1項、33条2項
のいずれかに該当する地域を「過疎
地域」とし、それ以外を「非過疎地
域」とした。
Ⅴ
調査結果
1 地域経済振興活動への取り組み状況
(1) 取り組み割合と活動の種類
◯ 地域経済を振興する活動への取り組み状況をみると、「企業・経営者個人の両方で取り組んでいる」割合は8.9%、「企業として取り組んでいる」
割合は12.5%、「経営者個人として取り組んでいる」割合は4.5%であり、合わせて25.9%の企業がいずれかの形態で取り組んでいる(図-1)。
◯ 取り組んでいる活動の種類は、「商店街・中心市街地の活性化」が46.1%と最も多く、「異業種交流・産学官連携」(27.8%)、「観光振興」
(26.2%)、「農商工連携、地域資源の活用」(21.7%)、「地場産業・伝統産業の振興」(19.4%)が続く(図-2)。
図-1 地域経済を振興する活動への取り組み状況
図-2 取り組んでいる活動の種類(複数回答)
(%)
50
46.1
(n=1,232)
8.9
12.5
(n=4,465)
74.1
企業・経営者個人の
両方で取り組んでい
る
企業として取り組ん
でいる
40
30
27.8
26.2
25.9%
21.7
4.5
20
経営者個人として取
り組んでいる
19.4
12.8
8.8
10
取り組んでいない
8.7
6.8
5.3
4.7
創
業
支
援
企
業
・
工
場
等
の
誘
致
移
住
の
促
進
0
(単位:%)
異
商
業
店
種
街
交
活・ 連流
中
性
携・
化心
産
市
官
街
学
地
の
資料: 日本政策金融公庫「地域経済の振興に取り組む中小企業に関するアンケー
ト」(以下同じ)
(注) ウェイト付け後の集計結果である。ただし、n値は原数値を示している(以
下同じ)。
5
観
光
振
興
地
農
場
商
産
工
の業
の連 振・
活携 興伝
用、
統
地
産
域
業
資
源
中
小
企
業
へ
の
経
営
支
援
新
産
業
の
創
出
そ
の
他
(2) 属性別にみた取り組み割合~企業の規模、業歴、業況、加入団体の有無等
◯ 地域経済振興活動への取り組み割合を従業者規模別にみると、規模が大きいほど取り組み割合は明らかに高い(図-3)。
◯ 業歴別の取り組み割合は、業歴が長いほど高くなる傾向が見られ、「70年以上」の企業では47.2%と半分近くにのぼる(図-4)。
◯ 業況別に取り組み割合をみると、業況が「悪い」企業は19.7%に過ぎないのに対して、「やや良い」企業は28.6%、「良い」企業は36.0%と、業
況が良好な企業ほど取り組み割合は高い(図-5)。
◯ 加入団体の有無・種類別にみると、「加入団体なし」の企業では取り組み割合は7.8%と低く、団体に加入している企業は相対的に多くの企業が地
域振興活動に取り組んでいる(図-6)。
図-3 取り組み割合(従業者規模別)
1~4人
(n=1,737)
5~9人
(n=940)
10~19人
(n=597)
20~49人
(n=662)
50人以上
(n=528)
図-5 取り組み割合(業況別)
悪い
(n=667)
22.1
28.9
やや悪い
(n=1,687)
30.9
20
30
商工会・商工会議所
(n=3,207)
各種組合
(n=1,603)
青色申告会・法人会
(n=1,668)
中小企業家同友会
(n=174)
青年会議所
(n=150)
NPO法人
(n=57)
その他
(n=294)
加入団体なし
(n=606)
20.7
22.0
27.6
24.7
32.4
38.3
47.2
10
20
10
20
30
40(%)
図-6 取り組み割合(加入団体の有無・種類別)
20.3
0
36.0
0
40(%)
図-4 取り組み割合(業歴別)
9年以下
(n=429)
10~19年
(n=754)
20~29年
(n=691)
30~39年
(n=616)
40~49年
(n=650)
50~59年
(n=461)
60~69年
(n=429)
70年以上
(n=412)
28.6
良い
(n=294)
35.5
10
24.2
やや良い
(n=1,762)
32.8
0
19.7
30
40
50 (%)
31.8
34.7
33.8
54.5
60.8
58.2
40.4
7.8
0
6
10
20
30
40
50
60
70(%)
(3) 属性別にみた取り組み割合~経営者の年齢、事業承継の見込み
◯ 経営者の年齢別に取り組み割合をみると、「40歳代」が21.9%と最も低く、「39歳以下」「50歳代」「60歳代」はほぼ同水準、「70歳以上」は
32.5%と高い。40歳代以降は年齢が高くなるにつれて取り組み割合が高まる傾向がみられる(図-7)。
◯ 後継者の決定状況等による分類別に取り組み割合をみると、「廃業予定企業」(自分の代で事業をやめるつもりの企業)は18.8%と最も低い。
「未定企業」(事業承継の意向はあるが、後継者が決まっていない企業)は27.4%、「決定企業」(後継者が決まっており、後継者本人も承諾して
いる企業)は33.7%と、事業承継の見込みが高い企業ほど、地域振興活動への取り組み割合も高い(図-8)。
図-7 取り組み割合(経営者の年齢別)
図-8 取り組み割合(後継者の決定状況等による分類別)
39歳以下
(n=209)
決定企業
(n=1,369)
25.9
40歳代
(n=830)
21.9
50歳代
(n=1,245)
未定企業
(n=1,462)
24.5
60歳代
(n=1,466)
70歳以上
(n=707)
20
30
18.8
時期尚早
企業
(n=684)
32.5
10
27.4
廃業予定
企業
(n=894)
26.6
0
33.7
40(%)
22.6
0
10
20
30
40(%)
(注) 「後継者の決定状況等による分類」の詳細については、4ページ「2
経営者の属性等」の②を参照。
7
(4) 立地別にみた取り組み割合
◯ 企業が立地する市町村の人口規模別に取り組み割合をみると、「5万人未満」の市町村に立地する企業は35.8%と最も高く、人口規模が大きくなる
ほど取り組み割合は傾向的に低い(図-9)。
◯ 1995年から2015年にかけての人口増加率別にみると、人口増加率が低い(=人口減少率が高い)市町村に立地する企業ほど取り組み割合は高い
(図-10)。
◯ 地域圏区分別では、「大都市圏中心市」「大都市圏周辺市町村」では取り組み割合が相対的に低く、「都市圏」「地方圏」では高い(図-11)。
◯ 過疎地域指定状況別にみると、「過疎地域」に立地する企業の取り組み割合と「非過疎地域」の取り組み割合との間に大きな差はない(図-12)。
◯ 人口規模が小さく人口減少率が高い市町村、地方圏といった、地域経済振興活動を必要とする地域に立地する企業ほど取り組み割合が総じて高い
といえる。
図-9 取り組み割合(人口規模別)
図-11 取り組み割合(地域圏区分別)
5万人未満
(n=838)
5万~10万人未満
(n=601)
10万~30万人未満
(n=1,014)
30万~100万人未満
(n=889)
100万人以上
(n=1,119)
35.8
26.8
26.1
0
10
地方圏
(n=1,637)
20
30
40(%)
▲21.9%超▲12.0%以下
(n=635)
31.8
0
20
過疎地域
(n=1,361)
30
40 (%)
27.8
非過疎地域
(n=3,099)
26.2
22.2
25.2
0
30
10
図-12 取り組み割合(過疎地域指定状況別)
34.9
▲12.0%超1.4%以下
(n=1,384)
30.4
(注) 地域圏区分の詳細については17ページを参照(以下同じ)。
36.3
20
22.0
21.2
▲21.9%以下
(n=213)
10
大都市圏周辺市町村
(n=1,301)
都市圏
(n=188)
図-10 取り組み割合(1995年から2015年にかけての人口増加率別)
0
21.6
21.7
(注) 東京特別区部は「100万人以上」に含めた(以下同じ)。
1.4%超
(n=2,229)
大都市圏中心市
(n=1,335)
10
20
30
40 (%)
(注) 過疎地域自立促進特別措置法による。同法2条1項、33条1項、33条
2項のいずれかに該当する地域を「過疎地域」とし、それ以外を
「非過疎地域」とした(以下同じ)。
40 (%)
(注) 人口増加率の分類については参考1(16ページ)を参照(以下同じ)。
8
2
地域経済振興活動に取り組まない理由
◯ 地域振興活動に取り組まない企業も74.1%存在する(5ページ、図-1)。
◯ これらの企業についてその理由をみると、「時間の余裕がないから」をあげる企業割合が59.1%にのぼる。次いで、「経済的に余裕がないから」
(41.2%)、「体力的に本業との両立が困難だから」(38.0%)の割合が高いなど、余裕がないことを理由にあげる割合が高い。一方で、「本業の
発展が地域経済の振興につながるから」をあげる企業も24.8%と、一定割合存在する(図-13)。
◯ 地域振興活動に取り組まない理由を従業者規模別にみると、余裕がないことを理由にあげる割合は規模の小さな企業ほど高い傾向にある。逆に、
「本業の発展が地域経済の振興につながるから」をあげる割合は規模の大きな企業ほど高い(表)。
図-13 地域振興活動に取り組まない理由(複数回答)
表 地域振興活動に取り組まない理由(従業者規模別、複数回答)
(単位:%)
従業者規模別
9人以下
10~19人
20人以上
(n=1,948) (n=385)
(n=728)
59.1
時間の余裕がないから
余裕がない
41.2
経済的に余裕がないから
体力的に本業との
両立が難しいから
時間の余裕がないから
38.0
本業の発展が地域経済の
振興につながるから
24.8
何をやればよいか
分からないから
23.8
60.4
58.5
45.9
44.1
34.7
18.5
39.0
37.9
27.4
21.9
36.0
41.5
24.8
21.9
16.4
活動資金の確保が難しい
から
17.7
17.7
10.2
経営資源が
人材の確保が難しいから
不足
14.2
26.1
19.3
15.4
14.3
14.8
成果がみえ 成果がみえにくいから
にくい・あ
どうせ成果はあがらない
がらない
から
すでに地域経済は十分に振興されてい
るから
7.9
4.9
5.4
3.4
1.5
1.9
1.0
1.6
2.1
その他
4.3
4.3
3.1
余裕がない 経済的に余裕がないから
体力的に本業と両立する
のが難しいから
本業の発展が地域経済の振興につなが
るから
何をやればよいか分からないから
17.1
活動資金の確保が難しいから
人材の確保が難しいから
15.7
ノウハウがないから
15.2
経営資源が不
足
ノウハウがないから
7.4
成果がみえにくいから
成果がみえに
くい・あがら
ないから
3.1
どうせ成果はあがらないから
すでに地域経済は十分
振興されているから
1.1
(n=3,061)
4.2
その他
0
20
40
60
80 (%)
9
3
最も力を入れている活動と取り組みの動機
◯ 地域経済を振興する活動のうち最も力を入れている活動をみると、企業としての取り組みでは「商店街・中心市街地の活性化」をあげる割合が
34.5%と最も高い。次いで、「異業種交流・産官学連携」「観光振興」「農商工連携、地域資源の活用」「地場産業・伝統産業の振興」と続く。こ
れら上位5項目は、個人としての取り組みでも共通している(図-14)。
◯ 企業として最も力を入れている活動について取り組みの動機をみると、「長い目で見れば自社の利益になるから」「地域の企業として当然のこと
だから」「自社の業績向上に直結するから」が上位を占める(図-15)。
◯ 個人として最も力を入れている活動についての動機では、「地元で事業を営む者としての義務だと思うから」「経営する企業にとって必要な活動
だから」「地域経済の振興に住民として役立ちたいから」が上位を占める(図-16)。
◯ 自社に対するメリットを求める意識と、地域の企業や住民として当然のことだという意識の両方がうかがえる。
図-14 最も力を入れている活動
図-15 取り組みの動機(企業として最も力を入れている活動、択一回答)
商店街・中心市街地の
活性化
(%)
30 25.9
34.5
32.1
異業種交流・産官学
連携
15.4
16.1
20
農商工連携、地域資源
の活用
0
10.3
9.4
地場産業・伝統産業
の振興
8.0
8.5
中小企業への経営支援
3.0
2.0
新産業の創出
3.3
1.5
(%)
30
創業支援
20
企業・工場等の誘致
2.2
2.2
10
企業としての取り組み
(n=1,019)
0
個人としての取り組み
(n=590)
10.7
5
当
然
の
こ
と
だ
か
ら
地
域
の
企
業
と
し
て
直
結
す
る
か
ら
自
めこ
社
のの
の
企活
業 だ 業 動か
績 か
( をら
向 ら団す
上
体る
に
)た
等
が
決
め
た
こ
と
だ
加
入
し
て
い
る
団
体
3.5
3.4
2.8
自
社
の
評
判
が
高
ま
活
動
自
か体
らが
面
白
い
知
人
等
かに
ら誘
わ
れ
た
つ
き
あ
い
だ
か
ら
る
と
思
う
か
ら
1.0
高
ま
る
か
ら
従
業
員
の
や
る
気
が
0.4
す
く
な
る
か
ら
26.8
従
業
員
を
確
保
し
や
2.7
そ
の
他
(n=515)
24.4
9.9
6.9
0
長
い
目
で
見
れ
ば
自
3.6
20.6
2.2
1.1
その他
社
の
利
益
らに
な
る
か
3.8
図-16 取り組みの動機(個人として最も力を入れている活動、択一回答)
1.5
2.0
移住の促進
6.1
10
12.7
14.4
観光振興
(n=873)
23.7 23.1
10
15
20
25
30
35
40(%)
10
5.7
者地
元
とと
で
思し
て
うの事
か義業
ら務を
営
だむ
と経
っ営
て
だ必す
か要る
らな企
活業
動に
住地
民域
たと経
いし済
かての
ら役振
立興
ちに
活
動
自
か体
らが
面
白
い
知
人
等
かに
ら誘
わ
れ
た
6.7
3.1
2.4
判経
が営
高す
かまる
らる企
と業
思の
う評
等加
が入
決し
かめて
らたい
こる
と団
だ体
0.5
つ
き
あ
い
だ
か
ら
そ
の
他
4
活動の成果を左右する要因
(1) 活動の成果
◯ 企業または個人として最も力を入れている活動について成果をみると、「十分な成果があがっている」と回答した割合は6.2%、「ある程度は成果
があがっている」の割合は64.6%を占め、合わせて約7割の活動について「成果があがっている」と評価している(図-17)。
◯ 活動の種類別では、観光振興に対して「十分な成果があがっている」または「ある程度は成果があがっている」とする割合は合わせて80.4%と高
い。一方で「商店街・中心市街地の活性化」は64.3%と低い(図-18)。
図-17 活動の成果
図-18 活動の成果(活動の種類別)
(単位:%)
(単位:%)
4.4
全く成果があがっていない
ある程度は成果があがっている
あまり成果があがっていない
十分な成果があがっている
3.0
全く成果があ
がっていない
商店街・中心市街地
4.7
の活性化(n=372)
31.1
61.3
24.8
64.3
異業種交流・産官学
4.3
連携(n=350)
あまり成果が
あがっていな
い
24.8
観光振興(n=159)
18.8
70.8
農商工連携、地域
資源の活用(n=170)
ある程度は成
果があがって
いる
4.8
70.9
0.8
69.4
11.0
80.4
1.9
64.6
66.1
23.9
4.3
69.8
74.1
地場産業・伝統産業
の振興(n=182)
7.7
22.8
64.3
5.2
69.5
十分な成果が
あがっている
6.2
(注) 取り組み割合の高い上位5つの活動(図-14参照)について、成果をみたものである。
(n=1,528)
(注) 「企業として最も力を入れている活動」及び「個人とし
て最も力を入れている活動」を合わせた、のべ1,528件
の活動についてみたものである(以下、同じ)。
11
(2) 企業及び経営者の属性別にみた活動の成果
◯ 企業の従業者規模別に活動の成果をみると、「十分な成果があがっている」と「ある程度は成果があがっている」を合わせた「成果があがってい
る」と評価する割合は規模の大きな企業ほど高い傾向がある(図-19)。
◯ 企業の業況別についても同様に、業況が良い企業ほど「成果があがっている」とする割合が高い(図-20)。
◯ 経営者の年齢別に活動の成果をみると、39歳以下では「成果があがっている」とする割合は88.0%と高いが、40歳代以降については70%程度と大
きな差がない(図-21)。
図-19 活動の成果(従業者規模別)
図-21 活動の成果(経営者の年齢別)
(単位:%)
(単位:%)
全く成果があがっていない
ある程度は成果があがっている
1~9人
4.9
(n=761)
10~19人
(n=233)
20人以上
(n=534)
あまり成果があがっていない
十分な成果があがっている
26.5
63.6
39歳以下
(n=62)
5.0
68.6
3.3
20.3
66.9
2.3
9.6
68.3
50歳代
(n=430)
10.8
79.1
悪い
(n=180)
やや悪い
(n=523)
やや良い
(n=669)
良い
(n=136)
8.9
(単位:%)
70歳以上
(n=282)
あまり成果があがっていない
十分な成果があがっている
33.2
53.5
4.1
62.8
2.9
4.4
4.4
67.2
20.0
69.7
7.4
77.1
6.7
15.1
11.1
65.9
82.8
5.2
88.0
24.6
62.4
8.7
71.1
1.1
29.4
65.2
4.3
69.5
23.2
65.8
5.3
71.1
7.3
24.6
59.5
8.7
68.2
57.9
28.7
十分な成果があがっている
0.9
60歳代
5.8
(n=501)
図-20 活動の成果(業況別)
全く成果があがっていない
ある程度は成果があがっている
あまり成果があがっていない
ある程度は成果があがっている
40歳代
4.3
(n=252)
76.5
18.6
全く成果があがっていない
12.3
78.2
12
(3) 立地別にみた活動の成果
◯ 企業が立地する市町村の人口規模別に活動の成果をみると、「十分な成果があがっている」と「ある程度は成果があがっている」を合わせた「成
果があがっている」と評価する割合は、5万~10万人未満において74.7%と最も高く、10万~30万人未満において67.6%と最も低い。しかし、この割
合は人口規模の大小に対して一定の傾向はみられない(図-22)。
◯ 人口増加率別及び地域圏区分別についても同様に、「成果があがっている」とする割合には一定の傾向がみられない(図-23、24)。
◯ 過疎地域指定状況別については、過疎地域において「成果があがっている」とする割合は68.6%と非過疎地域(71.8%)よりも低いが、有意な差
であるとはいえない(図-25)
図-22 活動の成果(人口規模別)
全く成果があがっていない
ある程度は成果があがっている
5万人未満
(n=384)
5万~10万人未満
(n=209)
100万人以上
(n=283)
全く成果があがっていない
ある程度は成果があがっている
(単位:%)
あまり成果があがっていない
十分な成果があがっている
3.1
25.5
64.2
21.4
4.1
70.7
大都市圏周辺市町村
(n=403)
74.7
26.7
大都市圏中心市
(n=351)
7.2
71.4
3.9
10万~30万人未満
5.7
(n=375)
30万~100万人未満
(n=276)
図-24 活動の成果(地域圏区分別)
(単位:%)
あまり成果があがっていない
十分な成果があがっている
61.8
5.8
5.9
都市圏
(n=72)
7.2
地方圏
(n=700)
67.6
7.1
23.2
2.2
63.8
69.7
25.6
65.0
6.4
23.9
2.8
全く成果があがっていない
ある程度は成果があがっている
▲21.9%以下
(n=102)
6.2
69.8
23.0
74.3
24.5
67.6
4.5
72.1
4.3
26.3
61.5
▲12.0%超1.4%以下
3.8
(n=489)
4.5
1.4%超
(n=628)
7.9
69.4
図-25 活動の成果(過疎地域指定状況別)
(単位:%)
あまり成果があがっていない
十分な成果があがっている
全く成果があがっていない
ある程度は成果があがっている
(単位:%)
あまり成果があがっていない
十分な成果があがっている
3.0
2.5
▲21.9%超▲12.0%以下
5.7
(n=308)
3.6
70.7
3.4
72.1
図-23 活動の成果(人口増加率別)
63.6
28.7
63.6
過疎地域
6.0
(n=478)
5.2
68.8
28.8
59.0
6.5
69.1
非過疎地域
(n=1,048)
6.1
64.0
24.6
64.1
71.8
75.3
25.1
65.6
68.6
3.6
65.5
20.9
25.4
6.4
70.4
13
7.7
(4) 活動に不足している要素
◯ 地域経済を振興する活動を行うにあたって不足している要素をみると、「とくにない」は10.7%に過ぎず、約9割の活動でいずれかが不足してい
る。なかでも「メンバー等の数」が39.9%と最も高く、「資金」(36.6%)、「地方自治体の協力・支援」(26.2%)が続く(図-26)。
●
●
●
● ●
●
◯ 活動に不足している要素別に成果をみると、「全く成果があがっていない」と「あまり成果があがっていない」を合わせた、消極的な評価を下し
ている割合は、「明確なビジョン・活動目的の共有」が48.3%と最も高く、「適格なリーダー」(40.8%)、「組織の持つ実行力」(36.9%)と続
く。これらが不足している活動は、成果があがりにくいといえる(図-27)。
図-26 活動に不足している要素(複数回答)
図-27 活動の成果(活動に不足している要素別)
39.9
メンバー等の数
人材
12.7
メンバー等の多様性
12.1
適格なリーダー
36.6
資金
資金
明確なビジョン・活動目的
の共有
11.5
26.2
地方自治体の協力・支援
外部の協
力・理解
13.3
地域住民の理解
4.6
59.0
31.8
3.5
5.7
35.3
2.9
71.6
20.1
5.4
1.5
23.0
7.1
4.5
57.8
33.6
66.6
22.6
6.3
1.6
27.1
アイデア、企画力
(n=358)
3.3
情報発信力(n=309)
4.2
組織の持つ実行力
8.4
(n=210)
人的ネットワーク
2.7
(n=177)
明確なビジョン・
10.0
活動目的の共有(n=198)
地方自治体の協力
4.3
・支援(n=400)
12.7
人的ネットワーク
68.4
24.2
27.0
66.4
28.8
2.0
32.1
組織の
能力
12.7
組織の持つ実行力
十分な成果があがっている
2.8
40.8
21.7
情報発信力
ある程度は成果があがっている
資金(n=504)
24.1
アイデア、企画力
(単位:%)
あまり成果があがっていない
メンバー等の数
(n=550)
メンバー等の結束
(n=253)
メンバー等の多様性
(n=192)
適格なリーダー
(n=193)
17.2
メンバー等の結束
全く成果があがっていない
66.5
27.4
31.6
59.1
28.5
3.9
1.2
36.9
70.8
25.4
2.3
28.1
49.4
38.3
48.3
66.1
23.3
6.4
3.5
27.6
地域住民の理解(n=179) 4.4
2.9
その他
70.2
22.0
26.4
10.7
とくにない
0
10
20
(n=1,504)
30
40
50
その他(n=40)
86.1
9.4
4.6
9.4
(%)
とくにない(n=179)
1.5
26.6
28.1
14
58.6
13.3
28.1
Ⅵ
まとめ
① 中小企業のうち25.9%が地域経済を振興する活動に取り組んでいる。
・ とりわけ相対的に規模が大きく、業歴が長く、業況が良好な企業、つまり地域における有力中小企業ではその割合が高い。また、商
工会・商工会議所などの団体に加入している企業、事業承継の見込みが高く将来にわたって地域経済に関与する企業においても、地域
経済振興活動への取り組み割合が高い。
・ また、人口規模が小さく人口減少率が高い市町村、地方圏といった、地域経済振興活動を必要とする地域に立地する企業ほど、取り
組み割合が総じて高い。
・ 一方、地域経済振興活動に取り組まない企業では、その理由として「時間の余裕がないから」「経済的に余裕がないから」など、余
裕がないことをあげる割合が、主として規模の小さい企業において高い。
② 地域経済を振興する活動に取り組む背景には、自社に対するメリットを求める意識と、地域の企業や住民として当然のことだという意
識の両方がうかがえる。
③ 活動の成果は立地によって有意な差はみられない。むしろ、企業の規模や業況など、活動に取り組む主体の特性によって活動の成果は
左右される。また、「明確なビジョン・活動目的の共有」「適格なリーダー」「組織の持つ実行力」が不足していると、活動の成果はあ
がりにくい。
地域経済振興活動に取り組む中小企業、とりわけ有力中小企業が地域により多く存在すること、そして明確なビジョン・活動目的を共有
し、適格なリーダーや実行力を備えた実効性の高い活動体制を整えることが、地域経済を振興するには重要である。
15
(参考1)全国1,741市区町村の人口増加率(1995年→2015年)
▲50%以下
0.6
▲50%超▲45%以下
0.5
▲45%超▲40%以下
1.0
▲40%超▲35%以下
第1分位
441市区町村
2.5
▲35%超▲30%以下
5.1
▲30%超▲25%以下
8.4
11.9
▲25%超▲20%以下
▲20%超▲15%以下
▲21.9%
13.0
▲15%超▲10%以下
11.1
▲10%超▲5%以下
平均▲9.8%
9.8
▲5%超0%以下
▲12.0%
8.7
0%超5%以下
第3分位
434市区町村
1.4%
8.3
5%超10%以下
第2分位
432市区町村
6.2
10%超15%以下
4.9
15%超20%以下
2.8
20%超25%以下
1.8
25%超30%以下
1.1
30%超35%以下
0.6
35%超40%以下
0.5
40%超45%以下
0.3
45%超50%以下
0.2
50%超
第4分位
434市区町村
(n=1,741市区町村)
0.6
0
2
4
6
8
10
12
資料: 総務省「国勢調査」
(注) 2015年の人口は速報値を用いた。2015年時点の市区町村による集計である。
16
14 (%)
(参考2)地域圏区分について
・ 総務省「国勢調査」では、広域的な都市地域を規定するために、行政区域を越えた地域区分として「大都市圏」「都市圏」を設定している。
・ 「大都市圏」「都市圏」は、「中心市」およびこれに社会・経済的に結合している「周辺市町村」によって構成される。
・ 「大都市圏」の「中心市」は、東京都特別区及び政令指定都市である。「都市圏」の「中心市」は、「大都市圏」に含まれない人口50万人以上の市
である。
・ 「周辺市町村」は、「大都市圏」及び「都市圏」の「中心市」への15歳以上通勤・通学者数の割合が、当該市町村の常住人口の1.5%以上であり、か
つ中心市と連接している市町村である。
ただし、「中心市」への15歳以上通勤・通学者数の割合が1.5%未満の市町村であっても、その周囲が「周辺市町村」の基準に適合した市町村によっ
て囲まれている場合は、「周辺市町村」とされる。
・ 「国勢調査」(2010年)における「大都市圏」、「都市圏」とその「中心市」、「周辺市町村」の数は次のとおりである。
大都市圏・都市圏
札幌大都市圏
仙台大都市圏
関東大都市圏
大
都
市
圏
都
市
圏
新潟大都市圏
静岡・浜松大都市圏
中京大都市圏
近畿大都市圏
岡山大都市圏
広島大都市圏
北九州・福岡大都市圏
宇都宮都市圏
松山都市圏
熊本都市圏
鹿児島都市圏
周辺市町村
の数
11
30
中心市
札幌市
仙台市
さいたま市、千葉市、東京特別区
部、横浜市、川崎市、相模原市
新潟市
静岡市、浜松市
名古屋市
京都市、大阪市、堺市、神戸市
岡山市
広島市
北九州市、福岡市
宇都宮市
松山市
熊本市
鹿児島市
185
14
12
89
128
16
14
61
22
7
25
10
・ 本調査の分析においては、「大都市圏周辺市町村」と「都市圏周辺市町村」の両方に属する市町村は「大都市圏周辺市町村」に分類した。また、
「大都市圏」「都市圏」以外の市町村を「地方圏」とした。
17
(参考3)活動の成果の決定要因に関する計量分析
・ 分析結果はクロス集計結果(図-18~図-26)とおおむね整合的である。
推計方法:順序プロビット分析(ウェイト付け)
変数
被説明変数
活
動
の
種
類
説
明
変
数
企
業
・
経
性
営
者
の
属
立
地
活
動
に
不
足
す
る
要
素
推計1
係数
標準誤差
推計2
t値
係数
標準誤差
t値
活動の成果
(全く成果があがっていない=1、あまり成果があがっていない=2、ある程度は成果があがっている=3、十分な成果があがっている=4)
商店街・中心市街地の活性化(該当=1、非該当=0)
-0.583
0.144 -4.04 ***
-0.614
0.146 -4.22 ***
異業種交流や産官学連携(同上)
-0.507
0.153 -3.32 ***
-0.509
0.155 -3.27 ***
観光振興(同上)
(参照変数)
(参照変数)
農商工連携、地域資源の活用(同上)
-0.359
0.159 -2.26 **
-0.359
0.160 -2.24 **
地場産業・伝統産業の振興(同上)
-0.570
0.171 -3.33 ***
-0.572
0.173
-3.3 ***
中小企業への経営支援(同上)
-0.166
0.262 -0.63
-0.192
0.256 -0.75
新産業の創出(同上)
-1.186
0.384 -3.09 ***
-1.211
0.382 -3.17 ***
創業支援(同上)
0.139
0.279
0.5
0.136
0.278
0.49
企業・工場等の誘致(同上)
-0.921
0.294 -3.13 ***
-0.930
0.288 -3.23 ***
地元への移住の促進(同上)
-0.376
0.396 -0.95
-0.464
0.402 -1.15
その他(同上)
0.245
0.186
1.32
0.238
0.190
1.25
従業者数(人、対数)
0.099
0.033
2.95 ***
0.098
0.034
2.91 ***
業歴(年、対数)
0.039
0.050
0.78
0.043
0.050
0.86
加入団体の有無(あり=1、なし=0)
0.039
0.194
0.20
0.129
0.199
0.65
悪い(該当=1、非該当=0)
(参照変数)
(参照変数)
やや悪い(同上)
0.264
0.129
2.04 **
0.273
0.129
2.12 **
業況
やや良い(同上)
0.572
0.132
4.34 ***
0.569
0.132
4.31 ***
良い(同上)
0.570
0.211
2.70 ***
0.559
0.213
2.63 ***
経営者の年齢(歳)
-0.005
0.004 -1.38
-0.006
0.004 -1.46
-
立地する市区町村の人口(2015年、人、対数)
0.007
0.027
0.26
-
-
-
東京特別区部ダミー(該当=1、非該当=0)
-0.241
0.148 -1.63
-
-
-
過疎地域指定ダミー(該当=1、非該当=0)
-0.124
0.083 -1.49
-
-
-
0.001
0.003 0.330
人口増加率(1995年→2015年、%)
-
-
メンバー等の数(該当=1、非該当=0)
0.091
0.082
1.12
0.083
0.081
1.03
メンバー等の結束(同上)
0.052
0.106
0.49
0.052
0.106
0.49
人材
メンバー等の多様性(同上)
0.220
0.112
1.97 **
0.194
0.116
1.68 *
適格なリーダー(同上)
-0.225
0.112 -2.01 **
-0.230
0.111 -2.07 **
資金
資金(同上)
0.125
0.086
1.45
0.131
0.086
1.52
アイデア、企画力(同上)
-0.088
0.084 -1.05
-0.088
0.086 -1.03
情報発信力(同上)
-0.173
0.091 -1.90 *
-0.186
0.093 -2.01 **
組織の能力
組織のもつ実行力(同上)
-0.238
0.120 -1.99 **
-0.241
0.121 -2.00 **
人的ネットワーク(同上)
-0.019
0.105 -0.18
-0.024
0.104 -0.23
明確なビジョン・活動目的の共有(同上)
-0.466
0.113 -4.12 ***
-0.468
0.114 -4.10 ***
地方自治体の協力・支援(同上)
0.025
0.094
0.26
0.034
0.093
0.37
外部の協力・理
地域住民の理解(同上)
0.049
0.113
0.43
0.066
0.114
0.58
解
その他(同上)
0.563
0.140
4.02 ***
0.494
0.142
3.47 ***
閾値1
-1.328
0.434
-1.877
0.341
閾値2
-0.013
0.440
-0.565
0.338
閾値3
2.317
0.451
1.755
0.345
1,459
1,459
観測数
194.94 ***
183.49 ***
Waldカイ2乗値
-1242.8
-1248.0
疑似対数尤度
0.0871
0.0853
疑似決定係数
(注) ***は有意水準1%、**は同5%、*は同10%を意味する。
18