報 告 書 - 社団法人・日本海事検定協会

標準物質等のスペクトルのデータベースの提供
報
告
書
平成 25 年 3 月 31 日
一般社団法人日本海事検定協会
(理化学分析センター)
目
次
1. 研究の背景
2. 研究の目的
3. 研究の経過
4. 研究内容
<スペクトルデータベース目次>
5. 各種スペクトルの解析のための基礎知識と応用例
付録1
炭化水素の IR スペクトルの捉え方
付録2
グリコール化合物の赤外線吸収スペクトル
付録3
油脂の赤外線吸収スペクトル【赤外線吸収スペクトルと分子構造】
付録4
繊維の熱分解ガスクロマトグラフィー
付録5
芳香族化合物の UV スペクトル
付録6
フッ素樹脂の熱分解ガスクロマトグラフィー
付録7
アミノ酸の IR スペクトルの比較
付録8
糖類の構造と赤外線吸収スペクトル
※ 付録1~5:平成 23 年度,付録6~8:平成 24 年度
1
1. 研究の目的
本研究の目的は,純物質に限らず複合物質を含めて私たちの身の回りにある物質のスペクト
ル等を公開することである。広く化学情報を提供することで分析化学の発展に資する。
2. 研究の背景
標準物質等のスペクトルは分析化学においては極めて重要な化学情報であり,特に物質特定
や異物鑑定等の調査においては必要不可欠である。しかし,私たちの周囲に存在する物質の種
類は極めて多く,それらを対象としたスペクトルを入手することは容易ではない。
一方,公開されたスペクトルデータベースは,質的あるいは収集数が決して充分とは言えず,
研究者はそれぞれのスペクトルを有償で,あるいは標準物質を購入して測定しなくてはならな
いのが実情である。それは時間的にも経済的にも大きな負担となっていることは明らかであり,
また,多くの公開情報が純物質に限ったスペクトルが多く,サンプルを処理して純物質を単離
してからでないと活用することが出来ない。スペクトル等の公開については,現状,研究文献
の中に散見されるものの,体系的に整理され,共通に利用できるデータベースは整備されてい
ない。
スペクトルの活用については,必ずしも物質を特定するためのニーズばかりではなく,簡易
的に特定物質の存在をチェックするような使い方も少なくない。そうしたニーズに応えるには,
より多くのスペクトル情報が公開されることが望ましい。
さらに広範な利用形態に対応した機能を実現するため,化学物質のデータベースの仕様作成
及び運用に関する研究を進め,学校法人,高校・大学の学生,あるいは分析化学に携わっている
方々の活用を願うものである。
本スペクトルデータベースには以下の内容を掲載した。
分析方法(測定機器)
2011 年度
2012 年度(本年度)
1.
赤外線吸収スペクトル分析
394
438
2.
熱重量-示差熱分析
91
68
3.
紫外線吸収スペクトル分析
34
0
4.
ガスクロマトグラフ分析
36
0
5.
X 線回折
9
109
564 物質
615 物質
小計(延べ)
さらに,類似物質のスペクトルの違いやスペクトルの見方などについて「付録」として詳細
な解析を行った。2012 年度の付録では3テーマについて公開する。
3. 研究の経過(スケジュール)
2011 年度 化学情報 DB の構成設計,収集データ種目の決定とデータ収集
2012 年度 収集データ種目の検討と化学情報 DB のデータ収集
2013 年度 化学情報 DB のデータ収集および DB 高度化の可能性についての検討
2
4. 研究内容
本研究では,各種スペクトル及び様々なスペクトルの解析報告書(付録)を公開する。
各種分析機器による測定結果(スペクトル)の分類目次及び測定数(検体数)を以下に示す。
延べ 615 検体のサンプルについてスペクトルを得た。
分析
赤外線吸収スペクトル
分析
熱重量-示差熱分析
X線回折
試料分類
炭化水素
アルコール
エステル
アルデヒド・ケトン
エーテル
化学品(有機物)
無機物
糖類
タンパク質・アミノ酸
プラスチック・ゴム・繊維等
食品
硫酸塩
炭酸塩
酢酸塩
硝酸塩
臭素酸塩
塩素酸塩
リン酸塩
ヨウ素酸塩
モリブデン酸塩
ホウ酸塩
フッ化水素酸塩
バナジン酸塩
チオシアン酸塩
スルファミン酸塩
ケイ酸塩
クロム酸塩
測定数
138
78
117
50
55
7
22
15
24
6
4
37
9
8
6
4
7
14
5
1
4
2
1
2
1
4
3
合計
438
68
109
※ 次頁の分析名(青字)をクリックすると,スペクトルが参照できます。
3
スペクトルデータベース目次
赤外線吸収スペクトル分析(FT-IR)
H
熱重量-示差熱分析(TG-DTA)
H
紫外線吸収スペクトル分析(UV-VIS)
H
ガスクロマトグラフ分析(GC)
H
H
X線回折分析(XRD)
4
H
赤外線吸収スペクトル分析
炭化水素
1.
‘cis-デカヒドロナフタレン
2.
‘trans-デカヒドロナフタレン
3.
1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン
4.
1,2,3-トリクロロベンゼン
5.
1,2,3-トリメチルベンゼン
6.
1,2-ジメチルナフタレン
7.
1,3,5-トリクロロベンゼン
8.
1,3-ジメチルナフタレン
9.
1,4-ジメチルナフタレン
10. 1,5-ジメチルナフタレン
11. 1,8-ジメチルナフタリン
12. 1-オクテン
13. 1-ブロモナフタレン
14. 1-ヘプテン
15. 1-メチルナフタレン
16. 2,2,3-トリメチルブタン
17. 2,2,4,4,6,8,8-ヘプタメチルノナン
18. 2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン
19. 2,2,4-トリメチル-1-ペンテン
20. 2,2,4-トリメチルペンタン
21. 2,2-ジメチルブタン
22. 2,3-ジメチルナフタレン
23. 2,3-ジメチルブタン
24. 2,4-ジメチルペンタン
25. 2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン
26. 2,6-ジメチルナフタレン
27. 2,7-ジメチルナフタレン
28. 2-エチル-1-ヘキセン
29. 2-エチル-p-キシレン
30. 2-エチルトルエン
31. 2-メチル-1H-インデン
32. 2-メチル-1-ベンゼン
33. 2-メチル-2-ブテン
34. 2-メチルウンデカン
35. 2-メチルスチレン
36. 2-メチルナフタレン
37. 2-メチルブタン
38. 3a,4,7,7a-テトラヒドロインデン
39. 3-ヘキサン
40. 3-メチルスチレン
41. 3-メチルヘキサン
42. 3-メチルヘプタン
43. 3-メチルペンタン
44. 4-エチル-o-キシレン
45. 4-エチルトルエン
46. 4-ビニル-1-シクロヘキセン
47. 4-メチルスチレン
48. 5-イソプロピル-m-キシレン
49. 9-メチルアントラセン
50. B-カリオフィレン
51. m-ジビニルベンゼン
52. n-ウンデカン
53. n-エイコサン
54. n-オクタコサン
55. n-オクタデカン
H
56.
57.
58.
59.
60.
61.
62.
63.
64.
65.
66.
67.
68.
69.
70.
71.
72.
73.
74.
75.
76.
77.
78.
79.
80.
81.
82.
83.
84.
85.
86.
87.
88.
89.
90.
91.
92.
93.
94.
95.
96.
97.
98.
99.
100.
101.
102.
103.
104.
105.
106.
107.
108.
109.
110.
111.
n-オクタン
n-オクチルベンゼン
n-デシルベンゼン
n-テトラコサン
n-テトラデカン
n-テトラデシルベンゼン
n-ドコサン
n-ドデカン
n-ドトリアコンタン
n-トリアコンタン
n-トリコサン
n-トリデカン
n-トリデシルベンゼン
n-ノナデカン
n-ノナン
n-ヘキサデカン
n-ヘキサトリアコンタン
n-ヘプタデカン
n-ヘプチルベンゼン
n-ヘンエイコサン
n-ペンタコサン
n-ペンタデカン
n-ペンタン
n-ヘントリアコンタン
o,o-ビフェニル
p,p-ビフェニル
p-キシレン
α-オレフィン C12
α-オレフィン C14
α-オレフィン C16
α-メチルスチレン
β-メチルスチレン
アスファルテン
アセナフテン
アリルベンゼン
インダン
インデン
ウンデカン
ウンデシルベンゼン
エチルシクロヘキサン
カーボンブラック
クメン
クリセン標準品
クレオソート油
コレスタン
ジ-iso-ブチレン(異性体混合物)
シクロオクタン
シクロヘキサン
シクロヘキセン
シクロヘプタン
シクロペンタン
ジビニルベンゼン
ジフェニル
テトラコンタン
テトラテトラコンタン
ドデシルベンゼン
5
112.
113.
114.
115.
116.
117.
118.
119.
120.
121.
122.
123.
124.
125.
126.
127.
128.
129.
130.
131.
132.
133.
134.
135.
136.
137.
138.
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ドトリアコンタン
トリアコンタン
トリフェニルアルシン
トリフェニルメタン
ノナコサン
ノルボルナン
パラフィン
ビシクロヘキシル
ビニルトルエン
フェニルアセチレン
フェロセン[ビス(シクロペンタジエニ
ル)鉄(Ⅱ)]
ブチルベンゼン
ブライトストック
プロピレン四量体
ヘキサコサン
ヘキサメチルベンゼン
ヘキシルシクロヘキサン
ヘプタコサン
ヘプタデカン
ヘンエイコサン
ペンタコサン
ペンタデカン
ヘントリアコンタン
マイクロクリスタリンワックス
メチルシクロペンタン
メチレンシクロヘキサン
潤滑油
アルコール
1.
(-)-メントール
2.
(±)-2-メチル-1-ブタノール
3.
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロ
パノール
4.
1,3-プロパンジオール
5.
1,4-ブタンジオール
6.
1,5-ペンタンジオール
7.
1-ウンデカノール
8.
1-オクタデカノール
9.
1-オクタノール
10. 1-ドコサノール
11. 1-ドデカノール
12. 1-ノナデカノール
13. 1-ノナノール
14. 1-ブトキシ-2-プロパノール
15. 1-ヘプタデカノール
16. 1-ヘプタノール
17. 1-ペンタデカノール
18. 1-ペンタノール
19. 1-ペンテン-3-オール
20. 2-(2-ブトキシプロポキシ)プロパノ
ル
21. 2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオ
ール
22. 2,2-ジメチル-1-プロパノール
23. 2,4-ジ-tert-ブチルフェノール
24.
25.
26.
27.
28.
29.
30.
31.
32.
33.
34.
35.
36.
37.
38.
39.
40.
41.
42.
43.
44.
45.
46.
47.
48.
49.
50.
51.
52.
53.
54.
55.
56.
57.
58.
59.
60.
61.
62.
63.
64.
65.
66.
67.
68.
69.
70.
71.
72.
73.
74.
75.
76.
77.
78.
2,5-ヘキサンジオール
2,6-ジメチル-4-ヘプタノール
2,6-ジメトキシフェノール
2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール
2-アミノペンタノール
2-エチル-1,3-ヘキサンジオール
2-ジメチルアミノエタノール
2- フ ェ ニ ル -2- プ ロ パ ノ ー ル
(DMPC)
2-フェニルエチルアルコール
2-フェノキシエタノール
2-プロパノール
2-ヘキサノール
2-メチル-1-プロパノール
2-メチル-3-ブテン-2-オール
2-メチルイソボルネオール
3(2)-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソ
ール
3,4-キシレノール
3,5-ジメチルベンジルアルコール
3-ペンタノール
3-メチル-1,5-ペンテンジオール
3-メチル-2-ペンタノール
3-メチル-3-ブテン-1-オール
3-メトキシ-1-ブタノール
3-メトキシ-3-メチルブタノール
4,4'-ジヒドロキシジフェニルメタン
4,6-ジ-tert-ブチル-2-メチルフェノ
ール
4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール
4-イソプロピルフェノール
4-メチル-1,3-ジオキサン
4-メチル-2-ペンタノール
5-メチルフルフリルアルコール
cis-3-ヘキセン-1-オール
DL-2-メチル-1-ブタノール
L-メントール
n-トリデシルアルコール
n-ノニルアルコール
tert-アミルアルコール
tert-ブタノール
ゲラニオール
ジアセトンアルコール
ジオスミン
ジグリセリン
シクロヘキサンメタノール
ジプロピレングリコール
スチグマステロール
ステアリルアルコール
セチルアルコール
テトラエチレングリコール
トリデカノール
トリメチロールエタン
トリメチロールプロパン
ノナノール
ヘキサメチレングリコール
リナノール
ロイコキニザリン
エステル
1.
2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオ
ールジイソビチラート
2.
3-エトキシプロピオン酸エチル
3.
D(+)-グルクロノラクトン(D-グルク
ノン酸γ-ラクトン)
4.
n-オクタン酸エチル
5.
n-デカン酸エチル
6.
n-酪酸 2-エチルヘキシル
7.
n-酪酸 n-ブチル
8.
n-酪酸 n-プロピル
9.
n-酪酸イソブチル
10. n-酪酸イソプロピル
11. n-酪酸エチル
12. n-酪酸メチル
13. p-ヒドロキシ安息香酸 2-エチルヘ
キシル
14. p-ヒドロキシ安息香酸 n-プロピル
15. p-ヒドロキシ安息香酸エチル
16. p-ヒドロキシ安息香酸メチル
17. α-ヒドロキシイソ酪酸メチル
18. アクリル酸 2-エチルヘキシル
19. アクリル酸 n-ブチル
20. アクリル酸イソブチル
21. アクリル酸エチル
22. アクリル酸メチル
23. アジピン酸ジイソデシル
24. アジピン酸ジメチル
25. アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)
26. アセト酢酸メチル
27. アラキジン酸エチル
28. アラキジン酸メチル
29. イソ酪酸フェニル
30. イソ酪酸ブチル
31. ウンデカン酸メチル
32. エチリデンジアセテート
33. オレアミド(オレイン酸アミド)
34. オレイン酸エチル
35. ギ酸エチル
36. グルタル酸ジメチル
37. クロトン酸 n-ブチル
38. クロトン酸イソプロピル
39. クロトン酸エチル
40. クロトン酸ビニル
41. クロトン酸メチル
42. クロロ酢酸ビニル
43. コハク酸イミド
44. コハク酸ジエチル(コハク酸エチル)
45. コハク酸ジメチル
46. 酢酸 2-メチルブチル
47. サリチル酸ベンジル
48. サリチル酸メチル
49. ジステアリン酸グリセロール
50. シュウ酸アンモニウム一水和物
51. ステアリン酸エチル
52. ステアリン酸ステアリル
53. ステアリン酸リチウム
54. デカン酸エチル
55. トリエライジン
6
56.
57.
58.
59.
60.
61.
62.
63.
64.
65.
66.
67.
68.
69.
70.
71.
72.
73.
74.
75.
76.
77.
78.
79.
80.
81.
82.
83.
84.
85.
86.
87.
88.
89.
90.
91.
92.
93.
94.
95.
96.
97.
98.
99.
100.
101.
102.
103.
104.
105.
106.
107.
108.
109.
110.
111.
トリステアリン
パルミチン酸エチル
パルミトオレイン酸メチル
ピパリン酸ビニル
フタル酸ジ-n-アミル
フタル酸ジ-n-オクチル
フタル酸ジ-n-ブチル
フタル酸ジ-n-プロピル
フタル酸ジ-n-ヘキシル
フタル酸ジイソデシル
フタル酸ジイソブチル
フタル酸ジイソプロピル
フタル酸ジエチル
フタル酸ジシクロヘキセン
フタル酸ジノニル
フタル酸ジヘプチル
フタル酸ジメチル
フタル酸ベンジル n-ブチル
プロピオン酸 n-プロピル
プロピオン酸イソプロピル
プロピオン酸エチル
プロピオン酸ビニル
ヘキサン酸エチル
ヘプタデカン酸メチル
ベヘン酸メチル
ミリスチン酸エチル
メタクリル酸 n-ブチル
メタクリル酸 tert-ブチル
メタクリル酸イソプロピル
メタクリル酸エチル
メタクリル酸メチル
メトキシ酢酸メチル
モノエライジン
モノオレイン
モノステアリン酸グリセロール
モノパルミチン
ヤシ油
ラウリン酸エチル
ラウリン酸ビニル
リグノセリン酸メチル
リノール酸エチル
リン酸トリ-m-クレジル
リン酸トリ-o-クレジル
リン酸トリ-p-クレジル
リン酸トリクレジル
リン酸トリス(4-t-ブチルフェニル)
リン酸トリフェニル
安息香酸メチル
牛脂
酢 酸(±)-α-トコフェロール(酢 酸
DL-α-トコフェロール)(ビタミン E
酢酸エステル)
酢酸 1-メチルブチル(酢酸 s-ベン
チル)
酢酸 2-エチルヘキシル
酢酸 2-ヒドロキシエチル
酢酸 n-ブチル
酢酸イソアミル
酢酸イソブチル
112.
113.
114.
115.
116.
117.
酢酸イソプロピル
酢酸リナリル
没食子酸 n-プロピル
硫酸ジ-n-ブチル
硫酸ジエチル
硫酸ジメチル
38.
39.
40.
41.
サリチルアルデヒド
ジヒドロキシアセトン
シリンガアルデヒド
シンナムアルデヒド(trans-3-フェニ
ル-2-プロペナール)
テトラシアノエチレン
パラアルデヒド
バレルアルデヒド
ビンドン
フルフラール
プロピオンアルデヒド
ベンゾフェノン
メチル n-プロピルケトン
メチルノルマルヘキシルケトン
42.
43.
44.
アルデヒド・ケトン
45.
1.
(S)-(+)-カルボン
2.
1-オクタナール(n-オクチルアルデ 46.
47.
ヒド)
48.
3.
2,3-ペンタンジオン
49.
4.
2-ウンデカノン
50.
5.
2-エチルヘキシルアルデヒド
6.
2-エトキシエチルアセトン
エーテル
7.
2-ヘプタノン
8.
2-メチル-2-ヘプテン-6-オン
1.
1,1,3-トリエトキシプロパン
9.
2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン 2.
1,2-ジエトキシエタン
10. 2-メチルブタナール
3.
1,2-ジメトキシエタン
11. 3,3',5,5'-テトラ-tert-ブチル-4,4’- 4.
1,2-ブチレンオキシド
ジフェノキノン
5.
1,3-ジオキソラン
12. 3-フェニルプロピオンアルデヒド
6.
2,3-ブチレンオキサイド
13. 3-ブテン-2-オン
7.
2,3-ベンゾフラン
14. 3-メチル-2-ブタノン
8.
2,5-ジメチルテトラヒドロフラン
15. 3-メチル-2-ペンタノン
9.
2,5-ジメチルフラン
16. 4-カルボキシベンズアルデヒド
10. 2-メチル-1,3-ジオキソラン
17. 4'-ヒドロキシ-3',5'-ジメトキシアセ 11. 2-メチルフラン
トフェノン
12. 2-メチルベンゾフラン
18. 4-ヒドロキシベンズアルデヒド
13. 3,3'-ジメトキシビフェニル
19. 4-ヘプタノン
14. 4,4'-ジメトキシビフェニル
20. 4-メチル-2-ペンタノン
15. n-ブチルエーテル
21. 5-ヒドロキシメチル-2-フルアルデ 16. n-ブチルエチルエーテル
ヒド
17. n-プロピルエーテル
22. 5-メチル-2-フルフラール
18. s-トリオキサン
23. 6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジ 19. tert-アミルエチルエーテル
ヒドロキノリン
20. tert-ブチルエチルエーテル
24. DL-グリセルアルデヒド
21. tert-ブチルメチルエーテル
25. m-トルアルデヒド
22. アクロレインアセタール
26. n-カプリルアルデヒド
23. アセタール
27. o-トルアルデヒド
24. アニソール
28. o-フタルアルデヒド
25. エチラール
29. p-トルアルデヒド
26. エチルイソプロピルエーテル
30. trans-2-ヘキセニルアルデヒド
27. エチルビニルエーテル
31. α-n-ヘキシルケイ皮アルデヒド
28. エチレングリコールモノ-n-ブチル
32. イソバレルアルデヒド
エーテル
33. イソブチルアルデヒドジエチルアセ 29. エチレングリコールモノ-n-ブチル
エーテルアセタート
タール
30. エチ レ ングリコールモ ノ-n-プロピ
34. キンヒドロン
ルエーテル
35. クマリン
31. エチレングリコールモノビニルエー
36. クミンアルデヒド
テル
37. グリオキサール
7
32.
33.
34.
35.
36.
37.
38.
39.
40.
41.
42.
43.
44.
45.
46.
47.
48.
49.
50.
51.
52.
53.
54.
55.
エチレングリコールモノプロピルエ
ーテル
エチレングリコールモノヘキシルエ
ーテル
エチレングルコールモノイソブチル
エーテル
グア ヤコールグリセロールエーテ
ル
ジイソプロピルエーテル
ジエチレングリコールジエチルエー
テル
ジエチレングリコールモノイソブチ
ルエーテル
ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル(カルビトール)
ジエチレングリコールモノヘキシル
エーテル
ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル
ジベンジルエーテル(ベンジルエー
テル)
ジメチルオキシビフェニル
セ バ シ ン 酸 ビ ス (2- エ チ ル ヘ キ シ
ル)
デカブロムゾフェニルエーテル
トリエチレングリコールモノ-n-ブチ
ルエーテル
トリエチレングリコールモノエチルエ
ーテル
トリエチレングリコールモノブチルエ
ーテル
トリエチレングリコールモノメチルエ
ーテル
トリプロピレングリコールモノメチル
エーテル
ビス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]
エーテル(テトラエチレングリコール
ジメチルエーテル)
ブチルカルビトールアセテート(酢
酸ジエチレングリコールモノブチル
エーテル)
プロピオンアルデヒドジエチルアセ
タール
ヘプタエチレングリコールモノドデ
シルエーテル(ヘプタオキシエチレ
ンドデシルエーテル)
モノステアリン酸 エチレングリコー
ル
熱重量-示差熱分析
H
化学品(有機物)
DL-リンゴ酸
L-メントール
L(+)-アスコルビン酸
アニリンブラック
カフェイン(無水)
カフェイン一水和物
グラファイト
シリコンオイル
ステアリン酸カルシウム
ステアリン酸メチル
バニリン
フェノールフタレイン
活性炭
無機物
アルミニウム
ステンレス鋼
ソーダ石灰 1 号(ソーダライム)
リン酸一水素アンモニウム
リン酸水素二アンモニウム
リン酸二水素アンモニウム
亜鉛
塩化アルミニウム
塩化アンモニウム
塩化鉛(Ⅱ)
過マンガン酸カリウム
銀
酸化カリウム
酸化マグネシウム(重質)
臭化テトラエチルアンモニウム
硝酸アンモニウム
硝酸銀
H
酢酸アンモニウム
酢酸ナトリウム
鉄
銅
硫酸第一鉄
硫酸銅
糖類
1,6-アンヒドロ-β-D-グルコフィラノース
D-(-)-アラビノース
D(-)-ソルビトール(ソルビット)
D(-)-フルクトース(レブロース)(果糖)
D(-)-マンニトール(マンニット)
D(+)-ガラクトース
D(+)-キシロース
D(+)-グルコース[ぶどう糖(無水)]
D(+)-サッカロース(スクロース)
D(+)-マルトース一水和物(麦芽糖)
D(+)-マンノース
Meso-エリトリトール
カードラン(β-1,3-グルカン)
キシリトール
ラクチトール一水和物
ラクトース一水和物(乳糖)
目次へ戻る
L(+)-リシン(L-リシン)
L-アスパラギン一水和物
L-アスパラギン酸
L-アラニン
L-グルタミン酸
L-システイン
L-セリン
L-チロシン
L-トリプトファン
L-バリン
L-ヒスチジン
L-ヒドロキシプロリン
L-フェニルアラニン
L-メチオニン
L-ロイシン
グリシン(アミノ酢酸)
プラスチック・ゴム・繊維など
アクリロニトリルブタジエンスチレン共
重合体(ABS)
ニトリル手袋(青)
フッ素ゴム(黒)
ポリアクリル酸
ポリメチルメタクリレート
ポリ塩化ビニル
たんぱく質・アミノ酸
2,6-ジアミノピメリン酸
L(-)-トレオニン(L-スレオニン)
L(-)-プロリン
L(+)-アルギニン
L(+)-イソロイシン
L(+)-グルタミン(L-グルタミン)
L(+)-ノルロイシン
H
紫外線吸収スペクトル分析
2012 年度はなし
8
食品
ゴマ油
サラダ油(菜種,キャノーラ)
牛乳
ガスクロマトグラフ分析
H
H
目次へ戻る
2012 年度はなし
H
X線回折分析
硫酸塩
炭酸水酸化亜鉛
リン酸二水素カ リウム
アミド硫酸
炭酸水素カリウ ム(重炭 酸カリ ウム)
リン酸二水素カ ルシウム
チオ硫酸ナトリ ウム五水和物
炭 酸 水 素 ナ ト リ ウ ム (重 炭 酸 ナ ト リ ウ
リン酸二水素ナ トリウム (無水 )
テトラデシル硫 酸ナトリウム
ム)
リン酸二水素ナ トリウム二水和 物
ピロ亜硫酸ナト リウム
五酸化リン
ヘキサデシル硫 酸ナトリウム
酢酸塩(エタン 酸塩)
ペルオキソニ硫 酸アンモニウム
四酢酸鉛
ペルオキソニ硫 酸カリウム
酢酸カルシウム 一水和物
ヨウ素酸塩
亜硫酸ナトリウ ム
酢酸ナトリウム (無水 )
ヨウ化カリウム
亜硫酸ナトリウ ム七水和物
酢酸ナトリウム 三水和物
ヨウ化ナトリウ ム
亜硫酸亜鉛
酢酸亜鉛七水和 物
ヨウ素酸カリウ ム
亜硫酸水素ナト リウム
酢酸亜鉛二水和 物
過ヨウ素酸カリ ウム
二 亜 硫 酸 カ リ ウ ム (ピ ロ 亜 硫 酸 カ リ ウ
酢酸鉛(Ⅱ)三水 和物
過ヨウ素酸ナト リウム
ム)
酢酸第二水銀
酸化リン (Ⅴ )(五酸化二リン )
モリブテン酸塩
二硫酸カリウム (ピロ硫 酸カリ ウム)
モリブテン酸ア ンモニウム
二 硫 酸 ナ ト リ ウ ム (ピ ロ 硫 酸 ナ ト リ ウ
硝酸塩
ム)
亜硝酸ナトリウ ム
硫酸アルミニウ ム(無水 )
硝酸カリウム
ホウ酸塩
硫酸アルミニウ ム 14~ 18 水
硝酸コバルト (Ⅱ)六水 和物
ホウ酸
ホウ酸ナトリウ ム(無水 )
硫酸アルミニウ ム 16~ 18 水
硝酸マグネシウ ム
硫酸アルミニウ ムカリウム
硝酸鉛(Ⅱ)
四ホウ酸ナトリ ウム(無 水)
硫酸アンモニウ ム
硝酸銀
四ホウ酸ナトリ ウム十水和物 (ホウ砂)
硫酸カリウム
臭素酸塩
フッ化水素酸塩
硫酸ナトリウム (無水 )
臭化カリウム
フッ化アンモニ ウム(中 性)
硫酸ヒドラジニ ウム(硫 酸ヒド ラジン)
臭化ナトリウム
フッ化ナトリウ ム
硫酸アンモニウ ム鉄・12 水
硫酸マグネシウ ム(無水 )
臭化水銀 (Ⅱ )
硫酸マグネシウ ム七水和物
臭素酸カリウム
バナジン酸塩
バナジン酸アン モニウム
硫酸亜鉛 (無水 )
硫酸亜鉛七水和 物
塩素酸塩
硫酸水素カリウ ム
亜塩素酸ナトリ ウム
チオシアン酸塩
硫酸水素ナトリ ウム一水和物
塩素酸カリウム
チオシアン酸ア ンモニウム
硫酸第一鉄アン モニウム (モー ル塩)
過塩素酸ナトリ ウム(無 水)
チオシアン酸カ リウム
硫酸第二鉄アン モニウム・12 水
過塩素酸ナトリ ウム一水和物
硫酸第二セリウムアンモニウム二水和
過塩素酸バリウ ム
スルファミン酸 塩
物
過塩素酸マグネ シウム
スルファミン酸 アンモニウム
硫酸第二鉄
高度さらし粉 [Ca(ClO)2・3H2O]
硫酸鉄(Ⅱ)アン モニウム六水和 物
ケイ酸塩
硫酸鉄(Ⅱ)七水 和物
リン酸塩
カオリン
硫酸銅(Ⅱ)(無 水)
12 モリブト (Ⅳ ) リン 酸 n 水 和物(リ ン
ケイ酸ナトリウ ム
硫酸銅(Ⅱ)五水 和物
モリブテン酸 )
ケイ酸マグネシ ウム
ホスホン酸 (亜 リン酸)
二酸化ケイ素 (石英型)
炭酸塩(炭酸水 素塩)
リンタングステ ン酸ナトリウ ム n 水和
塩基性炭酸亜鉛
物
クロム酸塩
炭酸カリウム
リン酸一水素カ ルシウム
クロム酸カリウ ム
炭酸ナトリウム (無水 )
リン酸三ナトリ ウム・12 水
酸化クロム (Ⅳ )(無水ク ロム酸 )
炭酸ナトリウム カリウム
リン酸水素二ア ンモニウム
重クロム酸カリ ウム
炭酸リチウム
リン酸水素二カ リウム
炭酸亜鉛
リン酸水素二ナ トリウム (無水 )
9
5. 各種スペクトルの解析のための基礎知識及び応用例
スペクトルの解析のための基礎知識,あるいはスペクトルの見方について,付録として今年
度は下表に示す3つのテーマで資料を作成した。
年度
付録 No.
付録1
付録2
2012
付録3
付録4
付録5
付録6
2013
付録7
付録8
テーマ
内容
有機物の基本である炭化水素の赤外線吸収スペク
炭化水素の赤外線吸収スペクト
トルの見方及び炭化水素で構成された石油製品の
ルの捉え方
赤外線吸収スペクトルの特徴を示す。
グリコール化合物の赤外線吸収 セロソルブ及びジエチレングリコール化合物の赤
スペクトル
外線吸収スペクトルの特徴を示す。
油脂の赤外線吸収スペクトル(赤 動 植 物 油 の 赤 外 線 吸 収 ス ペ ク ト ル の 特 徴 及 び 脂 肪
外線吸収スペクトルと分子構造) 酸組成との相関を調査する。
各種繊維の熱分解ガスクロマトグラムの紹介及び
繊維の熱分解ガスクロマトグラ
2種類の繊維が混在するときの熱分解ガスクロマ
フィー
トグラムの変化を調査する。
芳香族化合物の UV スペクトルの特徴及びそれらの
芳香族の UV スペクトル
僅かな違いを示す。
PTFE とフッ素樹脂の共重合体である PFA を入手
フッ素樹脂の熱分解クロマトグ
し,熱分解クロマトグラムの違い及び生成フラグメ
ラフィー
ントについて解析した。
アミノ酸の IR スペクトルの特徴及びそれらの僅か
アミノ酸の IR スペクトルの比較
な違いを示す。
糖 類 の 構 造 と 赤 外 線 吸 収 ス ペ ク 単糖,二糖類及び糖アルコールの赤外線吸収スペク
トル
トルの違いについて考察する
10
付録1
炭化水素の IR スペクトルの捉え方
石油製品の赤外線吸収スペクトルは,官能基の多寡によって製品毎に特有の吸収帯が出現す
る。
石油製品は炭化水素の混合物であり,製品によってパラフィンやオレフィン,アロマ等の成
分組成が異なっているため、赤外線吸収スペクトルからどんな成分が多く含まれているかを捉
えることが可能である。石油製品の代表的な特徴を以下に示す。
z
通常のパラフィンワックスは直鎖の飽和炭化水素であるため,主要な官能基はメチレン基である。
z
分解ガソリンは不飽和化合物が多いため,オレフィンの特徴が現れる。
z
3000cm -1 以上に吸収帯が出現していれば,アロマか不飽和炭化水素を含んだ製品である。
z
低硫黄ワキシー重油のスペクトルはワックスの特徴(720 cm -1 付 近 に2本の吸収帯)が出現する。
z
切削油等の沸点が比較的低い潤滑油には n-パラフィンが含まれており,赤外線吸収スペクトルに
反映される。
本研究では,石油製品の構成成分で
114.2
112
1037
110
891
108
7 24
ある炭化水素の僅かな構造の違いや構
1378
106
104
102
成割合の違いが赤外線吸収スペクトル
100
1466
98
メチル基由来
96
%T
2874
2860
94
にどのように反映されるのかを知るた
ヘキサン
C-C-C-C-C-C
92
90
88
め,単純な炭化水素のスペクトルを解
86
84
29 2 5
82
析した。
2 95 9
80
79.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
113.0
112
110
739
3401
1379
108
3079
ヘキサン(パラフィン)
106
1642
104
1458
102
ヘキサンはメチル基とメチレン基で構
100
98
%T
96
成されているのに対し,1-ヘキセンは官
オレフィン
由来
2874
9 92
1-へキセン
C=C-C-C-C-C
94
2 96 0
92
能基の種類が多いため複雑である。
29 2 8
90
オレフィン
由来
88
86
84
83.0
4000.0
1-ヘキセン(オレフィン)
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
90 8
1000
800
650.0
800
650.0
111.7
ヘキサンに比べて,オレフィン固有の
26 9 0
27 9 3
2599
2660
105
1257
1014
1 03 9
100
9 03
861
95
-1
-1
3000 cm ,900 cm が出現している。こ
のオレフィンバンドは多価不飽和脂肪
90
85
メチレン基のみ
80
75
1 44 9
%T
70
65
酸の桐油などにも出現する。
60
2851
55
シクロヘキサン
50
シクロヘキサン(シクロ/環状)
最もシンプルな構造のメチレン基だけ
45
2923
40
35.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
114.3
110
で構成されるため,スペクトルもシンプ
2661
2598
1262
105
1 09 1
1 3 75
964
909 843
871
100
95
ルである。
CH 3
90
%T
メチル基由来
1 44 8
85
2948
80
メチルシクロヘキサン(シクロ/分岐)
2 8 53
75
70
シクロヘキサンと比べるとメチル基が
メチルシクロヘキサン
65
60
2920
50.0
4000.0
40
.0
21
0
1
どこに出現するかが良く分かる。
55
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
5
9
2887
2 32 4
0
9
ベンゼン(芳香族)
1 3 93
1959
1175
8 50
774
1527
1815
5
8
3090
3 07 1
0
8
3 03 5
1035
5
7
0
7
メチル基とメチレン基とが消失し,芳香
5
6
1478
0
6
5
5
0
5
T
%
5
4
族環に由来した 3090~3035 cm -1 に吸収
芳香族環由来
0
4
ベンゼン
5
3
0
3
5
2
帯が出現している。
0
2
5
1
6 66
0
1
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
6 0
. 4
4
11
付録2
グリコール化合物の赤外線吸収スペクトル
グリコールエーテル等のグリコール誘導体の赤外線吸収スペクトルには以下の特徴が見られ
る。
•
1110cm -1 付近にエーテル(-C-O-C-)由来の大きな吸収帯が2本出現する。ただし,
グリコール部の炭素数が増えるにつれ,2本の吸収帯が明確に分かれなくなる。
•
末端の置換基の炭化水素部に分岐があると,スペクトルが大きく変わる。
•
グリコール化合物は 1110 cm -1 付近の吸収は共通しているが,同族体であっても赤外
線吸収スペクトルのプロフィールの違いが明確であるため,炭素鎖の僅かな違いを識
別することが可能と考えられる。
エチレングリコール化合物とジエチレングリコール化合物は,エーテル由来の 1110 cm -1 付近及び 1065 cm -1
付近に大きな吸収帯を持つ。グリコール部(EG,DEG,DPG 等)の違いによって2本の吸収帯に違いがみら
れ,EG 系では明確な二股になっているが,DEG 系では股が浅く,顕著な二股ではない。さらに,DPG 系に
なると,1110 cm -1 付近の2本の吸収帯が1本になっている。
100.0
100.0
100.0
95
95
95
90
1227
90
90
830
1445
85
3405
3440
1352
1374
2976
1255
85
932
1470
85
1453
1366
80
886
75
938
1373
989
3351
75
1007
75
70
2871
%T
1330
888
80
2869
859
2972
2879
80
2953
%T
%T
65
70
70
60
65
65
60
55
60
45
40
35.0
4000.0
エチレングリコール
モノエチルエーテル
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
55
1115
1061
50
1600
1400
1200
1000
800
45.0
650.0 4000.0
1047
55
50
ジエチレングリコール
モノエチルエーテル
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
50
1066
45
1103
1600
1400
1200
1000
800
ジプロピレングリコール
モノメチルエーテル
40.0
4000.0
650.0
3600
3200
2800
2400
100.0
100.0
95
95
90
90
1447
85
1470
840
1375
1349
80
1366
1243
2976
3429
3412
85
933
885
889
75
80
2955
2868
70
2872
%T
75
%T
70
65
60
55
65
50
60
55
50.0
4000.0
エチレングリコール
モノイソブチルエーテル
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
45
1065
1119
1400
1200
図1
40
1000
800
35.0
650.0 4000.0
ジエチレングリコール
モノイソブチルエーテル
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1064
1105
1400
1200
1000
800
650.0
グリコール化合物の特性吸収帯 1110 cm -1 付近
12
2000
1800
cm-1
1085
1600
1400
1200
1000
800
650.0
1 00 .0
95
7 37
90
1 23 4
977
3411
85
1458
1 3 58
890
80
2 93 5
75
2867
%T
70
65
エチレングリコール
モノブチルエーテル
60
10 6 9
55
1119
50
45 .0
4 0 00 .0
3600
32 0 0
2 80 0
2 4 00
20 0 0
1 00 .0
1 80 0
cm - 1
1 60 0
1 4 00
12 0 0
10 0 0
800
6 5 0.0
800
6 5 0.0
95
90
3412
85
1470
1366
889
80
2955
2872
%T
メチル
75
メチル
70
65
エチレングリコール
モノイソブチルエーテル
60
55
1065
1119
50 .0
400 00 .0
1 00 .
3600
32 0 0
2 80 0
2 4 00
20 0 0
1 80 0
cm - 1
1 60 0
1 4 00
12 0 0
10 0 0
95
90
1473
3429
85
741
2940
28 7 5
836
80
%T
セロソルブの側
鎖部分が同じ炭素
数であってもその
構造によって大き
くスペクトルプロ
フィールが変化し
ている。
n-ブ チ ル 基 と iブチル基は殆ど同
等のスペクトル
で,メチル基由来
の 2955 cm -1 の吸
収帯が僅かに大き
くなっている。
1 38 9
1234
889
1022
75
2974
95 0
メチル
70
メチル
1 3 63
65
エチレングリコール
モ ノ t-ブ チ ル エ ー テ ル
60
1195
1 0 66
55
50 .0
4 00 0 .0
3 6 00
3 2 00
2 8 00
図2
24 0 0
20 0 0
18 0 0
cm - 1
1 60 0
1 40 0
1 2 00
1 00 0
80 0
6 5 0 .0
側鎖(置換基)の違いによるスペクトルの差異
【課題】
(1) 単純なグリコール化合物だけでなく,モノエーテルアセテート等の関連物質との違いを
明らかにする。
(2) エチレングリコールが環状になった 1,4-ジオキサン(2量体),3量体,4量体等のスペ
クトルを得る。
13
表2
グリコール化合物の赤外線吸収スペクトル
セロソルブ(エチレングリコールモノエーテル)
ジエチレングリコールエーテル
100.0
100.0
95
95
90
1 23 3
90
13 6 8
85
9 62
2 82 8
3 40 3
2 88 1
1 19 3
1243
2976
3429
840
1375
1349
80
83 1
75
933
885
8 90
70
%T
1447
85
1 45 4
80
75
1 01 7
2868
65
70
%T
60
65
55
60
50
45
40
35
30.0
4000.0
エチレングリコール
モノメチルエーテル
55
1 12 0
50
1 0 61
45
40
3600
3200
2800
2400
2000
100.0
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
35.0
100.
0
4000.
0
95
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1064
1105
1600
1400
1200
1000
800
650.0
800
650.0
95
12 27
90
ジエチレングリコール
モノエチルエーテル
83 0
1 44 5
85
3 40 5
1 3 52
13 74
29 76
90
9 32
3440
1255
80
1470
85
8 86
1366
2 8 69
75
2953
888
80
70
%T
65
75
2871
%T
60
70
55
50
45
40
35.0
4000.0
100.0
エチレングリコール
モノエチルエーテル
3600
3200
2800
2400
2000
65
60
11 15
1 0 61
55
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
50
650.0
45.0
4000.0
95
ジエチレングリコール
モノイソブチルエーテル
3600
3200
2800
2400
2000
100.5
90
1 22 6
29 38
85
1800
cm-1
1066
1103
1600
1400
1200
1000
8 03
14 68
34 17
95
87 2
725
28 77
13 34
892
3440
80
1245
90
2 97 2
1351
75
934
13 6 9
1458
85
96 4
%T
889
70
80
65
60
55
50
45.0
4000.0
%T
エチレングリコール
モノイソプロピルエーテル
3600
3200
2800
2400
2000
100.0
1800
cm-1
75
2928
11 28
2859
70
65
1 05 9
1600
1400
1200
1000
800
650.0
60
55
95
ジエチレングリコール
モノヘキシルエーテル
1066
1115
73 7
90
50.0
4000.0
1 23 4
85
3600
3200
2800
2400
2000
97 7
3 4 11
14 58
1600
1400
1200
1000
800
650.0
95
8 90
80
1800
cm-1
100.5
13 5 8
29 35
3063
814
90
75
85
2 86 7
%T
2874
2932
3354
1372
996
1154
790
80
70
1300
75
65
70
60
55
50
45.0
4000.
0
100.
0
エチレングリコール
モノブチルエーテル
1455
65
1 06 9
%T
1172
1587
893
915
1598
60
55
1 11 9
1078
1494
50
45
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
40
35
95
30
25
90
1040
690
ジエチレングリコール
ジエチルエーテル
1241
750
20
3 4 12
85
14 70
15.0
4000.0
13 66
8 89
80
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
800
650.0
29 55
2 8 72
%T
75
70
65
60
55
50.0
4000.0
エチレングリコール
モノイソブチルエーテル
10 65
1 11 9
100.0
3600
3200
2800
2400
2000
100.0
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
95
90
95
85
90
1 47 3
3 42 9
85
1453
74 1
2 94 0
2 87 5
859
2972
2879
80
8 36
1330
938
1373
989
3351
75
80
%T
13 89
1 23 4
1007
8 89
%T
10 22
75
2 97 4
9 50
70
65
70
60
1 36 3
65
60
55
50.0
4000.0
100.5
エチレングリコール
モノ t-ブチルエーテル
3600
95
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
55
50
1 19 5
1 06 6
1400
1200
1000
800
650.0
800
650.0
40.0
4000.0
3 46 9
85
1 44 4
29 76
1 29 6
1 37 4
1 24 4
1 34 9
94 4
8 46
75
2 86 6
70
65
%T
60
55
50
45
40
35
30
25
20.0
4000.0
エチレングリコール
モノフェニルエーテル
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1047
1085
45
1600
90
80
ジプロピレングリコール
モノメチルエーテル
11 07
1600
1400
1200
1000
14
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
付録3
油脂の赤外線吸収スペクトル
【赤外線吸収スペクトルと分子構造】
油脂の赤外線吸収スペクトルには,以下の3か所に
特徴的な吸収帯が出現する。
脂肪酸由来
-1
z
エステル基由来(-COO-R)…… 1740 cm
z
エーテル基由来(C-O-C)
z
アルキル基由来(-CCC…)…… 2900 cm-1 付近
…… 1150 cm-1 付近
赤外線吸収スペクトルの解析から得られた事項は以
下の通りである。
z
この部分の構造の違いがス
ペ ク ト ル の 違 いと な る 。
多価不飽和脂肪酸の構造を多く含む亜麻仁油,エゴ
マ油などはオレフィン由来の 3010cm-1 の吸収が大
図1
きくなる。
z
油脂の分子構造
ア ル キ ル 基 由 来 の 2900cm-1 と エ ス テ ル 基 由 来 の
1740cm-1 の吸収比率が試料によって異なっている。これは脂肪酸組成の違いによるものであ
るが,今年度の研究では脂肪酸組成を測定していないため次年度以降の課題である。
z
脂 肪 酸 の ア ル キ ル 基 の 長 さ , 飽 和 ・ 不 飽 和 の 有 無 に よ っ て 2900 cm -1 付 近 の 吸 収 の 大 き さ
(1740cm-1 付近の吸収との比率)に影響が出る。
z
赤外線吸収スペクトルから油脂の種類を特定することは困難であるが,脂肪酸構造中に不飽
和を多く持つものは識別ができる。
101.3
100
98
96
94
92
90
3007
1377
-C=C-
オレフィン
88
1463
86
1236
722
1119
1096
84
-CH 2 -
メチレン
82
80
%T
78
76
-CCCC…
炭素骨格
-C-O-C
エーテル
2853
74
1160
72
70
68
66
64
62
60
58.0
4000.0
-COO-C-
エステル
2923
-CH 3 メチル
-CH 2 -メチレン
3600
3200
1744
2800
図2
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
油脂の代表的なスペクトル(ナタネ油)
15
1000
800
650.0
表1
固形油脂
※ 脂肪酸組成は油脂化学便覧から抜粋し,グラフ化した。
試料
脂肪酸組成※
赤外線吸収スペクトル
06 4 2 0 8
.0 0 0 0 9
71 1 1 1
0
1
60
1377
6 4 2 0 8
9 9 9 9 8
50
牛脂
40
1465
1116
30
20
4 2 0 8 6
7 7 7 6 6
1162
10
2852
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
T
%
炭化水素由来の
2900cm-1 付近の吸収
と エステ ル由来の
1744cm-1 の吸収はほ
ぼ同じ高さである。
720
6 4 2 0 8 6
8 8 8 8 7 7
牛脂
所見
1744
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
4 5 0
6 . 4
2
6
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
2922
105.4
867
3477
100
3005
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
965
1417
1377
95
90
1238
720
1465
1116
1098
85
ラード
%T
80
75
1162
2852
牛脂とほぼ同じプ
ロフィールで,脂肪
酸組成も類似してい
る。
65
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
70
豚脂
1743
2921
60.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
100.8
2293
98
96
60
1377
3007
94
1236
92
1646
90
1098
1117
1464
50
721
88
40
86
マーガリン
マーガリン
水
84
%T
30
82
1161
3386
80
20
2853
78
76
74
10
水
0
2922
70
68
67.0
4000.0
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
72
1743
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
水分の吸収を有し
ているが,その他の
部分は牛脂及びラー
ドとプロフィールは
ほぼ同等である。
マーガリンの原料
である植物油は3~
4種類がブレンドさ
れているとのこと。
650.0
104.9
104
102
2171
964
1417
100
1377
98
1237
発酵バター
96
720
1465
1103
94
92
1644
90
原料クリームを
乳酸発酵させて
から分離したも
の
%T
(データなし)
88
2853
86
1162
水
84
82
水分の吸収が大き
いが,その他の部分
はプロフィールがマ
ーガリンや牛脂等と
同等である。
80
78
水
3362
2922
1743
76
74
73.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
103.8
102
2300
100
720
1650
98
1377
1465
35
1104
96
30
94
バター
1171
92
25
3410
90
88
20
水
%T
86
15
84
2852
82
10
1742
80
78
5
水
76
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
0
2920
74
72.0
4000.0
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
バター
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
16
炭化水素とエステ
ルの比率が上記の試
料と異なっている。
脂肪酸組成からし
て,飽和炭化水素の
含有率が高いことが
影響している。
表2-1 液状油脂
試料
赤外線吸収スペクトル
脂肪酸組成
101.3
100
70
98
96
94
3007
60
1377
92
なたね油1
90
50
88
1463
86
1236
722
1119
1096
84
40
82
ナタネ油
80
%T
30
78
76
2853
20
74
1160
72
10
70
66
0
2923
64
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
62
4
5
6
7
8
9
10
12
14
16
16
16
16
17
17
18
18
18
18
18
19
19
20
20
20
20
22
22
22
22
24
24
1744
60
58.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
68
1600
1400
1200
1000
800
650.0
101.2
100
96
3006
94
1377
92
90
88
ベニバナ油
1463
86
1237
1095
1119
84
722
82
(サフラワ
80
%T
78
76
2853
74
ー油)
1160
72
70
68
66
2923
64
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
62
4
5
6
7
8
9
10
12
14
16
16
16
16
17
17
18
18
18
18
18
19
19
20
20
20
20
22
22
22
22
24
24
1744
60
58.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
サフラワー油
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
98
1600
1400
1200
1000
800
650.0
101.1
98
60
96
94
3009
1377
92
50
90
88
1464
86
40
1236
722
1098
84
82
綿実油
30
80
%T
綿実油
78
76
20
2853
74
1160
72
10
70
66
0
2923
64
60
58.0
4000.0
4
5
6
7
8
9
10
12
14
16
16
16
16
17
17
18
18
18
18
18
19
19
20
20
20
20
22
22
22
22
24
24
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
62
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
68
1744
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
30
.0
11
0
1
8
9
6
9
50
4
9
3008
2
9
40
1377
米ぬか油
0
9
8
8
6
8
1464
1237
722
30
4
8
1119
1097
2
8
T
%
0
8
20
8
7
6
7
コメ油
4
7
2853
2
7
10
1160
0
7
6
6
4
6
4
5
6
7
8
9
10
12
14
16
16
16
16
17
17
18
18
18
18
18
19
19
20
20
20
20
22
22
22
22
24
24
2
6
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
8
6
0
2923
1744
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
0 0
. 4
0
6
9 4
. 0
5 1
0
1
2 0 8 6 4
0 0 9 9 9
1 1
60
3009
50
1377
2 0
9 9
8 6 4
8 8 8
1464
40
1238
722
1098
30
2 0
8 8
20
8 6 4 2 0
7 7 7 7 7
2854
1161
10
8 6 4
6 6 6
0
2924
17
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
4 0
. 4
1
6
4
5
6
7
8
9
10
12
14
16
16
16
16
17
17
18
18
18
18
18
19
19
20
20
20
20
22
22
22
22
24
24
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
1744
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
T
%
大豆油
大豆油
723
0 8
9 8
6
8
2855
T
%
4 2
8 8
0 8
8 7
6 4
7 7
2926
2 0
7 7
8 6
6 6
3008
1361
8 6
9 9
1436
1245
4 2 0 8
9 9 9 8
T
%
6 4 2 0 8
8 8 8 8 7
2924
6 4 2 0 8
7 7 7 7 6
1742
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
6 4 4 0
6 6 . 4
2
6
4
.
6
0
1
4 2 0 8 6 4 2 0
0 0 0 9 9 9 9 9
1 1 1
722
(データなし)
1161
2924
T
%
8 6 4 2 0 8 6 4 2 0 8
8 8 8 8 8 7 7 7 7 7 6
1744
6 4
6 6
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
5 0
. 4
1
6
6 0
. 0
1 1
0
1
80
8
9
842
6
9
1016
4
9
2
9
8
8
60
0
9
1244
6
8
1435
4
8
40
2
8
0
8
1195
T
%
30
1170
8
7
6
7
20
4
7
2
7
10
0
7
2924
6
6
0
8
6
4
6
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
20 0
6. 4
1
6
18
50
722
1459
0
.
0
5
6
0
0
8
1016
848
4 2 0
0 0 0
1 1 1
60
914
100
650.0
800
1000
1200
0
0
0
1
8
.
6
0
1
1160
75
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
2 0
. 4
3
6
722
1460
1741
30
85
40
722
20
80
2854
0
2923
65
1744
コーン油
95
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
4 2
9 9
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
8 6
9 9
0
1743
ひまわり油
70
1361
3009
50
1377
3009
1238
1464
20
1161
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
120
2 0
0 0
1 1
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
4
0
1
1377
3009
1236
1464
90
1400
1600
1800
cm-1
2000
2400
2800
3200
3600
60.0
4000.0
985
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
4
.
6
0
1
%T
コーン油
2854
ードオイル
2854
ひまわり油
1098
グレープシ
1170
2854
(データなし)
1195
廃食油
40
イン
80
1238
1459
60
1099
トリリノレ
トリリノレイン
100
1377
3009
脂肪酸組成
赤外線吸収スペクトル
試料
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
表2-2 液状油脂
104.7
1120
1098
70
10
表2-3 液状油脂
試料
赤外線吸収スペクトル
脂肪酸組成
100.8
70
100
1655
60
98
1375
721
96
1461
1237
94
3010
40
92
エゴマ油
エゴマ油
50
1099
1160
30
90
%T
88
20
86
2854
10
0
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
82
1743
80
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
84
2924
78.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
106.9
106
50
104
1376
102
721
1462
1238
40
1099
100
亜麻仁油
3010
98
96
亜麻仁油
30
1160
94
%T
20
92
90
2854
10
88
84
0
1743
82
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
2925
80
79.0
4000.0
3600
3200
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
86
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
9
.
6
0
1
4
0
1
2
0
1
1655
0
0
1
913
1418
8
9
3008
6
9
1377
4
9
1464
0
9
1238
722
1119
1098
8 6
8 8
(データなし)
4
8
T
%
バージンセ
2
9
エキストラ
2
8
0
8
8 6
7 7
サミオイル
2853
1160
4
7
2
7
0
7
8
6
2923
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
6 1 0
6 . 4
4
6
1744
100.9
98
70
876
96
3005
94
1418
92
60 マカデミアナッツオイル
1033
1377
90
50
88
1236
86
722
1464
1096
1118
84
40
82
ナッツオイ
30
80
%T
78
76
ル
20
74
2853
1161
72
10
70
68
0
66
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
64
2922
62
60.0
4000.0
1744
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
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1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
マカダミア
1600
1400
1200
1000
800
650.0
6
.
6
0
1
4 2
0 0
1 1
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0 9 9 9
1
70
60
1377
アーモンドオイル
50
2 0 8
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1464
1238
722
1096
40
30
0 8 6 4
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20
2854
1161
0
2923
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
4 6 0
6 . 4
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6
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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3
0
1
0
1
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3
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0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
2 0 8 6
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10
1744
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
T
%
6 4 2
8 8 8
アーモンド
油
3007
50
2
0
1
0
0
1
88
78
20
76
72
66
0
6
9
4
9
40
1377
2
9
0
9
8
8
6
8
4
8
T
%
2
8
0
8
8
7
10
6
7
1162
2853
4
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2
7
0
0
7
8
6
1744
5
.
6
0
1
パーム核油
1417
1378
50
40
718
30
1238
20
0
1742
1160
10
2921
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
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1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
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2
0
0
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0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
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0 0 0 9 9 9 9 9 8 8 8 8 8 7 7 7 7 7 6 6 6 6. 4
1 1 1
0
6
T
%
8 5
. 0
6 1
0
1
0
0
1
5
9
0
9
5
8
(データなし)
0
8
T
%
2853
5
7
0
7
5
6
0
6
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
4 0
. 4
7
5
5
.
6
0
1
3004
1352
1465
1170
4 2 0 8 6 4 2 0 8 6 4 2 0
0 0 0 9 9 9 9 9 8 8 8 8 8
1 1 1
T
%
2853
2922
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
8 6 4 2 0 8 6 4 20 0
7 7 7 7 7 6 6 6 6. 4
1
6
20
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
6 2 0
6 . 4
4
6
2922
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
90
68
アボカドオイル
96
パーム油
8
9
718
1377
50
722
1236
650.
800
1000
1200
1400
1600
1800
cm-1
2000
2400
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
98
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
1744
62
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
4
0
1
(データなし)
シードオイ
1739
ル
721
ジョジョバ
80
100
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
4
.
6
0
1
オイル
2852
ネルオイル
1111
ココナッツ
1112
パームカー
1467
1237
RDB
1467
RDB
20
原油
1119
1096
84
10
1161
2853
74
30
1465
1116
パーム
2923
64
2800
3200
3600
4000.
60.0
30
80
イル
40
82
%T
1463
86
アボカドオ
60
1377
92
70
1418
3006
94
脂肪酸組成
赤外線吸収スペクトル
試料
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
表2-4 液状油脂
102
70
721
1417
2922
1743
1157
表2-5 液状油脂
試料
赤外線吸収スペクトル
脂肪酸組成
100.9
100
98
1377
96
722
1238
3008
1098
1464
94
92
1160
90
88
白ゴマ油
%T
86
(データなし)
84
82
2853
80
1744
78
76
74
2923
72
71.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
100.8
100
1377
96
722
1238
3008
1464
1098
94
92
1160
90
88
86
%T
84
82
2853
80
1744
78
76
74
72
71.0
4000.0
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10 :
12 :
14 :
16 :
16 :
16 :
16 :
17 :
17 :
18 :
18 :
18 :
18 :
18 :
19 :
19 :
20 :
20 :
20 :
20 :
22 :
22 :
22 :
22 :
24 :
24 :
ゴマ油
2923
3600
3200
2800
ゴマ油
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
0
1
0
1
2
3
4
0
1
0
1
2
3
0
1
2
3
0
1
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
98
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
21
650.0
付録4
繊維の熱分解ガスクロマトグラフィー
1. 研究目的
繊維を特定するための代表的な手法として赤外線吸収スペクトル分析があるが,2種類以上の繊維が
混ざっている場合は赤外線吸収スペクトル分析では識別が困難なことがある。また,赤外線吸収スペク
トル分析だけで物質特定をすることは早計であり,別手法で根拠を捉えておく必要がある。
そこで,熱分解ガスクロマトグラフィーを利用して,繊維が熱分解した時のクロマトグラムのプロフ
ィール(形状)を標準物質と比較し
た。また,2種類以上の繊維の混合
物のクロマトグラムは公表されてお
らず,単体でのクロマトグラムが単
純に重なったものか不明である。
本付録では,2種類の繊維が混在
する時の熱分解ガスクロマトグラム
を測定した。
表1
分析条件
キュリーポイントインジェクター条件
熱分解温度・時間
590℃,5秒
パイロホイル
F590(鉄/コバルト/ニッケル合金)
試料量
5mg(混繊維は 1:1 で混合)
GC-MS 分析条件
カラム
DB-5MS(30m×0.25mmφ,膜厚 1.0μm)
40℃・5 分→15℃/分 昇温→350℃,10 分
2. 分析条件
分析条件を表1に示す。測定はガ
カラム温度
注入口温度:350℃
インターフェイス温度 :200℃
スクロマトグラフ質量分析計で実施
しているが,本付録では高価な機器
キャリアガス
ヘリウム
であるガスクロマトグラフ質量分析
流量
3.2 mL/分
計がなくても比較ができるようにク
モード
スプリット(25:1)
ロマトグラムに着目した。本クロマ
トータルフロー
85 mL/min
トグラムは広く使用されている
線速度
65 cm/sec
GC-FID(水素イオン化検出器)で得
られたクロマトグラムと比較が可能
である。
3. 研究結果及び考察
分析結果を表3~表5に示す。分
析結果から明らかとなった事項は以
下のとおりである。
(1) 綿の混繊では綿の熱分解ピーク
表2
分析サンプル(繊維の組み合せ)
試料
綿
ポリエステル
アクリル
ナイロン
ウール
綿
ポリエステル
○
アクリル
○
○
ナイロン
○
○
○
ウール
○
○
○
○
が出難く,混繊であるかを識別することが困難である。すなわち,綿との識別である場合,熱分解
GC で確認することは今回適用した条件では難しい。熱分解温度を変えるなどの検討が必要である。
(2) ポリエステルは綿を除く繊維との混繊ではほぼそれぞれの繊維のクロマトグラムが重なるように出
現する。したがって,混繊であるかを識別することが可能である。なお,ポリエステル/アクリル及
びポリエステル/ナイロンの混繊では単体では検出されなかった新たなピークが出現する。
(3) アクリルもポリエステルと同様に綿以外では単体が重なったプロフィールである。
22
4. 所見
2種類の繊維を含む試料を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析すると,化学繊維では単体における
クロマトグラムどうしが重なった(混ざった)クロマトグラムが得られた。したがって,化学繊維どう
しの熱分解ガスクロマトグラムから何種類の繊維が含まれているのか,あるいはどのような繊維が含ま
れているのかを明らかにすることが可能である。
しかし,綿を含む繊維では,綿由来のピークが現れ難く,綿が含まれていることが判断できない。し
たがって,綿を含む繊維では識別は困難である。
5. 課題
(1) 熱分解温度などの条件を変えることによって,どのような違いが現れるかを確認し,より好ましい繊
維を定性するための分析条件を見出す。
(2) 本研究で対象サンプルとなったものは繊維であるが,高分子で,かつ,赤外線吸収スペクトル分析以
外に分析することが難しいもの(セルロース,プラスチック,ゴム,タンパク質など)の熱分解ガ
スクロマトグラムを充実させる。
23
表3
綿とその他繊維
…… 綿の混繊(1:1)の熱分解クロマトグラムには綿由来のピークが現れ難い。したがって,綿との混繊であることは熱分解ガスクロマトグラムのプロフィールだけでは判別し難い。
綿とナイロン
綿とウール
アバンダンス
綿とポリエステル
アバンダンス
綿とアクリル
アバンダンス
TIC: 01.D
アバンダンス
TIC: 01.D
TIC: 01.D
TIC: 01.D
1500000
1500000
1500000
1500000
1400000
1400000
1400000
1400000
綿
1300000
綿
1300000
綿
1300000
1200000
1200000
1200000
1100000
1100000
1100000
1100000
1000000
1000000
1000000
1000000
900000
900000
900000
900000
800000
800000
800000
800000
700000
700000
700000
700000
600000
600000
600000
600000
500000
500000
500000
500000
400000
400000
400000
400000
300000
300000
300000
300000
200000
200000
200000
200000
100000
100000
100000
0
0.00
2.00
4.00
6.00
0
0.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
Time-->
アバンダンス
アバンダンス
2.00
4.00
6.00
0
0.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
4.00
6.00
0
0.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
2.00
4.00
6.00
アバンダンス
アバンダンス
4000000
ナイロン
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
TIC: 06.D
TIC: 02.D
3e+07
4e+07
3.5e+07
100000
2.00
Time-->
TIC: 05.D
綿
1300000
1200000
ウール
3500000
TIC: 04.D
4.5e+07
ポリエステル
アクリル
4e+07
2.5e+07
3.5e+07
3e+07
3000000
2e+07
2.5e+07
3e+07
2500000
2.5e+07
2e+07
2000000
1.5e+07
1500000
1.5e+07
2e+07
1e+07
1000000
5000000
500000
1e+07
1.5e+07
1e+07
0
0.00
2.00
4.00
6.00
Time-->
アバンダンス
アバンダンス
綿/ナイロン
1.4e+07
5000000
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
TIC: 09.D
5000000
TIC: 10.D
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
0
0.00
Time-->
Time-->
アバンダンス
アバンダンス
綿/ウール
TIC: 07.D
2.5e+07
3e+07
2e+07
2.5e+07
綿/ポリエステル
9000000
2.00
4.00
6.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
TIC: 08.D
綿/アクリル
8000000
7000000
1.2e+07
6000000
1e+07
1.5e+07
8000000
6000000
2e+07
5000000
1.5e+07
4000000
1e+07
3000000
1e+07
4000000
2000000
5000000
5000000
2000000
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
Time-->
綿とナイロンの混繊の熱分解クロマト
グラムはほぼナイロンと同等であり,綿
に特有のピークは殆ど検出されていな
い。
Time-->
綿とウールの混繊の熱分解クロマトグ
ラムはウールとプロフィールが類似し
ており,綿に特有のピークは極めて僅か
である。
24
1000000
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
綿とポリエステルの混繊の熱分解クロ
マトグラムはポリエステルとプロフィ
ールが極めて類似しており,綿特有のピ
ークはほとんど検出されていない。
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
綿とアクリルの混繊の熱分解クロマト
グラムはアクリルとほぼ同等であるが,
僅かに綿に特有のピークが表れている。
表4
ポリエステルとその他繊維
ポリエステルとアクリル
アバンダンス
3e+07
ポリエステル
TIC: 04.D
ポリエステルとナイロン
アバンダンス
ポリエステルTIC: 04.D
3e+07
ポリエステルとウール
アバンダンス
2.5e+07
2.5e+07
2.5e+07
2e+07
2e+07
2e+07
1.5e+07
1.5e+07
1.5e+07
1e+07
1e+07
1e+07
5000000
5000000
5000000
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
アバンダンス
アバンダンス
ナイロン
TIC: 06.D
4.5e+07
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
アバンダンス
アクリル
ポリエステルTIC: 04.D
3e+07
ウール
TIC: 05.D
TIC: 02.D
4e+07
4000000
4e+07
3.5e+07
3.5e+07
3500000
3e+07
3000000
3e+07
2.5e+07
2500000
2e+07
2000000
1.5e+07
1500000
1e+07
1000000
5000000
500000
2.5e+07
2e+07
1.5e+07
1e+07
5000000
0
0.00
2.00
4.00
6.00
0
0.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
2.00
4.00
6.00
アバンダンス
ポリエステル/ TIC: 11.D
アクリル
Time-->
アバンダンス
5.5e+07
ポリエステル/
TIC: 12.D
ナイロン
TIC: 13.D
2.4e+07
2.2e+07
4.5e+07
新規ピーク
3e+07
3e+07
2e+07
1e+07
5000000
Time-->
1.8e+07
1.6e+07
新規ピーク
1.4e+07
2.5e+07
1.5e+07
0
0.00
2e+07
4e+07
3.5e+07
2.5e+07
1.2e+07
2e+07
1e+07
1.5e+07
8000000
1e+07
6000000
5000000
4000000
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
2.00
4.00
6.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
ポリエステルとアクリルの混繊の熱分解ガス
クロマトグラムは両試料のクロマトグラムが
混ざった形で出てきているが,単体では検出
されないピークが比較的強度が高く検出され
ている。
ポリエステル/
ウール
2.6e+07
5e+07
3.5e+07
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
アバンダンス
2000000
0
0.00
Time-->
ポリエステルとナイロンの混繊の熱分解ガス
クロマトグラムは両試料のクロマトグラムが
混ざった形で出てきているが,単体では検出
されないピークが比較的強度が高く検出され
ている。
25
2.00
4.00
6.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
ポリエステルとウールの混繊の熱分解ガスク
ロマトグラムは両試料のクロマトグラムが混
ざった形で出てきている。
Time-->
ポリエステルと化学
繊維の混繊の熱分解ガ
スクロマトグラムは,両
試料のクロマトグラム
が混ざった形で見出さ
れたが,単体では見られ
なかった新しい物質ピ
ークが見出された。ただ
し,ポリエステルと綿の
混繊では新規ピークは
見られなかった。
表5
その他繊維の組合せ
アクリルとウール
アバンダンス
アクリルとナイロン
ナイロンとウール
アバンダンス
アバンダンス
TIC: 06.D
TIC: 06.D
アクリル
4.5e+07
4e+07
4e+07
3.5e+07
3.5e+07
3e+07
3e+07
TIC: 05.D
アクリル
4.5e+07
ナイロン
4e+07
3.5e+07
3e+07
2.5e+07
2.5e+07
2.5e+07
2e+07
2e+07
2e+07
1.5e+07
1.5e+07
1.5e+07
1e+07
1e+07
1e+07
5000000
0
0.00
5000000
5000000
2.00
4.00
6.00
0
0.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
2.00
4.00
6.00
ウール
6.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
TIC: 02.D
ナイロン
4e+07
ウール
4000000
3.5e+07
3500000
3e+07
3000000
3000000
2500000
2.5e+07
2000000
2e+07
1500000
1.5e+07
1000000
1e+07
500000
5000000
2500000
2000000
1500000
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
0
0.00
Time-->
Time-->
アバンダンス
アバンダンス
TIC: 15.D
4e+07
アクリル/ウール
1000000
500000
2.00
4.00
6.00
TIC: 14.D
7e+07
6e+07
アクリル/
ナイロン
2.5e+07
2e+07
1.5e+07
1e+07
5000000
2.00
4.00
6.00
TIC: 16.D
7e+07
5.5e+07
5e+07
5e+07
4.5e+07
4.5e+07
4e+07
4e+07
3.5e+07
3.5e+07
3e+07
3e+07
2.5e+07
2.5e+07
2e+07
2e+07
1.5e+07
1.5e+07
1e+07
1e+07
5000000
5000000
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
ナイロン/ウール
6.5e+07
6e+07
5.5e+07
3e+07
0
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
アバンダンス
6.5e+07
3.5e+07
Time-->
4.00
TIC: 05.D
3500000
0
0.00
2.00
Time-->
アバンダンス
TIC: 02.D
4000000
0
0.00
8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
アバンダンス
Time-->
アバンダンス
Time-->
Time-->
0
0.00
2.00 4.00
6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
アクリルとウールの混繊の熱分解ガスクロマ アクリルとナイロンの混繊の熱分解ガスクロ
トグラムはアクリルのクロマトグラムと類似 マトグラムは両試料が混ざった形となってい
しており,ウール由来のピークは僅かである。 る。
26
ナイロンとウールの混繊の熱分解ガスクロマ
トグラムはナイロンのクロマトグラムと類似
しており,ウール由来のピークは殆どない。
2種類以上の繊維のう
ち,一方が綿である場合
は,綿由来のピークは極め
て小さく,検出しにくい。
同様にウールも若干その
蛍光があり,化学繊維に比
べて2種類以上の繊維の
熱分解 GC 上には現れ難
い。
付録5
芳香族化合物の UV スペクトル
測定条件
• 試料溶媒: シクロヘキサン(蛍光分析用)
• リファレンスセル: なし
• ブランク: 水
• 濃度単位: ppm(μg/mL)
芳香族化合物の紫外線吸収スペクトル(UV スペクト
ル)には 260 nm 付近に特徴的な山型のピークが出現する
が,置換基の違いによりその形状は異なるものとなる。
分子構造の異なる芳香族化合物について UV スペクト
ルを測定し,スペクトルの僅かな違いを見出した。芳香族化合物の UV スペクトルを図1~図7に示
す。測定結果から明らかとなった事項は以下の通りである。
• ベンゼンの1つの水素がメチル基あるいはエチル基あるいはブチル基に置換されても,UV スペ
クトルの波長シフトは殆ど見られない。すなわち,トルエン,エチルベンゼン,n-プロピルベン
ゼン及び n-ブチルベンゼンの吸収ピークの見かけの波長(プロフィール)は近似している。
• ベンゼンの1つの水素がメチル基に置換された化合物であるトルエンは,ベンゼン特有の山型ピ
ークがブロードになり,かつ,長波長側へシフトしている。さらに,メチル基の数が増えるにつ
れ,さらに吸収ピークは長波長側へシフトする。
• キシレンの異性体を比較すると,メチル基の置換位によってスペクトルは異なる。オルト,メタ,
パラの順で長波長側にシフトしている。
• 置換基の分岐の有無によって僅かにスペクトルに変化が見られた。置換基に分岐があると直鎖の
ものよりも吸収ピークが短波長側に僅かにシフトする。
【課題】
(1) 追加情報として,芳香族化合物の 200 nm 付近のスペクトルの違いを明らかにする。(高速
液体クロマトグラフィーの検出条件に有用な化学情報となる。)
(2) アセトン,メチルエチルケトン等のケトン化合物に見られる n 電子遷移に基づく溶媒の違
abs
いによる吸収波長のシフトを観察する。
0.5
ベンゼン
103.8ppm
トルエン
113.1ppm
エチルベンゼン
102.0ppm
n-プロピルベンゼン
112.96ppm
n-ブチルベンゼン
106.78ppm
エチルベンゼン
0.4
n-プロピルベンゼン
0.3
n-ブチルベンゼン
0.2
0.1
230
240
250
260
270
280
290
300
nm
図1
直鎖炭化水素置換基
ベンゼンにメチル基が一つ置換したトルエンはベンゼンと大きくスペクトルが異なっている。
27
さらに,エチル基,プロピル基,ブチル基と置換基の直鎖炭化水素の鎖長が長くなってもほぼ同等のスペ
クトルであった。
abs
0.6
ベンゼン
103.8ppm
トルエン
113.1ppm
p-キシレン
106.39ppm
ペンタメチルベンゼン
103.86ppm
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
230
250
270
290
310
nm
図2
置換基の数の違い
abs
ベンゼン環にメチル基が数多く置換されるほど,山型ピークが長波長側へシフトしている。
0.6
o-キシレン
100.8ppm
m-キシレン
111.27ppm
p-キシレン
106.39ppm
トルエン
113.1ppm
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
230
240
250
260
270
280
290
300
nm
図3
トルエンとキシレン(配位の違い)
トルエンよりもキシレンは長波長側へシフトしている。
キシレンはメチル基の配位位置によってスペクトルが異なっており,特にパラ位にメチル基が置換した p-キシレンはプロフ
ィールが大きく異なる。
28
キシレンに着目すると,オルト,メタ,パラの順に長波長側へ吸収ピークがシフトしている。
0.3
abs
iso-プロピルベンゼン
(クメン)106.82ppm
n-プロピルベンゼン
112.96ppm
0.2
0.1
230
240
250
260
270
280
nm
図4
直鎖型と分岐型
置換基が分岐型(iso-)の方が 260 nm 付近のピークトップが僅かに短波長側にシフトしている。
0.3
abs
n-ブチルベンゼン
106.78ppm
iso-ブチルベンゼン
109.79ppm
0.2
0.1
230
240
250
260
270
280
nm
図5
直鎖型と分岐型
置換基が分岐型(iso-)の方が 260 nm 付近のピークトップが僅かに短波長側にシフトしている。
29
0.5
0.5
0.5
ベンゼン
103.8ppm
0.4
n-ブチルベンゼン
106.78ppm
0.4
0.3
0.2
0.2
0.2
0.1
0.1
0.1
abs
abs
0.3
abs
0.3
-
-
-
230
240
250
260
270
280
290
300
nm
0.5
ペンタメチルベンゼン
103.86ppm
0.4
230
240
250
260
270
280
290
300
nm
230
240
250
260
270
280
290
300
nm
0.5
トルエン
113.1ppm
0.4
0.3
0.2
0.2
0.1
0.1
abs
0.3
abs
iso-ブチルベンゼン
109.79ppm
0.4
-
-
230
240
250
260
270
280
290
300
nm
230
240
250
260
270
280
290
300
nm
0.5
0.5
エチルベンゼン
102.0ppm
0.4
0.3
0.2
0.2
0.1
0.1
図6
-
230
240
250
260
270
280
290
230
300
nm
0.5
240
250
260
270
280
290
300
nm
0.5
n-プロピルベンゼン
112.96ppm
0.4
0.2
0.2
0.1
0.1
abs
0.3
abs
m-キシレン
111.27ppm
0.4
0.3
-
-
230
240
250
260
270
280
290
300
nm
230
240
250
260
270
0.6
0.5
iso-プロピルベンゼン
(クメン)106.82ppm
0.4
0.3
280
290
300
nm
p-キシレン
106.39ppm
0.5
0.4
0.3
0.2
0.2
0.1
abs
abs
0.1
-
230
240
250
260
270
280
290
300
nm
芳香族の UV スペクトル
(拡大)
abs
0.3
abs
o-キシレン
100.8ppm
0.4
230
240
250
260
30
270
280
290
300
nm
芳香族に特有の 250~280 nm に見られ
る山型ピークを拡大した。
3
3
ベンゼン
103.8ppm
2
2
190
abs
-
210
230
250
270
290
nm
3
ペンタメチルベンゼン
103.86ppm
2
1
abs
1
abs
1
3
n-ブチルベンゼン
106.78ppm
190
210
230
250
270
290
nm
190
210
230
250
270
290
nm
3
トルエン
113.1ppm
2
2
abs
1
abs
1
iso-ブチルベンゼン
109.79ppm
-
190
210
230
250
270
290
nm
190
210
230
250
270
290
nm
3
3
エチルベンゼン
102.0ppm
2
1
1
abs
2
o-キシレン
100.8ppm
-
abs
図7
-
190
210
230
250
270
190
290
nm
3
210
230
250
270
290
nm
3
n-プロピルベンゼン
112.96ppm
2
1
m-キシレン
111.27ppm
2
abs
abs
1
-
190
210
230
250
270
290
nm
190
210
230
250
3
3
iso-プロピルベンゼン
(クメン)106.82ppm
2
270
290
nm
p-キシレン
106.39ppm
2
1
abs
abs
1
-
-
190
210
230
250
270
290
nm
190
210
230
250
31
270
290
nm
芳香族の UV スペクトル
(全体)
次年度は 200 nm 付近の吸収が振り切れ
ない濃度で測定する。
付録6
フッ素樹脂の熱分解クロマトグラフィー
フッ素樹脂には以下の種類があるが,中でも最も多く生産されているのはポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)である。今回,PTFE とフッ素樹脂の共重合体である PFA を入手し,熱分解ク
ロマトグラムの違い及び生成フラグメントについて解析した。
PTFE
【フッ素樹脂の種類】
‹
完全フッ素化樹脂
• ポリテトラフルオロエチレン(四フッ素化樹脂,PTFE)
‹
部分フッ素化樹脂
• ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ素化樹脂,PCTFE,CTFE)
• ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
• ポリフッ化ビニル(PVF)
‹
フッ素化樹脂共重合体
• ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)
• 四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)
• エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)
PFA
• エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)
1.
PTFE と PFA の熱分解クロマトグラフィー
590℃・5 秒で試料を熱分解してガスクロマトグラフ質量分析を行った。
PTFE は C2F4,C3F6 のピークが大きくでているが,PFA は C3F6 以外に C7F16 のフラグメン
トも検出された。C7F16 は PTFE からは検出されていない。
アバンダンス
TIC: 071.D
PTFE
3500000
3000000
2500000
2000000
1500000
1000000
500000
アバンダンス 0
0.00
2.00
4.00
6.00
8.00
Time-->
10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
TIC: 101.D
PFA
3500000
3000000
2500000
2000000
1500000
1000000
500000
0
0.00
2.00
4.00
Time-->
図1
6.00
8.00
32
10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
PTFE と PFA の熱分解クロマトグラム
2.
フッ素樹脂と接着剤の混合物
フッ素樹脂は接着が難しいと言われているが,これの接着剤としてポリエーテルサルフォン
が使われていることがある。この2つを混合した状態で熱分解ガスクロマトグラフ質量分析を
行った。なお,分析条件は前項と同じである。
(1) PTFE とポリエーテルサルフォンの混合物を熱分解すると,主に SO2,C2F4,フェノール,
ビフェニルエーテルが生成した。また,僅かに C7F16 等のフッ素樹脂フラグメントも見出され
た。
(2) PFA とポリエーテルサルフォンの混合物を熱分解すると,主に SO2,C2F4,フェノール,ビ
フェニルエーテルが生成した。さらに,PFA のフラグメントであるエーテルが検出される可能
性が考えられたがエーテルは検出されず,カルボン酸が検出された。すなわち,「CFn-O-CFn 」
ではなく,「CFnCFn-COOH」という形でフラグメントが生成した。
3.
課題
今後,他のフッ素樹脂についても標準を入手してクロマトグラム及び生成フラグメントの解
析を実施する。
アバンダンス
フェノール
TIC: 102.D
SO 2
C2F4
3500000
ビフェニルエーテル
PTFE + ポ リ エ ー
テルサルフォン
クロロベンゼン
3000000
2500000
ベンゼン
クロロビフェニルエーテル
2000000
1500000
1000000
500000
0
0.00
2.00
4.00
6.00
8.00
10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
Time-->
アバンダンス
フェノール
TIC: 103.D
SO 2
C2F4
3500000
ビフェニルエーテル
PFA+ポリエーテ
ルサルフォン
クロロベンゼン
3000000
2500000
クロロビフェニルエーテル
2000000
1500000
1000000
500000
●
0
0.00
2.00
Time-->
●
4.00
●
図2
6.00
●
8.00
10.00 12.00 14.00 16.00 18.00 20.00 22.00 24.00
:CF n CF n -COOH
フッ素樹脂とポリエーテルサルフォンの熱分解ガスクロマトグラム
33
付録7
アミノ酸の IR スペクトルの比較
タンパク質はアミノ酸のポリマーであり,タ
4
4
.
0
0
1
0
.
0
0
1
ンパク質の赤外線吸収スペクトルはどれも似た
5
.
9
9
0
.
9
9
ようなプロフィールを示す(図1)。しかし,そ
5
.
8
9
1071
0
.
8
9
のモノマーであるアミノ酸はそれぞれ構造・官
T
%
5
.
7
9
3266
0
.
7
9
能基が異なり,赤外線吸収スペクトルのプロフ
5
.
6
9
0
.
6
9
ィールも異なるはずである。
1519
5
.
5
9
自然界にはおよそ 500 種類ものアミノ酸が存
血液
1622
0
.
5
9
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
0
81
1m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
370 8
7.4 9
.8
49
9
在していると言われているが,そのうちヒトの
7
9
6
9
体を構成し,生命の維持に必要とされるのが 20
5
9
2935
4
9
種類のアミノ酸である。同じアミノ酸でもそれ
3278
3
9
ぞれの働きは異なり,いずれかが不足すると,
1203
T
%
2
9
1404
1
9
体のどこかに変調を来してしまうという。ヒト
1041
1658
0
9
1601
9
8
醤油(乾燥したもの)
8
8
の体内で合成できるアミノ酸を「非必須アミノ
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
0
0
81
1m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
2
0
1
という。今回,ヒトの生命維持に係ると言う 20
0
0
6
3
0
.
0
0
7 5 0 4
8 . 4 .
6
4
8
0
1
酸」,合成できないアミノ酸を「必須アミノ酸」
839
711
0
0
1
種のアミノ酸について赤外線吸収スペクトル分
3012
8
9
6
9
析を行った。
3286
4
9
1235
2854
1453
1400
T
%
2
9
表1には,アミノ酸骨格の側鎖部分の化学構
1745
1148
1052
0
9
2924
1520
8
8
豆腐(乾燥したもの)
6
8
造を記載した。
4
8
1627
2
8
0
.
0
5
6
0
0
8
0
0
0
1
0
0
2
1
0
0
4
1
0
0
6
1
104.8
0
01
81m
c
0
0
0
2
0
0
4
2
0
0
8
2
0
0
2
3
0
0
6
3
0
.
0
0
3 0
. 4
0
8
アミノ酸の赤外線吸収スペクトル分析によって
104
明らかとなった事項は以下の通りである。
102
710
100
98
3287
96
1452
1236
1380
(1) アミノ酸の赤外線吸収スペクトルの特徴は,
2854
1534
94
1745
%T
1136
92
-1
①水素結合による 3400~2400 cm 付近のブ
2925
88
ロードな吸収帯,②1660 cm-1 以下の多数の
大豆(断面)
86
1049
84
シャープな吸収帯である。
-1
1633
90
82.0
4000.0
3600
3200
-1
(2) 1660 cm 以下の吸収帯は,1660 cm 付近が
図1
最も吸収が大きく,低波数側になるにつれ
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
800
650.0
タンパク質の赤外線吸収スペクトル
吸収が小さくなる傾向がある。
(3) アミノ酸の種類により赤外線吸収スペクト
ルが異なることから,種類の識別に役立つ
ものと考えられる。
側鎖
34
1000
図2
アミノ酸の基本骨格
アミノ酸 20 種
側鎖構造による分類
100.0
100.0
98
95
7 74
90
21 24
12 50
1 05 8
10 19
117 6
113 7
85
96
7 29
8 88
65 9
21 07
94
806
27 30
9 33
25 95
11 51
3 073
92
80
96 1
918
8 48
1 236
90
3 356
75
77 1
1 519
88
70
1 454
11 13
86
%T
101 3
145 6
65
%T
13 56
8 49
84
28 60
60
13 19
29 23
82
14 40
141 1
55
80
50
リジン★
45
1 510
1 61 4
アラニン
76
40
74
1 574
35
30.0
40 00.0
1 30 6
1 36 1
78
14 03
72
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
70.0
40 00.0
650.0
1 58 6
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
101.0
100.0
100
99
99
98
98
97
97
1 04 3
96
96
2 980
95
95
94
118 3
94
13 76
1 12 6
9 73
塩基性
93
%T
2 981
%T
704
1 47 4
92
93
91
767
14 20
90
90
1 322
―H
149 3
8 88
1 33 1
16 76
88
88
1 575
1 613
86
86
85.0
40 00.0
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
68 4
グリシン
1 388
87
155 9
87
927
89
アルギニン
89
85.0
40 00.0
1 43 6
92
1 13 6
91
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
3600
3 200
280 0
2400
2000
650.0
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
100.0
99.0
96
95
94
8 48
21 07
92
1 105
90
852
1 586
12 70
脂肪族
7 84
1 31 4
76
74
127 0
96 1
68
14 24
795
8 29
71 5
66
1 350
160 8
1 471
65
1 34 2
1 246
1 142
92 3
64
バリン★
60
16 29
144 9
62
13 28
ヒスチジン★
60
1 584
13 93
55
141 0
58
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
113 9
2 939
75
70
70
3600
775
10 64
%T
142 7
72
55.0
40 00.0
66 4
901
80
97 9
78
%T
823
94 7
103 4
1 08 7
285 7
80
1 19 0
262 6
68 2
11 77
2 981
82
889
85
11 11
1 06 0
14 98
75 2
31 41
86
84
92 3
90
73 2
88
140 0
1200
1 000
15 62
150 4
80 0
50.0
40 00.0
650.0
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
100.0
100.0
99
95
98
21 08
97
90
65 6
96
13 58
95
94
92
2 60 9
872
112 7
10 85
11 86
67 4
873
75
75 3
91
%T
85
80
1 64 2
15 99
16 87
103 4
9 91
9 62
92 0
124 9
12 71
777
9 36
2 981
93
825
852 7 82
8 00
768
748
8 98
90
89
%T
11 19
11 50
14 20
70
710
1 46 3
1 04 1
1 509
88
287 6
293 1
2 960
1 416
65
98 9
87
1 350
13 27
60
86
130 7
1 60 5
12 92
アスパラギン酸
85
84
83
55
イソロイシン★
13 93
50
1 247
82
1 574
45
1 51 0
81
80.0
40 00.0
酸性
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
40.0
40 00.0
650.0
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
101.0
100.0
99
7 07
98
95
212 3
10 84
1 029
1 00 3
97
96
90
1 23 8
94
2 980
85
91 2
92
16 38
%T
67 1
86 5
1 31 3
1 29 5
137 2
1 34 2
13 85
1 36 1
29 57
90
13 10
%T
11 50
89
75
9 45
1 350
88
833
84 6
1 454
1 471
143 8
2 86 9
80
1 41 9
91
768
11 85
1 13 5
93
親水性
アミノ酸
9 43
92 3
26 18
95
70
66 7
160 7
87
1 508
86
1 255
123 1
121 2
85
702
711
1 12 5
10 73
65
105 3
84
60
ロイシン★
1 510
805
83
1 405
グルタミン酸
82
81
80.0
40 00.0
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
55
650.0
101.0
100
疎水性
アミノ酸
50.0
40 00.0
1 575
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
100.0
95
98
96
34 26
90
1 217
94
8 03
2 37 8
2 11 5
91 3
94 9
11 30
102 5
967
92
852
85
1 00 3
296 4
90
80
10 85
77 8
1 12 4
1 16 2
917
75
1 38 1
140 9
1 302
1 340
84
133 4
70
80
8 48
13 20
%T
82
12 93
68 1
14 68
65
78
1 011
76
セリン
74
72
60
149 4
1 40 9
フェニルアラニン★
7 45
55
130 6
159 0
70
50
1 556
68
66
65.0
40 00.0
10 74
1 44 6
145 7
86
%T
12 25
1 623
2 981
88
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
45.0
40 00.0
650.0
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
6 98
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
100.0
100.0
98
95
10 15
20 52
96
93 9
2 076
984
8 71
94
71 3
90
8 96
92
118 3
1 26 6
293 0
29 74
88
1 246
80
芳香族
84
13 16
82
1 416
14 34
14 52
%T
121 4
7 39
7 93
93 0
1 47 4
136 2
70
1 51 1
8 40
1 60 6
1 10 7
78
14 52
1 623
76
134 4
チロシン
65
7 00
13 29
1 039
トレオニン★
74
12 43
60
1 415
72
中性
8 77
75
80
70.0
40 00.0
11 12
1 04 2
1 198
109 9
117 5
115 4
8 29
7 67
86
%T
2 752 25 96
264 6
32 01
85
90
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
1 584
55.0
40 00.0
650.0
100.0
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
99.0
98
95
96
910
90
89 2
24 88
125 0
1 076
92
300 6
90
1 22 9
834
145 6
31 05
84
68 2
98 6
80
805
10 74
337 9
1 31 5
86 4
8 49
100 6
1 14 4
1 09 8
340 1
11 02
86
92 0
115 6
85
88
1 660
2 92 5
66 7
1 235
82
%T
8 02
7 67
20 70
94
75
11 49
80
%T
1 68 0
78
141 0
13 55
70
15 82
1 31 4
1 57 7
76
1 39 8
65
74
72
60
15 24
70
16 39
68
1 427
64
62
60.0
40 00.0
トリプトファン★
1 36 0
55
66
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
アスパラギン
140 0
1200
1 000
80 0
741
50
45.0
40 00.0
650.0
100.0
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
100.0
99
95
98
8 96
9 25
96
21 08
3 169
102 5
1 06 9
85
34 05
95
75 0
7 65
99 8
80
94
84 7
93
1 20 2
92
11 30
11 03
10 85
1 255
118 4
144 9
2 73 8
75
128 0
%T
1 274
87 4
65
1 44 7
124 2
29 15
1 31 4
55
87
1 33 2
86
1 40 9
160 7
50
135 1
13 16
メチオニン★
85
45
84
1 623
83
82
グルタミン
40
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
157 9
156 0
1 508
35
81
80.0
40 00.0
11 19
11 50
60
1 585
1 48 4
257 3
70
80 9
89
88
8 04
9 80
105 1
1 16 2
90
95 1
67 5
776
13 59
168 4
91
%T
719
7 07
68 1
65 7
90
97
80 0
30.0
40 00.0
含硫黄
650.0
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
1 405
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
100.0
98
96
769
75 2
208 0
94
1 103
31 66
92
90
★=必須アミノ酸
2 548
806
8 22
11 96
2 961
692
94 1
11 39
88
106 3
86
8 66
%T
84
82
80
(1) アミノ酸の赤外線吸収スペクトルの特徴は,①水素結合による 3400~
2400 cm -1 付近のブロードな吸収帯,②1660 cm -1 以下の多数のシャープ
な吸収帯である。
(2) 1660 cm -1 以下の吸収帯は 1660 cm -1 付近が最も吸収が大きく,低波数側
になるにつれ吸収が小さくなる傾向がある。
(3) アミノ酸の種類により赤外線吸収スペクトルが異なることから,種類
の識別に役立つものと考えられる。
78
1 29 5
14 21
76
154 1
システイン
134 5
139 1
74
72
1 57 8
70.0
40 00.0
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
100.0
98
96
94
983
92
91 3
94 7 8 78
10 85
3 375
68 1
90
78 8
2 39 9
88
特殊アミ
ノ酸
イミノ
酸
11 67
2 981
103 4
835
86
13 18
84
%T
82
144 8
12 91
80
78
76
1 61 5
プロリン
74
72
155 3
70
68
1 377
66
65.0
40 00.0
35
3600
3 200
280 0
2400
2000
1800
cm- 1
16 00
140 0
1200
1 000
80 0
650.0
付録8
糖類の構造と赤外線吸収スペクトル
(単糖,二糖類,糖アルコール)
単糖,二糖類及び糖アルコールの赤外線吸収スペクトルの違いについて考察する。分析した糖
類を表1に示す。
表1
種類
分析した糖類
名称と構造式
グルコース(ブドウ糖)
種類
名称と構造式
ラクトース ( =ガラクトース +グルコース)
(乳糖)
ガラクトース(脳糖)
スクロース ( =グルコース+ フルクトース)
二糖類
マンノース
(ショ糖)
マルトース ( =グルコース+ グルコース)
(麦芽糖)
単糖類
フルクトース(果糖)
ソルビトール
アラビノース
エリスリトール
糖アルコール
キシロース
フラノース型
キシリトール
ピラノース型
アンヒドログルコース
ラクチトール
その他
36
表2
糖類の赤外線吸収スペクトル
種類
赤外線吸収スペクトル
グルコース(ブドウ糖)
種類
赤外線吸収スペクトル
ラクトース ( =ガラクトース +グルコース)
(乳糖)
99.0
102.0
96
1660
100
671
2181
94
1296
2943
2890
2834
92
90
1203
1223
98
851
1077
1657
1295
1260
2899
1382
1423 1340
1358
837
94
88
915
86
773
673
914
1201
899
875
3254
3330
92
84
1219
3522
96
1426 1339
1372
1167
90
1141
1147
82
3248
88
762
80
%T
1109
78
%T
1048
84
74
82
72
1115
86
76
988
1004
1083
1093
1058
1070
80
70
1031
76
66
994
64
74
62
72
60.0
4000.0
1019
78
1013
68
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
70.0
4000.0
650.0
ガラクトース(脳糖)
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
スクロース ( =グルコース+ フルクトース)
101.0
100
(ショ糖)
2080
98
1494
101.0
1444
1421
3196
3122
3382
94
1357
1325
1297
1281
1248
二糖類
2937
96
995
707
92
973
793
1151
90
658
1102
88
955
86
%T
84
835
764
100
99
732
98
1237
97
1345
3333
679
96
941
848
1116
95
867
94
82
%T
80
93
92
1003
78
91
1052
1043
908
90
76
1066
89
74
88
72
70.0
4000.0
1067 988
1050
87
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
86
85.0
4000.0
マンノース
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
マルトース ( =グルコース+ グルコース)
(麦芽糖)
100.0
95
102.0
100
844
90
1206
1383
2917
85
913
883
1270
1368
98
706
677
1248
1400
1307 1227
1455
1327
1207
1376
1272
1349
2947
2917
96
828
94
718
870
672
777
802
848
92
1432
80
3296
90
1108
%T
3345
88
968
957
75
906
1134
86
84
70
1065
%T
82
1104
80
65
78
60
76
単糖類
990
74
55
1013
1036
1072
72
70
50.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
1036
1025
68
650.0
66
65.0
4000.0
フルクトース(果糖)
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
ソルビトール
102.0
101.0
100
100
2959
2933
2900
98
98
1468
689
1265
96
1427
1396
3521
3400
773
96
1175
674
923
874
94
818
94
92
2931
92
1304
1253
90
938
1415
90
%T
88
1333
1148
1093
%T
88
884
86
84
782
86
871
3231
82
1015
84
1076
976
80
78
82
80
76
1049
1088
999
1047
74
78
72
76
75.0
4000.0
70.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
3600
3200
2800
2400
2000
650.0
アラビノース
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
103.0
100
98
917
96
94
2940
2886
2826
1473
1306
95
712
1401
3523
1371
1353
90
2927
2970
2956
1256
1230
943
1456
1216
1365
90
2910
1271
88
864
1314
86
85
892
1102
82
707
692
1253
3231
3329
80
673
80
881
%T
78
糖アルコール
1089
1130
1064
76
74
72
70
1049
68
782
66
992
64
62
60.0
4000.0
1409
841
84
%T
650.0
エリスリトール
100.0
92
800
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
キシロース
102.0
75
965
70
65
1077
1052
60
55.0
4000.0
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
キシリトール
100.0
99
100
1190
98
1448
98
1371
1338
675
2914
1311
97
96
3359
3222
94
1373
1419
3164
1248
1278
912
96
1148
95
759
92
1125
94
90
%T
902
88
883
856
93
%T
930
86
1087
1064
1005
92
745
91
84
90
82
89
88
1036
80
87
78
86
76
75.0
4000.0
1124
1111
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
85.0
4000.0
650.0
アンヒドログルコース
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
ラクチトール
105.0
104
100.0
その他
98
102
1641
765
1409
100
1183
1331
1442
1362
98
861
701
1109
1203
1328
1404
1300
1378
1236
1347
96
788
1232
1257
2914
2882
94
830
96
811
878
743
947
893
92
3377
1289
1138
947
3295
3358
94
788
705
1148
90
92
%T
890
88
987
90
1075
1065
%T
918
1110
86
88
857
1088
1011
86
84
84
82
1009
82
1040
80
80
78
78
1026
76
75.0
4000.0
76
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
75.0
4000.0
650.0
37
3600
3200
2800
2400
2000
1800
cm-1
1600
1400
1200
1000
800
650.0
単糖,二糖類および糖アルコールの赤外線吸収スペクトルについて明らかとなった事項は以
下の通りである。
(1) 糖類の赤外線吸収スペクトルに共通しているのは,①水素結合による 3200cm-1 付近の吸収
帯,②1020cm-1 前後のシャープで大きな吸収帯,③1450~1200cm-1 の微細ないくつもの吸
収帯である。
(2) 多糖類も単糖などと同様の波数に吸収帯を有しているが,単糖等の方がすべての吸収帯が
シャープである。
(3) 構造の類似した糖類であっても僅かに赤外線吸収スペクトルが異なることから,単体であ
れば赤外線吸収スペクトル分析で識別できるものと考えられる。
以上
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