金融革新と市場危機 3章5節 「金融革新に期待される役割―家計リ スクに対処する革新が必要」 09/11/13 規制緩和やITが家計の金融環境を改善している 一般の家計にとって、 金融革新はマイナスをもたらすが、プラスはもたらさないものである。 証券化技術発達によるサブプライムローン問題 一方で、 金融取引の利便性向上は、規制緩和や情報通信技術の進展によ るものである。 株式売買手数料自由化による低コスト化 ネットの普及による情報格差の縮小 家計のリスク対処を改善する金融革新が必要 家計が抱える代表的なリスクは以下の3つ。 1. 不動産価格におけるリスク 2. 長寿リスク 3. 物価上昇のリスク 1. 不動産価格におけるシステマティックリスクに対処する手段がない。 不動産会社の株式への投資や 不動産価格先物市場の創設 2. 長寿リスクに対処するはずの年金はリスクヘッジの機能を十分に 果たしていない。 多くの人が今後も平均余命が伸張化を予想しているため。 逆の立場をとる経済主体がないとリスクヘッジは不可能。 3. 土地神話が崩壊した現在では、物価連動型の債券が不可欠 である。 個人では購入できない。また市場混乱のため機関 投資家向けも08年8月以来発行が見送られている。 投資信託はプロの運用? 高齢化進行中の日本では資産の効率的運用は大きな課題である が、家計の投資対象としてアクティブ型の投資信託は有効ではない。 1. 超過利益が期待できないから。 コストを考慮した上で市場の平均的な水準 を継続的に上回っている投資信託はない。 2. 株価変動をいたずらに増幅させるから。 公募株式投信の設定状況と株価 (億円) 60000 (TOPIX) 2000 1800 50000 投信への資金流入と投信の新規設定 が相関していることから、株価上昇時 に多数設定されていることがわかる。 つまり、投資信託は株価変動を増幅さ せている。 1600 TOPIX(右軸) 40000 1400 1200 30000 1000 800 投信設定額 20000 600 400 10000 200 0 0 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年) msnマネー、投資信託協会HPよ り筆者作成 論点 物価連動国債を増発すべきではないか。
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