36 5.視察レポート 野々村 辰彦、小崎 正己、平井 勝博、田村 到、為国

5.視察レポート
野々村 辰彦、小崎 正己、平井 勝博、田村 到、為国 雄一、内海 良夫
5.1 台北市立萬芳医院
(1)面談者 ; 許副院長、崔秘書室主任、他 4 名
(2)日 付 ; 2007 年 9 月 10 日(月)
(3)場 所 ; 台北市文山區興隆路三段
(4)視察内容; 台北市内にある大規模医療機関の IT 化状況を視察した。
(5)施設概要
台北市立萬芳医院は台北市立の施設に台北医学大学による運営管理といった
構成で 1997 年 5 月 10 日に設立された医療機関である。その規模は病床 746
床、1 日の外来患者数 4,000~5,000 名、年間 62,903 件の救急患者を受け入れ
る大規模医療機関である。
(6)ディスカッション内容
1)台湾での医療 IT 化について
台湾においても医療 IT 化は進化のきっかけがなく、また個人情報保護等
の障壁があり遅れていたが、SARS を契機に全民健康保険、医療費用オンラ
イン化、スマートカード導入と進展してきた。現在台湾の人口 23 百万人の
99%が保険診療を受け、年平均 14.8 回通院している。
今後は新規プロジェクトとして NHIP(National Health Informatics
Project)、健康情報を扱うプロジェクトの準備を進めている。
台北市立萬芳医院
外来診察室風景
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2)病院内状況
院内の IT 化は診療支援、管理、研究、教育分野に活用しており、CARE
と呼ばれる 30 の部門システムが稼動している。
診療に用いているのはコンピュータオーダエントリー(CPOE)システムで
ある。医師は CPOE を使って診療を行っており処方箋等の手書き伝票はない。
しかし入院のプログレスノートが手書きであったり、電子署名の課題があり、
法的には入力された内容をプリンタ出力し紙カルテとして保存している。
医療費用は月 1 回、データで中央健康保険局へ申請している。申請は電子化
され、紙での申請は受付けてもらえない状況である。
調剤のシステムも構築している。台湾には漢方を含め、5 万品目の薬品が
あり、うち保険薬は 2 万品目である。萬芳医院での採用薬は約 1,000 品目で
あり、マスタメンテナンスは自院で行っている。
3)ネットワーク接続状況
THE NHI VPN を介して全病院、全診療所、中央健康保険局が接続さ
れている。このネットワークを用いてスマートカードに記録された患者診療
情報を、デイリーバッチで中央健康保険局へアップしている。また全ての病
院が、1 時間毎に緊急用ベットの空き状況をアップし、収容時間の短縮に活
用している。
視察風景
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4)スマートカード
Java ベースのアプリケーションで構築されており、データ層は
a)Basic Data Section
b)Health Data Section
c)Medical Data Section
から構成されている。
病院としては重複検査の防止、ワクチンの適用チェック、アレルギーチェック
等に活用している。記録された患者診療情報はデイリーバッチでネットワーク
を通じてアップされているが、月 1 回行われる医療費用請求の内容とのマッ
チングを取るためにも使われている。
5)院内視察
最後に外来診察室にてスマートカードの使用風景を見学させて頂いた。診
察室にはデュアルディスプレイのカルテ端末とともに IC カードリーダが設
置されており、カードリーダには医師用スマートカード挿入した上で、患者
スマートカードを読ませて使用する。
(7)所感
本病院は大規模病院(外来診療 4,000 人~5,000 人/日)にも関わらず、
夜間診療も普通に行っており驚いた。
IT 化については、医療機関の競争に生き残る為、数年前までは E-Health
(電子化)を念頭に、現在は M-Health(モバイル化)で運用し、
将来は U-Health(ユビキタス化)を目指し、常に先進的な取り組みをしてい
る事に感心した。
また、院内の廊下等は市民のギャラリーとして活用されており、多数の作品
が展示されていた。ロビーには、コーヒーショップやコンビニエンスストアも
あり市民の憩いの場を目指している姿に感銘を受けた。
萬芳医院の
皆様と
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