股関節と肩関節単純撮影の実際 - MT Pro

日本放射線技術学会雑誌
804
臨床技術講座
股関節と肩関節単純撮影の実際
渡辺典男(日本医科大学付属千葉北総病院)
1.股関節撮影を考える
最近,股関節に関するシンポジュウムに参加する機
会があり,そのときの知人の言葉に
「股関節撮影のよ
うに単純な撮影に論議が成立しますか」
という内容が
あった.確かに背臥位で下肢の内旋のみの撮影に変化
は少ないように感じる.しかし内旋が不十分な場合が
多く,特に症状のある患者ほど内旋が不十分になる傾
向にある.そして不十分な内旋は不正確な大腿骨頸部
の投影となり,診断に影響を及ぼす.正確な投影像を
Fig. 1
矢状面の傾斜による大腿骨頸部の正面撮影
得るためには患者の状態を把握し,それぞれの状態に
対応した撮影技術を用いる必要があり,そこには技術
革新の可能性もある.股関節単純撮影を必要とする患
臥位を想定すると,腹臥位では股関節が弛緩した状態
者の状態は,歩行可能な場合や困難な場合,そして股
で内旋となり,変形性股関節症等関節の動きに制限が
関節屈曲可能な場合や困難な場合,また手術後絶対安
ある場合の股関節正面左右同時撮影をはじめ長時間内
静等さまざまである.しかし患者の状態が良くないと
旋を必要とする断層撮影や骨密度測定等に有効である9)
きほど正確な股関節単純撮影を必要とされるのも現実
(Fig. 2∼4)
.
である.今回は,当院で股関節単純撮影を必要とする
軸位像には正確な大腿骨頸部軸位像のために設計さ
患者の疾患で最も多い大腿骨頸部骨折を中心に,患者
れたラウエンシュタイン法である6).股関節を90˚屈曲
の状態別に股関節単純正面および軸位撮影について考
し45˚外転することで得られる正確な大腿骨頸部軸位像
えていきたい.
撮影は,さまざまな状態での撮影の基本となる
(Fig.
1-1 大腿骨頸部を中心とした股関節撮影
で撮影可能である
(Fig. 6)
.また左右股関節を90˚屈曲し
寛骨臼が骨盤のやや前方に位置しているため大腿骨
45˚外転することで同時に撮影可能であり
(Fig. 7)
,片方
頸部は20∼25˚後方へ向いている.そこで正確な大腿
を90˚屈曲し45˚外転して軸位とし,もう一方を伸展お
骨頸部の正面像を撮影するためには20∼25˚の内旋を
よび内旋で正面とすることも可能である
(Fig. 8)
.つま
必要とする7).しかし下肢を内旋するために存在する
り股関節を90˚屈曲し大腿骨が45˚の角度で傾斜した状
特定な筋はなく,複数の筋による動作であり,その作
態が重要である3).以上は通常の範疇の工夫であり,骨
用は比較的弱い.特に背臥位においては下肢の重さも
折等を伴わない症例の患者が対象となる.
5)
.外転が困難な場合は矢状面を検側に45˚傾けること
加わり,十分な内旋状態を得られない場合が生じる.
正しい正面像に小転子は投影されず,投影されている
1-2 寛骨臼を対象とした股関節撮影
場合は外旋状態を示している.
背臥位で非検側の股関節を屈曲しX線束を90˚傾けて
そこで矢状面を非検側に20∼25˚傾斜させて大腿骨
45˚斜入による軸位像と正面像は,股関節の内旋を必
頸部の正面像を得る
(Fig. 1)
.しかし左右の股関節正
要としない.この撮影では矢状面を垂直にすることが
面像を同時に撮影する必要がある場合は,両下腿部を
必須条件となる.
5cm程度上昇させ寛骨臼と下肢の高さを補正したり,
大腿部前面を水平にする程度両膝関節を屈曲させる等
1-3 大腿骨頸部骨折の股関節撮影
内旋を補助する必要がある.そこで考え方を変えて腹
大腿骨頸部骨折は股関節部の症例として多く報告さ
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股関節と肩関節単純撮影の実際
(渡辺)
Fig. 2 腹臥位では筋弛緩状態で股関節は内旋位となる.
Fig. 3 腹臥位による自然な股関節内旋位
Fig. 5 90˚屈曲45˚外転での股関節軸位撮影
(ラウエ
ンシュタイン法)
Fig. 4 腹臥位による股関節正面像.小転子は投影さ
れない.
Fig. 6 矢状面の45˚傾斜による股関節の外転状態
Fig. 7 両股関節軸位同時撮影も可能である.
Fig. 8 股関節軸位と股関節正面の同時撮影も可能
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Fig. 9 座位での股関節軸位撮影では大
腿四頭筋および腸腰筋は作用し
ない.
Fig. 10 矢状面の傾斜による股関節軸位撮影.外転屈曲は不
要.
れ,手術の対象となる場合は特に正確なX線写真を要
求される.正面像は矢状面を非検測に20∼25˚傾斜さ
せて大腿骨頸部の正面像を得る方法を用いて検測下肢
を支持すると患者に対する影響が少ない.大腿骨頸部
骨折の場合,大腿四頭筋や腸腰筋の作用による股関節
屈曲はほぼ不可能である.大腿四頭筋や腸腰筋を使わ
ず介助によって行っても下肢の重さで大きな苦痛を生
じ,無理な屈曲は重大な影響を患者に与える.しかし
車椅子での移動が可能である場合を数多く見かける.
これは条件が揃えば股関節をほぼ90˚屈曲可能である
ことを示している.座る姿勢は大腿四頭筋や腸腰筋を
作用させず上半身を起こすことで可能であり,上半身
の加重は骨盤部の構造上坐骨が支えている.つまり考
Fig. 11 矢状面の傾斜による股関節軸位撮影
え方を変えると,座位でX線束を90˚傾けて45˚斜入す
ればラウエンシュタイン法が可能であるといえる6)
(Fig. 9)
.これらの撮影を行うには撮影台に硬質の発
泡プラスチックを載せると作業がしやすい.また可能
け45˚斜入により軸位
(ラウエンシュタイン法と同等の
ならば椅子を使用するとラウエンシュタイン法が可能
結果)
が可能である6).これは非検側下肢を屈曲や外転
であることから,外転が困難な場合は矢状面を検測に
でなく左右に分離し検側を投影する技術である.また
45˚傾けることでも軸位撮影可能であり,左右股関節
カセッテをX線束に垂直となるように設定すれば,他
を90˚屈曲し45˚外転することで左右同時に軸位撮影も
の撮影法より最も正しい軸位投影像が得られる.この
可能である.このとき外旋になりやすいので注意が必
とき検側正面像は,矢状面を非検側に20∼25˚傾け撮
要である.
影することで正確な撮影が可能である.これらの撮影
の場合,検側下肢をしっかり支持することが重要であ
1-4 手術直後等股関節可動不可時の股関節撮影
り,患者に対して最も優しい撮影法となりうる
(Fig.
手術直後等股関節可動不可時の撮影は,背臥位で非
10,11)
.
検側の股関節を屈曲しX線束を90˚傾けて45˚斜入によ
り軸位を撮影する.しかし股関節は20∼25˚外旋状態
1-5 人工関節置換後の股関節撮影
であり正しい軸位は困難である.また手術後等に両下
人工関節置換後の撮影は,ソケットとボールの状態
肢を固定する場合もあり,通常の範疇の工夫では軸位
とステムを別に考えなければならない.ソケットとボ
撮影は不可能であり撮影の技術革新を考える必要があ
ールの状態を把握するための撮影には,通常の正面撮
る.そこで下肢の固定も外旋時で行われることに着目
影とラウエンシュタイン法を用いる.ステムおよびそ
して,矢状面を非検側に20∼25˚傾けてX線束を90˚傾
の周辺の情報が目的となる場合は,正面像では大腿骨
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の平行度に注意をした通常の正面撮影を行う.場合に
より腹臥位の正面撮影で良い結果を得る場合がある.
側面像は股関節を90˚屈曲し検側大腿骨の外側をカセ
ッテにつけて撮影を行う.技術的にはラウエンシュタ
イン法に近い方法であるが,大腿骨頸部を中心とした
ラウエンシュタイン法とは目的が異なる別の技術であ
る.ラウエンシュタイン 2 法と表現する場合もあるの
で注意が必要である3).
1-6 手術後外来での股関節撮影
手術後外来での撮影では,股関節の動きが十分でな
く場合により疼痛が残る場合もある.その場合はさま
ざまな撮影技術を参考にして正確な投影を心がけるこ
Fig. 12 肩峰の角度測定によるX線束の角度決定
とが重要である.疼痛のある患者には,背臥位から矢
状面を非検側に20∼25˚傾けてX線束を90˚傾け45˚斜入
する軸位撮影が良い結果を得る.つまり患者に優しく
正確な投影が重要である.
1-7 股関節撮影のまとめ
状態の悪い患者の撮影は,困難な場合が多い.しか
しそのような状態の患者こそ精度の高い単純X線写真
を必要としている.撮りにくいから撮らなかったり,
妥協して不十分な写真でよい訳がない.つまりわれわ
れ放射線技師は,技術を駆使して困難な場合に対処し
ていかなければならない.その姿勢が患者に優しい撮
影技術につながるものと確信している.
2.肩関節撮影を考える
骨折や脱臼の外傷や五十肩等の炎症と肩関節の症例
は数多く報告されている.スポーツによる障害も肩関
Fig. 13 肩関節正面像.石灰化腱板炎
を認める.
節部には多く発生する.それは広い稼動域と強い負荷
が存在することを意味し,障害の発生は一時期のみ
ではなく徐々に蓄積される場合も報告されている.そ
と骨折の有無,そして筋靱帯の損傷や脱臼および亜脱
して症状も軽度な場合から重篤な場合まで複雑であ
臼に伴う肩関節の位置関係等が読影対象となる.30˚
る.それらの肩関節単純撮影を行うとき,通常の撮影
外旋状態は検側上肢を標準状態から肘関節を90˚屈曲
が困難である場合にも度々遭遇する.そこで今回は患
させれば視覚的基準となり調整が比較的容易となる.
者の状態別に肩関節単純撮影を考えてみたい.
また検側鎖骨の中間部を接線投影可能な矢状面の軸回
転角度
(60˚程度)
の半分と想定すれば,障害陰影とな
2-1 通常の肩関節単純撮影
る鎖骨の重なりを効率よく防ぐことが可能である.肩
肩関節単純撮影の基本は,正面撮影,側面撮影
(Y-
峰下に対する接線投影は肩峰がほぼ平板状であること
view)
,軸位撮影の三方向撮影が一般的である3).
から,肩峰の上部の角度を角度計で計測すればX線束
2-1-1 肩関節正面撮影
の角度
(頭方より約20˚)
は決定する3)
(Fig. 12)
.そのと
立位もしくは座位にて矢状面を検側に30˚軸回転し
きに鎖骨の状態に注意して肩峰の後縁に第二指を添え
て肩関節は標準状態を維持し,上腕骨に対しては30˚
ると,照射野ランプの光による鎖骨の陰影
(5mm程度)
外旋と同等な投影を可能とする.そして肩峰下に対し
で前額面の調整が可能となり設定精度の向上につなが
て接線投影するようにX線束を調整する.これは大結
る.しかしこれらの動作を同時に行わないと設定精度
節の棘上筋腱付着部の接線投影と肩峰下腔を広く投影
の向上は望めない
(Fig. 13)
.
することが目的であり,石灰化腱板炎や肩峰下骨棘等
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Fig. 14 肩甲骨棘上の角度測定によるX線束の角度決定
Fig. 15 肩関節側面像
(Y-view)
Fig. 16 外転60˚での軸位撮影
2-1-2 肩関節側面撮影
立位もしくは座位にて肩関節は標準状態から20˚伸
展し肘関節を90˚程度屈曲して,肩峰遠位部を感光材
料の中心上部に付ける.肩甲骨内側縁を確認して,肩
Fig. 17 背臥位での肩関節軸位像
甲骨内側縁と肩峰遠位端を含む面が感光材料の中心に
垂直となるように体位を調整する.X線束は肩甲骨棘
を側面から接線投影するように肩甲骨棘上縁の角度を
水平に矢状面に対して30˚の角度で検側肩鎖関節へ向
測定して,その角度に頭方より10˚
(場合によっては
けて入射する9).肩関節を60˚屈曲して90˚外転すれば
15˚程度)
加えた角度で斜入する.これは肩峰下骨棘の
ほぼ同等の体位が得られるが,作用する筋が異なるた
診断や石灰化腱板炎の診断そして骨折もしくは筋靱帯
めに90˚外旋で得られる肩甲骨の最大下制が得られず
の損傷や脱臼および亜脱臼に伴う肩関節の位置関係等
に整位の基準が不明確となる.非検側の肩関節より検
が診断対象となるためである.矢状面はほぼ鉛直状態
側の肩関節が解剖学的に上部に位置すると,整位的に
を保つことが重要で,肩峰遠位部を感光材料の中心上
必要な肩関節の外転が得られず正確な投影ができない
部に付ける動作時に矢状面が傾きやすいので注意が必
ので注意が必要である.肩関節の高さが維持できれば
要である6)
(Fig. 14,15)
.
外転角は30∼90˚の範囲で撮影可能である.X線束の入
2-1-3 肩関節軸位撮影
射角は肩甲上腕リズムに従い外転角の1/2に設定すれ
背臥位にて肩関節を60˚外転し90˚外旋して肩甲骨下
ばよい.外転90˚でX線束が45˚ならば上腕骨骨頭の解
部と肩甲骨棘を撮影台に密着する.X線束は撮影台に
剖頸の接線投影が可能となる.しかし整位の安定性か
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ら外転60˚を推奨する
(Fig. 16,17)
.
2-2 強い疼痛時の肩関節単純撮影
脱臼や骨折等で強い疼痛を訴える患者は通常の撮影
体位が困難なだけではなく,痛みのために特異な姿勢
をとる場合もある.そのときは患者の状態を把握して
できる限り正常な投影を心がける必要がある.それは
脱臼や骨折等の有無だけではなくて脱臼や骨折等の度
合い情報が重要であり,治療指針に大きく影響する可
能性があるためである.
2-2-1 肩関節正面撮影
強い疼痛を訴える患者は前傾姿勢を示す場合が多
く,脱臼の場合は矢状面も検側に傾斜させて検側の腕
を非検側上肢で支えている.撮影は椅子を用い座位で
行い,椅子をやや前方に設定して前額面を後傾させ立
Fig. 18 側臥位での肩関節側面撮影
(Y-view)
位ブッキーに寄り掛かり安定させる.結果として前額
面は20˚程度の前傾で肩峰の角度が水平となればよ
い.この場合矢状面の軸回転はなしでも可としてX線
束は感光材料に垂直入射する.五十肩等の炎症性の疾
り20˚斜入して撮影を行う.このときには下肢は伸展
患による疼痛の場合は,矢状面の軸回転は重要で,肩
してやや高目の枕で頭部を起こすことで肩峰下の接線
峰下の投影精度を要求され座位で正確な整位を心がけ
投影像を得るが,矢状面の角度は20˚程度までと無理
る.
をしない.それは矢状面を傾けても肩甲骨は移動せず
2-2-2 肩関節側面撮影
に体位設定の効果を得られず患者の苦痛が増強する可
肩関節正面撮影と同等に椅子を用いて撮影を行う
能性があるためである.
が,前傾を示すために前額面の調整もしくは肩甲骨棘
2-3-2 肩関節側面撮影
上縁に対するX線束の角度に注意をする必要がある.
上腕骨が可動不可時や多発外傷等で立位および座位
炎症性疾患の場合は上腕骨を上昇させて肩甲骨の振り
が困難な場合は撮影台で側臥位撮影を行う.非検側を
子運動により肩甲骨棘上縁をほぼ水平としてX線束を
下にした側臥位で矢状面をやや軸回転し肩甲骨内側縁
頭方より10˚斜入すれば正確な投影が可能となる.そ
を確認して,肩甲骨内側縁と肩峰遠位端を含む面が感
れでも撮影困難な場合は側臥位による撮影を応用す
光材料の中心に垂直となるように体位を調整する.X
る.
線束は肩甲骨棘を側面から接線投影するように肩甲骨
2-2-3 肩関節軸位撮影
棘上縁の角度を測定して,その角度に頭方より10˚
(場
炎症性疾患の場合,痛みにより外転時に肩関節の
合によっては15˚程度)
加えた角度で斜入する.肩甲骨
上昇を伴い外転が不十分となりやすい.そこで非検
は肩関節内転内旋により胸郭のやや側面に移動してい
側の上肢を挙上させて検側肩関節の上昇を防ぎ外転
て強い矢状面の軸回転を必要としない
(Fig. 18)
.
を補助する.疼痛があるときは外旋が不可となる場
2-3-3 肩関節軸位撮影
合が多く,肩甲骨は台面に密着しないこととなり撮
上腕骨が可動不可時や多発外傷等で立位および座位
影の基準が不明確となる.そこで両膝関節を90˚程度
が困難な場合は,撮影台で側臥位撮影を行う.非検側
屈曲させて体を反らせて肩甲骨を撮影台に密着させ
を下にした側臥位で前額面を撮影台に垂直として,肩
る.それでも撮影困難な場合は側臥位による撮影を
関節は20˚屈曲状態で固定してX線束は前額面に対して
応用する.
25˚の角度で撮影台に水平にし足方より肩鎖関節へ向
けて入射する.そのとき感光材料はX線束に垂直とな
2-3 上腕骨が可動不可時等の肩関節単純撮影
るように固定する.肩関節の20˚屈曲状態は上腕骨の
上腕骨が可動不可時や多発外傷等で立位および座位
固定でほぼ完結されていて,内旋状態にある肩関節を
が困難な場合は,撮影台で臥位および側臥位で撮影を
固定台等で15˚内旋とすれば,肩関節の20˚屈曲とX線
行う.
束の前額面に対する25˚斜入により上腕骨骨頭に対し
2-3-1 肩関節正面撮影
てX線束は45˚の入射となり,上腕骨解剖頸の接線投影
背臥位から矢状面を検側に傾けて,X線束を頭方よ
2003 年 7 月
(Hill-Sacks lesionの検出)
も可能となる9).またX線束
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Fig. 20 側臥位での肩関節軸位撮影
Fig. 19 側臥位での肩関節軸位像.
外転外旋は不要.
の前額面に対する25˚斜入はwest point viewとなり関節
窩前下方の疾患であるbankart lesionの検出も可能とし
ている9).ただし通常の軸位Fig. 17に対して90˚内転し
た状態の投影Fig. 19となるが診断上問題はないとされ
ている
(Fig. 17,19∼21)
.
最後に
今回の執筆にあたりましては,日本医科大学整形外
科学 伊藤博元教授,玉井健介助教授をはじめとする
整形外科の先生方による御指導と川村義彦技師長に誌
上をかりて御礼を申し上げます.
Fig. 21 側臥位での肩関節軸位撮影の角度設定
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