秋田杉の並材を使った伝統的構法による 産直住宅づくり

モクネット事業協同組合
秋田杉の並材を使った伝統的構法による
産直住宅づくり
リフォーム・リニューアル
モクネット事業協同組合(秋田県二ツ井町)
No.05-05-02 / 0029
山の木が柱や梁として見れる伝統的構法「真壁造り」と秋田杉にこだわりを持ち、百年に耐える家づくりにチャレンジ
しているのがモクネット事業協同組合。秋田県北部、秋田杉の産地二ツ井町に拠点を置いて住宅部材の供給をメイン
事業とする。薬品処理を施さない自然の部材が健康住宅ブームにも後押しされ、好評を博している。伝統構法の若手
への継承や林業によるまちおこしなど、地域の活性化に取り組む事業としても地元の期待が大きい。
環 境 分 野
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取組の概要
背景・きっかけ
杉製品の供給を行なう㈱木創代表取締役の加藤長光と都
市部で在来軸組工法で木造住宅の建築設計を手がける一級
農林水産業
建築士の丹呉明恭が「森林問題を考える会−ネットワーク 21」
を通して問題意識の共有するところから生まれた。
事業化までに苦心したことは、①産地側の問題として、二間
の伐採の長さ、乾燥、規格、運搬などについて、また②都市側の
問題としては、杉より桧という信仰があること、作業小屋を持た
ない大工が多いこと、杉材は弱いという意識が根強いこと、節の
ある並材への抵抗などの課題が存在したことを挙げることが
秋田杉を使った木造住宅
できる。
福祉・介護
しかしながら、問題意識を共有する仲間が集まり、適材適所のネットワーキングによって様々な意味
でのリスク分散を図ったことや共通の理念を産地・都市の双方が持っていたことにより事業化の成功に
つながっているものと考える。
取組の概要
この産直ネットワークは双方向で、木材や木造住宅の良さを
見直すことを実践するため、産地側では地元の需要拡大・地域
振興、秋田杉による規格材の安定的な供給体制の整備を行い、
そ の 他
都市側では秋田杉の特徴を最大限生かすため、大工塾を通じ
て伝統技術を習得するなどして、お客様に満足していただける
木造住宅の供給を目指している。
「ネットワーク 21」に集まった人々のネットワークを活かし、「木
の住まい」セミナーや現場見学会を開催し、ネットワークを拡大
することにより、顧客の獲得を進めている。
秋田杉の並材
さらに、①室内に柱、梁を全て現す真壁工法(丈夫で長持ちする骨組)、②国産材料の使用、③新建
材やビニールクロス等を極力使用しないこと、④杉の特性を利用するために厚い部材の規格の開発な
どに差別化のポイントがあるものと考える。
新分野進出事例集
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秋田杉の並材を使った伝統的構法による産直住宅づくり
リフォーム・リニューアル
柱や梁をあらわす真壁工法
自然の断熱材であるフォレストボード
植物繊維製の壁紙をでんぷん糊で貼付け
環 境 分 野
実施体制
理事長の役割は協力企業の開拓と、安定供給体制の整備にある。組合の実行体制としては、組織は
総会、理事会、事務局、監事からなり、組合運営は事業利益で賄い、組合員からの会費はない。ネットワ
ークとして、建前、刻みを普段はやる機会のない若い大工に開放し、木の家づくりについて直接学ぶ機会
などを提供している。
また生活クラブ生協の組合のグループ、設計事務所そして大工のグループとの共同主催で、生活の
中から日本の森林を考えようという「ネットワーク 21」での各種研修会からの情報収集を行っている。組
農林水産業
合員が直接にモクネットの事業に関わっていないので組合の形態にはなっていない。
2
2.ここ2年間の状況
事業協同組合のメンバーに変更はなく、平成 17 年度現在、木材会社、設計事務所、工務店、大工な
ど、およそ 15 社による体制を維持している。売上は非公開。
収入源は、毎年 25∼30 棟建設される建物の部材の共同販売事業による収益であるが、現在までほ
ぼ同じ状態で推移している。ただし、秋田杉の並材と断熱材として新しく開発した「フォレストボード」の
福祉・介護
供給は増えている。これまでの実績から、施主や設計事務所が「フォレストボード」を指名してくれる機会
が増えていることが要因となっている。
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取組の成果、本業への影響
取組みは、①森林問題を考える会を通じて「森林→木材→生活→家」といった循環を産地と都市が
手を結ぶことによってモクネットの取組が全国的な広がりを持つようになったこと、さらに②SKリースの
純自然素材の断熱材「フォレストボード」開発を支援するなど、次世代へのシンクタンク的役割を果たし
そ
そ の
の 他
他
ていることなどが成果として挙げられる。
さらに、もともと薬品処理をしない部材を開発・供給してきたため、世の中の住宅に対する関心の高
まり、例えば健康住宅ブームなどに対しては、結果として先行して事業を行なっていたということが今で
は高い評価につながっている。
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2
現在の課題と今後の展望
課題は、モクネットの活動が理事長加藤氏一人の肩に掛かっていて、メンバー相互の連携及び結束
財団法人建設業振興基金
モクネット事業協同組合
力に乏しいことが挙げられる。まずはモクネットの中で第二、第三の加藤氏を育成することとモクネット
の機能をNPO化することが課題である。またモクネット仕様の規格材の供給体制を整備することは今後
リフォーム・リニューアル
の目標であるが、そのためには組織の機能の拡充を図る必要がある。また連携する関東圏など、県外へ
の供給も今後の課題である。
K
環 境 分 野
農林水産業
福祉・介護
そ の 他
新分野進出事例集
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秋田杉の並材を使った伝統的構法による産直住宅づくり
事業者プロフィール
会社概要
リフォーム・リニューアル
環 境 分 野
会社名(団体名)
モクネット事業協同組合
代表者名
加藤 長光(51 才)
所在地
秋田県二ツ井町
会社創業時期
平成 2 年 4 月
業 種
■その他(木材・木製品製造)
主要受注先
■民間発注者
建設業許可番号
−
役職員数
5 人(うち建設業従事 −)
資本金額
0.5 百万円
直近年度の売上高
−百万円(−)
新分野・新市場への取組又は先進的な取組の概要
農林水産業
取組分野
■その他(具体的に秋田杉材製品製造)
取組の類型
■既存技術の応用
■販路の開拓
■その他(具体的に 若い大工のネットワーク )
事業の段階
■事業展開段階(既に展開している)
取組体制
■異業種連携
工業所有権の有無
−
問い合せ先
福祉・介護
会社名(団体名)
モクネット事業協同組合
担当者氏名(役職)
加藤 長光 ( )
所在地
秋田県山本郡二ツ井町字太田南 12-3
電 話
0185-73-5660
eメール
[email protected]
URL
http://www.mokunet.or.jp
平成 17 年8月 22 日現在
そ の 他
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財団法人建設業振興基金