佐賀県庁経営改革の歩み (政策・事業編) 平成 22 年10月 統括本部政策監グループ 【目次】 ■「佐賀発・地方分権」国にモノを言う!.......................................................................... 1 ■サガン鳥栖の存続及び支援について................................................................................. 4 ■地上デジタル放送への円滑移行対策の推進について........................................................ 6 ■15分ルールについて .................................................................................................... 11 ■新型インフルエンザについて ......................................................................................... 13 ■放課後児童クラブの充実について .................................................................................. 15 ■消費者行政に力を入れた NPO法人への委託 ............................................................. 17 ■パーキングパーミットについて ...................................................................................... 18 ■地域共生ステーション(宅老所・ぬくもいホーム)について ....................................... 21 ■自殺対策の推進について................................................................................................. 29 ■ワークステーション それいゆとのコラボレーションについて .................................... 31 ■トライアル発注事業について ......................................................................................... 34 ■伊万里市第4工業用水道整備事業について .................................................................... 38 ■佐賀海苔®有明海一番について....................................................................................... 40 ■ハウスみかん(台湾 香港)について ........................................................................... 47 ■佐賀牛海外について........................................................................................................ 50 ■佐賀県原産地呼称管理制度について............................................................................... 53 ■ローカル発注について .................................................................................................... 56 ■まちなか再生について .................................................................................................... 59 ■まちなかランチについて................................................................................................. 62 ■フィルムコミッション等推進について ........................................................................... 66 ■入札改革について ........................................................................................................... 69 ■段差解消について ........................................................................................................... 71 ■情報公開ランキング 常に上位について........................................................................ 75 ■みやき町における暴力団進出阻止活動について ............................................................. 77 ■子育て井戸端会議について ............................................................................................. 78 ■在宅勤務について ........................................................................................................... 81 ■Buy さがん県民運動について ......................................................................................... 85 ■パスポート交付について................................................................................................. 89 ■県立学校施設のユニバーサルデザイン整備について...................................................... 91 ■太良高校改編について .................................................................................................... 93 ■県立高校と県立特別支援学校高等部の併願について...................................................... 95 ■「オンリーワン」のさが体験活動支援事業について...................................................... 96 ■開館時間日本一について................................................................................................. 99 ■図書館物流について(相互貸借に要する時間) ........................................................... 101 ■「佐賀発・地方分権」国にモノを言う! 【総括責任課:政策監グループ】 取組の概要 佐賀から地方分権改革の動きを巻き起こすため、平成15年10月に、国の補助金 制度の問題点を具体的に指摘した「プロポジション10・16」を公表したのを皮切 りに、様々な政策提案・行動を実施 1.取組の背景 平成15年6月の骨太方針2003により、平成18年までに三位一体改革を推進する ことが閣議決定された。また、全国知事会も、平成15年に梶原岐阜県知事が会長に就任 し、「闘う知事会」を掲げるなど、地方分権改革に対する関心が高まり始めた。 こうした中、佐賀県から積極的に政策提案・行動を行うことで、全国の動きをリードし、 改革を加速することを目指す。 2.取組の具体的内容 ○プロポジション10・16(H15.10) ・補助金の使い勝手の悪さを具体的に分かりやすく例示。 ・翌月にまとめられた全国知事会の提言書には、プロポジションで公表した事例が 数多く採用。 (オープニングから過激です) 1 ○プロポジションⅡ(H16.7) ・消費税と法人二税の「税源交換」を全国に先駆けて提言。 ・全国知事会の中で当初は少数派でしたが、平成19年には税源交換論が多数派に。 ○毒まんじゅう拒否宣言(H19.10) ・法人二税の再配分は、「まやかし」であり、地方にとって、交付税の減額をもたら す「毒まんじゅう」であることを鳥取県、徳島県など5県と連携してアピール。 ・アピールからまもなく、財務大臣が国会で「交付税は減額しない」と表明。 ・フリップを用意し、知事が「偽装表示シール」を貼るという演出も。 2 *近年は、古川知事が全国知事会副会長・政権公約評価特別委員長という立場であ り、全国知事会のいわば「執行部」であるため、県独自の提案活動よりも、全国 知事会の意見に佐賀県の意見を反映させることが中心となっている。 3.職員や県民の反応 ○ 他県からは、具体的なネタ集めの手法や、アイディア出しの手法を聞かれることが 多く、地方分権改革において、佐賀県が全国の動きをリードすること自体は、定着し てきた。 ○ しかし、地方分権改革自体が道半ばであるため、「成果」として目にみえていないの が残念である。 3 ■サガン鳥栖の存続及び支援について 【総括責任課:政策監グループ】 取組の概要 佐賀県唯一のプロスポーツチーム「サガン鳥栖」を存続させ、支援 1.取組の背景 本県唯一のプロサッカーチーム「サガン鳥栖」が平成 16 年に存続の危機が訪れた。経営 が安定せず、Jリーグより早急な改善が確認できないと、除名もありうるということが通 達された。 サガン鳥栖は、「鳥栖フューチャーズ」が解散して、超法規的に「サガン鳥栖」として存 続した経緯があり、一からチームを立ち上げるとJリーグに加盟するためのハードルはか なり高い。このため、県庁内に「サガン鳥栖存続タスクチーム」を組織し、サガン鳥栖存 続に向けた取組みを行った。 2.取組の具体的内容 ・ 平成 16 年 4 月 サガン鳥栖存続タスクチーム結成 構成:副課長 1 名(併任)、担当 2 名(職務命令) 所属:政策監グループ 業務内容:過去の経緯の調査、今後の方策の検討など ・ 平成 16 年 9 月 佐賀県プロサッカー振興協議会創立 構成:県内市町村、経済団体、マスコミ等 事業内容:サガン鳥栖と協力してプロサッカーの振興とスポーツ文 化の定着を図る ・ 平成 17年1月 ㈱サガンドリームス創業 佐賀県出身で東京においてクリークアンドリバー社(映像系人材派 遣会社)を経営する井川幸広氏により創業。 ・ 平成 17年2月 ㈱サガン鳥栖より㈱サガンドリームスへ経営譲渡 ・ 平成20年6月 ㈱サガンドリームスへ県が出資 出資額:3,000千円(鳥栖市も同時に出資) 3.職員や県民の反応 佐賀県プロサッカー振興協議会は、サガンドリームスと協力して、市町村無料招待事業、 ホームゲーム時のイベント等試合以外での盛り上げ、少年少女サッカー教室などのホーム タウン活動を行った結果、約3,000人の平均入場者数が、7,855人(2005年) と倍以上の伸びを示した。 また、鳥栖市の小学生の夢「鳥栖スタジアムを満員にしたい」をかなえるため、スポン サー、サポーター、自治体が一緒になって行動をし、18,231人のチーム記録を打ち 立てた(2006年)。20,000人の入場者を目標に活動していたため、チーム記録で はあったが目標を達成できなかった。これを受け、ユニフォームスポンサーであるブリヂ 4 ストンが2008年に再度20,000人の入場者を目標に集客を行い、21,029人 の入場者を集めた。 この取組みは J リーグでも先進的な取組みとして注目を集め、 「Jニュースプラス」創刊 号で取り上げられた。 Jリーグニュースプラス創刊号 ブリヂストンデイ 夏の風物詩「サガン鳥栖花火」 松本監督と知事 日本サッカーの祖クラマー氏と 5 ■地上デジタル放送への円滑移行対策の推進について 【総括責任課:情報課】 取組の概要 地上デジタル放送(地デジ)への円滑移行対策の推進に当たり、県民のテレビ視聴環 境の確保を図る観点から、県独自の取組みを推進。 1.取組の背景 佐賀県はテレビ放送普及の歴史的経緯等から民放1波地域(全国的には徳島と佐賀のみ) であるが、県民は、県内放送に加え、福岡・熊本等の隣県の放送(区域外放送)を日常生 活上区別なく視聴している。地デジ化は本来、国策として進められており、また、放送法 上、放送事業者は県民に対する放送の提供義務又は提供努力義務のない区域外放送ではあ るが、今や生活・娯楽など様々な情報入手手段として広く定着しているテレビについて、 デジタルになってもアナログ時代同様の放送を視聴できるよう、県独自の取組みが必要と された。 2.取組の具体的内容 (1)地デジ移行対策に関する国への政策提案・要望の実施等 ・政策提案時などあらゆる機会を捉えて、国に区域外放送の視聴ができる対策を提案・ 要望。 ・都道府県で構成する「地上デジタル放送普及対策検討会」 (平成 16 年度:28 道府県→平 成 22 年度:46 都道府県)にいち早く参画し、連携して国に政策要望等を実施。 (2)区域外放送の視聴対策の推進 ・平成 15 年度に、「放送のデジタル化に対応した生活と行政の研究会」を設置し、佐賀 県におけるテレビ視聴の現状と想定される課題、デジタル放送の利活用などを研究。 ・平成 20 年度に、県が提唱して、国(九州総合通信局) 、市町及び関係事業者で構成す る「佐賀県地上デジタル放送受信検討会」を設置。区域外放送の視聴現状分析や受信 対策を検討。 (3)区域外放送の受信対策の実施 ・平成 21 年 2∼3 月に行われた国の区域外放送受信の調査(1000 ポイント調査)を踏ま え、平成 20 年 8 月末に公表された国の「新たな難視地区対策計画」において、区域外 放送の受信対策に国の支援が受けられることが実現。 ・佐賀県としても、市町等と連携して、区域外放送受信困難地区の把握に努めるととも に、県独自に調査(平成 22 年 2∼3 月)を行うなど、「新たな難視地区対策計画」への 「地区登録」を推進。 ・県民の受信対策費の軽減を図り、円滑な移行対策を促すため、平成 21 年度に市町が辺 地共聴施設やケーブルテレビ整備を行う場合に県が補助する制度を創設。 ・さらに平成 22 年度において、佐賀県民のアンテナ設備等の高額負担の課題を面的に解 決するとともに、区域外放送受信困難地区の解消を図るためのケーブルテレビの整備 (佐賀市、神埼市全域等)を行うため、国が創設した新たな補助制度の適用が実現し、 6 県・市町が連携して、県内の広範な範囲でケーブルテレビ整備を推進。 (4)県民の地デジ円滑移行対策の推進 ・地デジ対応マップの作成 微弱な区域外放送の受信のために、アンテナによりテレビ視聴されている県民は、 アンテナの数や方向の調整などに加えて、増幅器(ブースター)等を設置するなど 工夫して視聴されているが、その受信対策は、中継局の位置などの理由のため、地 域により異なり、また、周辺の地形的状況によっても異なっている。 このため、県独自に、各市町別にテレビ受信の現状と、デジタル後の望ましい受 信図・望ましい設備の概要を著した「地デジ対応マップ」を作成。 7 8 ・積極的な周知広報の実施 複雑な受信実態にある県民に、佐賀県の受信概況等を広報するため、県民だより の別冊保存版発行、新聞等による啓発、佐賀県独自の地デジ啓発パンフレットの印 刷・発行などを行い、きめ細やかな周知広報を実施。 ・地デジ県民サポートセンターの開設 県民の地デジに対する相談に対応するとともに、地域の集会等における広報の実 施、並びに、個々の世帯の電波状況の調 査など、円滑な地デジ移行につなげるた め、平成 21 年 11 月 30 日に、佐賀県電器 商業組合に委託して「地デジ県民サポー トセンター」を開設した。 9 3.職員や県民の反応 地デジ県民サポートセンターには、平成 21 年 12 月 1 日から平成 22 年 5 月末までの 6 か月間で、合計 1,391 件の相談が寄せられた。また、地域の集会や商業施設などで計 102 回、延べ 3,559 人に対し説明会を開催した。さらに、調査依頼のあった 1,110 件に対し、 1,026 件の調査(電波の受信状況調査など)を完了した。 相談者からは「おかげで地デジが見られるようになった」と、多くの感謝の声が寄せ られている一方、調査に 2 時間程度を必要とすることなどから、依頼を受けて調査に伺 うまでの期間に 3∼4 週間を要している。このため、平成 22 年度 6 月補正予算によりセ ンターの体制を強化し、県民の円滑な地デジ移行を支援する。 10 ■15分ルールについて 【総括責任課:危機管理・広報課】 取組の概要 危機の事象について、まず職員が覚知した内容を迅速かつ的確にトップである知事 に至るまで伝達(目標:覚知から15分以内)するとともに、危機に関する情報を関 係者全体で共有 1 取組の背景 近年、食品会社の食中毒事件及び自動車会社の欠陥製品によるリコール問題など、改 めて日本企業の危機管理体制が問われるような事件が多発している。 危機に迅速かつ的確に対応するためには、まず迅速な情報の伝達と情報の共有が重要 であり、職員が危機を覚知したとき、職員が迷うことなく、覚知した内容を迅速かつ的 確に伝達する。 2 取組の具体的内容 (1) 情報伝達の経路 情報伝達の基本経路図 【知事への連絡について】 第 1 報は要領よく簡潔に!! ○ 原則、知事へは次の電話に連絡する。 「090−××××−××××(随行秘書携帯) 」 本庁における伝達経路 ○ 随行秘書につながらない場合は、直接、知事へ連絡 関係課長 等 職 員 所 職務に関わりが無いが 危機を知り得た職員 属 長 緊急連絡用電話 0952-○○-○○○ 本 部 長 知り得た職員からの伝達経路は、 危機管理・広報課長 11 事 伝達手段は、電話(又は口頭) と電子メールの併用が基本 (注)職務に関わりが無いが危機を で表示している。 知 = 危機管理・報道監 現地機関における伝達経路 職 員 関係課長 等 所 属 長 職務に関わりが無いが 危機管理連絡員 本 部 長 知 伝達手段は、電話(又は口頭) 緊急連絡用電話 危機を知り得た職員 と電子メールの併用が基本 (注)職務に関わりが無いが危機を 知り得た職員からの伝達経路は、 で表示している。 危機管理・広報課長 = 危機管理・報道監 (2) 情報伝達の手順 ①「職員」⇒「所属長」⇒「本部長」⇒「知事」を基本とする。 ②第1報は、覚知から知事までの伝達を15分以内に行うことを目標とする。 ③判断に迷ったときは、まずは危機とみなして対応する。 ④上司と連絡がつかない場合は、迷うことなく、直ちに上位の者へ報告する。 ⑤伝達手段は、電話(又は口頭)と電子メールの併用を基本とする。 3 事 取組の体制 これまでは所属ごとに連絡態勢を作り、報告も職員の経験に委ねていた部分もあった が、全ての職員が報告に当たって素早く対応できるよう、マニュアル化した。 12 ■新型インフルエンザについて 【総括責任課:危機管理・広報課】 取組の概要 強毒性の新型インフルエンザ(H5N1)に備え対応行動計画を策定し、体制づく りを進めてきた。 2009年に発生した新型インフルエンザについては、大多数の症状は季節性イン フルエンザと大差なかったことから、社会活動への影響を考慮しながら、行動計画の 弾力的な運用と県民への広報に努めた。 1 取組の背景 近年、東南アジアを中心に高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が人に感染し、死 亡する事例が発生している。これを受け、WHO(世界保健機関)や厚生労働省では「新 型インフルエンザ対策行動計画」等を策定し、本県でも平成17年12月に、新型イン フルエンザの流行に伴う被害を最小限に止めるため、 「佐賀県新型インフルエンザ対応行 動計画」を策定した。 2 取組の具体的内容 【佐賀県新型インフルエンザ対応行動計画】 ○平成17年12月 「佐賀県新型インフルエンザ対応行動計画」を策定 ○平成18年6月 ・ 国において「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下 「感染症法」という。)の改正により、四類感染症に分類されていた「高病原性鳥 インフルエンザの人への感染」について、人から人へ感染することを前提として、 現行の四類感染症の規定に加え、二類感染症に準じた必要な規定を準用する見直 しが行われた。 ・ その発生及びまん延の防止を図るため、感染症法第6条第7項の指定感染症と して定められた。 ○平成19年4月1日 感染症法の改正に伴い、高病原性鳥インフルエンザは「鳥インフルエンザ」に変更 された。 ○平成19年3月 国がフェーズ4以降のガイドラインを策定 ○平成19年4月 これら国の動きを受け、 「佐賀県新型インフルエンザ対応行動計画」を改訂(第2版)。 ○平成19年10月 国が「新型インフルエンザ対応行動計画」を改訂 ○平成20年5月 13 「感染症法」、「検疫法」等が改正され、「鳥インフルエンザ(H5N1)」は二類感 染症として位置づけられ、併せて、今後発生が予想される新しい亜型のインフルエン ザウイルス感染症等に備え、「新型インフルエンザ等感染症」の類型を設けて、発生直 後から対策を実施できるよう明記し、入院措置等の法的根拠が整備された。 ○平成21年1月 これらを背景に「佐賀県新型インフルエンザ対応行動計画」を改訂(第3版)。 (改訂の内容) ・新型インフルエンザ発生時の県民への健康被害を最小限に抑える。 ・医療提供体制等医療対応に係る対策に加え、ライフラインの確保を始め、事業 所、学校等の社会対応について検討・充実を図る。 ・各分野毎に対策をまとめ、併せて、県危機管理体制を充実させる。 【新型インフルエンザ(A/H1N1 ○ 等 2009)への対応】 大多数の症状は季節性インフルエンザと大差なく、99.9%以上の方が軽症で回 復する程度のものだった。しかし、重症例では、基礎疾患のある方、小児や妊娠中の 方などは注意が必要とされた。 ○ このため、県は、新型インフルエンザの病原性と行動計画を厳密に適用することに よる社会経済活動への影響を勘案しながら、学校等の休業取扱い、県民や企業への外 出自粛要請や休業要請の取扱い、医療機関の受入態勢などにおいて、弾力的な対応と 県民への広報に努めた。 ○ しかしながら、その過程では、発生早期段階における「新型インフルエンザ」に対 する不安からくる県民や医療現場での混乱だけでなく、ワクチン接種体制における国 の方針決定の混乱なども見られ、より病原性の強い新型インフルエンザへの対応に課 題が見えてきた。 3 職員や県民の反応 ○ 新型インフルエンザに対する不安から来る、県民からの患者情報の問い合わせや、 患者への忌避・誹謗中傷が見られた。 ○ 特定の医療機関への受診が集中し、院内感染の不安と医療スタッフの負担が増大す るとともに、受診待ち時間が延びた。 14 ■放課後児童クラブの充実について 【総括責任課:こども未来課】 取組の概要 必要とされるすべての小学校区に放課後児童クラブが設置されるよう努め、また、 地域のニーズに対応した放課後児童クラブとなるように開設時間の延長や休日(土曜 日)の開設を促進するとともに、大規模クラブの解消等の内容の充実を図っている。 1.取組の背景 共働きや一人親家庭の増加、子どもが犠牲となる事件・事故の多発を背景に、放課後児 童クラブの必要性が高まったことから、平成16年度から放課後の安全で安心な子どもの 居場所づくりのため、放課後児童クラブのさらなる充実を目指すこととした。 2.取組の具体的内容 (1)放課後児童クラブの開設の促進 平成16年度から、国庫補助制度や既存の県単独補助制度(小規模放課後児童クラブ事 業)の補助要件である児童数や開設日数を大幅に緩和した県単独補助制度(放課後児童ク ラブ全県普及特別推進事業)を創設し、クラブを新たに開設しようとする市町への支援に 取り組んだ。さらに、必要とされるすべての小学校区へのクラブ設置を目指し、未設置校 区が存在する市町の首長へ直接要請を行うとともに、市町の教育長に対しても余裕教室等 学校施設の開放についての協力依頼を行った。その結果、必要とされる小学校区への設置 率は平成18年度末で89.5%(必要とされる小学校区162校区中、145校区に設 置)であったものが、市町の理解を得て、平成21年度末には98.8%(必要とされる 小学校区161校区中、159校区に設置)となり、平成22年4月現在では、設置率1 00%となった。 (2)放課後児童クラブの開設時間の延長や休日(土曜日)の開設の促進 開設時間延長や土曜日開設への取組が遅れている市町について、首長への実施要請を行 い、また、市町の教育長や各小学校長に対して学校施設の開放についての協力をお願いす るとともに、クラブの運営費に対する支援を行った。その結果、平成18年度においては 18時以降の開設割合:60%、土曜日の開設割合:26%だったものが、平成21年度 には18時以降の開設割合:89.3%、土曜日の開設割合:70.6%となり、総合計 画2007に掲げる目標を達成することができた。 ○18時以降の開設割合 (目標)80%以上 (平成21年度実績)89.3% ○土曜日の開設割合 (目標)50%以上 (平成21年度実績)70.6% 今後も、地域のニーズに対応した放課後児童クラブとなるように、開設時間の延長及び 休日(土曜日)の開設促進に取り組んでいく。 15 (3)大規模クラブの解消(適正規模の確保) 放課後児童クラブを利用する児童の増加に伴い、クラブの大規模化が進んだため、子ど もの情緒の安定や事故防止を図る観点から、児童数71人以上の大規模クラブの分割を促 進し、適正規模での運営が行われるよう、各市町への実施要請を行うとともに、放課後児 童クラブの施設整備や既存施設の改修等に対する補助を実施している。この結果、平成2 1年度に15クラブ存在していた大規模クラブは、現在のところは解消している。今後も、 放課後児童クラブが適正規模で実施されるよう、大規模クラブの解消に取り組んでいく。 3.職員や県民の反応 子どもが通っている児童クラブで、開設時間の延長や土曜日の預け入れができるように なったので助かった。(県政モニター意見より) 16 ■消費者行政に力を入れた NPO法人への委託 【総括責任課:くらしの安全安心課】 取組の概要 平成16年度から消費生活相談業務を「NPO法人 消費生活相談員の会さが」に 委託しており、 「消費生活専門相談員」等の資格を有する専門家と、行政職員が一体と なって、消費者被害の未然防止と救済に尽力している。 1.取組の背景 (1)県の消費生活センターと消費者行政担当部門を統合し、くらしの安全安心課をアバ ンセに置くことで、「現場主義」を実践する必要があった。 (2)消費生活相談件数が急増する中で、迅速的確な相談対応が求められていたが、嘱託 職員は雇用期間の制限があり、専門性の高い相談員が辞めざるを得ない状況であっ た。そこで、消費生活相談業務を専門家集団であるNPO法人に委託し、消費生活 相談の「現場」で民間と行政が「協働」して消費者行政を担うという、新たな取組 みを行った。 2.取組の具体的内容 (1)消費生活相談業務の委託 消費生活相談業務を専門家の集団であるNPO法人に委託することで、嘱託職員の雇 用期間の問題が解消され、専門性が確保されるため、質の高い相談対応、事業者とのあ っせんが可能となった。さらに、曜日によって配置人員を調整し、財政的にも効率的な 業務運営を行っている。例えば、平日の配置人員は4名体制であるが、アバンセ休館日 である月曜日は電話相談のみの受付けのため、配置人員を3名とするなど柔軟な相談体 制となっている。現在は、相談者の利便性を考慮し、年末年始を除く毎日、消費生活相 談を受付けている。 (2)情報の共有化 消費生活相談員と行政職員が毎朝ミーティングを行っており、「現場」の声を迅速に行 政指導や消費者啓発に結びつけ、消費者被害の防止に努めている。なお、平成20年度 からは、相談受付場所の統一、交通事故相談の休日受付等、県民サービスの向上と効率 的な相談業務の運営のため、交通事故相談業務も統合して実施している。 3.職員や県民の反応 ・質の高い相談対応 専門的な知識が要求される消費生活相談に、有資格者が対応することで、あっせん解 決率は95%以上という高い水準を維持している。丁寧な聴き取りによる問題点の掘り 起こしや、粘り強い事業者交渉の結果、数多くの事案が県民の被害救済に結びついてお り、相談員にあてて、県民からも感謝の手紙やFAXが寄せられている。 17 ■パーキングパーミットについて 【総括責任課:地域福祉課】 取組の概要 パーキングパーミットとは、身障者用駐車場に駐車できる方を明らかにし、県内に共 通する利用証を交付することで、本当に必要な人のために駐車スペースを確保する制 度。平成 18 年 7 月に佐賀県が全国で初めてスタートした。 1.取組の背景 各施設には身障者用の駐車スペースが設けられているが、障害のない人がこのスペー スに駐車していることがあり、本当に必要な方が利用できない状況があった。 また、ショッピングセンターなど施設の駐車スペースを管理する側にとっても、障害 のないと思われる方が駐車していても、「お客様であり注意しづらい」などの問題もあ った。 2.取組の具体的内容 (1)平成 18 年 7 月 パーキングパーミット制度の制定 制度の対象者 ・身体障害者のほか、高齢者や妊産婦、一時的に怪我をされた方など、歩行が 困難な方を対象とする。 利用方法 ・対象者に身体障害者用駐車場利用証を交付。対象者は、駐車の際、利用証を 車のルームミラーに吊り下げて提示する。 効果 ・施設管理者は、その車が身障者用駐車場を本当に必要とする人の車かどうか、 一目で判断できるため、健常者による不適正な駐車を防止することができる。 ※パーキングパーミットの協力施設には案内標示(ステッカー)を設置。 18 (2)パーキングパーミットプラスワン運動 (平成22年1月∼) 利用者全体の利便性向上のため、次の取組を実施している。 NEW NEW パーキングパーミットプラスワン運動 新たな課題 ●車いすユーザーから「パーキングパーミットの利用者が全体的に増え、身障者 用駐車場(幅3.5m以上)に駐車できないことが多くなった」との意見 ●各々の協力施設の身障者用駐車場の台数を早急に増やすのは困難 (身障者用駐車場を増やすためには ⇒ 駐車台数の減や白線の引き直し等によるコスト増) 課題解決のためには 一般駐車場を制度対象へ(パーキングパーミットプラスワン運動) パーキングパーミット協力施設出入り口近くの一般駐車場(2.5∼2.7m程度)に、 車いすユーザー以外の方のための駐車場を確保(プラスワン)し、利用者全体の利便性を向上 ①各保健福祉事務所に運動員計10名を配置し施設に働きかけ (平成22年1月より開始) ②対象駐車場に路面表示マークを貼付 パーキングパーミット制度実施県では全国初 3 19 3.職員や県民の反応 利用者アンケート調査(平成 21 年 3 月実施)の結果 「以前に比べて車を停めやすくなった」 78% 寄せられた声 ・「外見上健常者に見えるため、周りから冷たい視線を感じていたが、どこからでも確 認できる利用証を使用することで安心して駐車できる」(内部障害者の方の声) ・「体調が悪くても、病気でないからと遠慮してきたが、これで堂々と駐車でき、大変 ありがたい」 (妊産婦の方の声) ・「苦情で一番多いのが身障者用駐車場であったが、県に協力しているということで不 適正駐車に対する指導がしやすくなった」(民間施設管理者の声) 20 ■地域共生ステーション(宅老所・ぬくもいホーム)について 【総括責任課:地域福祉課(地域福祉担当)】 取組の概要 総合的な地域福祉サービスをめざし、地域共生ステーション(宅老所・ぬくもいホ ーム)の整備を通じて、高齢者・チャレンジド・子どもなど、いろいろな方をお世話 できる体制づくりをすすめる。 1.取組の背景 21 22 2.取組の具体的内容 23 24 25 3.職員や県民の反応 (利用者の声) ・ 認知症のお年寄りもいるが、ぬくもいホームに来る幼児と過ごす中で、 「気をつけ てあげないと」と目配りする様子も見え、ここで過ごすことがいい刺激になって いるようだ。 ・ 3歳の娘がぬくもいホームに通っているが、入浴を嫌がるお年寄りに「一緒に入 ろう」と呼び掛けたり、服のボタンを留めてあげたりするなど気配りができるよ うになり、お年寄りと接する中で娘が成長しているとの実感がある。 ・ 子供が病気になった時に、どうしても仕事を休めない場合でも、子供の面倒をみ ていただけるので助かるし、また身近にこのような施設がありとてもありがたい。 ・ 夏休みに小学校高学年を受入れたが、大きな子供は騒ぎ、高齢者には不評であっ た。また、家でも子供の面倒を見て、ぬくもいホームでも子供の面倒を見るのも 大変との意見があった。 ・ デイサービスセンターに通っているが、人数が多くて落ち着かなかったが、ぬく もいホームは自宅にいるように気楽に過ごせる。 ・ 台風の夜、市役所からの紹介で一人暮らしの障害者の受け入れを行った際、 「こん な施設があるとは知らなかった。身近にあってよかった」と、とても喜ばれた。 ・ 利用者の方にトリム体操を行っており、要介護の方でも日に日に元気になられて きており、利用者本人、ご家族、施設の全ての方が喜んでいる。 (施設の声) ・ 末期ガンで通所利用されていた方が、お亡くなりになられたことがあるが、医師と の連携で末期の方の受入を行なうことができ、スタッフ共々大きな自信に繋がっ た。 ・ 特別支援学級の子供を学校へ迎えに行くことがあるが、下校時間が不定期であるも のの、学校の近くに立地しているため、いつでも迎えに行くことが可能であり、身 近にこのような施設があることが、地域密着であることを実感できた。 ・ 現在行っているぬくもいホームの運営は、順調にすすんでいることから、今後2箇 所目のぬくもいホーム設立も考えている。 ・ 知的障害者のグループホームを併設しており、知的障害者をスタッフとして雇用し ているが、丁寧にお年寄りの世話をしてもらい、皆喜んでいる。 26 (見学バスツアーの感想) ● 市町担当者の感想 ・ 宅老所のイメージとして何となく暗いものを想定していたが、全く違っており、 大規模施設と違い、家庭的な雰囲気で小回りの利くサービスの提供で感心するば かりであった。 ・ 利用者はサービスを受けているというより、普通に子供や孫達と生活しているよ うな雰囲気であった。 ・ 利用者に役割をもたせ、預かってもらっているという意識を感じさせていないと ころが良い。 ・ 利用者が必要としている介助を押し付けるのではなく、さり気なく、温かく見守 って手を貸している点に好感がもてた。 ・ 困っている人の立場になって、今どういう支援が必要なのかを常に考え実践され ているし、それを行動にうつせる力強さ、やる気が感じられた。 ・ 通所のみだと思っていたが、泊りもあり、高齢者の個々の事業に応じてサービス の提供がなされており、きめ細やかな対応で高齢者の穏やかな表情が印象的であ った。これは建物が民家であることや、高齢者が施設で介護サービスを受けてい るというより自宅で生活している安心感の顔の表情であった。高齢者の介護に は、このような本来の生活により近い形のサービスが自然であり、その人らしさ を保つことが出来ると思い感動した。 ・ 地域の中に自然に溶け込み、地域から求められているサービス(近所付き合いの 感覚で)を提供されており、自然体の介護の提供施設だと感じた。 ・ 家庭的な雰囲気でサービスされ、料理やおやつについても季節感がわかるように と工夫されており、アットホームで素晴らしいと思った。 ・ 決まったスケジュールもなく、地域の中で高齢者の方が家庭的な雰囲気の中で穏 やかに過ごされているように見受けられた。 ・ 急に宿泊が必要になったときに対応してもらえるのは、家族には大変助かると思 う。 ・ 利用者の皆さんの表情がたいへん明るく、大家族を訪問したような感じがして、 それぞれに合わせたサービスがなされていると思った。 ・ その地区の住民を、その地区の住民がお世話する、心の通ったお世話をしてもら える。 ・ 一人暮らしや認知症の老人は無論のこと、近所の子どもたちまでが立ち寄って利 用しているということで、宅老所というより、寄り合い生活所のように感じた。 ・ 家庭に近いような雰囲気の中でサービスを提供されており、利用者にとっては 「安らぎの場」になっているのではないかと思った。既存の民家を利用すること で設備投資にお金をかけずに運営していることに感心した。 ・ 民家がこんなにすばらしい宅老所に生まれ変わっているのでびっくりした。 ・ 実際に活動されているところをみせていただき、行政主導ではなく、地域に密着 した活動をされており、今後の可能性を感じた。 ・ 民生委員や婦人会が興味を示され、見学会を企画している。 ・ 担当としては補助要望があれば、実施に向け検討したいが、上司からは財政的に 厳しいと言われた。 27 ●当時の県担当者所感 ・ 全体として、市町職員の宅老所に対する関心はあったものの、行政の定義外のもの であることから、見学に行くことさえ躊躇していた感がある。 ・ そのため、宅老所における職員体制やケアの質などに対する誤解もあったようだ。 ・ しかし、実際に見学に行った感想を聞いてみると、宅老所に対する認識やケアの質 について全員が非常に好印象を持っており、 「現場」を知ることが如何に重要であ るかということがわかった。 ・ また、市町の担当者個人としては宅老所に関心はあったように思えるが、組織の中 でそれを言い出すことが難しかったのではないかとも思えた。 ・ 県がバスツアーを実施したことにより、参加しやすい環境になったと思われる。 ・ 宅老所に対して理解は進んでも、すぐに開設の話があるというわけでもないため、 各種団体や町民の方への広報に努めるなどの対応を行った市町もあった。 ・ 一方、いくつかの市町では、宅老所に対する理解はしてもらったものの、財政面で 支援は難しいと考えられているところもあった。 28 ■自殺対策の推進について 【総括責任課:障害福祉課】 取組の概要 副知事をトップとする佐賀県自殺対策協議会を設置し、医療機関、警察等の関係機 関と連携を取りながら、県民一人ひとりが自殺予防の主役となるような自殺対策を推 進。 1.取組の背景 平成10年から連続して全国の自殺者数が3万人を超えている中、平成18年に自殺対 策基本法が制定され、平成19年に自殺総合対策大綱が示されたのを受け、同年度末に本 県の自殺対策を総合的に推進するための基本的方向について定めた「佐賀県自殺対策基本 計画」を策定した。これに伴い、平成20年度より「うつ対策」に主眼を置いた本県の自 殺対策推進事業に、これまで不十分であった普及啓発、地域支援、ゲートキーパー養成を 追加した総合的な自殺予防対策に着手し、地域の実情、自殺予防の各段階(自殺予防・事 後対応・危機対応)に応じた事業を展開している。 2.取組の具体的内容 ・ 本県の自殺対策についてのイメージ(「佐賀県自殺対策基本計画」より) 上記、「佐賀県自殺対策基本計画」に基づき、 (1)平成14年度に設置した佐賀県自殺対策協議会の会長変更(H14∼精神保健福祉セ ンター所長→H19∼健康福祉本部長→H20∼副知事)、構成機関の増と各関係機関 29 における「実行宣言」の見直し (2)20年度からの新規事業として ・ 地域自殺予防推進事業:県内の自殺死亡率の高い地域と管轄保健福祉事務所がモデル的 に地域の実情に応じた自殺対策を実施 ・ 自殺対策トップセミナー:首長を対象にした地域における自殺予防推進の重要性につい ての講演 ・ かかりつけ医うつ病対応力向上研修:地域の中で自殺予防対策を担う「かかりつけ医」 の育成 (3)21年度からの新規事業として ・ 自殺予防民間団体補助:自殺予防に資する民間団体への補助(2ヶ所) ・ 地域自殺対策緊急強化基金事業(平成21年度から3年間)。本県137,000千円 ・ 自殺予防週間キャンペーン、自殺対策強化月間∼SAGA こころの健康キャンペーンの 実施 3.職員や県民の反応 ・ 自殺の原因はさまざまであり、幅広い分野での対策を講じる必要があるため、本庁内 の関係各課で構成した自殺対策庁内連絡会議を設置したが、構成課として提示した課 から自殺対策の関連性を感じてもら えず、苦情をもらったこともあった。 ・ 民間団体と一緒に「自死遺族支援全 国キャラバン in 佐賀」を開催した際、 行政と一緒に初めて実施したイベン トが成功したこと、また自死遺族の 支援体制づくりのきっかけになった ことについて、民間団体や遺族の方 からも感謝のメッセージをいただい た。 ∼自死遺族支援全国キャラバン in 佐賀より 30 ■ワークステーション それいゆとのコラボレーションについて 【総括責任課:障害福祉課】 取組の概要 発達障害のある方に、就労のための専門的な支援を行うため、全国初の取組として、 県庁舎内に就労訓練施設(チャレンジド・ワークステーション)を設置。 ここでは、シェアド・サポート(複数の障害者を1人のジョブコーチで支援する) の手法による就労訓練をNPO法人「それいゆ」と県が協働で実施している。 1.取組の背景 自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害の方は、場の雰囲気を汲んだり、状況にふ さわしい行動をとることができないなど、コミュニケーションや人間関係がうまくとれな いといった障害がある。こうした特徴をもつ発達障害者への支援は、最近になって取組が 開始されたこともあり、発達障害に特化した訓練機関や支援員等が不足しており、一般企 業等での就労は進んでいない状況にある。 こうした中、県内にはNPO法人「それいゆ」が、全国的にみても先進的な発達障害に 特化した支援に取り組んでいた。 2.取組の具体的内容 発達障害者の就労訓練の場を確保するとともに、訓練後の一般就労への促進を図るため、 勤労意欲のある発達障害者に対して、県庁本庁舎 新行政棟7階に専用訓練室を設け、シ ェアド・サポート(複数の障害者を1人のジョブコーチで支援する)の手法による就労訓 練及び就労継続のための生活支援をNPO法人「それいゆ」に委託して、平成20年2月 から実施している。 対象者 高機能自閉症、アスペルガー症候群、LD などの発達障害者の方 訓練定員 3∼5名程度 訓練場所 「チャレンジド・ワークステーション」(県庁舎7階) 訓練内容 訓練期間 利用料 利用手続 発達障害者の支援を行っている「NPO法人それいゆ」に就労訓練を委託し て、常時1∼2名の職場適応援助者(ジョブコーチ)を配置して訓練を行う。 原則1年 無料 申請に基づき、審査会で審査を行う。 31 発達障害者就労訓練施設(チャレンジド・ワークステーション) 〇〇課 封入・発送依頼 県庁各課で発生する発送などの定型的業務 をワークステーションに発注 〇〇課 データ入力依頼 発達障害者 チャレンジド・ワークステーション (県庁舎内) 業務を就労訓練に活用 受託業務 ①文書集配 ②宛名ラベル貼、文書、広報 誌等の発送 ③データ入力 ④テープおこし ⑤会議資料印刷 など 支援のノウハウを持つ 支援員(ジョブコーチ) による支援 効果 指定期日までに 発注課へ成果品を納品 ・訓練生の就労訓練、就労 への移行 ・職員の発達障害者への理解 ・他の官公庁、会社の取組み 啓発 ・発注課の定型業務負担軽減 その他、現地機関に出向いての業務( 図書館での就労訓練(返却図書の書庫入れや資料 整理等))、民間企業での体験実習(洋菓子店でのお菓子づくり、スーパーでの商品整理等) といった、より実際の職場に近い環境で、就労に向けた準備性を高める訓練も行っている。 ※訓練生の状況:これまでの訓練終了者5名のうち2名が一般就労に結びついた(学校図 書館、洋菓子店)。 3.職員や県民の反応 発達障害に関しては知らない職員も多く、発注した品物が納品されるときに、予想以上 の出来映えだった場合など、驚く職員もいると聞いている。その後そうした職員から「発 達障害ってどんな人たちなんですか?」とチャレンジド・ワークステーションのスタッフ に質問されるなど、仕事の発注をきっかけにして、発達障害について関心をもつ職員も多 い。スタッフからも、県職員に自分から「知りたい」と思ってもらえたことがうれしかっ たといった声が寄せられている。 発達障害は外見からは判断しにくいこともあり、大人になって初めて自らが発達障害で あることが分かる方も多い。こうした方の中には、身体・知的・精神の障害者が通う障害 者自立支援法に基づいた就労支援サービスの利用に抵抗を感じられる方もいる。発達障害 者支援センターの関係者からは、「県が、法律に基づくサービスとは別に、独自に発達障害 に特化した訓練施設を提供してくれることは、こうした方にも適切な就労訓練を受けさせ ることができるため、有り難いと感じている」という声をいただいている。また、訓練の 一環として、洋菓子店のオーナーにお店での体験実習をお願いに行ったところ、快く引き 受けていただいた。2週間の体験実習後、オーナーからは、「周りのスタッフに感想を聞い たところ、ある程度戦力になってくれるのではないかという意見も多く、本人の希望も聞 きながら、雇用してみよう」と言っていただいた。その後1年が経過したが、本人は周り 32 のスタッフにも支えられながら、現在もそのお店で元気に働いている。 チャレンジド・ワークステーションは全国的にみても先進的な発達障害に特化した支援 手法を有するNPO法人「それいゆ」と県が協働して実施することにより、県庁自らが就 労支援を実践することができ、また、NPO法人「それいゆ」としても発達障害者への就 労支援の新しい手法として、モデル的な取組を行うことができた。また、こうした取組は、 県職員や民間企業で働く人たちにとっても、発達障害への理解を深めていただくことに繋 がったと考えている。 33 ■トライアル発注事業について 【総括責任課:新産業課】 取組の概要 すぐれた製品や技術を有するものの受注実績のないベンチャー企業などへ県が受注 の機会を与えることで企業の実績づくりを支援するとした制度。 1.取組の背景 これまでに、中小企業が行う技術開発や新製品開発への支援を行ってきたところである。 しかしながら、開発した新製品の販路開拓に取り組み中で、販売実績がないなどの理由で 受注に結び付かない場合が多いとした企業の声があった。 【企業の声】 ・新製品を作っても販売実績がないので門前払いをされる。 ・売込みに行くと、「官公庁での受注実績はあるの?」と聞かれる。 【制度面】 ・地方公共団体の契約は一般競争入札が原則。 ・指名競争入札しようにも実績がないため事業者登録ができない。 【古川知事マニフェスト(H15.4)】 すぐれた製品や技術を有するものの受注実績のないベンチャー企業な どへ県が受注の機会を与えることで企業の実績づくりを支援する。 佐賀県(平成15年7月∼ トライアル発注事業・全国初) 34 2.取組の具体的内容 (1)トライアル発注事業 実績:H22.3 現在 応募件数 396 品目(338 事業者)/選定件数 134 品目(131 事業者) 平成15年度のスタートから21年度第2回募集までに、延べ338事業者 から396品目の応募がなされ、134品目の製品を選定し、これまで118 品目について有用性の評価を行っている(20年度、21年度選定の16品 目は現在発注手続中又は使用中)。 H22.2現在 募 集 平成15年度 応募件数 105品目 (80事業者) 平成16年度 95品目 (79事業者) 20品目 (19事業者) 20品目 平成17年度 56品目 (49事業者) 25品目 (25事業者) 25品目 平成18年度 32品目 (29事業者) 19品目 (19事業者) 19品目 平成19年度 39品目 (34事業者) 12品目 (12事業者) 12品目 平成20年度 33品目 (31事業者) 17品目 (16事業者) 15品目 平成21年度 36品目 (36事業者) 14品目 (14事業者) 合計 評価件数 選定件数 27品目 (26事業者) 27品目 396品目 (338事業者) 134品目 (131事業者) 118品目 概要:県内中小企業が開発した製品等について、県の機関が試験的に発注し、また使用 後は当該製品等の有用性を評価し、官公庁での受注実績を作ることにより、販路 の開拓を支援する。 ︻ 応 募 製 品 の 審 査 ・全 庁 照 会 県 ト内 ラの イベ アン ル チ 発 技 術 ・市 場 性の 審 査 ャー 注 へ の企 応業 募 トライア ル 発 注 委 員 会 発注機関 (構 成 員 ) 庁 内 各 本 部の 代 表 者 教育委員会事務局の代表者 中 小 企 業 支 援セン ター < 審 査 機 関> ・中 小 企 業 支 援 セ ンター ・公 設 試 験 機 関 等 意 見 交 換 ・決 定 県 の 機 関 での使 途 の 照会 < 決 定 す る事 項 > ・発 注 す る製 品 ・使 用 す る機 関 ・庁 内 、福 祉 施 設 、学 校 等 発注 ・ 使用 ・ 評価 ︼ 意 見 交 換 ・決 定 等 < 決 定 す る事 項 > ・使 用 後 の 評 価 意 見 書 の提 出 製品を選定された 中小企業 県 の 評 価を 「お 墨 付 き」 として営 業 ≪ 通 知 ・公 表 ≫ ・有 用 性の 評 価 ・製 品 改 良 等 に 関 す る意 見 35 (2)トライアル倶楽部 会員数:43 会員(市町、団体、企業) 概 要:トライアル発注事業に提案があった製品のうちから要件をクリアした数点を選 定し、市町や企業等に対しプレゼンテーションを行うもの。また、これまでの 採択製品等をカタログや専用のホームページで紹介する。 トライアル倶楽部創設 (概要) 県だけでなく、市町や民間大手企業等と共同で中小企業支援を行うことがより効果的で あることから、トライアル発注の購入者側として市町村及び大手民間企業等に倶楽部会 員として参加いただき、会員に対し年2回の製品プレゼンテーション会の開催案内や、 カタログ送付による新製品情報の提供を行い、購入を促す。 (倶楽部会員のメリット) ・地域貢献企業としてのイメージアップ(倶楽部事務局は各種広告媒体による会員の紹介 を行う。) ・中小企業支援に携わることで地域経済の活性化に寄与 ・県内企業の新製品・新技術の情報をいち早く入手することが可能 (会員数) 現在43会員(12社・20市町・11団体) (3)トライアル発注全国ネットワーク 会員数:41 都道県 概 要:トライアル発注事業に取り組む都道県が結束し、効果的な新製品情報の発信や 企業同士の商談会の実施等を通じて、営業力の弱い中小企業やベンチャー企業 が開発した新製品や新技術の販路拡大を進め、地域経済の活性化を図る。 具体的には、HP やメルマガ等による情報発信や大都市圏での商談会の実施。 ①ネットワークの目的 トライアル発注事業に取り組む都道府県が結束し、効果的な新製品情報の発信や企業 同士の商談会の実施等を通じて、営業力の弱い中小企業やベンチャー企業が開発した新 製品や新技術の販路拡大を進め、地域経済の活性化を図る。 ②役員 ・会長 佐賀県(ネットワークを代表し、その業務を総理する) ・幹事 北海道・静岡県・富山県・福井県・香川県 (会長に代わり、会員間の連絡調整を行う) ・監事 福岡県(ネットワークの事業の執行状況を監査する) ・会員数 41 ③主な事業 ・ホームページ(H19年10月開設)及びメルマガ(H19年11月創刊、月2回発刊)による 情報発信 36 3.職員や県民の反応 平成20年度までに選定された120品目の中で、選定後に受注件数が伸びたもの は、45品目(37.5%)、売上が伸びたものは48品目(40.0%)であり、一定の成果は得 られている。 〔売上が3倍に伸びたものも!〕 13.3% 受 注件 数 14.2% 売上高 37.5% 40.0% 45.8% 49.2% 増えた 変わらない 増えた 未回答 37 変わらない 未回答 ■伊万里市第4工業用水道整備事業について 【総括責任課:企業立地課(誘致基盤担当)】 取組の概要 シリコンウェーハ製造分野で世界のトップシェアを誇るSUMCO社から、工場拡 張に伴う新たな工業用水の要望があったことから、佐賀県と伊万里市が責任を持って 工業用水を確保することとし、その実現のため、様々な検討を重ねた結果、伊万里湾 の一部を締切り、貯水施設を整備することで工業用水を確保し、安定的な供給を行う。 1.取組の背景 世界トップクラスのシリコンウェーハ製造企業であるSUMCO社から、県内への新た な生産拠点工場の立地の意向が示されたものの、当時、県西部地区では新たな水需要に対 応できない状況であったため、新規に工業用水道を開発する必要から県と市が共同で整備 することとした。 2.取組の具体的内容 伊万里市が行う工業用水道整備事業に対し、県は、共同事業者として取り組む立場から 支援を行う。 ○ 事業内容 ・事業主体:伊万里市 ・総事業費:約170億円 ・事業期間:H18∼H21年度(4ヵ年) ・給水開始日:平成21年7月1日 ・給水区域:伊万里市(伊万里団地・長浜団地) 38 ・計画給水量:25,000㎥/日 ・貯水施設:面積 A=43ha、貯水量 V=246万㎥ ○ 県の役割 ・人的支援:県より伊万里市へ技術職員を派遣(4名) ・財政支援:市が事業実施する際に借り入れた企業債の元利償還金の1/2を限度 として、償還時に市へ補助を行う。 3.職員や県民の反応 『この事業は本当に大変でした。ただ一つ言えることはこの工業用水がなければSUM COの立地はなかったということです。25,000 トンの給水がなければ 1,000 人の雇用もな い。新しい太陽電池のためのシリコンウェーハのための工場もなければ、そういった次世 代のシリコンウェーハを研究するための拠点、研究所の立地もない。 私どもとしては、何も新しく水を供給しなくても何とか今あるものを有効活用でできな いのか随分伊万里市と意見交換をさせていただきましが、およそあらゆる考えられること を考えた上で唯一、非常に細い道だけれどもかけるとしたらこの道しかないということが、 今日ここに完成した事業のやり方でした。』 (平成22年2月、竣工式における古川知事挨拶より) 【完成した伊万里市第4工業用水道(久原貯水池)】 39 ■佐賀海苔®有明海一番について 【総括責任課:流通課(総合マーケティング担当)】 取組の概要 ノリ市場における「佐賀海苔®」の評価を高め、消費者の信頼を高め、ひいては県 内ノリ養殖業発展のため、一番重要ともいえる「おいしさ」の評価基準をわかりやす く定義し、 「佐賀海苔®」のフラッグシップとなる新「佐賀海苔」ブランドを確立、定 着、維持する。 1.取組の背景 全国のノリ養殖業は、戦前・戦後を通じて、海面養殖業の中で主要な業種として発展 してきた。しかし、昭和55年から60年代まで1枚平均12∼15円で推移していた全 国漁連共販価格が、現在10円前後と低迷している。これは、かつて、年間20億枚を超 える贈答用需要がバブルの崩壊と品温管理技術の向上を伴う戸別宅配業の成長により、海 苔商品の地位が低下する一方、業務用の中品位価格帯海苔の需要が増しているなど、海苔 需要構造の変化によるところとされている。このような全国的な閉塞感を打開、海苔需要 を活性化し、海苔業界の一層の発展を促すとともに、日本一の海苔の生産量と高品質を誇 る「佐賀海苔Ⓡ」の認知度を高めるため、「超・差別化」商品の確立により、「佐賀海苔®」 全体価格の引き上げを目指す。 2.取組の具体的内容 (1)これまでの事業(ブランド)展開 「佐賀海苔®」ブランド化への展開 19 新ブランド「佐賀海苔®有明海一番」の立ち上げ ◆新しい評 価基準 に基づく海 苔の最高 級品選 定制度 の確 立 ブランド 立ち上げ ◆海苔 商社や 百貨店での取 扱いが実現 20 「佐賀海苔®有明海一番」の販売促進とブランドの浸透 ◆新 しい評価基 準に基づ く海苔 の最 高級品 選定制 度の確立 ブランド の定着化 ◆海 苔商社 や百貨 店での取扱いが実現 ◆トップセー ルスなどによる「佐賀 海苔 ®有明海 一番」商品 の販 売支援 21∼ 「佐賀海苔®有明海一番」ブランドの維持・向上 ◆ 「佐賀海 苔R有 明海一 番」認定から評 価基準 の検 証までを行う組織 の運営 ◆各 種媒体を通じ て市場 へのブランド名の浸透 ・雑誌 、HP等への掲載 、パブリシティ活動 等 40 ブランド 維 持 (2)「佐賀海苔®有明海一番」が生まれるまで 「佐賀海苔®有明海一番」 が、生まれるまで。 生活者、消費者の皆さんに、分かりやすくするために、 ・世界初、業界初、史上初の 「おいしい海苔の評価基準」を、設定。 その 基準と食味試験 をクリアーした製品です。 「佐賀海苔? 有明海一番」について 消費者視点を取り入れ、今まで「色、ツヤ、形」で決 められてきた海苔の等級とは違う、海苔の「おいしさ」 の評価基準を、はじめてわかりやすく定義。 佐賀独自の奇跡的な自然の恵みと、歴史を重ねた海苔づ くりの知恵を基盤に、日本で初めて、最高級海苔の新基 準を発表。 海苔日本一の評価と実績をもつ佐賀県から、 健康志向の現代にふさわしい、おいしい海苔 の新しいルールをはじめました。 いい海苔は「味・姿・育ち」をテーマに、 7つの「おいしい海苔の評価基準」を設定しました。 41 世界初、7つの「おいしい海苔」の評価基準 「味」をさまざまな検査で測定 ★ うま味のもととなるタンパ ク質含 有量 が「50% 」 以 上のも のであること。 ★ 香りレベルが「優」以上の もので ある こと。 ★ 口どけ が、食感測定値「45回以内 」のやわらかさ で 、おい しいものであること 。 「姿」を熟練したプロが厳選 ★ 色・ツヤ・形の美しいもの である こと 。 「育ち」を毎日厳しく管理 ★ 育成記 録により、素性が明 らかな もの である こと。 ★ 一番摘 みの初物であること 。 ★ ひと網300枚以内の厳選摘みであ ること 。 海苔成分計を用いたタンパク分析 海苔のタンパク量と総アミノ酸の相関 総アミノ酸量(mg/100 g) 6000 5000 4000 3000 2000 50 食味検査前に一斉分析 51 52 53 54 55 56 57 タンパク含量(%) 海苔成分計のタンパク量と旨味成分は相関関係があります 有明海一番の基準は タンパク50% 以上です 42 口溶け・やわらかさの分析装置 硬さ (gw/cm2) 佐賀海苔 瀬戸内海苔 溶解時間 (秒) 咀嚼回数 (回数) 279 19 17 1613 129 106 瀬戸内産海苔 (100円/枚) 佐賀海苔 有明海一番 硬さ 溶解時間 (咀嚼回数) 食味検査員への道 検査員の必要条件 (1)基本味を用いた識別能力試験 甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの基本味の識別 (2)海苔を用いた識別能力試験 “佐賀のり”の最大の特長である柔らかさ、口溶けの識別 125人/605人⇒合格率21% 43 新ネーミング ◎コンセプト ・日本一の生産量を誇る「佐賀海苔」 の中から、さらに選び抜いたもの ・海苔の産地として名高い「有明海」 の中でも、最も品質の優れたもの ・ノリ産地「佐賀」の名を強く打ち出す ・ノリ産地として認知度の高い「有明 海」の名を使い、「有明海=佐賀」と いうイメージを作る 「佐賀海苔R有明海一番」 キャッチフレーズとテーマ ■キャッチフレーズ 山は富士、 海苔は佐賀。 「 佐賀のり=日本一を わかり やすく 表現し ている こと」、「語感がよいこと 」から 、標記 フレー ズを選定しました。 ■テーマ いい海苔は「味・姿・育ち」 今回設定した「佐賀海苔? 有 明海一 番」の 7つの「おいしい海 苔の評 価基準 」を分 かり やすく、表現をするものと して設 定しま した。 44 ◎入札会 ・日本一の生産量を誇る佐賀海苔の中でも 1万枚に3枚とも言われ、初お目見え の平成19年12月に行われた入札会では、 入札額過去最高額の 1枚300円と なり、記録を塗り替えた ◎新商品発表会(H20年3月25日) ・東京丸の内パレスホテルにて「新商品 発表会」を開催。 ・佐賀県を代表するブランドを日本を代表す る人間国宝14代酒井田柿右衛門先生 がPR。 (3)これまでの取組概要 ①プロモーション経緯 H19.10 知事定例記者会見において、評価基準及び新名称「佐賀海苔®有明海一番」 を発表 H20. 3 「佐賀海苔®有明海一番」使用の新商品発表会を東京で開催 H20. 5 日本橋三越本店のお中元ギフトセンターでトップセールス H20. 8 首都圏の飲食店で佐賀海苔を使った料理の提供「佐賀海苔®フェア」展開(ぐ るなび契約店のうち24店舗参加。H21.3 にも実施) H21. 4 ぐるなびが主催する企業の秘書が集う催しに出展 H21.11 全国18の雑誌、新聞読者への「佐賀海苔®有明海一番」プレゼント企画 H21.12 在京報道・出版9社への宣伝活動(プレスキャラバン)を展開 H22. 3 FM佐賀での時報 CM(11 月∼) 、佐賀海苔®PR用 DVD 作成(映画 CM) その他、雑誌掲載や広告掲出、試食宣伝を大型イベント時に実施 ②「佐賀海苔®有明海一番」の入札状況 平成19年度 秋芽 冷凍 平成20年度 秋芽 冷凍 認定数 100箱(36万枚) 落札価格 平均@193.8円(@300円∼@109円) 認定数 45箱(16万2千枚) 落札価格 全数@120円 認定数 30箱(10万8千枚) 落札価格 平均@226円(@300円∼@200円) 認定数 76箱(27万3千6百枚) 45 平成21年度 秋芽 冷凍 落札価格 平均@163.26円(@270円∼@137円) 認定数 174箱(62万6千4百枚) 落札価格 平均@104.94円(@130円∼@100円) 認定数 108箱(38万8千8百枚) 落札価格 平均@106.31円(@135円∼@100円) 3.百貨店等のコメント ・ 海苔は贈答期の需要が減っていくことが予測される中、いち早く行政、漁協と生産者 が意欲を持って、ともに差別化に取り組んだことを大いに評価している。 ・ 百貨店の贈答期需要に応えてもらうためには安定的に一定量が必要になるが、量の拡 大のために標記基準などは、引き下げないように、そうしないと価値がなくなる。 46 ■ハウスみかん(台湾 香港)について 【総括責任課:流通課】 取組の概要 県の主要農産物であるハウスみかんについて、台湾への輸出を促進し、平成20年 度までに市場シェアを40%以上に高め、ナンバーワンブランドに育成 1.取組の背景 平成19年度当時、食料消費の低迷、経済活動のグローバル化の進展、WTOやFTA の交渉による農産物輸入圧力の強まりなどにより、産地間競争が一層激しさを増すなど、 国内市場の変化が起きていた。 一方で、世界的な日本食ブームやアジア諸国の経済発展、さらには高速船就航など、輸 出関連のインフラ整備が進み、農水産物を始めとした県産品の輸出の好機が到来していた。 こうした状況の中、急速な発展を続ける中国本土に近接する台湾には、すでにハウスみ かんが輸出されており、台湾の高級百貨店を中心とした市場シェアが27%あり、ブラン ド確立に一番近い位置にあったが、他県産のハウスみかんも一定程度市場にあり、限られ た売場を奪い合っている状況であったため、県として、県産ハウスみかんの輸出支援をす る必要があった。 台湾での産地間競争に打ち勝ち、県産ハウスみかんのブランドを確立し、更に市場シェ アを拡大することで、次第に「佐賀県」そのものの認知が進み、 「佐賀県の果物はおいしい」 「他の佐賀県の果物やお菓子を食べたい」 「日本一のハウスみかんの産地である佐賀県を訪 れたい」といった波及効果も視野に入れていた。 2.取組の具体的内容 (1)佐賀県農林水産物等輸出促進協議会の立ち上げ ・本格的な輸出体制を構築するため、県の呼びかけで、JAさが、JAからつ、JA伊 万里、それに輸出に積極的に取り組む6市によって、佐賀県農林水産物等輸出促進協 議会を立ち上げ、行政、産地、生産者団体が一体となって、ハウスみかんの台湾輸出 促進に取り組む体制を作り上げた。 (2)試食宣伝活動 ・協議会では、台湾で「佐賀県」ハウスみかんのブランドを確立するため、イメージキ ャラクターを使った海外プロモーションを集中的に実施することとした(2年間限定)。 (内容) ① イメージキャラクターの起用 ブランド志向の強い東アジアの高所得者層は「あの人も愛用している」と聞くと好 感(憧れ)を抱き、相乗効果としてブランド力も高まる。 ② 県産みかんのPRイベント ・ イメージキャラクター(人気タレント)によるPR 47 佐賀県産「ハウスみかん」 イメージキャラクター アリエル・リン 24歳 ・ドラマ、映画、CMで活躍する台 湾の若手女優 ・明るく健康的、さわやかなイメー ジがあり、ハウスみかんのイメー ジキャラクターに起用しました。 ・台湾でのプロモーションでは、P Rイベントへの出演や、販促資材 のモデルとして起用します。 ・主なドラマ出演 「十八歳的約定」 「我的秘密花園」 など ・知事のトップセールス ・高級百貨店での徹底した試食宣伝(複数の百貨店で同時に展開) ③ 各種広告展開 ・新聞広告掲載 ・テレビ報道 ・イメージキャラクターを使用した販促資材 ・テレビショッピング (3)台湾の有力バイヤーの産地招へいの実施 台湾の有力バイヤー(台北の百貨店を押さえている業界のキーマン)等を県に招へ いし、関係を構築。 (写真左から2番目のワイシャツ男性: 台湾のバイヤー、 右から2番目のワイシャツ男性: JAさがの輸出担当職員、 ハウスみかんの生産体制をPR) 48 現地販売促進活動や産地招へいにより、良好なビジネス関係を構築 輸出を拡大 → 県産ハウスみかんの認知度が向上、販売量がアップ 県産ハウスみかんが、ブランド化し、安定的なシェアを確保 平成20年度の台湾における県産ハウスみかんのシェア60%(流通課調べ) ※ 安定シェアは、40%と言われている 3.香港について 全農が、香港のジャスコにアンテナショップを開設したことを機に、協議会では、当ア ンテナショップを活用したプロモーション活動を行い、台湾におけるハウスみかんのブラ ンド化への波及効果を図る施策を立案。しかし、その後、期待する効果が見込めないおそ れが判明したため、結果的に見送った。 49 ■佐賀牛海外について 【総括責任課:流通課】 取組の概要 香港、アメリカ等の高級ホテルレストランなどに、ブランド牛肉の「佐賀牛」を売り 込み、海外の販路を開拓する。 1. 取組の背景 ・ 国内市場においては、市場が成熟し、少子高齢化が進み、市場が縮小、また、日本人の食 生活やライフスタイルが変わり、牛肉の消費や価格が落ち込んでいる中で、平成19年から香 港に、また平成20年からアメリカに佐賀牛の輸出ができるようになった。 ・ 香港は、海外市場において急速な経済発展を続ける中国にあって、佐賀牛が輸出できるた め(中国本土には日本産牛肉の輸出ができない)、中国への情報発信効果が期待できること から、生産者団体と協議し、香港を重点地域として、輸出に取り組むこととした。 ・ アメリカは、世界有数の富裕層が多く存在し、また、ニューヨークやロサンゼルスなどアメリカ の主要都市は、世界に向けた情報発信が期待できることから、生産者団体と協議し、輸出に 取り組むこととした。 2. 取組の具体的内容 (1) 香港 ① 佐賀牛輸出再開3周年記念イベントを開催 ・ 有名寿司チェーン店において、メディア関係者を招いたPRイベントを開催 ・ チェーン店20数店舗で、2か月間の佐賀牛メニューキャンペーンを実施 ② 中華料理のメニューへの佐賀牛の使用を提案 ・ 中華料理のシェフを招き、佐賀牛を使った中華料理をPR ③ グルメ検索サイトでのPR ・ 佐賀牛が食べられるレストランを紹介するグルメ検索サイトで佐賀牛をPR ④ 佐賀牛取扱店フォローアップ ・ 高級百貨店のアニバーサリーセールで、佐賀牛のキャンペーンを実施 ・ 高級レストランで、1か月間の佐賀牛のキャンペーンを実施 50 ◆ 佐賀牛の取扱店一覧 <レストラン> 高級日本食レストラン(鉄板焼き、すき焼き) 1 店舗 高級ステーキレストラン 5 店舗 寿司チェーン店(佐賀産和牛寿司、刺身) 24 店舗 高級ホテルレストラン(日本食、洋食) 3 店舗 <小売店> 精肉店(高級百貨店食品売場) 1 店舗 (2) アメリカ ① ニューヨークの市場開拓 メトロポリタン美術館内の会員制レストランで、佐賀牛を使用したメニューを紹介 ② ロサンゼルスの市場開拓 高級スーパーで焼き肉フェアを開催し、佐賀牛の試食宣伝を実施 ③ ダラスの高級ステーキハウスを佐賀牛取扱指定店に認定 中西部の大都市に佐賀牛の売り込みを実施 ◆ 佐賀牛の取扱店一覧 <レストラン> 【ニューヨーク】 高級レストラン( 日本食、洋食) 2 店舗 【ロサンゼルス】 高級ホテルレストラン(ステーキハウス) 2 店舗 【ダラス】 高級レストラン(ステーキハウス) 1 店舗 <小売店> 【ロサンゼルス】 高級スーパー(高級食材スーパー) 1 店舗 3.職員や県民の反応 香港への佐賀牛の輸出から3年を迎える年にあたることから、現地で最も人気のある寿 司チェーンの社長と協力し、タレント、メディア関係者等を集めた佐賀牛・ 佐賀産和牛の 試食PRイベントを実施した。現地のメディアはもちろん、NHK佐賀放送局でも取り上 げられ、県民や生産者から一定の評価を得た。 51 メディアPRイベントの様子 香港エコノミックタイムス (左:有名タレント、右:リッキー社長) (2010 年 2 月)で、佐賀牛が 取り上げられた。 52 ■佐賀県原産地呼称管理制度について 【総括責任課:流通課(国内市場担当)】 取組の概要 県産農林水産物を原料として製造される加工品のうち、佐賀県産の原材料を10 0%使用し、佐賀県内で製造され、専門家の官能審査(味・香りなどの審査)に合格 したものを認定して、消費者の県産品に対する信頼と評価を向上させ、また、県産農 林水産物の加工原料への利用促進を図る。 1.取組の背景 ○消費者の県産品に対する信頼と評価を向上させるとともに、県産農林水産物の加工原 料への利用を促進することを目的に、県産農林水産物を原料として製造される加工品 のうち、品質が優れた加工品を認定して、原産地を名乗ることができるようにするこ とを目的として平成16年度より実施。 2.取組の具体的内容 ○組織図 佐賀県原産地呼称管理委員会 構成:顧問、消費者、流通関係者、生産者等 (会長、副会長を設置) 職務:原産地呼称管理制度の運営、品目別委員会に係る基本的事項の検討 会長が委員を任命 認定結果等を会長へ報告 品 目 別 委 員 会 構成:当該品目の生産、流通、消費について、専門的知識のある者から管理委 員会会長が任命(委員長、副委員長を設置) 職務:当該品目に係る制度の運営(加工品の原産地呼称の審査・認定・公表) 委員長が委員を指名 品目別官能審査会 (品目別委員会の内部組織として設置) 構成:当該品目の官能審査が出来る専門家として委員長が指名した者(加 工品製造業者は除く) 職務:申請された加工品の官能審査 53 ○佐賀県原産地呼称管理制度 区 分 氏 名 備 筒井ガンコ堂 考 エッセイスト 本名:筒井泰彦 管理 酒類 官能 委員会 委員会 審査会 会長 委員長 ○ 副会長 副委員長 ○ 酒類ジャーナリスト 日本酒輸出協会会長 顧 問 委員一覧 松崎 ㈲デリカネットワークサービス専務取締役 晴雄 チーフ コンサルタント 委 員 庄島 瑞恵 プランナー ○ ○ ○ 古川 則雄 居酒屋「ふるかわ」店主 ○ ○ ○ 小平 幸江 ○ ○ ○ 山田 晃史 「地酒処 山田酒店」代表 ○ ○ ○ 平石 幸一 佐賀酒類販売㈱営業本部営業課 ○ ○ ○ ○ 「ユミハウス」主宰者 JSA公認ワイン・アドバイザー 課長補佐 佐賀工業技術センター食品工業部部長 ○ ○ 木下 武文 天吹酒造(資)社長 佐賀県酒造組合会長 ○ ○ 古賀 醸治 ○ ○ 七田 利秀 ○ ○ 和田 真司 ○ ○ 松尾 芳磨 ○ ○ 窓乃梅酒造㈱ 代表取締役社長 佐賀県酒造組合副会長 天山酒造㈱代表取締役 佐賀県酒造組合理事 宗政酒造㈱ 「JAさが」農産部部長 ○これまでの認定状況 認定マーク 等(平成22年4月22日現在) ・平成16年11月17日 ・認定数 佐賀県酒造組合製 造技術委員会委員 ○佐賀県原産地呼称管理制度 ・認定蔵元数 常務取締役 「佐賀県原産地呼称管理委員会」発足 11蔵元(第1回)→ 20蔵元(第11回) 純米酒73点・本格焼酎19点 ・県内醸造酒造場 30蔵元 内 計92点 23自醸蔵元 ・審査項目(5点満点) 香り(上品な香りか、個性的か、異臭がないか) 味(なめらかか、ふくらみのある味か、雑味がないか) バランス(香りと味のバランス) 54 オブザーバー 小金丸和義 総合(色沢などを含めて全体的な評価) ・認定数と申請数 計 純米酒 本格焼酎 第1回 認定数 38 35 3 平成17年3月22日 申請数 44 41 3 第2回 認定数 17 10 7 申請数 20 13 7 第3回 認定数 57 51 6 平成18年3月22日 申請数 62 56 6 第4回 認定数 24 14 10 申請数 26 15 11 第5回 認定数 58 51 7 平成19年5月11日 申請数 65 58 7 第6回 認定数 24 9 15 平成19年9月12日 申請数 26 11 15 第7回 認定数 64 57 7 平成20年4月17日 申請数 72 65 7 第8回 認定数 23 10 13 平成20年9月 18日 申請数 26 11 15 第9回 認定数 68 59 9 平成21年4月23日 申請数 77 68 9 認定数 28 15 13 申請数 31 18 13 認定数 64 58 6 申請数 72 64 8 平成17年9月2日 平成18年9月6日 第10回 平成21年9月9日 第11回 平成22年4月22日 3.職員や県民の反応(喜びの声や反対意見など) ・公的な機関が推奨してくれるから信頼性がある。 ・佐賀県に 30 の蔵元、日本酒と焼酎が豊富にあることを、制度があることで知った。 ・制度の立ち上げから第 1 回目の認定会までの期間が短く、関係者(酒造組合、卸売業、 小売業等)との十分な議論ができなかったことから、制度(審査内容や審査員等)に異 議を唱える関係者が多く、関係者による積極的な制度の利用が不足している。 ・県が制度を推奨するからには酒米の確保を強化してほしい。 55 ■ローカル発注について 【総括責任課:商工課】 取組の概要 厳しい経済・雇用情勢を踏まえ、県内企業の受注機会の確保、雇用の維持を図るため、 県の重点実施項目の一つとして、平成15年7月に緊急措置を策定し、県内企業への 優先的な発注・調達に対し、全庁的な取組を行っている。 1.取組の背景 今日、本県経済は、世界的な金融不安に端を発した株価や為替の急激な変動などにより、 我が国の経済が急速に悪化する中で、かつて経験したことのない厳しい状況にあり、県で は、緊急総合対策をとりまとめ、その取組を始めたところであり、厳しい経済情勢にある 今こそ、改めて「ローカル発注」の必要性を認識し、この取組を徹底していくこととして いる。 2.取組の具体的内容 (1) 公共工事関係 ・ 県外業者等が元請けとなった場合、「県内企業(下請)の優先活用、資材等の 県内優先調達、県内技術者等の優先活用」を契約約款に明記 (2) IT関係 ・ 随意契約が可能の場合、原則、県内IT企業に発注 ・ 単独発注が難しい案件の場合、県外と県内IT企業の共同企業体に発注 (3) ※ 等 等 その他 ・ 物件及び役務は、原則、県内企業を優先 ・ 企画・デザインを含めた印刷委託などは、分離発注により、県内企業へ発注 緊急総合対策の取り組みに合わせ、ローカル発注推進のための取組の徹底を依頼す る文書を送付。(送付先) 各所属長、各市町長、関係団体の長 3.職員や県民の反応 知事の熱い指導のもと、ローカル発注はガイドラインに沿って推進され、会員を含む県 内業者は本当に感謝している。(建設関係団体からの声) 56 (参考) ローカル発注に関する取組 1.公共工事について (1)公共工事において、従来から行っている県内企業に配慮した入札制度を維持し、元 請業者に対して下請業者への県内企業の優先活用、資材等の県内優先調達及び県内技術者 等の優先活用に努める。 (契約約款に明記) (2)公共工事における法面工事やガードレール設置等の安全施設設置工事については、 県内企業が少ないため、県内企業及び県内企業と同等の企業活動をしている県外企業(「準 県内企業」という。)に優先発注する。 (注) 県内企業の定義:県内に本店を有する者 (注) 準県内企業の定義:県内に支店等を有し、従業員数が 4 人以上(うち主任技術者 2 人以上で、当該支店等の県内在住従業員比率が 50%以上)かつ資材置場、倉庫等を県内に 有する者 (設計委託について) 公共工事に関する建設コンサルタントへの設計委託等については、県内企業と県外企業 による設計 JV や県内企業に配慮した入札により、県内企業への発注に努める。 2.IT 関係について (1)競争入札を実施する場合 ①WTO 政府調達協定の適用を受けないもの 県内 IT 企業のみでは競争性を確保できない場合を除き、原則として県内 IT 企業による 条件付一般競争入札を実施 ②WTO 政府調達協定の適用を受けるもの A 県内 IT 企業を含めた共同企業体の推奨 ・ 参加資格に共同企業体の要件を設定 ・ 関心表明のあった県内 IT 企業の公表 B 総合評価一般競争入札方式の場合、評価項目に県内情報産業への貢献内容の項目を 設定 ・ 県内の IT 技術や情報産業への具体的な貢献内容及び実現方策を示すこと C 契約上再委託を認める場合、再委託先として県内 IT 企業を推奨 (2) 随意契約を実施する場合 予定価格上随意契約が可能である場合は、原則として県内 IT 企業に発注 (注) 県内 IT 企業の定義:県内に本店を有する者、県内に支店等を有し、県内従業員比 率が 50%以上の者又は県内従業員数が 50 人以上(うち SE 数が 30 人以上)の者 3.その他 (1)出納局集中調達物品以外の物件及び役務(公共工事に係る建設コンサルタントへの 設計委託を除く)については、県内企業では対応できない場合、又は県内企業のみでは競 争性が確保できない場合を除いて、原則として県内企業を優先することとする。 57 (2)企画・デザインを含めて印刷業者以外へ委託しているもののうち、分離発注が可能 なものについては、分離発注をすることにより、県内企業への発注に努めることとする。 (注) 県内企業の定義:県内に本店を有する者、県内に支店等を有し県内従業員比率が 50% 以上の者又は県内従業員数が 50 人以上の者 表 契約実績(県内企業への発注率) (単位:%) 平成14年度 件 数 平成20年度 金 額 件 数 金 額 増 減 (H14 → H20) 件 数 金 額 公共工事関係 86.4 86.3 91.4 84.9 (+5.1) (-1.4) I T 関 係 80.2 46.9 87.2 64.1 (+7.0) (+17.2) そ 84.4 71.0 90.2 78.1 (+5.8) (+7.1) 84.5 83.8 90.3 83.2 (+5.8) (-0.6) の 計 他 58 ■まちなか再生について 【総括責任課:商工課(まちづくり支援担当) 】 取組の概要 ・まちなか(市街地)の再生に向けて地域が一体となり、広く まちづくり の視 点に立った取組を進める地域を重点的かつ柔軟に支援していくことで、まちなか (市街地)再生の成功事例に磨き上げる。 ・県民のまちなか(市街地)再生に対する関心を高め、再生に向けた取組意識を呼 び起こす。 ・空き店舗の活用や各種ソフト事業を推進することにより、各地域における魅力あ るまちづくりをサポートする。 1.取組の背景 一部の地域では、まちなか再生に向けた取組が動き出したが、具体的な成果を上げるに は至っていない。また、全県的な状況としても、まだまだ低調な取組にとどまっており、 まちなか再生の成功事例と呼べる地域は現れていない。そのため、熱意ある地域に対して、 その取組をしっかりとサポートできるよう、そのニーズに応じて、県と市町が連携し、組 織を挙げて重点支援を行うことが必要である。また、地域一体となった取組となるよう、 気運の醸成を図り、関係者の力を集結することが重要である。 59 2.取組の具体的内容 (1)成果指標 まちなか再生のための地域の取組をしっかりサポートし、平成 22 年度までに成功事例 を1箇所創出する。 (成功事例の具体的な捉え方の一つとして、平成 18 年を基準年とし、 平成 22 年までに「歩行者通行量の増加」「空き店舗率の改善」の双方を達成できた地域 としている。 ) (2)唐津市の取組 重点支援地域である唐津市では、国の制度の活用などにより、ハード面の整備が進ん でおり、これを成功事例の創出につなげるためには、商店街全体の魅力を高め、まちの 賑わいづくりに繋がるような、より一体的かつ効果的なソフト面の取組に対して支援し ていく必要があると考えている。そのために、民間レベルで活動している「唐津市まち なか再生推進グループ」の議論を活性化し、まちなか再生の実現に向けたソフト面での 具体的な取組を粘り強く支援する。平成 22 年度は、 ○空き店舗を活用した、集客力のある店舗や施設の誘致 ○日曜日に閉店している店舗に開店を促す工夫として、週末イベントの開催 ○整備した賑わい拠点を活用し、まちなかへの誘客を促進するソフト面の取組 を支援する。 (3)小城市の取組 国の中心市街地活性化基本計画の認定を受けた小城市に対して、県では 22 年度より「中 心市街地活性化推進事業」を新たに立ち上げ支援する。具体的には、 ○町屋「深川家住宅」を活用した集客交流施設の整備 ○エリアマネジメント推進のための計画策定やまちの駅ネットワークの構築といっ たソフト面の取組 ○商店街の空き店舗をまちづくりの活動拠点として整備する事業 ○商店街の空き店舗を活用した店舗の誘致や、チャレンジショップの運営 を支援する。 60 (4)その他 その他の市町における魅力あるまちづくりへの取組についても、「商店街再活性化推進 事業」で空き店舗活用事業やソフト事業、セミナー等を実施する事業について継続して粘 り強くサポートする。 3.取組の成果や県民(地域住民)の反応など 県内の二市が国の中心市街地活性化基本計画の認定を受けた 国の中心市街地活性化基本計画の認定を、小城市が H21 年 6 月 30 日付けで、唐津市 が H22 年 3 月 23 日付けで受けた。認定を受けたこと自体が成果ではなく、あくまでス タートであるが、これらの地域における今後のまちなか再生に向けての取組について、 大きな後押しになるものと思われる。 ファサード(店舗正面の外観)整備が完了した 唐津市においては、歴史・文化を活かした街並みの整備として、平成18年度から取り 組まれてきたファサード整備が平成20年度で完了した。ファサード整備をした商店街 では、イベントの開催や情報発信といった各種ソフト事業など、周辺住民の取組意欲の 向上につながったほか、空き店舗率の改善にもつながっている。 商店街が主体となったにぎわいづくりへの取組意欲が向上した 同じく唐津市において、商店街が主体となって取り組まれた「100円祭」が大好評 を得たことで、その後、まちなかのイベントが継続的に開催されるなど、商店主を中心 とした取組意欲の向上につながった。 61 ■まちなかランチについて 【総括責任課:商工課(まちづくり支援担当) 】 取組の概要 平成19年11月1日から、本庁舎の昼休み時間が60分になったことを契機とし て、「昼食はまちなかへ繰り出そうキャンペーン」を実施中。 1.取組の目的 ・県庁職員に、「まちなか」の今の状況を知ってもらい、色んなことを感じてもらう。 ・県庁職員が一消費者として「まちなか」へ繰り出すことで、まちの賑わいづくりや消 費拡大の一助とする。 ・中心市街地の活性化に向け、県が率先的な行動を起こすことで、市町をはじめとする 関係機関や民間事業者の行動を引き起こす。 2.取組の具体的内容 平成20年11月1日から、本庁舎の昼休み時間が60分になったことを契機として、 「昼食はまちなかへ繰り出そうキャンペーン」を実施中。 ・本部毎に推進曜日を設定 ・職員向けのメールマガジンなどによる呼びかけ ・職員の行動指針として「Buyさがん心得8か条」を制定 (カードを作成し、全職 員へ配布) ・商工会議所を通じて、まちなか飲食店へ県庁職員の声(アンケート結果)を提供 ・「Buyさがん県民運動」の一環として、国・市町の行政機関や民間事業者等へも参 加を呼びかけ < 本部毎の推進曜日> 農林水 産商工本部・生産振興 部(約320名) 火 くらし環境本部・健康福 祉本部(約320名) 水 県土づくり本部・交通 政策部(約360名) 木 経営支 援本部・出納局・各種委 員会事務局(約280名) 金 統括本 部・教育委 員会事務局(約340名) 県警本部には曜日を 限定せず呼びかけ 月 < 職員への参加呼びかけ > ○ 県職員向けのメールマガジン「まちづくり通信」で参加を呼びかけ (佐賀商工会議所が作成した飲食店マップも同メルマガを通じて全職員へ配布) ○ 県職員の具体的な行動指針として、「県職員Buyさがん宣言」及び「Buyさがん心得8か条」 を制定し(名刺大のカードにまとめ)、全職員へ配布 〔カード表〕 〔カード裏〕 62 3.職員や県民、他市町の反応 ・キャンペーン開始後の平成 20 年 2 月に実施した職員アンケートの結果と職員の声は下記 の通り。アンケートの結果、昼食を持参しない職員のうち、まちなか飲食店を利用する 職員の割合が倍増したほか、職員の声も「まちなかに協力できていると実感できた。」と いった好意的なものが多かった。また、まちの人の声も「県庁の人がずいぶん出てきて くれるようになった。<飲食店>」というものや、「以前と比べ、昼の人通りが多くなっ た。長く続けば、市街地活性化につながる。<佐賀商工会議所>」といった好反応が多 くあった。 ・県からの呼びかけに応じて、唐津市においても平成20年 8 月より「まちなかランチ」 に取組まれている。 (第 1 回:H20.8∼10 月 月) 63 第 2 回:H21.4∼5 月 第 3 回:H22.4∼5 ■職員の声 ○ 佐賀市内のまちなかには、夜しか行かなかったので、明るいときに行くと、こんな 店があったと新たな発見もあった。 ○ 昼になったら、美味しい物を食べようと、午前中から楽しみ ○ まちなかに協力できていると実感できた。 ○ 1時間になったので外に行けるようになった。 45分では、入った店が混雑していたら、もうアウトだった。 ・ 1時間あれば、十分、色んな店に行ける。 ○ ・ 時間が足りない。 ・ 12時に直ぐに外に出られればいいが、業務の都合で出られない場合が多い。昼 休みの時間内に戻れるか心配 ○ 人気があるところは、客が集中し、メニューを頼んでも、出てくるまでの時間がか かり、昼休みに間に合うか冷や冷やする。 ○ 近くに飲食店がない(知らない)。 ○ どこまでの範囲であれば、昼休みの時間内に間に合うという情報がほしい。 ○ 毎日弁当を持って来ているので、行けない。 ■まちの人の声 ○ 県庁の人がずいぶん出てきてくれるようになった。<飲食店> ○ 県庁職員にがっかりされないよう努力したい。<飲食店> ○ 安いランチが食べられると助かる。<TMOブログへの書き込み> ○ 女性向けのランチマップ(上限 1,000 円程度)も欲しい。<TMOブログへの書き 64 込み> ○ 弁当業者は困らないのかとか気になることはあるが、試みとして悪くない。<新聞 投稿> ○ 県内で一番規模の大きい事業所だから、波及効果は大きい。<佐賀商工会議所専務 理事> ○ 以前と比べ、昼の人通りが多くなった。長く続けば、市街地活性化につながる。 <佐賀商工会議所> 65 ■フィルムコミッション等推進について 【総括責任課:観光課フィルムコミッション】 取組の概要 映画やドラマなどのロケ撮影を誘致・支援し観光振興を促進し、さらに映像文化の定 着のため若手クリエーター育成や映画祭などへの各種支援を行う。 1.取組の背景 ドラマや映画等の映像を情報発信ツールとして捉え、ロケ撮影を誘致することで直接的・ 間接的経済波及効果及び新しい観光資源の掘り起こし、そして県民が佐賀の魅力を再認識 することによる郷土愛、誇りの醸成などを目的とし、平成 17 年度からフィルムコミッショ ン事業に本格的に取り組んでおり、全国的に話題を集めるような映画やドラマ、また海外 作品などの誘致を目指す。 2.取組の具体的内容 66 佐賀県フィルムコミッションの目的 = 一般的なフィルムコミッションの目的 + 佐賀県が目指すもの (期待される効果) ○地域の情報発信のルートの増加 地域の住民が、誇りとする景勝地 ○撮影隊が支払う「直接的経済効果」 や風景あるいは見慣れた何気ない ○作品(映画・ドラマ)を通じた観光客の増加と 街並みなどを各種メディアを通じ その支出による「間接的経済効果」 ○映像制作に関わることを通じての地域文化 て、映像として見ることで、その すばらしさを再確認・再確認する の創造や向上 佐賀県フィルムコミッションの業務 ○映画、テレビドラマ、CMなどのあらゆるジャンルのロケーション撮影の誘致 ○実際のロケがスムーズに進められるための各種支援(連絡、調整等) ○作品完成後の上映に関する告知や撮影地先行試写(上映)会実施時の各種支援 ○県内の映像関連団体の活動告知などの各種支援 など 平成 16 年 12 月−「アジハリ構想戦略会議」開催。アジハリ構想推進戦略に フィルムコミッション活動が盛り込まれた。 平成 17 年 8 月− 政策監Gが(社)佐賀県観光連盟に事業の一部を委託して 「佐賀県フィルムコミッション」が設置された。 平成 20 年 4 月− 政策監Gから観光課へ所管替え 67 3.職員や県民の反応 ・ 佐賀の映画、ドラマと言えばこれまでは「佐賀のがばいばあちゃん」が全国的にも有 名であり、海外では台湾や中国などで非常に人気があったが、いつまでもこれにすがる ことなく、次の全国的にヒット、話題となるような次の作品を期待する声は大きい。 ・ 映画やドラマのロケ撮影に興味を持つ県民は多く、撮影現場を見てみたい!とか、エ キストラで出演してみたい!などの声がよく聞かれる。また、撮影用セットの建てこみ や、ロケ弁やケータリング、宿泊など地元業者の協力申し出も多い。これらは、ロケ誘 致による地域活性化及び直接的経済効果への反応であり、この反応を増幅させることは 製作者側の視点からするとロケ環境が整っているということにつながっている。 68 ■入札改革について 【総括責任課:建設・技術課】 取組の概要 入札の競争性・透明性を高め、また建設業者との談合との決別、コンプライアンス の定着を図るための取り組みを実施 1.取組の背景 H18年12月佐賀県公共調達システム改革アクションプログラムの中で不正行為を許 す制度的な問題点があれば改革することになった。その取り組みの1つに、入札制度を改 革するプログラムが取り上げられた。 2.取組の具体的内容 69 入札制度についての具体的な取り組み ・ 条件付一般競争入札の導入 H19.4月から全ての建設工事について実施 (指名競争入札の廃止) ・ 電子入札の導入 H19.4月から全ての建設工事・建設関連業務で実施 入札結果の公表(県ホームページ) ・ 最低制限価格制度の導入 S62.6月から導入。H19.5月見直し。 対象250万円以上の工事 ・建設関連業務は、H20年度から導入 ・ 総合評価方式の導入 H18年8月試行、H20年対象拡大 価格だけでなく技術力の評価 ・ ペナルティーの強化 H19.5月贈賄、独占禁止法違反、競争入札妨害又 は談合の指名停止期間の拡大、違約金(賠償金)の引 き上げ ・ 入札監視の強化 H7年10月建設工事入札審査会の設置、外部委員5名 で構成、庁内に公正入札調査委員会を設置、談合情報の 対応等を審議 3.職員や県民の反応 ・ 入札の透明性や公平性が保たれ、談合等職員とのかかわりなどがなくなった。 ・ 入札参加の対象範囲が広くなり、地元業者が落札できないなどの問題が発生。 (喜びの声や反対意見など) 70 ■段差解消について 【総括責任課:道路課】 取組の概要 ユニバーサルデザイン推進の一環として、公共施設を利用する県民や本県を訪れる 全ての人にとって安全・安心な歩道空間を提供することを目的に、歩道段差のスロー プ化を行う。 1.取組の背景 歩道と車道の境界部は、視覚障害者の方がその境界を認識しやすいよう、国土交通省の ガイドラインに基づき高さ2cm の段差を設けることが標準とされていたが、高齢者がつま づいたり、車いす、ベビーカー、自転車等がスムーズに利用できない等の意見が寄せられ ていた。 2.取組の具体的内容 (1) 従来の歩道縁石 歩道と車道の間に設置されている歩道縁石に高さ 2cm の段差があるため、つまず く原因となることや車椅子、ベビーカー、自転車等にとっては走行性が悪い等の問 題が起きていた。一方、この段差は視覚障害者の方々が歩道と車道を容易に認知す るために設けられていた。 2㎝の段差 歩道 歩道 車道 車道(横断歩道部) R=30 従来の縁石 (2) 新しい歩道縁石の設置 ① 縁石構造の変更 歩道と車道の段差を 0∼2cm(15%勾配)とスロープ状に変更し、スロープの部分 に滑り止め加工を施すこととした。 ② 視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の設置 縁石をスロープ状に変更することに伴い、視覚障害者誘導用ブロックを必ず併 設することとした。また、視覚障害者誘導用ブロックが歩道に設置されていない 箇所については、横断歩道部まで延長 5∼10m、視覚障害者誘導用ブロックを新た に設置し、エスコートすることとしている。ブロックの色は原則、視認性のよい 黄色としている。 滑り止め加工 歩道 歩道 車道 車道(横断歩道部) 視覚障害者 誘導用ブ ロ ック 0∼2 cmのスロ ープ 2㎝のスロープ 15%勾配 新しい縁石 71 5∼10mエスコートする 60cm程度 5∼10mエスコートする 30cm程度 15cm以下 歩道幅員W=3.5m 視覚障害者が進行方向を 視覚障害者が進行方向を 誤らないよう配置 誤らないよう配置 階段状に設置する 階段状に設置する 場合は、段の幅は 場合は、断の幅は 最大15cm程度と 最大15cm程度と する する ③ その他 歩道巻込み部で集水桝等を設置する場合は、横断歩道の進行方向上に設置しな いよう配慮する。やむを得ず設置する際は車椅子の前輪キャスター、白杖の先、 ヒール等が落ち込むことのないよう、細めのグレーチングを設置した。 【具体例】 (整備前) (整備後) 【 イメージ図 誘導ブロックで 判断できる。 】 スムーズな 歩行。 滑り止 め加工 横断歩道 フラット 2㎝の段差を スロープ状に (15%勾配) 歩道 併せて、視覚障害者 誘導用ブロックの敷 設 13㎝ 72 新しい 縁石 車道 3.取組みの経緯 歩道のユニバーサルデザイン化への取組みについては佐賀市が独自で検討委員会を設け て歩道縁石の 佐賀市モデル を作成し、平成 15 年度から歩道縁石の段差を無くす取組み を実施されていた。 その取組みの中で、各種団体より県内全域にこの取組みを広めてほしいとの声もあり、 佐賀県としては平成 17 年 10 月に学識経験者、各障害者団体や老人クラブ等の代表者、佐 賀市、県警本部及び佐賀県で検討会議を行い、県内全域において佐賀県標準として、この 歩道縁石の採用を決定した。 その後、平成 18 年度に県内の「あんしん歩行エリア」にて試行的に工事を実施し、各地 区においても地元の方を交えて、懇談会及び現地検証を行った。そして、懇親会等で出た 意見・要望等をまとめ、平成 18 年 11 月に歩道のユニバーサルデザインについて県標準仕 様を作成した。 歩道の段差解消検討会議 (平成17年10月25日) 県民協働(地域懇談会開催) (平成18年4月∼平成19年10月) ○「あんしん歩行エリア」において試行的に工事を実施 ○現地での検証(施工前後) ○意見要望集約や地域への啓蒙 県標準仕様 作成 (平成18年11月27日) 安心・安全な道路整備 (歩道の段差解消) ※ あんしん歩行エリア 人口集中地区で死傷事故が多 い箇所を、自転車や歩行者が安 全に通行できるように重点的に整 備する地区として指定 (県内10地区) 73 4.地域懇談会及び現地検証 (1) 地域懇談会での意見・要望の一例 ・縁石をスロープ状にすると、視覚障害者にとっては歩道と車道の区別がしにくい。 ・視覚障害者誘導ブロックは方向性を重視して危険な方向に誘導しないよう設置して ほしい。 弱視の方にとっては誘導ブロックが黄色でないと見えづらい。 ・今回のように地域懇談会を通して要望を取り入れてもらうことができ、非常によか った。今後も危険箇所の情報提供を行い、改善に協力していきたい。 (2) 地域懇談会及び現地検証の様子 ●地域懇談会 ●現地検証 (整備前) (整備後) 5.今後の取り組みについて 現在、県管理道路において、歩道のユニバーサルデザインの取り組みとして、「あんしん 歩行エリア」内の歩道について重点的に「歩道段差のスロープ化」するための工事を行っ ているところです。今後は、「あんしん歩行エリア」以外でも利用者の多い施設への経路等 について整備を行う予定である。また、現在事業中の箇所や維持修繕を行っている箇所に ついては逐次、整備していくこととしている。 同時に、県内の直轄国道・市町村道の管理者(国・市町)についてもこの取り組みに協 力をお願いしている。 74 ■情報公開ランキング 常に上位について 【総括責任課:法務課(総務・情報公開担当)】 取組の概要 全国市民オンブズマン連絡会議が1997年から毎年実施している「全国情報公開 度ランキング」において、上位にランクされるよう取り組む 1.取組の背景 県民協働を進めていくためには、県民との情報の共有化が重要であると考え、県民が知 りたい情報をわかりやすく、迅速に提供できるよう、情報公開、情報提供を推進していく。 県民への情報の提供・公開については、 ① 県が自ら情報を提供する情報提供制度 ② 県民等からの請求により情報を開示していく公文書開示制度 ③ 県民からの意見にこたえる広聴制度 に区別される。 ②の公文書開示制度については、県政に関する県民への説明責任を果たすという趣旨か ら昭和62年に「佐賀県情報公開条例」を制定し、県が管理・保管する公文書について、 請求に基づく情報の開示を行っているが、制度充実のための様々な取組を行ってきている。 2.取組の具体的内容 時 平成15年 期 6月 取 組 内 容 公文書の写しの交付費用の見直し ・単色刷 20円 ⇒ 10円(A3版まで1枚) 「総合的な情報公開の推進に関する方針」の決定 ・情報提供にあたっての全庁的なルールの制定 ・県民が必要とする情報提供の充実 平成15年10月 ※公文書開示制度における取組事項 ・交際費開示基準の見直し ・県が1/4以上出資している法人における自主的な情報公開制度の 導入など 交際費の開示対象を拡大 平成15年11月 ・渉外活動に伴う交際費支出の相手方の所属名、職名及び氏名の開示 「県政情報の公表及び提供の推進に関する要綱」の策定 ・公表義務情報、情報提供推進情報を規定 平成16年 2月 公文書の開示方法に、カメラ撮影を追加 平成16年 7月 開示請求の方法にFAX、電子申請システム及び電子メールを追加 出資法人の情報公開 平成16年10月 ・県が1/4以上出資している法人は、情報公開に努めるものとした。 75 平成17年 3月 食糧費の開示対象を拡大 ・渉外活動に伴う交際費支出の相手方の所属名、職名及び氏名の開示 地方三公社(住宅供給公社、道路公社、土地開発公社)を条例の 実施機関とした。 平成17年 4月 指定管理者の情報公開 ・指定管理者は、情報公開に努めるものとした。 清掃委託、警備委託、物品購入などの契約内容や予定価格について、 情報公開請求の手続きを経ることなく情報を公開することとした。 補助金等交付団体の情報公開 ・ 県の庁舎内において実施機関の職員が主たる事務を行っている団 体のうち、同一年度の県からの補助金、委託料等の総額が100万円 平成17年 8月 以上で、団体の総収入の1/4以上を占めるものは、情報公開に努め るものとした 公文書の開示方法に、電子メール及びFAXによる送信を追加 ※都道府県初 食糧費の開示対象を縮小 平成18年 3月 ・企業誘致活動に伴う食糧費の支出に係る公文書に記載された情報の うち、相手方との信頼関係又は協力関係が損なわれるおそれがあるも のは、非開示とした。 平成18年 4月 平成20年 4月 公文書の写しの交付費用の見直し ・多色刷り 40円 ⇒ 30円(A3版まで1枚) 電磁的記録の交付方法に「DVD−R」を追加 開示請求書は、主務課所へ直接提出できることとした。 3.職員や県民の反応 電子メール及びFAXによる交付を可能にしたことにより「実費が無料になったこと」 及び「処理スピードが増したこと」で、情報を求める人、情報を提供する機関双方に喜ば れている。 76 ■みやき町における暴力団進出阻止活動について 【総括責任課:組織犯罪対策課】 活動の概要 指定暴力団道仁会本部関連施設のみやき町への進出動向に関し、官民一体となった 阻止活動を展開した結果、みやき町が土地建物を買い取ることで、発覚から7か月の 短期間で完全解決した。 1.活動の背景 福岡県久留米市に本拠を置く指定暴力団道仁会は、平成 20 年8月、久留米市の住民から 本部事務所等の使用差止めの仮処分申立を受け、傘下の組織事務所へ本部機能の移転を表 明するという情勢にあったところ、県警において同年 11 月、みやき町にある元民間保養施 設の改修工事に道仁会が関与している情報を入手した。同施設に対する視察や関係者から の聞き込みで、暴力団関係者が同施設に出入りしている事実を確認、さらには道仁会が本 部事務所若しくは関連施設として使用すべく当該施設内外の改修工事を行っていることが 判明し、道仁会が本県進出を図っていることが明らかになったことから、官民一体となっ た進出阻止活動を推進した。 2.活動の具体的内容 本件発覚を受け、地域住民、地元自治体、県、佐賀県弁護士会、暴力追放運動推進セン ター、警察等が一致団結して、 ・ 暴力追放大決起集会、住民説明会の開催 ・ 施設所有者との任意買収交渉、施設使用禁止の仮処分申請準備 ・ 施設周辺における 24 時間体制での警戒 等の進出阻止活動を推進した。また、県からの財政支援により、警察OBの丸山保武氏が 暴力追放運動推進センターの臨時職員として採用され、みやき町の参与として、住民、地 元自治体、県、警察とのパイプ役として活躍した。その結果、平成 21 年6月、みやき町が 当該施設の土地建物を買い取り、所有権移転登記がなされたことで完全解決した。 3.職員や県民の反応 問題発覚から約半年での早期解決の報に地元住民は安堵し、「一番望んでいた形。うれし い」「数年がかりになると思っていた。胸のつかえが取れた」などの声が聞かれた。 77 ■子育て井戸端会議について 【総括責任課:職員課】 取組の概要 育児休業中の職員が抱いている子育てに関する悩みや職場復帰に向けた不安を解消 するため、育児休業職員交流研修会(通称:子育て井戸端会議)を開催 1.取組の背景 本県では、次世代育成支援対策推進法に基づき、職員が仕事と家庭を両立させ、職場に おいてその能力を十分発揮できるよう、職場を挙げて支援する環境の整備を進めるために 「佐賀県特定事業主行動計画」を策定し、具体的な対策を講じる。 2.取組の具体的内容 (1)開催状況 ・平成 17 年度(平成 17 年 10 月 21 日) 参加者:育児休業者 32 名 内容:県政の重要課題、 子育てに関する休暇制度、PC 貸 与による庁内イントラへの在宅 接続、育児相談及び相談窓口等の 紹介、意見交換 ・平成 18 年度第1回(平成 18 年6月 16 日) 参加者:育児休業者 21 名 内容:県政キャッチアップ、講演「食育について」、子育て支援制度の説明(休暇、勤 務時間)、意見交換 知事が参加した意見交換の様子 託児室の様子 78 ・平成 18 年度第2回(平成 18 年 10 月 31 日) 参加者:育児休業者 14 名 内容:講演「子育てはてきとう−いいかげん」、子育て支援制度(休暇、勤務時間) の説明、意見交換 ・平成 19 年度第1回(平成 19 年6月5日) 参加者:育児休業者 13 名 内容:講演「少しずつ親になればいい」∼子育てサークルとの出会い 子育て支援制度(休暇、育児休業手当金等)の説明、意見交換 ・平成 19 年度第2回(平成 19 年 11 月 20 日) 参加者:育児休業者 18 名 内容:講演「楽しく子育てをするためには」、子育て支援制度(在宅勤務、勤務時間 制度の見直し)の説明、意見交換 ・平成 20 年度第1回(平成 20 年5月 31 日) 過去のアンケート 参加者:育児休業者 12 名、配偶者6名 内容:講演「産む喜び、育む喜び、働く喜びそして」「夫婦 の育児について」、子育て支援制度(在宅勤務、勤務 時間制度・育児休業手当金の改正等)の説明、意見交 で要望があった配 偶者参加型の研修 会を開催 換 ・平成 20 年度第2回(平成 20 年 10 月 17 日) 参加者:育児休業者 29 名 内容:講演「ベビーマッサージによる心身リラックスと親子の絆」、子育て支援制度 (休暇、育児休業手当金等)の説明、在宅勤務の体験談、意見交換 ・平成 21 年度第1回(平成 21 年6月7日) 参加者:育児休業者 13 名、配偶者9名 内容:講演「子供と両親の絆づくり」、子育 て支援制度(休暇、育児休業手当金 等)の説明、意見交換 配偶者が参加した子育て井戸端会議 ・平成 21 年度第2回(平成 21 年 11 月6日) 参加者:育児休業者 13 名 内容:講演「幼稚園、保育園ってどんなところ?」 、子育て支援制度(休暇、育児休 業手当金等)の説明、意見交換 79 ・平成 22 年度第1回(平成 22 年6月6日) 参加者:育児休業者 16 名、配偶者 11 名 内容:講演「親子遊びを考える」、子育て支援制度(休暇、育児休業手当金等)の説 明、意見交換 3.職員や県民の反応 子育て井戸端会議の参加者のアンケートでは、これまで約9割の人が参考になったとの 回答があり、具体的な意見としては、 ・講師のアドバイスが参考になった ・自分が住んでいる地区以外の子育ての環境がわかる ・育児休暇制度など理解できたので、復帰後は活用していきたい ・育児休業中は職場の情報がなく取り残された気持ちになっていたが、この研修会に 参加し、気持ちが楽になった ・育児の心配事を聞いてもらって、少しすっきりした ・託児していただくので、参加しやすい などがあった。 また、要望については、これまで研修会への配偶者の参加、育児支援制度の利用に関し て上司の理解や周りの協力等が得られる環境づくりをしてほしいなどの意見が出され、平 成 20 年度から年 1 回は配偶者参加型で研修会を開催したり、育児支援制度については個別 対応や庁内イントラによる周知を行っている 80 ■在宅勤務について 【総括責任課:職員課】 取組の概要 以下の3点を目的として、県庁における仕事の在宅化に取組む。 ① 職員の子育て支援 ② 職員の仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進 ③ 県内事業所に普及させるための先進事例の構築 1.取組の背景 育児・介護中のため自宅を長時間離れることができない、又は障害等により通勤が困難 といった方々でも働きやすいような、時間と場所にとらわれず、自己の能力が発揮できる テレワークやSOHOなどの働き方が求められている。 ICTを活用した本格的な在宅勤務を県庁が率先して行うことにより、職員の仕事と家 庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進及び職場環境の整備はもとより、在宅勤務 を実践したことによる課題の整理及び解決を図り、県内事業所への制度導入の手助けにな ることを目指すものである。 2.取組の具体的内容 (1)実施期間、対象者、参加者数の変遷 期間 対 象 者 参加者数 備 考 育児、介護をしている以下の職員 (対象者:約 600 人) 1次 H20.1∼ ア 小学校就学前の子を養育 H20.6 イ 放課後児童クラブに子を迎えに行く ウ 介護が必要な親族を介護 男:8人 女:2人 計:10人 育児をしている 職員のみ参加 (介護休暇の要件に合致) 育児・介護をしている以下の職員 2次 H20.7∼ H21.3 (対象者:約 1,000 人) 男:11人 5人 介護をしている 職員も参加 ア 中学校就学前の子を養育 女: イ 介護が必要な親族を介護(申請者の 計:16人 課長級も参加 男:8人 本部長級及び 副本部長級も 参加 状況に応じて判断) 3次 H21.6∼ H22.3 全職員 (対象者:約 3,000 人) 女:3人 ※育児・介護の要件を撤廃 計:11人 男:27人 女:10人 のべ 計:37人 81 育児、介護をし ない職員も参加 (2)在宅勤務の実施方法 ①実施要領の概要 ・ ブロードバンド環境が整備された自宅で在宅勤務を実施 ・ 所属長の推薦に基づき、職員課で参加者を決定 ・ 庁内イントラネットに接続できる専用パソコン等を貸与 ・ 個人所有の携帯電話に、公用番号で通話できる回線(IP電話)を設定 ・ 原則として週1回以上在宅勤務を行い、また週1回は必ず職場に出勤する ・ 情報セキュリティ基本方針等は、在宅勤務であっても遵守しなければならない ②勤務状況の管理等 ・ 自宅への出張命令により在宅勤務を行う ・ 一週間の業務計画書を作成し、在宅勤務実施後すみやかに業務報告書を提出 ・ 勤務時間及び休憩時間は、職場と同様(7時間45分勤務、1時間の休憩) ・ 在宅勤務の開始時及び終了時に、それぞれ上司にメール又は電話で連絡 ・ 上司又は同僚への在宅勤務中の報告、連絡、相談は、メール又は電話で行う ③費用負担 ・ 在宅勤務用パソコン及び附属機器、公務での携帯電話通話料は、県費負担 ・ インターネット接続にかかる初期費用及びプロバイダ利用料、在宅勤務での 光熱水費は、在宅勤務者の負担 ④セキュリティ対策 ・ 在宅勤務用パソコンの無線LAN接続の禁止 ・ 在宅勤務時の個人所有のパソコンの利用禁止 ・ 在宅勤務用パソコン起動時のID及びパスワード認証 ・ 庁内イントラネット接続時のID及びパスワード認証 ・ 職員ポータルシステム利用のID及び生体認証 ・ 情報漏えい対策ソフト及びファイル完全削除ソフトの導入 3.職員や県民の反応 (1)参加した職員の意見(アンケート回答から) 以下のとおり、参加した職員からは好評を得ている。 ①子育て支援について ・ 子どもの幼稚園登園に付添える、子どもの突発的な事故や病気に即時に対応で きるなど、子どもに安心感がうまれ、育児がやりやすくなった。 ・ 育児をするうえで役立つ制度である。(参加した職員全員が同意見) ②ワーク・ライフ・バランスについて ・ 通勤時間がなくなったこと、原則として時間外勤務を認めていないことから、 個人の時間が増加し、育児や家事、くつろぎなどに有効活用した。 ・ 家族と過ごす時間が増えた。また、家族と一緒に食事ができる機会が増えたこ とにより、いろんなことを会話するようになった。 82 ③仕事のやり方に対する意識改善 ・ 業務計画書を作成することにより、自分の仕事の進捗状況を「見える化」する ようになった。 ・ 職場で行う仕事と在宅で行う仕事を区分けするようになり、仕事にメリハリを つけるようになった。 その他、参加した職員の意見から以下のとおり課題が抽出された。 ①業務の効率化(改善すべき点) ・ 資料の電子化(ペーパーレス化)をもっと推進すべき。 ・ 打合せや会議は、事前に曜日や時間を設定して行うようにすべき。 ②在宅勤務のPR不足 ・ もっと多くの職員が在宅勤務を行えるように、在宅勤務に対する職場や上司へ の理解を促進すべき。 ・ 「自分もやってみよう」という環境づくりが必要。 ③ICT環境の改善等 ・ 共有フォルダを利用できるようにすべき。 ・ 情報セキュリティは、在宅勤務者に依存している部分が大きいが、高い水準の 情報セキュリティを確保できるようなシステムが必要。 (2)県民の方からの意見 ①県政モニターの方から(平成20年度) 「県職員の在宅勤務は悪評。景気が不況なのに、パートナーの助成ができるなど の新聞記事を見たが、こっそりとやったらどうなのか。県職員への厳しい批判が増 すことになる。」 ⇒ このご意見に対しては、 ・ 国や都市部の様々な企業が在宅勤務を取り入れていること ・ 本県のような小さい自治体では、県庁でまず実践してみて在宅勤務の効果 や課題を検証し、各事業所での制度導入の判断材料となりたいこと を説明し、ご理解を求めた。 ②県政モニターの方から(平成21年度) 「実際に育児や介護をしている職員の何%が在宅勤務をしたのか。なぜ在宅勤務 をしようと思ったのか(上司に無理やりやらされたとか、前々から在宅勤務をした かった、というのは成果に入らないと思う)。在宅勤務者がいる部署でのしわよせが きていないかどうかなどの調査が必要。どの部署でも在宅勤務が可能なのか、在宅 勤務者のいる部署を公表するべき。 」 ⇒ このご意見に対しては、 ・ 中学校就学前の子を養育している職員は、約 1,000 人いるため、約2%(平 成21年度の参加者は16名)であること ・ 在宅勤務者やその上司にアンケートを行い、今後の取組みの参考にしてい 83 ること ・ アンケートの結果、通勤時間が短縮されたことにより個人の時間が増加し、 育児や家事、地域のボランティア活動などにその時間が活用されていること ・ 在宅勤務を進めるためには、資料の電子化を進める必要があること ・ 在宅勤務者の上司からは「部下がどのような仕事をしているか具体的に分 かるようになった」との高評価があった一方、 「在宅勤務者が職場にいないこ とで、電話対応を他の職員がすることになった」との批判もあったが、「週の うち数回程度の在宅勤務であれば特に問題はない」との総評だったこと ・ 福祉施設など対人業務をおこなっている部署以外は、在宅勤務が可能であ ると考えており、さまざまな部署の職員に在宅勤務を実施してもらい、本当 に在宅勤務が可能かどうかを検討していきたいこと と回答している。 (3)他自治体等からの来訪調査や照会 本格的な在宅勤務を導入したのは、都道府県レベルでは本県が初めてであったこ とから、以下のとおり多くの自治体等から本県の取組みについて、来訪調査や照会 があっている。 【来訪調査】 本県に来訪され、在宅勤務の取組み内容について、意見交換を行ったもの ・中野区(平成20年度) ・国土交通省(平成21年度) ・自治大学校(平成21年度) ・大分県議会(平成21年度(議員団視察)) ・長野県(平成22年度) 【照会】 電話で制度説明又はメールで資料(制度概要やアンケート結果)を提供したもの (平成20年度) 財務省、文部科学省、石川県、富山県、静岡県、奈良県、名古屋市議会、長崎市 (平成21年度) 新潟県、福井県、大分県、札幌市、広島市、横瀬町 84 ■Buy さがん県民運動について 【総括責任課:税務課(税務政策担当)】 取組の概要 「お買物、お食事、ご宿泊は佐賀県内で!」を合言葉に、県民の県内消費・地元消費 を啓発・促進することで、地方消費税清算金収入の増収とまちの活性化を図る。 1.取組の背景 ○ 地方消費税は地域間の偏在性が少なく、景気動向に対しても安定的な税目であり、 地方分権が進展していく中、基幹的な税目の一つとなることが期待される。 ○ この税収配分は、各都道府県の人口及び従業者数と、指定統計(旧商業統計及びサ ービス業基本調査、次回以降は経済センサス)による小売年間販売額等によってなさ れるが、北部九州の中核的な商業集積を有する福岡県と全国的にも一大観光地を有す る長崎県に隣接する本県においては、購買力の県外への流出も一定程度あるものと思 われ、実際、人口比でみた地方消費税清算金収入も九州 7 県で 2 番目に低く、全国平 均の 92%に留まる(平成 19 年度決算ベース)。 ○ このため、県民の県内消費・地元消費を促すことで、地方消費税清算金収入の増収 を図るとともに、このことを通じ、グローバル化・ボーダレス化が進む今日であるか らこそ、地域における所得循環の形成によるまちの活性化に取り組むこととした。 85 2.取組の具体的内容 【17∼18 年度】 ○ 直近の商業統計(平成 19 年調査)の対象年である平成 18 年を念頭に、 「Buy さが ん 2006 推進協議会」を母体として以下の取組に着手。 ・ 行政の取組・・・イベント・会議等の誘致、県・市町による県内小売事業者へ の発注推進、通信販売企業の誘致 ・ 県民への普及・・・広報を通じた普及啓発、商工団体への働きかけ ○ この結果、佐賀商工会議所による「が Buy さがん運動」への着手等の成果はあっ たものの、会議等の誘致実績(5 件のみ)など意図した成果が得られなかった。 【19∼20 年度】 ○ 「Buy さがん 2006」の結果を踏まえ、所管を税務課に移管し、次回経済センサス の調査対象予定年である平成 22 年度を念頭に、 「Buy さがん 2010」として再スター ト。 ○ 庁内の推進体制や市町・団体への広がりの弱さ、県民へのアプローチ不足などの これまでの課題(右図)を踏まえ、新たに、 ・ 副知事トップによる「税収増推進会議」を通じた庁内でのイベント・大会誘致 (予算配分における Buy さがん枠の創設)及び集中調達の徹底 ・ 市町訪問及び企業訪問を通じた会議誘致や県内からの物品調達等の協力要請 ・ 企業を対象とした「わが社も Buy さがん宣言」の募集 ・ 児童生徒への租税教室における Buy さがんの普及啓発 ・ マスコット「こーたろー」の公募・選定 ・ Buy さがんスプリングキャンペーン、年末キャンペーン ・ 佐賀県職員 Buy さがん宣言及び職員名刺台紙の配布 などに取り組んだ。 86 【21∼22 年度】 ○ これまでの取組の成果として、21 年度には、例えば、 ・ 平成 22 年度における 32 イベント、61 ブロック会議の招致決定 ・ 全租税教室(年間 180 校)への「Buy さがん in 租税教室」の拡充 ・ 「わが社も Buy さがん宣言企業」の 100 社達成(現在 109 社) ・ 商工会議所連合会による県内全 8 地区への「が Buy さがん運動」の拡充 ・ 商工会連合会によるオンラインモールサイト「がばいよか」の開設 など、関係各機関によるものも含めて県内消費を促す取組が広がってきた。 ○ しかしながら、未だ県民一人一人への浸透は十分ではなく、また、宣言企業や職 員等へのフォローアップも不十分であったことから、さらに、 ・ 「お店と地域の橋渡し」のための個店情報・地域情報等を集約・配信する「Buy さがんクラブ総合サイト」の開設と宣言企業等へのメルマガの定期配信 ・ 民間の「寄附付き商品」の手法をふるさと納税に応用し、県内企業の商品等の 県民による購入促進等も意図した「ふるさと応援商品」企画への着手 ・ 「定額給付金は県内で」、「子ども手当は県内で」な ど、タイミングをとらえた広報の充実・強化 ・ 職員アンケートを通じた県職員への普及啓発 などに取り組み、より効果のある取組となるよう一層の 工夫改善を図っている。 3.職員や県民の反応 ○ 宣言企業や商工団体においては、「県が県内消費・地元消費の音頭をとって、旗を振 ることで、自分達も方向感をもって取り組みやすい」等の好意的な声は少なくない。 また、租税教室の対象である小・中学校など教育現場においても、昨今、身近な地域 87 社会の仕組みなどの具体的な素材を通じた考える力の育成等は課題であり、「Buy さが ん in 租税教室」には概ね好意的である。 ○ 一方、税理士会の一部や職員アンケート等では「市場規模の小さいわが県において、 自己完結的な所得循環を目指すことはかえってデメリットが大きいのではないか」、 「自由貿易にこそ資源配分の効率化を通じた経済発展の基礎があるのだから、保護主 義的な動きを助長することは賛同しかねる」、「そもそも、県内消費を行うことに一消 費者として考えた場合のメリットが感じられない」等といった意見も少なくない。 ○ 改めて、グロバール化・ボーダレス化が進む昨今だからこそ、むしろなぜ、 「地域で おカネを回す」ことを考える必要があるのかについて、個々人の生活と地域社会との 関わりや、経済主体の相互依存などといった視点から、粘り強く説明し、理解を得て いく必要を感じている。 88 ■パスポート交付について 【総括責任課:国際課(旅券担当) 】 取組の概要 パスポート(旅券)の発給事務を市町に権限移譲し、県民への利便性の向上を目指 すとともに、発給日数の短縮化によりサービス拡大を図る。 1.取組の背景 本県では、県民の利便性の向上及びサービス拡大を目的として、平成18年度から19 年度にかけてパスポート発給事務のうち、申請受付及び交付事務を全市町(20市町)へ 権限移譲した。また、パスポート発給日数の短縮化を行った。 2.取組の具体的内容 ・ 平成18年7月1日 鳥栖市、伊万里市へ権限移譲 ・ 平成19年2月1日 武雄市へ権限移譲 ・ 平成19年7月1日 唐津市、多久市、小城市、嬉野市、みやき町、玄海町、太良 町へ権限移譲 ・ 平成19年9月1日 ・ 平成19年10月1日 佐賀市へ権限移譲 鹿島市、神埼市、吉野ヶ里町、基山町、上峰町、有田町、 大町町、江北町、白石町へ権限移譲 <<権限移譲事務の内容>> * 一般旅券発給申請書の受理と旅券交付 * 返納一般旅券の受理と還付 * 紛焼失届受理 * 一般旅券の渡航先追加申請書受理と交付 * 一般旅券の訂正申請受理と交付 * 一般旅券の査証欄増補申請受理と交付 89 ・ 平成22年4月1日 ¾ 従来、旅券発給は申請日から6日目(土曜、日曜、祝日等を除く。)以降に申請 者本人に交付を行っていた。平成22年4月1日からは、全県下で申請日から 5日目(土曜、日曜、祝日等を除く。)以降の交付とし、発給日数の短縮化を図 った。 4.県民・職員の反応 <<県民の主な意見>> (※平成20年9月∼10月に市町窓口でアンケート調査実施) * 自宅から近いところでパスポートが取れるので便利になった。 * 戸籍謄(抄)本をとる場所と同じであり、時間の節約ができる。 * 交通が便利であり、交通費の負担軽減となる。 * 短時間で手続きができる。 <<市町の意見>> * 質の高い住民サービスが提供でき、効果的な行政運営ができる。 * 住民サービスの向上につながる。 * 住民により身近な職員が対応するため、不正取得防止につながる。 90 ■県立学校施設のユニバーサルデザイン整備について 【総括責任課:総務課】 取組の概要 生徒をはじめ、だれでもが県立学校施設を利用しやすいようにユニバーサルデザイ ン(UD)整備を進める。 1.取組の背景 平成18年6月に「既存県有施設のユニバーサルデザイン整備基本方針」が策定され、 その中で既存県有施設については、平成24年度までに UD 化整備の完了を目指し、計画 的に取組むこととされており、県立学校についてもそれに併せて、平成19年度から計画 的な UD 化整備に取り組んでいる。 2.取組の具体的内容 ◇計画的な整備として UD整備がなされていない学校で、当面改築等の予定がない学校27校に ついて1階部分の段差解消、多機能トイレ、自動ドアの設置を基本として、 平成19年度∼平成23年度の5ヵ年で整備を完了(毎年5校程度)する。 ◇個別の整備として 上記に加えて個別の障がいへの対応が必要となる生徒が入学するのに併せて、 必要な整備(エレベーターの設置・多機能トイレの増設等)を進める。 91 3.整備による効果と課題 効果的なこととしては、 ・ 「怪我をした時、体調が悪い人を支える時、足元が暗い時でも安心して歩けるよう になった」、「両手で物を運ぶとき、台車を利用するときに楽になった」など、直 接に施設が利用しやすくなったこと 「既存の施設では制約があり、ハード面だけでは完璧な UD 化は無理な面がある ・ ため、思いやりの心によるソフト面の充実も大切である」との意見が寄せられ、 UD に関する意識が高まっていること ・ 「UD 教育の教材と連動させることができ、生徒への啓蒙に効果があった」など教 育現場で実践的に活用されていること が上げられる。一方、 ・スロープは利用しない、或いは、特に気づかないなど、意識が低い意見も寄せら れていること ・整備を行うに当たっては、既存の建物が前提となるため、構造や配置など物理的 な状況で制約が生じる場合があること(例えば、「入口を今以上に広げること」、 「全 てのスロープの傾斜を極力緩やかにすること」 ) ・また、エレベーターについては、計画的に全ての学校に設置すべきではないかと の意見があること など、今後の課題とする内容もある。 4.課題への対応 現在、県教育委員会では、県立学校施設のUD化によるハード面とUD教育を実践する 推進校の指定などのソフト面を合わせて、学校におけるUDの取組みを推進している。ま た、取組の具体的内容の情報と「必要な整備は必ず行うので、進学を希望する県立学校が UD仕様になっているか、いないかに係わらず、安心して県立学校を志願してください」 とのメッセージを、県の広報誌やホームページ、市町教育委員会・中学校への受検説明会 の場、或いは、保護者からの問合せの場を通じて発信している。 92 ■太良高校改編について 【総括責任課:教育庁総務課学校再編・新太良高校準備室】 取組の概要 平成23年4月に、佐賀県立太良高等学校を「多様な学びのできる全日制高校(普 通科)」のモデル校として改編する。 1.取組の背景 中学校卒業見込者数の減少により、太良高等学校が高等学校再編整備第二次実施計画で 再編整備の対象校となる中、地元太良町から高校存続の要望と提案が出された。この地元 から出された提案には、不登校生徒の広域からの受入れや体験重視の教育活動等、新しい 取組内容が含まれていた。 一方、県教育委員会においても、新たな教育課題として、不登校経験や発達障害のある 生徒、高校中途退学者が主体的に学べる新しいタイプの普通科高等学校についての検討を、 庁内に設けられたワーキンググループにおいて独自に進めていた。 県教育委員会では、地元からの提案とワーキンググループで検討している内容を重ね合 わせることは十分可能と判断し、地元との協議を重ねていった。 そして、地元からも太良高校改編について理解と協力を得るに至り、平成21年3月策 定の「佐賀県立高等学校再編整備第二次実施計画」の中で、県立太良高等学校を「多様な 学びのできる全日制高校(普通科) 」のモデル校として改編することを最終決定した。 2.取組の具体的内容 (1)太良高校改編までの取組 平成 20 年3月 「佐賀県立高等学校再編整備第二次実施計画(素案)」決定 平成 20 年 4 月 太良町、太良高校存続期成会(会長太良町長)へ説明 平成 20 年 7∼8 月 太良高校存続期成会から要望書、提案書が出される。 平成 20 年 11∼12 月「県民意見提出手続(パブリック・コメント)」を実施する。 意見提出数 26 件 平成 21 年3月 「佐賀県立高等学校再編整備第二次実施計画」決定 佐賀県立太良高等学校を「多様な学びのできる全日制高校(普通科) 」のモデル校と して改編することを決定 平成 21 年4月 第 1 回新太良高校設置準備委員会 (学校像、基本方針を検討) 平成 21 年6月 第2回 〃 (作業部会報告事項を検討) 平成 21 年8月 第3回 〃 (作業部会報告事項を検討) 平成 21 年 10 月 第4回 〃 (作業部会報告事項を検討) 平成 22 年1月 第5回 〃 (検討事項の中間まとめ) 平成 22 年3月 第6回 〃 (最終まとめ) 平成 22 年3月 「太良高校改編計画」決定 93 (2)「太良高校改編計画」の概要 ① 学校名等 ・ 佐賀県立太良高等学校(全日制・単位制・2 学期制の普通科高等学校) ・ キャッチフレーズ:『HOT School (ホット スクール)』 (H=hope, O=only one, T=try) 「希望を持ち、かけがえのない自分をみがき、未来に向けて 努力する学校」 ② めざす学校像 ・ 多様な選択科目の設定や単位認定により、生徒の個性や可能性を引き出し伸ばす 学校 ・ ICT教育の充実や少人数によるきめ細かな指導により、生徒に確かな学力を身 につけさせる学校 ・ キャリア教育の充実により、生徒の主体的な進路選択を支援する学校 ・ 様々な体験学習により、社会性や他人を思いやる心を身につけた生徒を育てる学 校 ・ ③ 地域や家庭と連携し、共に歩む学校 募集対象とする生徒 ・ 西部学区枠:西部学区の生徒(40 人、隣接学区 20%以内)を募集 ・ 全県募集枠:全日制高校で学ぶ意欲と能力のある、不登校経験や発達障害のある 生徒及び高校中途退学者(40 人)を県内全域から募集 この他に、1 年次(10 月)や2年次以上(4月・10 月)に転編入学する生徒を若 干名募集 ④ 教育課程の特徴 ・ 進路希望や興味・関心に応じた学習ができる科目、基礎から学べる科目、資格取得 も可能な科目を設置する。(進学系、ビジネス・情報系及び家庭・福祉系等の専門 科目、英数の基礎科目、学校設定科目) ・ 電子黒板の全普通教室配置、パソコン室の充実、eラーニング教材の活用等により、 ICT教育を充実する。 ・ 技能審査、就業体験、スポーツ・文化活動などの学校外における学修等により単位 認定を行う。 ・ 広域からの生徒の通学を考慮し、始業時間を遅くする。(9 時 30 分始業)また、45 分×6 限の授業で放課後の部活動等の時間を確保する。 94 ■県立高校と県立特別支援学校高等部の併願について 【総括責任課:教育政策課】 取組の概要 障害のある生徒について県立特別支援学校高等部と県立高等学校との併願を可能と した。 1.取組の背景 近年のノーマライゼーションの進展により、障害のある生徒が障害のない生徒と共に学 ぶため県立高等学校に入学を希望する声があることから、障害のある生徒の進路選択の幅 の拡大に取り組むこととした。 2.取組の具体的内容 ・県立特別支援学校を受検しても、県立高等学校の全日制、定時制、通信制を問わず、 また前期、後期、二次募集を問わず、併願を希望するものはすべて受検可能とした。 ・県立特別支援学校と県立高等学校の検査日は、すべて重ならないようにした。 ・県立特別支援学校高等部合格者については、入学資格を保持したまま、県立高等学校 を受検することを認めた。 ・適切な進路選択に資するために志願先特別支援学校で進路相談を受けることとした。 3.職員や県民の反応 ・担当課としては、専願から併願できるようになり、社会自立に向けた進路選択の幅を 広げる条件整備ができたととらえている。 95 ■「オンリーワン」のさが体験活動支援事業について 【総括責任課:学校教育課】 取組の概要 佐賀ならでは、また、地域ならではの体験活動を通して、児童生徒に、佐賀のすば らしさを実感してもらい、ふるさと佐賀への理解と愛着を深め、豊かな心を育むこと を目的とする。 1.取組の背景 豊かな自然に恵まれた本県は、農林水産業が盛んで、また、窯業などの地場産業、優れ た技術を持った工場、県外から多くの観光客が集まる観光地など、すばらしい産業や資源 がある。しかし、子どもたちは、そんなふるさとのことを果たしてどれくらい知っている のだろうか。例えば、焼き物づくりが盛んな地域の子が焼き物に詳しいと は限らないし、焼き物づくりを体験したことがないかもしれない。全国一 を誇るノリがどうやって生産されているのか地元の子どもたちは知らな いかもしれない。子どもたちに、自分が暮らす地域や佐賀のすばらしさを 実感してもらい、ふるさと佐賀への愛着を深め、誇りに思ってもらいたい、 そんな思いで本事業に取り組むこととした。 2.取組の具体的内容 (1) 鳥栖市立鳥栖小学校(農業…お米) 学校内に学校田を作るとともに、農家の方の学習田でも お米を育て、専門家の育て方との比較を体験しました。 種まきから収穫までの農業体験をとおして、土作りや水 の管理・病害虫の駆除などの苦労や米作りの工夫を学びま した。代かきを丁寧にしないと田に水を張ることができな いことや、水の管理の難しさ、稲穂を鳥から守るためにか かし作りをしたことなど、一つひとつの作業を丁寧にやっ ていかないとおいしい米ができないことを学びました。こ の体験をとおして、農業の専門家の方への尊敬の気持ちが高ま りました。 〔学校田で米作り〕 (2) 嬉野市立大野原中学校(農業…お茶) 嬉野の「茶業」にスポットをあて、茶摘み、製茶、茶の 流通、茶園施肥等、その道のスペシャリストとともに、体 験活動を行い、嬉野のよさについて学習をしました。 この体験活動をとおして、茶摘みや茶の剪定を機械や家 庭にある器具を使ってお茶を製茶しました。そして、茶業 に従事する人々の努力を実感し、自分の住んでいる地域を 誇りに思う気持ちが高まってきました。 〔茶摘みに挑戦〕 96 (3) 有田町立有田中学校(地場産業…窯業) 世界に誇る有田焼をとおして、焼き物づくりが有田で盛 んになったわけや焼き物づくりの歴史などを調べたり、専 門家に習いながら焼き物づくりに取り組んだりしました。 その中で、伝統的な梱包方法について学び、有田焼が海 外へ船積みされた伊万里津への道を実際に歩いたり、磁器 皿の製作をしたりすることで、有田焼の素晴らしさとそれ らを作り出した先人たち、そして伝統を受け継ぎ、さらに 発展させている郷土の産業の素晴らしさを実感すること ができました。 (4) 唐津市立七山小学校(林業) 県内でも珍しい七山の湿原をとおして七山のよさにつ いて学習しました。 林業の作業工程を見学したり、林業について地域のゲス トティーチャーに教えてもらったりすることで、「村の名 人」を意識するようになりました。また、子どもたちがよ く口にするしいたけを育てたり、ログハウスの廃材を使っ た木工作品を使ったりすることで、道具の使い方の基礎が 身に付きました。県外の方に七山を紹介したパンフレット を渡す活動では、七山のよさを考えたり、返信のはがきを 受け取ったりしたことで、七山を愛する心が深まりました。 (5) 小城市立芦刈小学校(水産業) のり作りに携わる人の話を聞いたり、実際に漁の体験を したりすることをとおして、有明海のよさについて学習し ました。 のりづくりを中心とした芦刈町の漁業の仕事の様子や 苦労、そこで働く人々の知恵など、生の声を聞いたり、実 際にあんこう漁等の体験活動を重ねたりしました。そのた め、有明海でとれる魚介類、漁具の使い方や海の特徴を学 んだり、のりができるまでの大まかな流れを理解したりす ることができました。この学習をとおして、有明海の環境 を守っていこうという心情が高まり、芦刈町を誇りに思う 気持ちも高まりました。 97 〔伊万里津への道に挑戦〕 〔ログハウス廃材利用〕 〔有明海の漁体験〕 3 児童・生徒の感想 (1) 小学4年生の感想 私は、機械がなかった時代は、どうやってのりを作っていたのかとっても興味があ りました。そしたら、ゲストティーチャーの方が昔の道具を貸してくださいました。 私は、それを見た時どうやって使うのかなあと思いました。でも、話を聞いて私はな るほど!と思いました。 まず、どろどろののりを長方形の入れ物に入れて、それをみすの上に木のわくをの せた物の中に流し込んで、少し乾かしてから木をはずして天日干しすることがわかり ました。昔ののり作りは、何でも人の力でしていてたいへんだったんだろうなあと思 いました。とっても勉強になりました。そして、のりを作っている人が汗を流し、が んばってのりを作ってくださって私たちはこんなにおいしいのりが食べられるんだな あと思いました。 (2) 中学1年生の感想 (一部抜粋) 私は、有田焼きの学習をする前までは、「有田焼きってただの焼き物じゃないの? 」とずっと思っていました。でも、焼き物のおかげで世界がつながったり世界をまき こんだりするなどすごい歴史がこの有田焼きに刻まれていることがわかりました。ま た、学習の中で陶器と磁器があるということを知りました。一番びっくりしたことは 、2つの焼き物を見ると色と音がちがったことです。磁器の色は白く、音が高く鳴り ます。陶器の色は土の色で、音は磁器のように高く鳴り響きません。私は、同じ焼き 物でもちがう所があるんだなあと思いました。 私は、学習したおかげで佐賀県のよいところをたくさん知ることができました。私 は、日本人はすごいなあと改めて実感することができました。 (3) 中学1年生の感想 最初は、ふるさとについてもう知っていると思っていました。でも、いろんな人に 話を聞いたり、実際に体験したりすることによって、今まで自分が知らなかったこと が、たくさんありました。 夏休みには、実際にレンコン掘りをしました。初めての体験で歩く事もできなくて 苦労したけど、実際、農家の人は長い間されていると思うので、とてもすごいなあと 思いました。 10月には、九州電力、三瀬村、佐賀農業大学校に行きました。九州電力では、栽 ばい方法がいろんなかたちであり、とても勉強になりました。外のところでも農業の 観光化や見学などをして、とても勉強になりました。調理実習のほうでは、「ワッフ ル」を作りました。とてもおいしくでき、レンコンでもいろんな調理方法があり、び っくりしました。長い間、自分が住んでいる白石町のレンコンについて学んできたら 、白石町のよさがたくさんわかりました。 98 ■開館時間日本一について 【総括責任課:県立図書館】 取組の概要 図書館先進県づくりを進めるため、年間開館時間において都道府県立図書館の中で 日本一なることを目指し、開館時間の延長などに取り組む。 1.取組の背景 本県では、 「県は一つの大きな図書館(ビッグライブラリー)!」をキャッチフレーズに、 “だれでも、いつでも、どこでも、なんでも”必要な情報が手に入る図書館先進県づくりを進 めており、より多くの県民の皆さんに利用していただくため、開館時間の延長などに取り 組み、年間開館時間において都道府県立図書館の中で日本一を目指す。 2.取組の具体的内容 平成 16 年度から開館時間の延長、祝日開館の実施、休館日の削減などに取り組んでおり、 平成 18 年度以降、都道府県立図書館では開館時間日本一を続けている。 平成 16 年4月 開館時間の拡大と窓口サービスの向上を図るため、担当職員に交代制を導入し、司書資 格を持つ非常勤嘱託員 8 名を採用 <開館時間の拡大> ・ 土曜日の開館時間 午前 9 時~午後 5 時→午前 9 時∼午後 8 時 ・ 祝日 休館→開館(午前 9 時~午後 5 時) ・ 月末整理日の休館(月 1 日) 廃止 ・ 年末年始の休館 12 月 29 日~1 月4日→12 月 30 日∼1 月 3 日 (7 日間) (5 日間) 平成 17 年 4 月 県内の公共図書館と重ならないよう、休館を月曜日から火曜日に変更 ・休館日 毎週月曜日→毎週火曜日 郷土資料室の閲覧業務を利用サービス課に統合し、非常勤嘱託員を 9 名に増員 平成 18 年 4 月 開館時間をさらに拡大するため、非常勤嘱託員を 12 名に増員 <開館時間の拡大> ・ 休館日 毎週火曜日→毎月最終水曜日 ・ 日曜・祝日の開館時間 午前 9 時~午後 5 時→午前 9 時∼午後 8 時 ・ 特別整理期間 9 日間→6 日間 ・ 年間開館時間 3,138 時間→3,762 時間(都道府県立図書館の中では 日本一) 99 3.職員や県民の反応 平成 20 年1月に実施した「満足度調査」では、『開館時間延長』について、「大いに満足 している」「満足している」の合計は、94%であった。また、その調査では、 ・最近市内に転入してきたが、仕事が終わってからも気軽に立ち寄れるので大変あり がたい。 ・月 1 日の休館日になったことは、一人暮らしにとっては助かっており、度々利用さ せていただいている。 ・他の図書館が休館日の時に、開館してあるのは本当に嬉しい。 ・仕事後も利用できるようになり、開館時間の長さに大変満足している。 ・年間の開館時間が長くて、利用に満足している。 などの意見が寄せられている。 なお、サービス窓口においても、開館時間の延長により、18 時以降の会社員等の利用 は増加してきたと実感している。 100 ■図書館物流について(相互貸借に要する時間) 【総括責任課:県立図書館】 取組の概要 図書館先進県づくりを進めるため、相互貸借を迅速に行う図書物流システムを構築し、 各館が所有する図書資料を広く県民に提供し、利用者サービスの向上を図る。 1.取組の背景 本県では、 「県は一つの大きな図書館(ビッグライブラリー)!」をキャッチフレーズに、 “だれでも、いつでも、どこでも、なんでも”必要な情報が手に入る図書館先進県づくりを進 めている。平成 15 年度までの相互貸借では、申し込み後、手元に届くまでに、最短 1 週間、 最大 2 ヶ月の期間を要していたため、全県的な県民への図書貸出サービス充実のため、迅 速化、利便性の向上を図ることとした。 2.取組の具体的内容 県から市町に対する従前の相互貸借は、配本車・巡回車により配送していたが、県逓送便 に変更して期間を短縮し、更に平成 22 年4月からは、宅配業者への委託による県内公共図 書館図書物流システムを稼動(週 3 回)させており、県から市町への図書の貸出しは、申 し込みから最短 2 日で届けることができるようになった。 なお、市町間の相互貸借については、県逓送便の場合のように県を経由する必要がなく なったため、市町間も最短2日と、格段に早く届くようになった。 ◆図書館先進県づくりに向けた取組を開始(H16.4∼) ○H16.4∼ 県逓送便(週 3 回 月・水・金) 最短 2 日 ○H17.7∼ ・県立図書館資料のインターネット予約貸出開始 ・遠隔地図書返却開始 ○H18. 4∼ 県逓送便(週 2 日 火・金) 最短 3 日 ◆『図書の定期的物流システムの構築』を盛り込んだ「佐賀県公共図書館の設置及び運 営に係る今後の方策」策定(H21.1) 平成21年度中に図書物流システム構築のための担当者会議を 3 回開催 ○H22.4 ∼ 県内公共図書館図書物流システム稼動(週 3 回) 最短 2 日 3.職員や県民の反応 小規模図書館、公民館図書室においては、自館での蔵書数も少なく、利用者サービスを 充実するには、相互貸借に頼らなければならないため、このような市町の職員からは顔を 合わせるたびに、「いつも助かっています」との声が寄せられている。 逆に、スピードと図書の物流を推し進めることで、ある程度の蔵書がある図書館からは、 小規模館は相互貸借に頼らずに、自館での資料費の確保に努めていただかないと、自館利 用者へのサービスの妨げになるという声もあり、相互貸借の貸出対象図書に制限を設けて 自館利用者を守る対策を取り始めている図書館もある。こういう大規模館に対しては、県 101 の支援機能の強化を図り、専門書の提供やレファレンスでの支援などによりモチベーショ ンを下げない配慮も必要となっている。 なお、県内すべての公立図書館の蔵書の状況がインターネットにより検索できることか ら、それを活用する利用者も増え、相互貸借の数が年々増加している。 102
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