Isonite LS 1.仕上がり外観の特徴 1.仕上がり外観の特徴

パーカー熱処理工業株式会社
Isonite
LS は、環境対応型の全く新しいタイプの塩浴軟窒化技術をご提供いたします。
塩浴熱処理の一般的な長所である、均熱・均質性、短時間高効率処理に加え、次の利点を有します。
* 処理工程で環境に負荷を与える有害物質を全く使用しません。
* 同一浴組成で、低温・500℃(必要に応じ 450℃)∼高温・580℃(必要に応じ 630℃)の
広い温度範囲処理が可能です。
*
耐摩耗性、対焼付き性、疲労強度等の各機械的強度は、従来の軟窒化処理と同等または、
それ以上の強度を付与します。
* 軟窒化処理と同時に最表面に、LS 処理特有の腐食環境に優れた抵抗性を有する複合酸化物層
を形成します。
イソナイト‐LS 処理は、従来の軟窒化処理え得られる外観処理とは異なり、黒色外観を有する特徴があり、
1.仕上がり外観の特徴
…均一な黒色外観に仕上がります。
最表面には強固な酸化皮膜を形成させます。
仕上がり外観
材料:SPCC材
表面SEM像
断面組織写真
×5000
複合酸化膜
化合物層
イソナイト-LS処理
母材
5μ
μm
20μ
μm
×5000
軟窒化処理(従来法)
5μ
μm
20μ
μm
2.酸化皮膜
…リチウムを含む鉄の酸化皮膜です。
皮膜の表面状態分析
分析装置:XRD
材質:SPCC材
●
○
イソナイト-LS処理
イソナイト- 処理
●:リチウム・鉄複合酸化物
●
●
○
○ ○
○
●○ ●
○○
○
軟窒化処理(従来法)
○
○ ○
○
○:Fe2~3(C,N)
○
○○
軟窒化処理(従来法)により灰色に仕上げた品物の表面にはε‐窒化鉄[ (Fe2∼3)(C,N)]のみ形成されています。
一方、黒色に仕上がったイソナイト‐LS 処理品には窒化層の直上にリチウムを含む鉄の酸化皮膜が形成しています。
深さ方向の元素分布分析
断面分析
分析装置:グロー放電発光分光分析装置
分析機器:EPMA
分析元素:Li、C、N、O、Fe
分析対象:元素マッピング分析
材質:SPCC材
(O、N)
材料:SPCC材
酸化膜層:2~4μm
化合物層:14~18μm
含
有
元
素
20μ
μm
の
割
合
O
N
表面からの深さ
GDSによる深さ方向の元素ライン分析から、最表面の酸化物中にリチウムが多
く含まれています。さらに、元素マッピング分析より高濃度の酸素が濃化して
おり、強固な酸化膜を形成しています。
3.耐食性
… SST200 時間以上経過後も発錆しませ
耐食性評価①
評価手法:JIS Z 2371に準ずる塩水噴霧試験
材質:SPCC材
イソナイト-LS処理
軟窒化処理 (従来法)
軟窒化処理:580℃×120min
塩水噴霧試験 4Hr後
塩水噴霧試験 200Hr以上発錆無し
(1Hr経過後に発錆)
供試材:SPCC 材
塩水噴霧試験による発錆時間
無処理品
数分
イソナイト‐LS 処理
200Hr 経過後でも発錆なし
軟窒化処理(従来法)
1∼2Hr
従来法で軟窒化処理した SPCC 材は、塩水噴霧試験1Hr 経過後には発錆が認められ、4Hr 経過後に全面的に錆が
認められますが、イソナイト‐LS 処理することにより 200Hr 以上でも発錆が認められないほどの高耐食性を有します。
※但し、一般的に室内環境下で使用される OA 機器類では塩水噴霧試験 30min 以上が1つの目安といわれています。
耐食性評価②
評価手法:分極電位測定
電解質溶液:5% 塩化ナトリウム溶液
イソナイト-LS
イソナイト-
電気的な耐食性調査(分極電位測定)の
結果、イソナイト‐LS 処理品は、軟窒化処
理(従来法)品に比べ、アノード側での電
流が流れにくい(腐食されやすい)ことを
示します。
軟窒化処理 (従来法)
4.機械的特性・窒化能
…従来の軟窒化処理と同等もしくはそれ以上で
断面硬度分布
表面粗さ
評価手法:ビッカース硬さ 測定荷重100g
測定装置:サーフコム570A表面粗さ形状測定機
材質:SCM435材
軟窒化処理:580℃×120min
軟窒化処理:580℃×90min
9.00
軟窒化処理処理(従来法)
8.00
●
イソナイトLS処理
7.00
表面粗さ(μm)
●
Ra
Ry
Rz
6.00
5.00
4.00
3.00
2.00
1.00
0.00
軟窒化処理(従来法) イソナイトLS処理 軟窒化処理(従来法) イソナイトLS処理
表面、断面硬さ及び表面粗さは、従来の軟窒化と大差ありません。
高Ni合金への窒化
合金への窒化
材質:インコネル600
軟窒化処理:580℃×90min
窒化処理では苦手としていた高 Ni 合金への
窒化処理が可能です。
化合物層厚さ:4.5μm
600Hv0.025
疲労強度
摺動特性
測定装置:回転曲げ試験機
測定装置:SRV摩擦摩耗試験機
軟窒化処理:580℃×120min
切り欠き形状係数:2.45
Ball :SUJ2 荷重
材質:S48C・調質材
Disk :軟窒化処理(従来法)及びイソナイト
LS処理
Φ10mm
軟窒化処理:580℃×90min
50
保持時間:60sec
Φ27mm×7.9mm
摺動距離 : 2mm 振動数 : 50Hz
油量 :100μl
摩擦係数 (μ)
0.40
イソナイトLS
軟窒化処理(従来法)
応力 (Kg/mm2)
(SCM435材)
運動方向 負荷荷重 : 50N/50secのステップ荷重
40
S48C材
材
σ=36.80
30
20
σ=13.92
10
● イソナイトLS
0.30
0
■
1.0.E+04▲
0.20
軟窒化処理(従来法)
未処理
1.0.E+05
1.0.E+06
1.0.E+07
繰り返し数 (N)
0.10
イソナイト−LS 処理品は、軟窒化処理(従来法)
品と同等の疲労強度があり、SRV 摩擦摩耗試験から
0.00
50
250
45 0
650
850
105 0
1250
は耐焼付き性は向上していることが分かります
最大 1300N まで測定を行いましたが、焼き付きを起
こしません。