流れと栄養塩の分布に注目した清水港調査

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流れと栄養塩の分布に注目した清水港調査
佐藤淳平(海洋科学科)・照井孝徳 (環境情報工学科)・長谷川傑(海洋資源学科) ・遠藤仁美(海洋科学科) ・依田和子(海洋科学科)
はじめに
観測点図
折戸湾および清水港は主に巴川から流入する淡水と海水が混合が起
こる環境である。また、この海域は湾口が狭く奥行きがあり閉鎖的な地
形といえる。
そのため清水港奥まで海水と淡水の交換が十分ではなく、循環の効率
が悪いのではないかと考える。
以上の事から、清水港でどのような水がどの流れになっているのか明ら
かにするために調査を行なった。
s8
庵原川河口
a7
a6
a8
a4
巴川河口
a5
a3
方法
小船
a2
a1
s2
バケツ採水
表層の海水
を採る
s1
図1. 観測点図
電磁流向流速計
手下ろし式
観測点に到着後
1m毎下ろし読み
取る
アレック
多成分水質計。
水深・水温・塩分などを測定する
流向・流速計同様に降ろしていく
図2.
バンドン採水器
底層付近の海水を採る
観測方法模式図
港口付近
港口に向かう
流れ
成果
栄養塩とは?
水中に棲んでいる植物プランクトンが成長するのに必要な物質の
事で、主にケイ素,リン,窒素がある。これが不足すると他の生物
の餌となる植物プランクトンが増えず、その場所に棲む生物は育た
なくなる。
逆に栄養塩が増えすぎてしまうと赤潮の原因となり、その環境に
大きな影響を与えてしまう。その為、栄養塩の濃度を調べることは
水中の環境を知る上で1つの重要なパラメータとなる。
今回はその代表例として表層水のケイ素の分布と塩分の分布を
比べ、河川と栄養塩の関係を示した。
巴川からの淡水が
たまっている
Si( μm ol/ l)
図 流向流速 平均
図4. 各観測点の流向・流速の平均値
塩分
Si濃度(μmol/L)
巴川河口
30.0
33.0
塩分
25.0
31.8
20.0
30.6
15.0
29.4
10.0
28.2
庵原川河口
5.0
27.0
St .No
s1
s2
清水港奥
港口に向かう
流れではない
a1
a2
a3
a4
a5
a6
s8
図3.
表層のケイ素濃度及び塩分
表層のSi濃度及び塩分
a7
a8
流向・流速
10cm/s
北
赤のベクトルは水の流れを表して
いる。上向きが北とし、上記のベク
トルの長さを10cm/sとして流速を
表す。
満ち潮の時は沖からの流れ、逆に引き潮時には沖
に向かう流れがある。これが潮流と呼ばれ、沿岸水
と沖の海水をかき混ぜる役目をしている。
そのため沿岸水と海水の循環が悪いと沿岸水がた
まりやすく、その場の水成分に影響を与える。
まとめ
・清水港内では港口に向かう水の流れと、向かわない水の流れがあった。清水港奥では港口に向かう流れではなかった。
・栄養塩は、巴川河口より清水港奥に多く分布している。
以上の事から、港口に向かわない水は滞留している可能性があり、栄養塩の分布からも巴川の水が清水港奥に溜まって
いるといえ、水の循環が悪いと思われる。