警 告 書 - 兵庫県弁護士会

兵弁総24発第68号
2012年(平成24年)5月14日
兵庫県警察本部長
倉
田
潤
殿
利
殿
長田警察署長
石
村
喜
兵庫県弁護士会
会
長
林
晃
史
功
行
同人権擁護委員会
委員長
佐
告
書
警
第1
藤
警告の趣旨
1
2009年(平成21年)5月20日貴署の警察官が●●●●氏(以下「申
立人」と言います。)に対し頬を平手打ちし、両手首を強くひねって負傷させ
た行為は違法な傷害行為であり、
2
申立人を逮捕した後、2日間貴署に留置を続けたことは違法な身体拘束であ
り、
いずれも重大な人権侵害行為であるので、再びこのようなことがなされないよう
警告します。
第2
1
(1)
警告の理由
認定した事実
申立人は2009年(平成21年)5月20日午後8時30分頃、神戸市
長田区の自宅近くの路上で携帯電話を使用しながら運転していたのを貴署の
警察官A、Bの2名に呼び止められました。
申立人は車を降り、警察官A、Bに向かって
「車庫に入れますので」
と述べ、車を後進させて自宅の車庫に駐車しました。
(2)
申立人が再び下車して、車庫から出ようとすると、警察官Aが両手を広げ
て申立人を追い込むように近づいてきたので、申立人は、
「やめてください」
と言いながら両手で警察官Aの肩を押しました。
(3)
警察官Aは
「何するんや」
と言いながら、申立人の左頬を平手打ちした後、申立人の両手首を掴んで強
くひねって、身動きができないようにした上、警察官A、Bのどちらかの警
察官が申立人の両手に手錠をかけ、公務執行妨害を理由に逮捕されました。
(4)
その後、パトカー2台で応援の警察官10人程が現場に到着し、申立人は
パトカーに乗せられ、貴署に連行され、2日間留置されました。
(5)
申立人は警察官の行為により負傷し、事件後安静16日間を要しました。
(6)
申立人は公務執行妨害、傷害の事実で検察庁に送致されましたが、2010
年(平成22年)1月29日起訴猶予となりました。
第2
事実を認定した理由
以上の事実について、当委員会は貴署に対し、事案の骨子を通知し、反論さ
れたいことがあれば、口頭、文書を問わず申し出てほしいと2度通知しました
が、何ら反論も証拠等資料提出もなされませんでした。
当委員会は申立人と申立人の留置中に接見した弁護士から事情を聴取し、留
置中に申立人を診察した医師の診断書及び検察庁からの回答書を検討した結果、
以上の事実が存在したと考えるのが相当と判断しました。
第3
判断
もともと、申立人の行為は運転中に携帯電話を使用したという軽微な事案で
あったものであり、恐怖を感じた申立人が、警察官Aの肩を押したことが仮に
違法であったとしても、警察官Aは平手打ちし、申立人の両手を強くひねった
上で、警察官A、Bのどちらかが申立人に手錠まで使用する必要性があったと
は思えません。
警察官Aらの制圧行為は限度を超えた不相当なもので、違法と言わざるを得
ません。
また、申立人の行為が公務執行妨害罪に該当するとしても、それは申立人を
逮捕するほどの事案であるのか疑問があり、申立人を逮捕しなければ捜査が不
能あるいは困難になるのかにも疑問があります。本人が氏名、住所も明かさな
いなどの特別の事情がない限り、逮捕後2日間も身体を拘束する必要はなかっ
たといえます。また、傷害罪については、そもそも申立人にそのような行為が
あったとは認められません。
よって、警察官Aが申立人を平手打ちし、その両手首を強くひねって負傷さ
せたことは違法に申立人の身体を傷害したものであり、貴署が申立人を逮捕後、
2日間も身体拘束を続けたことは違法に申立人の身体の自由を制限したもので、
いずれも重大な人権侵害です。
以
上