睡眠検査.xls / MSLT 労働における疲労を考えた場合、途中に挿入される

睡眠検査.xls / MSLT
睡眠潜時反復テスト ( MSLT : Multiple Sleep Latency Test )
労働における疲労を考えた場合、途中に挿入される大休憩によってその回復が観察できるが、一日の疲労
の回復は、やはり夜間に取られる睡眠によってなされる。したがって、長時間労働や通 勤時間の延長などに
よって夜間の睡眠が不足すると、夜間では十分に回復されなかった疲労が「日中の眠け」として経験されるこ
とがある。そこで日中の眠けを測定し、これを定量 化することによって、夜間では十分に回復しなかった疲労
を眠さの点から評価することができる。眠さを測定する方法としては、大別 すると二つの方法がある。一つは
内省による自己評定法であり、もう一つは脳波や眼球運動などの生理的な指標を用いて測定する方法であ
る。
睡眠潜時反復テスト(Multiple Sleep Latency Test=MSLT)は後者の方法の一つである。MSLTは1976年に
スタンフォード大学のカースカドン博士(Carskadon,M.A.)らによって開発された方法で、眠けが強いほど早く眠
ることができるだろうという仮説にたった、眠さを客観的に測定する方法である。手続きとしては、はじめに被
験者は静かな暗室のベッドに横になり、眠るように教示される。脳波を測定しながら、目を閉じてから睡眠段
階1が出現するまでの時間(睡眠潜時)を測定して、これを眠けの強さとする。すなわち、睡眠潜時が短いこと
は眠けが強いと考え、長いことは眠けが弱いと考えるのである。普通 、MSLTは起床後2時間ごとに20分間の
脳波記録が5∼6回繰返して行われる。被験者が20分以内に眠ることができれば、その潜時が得点になり、
被験者が20分以内に眠ることができなかった場合は20分がその回の得点になる。これによって得られた得点
(睡眠潜時)を時系列にプロットしていけば、ちょうどV字型に似た図ができあがる。この図は睡眠の質や量を
反映しており、これによって眠さの度合いが評価される。
MSLTはあくまで実験室的な方法であるので、現場で用いることはできない。しかし、眠けを客観的に測定す
る方法であるので、睡眠クリニックにおいての睡眠障害の判別 や睡眠障害が予想される労働者の眠さの評
価に活発に用いられている。今後ますますその利用が期待される測定法といえるであろう。
【MSLTの目的】
1
過度の日中の眠気を引き起こすような疾患(ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群)の診断、及び
日中の眠気を評価する。
2
日中2時間ごとに患者を入眠させ、その入眠潜時の脳波を調べることにより、客観的な眠気を評価
する。
【MSLTの方法】
検査の説明は主治医が行う。
検査当日は過度の運動や喫煙を禁止することを患者に伝える。
MSLTは10時、12時、14時、16時、18時の計5回、各々20分ずつ脳波室で行う。
昼食は12時の検査後、夕食は18時の検査終了後にとってもらう。
それぞれの検査の間は病棟で眠らないよう説明し、守られているか観察する。
眠っていれば声をかけていく。
MSLTでは脳波を導出して昼間の眠気度を判定します(導出部位はC3,P3,O1など)。
1
記録開始時、被験者が起きていますから後頭部(P3,O1)優位にα波がみられます。
2
「これから記録を始めます。目を閉じたままでいて下さい。そして、眠くなったらそのまま眠って下さい
と指示をして、記録を開始します。
3
記録中は時間を正確に計測しながら、α波を観察します。
被験者が開眼してもα波が消失しますので注意して下さい。
4
被験者が眠くなるとα波が消失しますので、その状態が30sec間持続するまでの時間(30秒法)を
睡眠潜時として判定し、記録を終了します。
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5
20分間の計測中にα波が消失が30sec間持続しなかった場合には、入眠を認めなかったと判定し、
測定を終了するとともに、睡眠潜時を20分として判定します。
6
この記録を、例えば、9:00am、11:00am、13:00pm、15:00pm、17:00pmと系時的に実施し、睡眠潜時
を求めていきます。
1. 感度
2. HFF(高域遮断フィルタ)
3. LFF(低域遮断フィルタ)
4. 記録速度
5. 交流除去フィルタ
50μV/7mm程度
60Hz (or 30Hz)
0.5Hz (or 1.6Hz)
30mm/sec
on
【MSLTの注意事項】
1
睡眠障害の一連の検査として一泊入院で行われる事が多く、通常入院期間は1泊2日であり、
睡眠ポリグラフ(PSG)の翌日に行われることが多い。
検査続きとなるため負担もあると思われ、環境など配慮する。
2
睡眠に影響を与えるような薬物を服用している場合は、最低2週間の断薬をする事がある。
【MSLTの評価例】
これは、ある薬を服用した時の昼間の眠気度を調べたデータです。
placebo群は対象薬、つまり眠気を起こさない胃薬みたいなものを服用させた群で、赤色の実線で
表されています。これに対して、ある薬を服用させた群は青色の破線で表されおり、グラフより、こ
の薬が明らかに眠気を引き起こすことがわかります。
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