医療安全対策に抗菌銅を導入した病院(和訳)

プレスリリース No. 918(2014 年 9 月 11 日)
医療安全対策に抗菌銅を導入した病院
英国リンカンシャー州のピルグリム病院では、顕在化する院内耐性菌の問題に対して銅固有の抗
菌性を活用した患者の安全を守る取り組みが、耳鼻咽喉科医長の主導の下で始まっている。
高頻度接触表面の抗菌銅への切り替えを提唱したのは、耳鼻咽喉科の医長兼臨床主任で、保健省
における閉塞性睡眠時無呼吸症の顧問でもある Michael Oko 氏である。第一段階として、ベッド
柵、戸棚の取手、椅子の肘掛け、握りバー、手すり、照明器具のスイッチ、蛇口、コート掛けが
抗菌銅に代えられた。抗菌銅化の対象品目を拡大するとともに、病院全体に広げていく意向であ
る。
銅は元来より抗菌性を有しており、黄銅や青銅をはじめとする数多くの銅合金にもその抗菌性が
備わっている。これを総称して「抗菌銅」といい、感染病原菌の温床化防止を目的として環境表
面に採用されている。その強い殺菌性は 24 時間 365 日、清掃しない間も継続する。抗菌銅は、
MRSA や VRE などの耐性菌をはじめとする様々な病原菌に有効であることが証明されている。
Oko 氏は次のように述べている。「医療従事者、患者、来訪者が高頻度で接触する表面を抗菌銅
製のものに代えることで、こうした表面を介して蔓延する感染のリスクを低減させることができ
ます。日常的な手指の洗浄や表面の清掃・消毒といった他の感染予防対策を補完するものとして
有効です」
「感染率の低下は、患者の入院期間の短縮、死亡リスクの低減、医療費総額の削減につながりま
す。環境表面の抗菌化は、患者の安全という視点だけでなく、経済的な視点からも理にかなって
います」
抗菌銅は、世界中の臨床試験(医療環境や病棟のタイプは様々)で検証が行われており、最新版
の『英国 NHS 病院における医療関連感染防止のためのエビデンスに基づいた国内ガイドライン』
では、銅の表面はその他の表面と比較して汚染度が 80%以上低いとする研究の紹介とともに、新
興の技術の一つとして掲載されている。米国では、国防総省の資金提供を受けた臨床試験におい
て、集中治療室の主要環境表面 6 つを抗菌銅製のものに交換しただけで、患者の医療関連感染リ
スクが 58%低減している。
このピルグリム病院の取り組みに関わっている ACT Surfaces 社の Andrew Cross は、次のように説
明する。「どのような臨床環境であれ、一部の環境表面は多くの人が接触し、その接触回数は一
日で数百回にもなります。抗菌銅化の効果が最も高いため、こうした主要環境表面を洗い出すこ
とになります」
個別の医療施設において、抗菌銅化した場合に患者の感染リスク低減と最も効果的な医療費削減
につながるこうした「問題ある」環境表面の洗い出し作業を病院の感染予防チームと共同して行
うこと。これが ACT Surfaces 社が行っている業務の一つである。
「抗菌銅化の投資を最短で回収するには、新築時や予定した改装・改修時に実施するが良いので
すが、[ピルグリム病院の私立病院部門である]ボストニアン病院にとしては、抗菌性の科学的・
臨床的根拠や費用対効果があまりに魅力的なため、抗菌化に踏み切ったわけです」
Oko 氏は抗菌製品について地域調達にこだわったため、ACT Surfaces 社ではノリッジの Brass Age
社に同社の抗菌銅シリーズ VETOBAC を納入するよう手配した。現在は、抗菌化の第二段階に備
え、資金調達を図っているところである。
抗菌銅製品はカラーが豊富で、メーカーは世界各地に存在する。製品・メーカーはオンラインの
ディレクトリ www.antimicrobialcopper.org で紹介されている。
ボストニアン病院に導入された抗菌銅製品
(写真:ACT Surfaces 社提供)
編集者注
ピルグリム病院の取り組みを支える資金調達を目的としたウェブサイト:
justgiving.com/yimby/copperisemyhospital
高画質画像をご希望の場合等のお問い合わせ先:
氏名: Bryony Samuel
役職: 広報担当
電話: 01442 275705
E メール:
[email protected]
ウェブサイト: www.antimicrobialcopper.org