192 - 日本放射線技術学会 東北部会

コーンビーム CT の性能評価
- 旧システムとの比較弘前大学医学部附属病院 放射線部
○大湯 和彦
木村 均
(Ohyu Kazuhiko)
佐藤 幸夫
(Kimura Hitoshi)
(Sato Sachio)
【はじめに】
2008年4月にAingo装置が追加となりAXIOM Artis(SIEMENS社製)が導入され、コーンビームCT(以下
DynaCT)が使用可能となり以前よりも簡便にCT画像を得ることが可能になった。今回既存のシステムとの
比較のため性能評価を行った
【方法】
使用機器等
撮影装置:AXIOM Artis dBA Twin(SIEMEN社製)
Advantx ACT(GE社製)
ファントム:自作ファントム(0.1mmCu)
水ファントム(直径32cm)
画像処理:Fo-bs、Excel 2003
DynaCTの撮影モードについてTable 1に示す。
Table1 各撮影モード詳細
モード
Frame
Matrix
Bit 数
焦点
5DR
139
1240×960
12bit
Small
8DR
419
616×480
14bit
Large
20DR
543
1240×960
12bit
Small
モードの数字は撮影時間を示している
1. 空間分解能
1)各モードでの比較
アイソセンターから2cm上にワイヤーファントムを配置し各モードで撮影を行いMTFを求めた。
2)位置の比較
アイソセンターから上下左右に5cm、左と下に10cmの位置で撮影を行った(撮影モード:20DR)。
撮影条件等Fig.1に示す
2. ノイズ特性
各モードで線量を変化させて撮影を行い、ウィナースペクトル(以下DWS)を求めた
撮影条件等Fig.2に示す。ACTは腹部のCTHA等で使用していた条件とした。
パラメータは以下のとおり
ROI:256×256,評価方向:主操作方向,セグメントサイズ:128×16,シフト:縦横4pixcel,トレンド補正:3
MTF
撮影条件
DynaCT
各モード90kv,1.20μGy/p
ACT(Non Helical)
120kv,160mA,1.0sec,ScanFOV25cm
Recon
DynaCT
VOI:30mm Filter:HU Thick:1mm
Correction:All on
ACT
FOV:30mm Filter:Std Thick:1mm
Fig.1 MTF 撮影・Recon 条件
ウィナースペクトル
撮影条件
DynaCT
各モード90kv,0.36&1.20μGy/p
ACT(Helical)
ACT(Helical)
120kv,160mA,1.0sec,ScanFOV35cm
Recon
DynaCT
VOI: Full(約20cm) Filter:HU Thick:5mm
Correction:All on
ACT
FOV:20cm Filter:Std Thick:5mm
Fig.2 ウィナースペクトル撮影・Recon 条件
【結果・考察】
1. 空間分解能
各モードでの結果をFig.3に示す。ACTと比較すると、すべてのモードでDynaCTがMTFは上回ってい
た。DynaCTのFPDの検出器の大きさが0.154μと通常のCTと比較して非常に小さいため分解能に大き
な差が生じたと考えられた。
DynaCTで比較すると、8DRが他の2つよりMTFが悪い結果となったが、5,20DRは収集マトリックスが
1240×960に対して8DRは616×480であり、さらに焦点サイズはLargeを使用しているため焦点によるぼ
けも影響していると考えられた。
アイソセンターから上下左右に5cmずらしてもMTFに大きな差は生じなかった。
アイソセンターから離れるに従いMTFは悪くなっていった。離れるに従い幾何学的ボケの影響が大き
くなると考えられる。
2. ノイズ特性
各モードで比較すると、線量を増す・撮影時間が長くなるにつれ粒状性は良くなっていた。(Fig.4)
これは、収集Frame数の違いが影響していると考えられた。ACTとの比較は以前に使用していた条件より
改善されていたが同線量の評価ではないので注意が必要だった。
ウィナースペクトル 各モード
1.E+03
1
MTF 各モード
0.9
ACT
5DR
8DR
20DR
0.8
0.7
0.6
0.5
1.E+02
5DR 0.36μGy/p
8DR 0.36μGy/p
20DR 0.36μGy/p
5DR 1.20μGy/p
8DR 1.20μGy/p
20DR 1.20μGy/p
ACT
0.4
0.3
0.2
0.1
0
1.E+01
0
0.5
1
1.5
2
2.5
Fig.3 MTF 各モード
3
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
Fig.4 ウィナースペクトル 各モード
【結語】
今回、新システムDynaCTの性能評価を行った。以前のシステムと比較すると分解能は格段によいもの
となっていたが、臨床画像ではアーチファクトが強く解決しなければいけない問題も多い。各モードで分
解能等特性があるため、時間分解能も考慮した目的ごとの撮影モードの選択が非常に重要であると考え
る。
【参考文献・図書】
1) 市川 勝弘, 原 孝則, 丹羽 伸次, 大橋 一也: CTにおける金属ワイヤによるMTFの測定法 日本放
射線技術学会雑誌Vol. 64 (2008) , No. 6