コーンビーム CT の性能評価 - 旧システムとの比較弘前大学医学部附属病院 放射線部 ○大湯 和彦 木村 均 (Ohyu Kazuhiko) 佐藤 幸夫 (Kimura Hitoshi) (Sato Sachio) 【はじめに】 2008年4月にAingo装置が追加となりAXIOM Artis(SIEMENS社製)が導入され、コーンビームCT(以下 DynaCT)が使用可能となり以前よりも簡便にCT画像を得ることが可能になった。今回既存のシステムとの 比較のため性能評価を行った 【方法】 使用機器等 撮影装置:AXIOM Artis dBA Twin(SIEMEN社製) Advantx ACT(GE社製) ファントム:自作ファントム(0.1mmCu) 水ファントム(直径32cm) 画像処理:Fo-bs、Excel 2003 DynaCTの撮影モードについてTable 1に示す。 Table1 各撮影モード詳細 モード Frame Matrix Bit 数 焦点 5DR 139 1240×960 12bit Small 8DR 419 616×480 14bit Large 20DR 543 1240×960 12bit Small モードの数字は撮影時間を示している 1. 空間分解能 1)各モードでの比較 アイソセンターから2cm上にワイヤーファントムを配置し各モードで撮影を行いMTFを求めた。 2)位置の比較 アイソセンターから上下左右に5cm、左と下に10cmの位置で撮影を行った(撮影モード:20DR)。 撮影条件等Fig.1に示す 2. ノイズ特性 各モードで線量を変化させて撮影を行い、ウィナースペクトル(以下DWS)を求めた 撮影条件等Fig.2に示す。ACTは腹部のCTHA等で使用していた条件とした。 パラメータは以下のとおり ROI:256×256,評価方向:主操作方向,セグメントサイズ:128×16,シフト:縦横4pixcel,トレンド補正:3 MTF 撮影条件 DynaCT 各モード90kv,1.20μGy/p ACT(Non Helical) 120kv,160mA,1.0sec,ScanFOV25cm Recon DynaCT VOI:30mm Filter:HU Thick:1mm Correction:All on ACT FOV:30mm Filter:Std Thick:1mm Fig.1 MTF 撮影・Recon 条件 ウィナースペクトル 撮影条件 DynaCT 各モード90kv,0.36&1.20μGy/p ACT(Helical) ACT(Helical) 120kv,160mA,1.0sec,ScanFOV35cm Recon DynaCT VOI: Full(約20cm) Filter:HU Thick:5mm Correction:All on ACT FOV:20cm Filter:Std Thick:5mm Fig.2 ウィナースペクトル撮影・Recon 条件 【結果・考察】 1. 空間分解能 各モードでの結果をFig.3に示す。ACTと比較すると、すべてのモードでDynaCTがMTFは上回ってい た。DynaCTのFPDの検出器の大きさが0.154μと通常のCTと比較して非常に小さいため分解能に大き な差が生じたと考えられた。 DynaCTで比較すると、8DRが他の2つよりMTFが悪い結果となったが、5,20DRは収集マトリックスが 1240×960に対して8DRは616×480であり、さらに焦点サイズはLargeを使用しているため焦点によるぼ けも影響していると考えられた。 アイソセンターから上下左右に5cmずらしてもMTFに大きな差は生じなかった。 アイソセンターから離れるに従いMTFは悪くなっていった。離れるに従い幾何学的ボケの影響が大き くなると考えられる。 2. ノイズ特性 各モードで比較すると、線量を増す・撮影時間が長くなるにつれ粒状性は良くなっていた。(Fig.4) これは、収集Frame数の違いが影響していると考えられた。ACTとの比較は以前に使用していた条件より 改善されていたが同線量の評価ではないので注意が必要だった。 ウィナースペクトル 各モード 1.E+03 1 MTF 各モード 0.9 ACT 5DR 8DR 20DR 0.8 0.7 0.6 0.5 1.E+02 5DR 0.36μGy/p 8DR 0.36μGy/p 20DR 0.36μGy/p 5DR 1.20μGy/p 8DR 1.20μGy/p 20DR 1.20μGy/p ACT 0.4 0.3 0.2 0.1 0 1.E+01 0 0.5 1 1.5 2 2.5 Fig.3 MTF 各モード 3 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 Fig.4 ウィナースペクトル 各モード 【結語】 今回、新システムDynaCTの性能評価を行った。以前のシステムと比較すると分解能は格段によいもの となっていたが、臨床画像ではアーチファクトが強く解決しなければいけない問題も多い。各モードで分 解能等特性があるため、時間分解能も考慮した目的ごとの撮影モードの選択が非常に重要であると考え る。 【参考文献・図書】 1) 市川 勝弘, 原 孝則, 丹羽 伸次, 大橋 一也: CTにおける金属ワイヤによるMTFの測定法 日本放 射線技術学会雑誌Vol. 64 (2008) , No. 6
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