ヂ ュ ラ ル ミ ンの 基 礎 的 研 究(第1報)

第11號 ヂ ュ ラ ル ミソ の 基 礎 的 研 究(第1報}主
と し てAl-Cu-M9系
状 態 岡 537
ヂ ュ ラ ル ミ ン の 基 礎 的 研 究(第1報)
主
こ し てAl-Gu-Mg系
状 態 圖
森
永
卓
弌*
Takuity Morinaga:
Die Grundlagenforschung des Duraltimins. (I. Mitteilung).
Das
Dreistoffsystem Aluminium-Kupfer-Magnesium.
Das Zustandsschaubild der Aluminium-KupferMagnesiumLegierungenist durch thermische,mikroskopishe undrontgengraphischeAnalyse neu aufgestellt.
Hierbei sind vier intermetallische Verbindungen gefunden.
die darauffolgenden nonvarianten Punkte aufgestellt;
(Eingegangen
* 満洲軽金屬製 造株 式會社研究部
Nach den Untersuchungen
am 25, Juni 1942)
des Verfassers, sind
538 研
究 第6巻
に 於 て は 復 元 現 象 の 研 究(4)等,實 に 多 岐 に わ た つ て ゐ る.
Ⅰ. 緒
ヂ ュラ ル ミ ンが1911年
言
さ れ て 以 來,現 在 迄 鍛 錬 用Al合
る.而
然 し な が ら ヂ ュラ ル ミ ン 及 び 超 ヂ ュ ラ ル ミ ン の 基 本 合 金
に 獨 逸 のA.
Wilmに
依 て發 明
金 と し て 使 用 され て ゐ
して 現 在 ヂ ュラ ル ミ ン と して 知 られ て ゐ る も の は1
次 の4種
類 で あ る.即
ン(C17S),超
ち 普 通 ヂ ュラ ル ミン,超 ヂ ュ ラ ル ミ
ヂ ュ ラル ミ ン(24S)及
び 超 々 ヂ ュ ラル ミ ン
で あ るAl-Cu-Mg系
合 金 の 状 態 圖 の 研 究 は比 較 的 勘 く,
古 くはR.
研 究 が あ る の み で,最 近 に於 て は 西
Vogel(5)の
村 博 士(6)の研 究 が あ る.同
物 をS
(Al13Cu7Mg8)及
等 で,そ れ 等 の 標 準 組 成 及 び 機 械 的 性 質 の 大 略 を 示 せ ば
た.そ
第1表
成 はA15Cu2Mg2で
の 如 くで あ る.
の 後S化
0.04A,
第1表
氏 の 研 究 に 依 れ ば,α 相 と共
存 關 係 に あ る三 元 化 合 物 は2種
びT
(Al5CuMg4)と
名 づ け られ
合 物 は 大 日 方 博 士 等(7)の 研 究 で,そ の 組
あ つ て,こ の 相 の 格 子 常 數a=5.71
c/a=1.39で
さ れ た.西
類 存 在 し,こ の 三 元 化 合
あ る正 方 晶 に 屬 す る こ
± とが 明 か に
村 博 士 の 新 し い 發 見 は 偽CuAl2及
物 の 間 に 三 元 共 晶 が 存 在 し,こ れ が 約500°
びS化
合
で凝 固す る こ
とで,不 變 點 は 同 氏 の 研 究 範 圍 で は 次 の 如 くで あ る 。
L〓
α+CuA12+S(500°),
α+T(465°),
Mgの
L〓
α+S+T(477°),
L+X〓S+T(525°).然
L+S〓
し な が らCu及
び
多 い 部 分 の 状 態 圖 は,未 研 究 の ま ゝに 残 され て ゐ る
し,X相
も不 明 の 相 と し て 残 さ れ て ゐ る.大
等(7)のS化
日方 博士
合 物 の 結 晶 構 造 の 研 究 で,酸 に 依 て 極 め て 腐
蝕 され 易 い 相 は 認 め られ て は ゐ る が,充 分 な 解 決 は され
こ れ 等4種
も500°
類 の ヂ ュラ ル ミ ン 中(2)を
除 く以 外 は,何 れ
内 外 よ り燒 入 れ して 常 温 に 於 て 時 効 硬 化 を な す
もの で,(2)の
み がSiを
多 量 に 含 有 す う た め に 燒 入 れ,
焼 戻 し を 必 要 と す る 合 金 で あ る.
(4)はZn
8%程
度 を
て ゐ な い.以
上 記 述 し た 様 にAl-Cu-Mg系
状 態 圖 の決
定 は 略 々完 成 し の で あ る が,細 部 に わ た つ て は 未 完 域 の
部 分 が 蝿 され て ゐ る わ け で あ る.著
者 は これ が 解 決 を 試
み,全 系 の 状 態 圖 決 定 を 志 した が, Cu隅
に 及ぶ と 非常 に
含 み,本 來 の ヂ ュラ ル ミ ン の 組 成 と相 違 し て ゐ るが,何 れ
複 雑 と な り容 易 に 解 決 さ れ な い し,ヂ ュラル ミ ン の 基礎
に して も熱 處 理 材 は 抗 張 力40kg/mm2,伸10%以
的 研 究 と 直 接 關 係 が な く な る の で,本
示 す もの で あ る.從
上 を
來 普 通 ヂ ュラ ル ミ ン 及 び 超 ヂ ュラ ル
ミ ン の 焼 入 れ 後 に 起 る 時 効 硬 化 現 象 に 關 して は 非 常 に 多
く の 研 究 結 果 が 發 表 され, 1925年
Mg各
々70%ま
で の 範 圏 を,熱 分 析,顯 微 鏡 組 成 及 びX
Ⅱ. 實驗に用ひた材料 と方法
數 篇 の 多 き に 達 して ゐ る(1).
合 金 を作 る原 料 と して 次 の 様 な原 料 を 用 ひ た.
關 す る基 礎 的 研 究 個 も進 め られ,飜 つ て ヂ ュラル ミ ンの 加
cu
工 に 重大 な影 響 を 及 ぼ す ヂ ュラル ミン塊 の研 究(3),最近
Mg
電解銅
99.95%
共
99.93%
Al
(1)
今 野,金
屬 の 研 究,
(1927),
271;
Metals,
41
(1930),
343;
wirtsch.,
7 (1928),
G.
Sachs,
Gayler,
J.
E.
57;森
v.
幡,本
67;西
G.
262;
Adv.
Copy,
3 (1939),
誌,
62
誌,
5 (1941),
E.
L.
D.
(1938),
209;
森 永,長
るが, Mgに
Z. Mctallk.,
J. Inst.
誌,
Metals,
4 (1940),
Metal
Z.
Metallk.,
村,豊
富 む 合 金 の 調製 に はMgCl2
NaCl 20%及
びKCl
原,本
27
(1935),
53
(1933),
32
誌,
54
(1933),
639;
澤,本
275;
(4)
誌,
N.
665;大
熔 劑 を使 用 し,Mgの
6
G.
誌,
D.
Preston,
Phil.
2 (1938),
514;朝
V.
朝 倉,本
787;
日 方,田
(1941),
誌, 6 (1942),
Mag.,
倉,本
26
(1938),
誌,
4
219;幸田,本
156;住
誌,
友,住
855;武
(1940),
304;山
5 (1941),
(1940),
6 (1942),
10;橋
71.
口,本
Brenner,
誌,
5%,
損失 を
W,
6 (1942),
(6)
西 村,本
(7)
大 日 方,六
誌,
1
碕,本
(1937),
8.
誌,
5 (1941),
121.
内,本
口,
406;
友 研 究 報 告, 4 (1942),
793.
(5) R. Voge1,Z. anorg.Chem., 75 (1912),41.
P.
MgF2
田,本
5 (1941),
639.
Ind.,
l5%の
60%,
Petrov,
796;篠
4 (1940),
V.
762;
A.
黒 鉛 坩 堝 に ア ラ ンダ ムセ メ ン トを内 塗 し所 定 の 合 金約
100gを 熔 解 し炭 素 棒 で良 く撹 拌 後 金 型 に 鑄 造 し試 料 と
す る. Cuの 添 加 に は 母合 金 を使 用 した こ と は勿 論 で あ
Goler,
M.
(1937),
420;
96;
v.
671;
60
7
Metall
421;
(1929),
Copy,
J. Inst.
屬 の 研 究,
Wassermann.
8
永,本
Preston,
應 用 物 理,10
Scheidt,
J. Vero,
Roth,
本,本
D.
99.99%*
研 彙 報, -39
久 保,金
9 (1930),
Metals,
Adv.
藤,[航
45.
Geveling,
(3)
G.
多,小
1329;
475;森
永,杉
(1942),
Gayler,
Sehmid,
Inst.
Metals,
13;後
191;本
誌, 1 (1937),
Inst.
U.
V.
(1929),
誌, 2 (1938),
(2)
L.
(1925),
Metallwirtsch.,
J.
西 村,本
M.
2
び
線 分 析 に 依 り詳 細 な 實 験 を 進 め た.
以 降 の 研 究 だ け で も十
これ 等 の研 究 と並 行 して操 業上 重要 な溶 髄 化 熱 處 理 に
論 文 で はCu及
* Si0.0032%, Fe 0.00l1%,Cu 0.0007%.
第11號 ヂ ュラル ミンの 基 礎 的 研 究(第1報)主
防 いだ.用
ひた 方法 は熱 分 析,顯 微 鏡 試 驗 及 びX線
分析
と してAl-Cu-Mg系
状 態 圖 539
博 士(9)の結 果 と定 性 的 に は良 く一致 す るが,共 晶 温 度 と
等 で あ る.熱 分 析 は 連 續 した 一 定 間 隔 の 温 度 Δ θを降 下
固 體 内 の變 態温 度 が,同 氏 の結 果 よ り低 い.と
す るに要 す る 時 間 Δtを 測 定 し,温 度 θに 封 して Δtを 圖
70%迄
示す る逆 示 曲線 に依 り,試料 約30∼509を
るが,前 述 の様 に δ,η及びCuAl2の
黒鉛坩堝で再
もあれCu
の 状 態 圖 に 就 い 七 は,異 論 を 認 め な い の で あ
識 別 は 仲 々 困難 で
振れ が標 點 に歸 る時 間,即 ち Δ θを降 下 す る に 要 す る時
あ る.
一 次 に熔 體 か ら晶 出 す る場 合 の δは寫 眞1に
間dtを 測 定 した.著
で,δ は海 鼠 状 に 晶 出 し,硝 酸 水溶 液 で腐 蝕 す る と δば 白
熔解 し,熱 電 對 を挿 入後 電 位 差 計 に接 續 す る.檢 流 計 の
者 の 實驗 範 圍 の 合 金 に は 固 體 内 の
變 化 は殆 ど な い の で,液 相 線 を決 定 す るの み に止 らず
その ま ゝ凝 固後 の 變 化 を も連 續 に 求 め ら れ る便利 が あ
る.X線
分 析 で は化 合 物 の 組 成 及 び 二,三 の切 断 面 の 溶
色 で,地 のCuAl2は
示 す如 く
褐 色 に着 色 され る.寫 眞2は 初 晶 と
して η を晶 出 した もの で,棒 状 に 現 はれ,着 色 した 地 は
CuAl2で
あ る.從 つ て 一次 に熔 體 か ら析 出 す る場 合 に は
解度 曲線**を 求 め た.顯 微 鏡 用試 料 は爐 中冷 却 した もの,
そ の形 状 か ら δ と ηの 區別 が 可 能 で あ る.地 に 多 少 の濃
鑄造 の ま ゝの もの,或 は燒 鈍 した もの に就 い て,硝 酸 水 溶
淡 の認 め られ るの は, L+η 〓CuAl2の
液,硫 酸 水溶 液 及 び盤 化 第 二鐵 の鹽 酸 水溶 液 等 を 用 ひ て,
が 充分 で なか つ た爲 と想 はれ る.寫 眞3はL+δ
詳細 に検 鏡 を 行 ひ,κ 及びXの
包 晶 反應 が 認 め られ る組 成 範 圍 の も ので,δ と η との 區
二 つ の化 合 物 を顯 微鏡
的に 識 別 し得 る と共 に,化 合 物 相互 間 の 關係 を調 べ た.
Ⅲ.
Al-Cu系
め られ る.
状態 圖
者 も本 系 状
Ⅳ.
寫 眞1
Cu 65%,鑄
造, HNO3
本 系状 態 圖 の研 究(10)も相 當 多 く,大鐙 に 於 て 一致 した
様 な結 果 に なつ て ゐ るが,河 上博 士 とD. Hanson等
態 圖 は多 少 相 違 して ゐ る.後 者 の状 態 圖 に 於 て は βがMg
實 驗 を試 み
側 に寄 り,且つ これ が α及び γ と 共 晶 を作 る.處 が 前 者
た.そ の 主
の状 態 圖 で は γはAIMgの
要 な 目的
包 晶 反應 で生 ず る もの と して ゐ る.F工aves等
の研 究
に依 る と γは高 温 で の み安 定 な相 で あつ て, 300° で燒 戻
各
組 成 の も の で, L+δ 〓 γ の
しす る と β と δに 分解 す る と稱 して ゐ る. F. Laves等
相 の匠 別
を知 りた い
方 性 を示 す こ と を指 摘 して ゐ る.著 者 もMg
爲tあ
る.
範 圍 の 試 料 に就 い て,偏 光 を用 ひ て 槍 鏡 した 結 果,異 方 性
第1圖
は著
を示 す組 成 の もの が 認 め られ る.寫 眞4及
者 の實 驗 結
果 で,久 恒
就 い ては 研 究 の 餘 地 が あ る様 に想 はれ る.
び 寫 眞5は
の一 例 を示 す もの で あ る.從 つ てMg
Cu
55%,爐
中 冷 却, HNO3
寫 眞3
×130
Cu
40∼60%
40∼66%附
60%,爐
**.
第2報
H.
Eng.,
(1924),
(9)
で發表の豫定.
C. H.
Carpenter,
1909-I,
275;田
(10)
C. A.
204;
崎,金
D.
Edwards,
Proc1.
Stockdale,
屬 の 研 究,
久 恒,京 都 帝 大 工 學 部 紀 要,
J. Inst.
2 (1925),
8 (1934),
74.
Inst.
Metals,
490.
D.
Hanson,
201;
Mech.
31
E.
205;河
W.
K.
M.
H.
上,金
Dullenkopf,
Moller,
L. V.
Dix,
Z.
Gayler,
F.
屬 の 研 究,
Z.
J. Inst.
Keller,
10
Metallk.,
Metallk.,
30
Z.
×130
Metals,
Metallk.,
(1933),
28
(1938),
532;
(1936),
232.
309;
24
21
W.
そ
近に
中 冷 却,
HNO3
(8)
の状
の記 號 に依 れ ば,δ は偏 光 顯 微 鏡 で 観 察 すれ ば,著 しい異
寫 眞2
×130
状態圖
分に就いて
CuAl2の
状態圖
Al-Mg系
態圖の一部
は δ,η及 び
Al-Cu系
〓 ηの
別 が つ き難 くな るが,海 鼠 状 の δと 棒 状 の ηの 存 在 が 認
本 系 状態 圖 に就 い て は,從 來 多 くの研 究(8)が う る.著
第1圖
包晶 反 應の進行
(1920),
(1929),
Koster,
F. Laves,
540 研
究 著 者 の 實 驗 に 於 て は細 部 に 於 け る 異 論 は 別 個 に 取 扱 ふ
こ と ゝ して, D. Manson等
の 状 態 圖 に 依 る こ と に した.
L〓 α+T+β
第6巻
の三 元共 晶變 化 に 相 當 し,合 金70-3で
大 と な る. Al70%以
最
上の切 斷
面 の 熱 分 析結 果 も,こ の
切 断 面 の勢 分 析結 果 と同様 で あ る か ら省 略 す る.第3圖
寫 眞 4*
Mg47.8%燒
鈍
寫 眞5*
Mg49.5%燒
×150
Ⅴ. 分
析
結
鈍
×150
果
第2圖
Al70%切
斷面 の熱分析
第3圖
Al65%切
断 面 の熱 分 析
全 試 料 に對 す る分 析 は行 は な かつ た が,二,三 の 切 断 面
の 試 料 に就 い ては 分 析 を行 ひ,豫 定 成 分 との 比較 をな し
た が 大 體 に於 て良 く一 致 す る.第2表
にAl30%切
の 分 析 結 果 を,そ の 一 例 と して示 して 置 く.
第2表
分 析結 果(Al30%切
断面
'
断 面)
のAl65%の
CuA12及
切 断 面 よ り,初 晶 と して αの み で な く,
び β等 が 晶 出 して來 る.即 ちCu側
初 晶 と してCuA12を
示 し最 後 にL〓
65-27よ
Mg側
の 合金 で は
晶 出 し,次 に 隅の 晶 出 に 拌 ふ變 化 を
α+CuA12+Sの
反應 で 終 了 す る.合 金
り初 晶 の 晶 出 に基 く變 化 が 大 とな り.こ れ よ り
に進 む に從 つ て この 變 化 が 旺 盛 に な る 傾 向 が あ る
の は α の晶 出 と 二次 晶 と して 晶 出 す るSの
變 化 が殆 ど
同時 に行 はれ る.換 言 すれ ば,一 次 晶 と二 次 晶 との晶 出
Ⅵ.
熱
分
範 圍 が 非 常 に接 近 して ゐ る爲 で,爐 中冷 却 試 料 の 檢鏡 か
析
ら も初 晶 の 區別 が 園難 で あ る こ と か ら も,以 上 の 説 明が
前 述 の様 に 液 相 線 を求 め る と共 に,凝 固 後 の變 化 も測
正 しい と云 へ よ う. L+S〓
定 した. Al75%以
上 の 熱 分 析 結 果 は省 略 し, Al70∼
30%迄 の結 果 に 就 い て 考 察 し よ う. Al70%の
切 斷面
よ り認 め られ,合 金65-8の
の 熱 分 析 結 果 を第2圖
か ら現 はれ て,合 金65-8附
に 示 す.こ の 断 面 で は,凡 て初 晶
と して α を晶 出 し,初 晶 の晶 出 温 度 もMg側
て 降 下 し て ゐ る.合
金70-27で521°
に勾 配 を以
の 變 化 はCuAl2
な る.一 方446° のL〓
連 續 す る.第4圖
α+Tの
初 晶 の 晶 出 す る温 度 につ ら
α+T+β
のAl60%の
變 化 は 合 金65-23
の 變 化 は,合 金65-15
近 で 最 大 とな りMg側
の βに
切 断 面 で,初 晶 と して晶
出 す る相 は, CuAl2, S, T及 び β の4相 で あ る.合 金60-
の 晶 出 に依 る もの で, 495° の變 化 はSの 晶 出 に基 く.こ
36の 初 晶 の 晶 出 に基 く變 化 は 大 き い.初 晶 と して晶 出
の 變 化 は合 金70-25で
す るCuA12の
最 大 で 合 金70-17か
變 化 が 認 め られ る.こ の變 化 はL+S〓
共 晶 反 應 に依 る もの で合 金70-8で
ら463° の
α+Tの
三 元包
極 大 と な るか ら,略 々
この 組 成 附 近 に 包 共 晶 點 が 存 在 す る. 447° の變 化 は
*
腐 蝕 液 は0.5%硫
酸 銅 と5%硝
酸 の水 溶 液 .
面 とSを 初 晶 と して 晶 出 す る 液 面 との谷,
の 底 に相 當 す る か ら で あ る.こ れ よ り合 金60-15ま
は,何 れ も一 次 晶 にSを
して,合 金60-5に
晶 出 す るが 、合 金60-15を
及 ぶ 範 圍 の もの か ら,初 め てTを
で
鏡と
一次
晶 と して 晶 出 して 來 る.一 次 晶 と してSを 晶 出 す る場合
第11號 ヂ ュ ラ ル ミ ン の 基 礎 的 研 究(第1報)主
と し てA1-Cu-Mg系
の 熱 變 化 は 比 較 的 小 さ い. 460° の 變 化 は 合 金60-15附
でL+S+X〓L+α+Sに
近 で 最 大 で, 445° 前 後 の 變 化 は 合 金60-18よ
S+Tの3相
合 金60-5の
り認 め られ,
三 元 共 晶 點 に つ ら な る.第5圖
状 態 圖 541
變 化 し,最 後 の463° で α+
に變 化 す る.次 に 合 金50-13よ
變 化 が 認 め られ,こ の 變 化 はAl55%の
にAl55%
り435° の
切 斷 面 よ り認
め られ る こ と は 前 述 の 通 り で あ るが, Al-Mg系
の 切 斷 面 の 結 果 を 示 す.
合金 の
435° の 共 晶 變 化 の 延 長 に基 づ く もの で あ る.こ の 切 斷
面 で は,三 角 形Tβ
とが 判 る. Al45%の
第4圖
〓 Al60%切
Al55%切
先 づ 一 次 晶 と し て, CuAl2,
る.一 次 晶 と し てXが
+Tの
55-25に
の
Al50%切
斷 面 の熱 分 析
斷 面 の熱 分 析
S, X, T及
び γが 認 め られ
晶 出 す る の で あ る が, L+X〓S
第7圖
三 元 包 共 晶 反 應 を行 ひ 常 温 の 組 織 に は 残 ら ぬ.一
次 晶 と してSを
切 斷面 の熱 分 析 の結 果 は 第7圖
斷 面 の熱 分 析
第6圖
第5圖
γの 殆 ど頂 點 を通 る 線 で 切 斷 した こ
晶 出 す る 範 圍 は,合 金55-40か
及 び,こ れ よ りMg側
ら合 金
に進 み 合 金55-10(熱
の 結 果 は 省 略 す る)に 亘 り一 次 晶 と してXを
分析
晶 出 す る.
A145%切
斷 面 の熱 分 析
如 くで,分
一 次 晶 と して η,CuAl2, S, X, T及 び γ等 の6
相 が 晶 出 す る.合 金45-53で
し, L+η 〓CuA12の
は η を 一次 晶 と して 晶 出
二元 包 晶 反應 で,η は 完 全 にCuAl2
Sを 一 次 晶 と して 晶 出 す る 場 合 の 變 化 は 比 較 的 小 さ い に
に な る筈 で あ るが,顯 微 鏡 組 成 か ら判 る 様 に 反應 不 完 全
も拘 らず 合 金55-40,殊
の ηが 少量 残 つ て ゐ る.何 れ にせ よ572° の 變 化 は大 き
に 合 金55-25の
變 化 の 大 きい の
く包 晶 點 に 近 い こ とは 明 か で あ る.一 次 晶 と して のSの
は,面 の 境 に 相 當 す る か ら で あ る.
さ らに合 金55-5(熱
で,一次 晶 と してTを
分 析 の 結 果 は 省 略 す る)に 至 る ま
晶 出 範 圍 が減 少 し,逆にXの
晶 出 し,次 にMg側
益 々擴 大 され る.合 金45-42か
の γ を晶 出 す
一 次 晶 と しての 晶 出範 圍 が
ら合 金45-20に
至 る範
る.常 温 に至 る まで の 相 の 變 化 は,前 切 斷 面 の 熱 分 析 の
圍 の 合 金 の515° 附 近 の 熱 變 化 が 非 常 に 明 瞭 に な る.こ
結 果 と同様 で あ るが, 435° の 熱 變 化 が 認 め られ る.こ の
れ はL+X〓S+Tの
變化 に就 い てはA150%の
こ とが想 像 され る.即 ちS及 びTの
ときに譲 る.却 説, Al50%の
切 斷面の熱分析結果の説 明の
二つ の 化合 物の生
6圖 の如 くで,一 次 晶 と して晶 出 す る 相 は, CuA12, S, X,
成 組 成 範 圍 に接 近 して ゐ る こ とを意 味 す る もの で あ る.
435° の β とγ との共 晶變 化 に關 係 す る 變 化 は消 失 して
T及 び γ等 で あ るが, Xの
來 るの は當 然 で,γ 固 溶 體 の 範 圍 に移 動 す るた め で あ る.
ば合金50-31の
切 斷 面 の熱 分 析 の 結 果 は第
反應 の最 大 點 に近 い切 斷 面 で あ る
晶 出範 圍 が 擴 大 され る.例 へ
結 果 で,先 づ 一 次 晶 と してXを
522°でL+X〓L+S+Xの
晶 出 し,
包 共 晶 反 應 を行 ひ, 490°
第8圖
にA140%の
切 斷 面 の 熱 分 析結 果 を 示 す.
この 切 斷 面 で は, S及 びTの
化合 物 の 生 成 範 圍 を超 え
542 研
て,常 温 の 組 織 に もXの
存 在 が 認 め ら れ て 來 る.一
と し て 晶 出 す る も の は,η, X, T及
40-54の570°
究 の 變 化 は, L+X〓
び γの4相
κ+CuA12の
晶 に 基 き 新 しい 化 合 物 κ の 生 成 を 示 す
次晶
で,合
金
三元包共
第6巻
包 共 晶 反 應 に 依 る もの で あ る. Xの 晶 出 範 圍は 益 々擴 大
す る と共 に,液 相線 の 温度 も上 昇 し,不明 の熱 變 化 であ る
-425°の 反應 も擴 大 して來 る .ε を 一次 晶 と して正 に晶出
又 從 來 の465°
し よ う と す る境
で あ る こ と も判
る.第10圖
は
A130%の
面 で,一
切斷
次 晶と
して, δ,X及
び
ε等 が 晶 出 す る.
合 金30-62の
熱 分 析 結 果 を見
る に, 656° の 變
化 は 著 し く大 き
く,こ れ は δの
初 晶 面 とXの 初
第8圖
A140%切
晶 面 の交 る點 に
斷 面 の 熱分 析
相 當 す るか らで
のL+S+α
〓 α+S+Tの
變 化 は, 475° のL+S+X〓
X+S+Tの
變 化 に移 動 し,温 度 の 差 は 僅 か に10。 内 外
あ る. 575° の變
化 は κの 生 成 に
で あ る.こ の變 化 は 二 つ の3相 の 三角 が 合 して異 つ た 別
れ 方 をす る一 例 で ある.本 切 斷 面 で新 し く現 はれ る425°
基 き,檢 鏡 に 依
第10圖
A130%切
斷 面 の熱 分 析
の 變 化 は相 の 變 化 を件 はぬ熱 變 化 で,今 の 處 充 分 な説 明
は 完全 κの 單 相 で あ る.合
を な し得 な い.第9圖
變 化 は, Al-Mg系
のAl35%の
切 斷 面 で は,一 次 晶
る と との合 金で
金30-35に
合 金 のMg60%以
現 はれ る435° の
上 の 成 分 範 圍 に認
め られ る共 晶 變 化 に連 續 す る もの で,こ の外A155%の
切 斷 面 よ り認 め られ たXは,
A125∼20%の
切 斷面 よ り
熔 體 よ り直 ち に 晶 出 す る三 元 化 合 物 で,こ の こ とに就い
て 後述 す る.
Ⅶ.
Al65%以
顯 徽 鏡 組 織
上 の 組 織 は 何 れ も α,CuA12,
S, T及
び β等
の 各 相 よ りな り,且 つ 實 用 合 金 範 圍 の 組 織 は α,CuAl2
及 びSの3相
65%以
が 共 存 す る.本
實 驗 で は,更 に 進 ん でAl
下 の 組 織 に 就 い て 論 明 を 加 へ た い.
(1)
65%切
寫 眞6は
斷面 の組 織
一 次 晶 と して, α とCuA12を
同時 に 晶 出 した
様 に 見 え,切 斷 状 態 圖 に於 て は, CuA12が
さ き に晶 出 した
もの と取扱 つ て 置 いた. α もCuA12も.白 色 に見 え るが 多
少青 味 を帯 び た 多 角 形 の 結 晶 がCuA12で,腐
蝕 前 は微青
色 を呈 して ゐ る.地 は 三 元 共 晶 組 織 でSは 褐 色 で あ る.
寫 眞7は
第9圃
Al35%切
と して 晶 出 す る もの は δ,X及
してTの
斷 面 の熱 分 析
び γの3相 で,一 次 晶 と
晶 出 は こ の切 斷 面 よ り消 失 す る.合 金35-60
の 熱 分 析 結 果 で, Al40%切
斷 面 の 反 應 温 度 よ り幾 分 低
い が, 565° の大 きい 變 化 は, L+X〓
κ+CuA12の
一 次 晶 と して 白色 の α を晶 出 し,この 組 成 の合
金 に はCuAl2は
三元
びSの
存 在 しな い.地
は 二 次 晶 と して の α及
共 晶組 織 で,一 次 晶 と して αは 減 少 し て ゐ るの は
切 斷 状 態 圖 と良 く一 致 す る.寫 眞8は
と して晶 出 し,中 間 色 はSで
白 色 の αを 一次 晶
あ る. Sが 一 次 晶 の如 く見
え る の は,熱 分 析 の結 果 の 考 察 の 場 合 に述 べ た様 に一次
第11號 ヂ ュラル ミソ の基 礎 的研 究(第1報)主
と してAI-Cu-Mg系
状態 圖 543
晶 と二次 晶 との 晶 出 範 圍 が 非 常 に接近 して ゐ るた め で あ
完全 に進 行 した た め と も想 は れ るが, L+X〓S+Tの
る.黒 色 部 分 はTで,三
反應 は比 較 的 迅 速 に行 はれ る様 に も考 へ て ゐ る.寫 眞19
元 共 晶 組 織 に共 存 し, Sよ り も
に於 て黒 色 の 一次 晶 はTで,地
は βで あ る.こ の組 成 範
圍 か らTの 特 徴 あ る 形 状 が や ゝ明瞭 に現 は れ,寫 眞20
で そ の形 状 な 益 々明 瞭 に な る.即 ち 多 角 形 の 一 次 晶 はT
で,地 はT+β+γ
(0.5%硫
の 三 元 共 晶 組 織 で ある.同 一腐 蝕 液
酸 銅+3%硝
のMg46.2%の
酸 水 溶 液)に 依 るAl-Mg系
組 織 は寫 眞21の
は γ・
で あ る.從 つ て寫 眞20の
合金
如 くで,白 色 は β1黒色
組織 中で,多 角 形 を 示 さぬ
中間 色 は β で,黒 色 の部 分 は γで あ る.
(4)
寫眞6合
寫眞7合
金65-30
爐中冷却 第 二鹽化鐵 ×200 爐 中冷却
腐 蝕 され 易 い特 徴 が あ る.寫 眞9は
金65-25
第 二鹽 化鐡 ×200
一 次 晶 と し白 色 α,
中間色 の廣 い部 分 は β,黒色 部 分 はTで
あ る.β 中の 微
60%の
寫眞10は
CuAl2で,地
斷 面 の 組織
白色 多 角形 の 相 は 一 次 晶 と し て 晶 出 した
の 細 い 組 織 は α+CuAl2+Sの
三 元 共晶組
織 で あ る.寫 眞23の 一 次 晶 の 黒 色 はSで,地 は 二 次 晶
の α+Sで あ る.寫 眞24の 多 角形 の 黒 色 の 相 はTで,
このTの
細 な粒状 組 成 は 二次 の αで あ る.
(2)
50%切
寫 眞22の
形 状 は 典 型 的 な もの で あ る.明 か に α とTの
2相 で あ るが,黒 色部 分 の 中心部 に不 明 瞭 なが ら,包 晶 反
切 斷面 の組 織
一 次 晶 と して 褐 色 のCuAl2を
晶 出 し,二 次
晶 と して 白色 の αが認 め られ,黒 色 に 着 色 したSは
三元
共晶組 織 中 に 存 在 す る.硝 酸 水 溶 液 で 腐 蝕 した 爲 に,
CuAl2は 褐 色 に着 色 され て ゐ る.寫 眞11は 黒 色Sを 一
次 晶 と して 晶 出 し,二次 晶 と して の 白 色 αは 幾 分 大 き く
現はれ る が,Sが 一 次 晶 と して晶 出 した もの と考 へれ られ
應 の未 反 應 の 部 分 が 残 され て ゐ る様 に見 える.こ れ を寫
眞20の
一次 晶 と して晶 出 したTと
認 め られ う に過 ぎ な い.
(5)
45%1切
寫 眞25は
斷 面 の組 織
一 次 晶 と して 白 色 の ηを晶 出 し,地 はCuAl2
る.地 は三次 晶 と して晶 出 した α とSで あ る.寫 眞12で
一次晶 と して 中間 色 のSが 晶 出 し,二 次 晶 は 白色 の αで
で,殆 ん どCuA12の
地 は α+S+Tの
られ る.地 は αで 殆 どSの
三 元 共 晶組 織 で あ る.寫 眞13で
α と多角形 或 は針 状 の 黒色 のTが
白色 の
み の組 織 に近 い.寫 眞26に
次 晶 は 黒 色 のSで,こ
包 晶 反應 で 生 じ た 點 が 認 め
組 成 に 近 い こ とが 判 る.寫
S, T及 び αの4相
が 共 存 す る.漢 字 状 の 白
に僅か に認 め られ る薄 黒 色 の部 分 は,一 次 晶 と して 晶 出
Xを 包 んで 黒 色 多 角 形 の
したSの 残 つた もの で,包 晶 反 應 の 充分 進 行 し得 な かつ
Tが 認 め られ る.さ
た もの と解決 され る.寫 眞14は
し,地 の 白 色 は αで,こ の 組 織 か ら凝 固 過 程 中の 變 化 が 良
多角 形 の 黒 色Tを
一次
の 三元 共 晶 組織 で,こ の
切 斷面 よ りTを 一 次 晶 と して 晶 出 して來 る.寫 眞15は
一次晶 と して 白 色 の β を晶 出 し,二次 晶 と し て 白色 α と
眞27はX,
のSも
於 て一
色 の 相 は一 次 晶 と して のXで,
晶 と して晶 出 し,地 は α+T+β
認 め られ る.白 色 α中
比 較 す る に,殆 ど 區
別 が つ け難 く,腐 蝕 液 の 相違 に基 く着 色 の 程 度 の 差異 が
らにTを
圍 続 して 黒 色 のSが
存在
く了解 出 來 る.
(6)
40%切
寫 眞28の
斷面 の組 織
白 色 針 状 の 一 次 晶 は η,黒 色 の 地 に2相
が共
黒 色Tが 認 め られ る.二 次 晶 と して 品 出 した αは 少 く.
存 し,薄 墨 色 はCuA12,黒
α+T+β
何 れ の 相 よ り も腐 蝕 され 易 く,大 日 方 博 士 等(7)の 不 明 の
とT+β
の 溶 解 度 曲線 に 近 い組 成 の 合 金 で あ
る.
(3)
相 に 相 當 す る.寫
55%の
の2相
切 斷面 の組 織
眞29は
30の
一次 晶 と して晶 出 して,地 は α とSの2相 で あ るが,二 次
晶 と して の αが 寫 眞11の 場 合 に較 べ て 微 細 化 して ゐ る.
あ る が, κ はCuA12よ
この原 因 は液 相 面 と二次 晶 の 晶 出 面 と の 間 の 間 隔 に 依
CuA12の2相
る もの と考 へ られ る.寫 眞18は
眞31は
中間 色S及 び 黒 色Tの3相
の合金 か ら一 次 晶 と してXを
が 共 存 す る.こ の 組 成 附 近
晶 出 す る の で あ るが, Xは
認 め られ ぬ,勿 論 燒 鈍 試 料 で あ るた め に,包 共 晶 反 應 が
よ り燒 入 れ した 組 織 は 寫 眞
如 く で,甚 だ 識 別 が 容 易 に な る.こ
分 は κ,白 い 部 分 はCuAl2で
も の で あ る.燒
の κは
腐 蝕 さ れ 易 い κ とCuA12と
で あ る が,こ れ を530°
寫眞16の 樹 枝 状 のGW色 は 一 次 晶 と して のSで,地 は
二次 晶 の α,CuAl2及 びSで あ る.寫 眞17に 於 て もSが
燒 鈍 した 組 織 で 白色 α,
い 部 分 は κ で あ る.こ
あ る.硝
の 組織 で 黒 い部
酸 水溶 液 の腐 蝕 で
り も 腐 蝕 さ れ 易 く黒 色 に 着 色 す る
入 れ 組 織 か ら も,こ の 組 成 の 合 金 は,κ と
よ り な る こ とが 論 明 出 來 る わ け で あ る.寫
完 全 に 燒 鈍 し た 試 料 の 組 織 で,白 色 はCuA12,薄
墨 色 はS,黒
色 は κ で あ る.硫
酸 水 溶 液 で も,何 れ の 相
よ り も 腐 蝕 され 易 い 例 で あ る と 共 に,κ の 量 が 少 な く,κ
の 生 成 範 圍 よ り遠 ざ か る こ と を 表 は し て ゐ る.寫
眞32
544 研
寫眞8
合 金65-20
爐 中 冷 却 第 二 鹽 化鐵 ×200
寫 眞12
合 金60-20
爐 中冷 却 第 二 鹽 化 鐵 ×200
寫 眞16
合 金55-39
鑄造 硝 酸
×130
寫 眞20
合 金55-5
爐 中冷 却 硫 酸 銅+硝 酸 ×130
究 寫 眞9
合金65-4
爐 中 冷却 第 二 鹽 化 鐵 ×200
寫 眞13
合 金60-15
爐 中 冷却 第 二 鹽 化鐵
×200
寫 眞17
爐 中冷 却
合 金55-34
硝酸
×130
寫 眞21
A1-Mg合
燒 鈍 硫 酸 銅+硝 酸
金
×130
寫 眞10
爐中冷却
合 金60-36
硝酸
×130
寫眞14
合 金60-10
爐 中冷 却 第 二鹽 化 鐵
×200
寫 眞18
合 金55-23
燒鈍 第二鹽化鐵
×130
寫 眞22
合 金50-48
爐 中冷 却 第 二 鹽 化 鐵 ×130
第6巻
寫 眞11
爐中冷却
合 金60-30
硝酸
×130
寫 眞15
合 金60-5
爐 中 冷 却 第 二 鹽 化鐵
×200
寫 眞19
合 金55-10
鑄 造 第 二 鹽 化鐡
×130
寫 眞23
爐 中冷 却
合 金50-39
硝酸
×130
第11號 ヂ ュラル ミ ンの基 礎 的研 究(第1報)主
と してAl-Cu一Mg系
寫 眞24 合 金50-20
爐 中冷却 第 二鹽 化 鐵 ×100
寫 眞25 合 金45-53
鑄造 硝 酸
×130
寫 眞26
合 金45-43
爐中冷却 硝酸
×130
寫 眞28
合 金40-58
鑄造 硝 酸
×130
寫 眞29
合 金40-55
鑄造 硝酸
×130
寫 眞32
合 金40-45
鑄造 硝酸
×130
寫眞36
合 金35-49
燒鈍 第二鹽化鐵
×100
寫 眞33
爐 中冷 却
合 金40-35
弗酸
×200
寫 眞37
合 金35-39
燒 鈍 第 二鹽 化 鐵 ×100
530°
寫 眞30
合 金40-55
よ り燒 入 れ 硝 酸
状 態 圖 ×130
寫 眞34
合 金35-53
燒 鈍 苛 性 ソ ー ダ,第 二鹽 化鐡
×200
寫 眞38
合 金30-36
爐 中冷 却 第 二鹽 化鐵
×100
545
寫 眞27
合 金45-30
鑄造 硝酸
×130
寫 眞31
合 金40-48
燒 鈍 硫酸
×130
寫 眞35
合 金35-50
燒 鈍 苛 性 ソ ー ダ,第 ご 鹽 化 鐵
×200
寫 眞39
合 金30-65
鑄造 硝酸
×130
546 研
究 第6巻
と白色 のXが
寫 眞42の
存 在 してゐ る.
着 色 した 相 はSで,
白色 のXと
の 殆 ど2相 であ
つ て,こ の 組 織 か ら もS化 合
物 とX化
合 物 と を 結 ぶ線上
に あ る ことが 推 定 され る.
以 上 各切 斷 面 の組 織 に就 い
て 論 明 した が,著 者 の 研 究 範
寫 眞40
合 金30-60
鑄造 硝酸
×130
で 白 色漢 字 状 の 相 はXで,一
寫 眞41
合 金30-55
燒鈍 硝酸
×130
次 晶 と して 晶 出 し,地 はS
でX+Sの2相
で あ る.寫 眞33は 爐 中冷 却 した もの で,
一 次 晶 と してXを 晶 出 し,地 はX+S+Tの
三元共晶組
腐 蝕 され ない.然
α, CuA12,
η,d, S, T, X, κ,β,
γ及 び ε等 で あ る.こ れ 等 各 相 の 特 徴 を総 括 す る と第3
表 の如 くで あ る.
第3表
織 であ る.腐 蝕 液 は 弗 酸 水 溶 液 で あ る
が, Xは
圍 で 認 め られ る 固 體 の 相 は,.
寫 眞42
合 金30-50
燒 鈍 第 二 鹽 化鐵
×130
各 相
の 特
徴
しなが らSと
Tと の區 別が 明瞭 を缺 く様 で あ る.
(7)
35%切
寫 眞34は
斷面 の組 織
燒 鈍 試 料 の 組織 で,先 づ 苛 性
ソ ー ダの 水 溶 液 で 腐 蝕 す る と κの み が
腐 蝕 され,次 に 第 二 鹽 化 鐵 の 鹽 酸 水 溶 液
で 二 重 の 腐 蝕 を行 ふ と先 に 腐 蝕 され た κ
は 益 々 濃 く着 色 され る. Sは 例 の 如 く薄
墨 色 に着 色 され て3相 の 存 在 が 認 め られ
て來 る.白 色 はX,薄
墨 色 の針 状 組織 は
S,黒 色 の 部 分 は κで あ る.寫 眞35も
前 同様 に 二 重 の腐 蝕 を 行 つ た もの で,少
量 の 黒 色 部 分 は κ,薄墨 色 はS,残
色 の 地 はXで,明
く
瞭 に3相
りの 白
の 區 別 がつ
この組 織 か ら判 る様 にX+Sの2相
の 溶 解 度 曲 線 に近 く,丁 度X+Sの2相
の 組 織 は 寫 眞36で
はSで,白
あ る.針 状 の薄 墨 色
色 の 地 はXで,三
於 て, S化 合 物 とX化
Ⅷ.
元 状 態 圖 の 常 温 の 組織 に
合 物 と を結 ぶ 線 上 の 組 成 に 相當 し,
晶 出 物 の 量的 關係 に 於 て も良 く一 致 す る様 で あ る.寫 眞
切 斷 状 態 圖
切 斷 状 態 圖 を第12∼33圖
に示 す
第11圖
は切斷個
所 を示 す もの で あ る.
37に 認 め られ る黒 色 の 相 は κで な く,そ の 形 状 は 多 角
形 でTと
あ る.寫 眞38の
の2相
(8)
Ⅸ.
考 へ て ゐ る.薄 墨 色 はS,地 の 白 色部 分 はXで
一 次 晶 はX,黒
色 の 部 分 はTで,
常温 に於 け る組織 圖
主 と し て 爐 中 冷 却 し た も の ゝ組 織 を 檢 し て 第34圖
X+T
の組 織 を 示 す もの で あ る.
示 す 様 な 組 織 圖 を 得 た. Al50%以
30%切
西 村 博 士(6)の結 果 と 略 々同 様 で あ る.常
寫 眞39に
斷 面 の 組織
α, CuA12,η,
於 て 白色 は 一次 晶 と して 晶 出 した δ とL+
δ〓 η の 反 應 で生 じた η とか らな るの で あ るが, Al-Cu
顯 微 鏡 的 特 徴 は 前 述 の 通 りで あ る. Al-Cu系
る 範 圍 に 於 て は, α とCuA12及
と しないい
が,晶 出 の 形 状 か ら大 體 の 區 別 は 可 能 で あ る,
狭 い 範 圍 で, α+CuAl2及
地 の 黒 色 の 部 分 は κで あ る.寫 眞40は
CuAl2及
に 近 い 組 織 で,白 色 の 部 分 は ηで あ る.寫 眞41の
結
晶粒 界 の比 較 的 明 瞭 な黒 色 の 相 は κで,地 は 着 色 したS
温 で 安 定 な相 は,
S, K, T, X, β,γ 及 び ε等 で,こ れ 等 各 粗 の
系 合 金 の 組 織 の 處 で 述 べ た 様 に δと η との 區 別 は 判 然
殆 ど κ化 合 物
びSを
共 存 す る.こ
(6)
前
出
に
上 の 範 圍 に 於 ては,
びCuA12と
びCuAl2+η
合 金 に接 す
η と を結 ぶ
の 相 が 存 在 し,α,
結 ぶ 三 角 形 内 は α+CuA12+Sの3相
れ よ りMgに
が
富 む 側 に α, S, T, β 及 び γ等
第11號 ヂ ュ ラ ル ミン の 薬 礎 的 研 究(第1報)主
第11圖
切斷個所 を示す圖
第14圖
第16圖
A180%
A170%
第12圖
と し てAl-Cu-Mg系
状 態 圖 547
第13圖
A195%
第15圖
第17圖
A175%
Al65%
A190%
548 研
究 第6巻
第18圖
A160%
第19圖
Al55%
第20圖
Al50%
第21圖
Al45%
第22圖
Al40%
第24圖
Al30%
第23圖
第25圖
Al35%
切
斷
面(1)
第ll號 ヂ ュ ラ ル ミ ン の 基 礎 的 研 究(第1報)主
と し てAl-Cu-Mg系
第26圖
切
斷
面(2)
第27圖
切
斷
面(3)
第29圖
切
斷
面(5)
第30圖
切
斷
面(6)
第32圖
切
斷
549
第28圖
切
第31圖
第33圖
面(8)
状 態 圖 切
斷
切
は3相
+T, α+T, α+T+β,
金 に 接 近 した 範 圍 に 及 ぶ と,Al-Cu系
β+γ+T及
び γ+T等
で
ある.以 上 の各 相 中ヂ ュラル ミンの 組 成 範 圍 で認 め られ
る相は, α,CuA12及 びSの3相
これ等 の 化合 物 がS双
びT化
面(7)
合
合 金 側 と 同様 に
α+β, β, β+γ, γ 及 び γ+ε の 各 相 が 認 め ら れ る.
Ⅹ. 液 相 面 の 形 状 と 初 晶 等 温 線
存 在 し,
合 物 と組 合 され て, 2相 或
斷
の 複 雜 な 共 存 範 圍 を 示 す こ と が 判 る. Al-Mg系
に 限 られ る. S化 合 物 の
晶出範 圍 を超 え る と,二 つ の 化 合 物 κ及 びXが
面(4)
面(9)
を三角 形 の頂 貼 と す る各 種 三 角 形 内 の 組織 はα+S, α+S
β+T,
斷
第35圖
は 液 相 面 の形 状 と初 晶 等 温 線 を示 す.初 晶 と
550 研
し て 晶 出 す る も の は α,CuA12,
究 η,δ,X, S, T, β, γ 及 び,
εの 各 相 で, α〓を初 晶 と し て 晶 出 す る液 面 はCJklgを
ぶ 谷 で 終 了 し,温 度 の 勾 配 もA1側
結
よ りこの 谷 に 向つ て降
第6巻
包 共 晶 反應 を な し,さ らに 點nで
め で あ る.Sの
三元 共 晶 反 應 をな す も
初 晶 面 はpJkqで,點kに
於 て 三 元 包共
晶 反應 をな して1點 に向 つ て 降 下 し,kgnlの 範 圍 はTを
例 晶 とす る 液 面 で,點1に 於 てAl-Mg
相
系 側 の 共 晶 點 とつ ら な り三元 共 晶反應
を以 て終 了 す る. lghm及
何 れ もAl-Mg系
びmnihは
側 の β及 び γの 初 晶
面 で あ る.
ⅩⅠ. 化 合 物 の 種 類 と結 晶構 造
著 者 の 實 驗 範 圍 に 於 て 認 め られ る化
合 物 は, S, T, κ及 びXの4種
で,そ の 中
S化 合 物 の 結 晶 構 造 は 大 日方 博 士(7)の
研 究 に 依 り,組 成 と して はAl5Cu2Mg2
で,こ の 相 の 格 子 常 数 のα=5.71±0.04
A,
c/a=1.39の
正 方 晶 に 屬 し,そ の
單 位 胞 中 に は18個
第34圖
常温 に 於 け る等 温 斷 面
の 原 子,即 ちA15
Cu2Mg2の2分
子 が 含 まれ る 結 果 を得
て ゐ る.著
者 も 同 様 な結 果 を 得 た ので
S化 合 物 の 結 晶 構 造 は 大 日 方 博 士(7)の
結 果 に 從 ふ.次
た.尚T化
に κ,X及
びTの
結 晶 構 造 を 調 べて見
合 物 は 目 下 検 討 中で 第2報
に於 て發 表の豫
定 で あ る.試 料 は鋳 造 後 槍 鏡 に依 り化 合 物 の組 成 に近 い
も の 數 種 を 選 び,こ れ を350° 附 近 で約1ケ
中冷 却 後粉 末 に して 後 方 反 射 法 でX線
使 用X線
はFeのKa特
月焼 鈍 櫨
分 析 を行 つた.1
性 線 で, Kβ 線 はMnを
用ひ て
濾 過 した.
K化
合物:こ
残 りA1で
の 分 析 結 果 はCu60.46%,
殆 ど 單 一 相 に 近 く,寫 眞43は
寫 眞43
粉 末 寫 眞 で あ る.計
密 度 を5'10と
下 し,且つA1-Cu系
液相面 の形状 と初晶等温線
側 よ りAl-Mg系
側 に降 下 す る.CJklg
28'24で,
A12Cu3Mg2の
分 子 數 は4分
側 に 進 み,前 者
0.020A,
c/a=1.10な
範 圍 で はCuAl2
Cu3Mg2で
あ る.
で 三 元 共 晶 反應 を行 ふ. cdpJの
を初 晶 と して 晶 出 し, δを初 晶 とす る液 面 はeoprの
で,初 晶 と して の η はdoeで
算 の 結 果 は 第4表
範圍
晶 出 し,點oで 三 元 包 共 晶
X化 合物:こ
子 で あ る.從
の 如 く で,結 晶 の
に 求 め た 格 子 常 数 か ら,
の範 圍 で初 晶 と して 晶 出 す る化 合 物 で あ る.寫 眞44及
び45は,こ
於 て再び三元
つ て κ 化 合 物 はa=7.05±
の化 合 物 は 著 者 の 状態 圖 に 於 て はrpqni
判 る様 に 固溶 範 圍が あ る.
三 元 包 共 晶 反 應 を行 ひ,一 方
な り共,礎體 内
る 正 方 晶 系 に 屬 し,そ の 組 成 はA12
の 廣 い領 域 に 及 び,點pで
向 ひ,他 方 は點qに 進 む.點qに
物
平 均 原 子 量41.9と
反 應 を な して點pに 至 る. Xを 初 晶 とす る液 面 は, rpgni
は 點Jに
合
これ の
この 結 晶 の 單 位 胞 中 に 含 ま れ る 原 子 数 を 計算 す る と
を分 岐 鮎 と してA1-Cu系
はJ點
κ 化
推 定 し て,第4表
の谷 のJに 近 接 した 虚 に温 度 の 高 い 塵 が あ つ て,こ の 點
側 とA1-Mg系
9.57%,
多 少 固 溶 範 圍 の あ る こ とが 認 め られ る.こ の
組 織 は 寫 眞40で
第35圖
Mg
(7) 前
の 化 合物 の組 織 で 軍 相 よ りな る.組 成 よ り
出
第11號 ヂ ュ ラ ル ミ ン の 基 礎 的 研 究(第1報)主
計算 の結 果 は第5表
と し てAl-Cu-Mg系
状 態 圖 551
第5表
の 如 くで,こ の 結 晶 の 密 度 を4.39
と推 定 して,第5表 に求 め た格 子常 數 か ら,こ の 結 晶 の 單
位 胞 中に含 まれ る原 子 數 を計算 す る と30.67で,
Al4Cu5
第4表
寫眞46
ⅩⅠⅠ. 總
X化
合 状
合
態
物
圖
以 上 の 實 驗結 果 よ り得 た 結 果 を 総 合 して 第36圖
に示
す様 な状 態 圖 を得 た.定 性 的 な部分 もあ る と 想 ふ が,現
在 使 用 され て ゐ る本 系 合 金 の 状 態 圖 と して は相 當 の 精 度
を持 つ て ゐ る と信 ず る.本 系 状 態 圖 に於 て 認 め られ る不
變 點 及 び 一變 系 の 曲線 を総 括 すれ ば 第6, 7表 の 如 くで
あ る.
第6表
寫 眞44
Cu53.78%,
Mg23.94%,
爐 中冷却
A1残
硝酸
寫 眞45
り
×130
Cu55.69%,
Mg27.06%,
爐 中 冷却
Al残
硝酸
り
×130
Mgeの 平均 原 子 量39.4と
である.從 つ てX化
な り,礎 體 内 分 子 數 は2分 子
合 物 はa=8.22±0.011A,
c/a=
0.80な る正 方 晶 系 に屬 し,そ の 組 成 はAl4Cu5Mg6で
る.こ の もの ゝ粉 末 寫 眞 は寫 眞46で
あ
あ る. κ化 合 物 と
X化 合物 の顯 微 鏡 的 識 別 は,顯 微 鏡 組 織 の 處 で述 べ た様
に,前 は非常 に 腐 蝕 され 易 い特 徴 が あ り,比較 的區 別 が 容
易 であ るが,後 者 は 仲 々腐 蝕 され 難 い.
不 變 點
552 研
第36圖
第7表
究 總
合
状
態
第6巻
圖
一 變系の曲線
ⅩIII.
總
括
以 上 の 實 驗 結 果 を總 括 す る と次 の様 で あ る.
(1) 主 と して熱 分 析 及 び 顯 微鏡 試 驗 に 依 て, Al30%
以 上 の 斷 面 に亘 る詳 細 な實 驗 を 行 ひ,種 々 の切 斷 状態圖
よ り總 合 状 態 圖 を構 成 し,本 系 状 態 圖 に 生 ず る 種 々の反
應 を明 らか に した.
第11號 (2)
Al-Sb-Sn三
元 系 状 態 圖 に 就 い て 著 者 の 實 驗 範 圍 で 存 在 す る 化 合 物 は 四 つ で,從 來
の 研 究 に 依 るS及
び 丁 化 合 物 の 外 に,κ 及 びXの
明 ら か に した. κ 及 びX化
及 びAl4Cu5Mg6に
存在 を
合 物 の 組 域 は 略 々A12Cu3Mg2
相 當 す る.
(3) 本 系 に は 第6表
に 示 し た 如 き不 變 點 の 反 應 が
553
あ る.
終 りに種 々有 益 な御 教 示 と激 勵 を賜 はつ た 大 日方博 士
及 び 故 山 口博 士 に 深謝 す る と共 に,實 驗 中熱 心 に 援 助 さ
れ た 山田 勇 君 に深 謝 す る.併 てX線
分 析 に 努 力 され た
中西 雄 三 君 に 感 謝 す る次 第 で あ る. (研6第28號)