ワー 卵 日本機械学会論文集(A編) 論文N0.0F0078 70巻卵1号(2004-3) ハイドロフォーミング用電縫鋼管の張出し変形特性に関する研究* (蓋なし円管の自由パルジ加工) 鈴木孝司゛レヒ井清史*2,豊田俊介 森 孝男*3,于 強竺白鳥正樹 *2 *4 A Study on Deformation Behavi6r of Electrjc Resistance W'elded Tuhes for Tube Hydroforming (Open-ended Free Bulging Process) KojiS UZUKI*s,Kiyoshi UWAI, Shunsuke TOYODA, TakaoM ORI, Qiang YU alldMasaki SHIRATORI “Materials&Processing Rese;,rch Cellter. JFENIくi,Crn-lx,1-;11i。I ■■㎜㎜■w㎜■㎜■--㎜㎜㎜-■■--・-㎜■琴¶"`■'■■■■-■■-■■■■■-■■d㎜■㎜㎜㎜㎜■■㎜-■・■■』'`¨`'---・-'l ] I The merits Millan!iwatarida-ch,1.Kau・・asaki of the lube to the closed-section or pressed prefnrm the mi(ldle applying bu】gef(lrming under tube the conditjon 瓦ey the weight prcces, free bulging jn tube rdudioll 卯rts.The and lhe hi凶riRidi↑ydue mother in llrder to nlake tubes. of Electric sllape of in tlleinitiahlnd process, is thougllt to be iml]nl'tant in the houndary This tube is bel]t lllld/ the mmljk・x def,・1rm;ilhm. wMch司lpears hydl-oforming pl・ecess. A11d of dosed-end of free bulging the ana]ytical the viewpoint to the THF Kn11;ig;lwa,割nイls55JH11n11 automotive of the THF process, The shi, c,.)11diti()n(lf t hc tube to be the colldition of npell'-elld tulys. bllt l・11allyexpel-iments deformati自nbe]lavior sh[lws process ぐorTHF'】al-e hvdrorormed of the hllliging defnrmation the mothel・ pr(lcess is thoughi executed hydrnfnrming structure []f tube in the l)reforming before ku,Kaヽヽ・asaki ill fm-mer el・ldi11THF studics are repol・t sh(,ws lhe exDcl・ime111.a11・eR)lt.s Resistellce NVelded Tubes wil,h r,pell cnds 「111e alld alsn resul↑s of the infillence nf stress ratin at thc cellte?・nf frce bulgingshal〕e「r()m of THF. lFor【js : Free Bulging, Hydroformjng,Atllnmobi】e,Hllckli11R,Numel'ical AIlalysis 究が多い.近年ではTHF技術に関連する自由バルジ 1.緒 晋 加工の研究尚∼ooが増えつつあるが,THFに関連 最近の自動車部品は軽量化・高剛性化のために閉断 して考慮すべき点は,①比較的高強度の電縫鋼管が使 面構造が採用され,省資源化・低コスト化を達成する 用されること,②THFの金型構造により端部が流入す 新しい加工法として,管材のハイドロフォーミング技 る蓋なし円管の液圧成形であること,③内圧ほぼ一定 術(Tube Hydrofomling,以下THF)が注目されている 時に軸押込みを行う負荷経路を含むこと,の3点てあ 川.この成形技術は,複雑な曲げや金型による圧下を る.このような観点から,THFに適用される電縫鋼管 加える予成形,高波圧で製品形状断面に成形する波圧 の張出し特性を明らかにすることが重要であり,本研 成形,更に波圧成形型内のダイレス穴抜きを複合化し. 究では,次の3点を研究目的とする. 3次元的な曲がりと異形断面形状を持つ複雑な閉断面 巾 薔無し円管の自由バルジ加工による,THF用電磁 構造部材の一体成形を可能にする.自由バルジ変形は, 鋼管の張出し変形特性の解明 THFの波圧成形における初期変形および局所張出し変 (2)(0の自由バルジ加工をシミュレートするFEM解 形に対応し,素管の自由バルジ特性を把握することが 析モデルの構築とその適用性検討 重要と考えられる.自由バルジ加工に團する従来の研 (3)(2)の解析モデルを用いた円管の自由張出し変形 究(2o(7)では,低強度のアルミニウムや銅管を用 に及ぼす材料特性の影響に関する検討 い,端部を蓋付きとする円管の実験的または解析的研 2.自由バルジ加工実験方法と実験条件 ‘原稿受付 2003年1月23日. '1正貝,横浜国立大学大学院工学研究科,JFE H本鋼管(株i (愚21n(1855川崎市南渡田町│-1). ゛゜jFE-r1本鋼管(株l, “正員,富山県立大字工学郎(●939 0398 富山県射水郡小杉 町黒河5180). “正純,横浜国立大学大学院工学研究院(●2411 S5C1 横浜雨 保土ケ谷区常盤台79-5). 本研究では,THFの境界条件である蓋なし円管に, 公称応力の応力比を用いて内圧と軸押込みを同時に負 荷する自由バルジ加工実験を行い,変形形状,破断時 の肉厚分布及び限界張出し率について検討する. 図1に実験に用いた液圧バルジ成形機及び試験用素 一 E-mail: kGj-suzllki価jfe一一steel.co,jp 159− 訃8 ハイドロフォ・-ミンク用電縫鋼管の張出し変形特性に屍する研究 管と端部に挿入される心金の位置関係を示す.成形時 α,:公称応力比,ら,。:軸方向応力, には管の両端に装入された心金に背圧がかかり,蓋な fysj,:周方向応力,MZ:軸圧縮力(但しIF≦0), し円管の自由バルジ加工となる.軸圧縮力を負荷しな ρ,:素管の肉厚中央半径.p:内圧,r:肉厚 い軸押しシリンダ固定の条件では張出し変形により素 3,電縫鋼管の自由バルジ変形特性 管端部が張出し部に流入するが,軸圧縮力が負荷され る場合は軸押込みに応じて材料が押込まれ,THFの境 3.1 負荷経路の検討 公称応力比ら..0.5で自由 界条件に一致する.供試材の機械的性質を表1に,実 バルジ加工を行った内圧と軸押込みの負荷経路を図2 験条件を表2に示す.素管材質はJlssTKMnA(表 に示す.素材の強度に応じてほぼ一定圧で軸押込みか 1のNo.B)とぞれよりも高強度(D)の冷間ロール成 行われており,THFの軸押込み工程を本実験方法で簡 形されたままの電縫鋼管(以下as rol1材)とそれらの 便に再現することができる. 熱処理材(A,C)を用い,素管寸法はφ60.5xt2.6 3.2 変形形状に及ぼす成形条件の影響 管長 mmとした.as £=2£)のA材を用い,公称応力比らによって変化させ roll材の溶接シーム部は母材よりも硬 <なるため,インラインシーム熱処理により母材と同 た軸押込みが張出し変形形状に及ぼす影響を図3に示 等の硬度に揃え,熱処理材は全管の焼準熱処理を行っ す.図3(a),(b)で実線のみ(lntermediate)は破断以前 た.管全長から掴み部を引いたバルジ部の長さを管長 の途中段階で負荷を停止した条件(以下,中止め)の Lと呼び,管径の1∼3倍とした.実験中に,液圧, 張出し変形形状を,□(Burst)は破断時の張出し変形 軸力,軸ストローク及び張出し短を計測し,成形後の 形状を示す.軸押込み量が増加し,らが(−)側に移行 試験片計測において,軸方向及び周方向の張出し量分 するとともに,張出量が増加し,全体に膨らむ.ら= 布,肉厚分布を計測した.バルジ加工中央部(単一バ −0.5付近では,変形中期までの2段バルジ形状が変形 ルジ形状ではバルジ頂点部,2段バルジ形状ではバル 後期に単一バルジ形状に移行し,張出し量が最大に近 ジ形状凹部)の長手方向曲率半径は,バルジ加工中央 づく.図3(c)のように,らが更に(−)側になると,2 部近傍30四の軸方向張出し量分布より円弧近似で求 段バルジ形状だけの変形となる,図4に管長を変化さ めた.負荷条件には,蓋なしの長い薄肉円管に内圧p せた条件の張出し変形形状の比較を示す.L・1Dでは と軸圧縮力附GF≦0)が作用し,一様に張り出す場 単一バルジ形状だが,L=3Dでは,変形中期までの2 合の公称応力の応力比(1)式(以下,公称応力比ら) 一二謳必゜惣応 ..-. − 如・ PressLjre l を適用した.実験開始時に軸押込みが先行して座廊変 形が発生する場合があるため,弾性範囲の初期圧 柿 10MPa以下を先行して負荷した. /G j - (ち│ CJ知 一 びθn 土 座 療7 ヅヤ(29ル(1) I Presillg i cylin&「 Fixed cylin&「 0「 Disp叫e“lerll Disp¥ement !Sensor Dis幽cemcm 湘nsor ︱︱I lsen54)『 ・一心 ・−一一・●● ‥…一泰 No. Pipc size D xt Bulgc lenglh Nominal strcss ralio,defined by Eq.(1) Measured items EXPefimenlal φ60,5×12.6 1D,2D,3D(D 0,0(non edS/ 9zssgl je duglul Table 2 一一一一 Fig.1 Schematic diagam nvalue 0.155 0.091 0.154 0.n6 condilion : Outerdiameter) axiaHorce),-0.3,-0.5,-0.7 0 0 0 0 0 0 0 6 5 4 3 2 1 A B C D Table l mechanicalProPcrtyoftubes(JIS n 0.5) Yicld Total ElonHeat Tensne lrcalmcnt point Strenglh gation MPa MPa % 35.7 256 353 ○ as roUcd 366 23.2 388 362 37.2 ○ 458 as roUed 32.6 446 501 呈 PC I −一一一一一-一一J 「r■■−■●・ of exp ・● ㎜ 胎 ド | | 殞entahPparatus 二に 鵬 叫=嶮 一一 一一 9,一一一一4 .Ji!μ 0 10 20 30 40 50 Str。keof axial compression Hydraunc pressljre, Aj(ial p lessing stfoke,Expansion,Pipe length, Thickness /mm Fig.2 1Jading path of experimental frecbulging (叫声−Oj) 1卵− ハイドロフォーミング用電縫鋼管の張出し変形特性に関する研究 詔9 - 段バルジ形状に対して,変形後期に中央部が張出し. ・一方,素材の高強度化に伴い,軸押込みにより張出 3段バルジ形状となる.L=2Dと3Dにおいて,端 し形状が非対称となる傾向があり,高強度のD材で 部と中央部の張出し変形の傾向に変化はないが,バ 顕著である.アルミニウム9)や銅匹による低強 ルジ部の管長乙が2Dから3Dに長くなれば,最終 度材料の実験では張出し形状の非対称性は少なく, バルジ形状は2段から3段に増加する. 電縫鋼管の熱処理材(A,C)でも非対称性が少ないこ 輸押込み(ら=-0.5)を作用させた張出し変形に及 とから,素材の高強度化による加工硬化特性の低下, ぼす材質の影響について,試験材A,B,C,Dに 造管時の残留応力の増加,管端郎固定条件の変動等 対応する張出し形状を図3(b),図5(a),(b),(c)に が張出し変形の非対称性に影響を及ぼすものと考え 示す.軸押し込みを同時に行うことにより,限界張 られる. 出し率は50%(A材)∼最大82%(B材〉で,高強 張出し率の増加とともに軸直角断面の円形状が素管 度のD材でも60%に達する.一般的に素材が高強 真円度から変化する状況を図6に示す.張出し部全 度になると加工限界が低下する傾向があるが,本実 周で20点の張出し半径計測値の最大値と最小値の 験では高強度材Dでも50%を越える限界張出し量 差について,20点の平均半径に対する割合 が得られており,実験に適用した負荷経路が張出し ((Rmax-Rmin)/Ravx100,%)を求め,半径方向 変形に効果的であることがわかる.(A材の限界張 張出し変形の精度として,張出し断面の真円度を評 出し率が50%と低い原因は溶接ビード切削量が大き 価する.素管の半径変化率が1∼2%であるのに対 くシーム部か薄肉化しているためである) し,拡管率50%までは5%以内にあり,実用的な olj/ QS !WJuo!suedxS 3/1j olj/Q a!le uj o!suedx3 o!1u 9o J!suedx3 1.8 1.6 1.8 -lntermediate 一一 1.6 4ワ`I II 9 QO︲ 1 1 0 −50 -100 IOO 50 1.8 1.6 9 QD︲ ■1 ■ 1 −100 −50 100 50 2 1.8 e 1.6 0 100 50 100 0 -50 100 50 り`Qり I 8 6 1 1 1 1 oU/U9ljuo!suedx3 4り4 11 4 ク﹄1− 1.6 −100 50 position 100 in axial direction / mm Fig.3 1nfluencc of axial prcssing on deformed shape(material A, L・2D) 1 100 -100 ・-50 0 50 Posほion in lxial dir8ction /mm Fig‥5 lnnuence of malerial properly on dcformcd shape 20 50 100 −○- 一一material 4 D トJ 0 R −−−ト・I・ ︲ ・ 瓦・・・・ −50 ・■ Material 一一一匹M●terllC ○ 0 ● MsterialA −○−” 10 15 10 5 0 2 0 olljUOlsugdx‘ AeS/(u!ux 'a Uu ︲U) ″oαぺぽ 0 0 4 3 offree buiging (material B,C,D,a4=-0.5) Z へ -100 0 1.4 2 叫 50 -100 ク﹄I I oS/9 1l jjuo!sugdxj oS/U o!Wjuo!suedx3 2 □ Burst 0 2D 40 60 80 Positionin axialdirectiQn /mm E。pansion ratio / % Fig,4 lnflucnce of bulging length on deformcd shape(matefiaI A, どy。=,0.5) 一 Fig,6 Accuracy 161− of fadial expansjon (2D,αs=-0.5) ハイドロフ4−ミング用電縫鋼管の張出し変形特性に関する研究 490 拡管率の範囲では円周方向に均一な張出し変形が得 肉率変化の傾向が材質によらないことから,平均 られるが,拡管率50%以上では非対称な変形が顕 減肉率が破断発生の目安になることがわかる. 在化し,断面の真円度は低ドする. 3.4 限界張出し率に及ぼす材質の影響 公称応 3.3 破断時の減肉率の検討 アルミニウムや 力比と限界張出し率の関係について,図8に示す, 銅材による自由バルジ加工後のひずみ分布に関する 図中の公称応力比は実験による軸押込み荷重Wと内 研究ふ.(8)は詳細になされており,自由バルジ加 圧pの平均値で補正したものである.α.=−0.43 エされた電縫鋼管のひずみ分布も同様の結果を示す. 付近(図中破線)で限界張り出し率が最大となり, ここでは,破断時の減肉率に対する軸押込みの影響 ら,<-o,43では座mによる多段バルジ形状が顕著 について,破断部近傍の減肉率を図7(a)に. シーム となる.図中の記号◇,口(opeTI)は多段バルジ形 部を含む両方向2o点の平均減肉率を図フ(b)に示す. 軸押込みなし(aら=o)の場合,破断部近傍の減肉 状を示し,素管寸法φ70xt 2.0でも同一傾向を示 率は30∼40%,周方向の平均減肉率は15∼18%と す.ごら=−0.43付近では,座屈形状から単一バル なる,軸押込み量の増加(ら<o,│ら│→大)に ジ形状に移行する変形(図3(b),図5(a))が生じる より,材質に関わらず,破断部近傍の減肉率は32 ∼43%,両方向平均減肉率は20∼25%に増加する. 遷移領域であり,張出し変形に有利な負荷条件と考 えられる. 内圧一定負荷時に行う軸押込みにより破断限界が向 3.5 管中央部の応力比に関する検討 蓋無しの 上すること,また破断発生における周方向の平均減 長い薄肉円管を仮定した公称応力比α.を実験の負 a!Il uj o!111np@lj %/Ssgu9!4 卵 40 e 0U N 0 ︲ 0 荷条件設定に用いたが,実際の自由バルジ変形を詳 細に検討する必要がある.従来の研究(2)・o)で は管中央部の軸方向真応力(グ,)と測方向真応力 G≒)の比(以下,応力比剥が変形経路や張出 し形状に及ぼす影響についての検討がなされている, 森ら(oは,アルミニウム管を用いた蓋ありの条件 において,応力比(l一定や複合的なひずみ経路が張 0 0.6 0.4 -0.3 0.5 NO minal 0 0.2 -0.1 stress 出し性に及ぼす影響を検討し,適用したアルミニウ raい0 ム管では応力比α=0(一定)の負荷経路が最良とし (a)Burst ているが,内圧ほぼ一定負荷時に軸押込みを行う 30 25 THFの負荷経路については検討されていない.本研 3 15 ほ 5 0 %/sSgu919 Joo!19u Jo!19npgU 究ではTHFを考慮した蓋なし円管を用いたため, 蓋なし円管に関する応力比の基礎式を導き,先行文 献データを含めた検討を行う.図9に蓋なし円管に 作用する外力を示す.蓋なし円管では内圧ρと管端 郎に負荷する軸方向力眼が作用することにより張出 し変形が生じ,張出し部斜面に内圧pが作用するこ 0 0.6 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 Nomjnal stress (b)Circumferenlial FiR.7 1nnlucnce とにより,さらに眼,なる力が発生する,善あり円 ratio 管ではこの他に内圧pが蓋に作用し,引張力1/らが avcrage 発生する.図9の管中央部において,肉厚fc,張 of axial prcssing on thickness 出し量J。肉厚中心の軸方向応力乙≒n。周方向応 方向肉厚中心曲率半径メ≒4の各記号を用いる. c QL Qt gt CsO︲ L olj/xl 9u l4 ju jo!suidxn!ujn 力び∂C(図中省略),周方向肉厚中心半径β∼,軸 2 匂 4、4 芦'゛ -! ……… 1、2 −1 -0.8 -0.6 -0.4 −0.2 0 0.2 1nitial stress ratio 一一・e・z αn Fig. 8 1nfluence of initial stfess ratia on expansion limit 162 491 ノヽイドロフォーミング用電縫鋼管の張出し変形特性に関する研究 ㎜㎜㎜㎜■ .-J 長手方向の力のつり合いにより(2)式が,張出し部斜 バルジ形状に移行する.この場合,図3(♭)に示すよう 面での力のつり合いにより(3)式が得られる.(3)式に に,変形中期の2段バルジ形状によりバルジ加工部に おいて,肉厚の変化がH勺に与える影響が小さいこと 材料が多く供給されており,単一バルジ形状に移行す から,≒≒らと仮定する. ることができれば,全体に膨らみ,張出限界も向上す 、 J り ー j 2 ‘ ‘’ j「 附 {(ρ。+回)'-(ρ。一回り一恥4 ︱ (7μ ることになる.また,管長L=1D,3Dの各条件につ いても応力比によりバルジ変形形状の変化を説明する ことができる.これらのことから,管中央部の応力比 肌−π{(po-ソ+久)2−(poゴバ) とその推移は自由バルジ変形形状を決定する大きな要 また膜理諭o2)による(4)式から応力比αの形式を持 因であること,TI4Fにおいて自由バルジ変形部分の つ(5)式を作り,(2),(3),(5)式より,応力比αを求め 応力比が(一)側でも│ら1を過度に大きくしない,即ち る(6)式が得られる 内圧と軸圧縮力をバランスさせた負荷経路が必要であ ることかわかる. 巴肛 μ (yφc - + £ ら ρれ ∂C CΓ 3.6 張出し性に及ぼす材料特性の影響 4種の電縫鋼管素材で同一管長L=2Dの自由バルジ ら ρ恥 ぴ●c φ「 - 一 a回 (4) - (5) 加工実験結果を図11に示し,比較のため,森ら尚 びθご の応力比一一定負荷経路によるエ業用純アルミニウム管 ぴ 一 び αs ρμ φぐ ー (φ40xt1爪r値の計測にjlS13号B試験片を適用)の 結果を併記した.電縫鋼管素材の材料特性値は異なる ぺrぼ匹jゾしyド1) ∂c が,応力比と張出し斌の増加傾向は図10と同様であ (6) る.図3,5に示すように,加工硬叱した高強度材 負荷を途中で停止した中LLめ材および破断材について (B,D)では変形形状の非対称性や張出し変形が局所化 管中央部の応力比を求めるには,素管肉厚り,内圧 する傾向はあるが,本実験の適用素材(353∼501MPa) p,軸方向力W,管中央部における張出し量ぶ.,両 がA1050材の2∼3倍以上高強度であるにもかかわら 方向肉厚中心半径ρ白,軸方向肉厚中心半径ρむに ず,同等以七の張出し性を示す.図11のA1050管材 関する実験結果データまたはそれらの補正信を代入す は,anncal材(らi=75,80MPa, 加工硬化指数:り る.軸方向肉厚中心半径ρおについては中央部近傍 =0,24,り=0.27,r偵:り=0.60,り・1.64,全伸び36 30mmの軸方向張出量分布より円弧近似で求めた. 42.5%,但しごアjと全伸びは貳∂方向特性値を併記)と 図1oに公称応力比らにより軸押込み量を変化させ 加工硬化材(as receiv た実験結果を用いて,軸押込みが管中央部の応力比に =0.018,り=0.019,り=0.63,り=1.35,仝伸び6.0, 及ぼす影響を示す.張出し率の増加とともに応力比α 5.3%)である.電縫鋼管とA1050管の材料特性を比較 が増加する傾向だが,張出し変形初期より応力比aが すると,熱処題材の全伸びはほぼ同等だが,A1050加 − エ硬化材の全伸びは6%以下と小さい.,づま後述の (+)側にあれば単一バルジ形状だが,し)側で│ら│が 大の場合は全て2段バルジ形状である.初期にα<0 でも,中期に0近傍から(午)側に移行する場合,単一 −−I■ 0.4 ・材,グ3=139,148 MPa,り →-A,αn=-0.5 →-A,αn=0.0 →-A,αn=−0.3 −−々y一一C,αn=-0.5 -一一A1051,annealed →-D,αn=-0.5 一個一一B,αnニー0.5 A1050,as received 2 ■・ -■ ■■ ㎜I →−αn=0,0 ㎜㎜ -0.4 七αn=−0.3 −0−{pl=−a5 −Q− -0.6 anこ−0.7 一一- -0.8 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 Explnsion 1.6 Q giJD・ ” ︲ ︲ -0.2 犬上 o!:1 S 1 1 J 9‘QS 0 - a 1︲8 oS/lj o!ll uj o!Suldx3 0.2 0.5 -0.4 -0,3 -0.2 -0.1()0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 ratior/『0 Stress Fig. lo lntluence ofllxjal pfessing on stfess iatio ratio α Fig.11 1nnuenceof slressralioon limilcxpansjon ratio (MaterialA,L●2D) LG一一 ハイドロフォーミング用電縫鋼管の張出し変形特性に関する研究 192 − (7)式で定義され,表3の電縫鋼管のデータよりr. 発に大きなメリットがあると考えられる. 0.81∼0.84で異方性が小さいのに対し,A1050材のん 4.自由バルジ加工の数値解析方法の検討 値は,りj=1.0と仮定すると同程度だが,異方性が 大きい.引張試験から求めた真応力一真ひずみ曲線に 自由バルジ加工の数値解析研究では,膜理論を適用 よる加工硬化指数(n値)と限界張り出し率の比較を した研究(2)o5)は多いが,FEM解析による研究 白は少ない.FEM解析による研究においては,一 図12に示す.熱処理材で0.2以上,加工硬化材で0.1 以下に大別され,材料による加工硬化特性の違いは少 定軸押し圧力を加工初期から負荷する方式が検討され ない,加工硬化材に注目すると,低延性6%のAI050 たが,加工初期の序詞を避けるために低い軸押し圧力 as received材がa=O一一定の負荷経路で張出限界45%, (公称応力比ら=-0.1∼-0.2相当)の検討に限られて 延性20%以上の電縫鋼管asroH材では,公称応力比 いた.本章では,前述の実験結果をもとに,FEM解 析モデルの構築を行い,その適用性を検討する. 一定条件においてB材(TS388MPa)で83%,更に高強 度のD材(501MPa)でも64%の張出限界を示す.これ 4.1 解析方法 解析は軸対称問題として図13に示 らの結果から,軸押込みを行う自由バルジ加工では, すように,軸方向断面の1/2の部分をモデル化した. n値が小さな材料においても,軸押込みによる過度の 解析には静的陰解法有限要素法プログラムABAQUS/ 座屈形状発生を抑制する張出し変形を与える内圧を負 Standardを用いた.要素には4節点アイソパラメトリ 荷することにより,良好な張出し性が得られる.また, ック要素を用い,バルジ加工する管長Lの部分を軸 電縫鋼管には高強度になると張出し形状が非対称にな 方向に90分割,板厚方向に4分割し,掴み部を軸方 る欠点はあるが,低強度のアルミニウム材と同様の高 向に45分割,板厚方向に4分割した.要素数は540, い張出し性が得られることは自動車用THF部品の開 節点数は680である.掴み部は軸方向変位を自由とし, 板厚方向変位のみを拘束する条件とした,負荷経路条 0.25 w︲ 0.2 9nlBAIC 1.2 1 0,15 0.8 0.6 0.4 の3種類,管長L=2Dとした.素管寸法は実験と同じ φ60.5×12,6である.検討した素材はA,D材で,引 張り試験より求めた真応力一真ひずみ曲線を多直線近 似して解析に適用した.図14に多直線近似した真応 0.05 02 A C A1050 B D A1050 Fig.12Thc n-vahles of cxperimental stress-slrain curves and material from Limit expansion 500 400 0000 Q 0 700 600 0 30 `0 Z1 ︵a5一︶u!ljl g s n」1 0.1 件には(1)式に示す公称応力比α.を0.0,−0.3,−0.5 g'O︲zu Wg o!le uj o!sued 1x !9 ulrl S g9 eN ra F 0.3 ratjo 0 Tube__ __ 一 0.1 0,2 0.3 True stress Fig.14 Stress −straincurves for FEM analyscs 5 0 5 0 5 0 5一 3 3 2 2 1 1 L ︵1︲2︶QjnSSOjCI 5 0 5 0 5 Q Q r︶cgUN N r ̄ y= leE91ul −50 5 1015 -5 051015 Radial t−一一- ̄ ̄ expansion 5 0 5 1015 / 訓1 Fig.15 1ntemaI Prcssure −bulge displacement curvcs (Maleria1A) 一 Fig.13 Finiteelement analysis model of free bulgjng 164 493 - ハイドロフォーミング用朧縫鋼管の張出し変形特性に関する研究 カー真ひずみ曲線を示す.荷重負荷方法には,自由バ ルジ変形の進行とともに安定的な負荷を行うことがで 4,3バルジ変形形状 図16(a),(b)及び図17(a)に, A材の張出し量分布を示す.上段の図は破壊以前の途 きる修正Riks法による弧長増分法を用いた. 中段階で負荷を停止した中止め材(lnlermediate)で, 4.2 内圧−バルジ量関係 下段の図は破斯時の張出し量分布を示す.公称応力比 図15にA材の内圧一張出し量関係を示す.ここで, a。=0-0,−0,3では,解析で得られたバルジ形状は実 張出し量は管中央部外壁における半径方向変位の最大 験で得られた形状と良い対応を示し,剣一一0.3にお 値を表す.回申,実線は解析値,0印は実験値を示す. いては,中止め時の2段バルジ形状から破壊時の眼一 熱処理をしたA材の場合,張出し変形初期に,引張試 バルジ形状への変化も解析することができる. 験の上降伏点に相当する内圧の上昇,下降が表れ,解 図17(a)に示すら=−o,5では,中止め時の2段バルジ 析結果と差があるが,内圧−バルジ量関係を示す解析 形状は実験と対応するが,解析ではその後も座屈変形 値と実験値は全般的に良く一致する.解析では.軸力 が進行して2段バルジ形状を維持し,実験結果と異な を加え,初期応力比が低下するとともに,最高内圧が る.2段バルジ形状から単一バルジ形状に変化する変 低下し,小さな内圧で大きなバルジ量が得られる.実 形の解析精度を劣化させる原因には,負荷経路条件や 験では,軸押込みを負荷する場合,初期に発生する大 掴み部工具の接触条件,応力ひずみ曲線等の影響が考 きな座屈を防止するため,弾性範囲内H〕Mpa程度の えられる.図17(♭)に高強度のD材に関する張出し量 初期圧を加えた後,軸力を負荷しているのに対し,解 分布を示す.実験では張出し変形が1ヵ所に集中する 析では内圧と軸力が同時に作用し始めるが,初期の負 傾向を示し,張出し形状が非対称となる傾向が顕著で 荷経路によるこのような違いの影響は小さいと考えら あるが,解析結果では対称な単一バルジ形状となり, れる. 非対称性がみられない.原因としては,高強度のas 20 生すると考えられる管端部固定条件の変動がFEM解 15 OgJO I EE/uo!sued 1x e9 !PeS 201510LQQ roll材に存在する残留応力分布や高強度材の加工で発 析に反映されでいないためと考えられる. 4,4 応力比の推移 図18にA材を自由バルジ加 -100 LQ Q CUN 2520防犯50 100 -50 0 50 100 工した場合の応力比とその推移について解析値及び実 50 0 5{} 100 験材の計測値から求めた応力比の結果を示す.解析値 LQ w9 は実験値よりも若干低めだが,傾向は一一致しており, 0″30 1 図16や図17に示した張出し量分布の解析結果の妥当 性に対応すると考えられる. -100 --50 0 50 100 -100 -50 0 本解析モデルにより,蓋なし円管の自由バルジ加工を 50 100 精度よくシミュレートできると考えられる. Positionin axial directiQn /『nm (a)A,α。=0.0 (b)A,a7-0.3 Fig.16 Expansion 以上の結果より,検討した解析モデルでは,自由バル ジ加工において座屈変形が比較的少ない,初期応力比 distribution of free bulged lube (MaleriaIA) ら≧−0.3∼−0.4までは十分な解析精度を保持すると 考えられる. −FEM -50 0 50 100 o!4e sj sgjlS 一100 ta 11 防印50 le!Pelj 2520 uo!sue‘ g / 1r5 0 ujuj 0 o 50 −100 50 100 | LQ 11 -100 -50 0 −一一¬ OExp 50 laO -50 0 50 100 eMD︲ O i︲ 0 0 0 0 2015105 20 -0.2 -0,3 -0,4 -0.5 0 50 1【X】’ ̄ ̄  ̄ ̄ Positionil¬axial diraction −0.6 /mm 0 0.2 0.4 0.6 (a)A,ら=-0.5 (b)D.α岬-0,5 Expansion ratio(Rmax/RO−1) Fig』フExpansion distributionof free bulged lubc (MatefiaI A and D) Fig.18 changjngs of slressralioin ffee bulgin&deformation -一一]65 一一 掴 ハイドロフォーミング弔電縫鋼管の張出し変形特性に関する研究 一一−一一-一一-一一一一 一一 5. 肉厚分布に及ぼす塑性異方性の影響 結論を得た. ①THFに適用される内圧一定時に軸押込みを行う負荷 張出し部の肉厚減少を均一一化するために,材料特性 として塑性異方性に関する数値解析的研究(0パIO 経路を公称応力の応力比を適用する実験方法でシミ はあるが,無限長管や平均化した塑性異方性(F)を ュレートすることにより,電縫鋼管の変形形状,肉 適用しており,詳細な検討は行われていない.前章で 厚分布,および限界張出し率に関する張出し特性を 構築したFEM解析モデルを用いた解析では,素材を 明らかにレ単一バルジ形状において高い張出し率 を得るためには,管中央部の応力比が(-)側でも, 等方性と仮定した.ここでは,実験に適用した素材の 塑性異方性を考慮した解析を行い,肉厚減少率への影 |.,71を過大にしない,即ち内圧と軸圧縮力をバラ 響について検討する.A,C材の塑性異方性に関する ンスさせた負荷経路が必要であることを示した. ②工業用純アルミニウム材と比較して高強度の電縫鋼 特性値を安3に示す.塑性異方性を求めるため,引張 管がTHFに適用される負荷経路条件を適用するこ 試験にはjlS12りB試験片を用いた.安中のパラメー とにより,同等以上の張出特性を持つことを示した. タは次式で定義される, − ③自由バルジ加工実験をシミュレートするFEM解析 r’(r∂+rcぬ+r..15)/4 モデルを構築し,従来よりも軸押込みの大きい条件 &’2″45−9 −り1 まで解析精度が得られること,また実験に適用した 同一張出し量10mmにおける肉厚減少率の軸方向分布 素材(A,C)の塑性異方性は解析において考慮する を図19に示す.図中,(I)は等方性,(A)は塑性異方性 必要がないことを明らかにした. を考慮した解析条件を示す.公称応力比ら,=0,0の場 合に,等方性と異方性の差が大きくなるが,肉厚減少 文献 率で2%程度である.管端部を固定した場合,公称応 力比剣一一0.25の場合には,異方性の影響はほとんど (1)例えば,.真鍋健一,管材の液圧成形技術一過去・現 現れていない.これらの解析結果より,A,C材の持 在・未来−,塑性と加工,39.453(1998),999 つ異方性では自由バルジ変形挙動に大きな影響を与え (2)Woo,D.M.,Hawkes,P.j.,Dcermjnalionof ないことを確認した. Strcss/S11ainCharaclcristics o fTubularMat 6.結言 lnst.ofMelals, 96(1968).357. 自動車用閉断面構造部品の加工に適用されるTE{Fプロ (3)淵潭定克,他1名,円筒の張出し加工に関する研究 セスの液圧成形工程では管端部が開いた状態の拘束条 (第1報)全ひずみ理論による解析,精密機械,37- ・als,J,of 件であることから,羞なし円管の自由バルジ加工に電 8(1971),565 縫鋼管を川いた実験及び解析的検討を行い,以下の (4)測一定克,他3名,薄肉円筒の液圧パルジ変形に及 ぼす塑性違法性の影響,第36回塑性加工連合講演会 Table.3 r −value and pafameterF、j。 7’φ Material r汐 脳 諭文集(1985),205 j,・ − 「 A 0.59 0.97 0.83 0.84 0.52 C 0.63 0.93 0.73 0.81 0.50 (5)測深定克,他3名,両端の軸方向変位を拘束した薄 肉円管の液圧バルジ変形,塑性と加工,28-318(1987). 745 (6)森茂樹,他2名,管材の液圧バルジ加エシミュレータの開 発と負荷経路制御の実験,塑性と加工,29-325(1988). べ)−an・00113 Msterial −←an=a.C(A) A 20 一色一αn=−0.25(│) 15 心Edl● 555 ―麦−gns−a.25(AI S。adCI) (7)村田虞,他4名,円管のパルジ成形における管端部 Edge nxed(A) 5 1D 拘束条件の影響,塑性と加工,31-348(1990).98 −!−一 (%)9sau9!9 jco!11 u1 o!pnpQS 25 18)淵渾定克,他3名,軸押込みと内圧による薄肉鋼管 0 ㎜■㎜㎜㎜I■■I■■1___I㎜㎜■ −100 -50 a 50 のバルジ加工,塑性と加工,35-398(1994).250 100 (ln)Sokolowskj,T.etal・,EVALUATION P。sitian in axial dir。cti。n/mm (SMsguM99 jo o!1gj uo!pnpgU p @ oi a∼ os I a N CHARACTERISTICS -○一αn=0.0(j) Jcyn=0.0(A) ベーαn=-0.25()) 一●一一an=-0.25(A) 心Edle6ld()) −・−Edge6xed(A) H¥DROAULIC IN TUBE BULGE TESTING OF MATER】AL HYI〕ROFORGING: OF TUBES, Advanced Technology of P】asljcity,Vol.2(1999),1217 (11)Cafleer,G.elal.,Analysis of thc effectof malefial properliesnn lhe hydiofor711irlg pfacess of tuhes,J.ofMat. Pmc. Technol. 104(2000)158 0 −¶00 50 ロ 50 (12)TimoshenkQ,S.&Wojnnowsky-Kiieger,T11eoΣyof 100 Pasitian in a。ialdirectian/mm Fig.19 1nfluenceof Plalesand Shells,21ded.,MCGfaw-Hm,1959 plaslic anisolfopy ㎜−』.L●− 1胚 於1 剔ぶ ‰ 4 - レ ! ̄ ̄ ̄ ピ h 八 i 一一一一一一‥ ・ - 。,幽,,。 1 _ fTI 一 | 蓼 | I口 | ljRANSACT10NS OF THE jAPAN SOCIETY OF MECHANICAL i ㎜I y. ENGINEERS n;gl yj i 一 | ぶ一ン一で- T 一一一一一一一一 _.・lii 一一 一 ご1 /│ 工学/機械一機械システム図書室 2004/4/12 日本機械学会論文集.A 70 G91 No110()784
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