高精度温度計測のための抵抗計測 数Ω~数百Ωの抵抗を 0.1~0.01mΩの精度で計測する。 抵抗計測の基本はホイートストン・ブリッジ R2 R1 VB RO VO Rt Rt RO VO VB R1 Rt R2 RO RO を調整し VO 0 とすると R1 R2 R1 R2 であれば Rt RO Rt RO 可変抵抗器Roの安定性・校正が問題 Roを固定抵抗とし電圧Voの値から抵抗値Rtを知る VO RO VB R2 RO Rt R1 f (VO ) VO R2 VB R2 RO ブリッジ回路出力電圧の非直線性 240 2 220 0 200 出力電圧-抵抗特性 校正直線 180 ( ) -4 -6 138.5Ω:100℃ 140 120 100Ω: 100 偏 -8 差 ( -10 -12 ) 0℃ Ω Rt Ω 抵 抗 160 -2 80 -14 60 -16 40 20 -18 0 -100 -20 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 電圧Vo(mV) 60 80 100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 電圧Vo(mV) 60 80 100 リニアライズ演算処理 非直線性誤差を防ぐには 定電流ブリッジ 定電流ブリッジ 2つの定電流源を等しく(I1=I2) することが困難 VO I1 Ro Rt I2 I1=I+⊿i1, I2=I+⊿i2 とすると Vo=I(Rt-Ro)+(Rt⊿i2 -Ro ⊿i1) I1 I 2 I とすると VO I ( Rt RO ) 誤差⊿e=Rt⊿i2 -Ro ⊿i1) Rtに対してVoは線形変化 が発生する。 定電流ブリッジを更に発展させる 電位差法 電流比較ブリッジ 電位差法 電流比較ブリッジ 電流比較 VO Rt V O t I1 Ro R t Ro V Or VO 0 に電流比を調整 Vot Rt RO VOr IO Rt RO It I2 白金測温抵抗体の結線方法とその影響 ra 2線式 Rt rb ra1 Rt rb1 結線方式の主流 rb2 3線式 ra1 4線式 Rt ra2 rb1 rb2 ブリッジ回路による3線式計測 RO を調整し VO 0 とすると R2 VO VB RO R1 R1 Rt RO rb1 ra1 R2 R2 R1 rb1 rb 2 ra1 Rt R1 R2 , ra1 rb1 であれば Rt RO 3線式計測の誤差要因(1) R2 R1 VO VB RO 抵抗のばらつき R R1 R2 , r ra1 rb1 rb1 rb 2 ra1 Rt の存在により、計測誤差 RO Rt R r r R2 が生じる 3線式計測の誤差要因(2) 零バランス VO 0 ではなく R2 VO VB RO 電圧 VO の変化で計測する場合 R1 rb1 rb 2 ra1 Rt Rt ra1 RO rb1 Vb VO Rt R1 ra1 RO R2 rb1 r ra1 rb1 0 の場合でも ra1, rb1 の値が変化すると 計測誤差になる 誤差(Ω) センサ・プローブ・ケーブル長による誤差 0.1 0.08 0.06 0.04 0.02 0 -0.02 -0.04 -0.06 -0.08 -0.1 ケーブル長100m r=5Ω ケーブル長10m r=0.5Ω 50 60 70 80 90 100 110 抵抗(Ω) 120 130 140 150 誤差(Ω) ケーブルの温度変化による誤差 0.005 0.004 0.003 0.002 0.001 0 -0.001 -0.002 -0.003 -0.004 -0.005 ケーブル長100m 温度変化10℃ 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 抵抗(Ω) 銅の温度係数:0.0043/℃ ホイートストンブリッジ回路による4線式計測 RO を調整し VO 0 とし R2 rの影響を打消すことは出来ない VO VB RO R1 R2 , ra1 rb1 r の場合でも R1 rb1 rb 2 ra1 ra 2 Rt r RO r Rt 1 R2 ホイートストンブリッジは4線式計測に適さない ホイートストンブリッジは高精度温度計測に適さない 電位差法による4線式計測 ra1 ra2 Rt I rb1 rb2 Vo Vot Rt Vor Rr Rr 配線コードの抵抗による誤差が全く生じない 電流Iの変動による誤差も生じない 高精度計測には4線式が適している 電位差法において電圧比を求めることの意味 電圧Votから直接、抵抗Rtを求めるには Rt I VOt となり、定数Iが入り、Iの誤差、不安定性の影響を受ける。 電圧比(Vot/ Vor)から抵抗Rtを求めるには V Rt R0 Ot VOr となり、定数Roが入り、 Roの誤差、不安定性の影響を受ける。 一般的に電流より抵抗の方が高精度で高安定なものが得られる。 電位差法による3線式計測 ra1 単純に電圧比を求めると Rt I rb1 rb2 Vo Vot Rt ra1 Vor Rr Rr 配線コード抵抗ra1の Rr 影響を受ける 後段の電圧処理部に工夫が必要 高精度計測のため更なる改良の必要性 熱起電力による影響 定電流の不安定性 AMP Rt G ADC Rr 標準抵抗の不安定性 SW 非直線性誤差 電気的ノイズによる影響 熱起電力による誤差を打消すー電流反転 熱起電力Ve1,Ve2の存在により VOt ' VOt Ve1 Rt Rt R0 ' R0 VOr Ve 2 VOr ' となり測定誤差が生じる。 そこで、電流反転を行い、次の演算を行うと VOt ' VOt '' 2V R0 Ot Rt R0 ' " 2V Or VOr VOr " Rt (VOt VOt Ve1, VOr VOr Ve2 ) " 熱起電力による測定誤差を打消すことが出来る。 " オフセット電圧による誤差を打消すー電流反転 増幅器GやADCのオフセット電圧Voffが存在する場合、 V ' Rt R0 OGt VOGr V G VOt R0 off V G V Or off となり測定誤差が生じる。 R0 VOt Rt V Or (VOGt Voff G Vot , VOGr Voff G Vor ) そこで、電流反転を行い、次の演算を行うと Voff G VOt Voff G VOt " R0 2GVOt Rt R0 2GV V G V V G V Or off Or Or off Rt 増幅器GやADCのオフセット電圧Voffを打消すことが出来る。 電流源の不安定性による誤差への対策1 電流Iは環境温度の変動やノイズなどにより絶えず変動⊿Iしている。 Rtを測定している時の電流変動を⊿i1、 Rrを測定している時の電流 変動を⊿i2とし、 ⊿i1 ≠⊿i2であるとすると、 Rt R0 ' V ( I i1 ) VOt R0 Ot ( I i2 ) VOr VOr Rt となり測定誤差が生じる。 以前は高精度計測には積分型ADCを用いるのが一般的であったが、 近年、ADC技術の著しい発展により、高速・高分解能・高精度な⊿ΣADCが開発 高速に切替えて、Vot, Vorを測定することにより⊿i1 ≠⊿i2となり、 測定誤差を抑えることが出来る。 電流源の不安定性による誤差への対策2 Rm Ga ADCa MC Rr Gb ADCb 特性がほぼ同じ増幅器とADCを並列に用いることにより 電圧をVOt, VOr同時に測定する。 VOt ( I i1 ) VOt Rt R0 R0 ( I i2 ) VOr VOr ' Rt 但し、2つの増幅器とADCの特性がオ簿同じ場合 電流源の不安定性による誤差への対策3 Rt Ga ADCa MC Rr Gb ADCb 特性がほぼ同じ増幅器とADCを並列に用いて電圧VOt, VOrを 並列システムで測定し、加算した上で電圧比を求めると (VOta VOtb ) I (Ga Gb ) (I 1Ga I 2 Gb ) I 2 G VOt (VOra VOrb ) I (Ga Gb ) (I 1Ga I 2 Gb ) I 1G VOr I 2 G, I1G 0 となるので Rr V (VOta VOtb ) Rr Ot (VOra VOrb ) VOr Rt 抵抗器特性の不安定性対策1-高安定性抵抗の採用 抵抗の種類 抵抗値 温度係数 ノイズ 安定性 用途 炭素皮膜 低~高 × × × 一般電子回路 炭素ソリッド 低~高 × × 〇 高信頼性回路 金属皮膜 低~高 △ 〇 〇 一般アナログ回路 金属薄膜 低~高 〇 ◎ 〇 高精度アナログ回路 金属箔 低~中 ◎ ◎ ◎ 超高精度アナログ回路 金属酸化物皮膜 低~高 △ △ △ 中電力回路 巻き線 低~中 〇 ◎ ◎ 高精度電力回路 セメント 低 △ △ △ 一般電力回路 ホウロウ 低~中 △ △ △ 大電力回路 金属板 超低~低 △ 〇 〇 電流検出・制限回路 金属箔抵抗の基本構造 金属箔 接着剤 基板 抵抗の温度係数の比較 0.1 0.5 1 5 10 50 100 500 1000 5000 炭素皮膜 金属酸化物皮膜 金属皮膜 金属薄膜 巻き線 金属箔 抵抗器特性の不安定性に対する対策2 • 経年変化による影響:エージング • Rt=Rrで最も測定誤差が小さく、Rrに対するRtの差 が大きくなると測定誤差が増える傾向にある。 校正用抵抗ネットワークシステムの導入 • 温度特性による影響:恒温槽化 低雑音化対策 • ADCの低雑音化:低雑音ADCの選択 デジタル系電源とのアイソレーション、電源制御 • 増幅器の低雑音化:低雑音OP AMPの選択 回路の低インピーダンス化 • 雑音対策を考慮に入れた基板設計、筐体設計 • 雑音対策を考慮に入れた電源回路設計 電源UNITの選択 ※ 対策に必要なノイズの周波数領域が数Hz~数100KHzと低い オーディオ・システムとの類似性 非直線性に対する対策 • ADCの非直線性:ADCの選択 • 増幅器の非直線性:OPAMPの選択、設計 デジタルによる補正 • 電源系の影響 オーディオ・システムとの類似性 高精度化を実現するのは 理論の再構築、アナログ技術、デジタルアシステッド技術が必要 抵抗ネットワーク校正システム Rt Rr SW Ga Gb ADCa ADCb 電 源 シ ス テ ム 計 測 演 算 処 理 ADC制御 SW制御 R NET制御 ITS-90(抵抗-温度演算) 恒温制御 電流制御 電源制御
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