1 OyamaE1.txt において,BE を従属変数、他の5項目を独立変数とした

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OyamaE1.txt において,BE を従属変数、他の5項目を独立変数とした重回帰分析を行い、
その結果を記せ。そして,その結果を基にどの測定値が両耳間無音検出と関連している
のか、考察せよ。
注意:解答には具体的な分析過程(R ならば使用コマンドとその出力など)を付加する
こと。結果の考察では,下記のデータの説明を参考にすること。
* 小山(2013)は、/ba/と/pa/の識別境界と聴覚時間分解能の関係を実験的に検討した。
/b/と/p/はそれぞれ有声閉鎖子音と無声閉鎖子音であり、後続の母音発声に伴う声帯
振動までの時間、即ち有声開始時間(voice onset time、以降 VOT)の長さにより区
別される。小山の研究では、24 名の日本語母語者を対象として、VOT を段階的に変
えた複数の合成音声を用意し、それらが/ba/と/pa/のどちらに聞こえるか同定させた。
一方、聴覚時間分解能の測度としては、2 音間の検出可能な最小無音長(無音閾値)
を測定した。測定は 5 条件で行われた。OyamaE1.txt に含まれている測定値の説明
は以下の通り:
BE 2 音を左右の異なる耳に呈示した条件(両耳間無音検出)での無音閾値
(BF####は 2 音を左耳に呈示し多条件で,第 1 音は広帯域雑音である)
BF700 第 2 音の中心周波数が 700Hz での無音閾値
BF1400 第 2 音の中心周波数が 1400Hz での無音閾値
BF2800 第 2 音の中心周波数が 2800Hz での無音閾値
WF 2 音の中心周波数が同じで左耳に提示した条件での無音閾値
BO /ba/と/pa/の反応が 50%になった時の VOT の長さ
(模範解答)
R を用いた分析過程と結果は以下の通り:
> dfe1mr <- lsfit(e1[2:6],e1$BE);
> ls.print(dfe1mr);
Residual Standard Error=18.3395
R-Square=0.4517
F-statistic (df=5, 18)=2.9658
p-value=0.04
Estimate Std.Err t-value Pr(>|t|)
Intercept 40.3493 50.9476 0.7920 0.4387
BF700
BF1400
BF2800
WF
BO
-0.3574
1.0600
0.1389
5.2472
-0.6688
0.3279 -1.0898 0.2902
0.9168 1.1563 0.2627
0.7975 0.1741 0.8637
2.1657 2.4228 0.0262
1.1498 -0.5817 0.5680
2
>>
両耳間無音検出と有意に関連するのは,2 音の中心周波数が同じときの無音閾値
(WF)であり、その偏相関は p < 0.05 で有意である。回帰係数が正なので,WF の
閾値が大きくなるほど両耳間無音検出の閾値も大きくなる。他の値の偏相関は有意
でなく,両耳間無音検出と関連があるとは言えない。